最初は見上げて最後は見下ろすおやじの背中をミニスカポリス・夏服で追いかけちゃった。(堀北真希)
「日曜劇場」でオムニバスドラマである。
岡田惠和、坂元裕二、倉本聰、鎌田敏夫、木皿泉・・・凄腕の脚本家が・・・田村正和、役所広司、西田敏行、渡瀬恒彦、遠藤憲一・・・おやじ俳優たちの背中を追いかけていくわけである。
豪華絢爛なのである。
谷間の登場で・・・選択が難しいわけだが・・・父親より娘が主役のコレにしました。
堀北真希といえば1988年度生まれを代表するスター女優である。この年度には・・・新垣結衣、戸田恵梨香、吉高由里子、黒木メイサ、多部未華子という・・・物凄い顔ぶれが揃っているわけだが、その中でも抜群の存在感なんだな。この他にも田島穂奈美、菜々緒、早織、大島優子、徳永えり、佐津川愛美、高部あい、高梨臨、近野成美、多岐川華子などがいます。
このメンバーの頂点に立つって凄いな。
で、『日曜劇場・おやじの背中・第5話・ドブコ』(TBSテレビ20140810PM9~)脚本・木皿泉、演出・北川雅一を見た。「ケータイ刑事 銭形舞」(2003年)の銭形姉妹の三女で主演して以来の警察官役である。夢にまで見たミニスカポリスなので階級は銭形警視監からおそらく巡査へと物凄く降格しているわけである。あれから十年以上たつんだなあ・・・。「銭形舞」のオープニング以上の美少女は見たことないので・・・まさに十年に一人の逸材なんだな。
警視庁調布中央警察署交通課の丸井三冬(堀北真希)の父親は・・・本名・丸井正、芸名・鬼頭勇人(遠藤憲一)という悪役専門の役者だった。その役柄は基本的に「殺される」のが仕事なのである。
そんな父にも当たり役があり・・・チンピラ・ヤクザ「ドブネズミ」はそれなりに一世風靡したのであった。
その時以来、三冬の仇名は「ドブネズミの子供」略して「ドブコ」となったのである。
小学生(須田琥珀)の頃、仲良しだったホナミ(内田未来)にも「ミフユちゃん・・・明日から私もドブコって呼んでいい・・・クラスで私だけだから・・・ミフユちゃんって呼んでるの・・・」
「うん・・・いいよ」
あんただけは・・・ミフユと呼んでよとは言えないドブコだった。
そんなドブコにも中学生時代に剣道部で一緒だった同僚のマサルこと佐々木勝(溝端淳平)という親友がいる。
ところがマサルはまもなく結婚するのだった。
しかも「結婚式に出ないでくれ」と言われてしまうのである。
「なんでよ」
「結婚相手にお前の話をしたら・・・お前には結婚式に出てほしくないって・・・」
「なんでよ」
「男と女の友情なんて信じられないって・・・」
「・・・」
仕方なく了承するドブコだった。
(私が永遠に続いてほしい・・・と思うことは必ず終わってしまう)
思わず・・・ドブコは母親の弓子(薬師丸ひろ子)に愚痴るのである。
弓子と正はおしどり夫婦だった。
「佐々木巡査が・・・こわい顔の男に連れていかれた」と同僚(安藤玉恵)に囁かれるドブコ。
心配して捜しに行くと・・・河原には正とマサルの姿があった。
「お父さん・・・何してるのっ」
「いや・・・お前が一方的に絶交されたって・・・母さんから聞いてさ・・・ごめん」
「ごめんですんだら警察いらないのよ」
思わず逃げ出す正。夢中で父の背中を追いかけるドブコ。
高めのハイヒールで見事な疾走をみせるミニスカポリスだった。
そして、ついに父親を逮捕しちゃうのだった。
「いつも死体ばかりで楽しい?」
「死体はいいぞ・・・青空が高く見えて・・・自分が死んでいると思うと・・・世界が生き生きと感じられて・・・」
「死体は何にも感じないのよ」
「それは死んでみないとわからないじゃないか」
なんだかんだ・・・仲良し親娘なのである。
なにしろ・・・父親のためにドブコと呼ばれてぐれもせず警察官になった娘なのである。
凶悪な犯罪者になってもおかしくないところだ。
父親は父親で・・・「特撮ヒーローもの」のファンの子供にせがまれれば道端でやられて見せる好人物なのである。
「超次元ウルトラスーパー電磁旋風キーック」
「うぎゃあ・・・やられたあ」
子供の母親があわててかけよる。
「もしもし・・・大丈夫ですか」
「大丈夫ですよ・・・その人、死にませんから」
しかし、動脈瘤破裂で重態となる正だった。
緊急入院である。
駆けつけた母親と・・・不安な夜を過ごすドブコ。
母親は・・・「鬼頭勇人斬殺名場面集」を見て気を鎮めるのだった。
「私・・・お父さんは死なないもんだと思ってた・・・でもいつか死ぬのよね」
