今夜も誰かが虐げられています(平岡祐太)
出番がないのは悲しいことだよな。
後ろ指を差しにくい世の中である。
2000年、天童荒太原作の「永遠の仔」がドラマ化され、ヒロインを演じた13歳の邑野未亜はオールヌードを披露している。14年の間にモラルやら表現の自由やらは変化し、もはやそれを所有しているだけで犯罪の時代である。
幼児虐待を主題としてドラマを描いたらそれが幼児虐待になる悪夢の時代はすでに始っている。
新時代のクリーンなエネルギーを目指すクルマが宣伝される時、その車を生産するための大電力が原子力発電所の再稼働を求めてやまないことはあまり強調されない。
そもそも・・・現代の大電力消費のために・・・三万年後まで保管を要する核のゴミの存在の責任を誰が負えるのか。
知ったこっちゃないのである。
そういう時代に生きるものがヒットラーの大虐殺を批判するのはちゃんちゃらおかしいわけである。
それでも・・・正義の声をあげるものはあえて愚か者の汚名を着るお調子者だと思う。
「金曜ロードSHOW!」21.9%(もののけ)↘19.4%(トトロ)↘17.2%(アリエッティ)
「家族狩り」10.5%↘*6.9%↘*5.6%
「家族狩り」が「ジブリ」に狩られています。
所詮、この世は弱肉強食なんだな。
で、『家族狩り・第4回』(TBSテレビ20140725PM10~)原作・天童荒太、脚本・大石静、演出・山本剛義を見た。このドラマにはクールだけどエキセントリックなヒロインを演じるに決まっている松雪泰子とか、軟弱な善人を演じるに決まっている伊藤淳史とか、こわもての刑事を演じるに決まっている遠藤憲一とか、少し猟奇的な女を演じるに決まっている山口紗弥加とか、裁判でお腹がすくに決まっている北山宏光が出演していて・・・それらしい役柄を演じているわけである。このキャスティングの成否は結末を見るまで語らないが・・・ここまでのところ・・・若干、役者に役が引きずられている感じはある。女を妊娠させておいて逃げ回る無責任な男がいい人に見えたり、自分の将来設計を地道に考える普通の女がおかしな人に見えていたりするわけである。本当にそれでいいのか・・・ふと疑問に思うのだった。なにしろ・・・このドラマの登場人物たちはみんな基本的にダメ人間なのである。
そして・・・「家族狩り」事件を捜査中の椎村栄作刑事(平岡祐太)が全く姿を見せない回って凄すぎると思ったりします。
一応、息子のマサル(三宅史)が首を吊った光島家一家心中事件、通販で薪割り用斧を息子の達也が購入していた麻生家一家心中事件が・・・連続殺人事件ではないかと警視庁捜査一課の馬見原刑事(遠藤憲一)が決めつけているのだが・・・。
馬見原刑事は精神に問題のある正妻・佐和子(秋山菜津子)の退院と・・・擬似家族である元風俗嬢の冬島綾女(水野美紀)研司(須田瑛斗)母子の元夫で父親の暴力団組織構成員の油井(谷田歩)の出所というダブル・パンチでそれどころではないのである。
児童虐待と言う主題では油井による研司への虐待が問題となるわけだが・・・油井のどれだけ余裕の出所直後なんだと思わせる潜伏中から繰り出される情報操作攻撃に翻弄されているとは言え・・・精神に問題ある妻・佐和子に対する粗暴なふるまいは「妻を虐げる夫」としての馬見原刑事を描いている。
そして・・・リストカット自殺を思わせる薔薇風呂は・・お茶の間を詐偽行為で虐げるのである。
狂いかけた妻よりも愛人の綾女を心配する馬見原刑事は知らず知らずのうちに妻を狂気へと追いこんでいくと言う趣向なのか・・・。
一方、油井から逃げ回る綾女も必死とは言え・・・馬見原刑事の家族にも危機が迫っていることを伝えようとはしない。
馬見原刑事は綾女を守ろうと暴力団組織構成員の長峰(菅原卓磨)に容赦のない暴力を行使するのだが・・・明らかに片思いである。
無垢な子供である研司は馬見原刑事を「お父さん」と呼ぶことで佐和子の痛んだ心を切り刻むのである。
馬見原刑事には一片の正義もないのだった。
巣藤浚介(伊藤淳史)は両親とのなんらかの確執を抱えている。
それをなかなか明らかにしようとしないために・・・その場しのぎの短絡的な性格が強調される。
ホームレスへの放火を行う謎の集団に喧嘩を売り、自らが放火されるという失態を演じた後で・・・かけつけた自称婚約者・清岡美歩(山口紗弥加)に危地から救われながらショックで一時的な記憶喪失になってしまうという脆さである。
そして・・・現実から逃避するために・・・美歩のことは忘れるが・・・行きずりの女・氷崎游子(松雪泰子)のことは思い出すのである。
