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2014年8月31日 (日)

最初は見上げて最後は見下ろすおやじの背中をミニスカポリス・夏服で追いかけちゃった。(堀北真希)

「日曜劇場」でオムニバスドラマである。

岡田惠和、坂元裕二、倉本聰、鎌田敏夫、木皿泉・・・凄腕の脚本家が・・・田村正和、役所広司、西田敏行、渡瀬恒彦、遠藤憲一・・・おやじ俳優たちの背中を追いかけていくわけである。

豪華絢爛なのである。

谷間の登場で・・・選択が難しいわけだが・・・父親より娘が主役のコレにしました。

堀北真希といえば1988年度生まれを代表するスター女優である。この年度には・・・新垣結衣、戸田恵梨香、吉高由里子、黒木メイサ、多部未華子という・・・物凄い顔ぶれが揃っているわけだが、その中でも抜群の存在感なんだな。この他にも田島穂奈美、菜々緒、早織、大島優子、徳永えり、佐津川愛美、高部あい、高梨臨、近野成美、多岐川華子などがいます。

このメンバーの頂点に立つって凄いな。

で、『日曜劇場・おやじの背中・第5話・ドブコ』(TBSテレビ20140810PM9~)脚本・木皿泉、演出・北川雅一を見た。「ケータイ刑事 銭形舞」(2003年)の銭形姉妹の三女で主演して以来の警察官役である。夢にまで見たミニスカポリスなので階級は銭形警視監からおそらく巡査へと物凄く降格しているわけである。あれから十年以上たつんだなあ・・・。「銭形舞」のオープニング以上の美少女は見たことないので・・・まさに十年に一人の逸材なんだな。

警視庁調布中央警察署交通課の丸井三冬(堀北真希)の父親は・・・本名・丸井正、芸名・鬼頭勇人(遠藤憲一)という悪役専門の役者だった。その役柄は基本的に「殺される」のが仕事なのである。

そんな父にも当たり役があり・・・チンピラ・ヤクザ「ドブネズミ」はそれなりに一世風靡したのであった。

その時以来、三冬の仇名は「ドブネズミの子供」略して「ドブコ」となったのである。

小学生(須田琥珀)の頃、仲良しだったホナミ(内田未来)にも「ミフユちゃん・・・明日から私もドブコって呼んでいい・・・クラスで私だけだから・・・ミフユちゃんって呼んでるの・・・」

「うん・・・いいよ」

あんただけは・・・ミフユと呼んでよとは言えないドブコだった。

そんなドブコにも中学生時代に剣道部で一緒だった同僚のマサルこと佐々木勝(溝端淳平)という親友がいる。

ところがマサルはまもなく結婚するのだった。

しかも「結婚式に出ないでくれ」と言われてしまうのである。

「なんでよ」

「結婚相手にお前の話をしたら・・・お前には結婚式に出てほしくないって・・・」

「なんでよ」

「男と女の友情なんて信じられないって・・・」

「・・・」

仕方なく了承するドブコだった。

(私が永遠に続いてほしい・・・と思うことは必ず終わってしまう)

思わず・・・ドブコは母親の弓子(薬師丸ひろ子)に愚痴るのである。

弓子と正はおしどり夫婦だった。

「佐々木巡査が・・・こわい顔の男に連れていかれた」と同僚(安藤玉恵)に囁かれるドブコ。

心配して捜しに行くと・・・河原には正とマサルの姿があった。

「お父さん・・・何してるのっ」

「いや・・・お前が一方的に絶交されたって・・・母さんから聞いてさ・・・ごめん」

「ごめんですんだら警察いらないのよ」

思わず逃げ出す正。夢中で父の背中を追いかけるドブコ。

高めのハイヒールで見事な疾走をみせるミニスカポリスだった。

そして、ついに父親を逮捕しちゃうのだった。

「いつも死体ばかりで楽しい?」

「死体はいいぞ・・・青空が高く見えて・・・自分が死んでいると思うと・・・世界が生き生きと感じられて・・・」

「死体は何にも感じないのよ」

「それは死んでみないとわからないじゃないか」

なんだかんだ・・・仲良し親娘なのである。

なにしろ・・・父親のためにドブコと呼ばれてぐれもせず警察官になった娘なのである。

凶悪な犯罪者になってもおかしくないところだ。

父親は父親で・・・「特撮ヒーローもの」のファンの子供にせがまれれば道端でやられて見せる好人物なのである。

「超次元ウルトラスーパー電磁旋風キーック」

「うぎゃあ・・・やられたあ」

子供の母親があわててかけよる。

「もしもし・・・大丈夫ですか」

「大丈夫ですよ・・・その人、死にませんから」

しかし、動脈瘤破裂で重態となる正だった。

緊急入院である。

駆けつけた母親と・・・不安な夜を過ごすドブコ。

母親は・・・「鬼頭勇人斬殺名場面集」を見て気を鎮めるのだった。

「私・・・お父さんは死なないもんだと思ってた・・・でもいつか死ぬのよね」

「お父さん、昔はもてもてだったのよ。だから、私もいつか捨てられるってみんなに言われてた・・・でも、あなたがお腹にいるって言ったら・・・お父さん、すごく喜んで結婚しようって・・・自由じゃなくなるのよって言ったら・・・そんな淋しい自由なんていらないって・・・」

「大丈夫だよ・・・今は死んだりしないよ」

手術は無事に終わり、回復に向かう正。

病床で拳銃の練習をする日々である。

「こうか」

「こうよ」

指導する現職警察官の娘だった。

「玩具は軽いわね」

「玩具を本物に見せるのがプロなんだよ」

誇り高い役者なのである。

「あの日、お父さんと何を話してたの」

ドブコはマサルに尋ねてみた。

「自分は斬られ役専門だけど斬ったこともあるって・・・」

「何・・・いつの話よ」

「さあ・・・話の途中でお前が来たから」

正の見舞いに行ったドブコは入浴タイムに遭遇する。

「じゃあ、今日は娘さんに手伝ってもらいましょう」と言う看護婦にうろたえる正。

「それだけは勘弁してくれ」と拒む正だった。

そこへ弓子が現れ、ドブコは取り残される。

別れることはつらいけど

仕方がないんだ君のため

病院の浴室から聴こえる父の歌声に・・・ドブコの幼い日の記憶が蘇る。

それは・・・ドブコが父親に斬られた日だった。

一緒にお風呂に入ろうというドブコを正が拒絶したのである。

ドブコは父の心情を問いただすのだった。

「なんで・・・私を斬ったのよ」

「だって・・・いつか・・・お前に嫌だって言われる日が来るだろう・・・だからその前に自分からって・・・お前が生まれた時から決めていた」

「せこっ」

全国の娘を持つ父親が感涙にむせぶのだった。

「どうして・・・人は変わっちゃうのかな」

「それは生きているからさ・・・生きていればいつか死ぬんだ・・・でも変わることを惧れていたら・・・前には進めない」

「・・・」

「人は幸せになるために誰かを斬っていくんだよ・・・つまり、俺は斬られる度に誰かを幸せにしてるんだ・・・だから、今度はお前に正々堂々と斬られてみせる」

「本当かな」

父の言葉にドブコは一つの決意を固めるのだった。

親友のマサルとの訣別である。

玩具の刀を用意して早朝の公園にマサルを呼びだすドブコ。

「なんなんだよ」

「結婚したかったら・・・私を倒していきなさい」

「そんなの・・・俺が勝つにきまっているだろう」

「高校の時は勝てなかったけど・・・中学の時は私の方が強かった」

「あの頃は・・・俺の方がチビだったし・・・」

「私を置いて・・・一人で大きくなって・・・」

「お前だって・・・チャラチャラした先輩と付き合ったりして・・・」

「問答無用」

しかし、ドブコの必殺の面打ちはかわされ、マサルはドブコの胴を抜くのだった。

ドブコは死んだ。

「ごめん・・・」

「いいの・・・私は自分の子供の時間とサヨナラしただけ・・・私はもう女で・・・あなたは男なんだもの・・・」

「・・・」

順調に回復した正は仕事に復帰する。

その日、大人になったドブコを待ち伏せるマサルの婚約者・静香(谷村美月)・・・。

「ドブコさんですね・・・」

「ドブコって・・・」

控えめの衣装だが・・・隠しきれない静香の抜群の巨乳から敗北を悟るドブコ。

「マサルさんがおかしくなっちゃったんです・・・ドブコさんを結婚式に呼ばないと結婚をやめるって言い出して・・・」

「やめないよ・・・だって・・・あなたのこと・・・愛しているもの・・・」

「どうしてわかるんですか」

「親友だから・・・」

そこへ・・・復帰祝いの花束を抱えて現れる正・・・。

「あ・・・ドブネズミさん・・・」

「父よ・・・」

「あ・・・だから・・・ドブコなんですか・・・あの・・・サインもらっていいですか・・・私の母親がファンなんです」

正は微笑む。

どうやら・・・ドブコには新しい女友達ができたようだ。

そして・・・親友のマサルと女友達の静香の結婚式に出席したドブコだった。

正は「花嫁の父」を演じた。

そして・・・娘に斬られる日を想像しただけで涙が止まらなくなりNGを出すのだった。

役者失格である。

ここでスタッフ・キャストたちは迷惑顔をするのだが・・・ファンタジーなので・・・できれば一同微笑むと完璧だったと考える。

ファンタジーを書かせたら素晴らしい脚本家がファンタジーのヒロインを演じたら最高の女優を与えられているのだから。

演出の好みの問題なのである。

もちろん・・・リアリティーを追及するなら・・・これはこれでいいと思うけれど。

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2014年8月30日 (土)

狂気とは得体のしれないものを信じる気持である・・・例として神とか悪魔とか(北山宏光)

ドラマにおけるキャラクター設定というものは実は一種のお約束である。

人格などというものは存在しないし、人間は朝には天使だった人が昼には悪魔になり夜にはなんだかよくわからないものになっていたりする。

男には冷たいのに女には優しい人はいくらでもいる。

それでも・・・天使のような存在、悪魔のような存在、冷たい存在、優しい存在がキャラクター設定に求められるのである。

そうでない場合は二面性を持つキャラクターということになる。

リアルさを追求する場合は・・・この設定を取り払うという手法がある。

しかし、加減を間違うととんでもないことになるのである。

家庭を顧みない刑事が・・・家族はやりなおせると言い出したり、陰湿な暴力団員が・・・突然ロマンティックな死を選択したり、普通の人間だった人が・・・不死身人間だったり・・・やるせない気分になりますな。

ドラマは夢の世界・・・できれば夢だと気付かせないで・・・。

で、『家族狩り・第9回』(TBSテレビ201408029PM10~)原作・天童荒太、脚本・泉澤陽子、演出・坪井敏雄を見た。この物語の主人公は基本的に無能である。氷崎游子(松雪泰子)は東京都児童ケアセンター職員で児童心理司だが、駒田幸一(岡田浩暉)と駒田玲子(信太真妃)の父親を救援することはできなかった。もちろん・・・これは一例であって游子の上司の態度からも明らかのように游子はトラブルをケアするよりもトラブル・メーカーなのである。一方、ヒロイン・ポジションの巣藤浚介(伊藤淳史)もまた無能な高校教師である。ほとんど授業していないわけである。ダメ人間とダメ人間が出会い・・・魅かれあい・・・突然、使命感に目覚めたかのように・・・現実に介入し始める・・・今にも目が覚めてしまいそうだが・・・必死に妄想の世界に逃げ込むのだった。

冬島綾女(水野美紀)は油井(谷田歩)の殺害を決意するが・・・実行力はなく、返り討ちに遭う。そこへ椎村刑事(平岡祐太)が駆けつけるが返り討ちに遭う。

仕方ないので油井は自殺するのだった。

「僕はね・・・馬見原刑事(遠藤憲一)みたいなお父さんが欲しかったんだ・・・強くてかっこよくて・・・僕を守ってくれそうだもの・・・それなのに研司(須田瑛斗)ばかり可愛がってさ・・・やんなっちゃうよね・・・」

「あなた・・・何言ってるの・・・」

「・・・」

「死にましたね」

銃で撃たれた椎村刑事がむくりと起きあがる。

「あなた・・・大丈夫なの」

「ええ・・・実は僕は不死身人間なんですよ・・・これは秘密にしておいてください」

銃創から弾丸がポロリとこぼれ落ちる。

「通常の人間よりも回復力があるんです・・・秘密ですよ」

「誰も信じないでしょう」

「ですね」

不死身人間の椎村刑事は警視庁の特命刑事だった。警視庁刑事部捜査一課の不正行為を内偵中だったのである。

藤崎課長(飯田基祐)が反社会勢力との癒着による情報漏洩で金銭を受け取っている事実を突き止め、藤崎刑事がその罪を馬見原刑事になすりつけようと画策したことを暴くのだった。

