ダイヤが人を狂わせることもあるし、狂った人が中央・総武緩行線のダイヤを狂わせることもある(橋本愛)
土用の丑の日なのでささやかなうな重を食べる。
食が細い人はうな重(小)で充分でなんとなくリーズナブルだ。
そういう日にガンマナイフを照射される人もいる。
月の内側にもホットスポットがある。
世界を正しく認識していた人が自分の居場所を忘却する。
完全なデータを求めるほどにデータは不完全になっていく。
天の川の中心には暗くて深い穴がある。
そして、男と女には心の準備が必要なときがあるらしい。
我を忘れる瞬間は確かにある。
やがて、それは時の彼方に過ぎ去って行く。
で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第6回』(NHK総合20140729PM10~)脚本・徳尾浩司、演出・橋本光二郎を見た。人は「全体像」を把握しようとする。同級生を殺害する女子高校生の全体像。殺害に至る動機の全体像。女子高校生の顔の全体像。女子高校生全体の全体像。宇宙の全体像。しかし、恐ろしいことに人は全体像を把握するための情報を蓄積するほどのハードウェアを持っていないような気がするのである。そのために人は全体像を把握するための近道を模索してきた。それが人類の歴史だといっても過言ではない。・・・そろそろいいかな。はいっ。
統計学的手法とGIS(geographic information system)=地理情報システムを結び付け、CPS( Crime Predict System)=犯罪予測システムを開発したサイエンスデータ社の貴島道夫(吉沢悠)の提案によって・・・初音署管内で試験的に犯罪予測マップが導入される。
過去の犯罪データから次に犯罪が起こる地域を予測してホットスポットに指定する画期的なシステム導入に・・・警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)は直感的にうさんくささを感じるのだった。
しかし、CPS試験運用の初日、ホットスポットでは銀行強盗事件が発生するのだった。
そんなこととは露知らず、中央・総武線各駅停車の停車駅に近い東都大学(フィクション)の天才女子大生・難波くるみ(橋本愛)は17日後に迫る伴田刑事の誕生日に完璧なお祝いをするためのデータを蓄積中だった。
恋する乙女だから。
東都大学数学科教授の森崎の留守につけこんで研究室を私物化しているくるみの元へ貴島が現れる。
森崎教授に「ITセミナー」への出席を依頼しに来た貴島はくるみに親しげに握手を求め、くるみは発情するのだった。
そこへ・・・CPSに懐疑的な伴田刑事が・・・くるみに意見を求めるためにやってくる。
二人の男と一人の女の組み合わせにくるみの妄想は激しく花開くのだった。
動物のお医者さんハムテルに似たシステム開発者と書店員ミチルのストーカーのような刑事は相容れぬムードを醸しだすが・・・くるみはそれを自分をめぐる恋の三角関係と誤解するのである。
CPSの数学的アプローチについて意気投合する貴島とくるみ。
ついには「ITセミナー」への出席をくるみに求める貴島。
受諾したくるみは貴島に抱擁されて発情するのだった。
しかし・・・伴田刑事は「犯罪が発生する時と場所を予知する」システムがどうしても信用できない。
だが、CPSは的中確率70%の範囲を越え、次々に当たって行く。
そのために・・・くるみは「当たりすぎ」に疑問を感じ始める。
システムの的中率が統計学における初歩的な誤差修正の範囲を越えていたからである。
当たりすぎる予想は有意水準によって「偶然の範囲」を越えるという考え方があり、その基準は研究対象によっても違いがあるものの、およそ5%を分水嶺とする。
あまりにも正確すぎる予想は不自然であり、なんらかの有意性=イカサマが疑われるのである。
つまり、予測されたホットスポットで犯罪が発生するのは意図的なものである可能性が高まるのだった。
しかし、犯罪発覚の危険性が高まるホットスポットで犯罪者が犯罪をあえて犯すことに意味はあるのか。
素朴な疑問が浮かぶくるみだった。
一方、ホットスポットで犯罪を犯し逃亡した容疑者が不審死するという事件が発生し、伴田刑事は裏社会の情報屋から大規模な窃盗団・春日グループの存在を知る。
ホットスポットで起きる犯罪には春日グループが関与していたのである。
貴島、情報屋、伴田刑事は続けて春日グループに襲撃される。
くるみは貴島の怪我の様子から・・・貴島への疑いの眼差しを向ける。
一方、情報屋は殺され、「台風で乱す」というヒントを残す。
くるみは・・・ホットスポットの犯行が最終的な犯罪日時を隠すために行われていると推定し・・・犯罪が発生しにくいと予測されるディスホットスポットを割り出すのだった。
伴田刑事はくるみの予測したいくつかのポイントから一点を選びだす。
「美術館だ」
「どうしてですか」
「ここでは宝石展が開催されて高額のダイヤが展示されている」
「・・・」
「台風で乱れるのは鉄道のダイヤだから・・・」
「だじゃれですかっ」
だが・・・冴えわたった伴田刑事の勘は当たるのだった。
犯人が逮捕されている頃・・・CPSがホットスポットとして指定した東都大学で貴島と対峙するくるみ。
「あなたは・・・犯罪グループと組んで・・・警察をはめようとしましたね」
「何を根拠に・・・」
「あなたの狙いは・・・私がまだ・・・はめたことのないものでしょう」
「誰が宝石なんか・・・」
「私は手錠について語ったのです」
「はめたのか・・・」
「でも・・・あなたの予測は当たりました・・・なぜなら・・・ホットスポットで・・・あなたは手錠をはめられるのです」
「僕はただ・・・犯罪の起きない世界を・・・目指しただけなのに・・・」
「犯罪をするかしないかは・・・個人的な選択の問題ですよ・・・」
「・・・君を食事に誘おうと思ったのに」
「あなたと食事できなくて残念です」
かけつけた伴田刑事は空腹のくるみをなぐさめる。
「何が食べたい・・・」
食べたい物のデータに埋もれたくるみは適当な一点を抽出する。
「ブール・ド・カンパーニュ・・・とか」
「それは・・・パン・ド・カンパーニュ・・・ただのフランスの田舎風パンの丸いやつだぜ」
「・・・」
食通を思わせる伴田刑事の知識に・・・くるみは禍々しい何かを感じるのだった。
くるみにとって伴田刑事は怪しく、謎に満ちた恋のお相手なのである。
そして・・・ハードナッツを乗せた電車は終点へと走り出す・・・。
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初歩的な統計的推測について興味のある方はコチラへ→天使テンメイ様のハードナッツ
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