ちなみに・・・美歩は七歳年上、游子は五歳年上なのである。
つまり・・・游子の方が美歩より若いのである・・・念のため。
実年齢は山口紗弥加が34歳、松雪泰子が41歳である。
ギリギリ、ミスキャストである。
それ以上言及すると女性全体を虐げることになるぞ。
ともかく・・・美人看護師(朝倉えりか)とも仲良しの元教え子の電気屋・渓徳(北山宏光)の癒しパワーの源・女教師AVによって記憶を回復する浚介だったが・・・。
明らかに・・・美歩を虐げているのである。
そして游子は気のないそぶりを見せているが・・・明らかに年下の男の子に依存しかかっているのだった。
氷崎家には夫を放棄したい妻・民子(浅田美代子)の姿はなく、認知症を患っている氷崎清太郎(井上真樹夫)の姿があるばかり・・・もちろん、認知症だからといって虐げるのはよくないが・・・実際には虐げたくなる存在である。
毎日が舌打ちの連続になるのである。
児童虐待という主題では現在、東京都児童ケアセンターが保護している駒田玲子(信太真妃)がこのドラマのヒロインといえるのだが・・・今回は登場せずに・・・児童虐待の加害者である駒田幸一(岡田浩暉)が意味不明のクレイマーとして登場する。
児童虐待で摘発されたために失職した件で游子を訴えるというのである。
児童ケアセンターの游子の上司は訴訟沙汰を嫌い、游子に形式的な謝罪を強要したり、游子が応じないと契約の更新をしないという必要以上に無能な公務員として描かれるのだった。
一方、放火殺人未遂の容疑者を確保した刑事は・・・浚介に目撃証言を強要するという必要以上に悪辣な刑事として描かれるのだった。
まあ・・・ここは脚本家の趣味なんだな。
だが・・・すでに記憶喪失の一時を過ごした浚介がそんな証言を自信をもってできるわけがないのである。
「わかりません」と正直に応じる浚介だった。
浚介はあえて曖昧な人格として描かれているので・・・この後、妊娠が嘘だったと告白をした美歩にプロポーズし、親に挨拶してもらいたいという美歩の要求は拒絶する。
そこには・・・浚介のおいたちが影響しているようだが・・・なかなか語らないのである。
そこへ・・・降って湧いたように起こる桐明学院高校の生徒たちの家庭内暴力の嵐。
美歩にとっては必要以上に踏み込みたくない他人の家庭の事情に・・・何故か、重大な関心をよせる浚介だった。
浚介にとって家庭とは一定の距離を置きたいものであるらしい。
自分の家庭は嫌だが・・・他人の家庭ならいいのである。
どうしてそうなったのかは・・・まるで語られないが・・・とにかく狂ったように暴れる実森勇治(岡山天音・・・また、お前か)・・・母親の智代(占部房子)は担任の美歩に救いを求めるが当然スルーである。
すると・・・突然燃えあがる野次馬的浚介の教師根性なのだった。
馬鹿は放火されても治らないのである。
その上・・・游子の指示を仰ぐ体たらくである。
だが・・・相手が未成年者ということで児童心理司魂に点火する游子だった。相手は児童ではなく生徒だけどな。
とにかく・・・二人は何故か・・・実森家に走るのだった。
ま・・・基本的に余計なお世話であるが・・・そういう人情が必要とされる時代であるという考え方もある。
一方、浚介が美術の時間に煽ってしまった芳沢亜衣(中村ゆりか)の眠れる狂気はいつの間にか大爆発していたのだった。
大暴れする亜衣に母親の希久子(相築あきこ)は手を焼き・・・高圧的な父親の孝郎(二階堂智)は娘にナイフのようなもので斬りつけられ出血沙汰となる。
連続心中事件の次の舞台は・・・芳沢家なのか・・・それとも実森家なのか。
亜衣が犠牲になるより・・・勇治が死ねばいいと考えます。
でも・・・第三の事件が起きないと・・・どうにもならない感じの展開だからな・・・。
これまでのバランスから考えると芳沢家か・・・。
どうやら浚介よりもバスキア的美術の天才らしい亜衣はどうせサイケデリックなペインテイングするなら・・・全裸だったんじゃないか・・・まあ、演者が未成年なんで無理なんだけどね。ユイちゃんだって18歳じゃないか・・・。あれは前世紀の巨匠がらみだから。セミ・ヌードだしね。
関連するキッドのブログ→第3話のレビュー
| 固定リンク
« お饅頭になさいますか、お姉さんになさいますか(宮武美桜) | トップページ | 見えない敵と戦う君へ~すごいやん、プロになれるやん・・・っていうか、もうプロやん(山本美月)ファン1号(黒島結菜)アオイホノオ(柳楽優弥) »
コメント