「見逃してくれ・・・女房と子供がいるんだ」

「できません・・・職務なので・・・」

突然、ウルトラスーパーデラックス有能刑事となった不死身の椎村刑事である。

一方、いつまでたっても帰ってこない游子の身を案じる浚介。

「あの子・・・まさか・・・彼氏ができたのかしら」

「彼氏・・・」

「やあね・・・冗談よ・・・」と呑気な民子(浅田美代子)・・・。

「心当たりを捜してくれよ」と鈴木渓徳(北山宏光)に頼る浚介・・・。

「捜してもいいけど・・・本当に彼氏がいたらどうします?」

「彼氏・・・」

「意外とお父さん(井上真樹夫)と同じく認知症を発症してたりして・・・」と鈴木佳苗(松浦雅)は毒々しい。

「若年性か・・・」と正気タイムの父親の清太郎・・・。

「ほら・・・あんたんとこの生徒の父親が若年性認知症で・・・再婚した母親が育児放棄しちゃったって話があったじゃない

「それ・・・ちがうドラマです」

「あ・・・キャラが一緒なんで間違えちゃった・・・」

「ほっといてください」

そういうのどかな擬似ホームドラマ進行中に・・・仮面を脱ぎ棄てた連続殺人犯組織に拉致監禁されている主人公だった。

束縛されて放置され・・・朝を迎えたのだった。

「手荒なことをしてすまなかったな」と縄を解く大野白蟻工業の社長(藤本隆宏)・・・。

「体に優しい自然食をご用意したので召し上がれ」と山賀葉子(財前直見)・・・。

「駒田さんをどうしたのです」

「送ってさしあげたんです」

「送ったって・・・どこへ」

「・・・」

「山賀さん・・・この人に脅されてるんですか・・・」

「とんでもない・・・この人は同志よ」

「同志・・・」

「あなたにはきっとわかってもらえるわ」

「何をですか・・・」

「送ってさしあげることの意味を・・・」

説明しよう・・・一体、なんでそんなことを始めたのかは最終回に語るのだろうが・・・とにかく、山賀と大野は連続一家殺人犯なのである。

山賀が対象を補足し、大野が白アリ駆除の名目で現場を密室にできるように床下に細工するのだった。

そして両親を殺害後、子供を自殺に導くのである。

「おかしい・・・私の通院の時間なのに・・・連絡がない」と娘の不在に不自由を感じる母。

「だから・・・連絡もなしに帰宅しないっておかしいって言ってるでしょう」

「クイーン・エメラルダス・・・真の勇気を持つ男には優しい女・・・」と記憶障害モードの父。

「何か・・・手掛かりはないんですか」

「そういえば・・・シャンプー」

浚介は突然の鬼直感でシャンプーこそが事件解決の手掛かりであることを感じるのだった。

所轄の新人刑事に戻った椎村刑事は・・・解放された馬見原刑事と浚介に呼び出される。

「重要な手掛かりって・・・」

「甘い匂いのシャンプーですよ」

「だから・・・犯人は・・・あの女だろう」

「違いますよ・・・イタリア製で個人輸入の貴重品なんです・・・それを分けてもらってるんです」

「すると・・・あの女・・・行方をくらましたか・・・」

「すぐに・・・追いましょう」

「彼女は犯人じゃありません」

「それは本人の口から聞こう」

二人の刑事は游子の端末の位置情報の追跡を開始するのだった。

こうなってはあの人に頼るしかない浚介だった。

「捜してくれ・・・このシャンプーを個人輸入している人を」

ウルトラスーパーデラックス特命探偵・ケートクは即座にウルトラスーパーデラックス情報網にリンクするのだった。

「お尋ねの方は二人います・・・往年の大女優・原節子さんと山賀さん」

「山賀だって・・・」

その頃、大野は下見にきているのだった。

何故か、娘を残してショッピングにでかける芳沢希久子(相築あきこ)・・・。

大野のマジックハンドは芳沢亜衣(中村ゆりか)の部屋の鍵を破壊する。

「隠れてないで出ておいで・・・」

天才であり超洞察力の持ち主は大野が連続殺人犯であることを悟る。

「あなたが駆除するのね・・・私たち家族という害虫を・・・この家から」

「家族は害虫ではないよ」

「うそつき・・・一人にしておいて・・・私は世界を描かなければならないの」

「これは・・・妖怪百目かい」

「違うわ・・・世界を監視する神の目よ」

「なるほど・・・」

自己表現力の拙い天才少女は浚介にSOSメールを発信する。

【シロアリシロアリシロアリ】

「なんなんだよ・・・」

もちろん・・・鈍感な浚介に解読は不可能だった。

位置情報を追いかけた二人の刑事は廃品業者の車に投棄された游子の携帯端末を発見する。

山賀と大野は游子を連れて芳沢家に向かう。

浚介と名探偵ケートクあるいは内閣特務工作員は山賀家に到着。

周辺を調査したケートクは隣の家が大野白蟻工業であることを発見する。

「これは内部調査の必要がありますね」

工作員あるいは窃盗常習犯のケートクはピッキング術も習得していた。

「お前って・・・」

「少年院出身者だからって誰でもできると思わないでください」

そして・・・二人は・・・火の用心の悪い・・・狂信者の蝋燭つけっぱなし回廊と・・・魔窟の祭壇を発見するのだった。

祭壇に供えられた葬送状には・・・芳沢家が記されていた。

「これって・・・」

「千羽鶴も名前入りですよ」

「実森・・・」

「どういうことなんだ」

「え・・・実森を殺したってことでしょう・・・そして今夜は芳沢を殺すんでしょう」

「大変じゃないか」

帰宅した芳沢孝郎(二階堂智)は刃物を取り出した。

「あなた・・・やめて」

「情報漏洩のために会社はおしまいだ・・・」

「それはあなたのセキュリティーが甘かったから・・・」

「破滅なんだよ・・・・」

「どうするつもり・・・」

「可愛い娘を最後に抱いて・・・終わりにするんだよ・・・いいだろう・・・最後にやらせてもらっても」

貞操の危機に鈍器で抵抗する娘。

しかし、娘やりたさで鬼となった孝郎は痛みを感じない。

家族から殺人者を出したくない希久子は制止する。

血みどろの父親と母親と娘。

そこへ・・・白き衣(害虫駆除用作業服)を来たシロアリ教徒の大野が到着する。

大野のマジックハンドは三人を一瞬で失神させるのだった。

気がつくと食卓に呪縛された芳沢家の三人。

ゲストとして游子も招かれている。

「一体・・・何をする気なの」

「送って差し上げるのよ」

「それが・・・最終的解決なんて・・・頭がおかしすぎる」

「何言ってるの・・・あなたは誰も救えなかったでしょう」

「救おうとしたもの」

「子供の家庭内暴力で父親を励ましたあなたは・・・父親に一家斬殺の上で放火自殺されて実際ご遺体を損傷させるほど頭おかしくなったでしょう・・・それをなんとか落ちつかせてあげたのは私ですよ」

「だからって・・・殺したら・・・何の解決にもならないじゃないの」

「あなたは・・・実森くんのお母さんの最後の言葉を聞いたでしょう・・・これでよかったって言ってたでしょう」

「違う・・・そんなの・・・ただのあきらめ・・・」

「あなたも・・・儀式を見ればきっと理解できるわ・・・」

「儀式・・・」

「最終的な解決方法の後、家族は生まれ変わって再出発するの」

「う・・・うまれかわり・・・って」

そこへ飛び込んでくる浚介・・・。

たちまち・・・大野のマジックハンドの餌食となるのだった。

「やめろ・・・そんなのただの人殺しだ」

「静かになさい・・・」

浚介はごちそうを口につめこまれた。

「さあ・・・よく見るのよ」

娘の目の前で両親を刃物で突き刺し苦痛を与える二人。

「や・・め・・・て・・・」

「逃げては駄目・・・よく見るのよ・・・あなたの親たちの苦しみを・・・」

その時、主人公はくのいちモードを覚醒する。

呪縛していた縄は一瞬で解かれ、驚異的な脚力で跳躍したウルトラスーパーデラックス游子は魔人大野を突き飛ばすのだった。

「殺すなら私を殺しなさいよ」

それを言ったらおしまい的な決め台詞を残し・・・物語はウルトラスーパーデラックスな感じの最終回に向かって旅立つのだった。

来週は死者を除いたオールスター登場かな。石倉真弓(篠田麻里子)とか清岡美歩(山口紗弥加)とかしばらく見てないしな・・・。

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2014年8月29日 (金)

善男善女の幸福と悪党の不幸(星野真里)

1981年度生まれを代表する女優といえばナタリー・ポートマンだが・・・そこかよっ。

星野真里も当然、その一人である。ここには柴咲コウ、池脇千鶴がいて尾野真千子もいる。滝沢沙織、中村ゆり、 佐藤江梨子、初音映莉子、安倍なつみなどもいる。

人生いろいろあるわけである。

ここまでたどりつくのだってなかなか大変だ。

幸福にも不幸にも慣れた女優暮らし・・・時代劇ではその起伏は激しい。

鼠、江戸を疾る」では亭主に裏切られるお常だったが・・・今回は遊女である。

すでに不幸なわけだが・・・できれば幸せになってもらいたいと思うわけである。

で、『吉原裏同心・第9回』(NHK総合20140828PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・田中英治を見た。法律とは別に善悪というものが世界には存在するという想念がある。たとえば・・・恋愛で一方的な別れを告げる側のあくどさがある。しかし、告げられた側がどう振る舞うかもまた善悪で裁かれるのである。リベンジポルノをしたり、殺したりするのは問題外だが・・・相手の決断を尊重するのが難しいものであるのは明らかだ。今週、「HERO」ではDV男と依存症の女の葛藤が題材となっていた。ヒーローである久利生は悪を正すという姿勢で罪に対する罰を下す。法律家でありながら・・・人として善悪を問うのである。時代劇はそれをさらに具体化することが可能である。いろいろな諸事情からみねうち(殺傷力の抑制)も多様されるが・・・基本的に「たたっ斬る」しかない悪党を造形できるのだ。今回の悪党は「ペテロの葬列」でこれ以上なく下衆な男・井手正男を演じる千葉哲也がキャスティングされ・・・いい味を出しているわけである。

「若者たち2014」では理不尽な三角関係の敗者となった高校生が暴走のスタンバイをしているわけだが・・・彼も一方的な別れを切り出した方が悪だとしても・・・すっぱりとあきらめなければもっと悪という・・・この世の不条理な鉄則を時代劇で学ぶ必要があるのだった。

それは・・・善男善女でなければ幸せにはなれないという・・・この世の基本設定なのである。

吉原遊郭・桜木屋の遊女・柳里(星野真里)は年季明けで身請け話が決まった。

相手は裕福ではないが身も心も男前の畳屋・圭次(成河)だった。

年季が明けて、好いた男と所帯を持つ・・・それは遊女たちの「夢」であった。

しかし、幸せに向かう柳里に風の噂が不吉な報せを届ける。

柳里の浮かぬ気持ちを察した遊女たちの手習いの師匠を務める汀女(貫地谷しほり)は事情を聞く。

「昔の話でございますが・・・私には圭次さんとは別に言い交わした相手があったのでございます。やくざな遊び人で名を徹三郎(千葉哲也)と申しました。私も若かったのでそういう男にも惚れたのです。一度、きれると手のつけられない乱暴者で・・・廓内でも暴力沙汰を起こし、私も殴られたことさえありました。しかし、その後で優しい言葉をかけられると惚れた弱みでつい許すというくりかえし。年季が明けたら所帯を持つと言う約束もいたしました。しかし、徹三郎は賭場でもめ事を起こし、ついに関東処払い(江戸追放)となりました。縁が切れて私は目が覚めたのです。なんであんな男が好きだったのか。自分でも馬鹿らしくなりました・・・。そして圭次さんと出会い・・・本当の優しさを知ったのです。ところが・・・徹三郎が江戸に戻ってくるという噂が立ちました。私が自分以外の男と所帯を持ったなどと知れたら・・・どんな恐ろしい目にあうか・・・きっと私は殺されるでしょう・・・」

「そんな・・・」

事情を知った汀女は一計を案じ・・・吉原裏同心の神守幹次郎(小出恵介)と共に吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)を訪ねる。

一方、番方の仙右衛門(山内圭哉)はぎっくり腰となり、柴田相庵(林隆三)の診療所に担ぎ込まれていた。

四郎兵衛は幼馴染のお芳(平田薫)の看護を受ける。

実は・・・この二人は相思相愛である。しかし、四郎兵衛はそうとは知らず、娘の玉藻(京野ことみ)を仙右衛門にけしかけるのだった。玉藻も仙右衛門を憎からず思っていたのである。

