ポワソンには白ワインをヴィアンドゥには赤ワインをアムールにはシャンパンを(橋本愛)
1980年代には日本のレストランでアントレと言えばメインディッシュで主にステーキなどの肉料理を指す言葉だった。
当時は前菜はアぺタイザー(オードブル)である。
そして、魚料理はポワソンである。
しかし、今はフレンチで肉料理はヴィアンドゥだし、アントレは前菜を意味する。
アントレは入り口という意味だから・・・ニュアンス的にも正しいわけである。
そもそも、アントレがメインディシュと呼ばれるのは北米の習慣らしい・・・合衆国支配の名残が料理の総称にまで影響を与えていたと想像できる。
言葉というものの流動性の恐ろしさである。
しかし、現在はヴィアンドゥと呼ばれるのが正しいのに・・・アントレと聞けばローストビーフの仄かな香りを思い出したりするのが人間というものだ。
魚料理は今でもポワソンでなじみ深い。
ポワソンと聞いて、舌平目のムニエルでなく、シメオン・ドニ・ポアソン(フランスの数学者1781~1840)を連想する者は変人だと思う。
で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第5回』(NHK総合20140722PM10~)脚本・山浦雅大、演出・河合勇人を見た。週に一度の「ユイちゃんかわいいよ、ユイちゃん」の時間である。全8回なのでそろそろ、くるみロスの心の準備が必要だ。セカンド・シーズンはないのかよっ。ここ数年で最高のアイドル女優の一人である橋本愛の柔らかくオードリー・ヘップバーン的果実味が豊かで上質な味わいをもう少し楽しみたいものですな。
さて・・・警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)に対してどこまで本気か解読不能の恋をしているらしい天才女子大生・難波くるみ(橋本愛)は「ラブレター大作戦」の失敗を糧として「男の胃袋鷲掴み大作戦」を開始したらしい。
数学的理論に基づくフレンチの定番「牛肉の赤ワイン煮込み」にチャレンジである。
料理は科学であるからレシピに従えばそれなりに味は再現されるのだ。
なんとなく友達の浅尾奈津子(岡野真也)による試食・・・しかし、味は微妙なものだったらしい。
結果に納得できないくるみはレシピの作者で料理研究家の里中舞(能世あんな)のサイン会に乗り込み、クレームを申し立てるのだった。
「レシピ通りに作ったのにい」
「あらあら」
どうやら、いい人らしいさとだまいじゃなかった里中舞はくるみの料理実験レポートを検証し・・・「ワインの選び間違い」を指摘する。
その上で・・・時価20万円のシャトー・マルゴーの1982年(20世紀最高の呼び声が高い)を料理に使ったくるみの大胆さを指摘する。
「ぎょえ」
ワインは東都大学法学部教授・権堂(大河内浩)が秘蔵していたものだった。
くるみは酒泥棒である。
その頃、くるみの意中の人・・・伴田刑事は自宅の階段で転落死したワイン評論家・夏目慎一郎(小須田康人)の死に疑惑を感じていた。
なんだかんだ・・・素人探偵としてのくるみを高く評価している伴田刑事は現場写真を見せて意見を求めるのだった。
くるみは惨状に慄きながら・・・たちまち床で砕けたワインの壜の破片に不自然なものを見出す。べき分布的に破片の大小が偽装工作を匂わせたのだった。
そして・・・現場に残された擬似的な「アッシェンフェルターのワイン方程式」・・・。
収穫年の天候・・・日照時間、雨量、気温から複雑なワインの出来不出来を数学的に占う・・・。
ワインの当たり年を予測する方程式の絡みから・・・投資対象としてのワインを巡る事件を予感するくるみだったが・・・同時に夏目家のワインセラーに「マルゴーの82年」が置かれているのを見逃さないのだった。
未亡人となった夏目の妻・里花子(原沙知絵)の運転する自動車に自転車特攻を敢行するくるみ。
当たり屋である。
「まるごーのはちじゅうにねんものがあああ」
ブドウジュースを詰め込んだワインを破損させ・・・未亡人から慰謝料としてシャトー・マルゴー1982年をせしめるくるみだった。
どうやらいい人らしい夏目未亡人は・・・おしゃれな服までプレゼントしてくれるのだった。
しかし・・・そこで・・・くるみは・・・夏目夫婦と里中夫婦が友人関係にあったことを知る。
さらに・・・スナップ写真から・・・さとだまい・・・じゃなかった里中夫人と夏目が理数系同士で不倫関係にあったことを嗅ぎ取るくるみなのである。
不倫中の男が殺されたとなれば・・・二人の容疑者が浮上する。
夫に裏切られた妻・・・夏目未亡人と・・・妻に裏切られた夫・・・里中である。
「夏目をしのぶ会」に招待されるくるみ。
そこにはワイン関係者が集い、伴田刑事も訪れる。
ブドウジュースをワインと勘違いして叱る伴田に「勤務中に飲酒したらいーけないんだいけないんだ」と幼児プレーを仕掛けるくるみ。
しかし・・・ワインカクテルに刺激少なめの次亜塩素酸ナトリウムを仕込んだ毒殺で・・・ファンド会社「SNファンド」の社長・里中(岡田浩暉)は容疑者リストから姿を消す。
くるみは失敗料理のまざらないソースから・・・殺人のトリックを暴き・・・夏目未亡人を追い詰めるのだった。
酒泥棒の当たり屋が殺人者を追及である。
「あの人は・・・私の生れ年のワインだといって・・・あの女の生まれ年のワインを開けたのよ」
うっかりミスには気をつけようとお茶の間の妻帯者一同は気を引き締めるのだった。
くるみソースで伴田刑事に恋の料理ショーを挑むくるみ。
しかし・・・惨敗である。
そして、一人暮らしの長い伴田刑事は美味しいオムライスをくるみに作ってくれるのだった。
「伴田さん・・・あなたは何者・・・」とふと疑念を抱くくるみ。
「ただの刑事さ」とためらいながら答える伴田刑事・・・。
物語は終盤戦に突入していくのである。
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