「お父さん、昔はもてもてだったのよ。だから、私もいつか捨てられるってみんなに言われてた・・・でも、あなたがお腹にいるって言ったら・・・お父さん、すごく喜んで結婚しようって・・・自由じゃなくなるのよって言ったら・・・そんな淋しい自由なんていらないって・・・」
「大丈夫だよ・・・今は死んだりしないよ」
手術は無事に終わり、回復に向かう正。
病床で拳銃の練習をする日々である。
「こうか」
「こうよ」
指導する現職警察官の娘だった。
「玩具は軽いわね」
「玩具を本物に見せるのがプロなんだよ」
誇り高い役者なのである。
「あの日、お父さんと何を話してたの」
ドブコはマサルに尋ねてみた。
「自分は斬られ役専門だけど斬ったこともあるって・・・」
「何・・・いつの話よ」
「さあ・・・話の途中でお前が来たから」
正の見舞いに行ったドブコは入浴タイムに遭遇する。
「じゃあ、今日は娘さんに手伝ってもらいましょう」と言う看護婦にうろたえる正。
「それだけは勘弁してくれ」と拒む正だった。
そこへ弓子が現れ、ドブコは取り残される。
別れることはつらいけど
仕方がないんだ君のため
病院の浴室から聴こえる父の歌声に・・・ドブコの幼い日の記憶が蘇る。
それは・・・ドブコが父親に斬られた日だった。
一緒にお風呂に入ろうというドブコを正が拒絶したのである。
ドブコは父の心情を問いただすのだった。
「なんで・・・私を斬ったのよ」
「だって・・・いつか・・・お前に嫌だって言われる日が来るだろう・・・だからその前に自分からって・・・お前が生まれた時から決めていた」
「せこっ」
全国の娘を持つ父親が感涙にむせぶのだった。
「どうして・・・人は変わっちゃうのかな」
「それは生きているからさ・・・生きていればいつか死ぬんだ・・・でも変わることを惧れていたら・・・前には進めない」
「・・・」
「人は幸せになるために誰かを斬っていくんだよ・・・つまり、俺は斬られる度に誰かを幸せにしてるんだ・・・だから、今度はお前に正々堂々と斬られてみせる」
「本当かな」
父の言葉にドブコは一つの決意を固めるのだった。
親友のマサルとの訣別である。
玩具の刀を用意して早朝の公園にマサルを呼びだすドブコ。
「なんなんだよ」
「結婚したかったら・・・私を倒していきなさい」
「そんなの・・・俺が勝つにきまっているだろう」
「高校の時は勝てなかったけど・・・中学の時は私の方が強かった」
「あの頃は・・・俺の方がチビだったし・・・」
「私を置いて・・・一人で大きくなって・・・」
「お前だって・・・チャラチャラした先輩と付き合ったりして・・・」
「問答無用」
しかし、ドブコの必殺の面打ちはかわされ、マサルはドブコの胴を抜くのだった。
ドブコは死んだ。
「ごめん・・・」
「いいの・・・私は自分の子供の時間とサヨナラしただけ・・・私はもう女で・・・あなたは男なんだもの・・・」
「・・・」
順調に回復した正は仕事に復帰する。
その日、大人になったドブコを待ち伏せるマサルの婚約者・静香(谷村美月)・・・。
「ドブコさんですね・・・」
「ドブコって・・・」
控えめの衣装だが・・・隠しきれない静香の抜群の巨乳から敗北を悟るドブコ。
「マサルさんがおかしくなっちゃったんです・・・ドブコさんを結婚式に呼ばないと結婚をやめるって言い出して・・・」
「やめないよ・・・だって・・・あなたのこと・・・愛しているもの・・・」
「どうしてわかるんですか」
「親友だから・・・」
そこへ・・・復帰祝いの花束を抱えて現れる正・・・。
「あ・・・ドブネズミさん・・・」
「父よ・・・」
「あ・・・だから・・・ドブコなんですか・・・あの・・・サインもらっていいですか・・・私の母親がファンなんです」
正は微笑む。
どうやら・・・ドブコには新しい女友達ができたようだ。
そして・・・親友のマサルと女友達の静香の結婚式に出席したドブコだった。
正は「花嫁の父」を演じた。
そして・・・娘に斬られる日を想像しただけで涙が止まらなくなりNGを出すのだった。
役者失格である。
ここでスタッフ・キャストたちは迷惑顔をするのだが・・・ファンタジーなので・・・できれば一同微笑むと完璧だったと考える。
ファンタジーを書かせたら素晴らしい脚本家がファンタジーのヒロインを演じたら最高の女優を与えられているのだから。
演出の好みの問題なのである。
もちろん・・・リアリティーを追及するなら・・・これはこれでいいと思うけれど。
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