つまり、仙右衛門とお芳そして玉藻は柳里と圭次そして徹三郎と平行して展開する三角関係である。

さらに・・・お大尽によって身請けが囁かれる吉原一の花魁・薄墨太夫(野々すみ花)は心に幹次郎への想いを秘めており、物語は三角関係の三重奏を奏でるのだった。

もちろん、遊女が複数の客に体を売る生業である以上・・・その背景には複雑で悲しい重低音が鳴り響くのだった。

急病を発した柳里が診療所に担ぎ込まれる。

柴田相庵が脈を見るがすでに手遅れだった。

柳里を運び込んだ男衆が合掌して去るとむくりと起きあがる柳里。

事情を知らぬ、療養中の仙右衛門は腰を抜かす。

汀女による「柳里擬装死亡計画」である。

柳里を死んだことにして徹三郎を誤魔化す作戦だった。

「遊女・柳里は死んだ・・・これからは畳屋圭次の女房おちよとして生きなさい」

柴田相庵は良かれしことを遺言のように語るのだった。

柳里の死は吉原中に知れ渡る。

そこへ・・・徹三郎が現れる。

「柳里を出せ」

「柳里は病で死んだ」

暴れる徹三郎を叩き伏せ・・・幹次郎が告げる。

しかし・・・悪はしょうこりないものなのである。

桜木屋の主人・幸造(永田耕一)を待ち伏せた徹三郎。

「柳里が残した金があるはずだ・・・それをよこしな」

「なんだ・・・お前、金が目当てか」

「女なんかに未練があるかよ・・・金を出すのか・・・出さねえのか」

「三両やろう・・・それきりにしておくれ・・・」

「いいだろう」

「とんだ祝儀だぜ・・・」

「なんだと・・・」

香典と言えばいいものをうっかり口をすべらせた幸造は拷問されて憐れな骸になり果てる。

「桜木屋さんはおちよ夫婦の新居は知らねえはずだ」

「しかし・・・診療所がこの件に絡んでいるのは知ってた」

「診療所が危ねえな」

番方たちの報せで幹次郎は診療所へ走る。

しかし、一足先に徹三郎は診療所に現れる。

相庵は留守で身動きの不自由な仙右衛門とお芳が危機に直面する。

「柳里(りゅうり)はここで死んだそうだな」

「そうらしいねえ。私はちょうど出かけていて後から聞いたんだけど、その時、千住でこの人が腰を傷めちまってね」

「そうか・・・」

お芳の機転で難を逃れた二人。

幹次郎が到着した時には徹三郎は去っていた。

「しつこい野郎だ」

「この分じゃあ、おちよ夫婦の居所もすぐに着きとめられてしまうな」

汀女は自分の発案で人死にが出たことで落ち込む。

「私が迂闊なことを・・・」

「そんなことはないですよ・・・柳里の幸せを願う気持ちは皆同じです」

今度は幹次郎が一計を案じるのだった。

おちよ夫婦を一時、隠すことにしたのだった。

しかし、おちよは圭次と別れて徹三郎の元へ行くと言い出す。

「なんでそんなことを言う」

「だって・・・お前さんに迷惑がかかる」

「何言ってんだ・・・夫婦は迷惑かけてお互い様だろう」

「あんた・・・」

二人のやりとりに微笑む汀女と幹次郎だった。

一方、仙右衛門の見舞いにやってきた玉藻は・・・お芳の様子から二人の仲を察し、身を退くのだった。

潔さとはこのことなのである。

ふられたものはストーカーにならずに潔くあるのが美しいのだ。

玉藻は女をあげたのだった。

一方、浪人者を雇い、吉原の動向を探る徹三郎はついに柳里の隠れ家をつきとめる。

「確かに金になるんだろうな」

「ああ・・・畳屋はきっと小金をためこんでくる。金も命もいただきよ」

男を下げ続ける徹三郎である。

隠れ家に乗り込んだ一味・・・。

しかし、そこに潜んでいたのは幹次郎と汀女だった。

「かかりやがったな」

「くそ・・・罠か・・・」

「観念しろ・・・」

虚しい抵抗をする徹三郎だが・・・無論、幹次郎の必殺剣の敵ではない。

一件落着だった。

晴れて・・・おちよ夫婦は新婚生活に突入するのだった。

「あんたのために・・・おいしいおまんまをこしらえるよ・・・汀女さんに教わるんだ」

「そいつはありがてえ・・・なにしろ・・・おまえの料理の腕は・・・」

仲睦まじい新婚夫婦だった。

「遊女が女房になるのは大変そうだな」

「あの二人ならきっと大丈夫ですよ」

苦難を乗り越えて来た汀女は断言するのだった。

勧善懲悪が時代劇の基本だが・・・善悪が定かならぬ世の中で・・・それはある程度の揺らぎを求められるのだった。

それに成功しないと大衆の心を捉えることができないわけである。

この物語はおそらく成功しているのだろう。

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2014年8月28日 (木)

陽なたにて揺るるさなぎ(橋本愛)たそがれの空は希望のいれもの(蒼井優)

そのままじゃないか・・・。

単なるファンだからな。

映画「ボクサー」(1977年)の撮影中にサインしてもらったなあ。

だからといって時代を超越するのは勘弁してほしいよな。

半世紀前の大学生みたいな口説き方されてもな・・・。

再評価ということでいいんじゃないか。

いや・・・今さら過ぎるだろう・・・。

祖国がピンと来ないだろう・・・。

国敗れて山河ありあっての祖国だものな。

「復員服の飴屋が通る頃ならんふくらみながら豆煮えはじむ」時代の

「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」という「祖国喪失」なんだから・・・。

まあ、次回タイトルは「待ち受けでつかのま愛の闇ふかし身捨つるほどの異性はありや」ということになりそうなわけで・・・。

「三鷹ストーカー殺人事件」を連想させすぎだよな・・・。まだ・・・早いんじゃないか・・・。そういう衒いはないんだよ、きっと。

うらやましいほど恥も外聞もないんだよ。

やり手だからな。

で、『2014・第7回』(フジテレビ20140827PM10~)脚本・武藤将吾、演出・杉田成道を見た。演出家がチェンジして・・・体をはってる橋本愛が復活である。舞台「飛龍伝」では暁(瑛太)の幻視によって・・・「濡れ場」を吉川瑞貴(広末涼子)が演じていたように見えたわけだが・・・実際は永原香澄(橋本愛)がハルこと佐藤陽(柄本佑)がキスをして抱擁していたのである。虚構と現実の間で・・・初舞台の香澄が濃厚な擬似恋愛を客観視できるはずもなく・・・身も心も奪われていたという話である。それなのに・・・何故、佐藤旦(野村周平)と交際を始めてしまったのか・・・という疑問は純情可憐なお茶の間に浮かぶかもしれないが・・・美少女かつ女子高校生の心なんてつかみどころのないものなのである。そういうものに心を奪われるのはある意味、仕方ないのだろう。

一方で・・・男と女の愁嘆場をネチネチとやりたい演出家は・・・先週、決着のついたはずの長女・ひかり(満島ひかり)鬼畜・新城(吉岡秀隆)の別れの現場を気分を出してもう一度である。

「これ以上、君を傷つけられない」

「私より、奥さんと子供なのね」

「そうだ」

「こんな日がくることをずっと惧れていました・・・」

「すまない」

「さよなら」

その日・・・ひかりは兄弟たちに寿司を振る舞うのだった。

長男・旭(妻夫木聡)と鬼畜二世・ハルはスルーして御馳走を喜ぶ。

しかし、ハルと魔性の女・香澄に凌辱された末っ子・旦はそれどころではないのだった。

そして・・・前科者の暁が慰めモードに入るのだった。

「我慢するな・・・泣いてもいいんだよ」

「シクシク」

「もっと泣け」

「えーん、えーん」

「もっとだ」

近親相姦に移行する勢いである。

そして・・・旭の妻・梓(蒼井優)の早産の危機が訪れる。

1000グラムに満たない胎児・・・「あせも」ではなく「あかり」の誕生だった。

かけつけた旭は・・・未熟児の産声に安堵する。

しかし・・・その小さな姿を見た瞬間、複雑な感情に襲われ、我を失うのだった。

自分に気のない交際相手につきまとう旦。

「お兄さんの赤ちゃん・・・生まれたんでしょう・・・病院に行かなくていいの?」

「僕は・・・母親の死と引き換えに生まれたんで・・・なんとなく病院は苦手なんだ」

「そうなの・・・」

母親の愛を知らないという必殺のエピソードも・・・気のない相手にはまるで通じない。

香澄はただハルと逢瀬がしたいだけなのである。

じゃ・・・なんで・・・旦と付き合いだしたんだよ。

だから・・・そういう脚本だから。

そして・・・ストーカーにありがちな見たくもないものを見ずにはいられない旦である。

自分の欲しいものを兄に奪われる弟なのである。

香澄の惜しみない愛は兄に捧げられているのだった。

兄も弟への気遣いは一切ないのだった。

やりたい盛りの人々の話である。

寺山修司の歌集「祖国喪失」から恥ずかしいロマンと耳に優しい韻律に満ちた「マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや」で香澄の心を金縛りのハルだった。

昭和29年(1954年)、十八歳で重い腎臓疾患を得た寺山は闘病のための入退院を繰り返しながら二十歳の頃、「祖国喪失」を発表している。敗戦の歴史がまだ生々しさを残している世相である。

しかし、祖国はこのドラマの場合、おそらく家族である。

家族なんか関係ない・・・君と僕がいれば愛は成立するよねえという話なのである。

一方、結婚して初めての子供の誕生が修羅場と化した旭・・・。

佐藤家を知りつくした女・屋代多香子(長澤まさみ)は暁にアドバイスする。

「お兄さんについていてあげた方がいいわよ」

「俺なんかいたってしょうがないだろう」

「あなたとお兄さんは光と影のようなもの・・・」

「俺が光か」

「あなたは影よ」

「・・・」

「お兄さんは太陽のように輝くけど・・・あなたが影にならないと・・・すべてを焼きつくす・・・お兄さんにはあなたが必要なの」

「君は・・・予言者なのか」

旭の心は揺れていた。

「ごめんね・・・早く生み過ぎて」

「そんな・・・」

「早く・・・あかりってよんであげて・・・」

「まだ・・・そんな気になれないよ・・・」

「・・・」

旭は人を傷つける天才なのだった。

「人が死ぬのも72時間だが・・・人が生きるのも72時間なんだ」

「なんだよ・・・それ」

「この子が72時間生き伸びれば・・・生存率は高まる」

「生き伸びるとか・・・こわいんですけど」

「祈るしかない」

そこへ・・・ついに我を失った旦が・・・香澄の家で騒ぎを起こし、通報されて逮捕である。

警察から旦を回収する旭。

「僕は悪くないんだよ・・・僕はただ愛しているだけなんだ」

「他人様に迷惑かけるなよ」

「話を聞いてくれよ」

「そんな場合じゃねえんだよ」

旭は病院から逃げ出し・・・梓の入院準備に逃避する。

そこへ騎兵隊の暁が到着である。

「そんなことしてないで・・・病院へ行け」

「小さいんだよ・・・俺は死ねばいいって思っちゃった」

「それはかわいそうだからだろ・・・助かって生きたらどうするんだ」

「それはすごくいいよ・・・俺と梓の子供だもん・・・かわいいにきまってるよ」

「じゃ・・・生きろって祈れよ」

「田丸神社でか・・・」

「なんで・・・田丸神社なんだよ」

「忘れたのか・・・お母さんが死んで・・・旦なんか死ねばいいと思っていたら・・・旦が熱出して死にそうになって・・・田丸神社に宝物捧げたら・・・熱下がったじゃないか」

「・・・ああ」

「今、お前の一番大切なものってなんだ」

「金」

「じゃ・・・金出せよ」

「お前千円しかないのか」

「お前も千円しかないのか」

兄たちの悲哀も弟の心を動かさない。

つまり・・・母殺しの旦は・・・三人の兄に呪われているのである。

ハルは・・・未だに旦を殺してやりたいほど憎んでいるのだった。

いや・・・それはどうかな。

とにかく・・・旭は祈った。

暁も兄のために祈った。

医師と看護師は脳内出血で危機に陥った新生児を懸命に治療し看護する。

梓は鶴を折った。

そして・・・たまたま・・・あかりは危機を脱したのだった。

それを奇跡と喜ぶ・・・旭と梓。

胸をなでおろす暁。

背徳の喜びに浸るハル。

そして・・・一人、ベッドで自慰をしながら・・・保存された画像の香澄の裸身を見つめる旦。

光あるところに影はあるのだった。

旦の耳元では下劣な悪鬼たちが囁き続ける。

「お前は何も悪くない。お前を愛することもなくお前の母親は勝手に死んだ。お前の恋人はお前を裏切りお前に何も与えない。そんな女はいない方がいいだろう。そんな女は死んだ方がいいだろう。そんな女は殺されても仕方ないだろう。なんならお前が殺してやればいいだろう・・・」

朝焼けの空は絶望のはじまるところ・・・。

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2014年8月27日 (水)

たった一人のなつかしい恋人・・・愛した男はあなただけ(広末涼子)

筆おろしの相手が20代の広末涼子で30代の時にそんなこと言われてニヤニヤしない男はいないわけである。

ドラマの内容から「首都圏連続不審死事件」とその被告を連想する人も多いだろうが・・・これはまったくのフィクションなのである。

最初の女と再会したら殺人事件の被告だったという話だ。

発想としては・・・自分の初体験の人が再会した時・・・どんな風になっていたら面白いかという起点である。

本来、清く正しい世界では配偶者であるべきだが・・・この自由気ままな世界ではそうとも限らないんだな。

第一、処女をたくさん喪失させてしまう男や・・・童貞をたくさん喪失させてしまう女がいるわけで・・・。

多くの場合、中古品同士が婚姻しているとも言える。

まあ・・・基本的に女たらしに女にされ・・・女の敵に男にされている人も多い。

そういう意味では・・・男女を問わず、大衆が感情移入しやすいのは処女性(童貞を含む)を奪われたものである。

最初の経験をした時と場所としては・・・昼下がりの勉強部屋。

階下には実の母がいて・・・隣の部屋には実の兄がいる。

ギシギシもアンアンも憚られる設定である。

しかし・・・相手が広末涼子なので・・・いつでもどこでも天国なのであった。

絶対に忘れられない・・・絶対にだ。

で、『聖女・第2回』(NHK総合20140826PM10~)脚本・大森美香、演出・日比野朗を見た。連続殺人および殺人未遂の被告・肘井基子(広末涼子)の愛する絵画「聖女プラクセディス」はもし、真作ならフェルメールの初期の作品と言える。そこに描かれる聖女は慈愛に満ちた美女である。その背後には斬首された死体(殉教者)が横たわっている。恐ろしい残虐行為が行われた直後の光景なのだ。処刑された理由はキリスト教を信仰していたからである。神を信じることが罪であった時代の話なのである。キリストを神と仰ぐことが常識ではなく非常識だった時代・・・そういう時代があったし、今も世界のどこかではそうであるかもしれない。法律を犯したものが裁かれる時・・・常識と非常識は鬩ぎ合う。殺されるものは常に不条理を感じながら死ぬのである。

Swpp001肘井と接見したことで胸中に生じた複雑な気持ちを抱えながら報告書を作成する新人弁護士・中村晴樹(永山絢斗)・・・。

そこへ・・・婚約者の看護師・本宮泉美(蓮佛美沙子)が夜勤明けでやってくる。

「エネルギーを頂戴」と中村弁護士に抱きつき、「おかえし」と称して膝枕を強要する本宮看護師は少しうざいくらいだが・・・二人は熱愛中なのである。

しかし・・・すでに中村弁護士の心には「最高の女」が蘇っているのだ。

本宮看護師の敏感なアンテナは・・・恋人の変調を感じ取り、原因を究明し始める。

そして・・・報告書に「肘井基子」の名を見出すのだった。

「この女って・・・」

「ああ・・・弁護士が解任されて・・・新しい弁護士を捜してる・・・うちの所長が名乗りをあげたけど・・・うちみたいな小さな事務所じゃ・・・無理だと思う」

しかし・・・本宮看護師の不安は去らない。

その頃・・・基子は・・・前原弁護士(岸部一徳)宛てに手紙を認めていた。

もちろん・・・それは・・・昔の恋人へのラブレターだったのである。

相手が中村弁護士とは知らず、前原弁護士は老いた心臓をドキドキさせるのだった。

「話題の事件」を担当すると聞き、野心的な黒坂弁護士(田畑智子)は名乗りを上げる。

ちなみに広末涼子は1980年度生まれを代表するスター女優であるが・・・田畑智子もその一人である。「ファースト・クラス」で沢尻エリカに激しく嫉妬していたが今度は広末に嫉妬むきだしなのだった。この年度には他に竹内結子、田中麗奈がいて、さらに酒井若菜、小池栄子、優香、眞鍋かをり、野波麻帆、井上和香、新山千春、北川弘美、奥田恵梨華、菊地凛子、伊藤歩などがいる。結構、巨乳世代だよな。

だが・・・前原弁護士、黒坂弁護士、小池弁護士(田中要次)のチームは基子に相手にされないのであった。

結局、中村弁護士が指名されるのだった。

「どうなってんのよ」と鼻息荒い黒坂弁護士だった。

複雑な気持ちで差しいれを基子に届ける中村弁護士。

「ありがとう・・・でも、タオルは国産がよかったな」

「メイド・イン・チャイナでごめんなさい・・・では・・・これで」

「待って・・・立派になったね・・・あれから頑張ったんだね・・・晴樹くん」

「私は・・・肘井基子という女性とは面識がありません」

「・・・」

「私のこと・・・何もしらないくせに・・・」

基子は仮面を脱ぎ棄てるように涙を流すのだった。

女の最終兵器にたちまち射殺される中村弁護士。

とりみだした基子によって・・・接見は打ち切られる。

「先生・・・」と思わず愛しい女に呼び掛ける中村弁護士。

「今はあなたが(弁護士)先生でしょう」と振り返り微笑む基子。

坂路を転げ落ちる男のお約束にお茶の間は阿鼻叫喚である。

「私にやらせてください」と名乗りをあげる中村弁護士。

「何言ってんの」と凄む黒坂弁護士。

「実は・・・彼女を知っているのです」

「ほう・・・それは面白い」と前原弁護士。

中村は童貞喪失以外のことを告白するのだった。

「それだけ・・・」と女の敵は女的な女の味方の黒坂弁護士。

「・・・」とあくまで黙秘する中村弁護士だった。

結婚式の打ち合わせのために・・・中村家を訪ねる本宮看護師。

しかし、基子との接見のためにドタキャンする中村弁護士だった。

仕方なく、中村の母(筒井真理子)と食事をする本宮看護師は「息子の昔話」で「基子によく似た美人の家庭教師で成績向上」を語るのだった。

本宮看護師の脳裏に鳴り響く空襲警報である。

パターンはイエローなのだった。

そして・・・なぜか、ひきこもりの中村の兄(青柳翔)は基子にも本宮弁護士にも興味を持ったようである。中村の兄・・・おそらく・・・基子と・・・。

ともかく・・・中村弁護士の家庭教師をしていた頃から緒沢まりあを偽名としていた基子は・・・専門学校を卒業後、最初の変死者である青年実業家・阿川(浜野謙太)と交際していたらしい。

「私は貧しい家庭で育ちました・・・父は死に、十四歳までは母に育てられました。私は早くから生きていくためにはお金が必要だと知ったのです。だから・・・経済力のある男性と交際し、その方たちからお金をいただき、暮らしてきました。しかし、多くの女性は交際相手の経済力を条件の一つと考えるはずです。私が特異とは言えないと思います。私には愛と欲の区別が良く分かりません。愛だって食欲や性欲と同じく・・・ただの欲なのではないのですか」

「つまり・・・あなたは・・・お金をもらい愛を与えただけ・・・ということですね」

「そうです・・・しかし・・・ただ一人だけ・・・例外はありました・・・その人のことは・・・お金とは無縁だったのです・・・だから・・・私はその人から去りました・・・自分らしさを失うのがこわかったから・・・」

それは自分のことなのかと考える中村弁護士。

それを見抜いたように中村弁護士を見つめる基子。

必殺のアイコンタクトである。

結局、約束をすっぽかされる本宮看護師だった。

週末には基子の出生地・北九州に出張する中村弁護士だった。

黒坂弁護士も同伴出張するが・・・お茶の間も本宮弁護士も何も危惧しないのだった。

第三の犠牲者である火災で重傷を負い意識不明の大手企業の役員・千倉(大谷亮介)の夫人(中田喜子)から事情を聴取したい弁護士チームは夫人の頑なな拒絶に遭う。

病院を訪れた中村弁護士を追及する本宮弁護士。

「なんで・・・あんな悪女の弁護なんて・・・」

「彼女は悪女なんかじゃない」

「彼女・・・って」

パターン・レッドです。

北九州にたどり着く・・・二人の弁護士・・・。

「依頼人の母親はお好み焼き屋に住み込みで働いていたらしい・・・このお好み焼屋っていうのが普通の店じゃないのよね」

「・・・」

基子は母親・雅恵(安藤玉恵)と幼い日の自分(山口まゆ)の写真に語りかける。

「私・・・ここを出ることができたら・・・本当の聖女になるよ・・・」

祈るように まぶた閉じたときに

世界はただ闇の底に消える

この腕に還りなさい 

めぐり逢うため

魂のルフランである。

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2014年8月26日 (火)

別れた人に会った・・・別れた熱海で会った・・・おんなじホテルに宿泊中だから(木村拓哉)

一度くだした結論に変更を加えるのは善悪定かならぬことがある。

原子力の平和利用を始めたからには人類滅亡まで突き進むのもまた是である。

山際のいかにも危険な土地に住むのもそれぞれの決断によるものだ。

しかし、絶望は愚か者の結論でもある。

優しい言葉で絶対安全を謳い、お買い得の物件を売りつける。

その結果がもたらす死を悼み、あやまちをくりかえしませんと誓うのもまた人間である。

廃墟と化した街に亡霊はいるか。

それでも顔をあげて前へと足を踏み出すか。

歯を食いしばりハザードマップと向き合うか。

それとも愛に溺れるか。

すべてはそれぞれの選択と決断に委ねられている。

何故と問いかけても誰も応えてはくれない。

だけど・・・大丈夫、終焉はすぐそこだ。

どんな孤独も百年くらいの辛抱である。

で、『HERO(第2期)・第7回』(フジテレビ20140825PM9~)脚本・福田靖、演出・平野眞を見た。愛を持続するのは困難なことである。もちろん、人は時には持続に見せかけた怠惰でお茶を濁す。気がつかないふりで破滅をスルーする。それで偽りの愛を手に入れた気になったりする。だが・・・心の底で真実の愛が呼び掛ける。本当にそれで幸せなのかと。手抜きのトレーニングで筋力がアップしないように・・・一方的な奉仕だけでは幸福には届かない。愛にふさわしい人間になるために努力するものだけが愛を信じることができるのだ・・・とヒーローは語りかけるのだった。

【馬場検事のヒートアップがやや唐突だが・・・これはスピンオフ・ドラマで二股男の結婚式に乗り込み傷害罪に問われた被疑者を担当してしまった余波である・・・スピンオフは見ていなくても本編が楽しめるのが鉄則で・・・少し失敗していると言える・・・つまりスピンオフ→本編ならスムーズだが・・・本編→スピンオフだと違和感が生じるということだ】

失った愛に戸惑い続ける馬場礼子検事(吉田羊)は久利生公平検事(木村拓哉)に「夜の顔」を開示する。しかし・・・久利生検事の心は冷え冷えの通販グッズ「クールマンZ」に占拠されているのだった。

その耳元に・・・第一の秘密「田村検事のことが今でも忘れられない」が囁かれる。

その秘密に少しウヒョーとなる久利生だった。

しかし、業務連絡で・・・案件過多の馬場検事は「同居中の恋人・綾野さくら(中村ゆり)への暴力によって傷害容疑をかけられた被疑者・城山圭吾(竹財輝之助)の件」の委譲を久利生に申し入れ受諾される。

「恋人を殴った男」に敵意丸出しの麻木千佳事務官(北川景子)だったが・・・何故かくしゃみを連発する麻木にペースを狂わされるのもなんのその久利生は冷静に被疑者を観察するのだ。

城山圭吾はどこか信用できない二枚目だった。もちろん、二枚目だから信用できないわけである。

だから、容疑を認め謝罪の意思を示す城山を・・・久利生は信用できないのである。

二枚目である以上、何かが悪に染まっているわけである。

美しいことはそれ自体が罪だからである・・・おいっ。

何しろ、相手は怨み屋本舗で色事師担当もできる逸材なのである。

結局、久利生は事件後、実家に戻っている被害者から事情を聴取することにする。

被害者・さくらの実家は熱海だった。しかも駅から遠いので宿泊する必要があった。

当然、麻木事務官も同行するので・・・宇野大介検事(濱田岳)の心は胸騒ぎでいっぱいになるのだった。

末次隆之事務官(小日向文世)は「熱海でしっぽり、温泉でずっぽり」と煽るのだった。

人の恋路を嗤うものには天罰覿面である。

末次事務官の憧れの人・馬場検事の担当案件で検察官請求予定証拠の閲覧のために城西支部に弁護士の梶原洋人(戸次重幸)が現れる。

梶原は馬場検事の離婚した夫であり・・・「君と別れたのは失敗だった」などと復縁を仄めかすのだった。

打ちのめされる末次だった。

整理しよう。

馬場検事と田村検事(杉本哲太)の職場恋愛。

田村検事が父親そっくりの牛丸次席検事(角野卓造)の娘と見合い結婚。

破局に傷心の馬場検事と梶原弁護士の結婚。

結局、破局。

馬場検事の心には自分を選ばなかった田村への執着心が燻り続けているらしい。

場合によっては田村・梶原結婚からの田村検事との交際もあるわけだが・・・とにかく、馬場検事は梶原よりも田村に未練があるらしい。

どちらにしろ・・・それは自分を見失っていることになるのだった。

二人の事情を知る川尻健三郎部長検事(松重豊)は対処に苦慮するのだった。

妻が子猫を三匹も拾い動物屋敷になりつつある田村家。

そこで・・・結婚記念日にパーティーを開催しようという田村夫人。

そのパーティーに出席しようという馬場検事。

しかし・・・田村の電話の待ち受けの牛丸次席検事そっくりの田村夫人の写真を見た時、馬場検事の中で何かが変わったらしい。

「この女に負けたのかよ」

そこで蘇る元・夫の変わらぬ優しい言葉。

「君の笑顔は素敵だ」

「そうだ・・・私は笑顔の素敵な女・・・牛丸次席検事そっくりの女に負けるわけがない」

馬場検事は・・・地獄の執着心から抜け出したのだった。

愛を始めるより終わらせるのが難しいタイプである。

そういう女はつい・・・惰性で愛を持続してしまう。

もちろん・・・愛なんてすべて惰性だという考え方もあります。

「熱海はヤバイ・・・」と別件の被疑者も語る東京近郊の夢の温泉街。

久利生と麻木はタイアップ丸出しのリゾートホテル「ROYAL WING」にチェック・インする。

しかし・・・夏風邪を引いた麻木は発熱してダウンするのだった。

一方、久利生は爽やかに目覚め、何故かグラビアモデル100%のプールサイドで朝食後、単独で被害者の実家に向かう。

被害者の実家は十三代続く旧家で・・・被害を訴えたのは被害者の母親(岡まゆみ)だったらしい。

一瞬で・・・箱入り娘が・・・落ちこぼれて家出をし・・・悪い男にひっかかったパターンを思い描く久利生。

しかし・・・悪い男にある程度、共感できる久利生は・・・被害者自身の気持ちを問うのだった。

だが・・・親の圧力の前で・・・本心を語れない被害者。

被害者が・・・被疑者に対する未練を持っていることを見抜く久利生である。

けれども・・・それが良いことなのかどうか・・・久利生は決断を下せないでいる。

一方、麻木の容体は悪化。

久利生はバスで麻木を医院で受診させる。

その帰り道・・・バスに乗り合わせたなんちゃって女子高生(小林里乃・桑澤菜月)の会話から「秘密」を連想する久利生。

つい・・・それを麻木に語ってしまう。

それはやがて恋の未練の話になり・・・被害者の被疑者に寄せる思いに発展する。

「でも・・・それって前を向く勇気がなくて・・・そこにいる方が楽だからという気分なのかも」

熱にうなされて名言を吐く麻木。

依存とか癒着とかを思い浮かべながら下車する女子高校生を目で追う久利生は・・・被疑者の姿を発見する。

被疑者が女子高生を突き飛ばしながら謝罪する様子もないのを見逃さない久利生。

この瞬間、被疑者の評価は著しく下がったのである。

被疑者を追跡した・・・久利生は・・・被疑者が思い出の品物を持って被害者を訪ね、別れを切り出そうとしていたと釈明を受ける。

被疑者が被害者に直接会うことは許されないと釘を刺した後で・・・被疑者から思い出の品と手紙を託される久利生だった。

その日、久利生の発注した「スーパークールZ」がホテルに届く。

麻木は優しさに包まれておたふくとなるのだった。

久利生はホテルに麻木を残し、喫茶店「風の家」に被害者を呼びだすのだった。

思い出の写真や・・・自分の出した手紙・・・被疑者からの謝罪の手紙を読んだ被害者は・・・訴えを取り下げたいと言い出すのだった。

「そうなりますよね」

「・・・」

「狡猾ですよね・・・やり方が卑怯だ」

「え」

「だってそうでしょ・・・こうしたら・・・あなたが別れないと言い出すに決まっているという感じですよ。ここからは・・・法律家ではなく・・・一人の人間としての意見です。あなたたちは・・・こういうことを繰り返してきたんでしょう。彼の悪い部分をあなたが否定する。彼が暴力をふるった後で謝罪する。あなたは彼の悪い部分も含めて許す・・・」

「・・・」

「彼はあなたに甘え・・・あなたは彼に甘えている・・・これは犯罪です・・・もちろん・・・法は被害者の報復感情を代理する側面を持つ・・・あなたにそういう気持ちがなければ処罰は意味がなくなるのかもしれません・・・しかし、誰かを傷つけて責任をとらない人間を作り出すことでもあるんです・・・」

「・・・」

「あなたは彼に責任をとらせるチャンスを与えるべきではありませんか・・・彼が罪を償った後であなたの気持ちが変わらなければ・・・本当の愛を続けることができるはずです・・・あなたは彼に変わってほしいと願っている・・・そして、彼が変わらなければ今度はあなたが殺されてしまうかもしれませんよ」

被害者は不幸せの連鎖から顔をあげるのだった。

久利生には「被害者の心の秘密」も「被疑者の心の秘密」も分からない。

ただ・・・心は行動に現れると信じているのである。

熱が下がり、回復した麻木は・・・久利生の苦労を知らないまま・・・熱海を去るのだった。

旅行で一人発病するタイプは休養十分なのであった。

そして・・・夏風邪に感染する久利生。

城西支部の出口で・・・宇野検事は叫ぶ。

「白のビキニにTバックだったんですか!・・・ねえ・・・どういうことだよ!・・・どうやったら風邪が移るの?・・・どうして~!」

ついでに・・・いつもより苦いじゃんじゃん豆を食べた馬場の元夫は・・・よりを戻すこともなく颯爽と去って行くのだった。・・・今回、スピンオフ要素多いな。

愛の持続と・・・真実の愛の間で揺れる馬場は・・・なんだかふっきれた顔で「St.George's Tavern」のマスター(田中要次)の西瓜が「あるよ」を聞く。

久利生と馬場の間には知らず知らずのうちに友情が深まっている。

そして・・・麻木の寝顔を見つめ、水着ギャルや女子高生が嫌いなわけではない久利生が何を思ったのかはお茶の間にも秘密なのである。

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Hero007ごっこガーデン。水着ギャルだらけのラインを越えたリゾート・プールセット。アンナ恋でほてったほっぺを冷やすクールマンゼェーットぴょん。ダーリンは世界で一番白いタンクトップが似合うのぴょ~ん。馬場検事の久留米弁は・・・心が解放された証明だぴょんぴょんぴょん。愛は我慢するものではなくて心から感じるものなんだぴょ~ん。黙っていては愛は伝わらないもの~。でも、犯罪者には黙秘権がありますぴょん。一人の人を愛し続けるのは大変ですが・・・心から愛することができれば苦労とは思わないのですぴょん。でも熱海で二人きりなら・・・しっぽりずっぽりべったりが自然なんだと思うの・・・あはあんmanaもげっではなくてプシッでも男性陣はメロメロなのか・・・まあ、エキシッで女性陣も少しメロンになるのだがや~・・・痛い目にあっても好きなのは変態っていうことなのかや?・・・mariじいや、すいかはありますか・・・まあ、ありますよね

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2014年8月25日 (月)

天正十四年(1586年)、木下旭数え44歳、浅野寧40歳、櫛橋光33歳、浅井茶々18歳、蜂須賀糸16歳、糸はまだ16だから~(高畑充希)

軍師・官兵衛なので・・・兵法について語ろうと思って八ヶ月が過ぎ・・・もう、まったくやる気のない今日この頃である。

官兵衛と武士たちとのエピソードが不足しているが・・・蜂須賀家と家族ぐるみの付き合いをしているなら・・・糸の兄をキャスティングしていないというのは・・・どういうことなのか。

それはそれとして・・・家康臣従譚なのに・・・大政所も朝日姫もキャスティングしないというのはいっそ清々しいのか。

そうなると・・・過去の大河ドラマで補完してしまうではないか。

「おんな太閤記」(昭和56年・1581年)大政所(赤木春恵)、朝日姫(泉ピン子)・・・ちなみに茶々(池上季実子)・・・43年前なのでこの頃、生まれた人は朝日姫と同年代だ。

「秀吉」(平成8年・1996年)大政所(市原悦子)、朝日姫(細川直美)、茶々(松たか子)・・・18年前なのでこの頃、生まれた人は茶々と同年代。

「功名が辻」(2006年)大政所(菅井きん)、朝日姫(松本明子)、茶々(瀬戸朝香)・・・。

細川直美の朝日姫・・・異色だ・・・。大政所(吉永小百合)でもいいくらいだ。

しかし、妄想補完は大政所(宮本信子)、朝日姫(小泉今日子)にしておく・・・。

で、『軍師官兵衛・第34回』(NHK総合20140824PM8~)脚本・前川洋一、脚本協力・穴吹一朗、演出・尾崎裕和を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は18行・・・。吉川元春と黒田官兵衛がもう少し戦場で相まみえてないと・・・老将の悲哀が滲み出ない気がいたしますねえ。それに輪をかけるのが蜂須賀小六。お互いにたたき上げの武将だけれど、小六は秀吉の兄弟分、官兵衛は外様だとか、将軍的気質と軍師的気質の確執とか、小六は野武士、官兵衛は家老家の人質育ちとか・・・そういう相反する部分から・・・友情を積み上げていく物語が欲しいですよねえ。「お主は親友だ」と突然言われても・・・マジかよっと思う次第でございますな。薄い本なんですな。それでも待望の蜂須賀小六描き下ろしイラスト大公開でお得なのでございます。それにしても通夜の席で黒田一族侍りすぎでしたな。小六にも妻子があるのに・・・。

Kan034天正十三年(1585年)十月、関白豊臣秀吉、九州諸大名に停戦命令を下す。天正十四年正月、島津義久は源頼朝以来の名家が成り上がり関白に従ういわれなきこととしてこれを拒絶。三月、秀吉は島津家に占領地の放棄を命令。四月大友宗麟は大坂城で秀吉に拝謁。秀吉は毛利家に動員令を下す。五月、徳川家康、秀吉妹の朝日姫と婚姻。蜂須賀小六、大坂で病没。六月、島津家は大友領地の筑前・筑後に侵攻開始。八月、秀吉、毛利輝元に出撃命令。毛利と島津が豊前で戦闘開始。十月、黒田・毛利連合軍が島津方の高橋元種の籠る豊前小倉城を陥落させる。島津義久は肥後に島津義弘軍三万を集結させ豊後に侵攻。さらに日向から島津家久軍一万も豊後に侵攻する。大友勢は守勢に務める。毛利軍の吉川元春は豊前に侵攻。豊前の島津軍の駆逐に成功する。大政所岡崎入り。家康は大坂城で秀吉に臣従する。十一月、陣中にて吉川元春病没。十二月、豊後に参戦していた秀吉方の仙石秀久・長宗我部元親連合軍は府内城で義弘軍。家久軍の挟撃にあっていた。守勢を主張した元親に対し秀久は攻勢を主張、兵7000で出撃するが、島津家久は二万の大軍でこれを待ち構えていた・・・。

島津家には勇猛果敢な四兄弟がある。島津義久・義弘・歳久・家久である。鎌倉幕府以来、三百年以上、薩摩の守護大名だった名家は戦国時代に飲まれて滅びず、九州統一に王手をかけていた。動員力は十万に近いものになっている。

総帥の義久の下、主力軍団を率いる義弘は初陣で首級を挙げた猛将であり、軍師格の歳久は戦略眼を供えた智将。そして家久は遊撃戦を得意とする文武両道の良将である。けして・・・猪突猛進の山賊戦隊ではないのである。そうでなければ九州全土統一目前には漕ぎつけられないのである。

肥後熊本に四兄弟が集う・・・九州は盛夏だった。

戦線は膠着していた。

「成り上がり関白め・・・なかなか・・・やるな」と義久。

「だから申したではないか・・・」と歳久。歳久は関白から停戦命令が出た時、豊臣勢力を冷静に分析し、和を唱えていた。しかし、三兄弟が応じなかったのである。

「しかし・・・一戦も交えず従っては・・・なんのための九州制覇か」と義弘。

「長宗我部もそうやって四国を失うところであり申した」

「しかし、土佐一国は残ったではないか」

「最初に和しておれば九州の半分は残ったものを下手を打てば薩摩一国も失くしまする」

「それならば・・・和を結ぶか・・・」

「もはや機を逃しましたぞ・・・ここはしぶとく戦ってなんとか薩摩一国は守らねばなりませぬ」

「で・・・どうする」

「思うに四国勢は軍監が馬鹿なのでおそるるに足りませぬ・・・問題は毛利勢・・・特に軍監を務める黒田官兵衛なるものかと・・・」

「刺客を放つか・・・」

「それしかありますまい・・・」

「ふふふ・・・すでに種子島十人衆を潜ませておりまする」と家久が微笑む。

必殺の薩摩忍びが豊前に放たれている。

吉川元春の暗殺に成功した薩摩忍びはそのまま黒田の陣に迫った。

全員が鉄砲忍びである。

西郷十兵衛、大久保又吉、伊集院保など名うての忍びたちが黒田忍びの結界を破り、狙撃位置につく。

阿吽の呼吸で十人の忍びが黒田官兵衛に狙いを定めていた。

木霊する射撃音。

官兵衛に全弾命中である。

血煙が霧散する。

しかし・・・その中から官兵衛が立ちあがる。

すでに・・・不死身の官兵衛の体からは弾丸が排出され始めていた。

「化け物・・・」と薩摩忍びが慄いた瞬間、周囲に黒田忍びが殺到する。

三人一組で攻めよせる黒田忍びに虚をつかれた薩摩忍びは一人、また一人と屠られていく。

最後の一人となった西郷十兵衛は得意の火術で逃走を図る。

しかし、目の前に立ちふさがったのは官兵衛本人だった。

露出した肌には生々しい銃痕が残っている。

「痛かったぞう・・・」

官兵衛は全長六尺の巨大な鉄の十字架を構えていた。

火炎弾を放った十兵衛は・・・炎を薙ぎ払う官兵衛の十字架旋風に首を跳ね飛ばされた。

官兵衛暗殺に失敗した島津軍は苦境に立たされる。

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2014年8月24日 (日)

逢う時にはいつでも準備万端整ってる二人(上戸彩)

何がだよ・・・心とか、交合とかのである。

谷間である。

谷間に上戸彩のドラマか・・・。

まあ・・・この夏、不倫テーマ多過ぎるからな。

時が流れたよなあ。上戸彩も来年、三十路なのである。

人妻になってからのドラマの役柄が前科者、銀行員の妻、不倫の人である。

独身最後に映画「テルマエ・ロマエ」(2012年)があってよかったよな。

上戸彩は1985年度生まれのトップスターの一人だよな。一人じゃないのかよ。宮崎あおい、蒼井優がいるからな。満島ひかり、木南晴夏もいるぞ。後藤真希、吉澤ひとみ、篠田麻里子もいるぞ。貫地谷しほりもいる。加藤ローサ、加藤夏希、酒井彩名、上野なつひもいるし。中川翔子と浜田翔子も。三倉茉奈、三倉佳奈もいるよ。市川由衣と川村ゆきえと・・・。みんな・・・がんばってるよねえ。

・・・もういいか。

で、『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜・第1回~』(フジテレビ20140717PM10~)脚本・井上由美子、演出・西谷弘(他)を見た。愛(エロス)はエンターティメントの基本の一つである。しかし、愛(ラブ)ほどお茶の間向きではないという問題がある。つまり、家庭に媾合が存在することは一種のタブーだからである・・・そうなのか・・・そのために・・・上戸彩は映画「インストール」で神木隆之介にタッチさせた巨乳を封印してきたのだ。3年B組金八先生ではサラシまで巻いている・・・そういうドラマだったからだろう。野島伸司の2003年版「高校教師」でもどちらかといえばソニンや蒼井優がエロス担当だった。そういう意味で「テルマエ・ロマエ」は万歳だったのである。もちろん・・・秘められているからエロいという側面もあるわけだが。

夫の笹本俊介(鈴木浩介)が性的に弱いためにスーパーでパートタイマーをしている笹本紗和(上戸彩)は所謂一つの欲求不満だった。そんな笹本家のマンションの近所に有閑マダム・滝川利佳子(吉瀬美智子)が引っ越してきて、欲求不満解消には浮気が一番だと仄めかす。

夫と娘二人がいて豪邸に住んでいるくせに・・・複数の男と情事をしている利佳子を「不潔な女」と断定した紗和だったが・・・関東聖南大学大学院分子生物学研究室准教授の北野乃里子(伊藤歩)の夫で晴鐘学園付属高校理科教師の北野裕一郎(斎藤工)と知りあうことで・・・よろめき始めるのだった。

第一話~四話まで利佳子が男たちといろいろとトラブルを起こして場をもたせ、ようやく第五話で海辺のホテルの一室で二人きりになる紗和と裕一郎。

「あなたの胸に一瞬でもとびこめたらそれでいいと思ってた・・・でもそれじゃあ済まなかった」

「まだ・・・引き返せる・・・」

「引き返す気なの・・・」

「君を傷つけたくない・・・」

「・・・赤いな・・・」

「え」

「夕日が赤いのは当たり前か・・・」

「火星では青いんだ」

「そうなの・・・夕暮れが分らないと帰る時間を忘れそう・・・」

「大丈夫・・・日中は赤いから」

「ええっ・・・」

「・・・」

「そうだ・・・あのサーフボードのある場所に次に来るのか男か女かで決めよう」

「・・・」

「女なら帰る・・・男なら帰らない・・・」

「犬が来ちゃったよ・・・」

すでに二人とも我慢の限界だったらしい。

ほとんど同時にお互いの唇を求めあう二人。着衣のままベッドにもつれ込む。抱擁したままでいると・・・裕一郎の下半身の熱気を帯びた部分がすでに硬度を高くして紗和の下腹部に接触する。男の固くなったものが自分の敏感な部分にあたることが紗和に思わぬ快感を与える。それほどまでにそれが欲しかったのかと思うほど膣内に愛液がじゅっとあふれるのである。下着の上から裕一郎の指が湿った部分に触れてくると恥ずかしい気持ちで一杯になった紗和はさらに激しく潤うのだった。裕一郎の手が伸びて紗和の右手を男根に誘導する。そのたくましい部分に触れると思わず声が出る紗和だった。下着の隙間からもぐりこんだ裕一郎の指がゆっくりと愛撫を始め、裕一郎は濡れそぼった紗和の状態を耳元で囁く。紗和は裕一郎のチャックを下ろし、下着から固い棒を介抱すると握りしめる。夫に前戯を求めるような余裕はなかった。一刻も早く裕一郎のそれを飲みこみたかった。自分の中に挿入させて溶かしてしまいたかった。紗和は叫ぶように要求する。すでに裕一郎は紗和の襞に聖なる槍先没入させていた。その瞬間・・・最初の絶頂が紗和を天国に導く。生まれて初めて味わう・・・本当のエクスタシー・・・紗和は今までの人生が走馬灯のように脳裏を掠めるのを感じる。今、紗和は死んだのだった。そして・・・性の悦楽は終わりがないように持続して行く・・・。裕一郎はゆっくりと腰を動かし始めていた。紗和の敏感なスポットは嬉しい悲鳴をあげるのだった。

まるで別人のプロポーション

君は初めて僕の目に見せた

その素肌 そのSexy

服の上からは計れないね

宝の山だよすべてが

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絶対零度~未解決事件特命捜査~

半沢直樹

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2014年8月23日 (土)

担当を替えてください・・・あの人じゃない人に・・・あの人じゃなければ誰でもいいから(信太真妃)

自分の大好きなお父さんが・・・。

一人のおばさんのために・・・犯罪者にされ、そのために施設に預けられ、さらにはおばさんに復讐しようとして果たせず・・・あげくの果てに死んだ・・・。

そのおばさんに抱きしめられるのはどうしても嫌だ・・・。

ある意味、地獄だ・・・。

子供だから・・・もっとも嫌いな人に抱きしめられても文句も言えない・・・。

そういうこの世の残酷さを描いているのなら・・・物凄く納得が行くのだが・・・。

違うんだろうな。

テロップで「はたして馬見原は綾女と研司を救えるか」的な煽りが出るのだが・・・馬見原にそんなことを期待しているお茶の間はきっと少ないぞ。

みんな、「早く、自分の奥さんの見舞いに行ってやれ」と手に汗握っているのだ。

本当に・・・バランスおかしいよな・・・ドラマ全体が。

一体・・・あの病院はどこにあるのだろう・・・異次元空間なのか。

様々な違和感を克服しつつ・・・終盤である。

帝国の若者がバレーボールが白熱して発狂しちゃったを連発して不適切な発言を謝罪されていたが・・・こっちが発狂しそうだよ。

発狂しちゃった人が発狂しちゃったと言って何が悪い。

まあ・・・現実で本格的に発狂しちゃった人の関係者が発狂してクレームつけるんだからいいじゃないか。

もう、その件はやめておけ。

で、『家族狩り・第8回』(TBSテレビ201408022PM10~)原作・天童荒太、脚本・泉澤陽子、演出・山本剛義を見た。発狂していない人を捜すのは難しいが・・・とにかくなんとか日常生活を営むのが人間である。このドラマには親と子という二種類の人間が設定されている。それとは別に大人と子供という分類の仕方がある。基本的には親が大人であるわけだが・・・子供が大人びている場合もあるし、親が子供じみていることもある。その点を軸に登場人物を整理しておきたい。

氷崎游子(松雪泰子)は36歳の成人女性だが・・・児童心理司とは思えないほど児童の心理に暗い。言動は感情的で行動には計画性がない。実に危うい人格である。

父親の清太郎(井上真樹夫)は71歳で認知症を発症しており、もはや責任能力を喪失している状態でもっとも発狂しているわけである。

母親の民子(浅田美代子)は58歳で22歳で游子を生んでいる。享楽的な性格で家族のために献身するというイメージはない。それが娘の游子の精神にダメージを与えているが・・・許容範囲と言えなくもない。少なくとも娘を大人になるまで育てあげたわけである。

駒田玲子(信太真妃)と游子を比較してみれば游子が家庭環境に恵まれているのは一目瞭然である。玲子は母親に育児放棄をされて、アルコール依存症の父親に虐待されているのである。それでも父親を慕う悲しい子供なのである。そんな子供の心を游子は基本的に想像できないのではないか。

駒田幸一(岡田浩暉)はアルコール依存症であるが、正気の時も現実の把握力が高いとは言えず、自分の愚行を他者に責任転嫁するタイプである。その行動は短絡的で登場人物の中でも一際幼児性が高いと言える。恐らくアルコール常用によって発狂しているのだろう。

ドラマから存在を抹消されている38歳の清岡美歩(山口紗弥加)は情熱的な教師とは言えないがごく普通の人格と言えるだろう。そもそも・・・教師が生徒の人格形成に関与するというのは一種の洗脳なのである。様々な大人がいるという実例としてはいい反面教師と言える。未婚のまま中年になる娘を心配する美歩の両親もごく普通の親と言えるだろう。

そんな常識的な親に対応できない31歳の巣藤浚介(伊藤淳史)は歪んだ人格を持っているわけである。おそらく・・・ドラマでは大人になりきれない子供じみた青年という役所なのだろうが・・・無責任で流されやすい人格が記憶障害から急に安っぽい正義感に満ちた人格に転換しており・・・おそらく発狂しているのだろう。

馬見原刑事(遠藤憲一)は暴力団組織構成員・長峰(菅原卓磨)に対する暴行を見ただけでももはや正気ではない。死んだ息子のために精神が歪んでおり、同じく狂を発した妻に同情するでもなく、責任を負うでもなく、他者に感情移入している時点で自分を見失っているわけである。巧妙な罠を仕掛ける犯罪者相手に無防備で乗り込むのはおそらくもはや死にたいと思っているのだろう。このドラマでは駒田につぐダメ人間であろう。

基本的に最悪なのは油井(谷田歩)なのだが・・・子供に暴力さえ振るわなければ馬見原よりまともに見えるから不思議だ。

父親に暴力をふるわれて母親の愛人を父と呼ぶしかない冬島研司(須田瑛斗)は駒田玲子と並ぶこのドラマの無垢の虐待児童代表である。その存在の憐れさを愛人の息子という設定で打ち消されて可哀想。

研司の母親・冬島綾女(水野美紀)は不幸な女である。しかし・・・油井の子を生んだことがすでに愚行なのである。我が子を守るために父親を必殺するのならもっと捨て身の方法が必要だろう。相手が眠っている時に刺殺するべきだ。夫というものはいつでも妻に殺される覚悟で眠りに落ちるものなのに。

鈴木渓徳(北山宏光)と鈴木佳苗(松浦雅)はとってつけた登場人物なので言及はさけたい。

そういう意味では石倉真弓(篠田麻里子)と石倉鉄哉(佐野和真)も闇を彷徨う馬見原刑事に孫という光明を示すだけの役割でしかなく・・・実に残念な感じである。少しは掘り下げた展開があるといいよね。

山賀葉子(財前直見)は最も大人として描かれる登場人物である・・・「子育てに失敗している」と言うが・・・子供が登場しないのが恐ろしいところなのである。

さて・・・最新の犠牲者候補になっている芳沢亜衣(中村ゆりか)の家庭の事情もぼんやりとしか描かれない。

基本的に・・・父親の芳沢孝郎(二階堂智)は娘を性的虐待しているはずだ。

母親の芳沢希久子(相築あきこ)はそれを見て見ぬフリをして裕福な家庭を営んできたのである。

その前提があれば・・・。

「どうして・・・俺の言うことかきけない・・・いやなら出ていけ」

「私はともかく・・・あの子はあなたの娘でしょう」

「バランスがおかしいだろう」

このセリフはすごく納得できる。・・・それは永遠の仔だろう・・・。

途中で亜衣は父親を刺しているが・・・あれは基本的に亜衣の幻想だったのだろう。

亜衣は母親からは美貌を・・・父親からは知性を受け継いでいるわけである。

支配的で暴力的な父親の破綻が迫っていて・・・そうなれば殺されかねないと亜衣は洞察しているのである。

裕福な家庭に未練のある母親を離脱させるためには・・・父親の経済力を奪うしかないのである。

それが出来なければ破滅した父親に母親も自分も殺される予感が亜衣にはある。

藁をもすがる思いで頼りない大人に救いを求めるしかないのだった。

見事な表現力で亜衣は脚本で描かれていない部分を演じているわけだが・・・お茶の間には届いていない気がして仕方ない今日この頃である。

「あなたはありのままの自分を親に認めてもらいたいのよね」

「馬鹿なのか・・・ババア・・・家族に期待なんかしてねえよ・・・全員、ぶっ殺すしかねえんだよ」

駒田が殺され・・・残された遺言が・・・「生きている妻が死んだことになっている」ことから他殺を疑う・・・突然探偵気分の主人公ペア・・・ああ、恥ずかしい。

そして・・・大野白蟻工業の社長(藤本隆宏)の発言「駒田は身よりがないと言っていた」から・・・密室と床下からの侵入という連想が起き・・・何故か一人で探索に乗り出すヒロイン。

もう、お約束過ぎて蕁麻疹が出そうな展開である。

そして・・・シャンプーが山賀経由であり・・・山賀の思春期悩み相談室と大野白蟻工業が一体化している事実に愕然とするヒロインだった。

山賀と親密な付き合いしているんじゃないのか。

そして・・・新たな容疑者として浮上する・・・駒田をヒロイン殺しに誘導し、駒田の娘に職員の靴を磨かせ、大事な手紙をわざと見せる・・・一時保護所の職員・大熊(宮地雅子)・・・ただならぬノーマークの黒幕感である・・・。

もちろん・・・一致するはずのない線条痕が一致するとなると・・・藤崎課長(飯田基祐)と椎村刑事(平岡祐太)が黒幕として浮上する。

まあ・・・この二人がホンボシなら・・・もうなんでもありだよな。

今週のこれでもか・・・撃たれた椎村刑事・・・予告編に元気に登場。この分だと刺された油井も生きてるかもね~。

そして、ヒロインの背後に立っているのは・・・。

①鉄人28号

②つぐみの実の母親

③謎の編集長

④突然ボレロの指揮者

⑤尾崎の亡霊

⑥通りすがりの発狂した人

果たして・・・正解は・・・?

ドラマの犠牲となったシロアリに黙祷・・・。

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2014年8月22日 (金)

武士の覚悟と星見草(小出恵介)

覚悟という言葉は死を連想させる。

極道の妻が「覚悟せいや」と凄んだらピストルで撃たれる可能性があるわけである。

しかし、読んで字の如く、覚悟とは覚って悟ることである。

もうサトリまくるわけである。

そこには迷いの付け入る隙はないのである。

一体・・・人は何を悟るのだろうか。

そもそも何を見極めて心を定めるのか・・・迷いの中に生きる人は悩むのだった。

死を覚悟して生きる・・・分ったような分からないような・・・話である。

もうすぐ300万アクセスというところで突然カウンターがリセットされたくらいでは動じない覚悟は欲しいな。

で、『吉原裏同心・第8回』(NHK総合20140821PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・佐藤峰世を見た。夏休み編成で一回休みで今回である。皆さまのNHKの覚悟はどこにあるんだ。まあ・・・田舎のお盆はいろいろとアレだからな。広島の土砂災害は日ごとに犠牲者数が増える・・・そこでも深夜の避難勧告を出す覚悟の是非が問われるのだった。未来予測の困難さと・・・当たり外れに対する大衆の賛否両論。「よくやった」と言われるか「馬鹿じゃねえの」と言われるか・・・苦悩する役人たち・・・だが・・・大事を取っていいのではないかと部外者は無責任に思うのだった。「明日、裏山が崩壊するかもしれません」と言われてどうするかは・・・自己責任で。避難困難者はどうする・・・それは運命で。所詮、悪魔だからな。

吉原一の花魁・薄墨太夫(野々すみ花)の危機を救った吉原裏同心の神守幹次郎(小出恵介)の武勇は吉原界隈の評判となる。

「誰からお聞きになったのです」という遊女たちの手習いの師匠を務める汀女(貫地谷しほり)の疑問は聞き流される。

「神守様は私たちのことも救ってくださるでしょうか」夕霧(近野成美)たち遊女は問いかける。

「もちろん・・・それがお役目ですから・・・」と応じる汀女・・・。

しかし、薄墨太夫は微笑む。

気まぐれな遊女たちの関心は客を呼ぶ文の話題に・・・。

「客が寄ってくれるような文句を考えてくださいよ」と汀女にせがむ。

「神守様の心を射止めた汀女様はきっと素晴らしいお言葉を考えてくれましょう」

素知らぬ顔で汀女に挑む薄墨太夫なのであった。

季節は九月九日の重陽の節句が目前である。

奇数は陰陽の陽であり、その最大の数である九が重なるので重陽である。

菊の季節でもあり、菊の節句とも呼ばれる。

菊は古来より、不老長寿の薬効があるとされていた。

重陽の節句に菊酒を飲む慣わしなのである。

吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)は薄墨太夫の親代わりとして密かに節句を祝う櫛を買おうと外出するのだった。

伴は要らぬという四郎兵衛に「女かな」と疑う仙右衛門(山内圭哉)・・・。

そこへ「父が忘れものを」と四郎兵衛の娘・玉藻(京野ことみ)が現れる。

日本堤の土手で・・・浪人たちに襲われる四郎兵衛。

「俺を四郎兵衛と知ってのことか」と見得を切る四郎兵衛だが・・・浪人たちは腕ききでたちまち手傷を負い、絶体絶命の窮地。

しかし、忘れものを届けに来た幹次郎が危機を救う。

構えの応酬で幹次郎の腕前を見抜いた浪人の頭は・・・引き上げを命じるのだった。

河原の芒の影で成り行きを窺っていた穀物問屋の跡取り息子・公太(浜田学)は舌うちをする。

父親の武七(篠井英介)は吉原への参入を画策していたが・・・そのために四郎兵衛が邪魔だったのだ。

「だからといって・・・手を出すとは・・・本当に馬鹿な息子持ったものだ」と嘆く武七。

「親父のやり方はまどろっこしい」と悔いた様子もない公太だった。

一方、遊女たちに頼まれた口説き文句に頭をひねる汀女。

「一日千秋の思いで貴方のおいでをお待ちしております・・・」

そこへ・・・幹次郎が戻り・・・「夕餉の支度を・・・」と汀女。

しかし、幹次郎は頓着せず、薄墨太夫から贈られた御礼の饅頭をぱく付く。

これに汀女の女心が悋気を発するのであった。

なんだかんだ・・・汀女は・・・薄墨太夫の幹次郎への思いを察しているのである。

「夕餉の支度は後にします」

しかし・・・鈍感な幹次郎は汀女の女心を解さない。

その翌日、ぬけぬけと吉原会所を訪れる武七と公太の父子。

公太は幹次郎と汀女を見かけてまたもや悪企みを思いつく。

汀女の誘拐であった。

汀女は抵抗むなしく浪人たちの手に落ちる。

医者の柴田相庵(林隆三)の家に汀女を捜しに来る幹次郎。

「あの方は・・・連絡もなく何処かに行くようなことはしないだろう」と断言する相庵だった。

故・林隆三の姿の見収めも近いのだなあ・・・。

診療所手伝いのお芳(平田薫)も捜索に加わるが夜は更ける・・・。

報告を受けた四郎兵衛は・・・浪人たちとの一件を連想する。

しかし、仙右衛門は妻仇討ちの件も案じるのだった。

嫉妬で汀女の心が揺れたように、心配で幹次郎の心も揺れる。

公太は幹次郎を呼び出し、「四郎兵衛の警護で手抜きをしろ」と脅すのだった。

その苦渋を悟った四郎兵衛は「ちょいと三ノ輪までお伴を頼みます」と幹次郎を誘い出し、事情を聴取するのだった。

一方、囚われの汀女は縄抜けをして、窓の隙間から必死に文をちぎって風に託す。

それを千住あたりで拾うのが四郎兵衛の息子・清次(若葉竜也)で物語始って以来の初手柄であった。

穀物問屋の筋から汀女の監禁場所を特定する番方たち・・・。

しかし、浪人たちが多数出入りしていて・・・中の様子が分らない。

「私が囮になりましょう」と覚悟を決めた四郎兵衛だった。

四郎兵衛に誘われて浪人たちが出動すると幹次郎は突入する。

留守番の浪人たちを切り捨てた幹次郎は汀女の救出に成功するのだった。

容赦なく浪人たちを一刀両断する幹次郎。

「姉様・・・御無事でしたか」

「きっと・・・おいでくださると信じていました」

再会を祝って抱擁するのを堪え・・・四郎兵衛の救援に急ぐ幹次郎。

「この四郎兵衛、ただじゃあ死なねえぞ」と獲物を持って戦う四郎兵衛と番方一同。

そこへ幹次郎が駆けつけて腕の冴を披露する。

怒りに燃えた幹次郎は武七と公太の父子も斬殺である。

一同は幹次郎の剣の腕に惚れぼれとするのだった。

清爽たる野菊を摘んで汀女に捧げる幹次郎。

「こういうことはまたあるかもしれません」

「覚悟はできています」

秋の気配の深まる江戸で燃える幹次郎と汀女だった・・・。

何があっても動じない心・・・人はそれを覚悟と呼ぶ。

ま・・・そういう心は滅多にありません。

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2014年8月21日 (木)

生れたら泣くのが運命よ(長澤まさみ)現実は厳しいものね(満島ひかり)

だから教養を求めるのはやめてほしいよな。

まあ・・・若者たちってそういうのが好きな一時を過ごすものじゃないか。

今だったら「ホットロード」見に行って暴走族のイケメンに恋するみたいな・・・。

そのたとえはやめておきなさいっ。

「人生に必要なのは大麻とジャッキーチェンとちょっとしたトリップ」みたいな感じか。

いろいろと大変だよなあ。

さあ・・・行こう・・・スターだらけの青春ごっこの世界へ・・・。

で、『2014・第6回』(フジテレビ20140820PM10~)脚本・武藤将吾、演出・並木道子を見た。歌番組で1週休みの後でマンガみたいな展開のバレーボールで35分遅れ・・・。踏んだり蹴ったりの展開だよな。もう、視聴率的に期待されてないんだろう・・・。これだけのメンバー集めておいて・・・それはないだろう。まあ、帝国抜き、アイドルなしで青春ものだからな。一体、どこを狙ってんだか・・・ある意味、自慰的なところじゃないか。つかこうへいの嵐が過ぎ去るとウィノナ・ライダーとイーサン・ホークの映画「リアリティ・バイツ(Reality Bites)」(1994年)からの主題歌「ステイ/リサ・ローブ&ナイン・ストーリーズ」の引用である。どんだけ他人に寄りかかるんだ・・・。

明らかに・・・ハルこと佐藤陽(柄本佑)と永原香澄(橋本愛)の深い関係を匂わせておいて・・・交際しているつもりの佐藤旦(野村周平)の浮かれぶり・・・。

「理屈じゃないんだよ・・・こんな僕に潮騒のメモリーズの可愛い方にそっくりな恋人ができちゃったんだよお」

「浮かれるな・・・ウィリアム・シェイクスピアもヴェニスの商人で恋は盲目・・・恋人たちは自分たちがどれだけ恥ずかしいことをしているかビデオにとらないと見ることはできないって言ってるぜ」とハル。

「リチャード二世じゃ本当の恋はスムーズに挿入できたためしがないって言ってるしな」と長男・旭(妻夫木聡)・・・お前、教養あるのかよっ。

「いいじゃない・・・恋で天国に行けるならそれはそれで」と東京城北医科大学病院NICUに勤務する看護師の長女・ひかり(満島ひかり)は弟の頭を撫でる。

「していい恋と悪い恋はあるぜ」と前科者のサト兄こと暁(瑛太)がひかりに釘を指す。

「刑務所から出て来た人に言われたくない」

「何を・・・」

兄妹喧嘩を始めた二人を宥める旭・・・いつになく弱気なのである。

それは・・・不倫はいけないと思いつつ・・・妹が不憫で仕方のない兄貴だから・・・。

「兄貴らしくないじゃないか」

「でも・・・俺が責めたら・・・ひかりの逃げ場がないし」

ひかりの不倫相手の新城(吉岡秀隆)は何故か、妻の美穂(斉藤由貴)、幼い娘の寿々(横溝菜帆)とは別居中である。

そして・・・美穂の元へ・・・夫と看護師の不倫写真が送られてくるのだった。

「てめえら、許さねえ」と美穂は血相を変えて上京するのだった。

そんな折・・・世界的な一発屋・リサ・ローブ(1968年~)が来日公演を行うのだった。

かねてから・・・リサ・ローブのファンであった新城はウキウキと愛人と一緒にライブ鑑賞の計画を立てる。

デートに誘われてひかりは有頂天になり、リサ・ローブのアルバムを購入して予習に励む。

一方、27歳設定の夢破れて堕胎という過去を持つ屋代多香子(長澤まさみ)の憧れの歌手が・・・リサ・ローブである。「ステイ」がヒットしたのは7歳の時で・・・まあ・・・楽曲は時代を越えるというものの・・・ものすごく早熟だったと補完するしかない。

詐欺師だが被害者の家で働くサト兄は納屋で埃まみれのギターケースを発見する。

リサ・ローブになりたくて路上ライブをしていた多香子の思い出の一品。

何故か・・・チューニングもバッチリでカポタスト(解放弦のキーを調整する器具)もはめっぱなし。

ギターを弾かない時は弦を緩めないと本体が歪みフレット音痴になるので気をつけましょう。

思わず・・・つま弾くサト兄。

「その曲・・・」

「妹がバカみたいに聞いているんで・・・耳コピした」

「私の思い出の曲だわ・・・」

「そうなんだ」

「ちょっと付き合ってほしいんだけど」

「このギターはどうする」

「今度、燃えないゴミの日に出すつもり」

「粗大ゴミでなく・・・」

「ぶっこわせば・・・燃えないゴミで出せるのよ」

「・・・ああ」

リサ・ローブの運命で結ばれた二組のカップルは・・・コンサート会場に集合である。

ドレスアップしたひかりと多香子。

ドラマ「モテキ」と映画「モテキ」のヒロインが会するのだった。

しかし・・・多香子はチケットを購入しておらず、衝動的にやってきたのでサト兄がダフ屋を求めて三千里なのだった。

そこへやってくる新城。

一方・・・新城に意見しようと家にやってきた旭は新城夫人と遭遇する。

新城のスマホに・・・妻からの電話が着信する。

「どうしたんだ・・・突然」

しかし・・・妻の圧力に撤退を決意する新城だった。

サト兄はチケットを強奪するのだった。

天国から地獄へ墜落するひかり。

しかし・・・新城家ではさらなる地獄が展開していた。

「こんな写真が送られてきたの」

思わず嘘をつく旭。

「これ・・・妹です・・・いやだなあ・・・誤解ですよ・・・ほら・・・妹は新城先生を父親のように思っているわけで」

恐ろしいことに一切・・・心情を吐露しない新城先生だった。

(これはやばいわけで・・・しかしむ波風はたてたくないわけで・・・家庭は家庭・・・浮気は浮気なわけで・・・)

そういう恐ろしい世界の階段に片足をかける旦は・・・明らかに気のない香澄にアプローチを重ねる。

「今度の日曜日・・・デートしよう」

「いきなり、ラブホテルは嫌よ」

「じゃ・・・最後ならいいの」

「顔がエロイよ・・・」

ライブを堪能した多香子とサト兄は・・・ギターにお別れの儀式に突入である。

何故か・・・倉庫街には火葬場が用意万端整っているのだった。

きっと・・・二人は魔法使いなんだな。

そして・・・厳かに燃やされるギターケース。

そこへ・・・通りすがりの警備員が登場。

お約束で逃げ出す二人だった。

物陰に隠れた二人。

突然、発情し、サト兄の唇をむさぼる多香子。

しかし・・・サト兄が気分を出して応じると・・・拒絶する多香子。

「こわいの」

堕胎による罪悪感が性行為嫌悪症にこじれていると悟ったサト兄はそっと多香子の手を握るのだった。

「こわくないよ」

微笑み合う二人。

流産の危機を脱した旭の妻・梓(蒼井優)は夫婦で産婦人科へ通院。

新婚の旭は妻の身を気遣う。

新城にもそういう家庭があり・・・それを壊してはいけないと旭には分かっている。

しかし・・・妹が不憫なのである。

「貝殻のように人生がからっぽ」だからである。

「雨の降りだす10分前の空の下に・・・つかのまの獣ごっこ」があるだけなのだ。

多香子を連れて帰るサト兄。

たちまち巻き起こる不倫を巡る兄妹喧嘩。

「あんな写真を送るなんて・・・」

「写真・・・」

気配を察して一服しに出た多香子はひかりと二人きりになる。

「私・・・ギターをやめようと思って燃やしちゃった」

「それで区切りがつきましたか」

「さあ・・・男と別れる方が大変よね」

「・・・」

しかし・・・ギターは最初からケースに入っていなかった。

売れそうなものを燃やすというのはサト兄の信条に反するのだ。

そして・・・チケットの領収書を発見した新城夫人は決着をつけるために・・・旭とひかりを夕食に招待するのだった。

修羅場にビーフストロガノフである。

「おいしいな・・・このハヤシライス」

「そう・・・よかった」

「妹なんて・・・まるで料理がダメで」

「そんなもの・・・結婚すればなんとかなるわよ・・・私だって最初は松阪牛を丸焼きしたぐらいで・・・」

「・・・」

「私たち・・・結婚して十年以上たつけど・・・付き合いだしたのは大学生の時だったから・・・もう二十年も前のこと・・・」

「・・・」

「たまたま最初に見た映画が・・・二人とも気に入ってね・・・ベン・スティラー監督の青春映画・・・なにもないけど君がいるからいいって感じのね」

「・・・」

「二人とも・・・主題歌がとっても好きになったの」

「・・・」

「二人は覚えていないでしょうけど・・・結婚式でも流したのよ」

「・・・」

「リサ・ローブのステイ・・・ああ・・・聞きたくなってきた」

はっきりしたのは・・・そんな妻との思い出のアーティストのコンサートに愛人を誘う新城の最低の極みである。

「ごめんなさい」・・・堪え切れずに謝る旭だった。

「いいのよ・・・いいわけも謝罪もいらない。ただ・・・これきりにしてほしい」

「できません」

火花を散らす正妻と愛人だった。

禍根を残して兄妹が去った後・・・夫にとどめを指す美穂。

「よく考えて・・・私だけじゃない・・・あなたには娘がいるのよ」

「・・・」

とにかくセフレがいてもセリフのない新城であった。

帰宅後も悩む旭に・・・梓が囁く。

「言いたいことを言えばいいのよ・・・バカなんだから・・・」

バカは・・・妹を許してもらおうと美穂に挑む。

「わかってください・・・あいつには・・・新城先生しか・・・支えてくれる人がいなかったんです」

「だからって一夫一婦制なのよ・・・この国は・・・ふざけないで」

美穂は旭を張り飛ばすのだった。

そこへ・・・サト兄が飛び込んでくる。

「兄貴・・・何言ってんだよ・・・この人は家庭を守ろうとしているだけなんだぞ」

「・・・」

サト兄は立ち聞きしているひかりを張り飛ばす。

「バカヤロー・・・あいつにあんなこと言わせるな・・・お前がやってることはダメなんだよ・・・それをお前が思いしらなきゃ・・・ダメなんだよ・・・」

兄は妹を思い・・・弟は兄を思い・・・ショーン・ペンはつぶやく。

「美人は・・・目立つのが嫌いなんだぜ」

公園でギターを捨てられない多香子が佇む。

「リクエストしたいの」

「歌はやめたのよ」

「世界で一番嫌いな歌だから」

「それか゜・・・セーラー服と機関銃以外なら・・・」

「ステイをお願いします」

「あのね・・・私、結構、上手いわよ」

あなたは言うのね

私が自分勝手だって

だから私は出ていくの

だって落ちつかないんだもの

生れ落ちたその日に

死にそうなこともある

それって泣ける話なの

本当に大切な話なの

私は今気がついた

捨てたのは私じゃなくて

捨てられたんだって

なんて馬鹿な話

ここにいなよ

私が聞きたかったのはその一言

あなたがいなくて恋しいから

だけどあなたは言う

私が自分勝手だと・・・

写真を美穂に送ったのはひかりに思いを寄せる内海医師(馬場徹)だった。

「不倫なんてよくないよ」

「もう・・・終わったことですよ」

ひかりは前を向くのだった。

最低極まる新城は未練たらたらだった。

そして・・・旦は香澄を尾行して・・・ハルとの密会を見せつけられるのだった。

誰か・・・死にますか?

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2014年8月20日 (水)

もしもあの日私に逢わなければあなたは東大に入れず弁護士になれず童貞も卒業できなかったでしょう~聖女(広末涼子)

レギュラーなのか・・・?

ハードナッツ」からの流れで・・・全7話なので夏ドラマの範疇に入るしな。

とにかく・・・衝撃だったのは清水富美加の登場だな。

そこかよっ。

魔法★男子チェリーズ」のヒロイン、「ペテロの葬列」の脇役に続いて・・・夏ドラマレギュラー三本目である。

能年玲奈の御利益か・・・。

まあ・・・「仮面ライダーフォーゼ」(2011年)のヒロインで、映画「HK 変態仮面」(2013年)のヒロインだからな。年末に20歳なんで勝負にでたんじゃないか・・・。二階堂ふみ世代か・・・。「セーラー服と宇宙人」の清水くるみもこの世代なんだな。

もう・・・いいか。

で、『聖女・第1回』(NHK総合20140819PM10~)脚本・大森美香、演出・日比野朗を見た。何と言っても実年齢34歳の広末涼子のなんちゃって女子大生が凄い。絶頂期を思い出したっ・・・いつだよっ。「沙粧妙子-最後の事件-」(1995年)・・・中学生だったじゃねえかっ。そうだったかな・・・よるとしなみかっ。とにかく・・・砂浜でお姫様抱っことか・・・高校生の筆おろしとか・・・やりたい放題である。脚本家がメルヘンだからな。「東京バンドワゴン〜下町大家族物語」からココだもんな。とにかく・・・聖女なのか・・・悪女なのか・・・それが問題だ・・・そういえば・・・同じクールで「リーガルハイ」やってたな。安藤貴和を私ならこう書く・・・なのか・・・別府判事でかっ。

Photo聖女プラクセディスは13世紀の聖人伝「黄金伝説/ヤコブス・デ・ウォラギネ」の第90章に登場する伝説上の人物である。初代教会時代・・・迫害され殺戮された殉教者たちを看護し看取った姉妹の一人で、姉のポテンティアナもまた聖女とされている。つまり、聖人姉妹なのである。聖女プラクセディスのシンボルは殉教者の血をぬぐった海綿で、聖女ポテンティアナのシンボルは殉教者の血を絞った水盤とされる。ま・・・キリスト教徒は血を好むのである。17世紀の画家・ヨハネス・フェルメールがこれを題材に描いたのが「聖プラクセディス」なのだが・・・その真贋が専門家の間でも分れている作品になっている。

そんな蘊蓄を美術コーディネーターを自称する緒沢まりあ(広末涼子)が語っていると・・・刑事たちが現れる。

「肘井基子だな・・・」

「・・・違います」

「詐偽の容疑で逮捕する・・・」

しかし・・・肘井基子(広末涼子)にかけられた容疑は・・・連続殺人および殺人未遂となっていく。

マス・メディアは「平成の魔女」「毒婦」「前代未聞の悪女」として基子を報じていくのだった。

総合病院勤務の看護師・本宮泉美(蓮佛美沙子)の婚約者で新人弁護士の中村晴樹(永山絢斗)は基子の姿に驚く・・・。

そして時は九年前に遡上して行く。

当時・・・晴樹は湘南地方の落ちこぼれの高校生だった。

兄の克樹(青柳翔)は東大生で何かと比較されるわけである。

母の百合子(筒井真理子)はみんなエスパーだよ・・・ではなくて家庭教師を手配するが、やんちゃな晴樹は乗り気ではない。

しかし・・・東京の女子大生・内藤あかね(広末涼子)が派遣されてくると・・・晴樹は突然「トライ」する気になるのだった。

そして・・・もしも広末が家庭教師だったら・・・どんなバカでも東大合格という奇跡が展開するのである。

たちまち・・・鰻昇りの成績・・・東大合格が見えてくる晴樹だった。

しかし・・・どこか影のある女家庭教師・・・ますます晴樹の青い炎は燃えあがり・・・ついに勉強部屋のベッドでめくるめく体験をするのである。

初体験にのぼせあがる晴樹に女家庭教師は告げる。

「東大に入ってよ・・・東大に入って・・・いっぱい勉強して誰にも見下されない立派な人になって・・・私を恋人にして」

「僕のこと・・・好きかい」

しかし・・・何故か泣きだす女家庭教師だった。

「私・・・本当は内藤あかねじゃないの・・・そんな私を信用できる?」

「・・・」

そして・・・突然、行方をくらます女家庭教師だった。

晴樹は山の手の大学まで訪ねていくが内藤あかね(上野なつひ)は「緒沢まりあちゃんと・・・突然、連絡がとれなくなって・・・困っているの・・・しかも、彼女ったらこの大学の学生じゃなかったみたいなの・・・」

普通なら勉強が手につかなくなる展開だが・・・ドラマなので晴樹は東大に合格し、在学中に司法試験にも受かり、卒業後は弁護士になったのである。

さらに恋人も出来て・・・初体験の相手のことは遠い思い出になりつつあった。

一方・・・何故か、兄の克樹は引き籠りに転落していたのだった。

そんな晴樹の前に・・・帰って来た女家庭教師・・・。

しかし、緒沢まりあこと肘井基子は変死した青年実業家・阿川(浜野謙太)、ハイキング中に崖から落ちて死亡したテレビ局プロデューサー・坂東(森岡豊)、火災で重傷を負い意識不明の大手企業の役員・千倉(大谷亮介)らと怪しい関係にあり・・・殺人および殺人未遂の嫌疑がかけられていた・・・。

「あの女がすべて悪い」と千倉夫人(中田喜子)が狂乱する悪女・・・それが現在のまりあだった。

そして・・・晴樹のボスである前原弁護士(岸部一徳)はまりあこと基子の弁護を引き受けると言い出すのだった。

前原事務所には・・・黒坂弁護士(田畑智子)、小池弁護士(田中要次)、アルバイトの田中みはる(清水富美加)が布陣されています。

そして・・・ついに・・・基子と晴樹は拘置所の面会室で再会するのである。

「私・・・死刑にはなりたくないのです・・・死刑制度には反対だから」

「なるほど・・・同感です」

「こんな私を信用できますか」

前原弁護士と基子のやりとりを暗い表情で聞く晴樹だった。

基子は晴樹の存在に気がつくと表情を変える・・・。

そして・・・。

なぐさめの台詞なら今はまだ欲しくない

主題歌である。

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2014年8月19日 (火)

あなたも被疑者に変りますか・・・あなたが被疑者なら怖くない(木村拓哉)

信頼の話である。

13年前との最大の違いは・・・「Can You Keep A Secret?/宇多田ヒカル」が流れないことだと思うこのドラマ。

ゴジラ祭り、能年玲奈祭りに続いてエヴァ祭りに突入している夏の終盤である。

宇多田ヒカルはエヴァに行ってしまったのか・・・。

ちなみに・・・「君の理想に近づきたいよ」とつぶやくこの歌は「おしゃべりじゃないと証明してよ」と秘密を抱えている。

一方で「あのひとはいいひとだから傷つけたり出来ない」と歌う「狼なんか怖くない/石野真子」はキスを求められたら許す覚悟の表明である。

心を許すのも体を許すのも・・・信頼があればこそなのである。

仲間が信頼を裏切った時に・・・どうするか・・・その時にこそ信頼が問われるのである。

信頼とは・・・愛の礎だからだ。

すべての人を愛するのは理想だが・・・身近な人を愛せないようでは前途多難なんだな。

で、『HERO(第2期)・第6回』(フジテレビ20140818PM9~)脚本・福田靖、演出・鈴木雅之を見た。愛を告白するのは恐ろしいことである。もちろん、人は時には恐怖を克服したり、限界を越えて暴走したりする。初恋の人に「愛してる」と言えなくても発情すれば「愛してる」を連発したりするのが人間だ。場合によっては誰彼構わず告白して人間性を疑われたりもするのだった。そういう疑いが生じた時に信じ続けることは難しい。なぜなら・・・本当のことは誰にもわからないからだ。少なくとも本心なんて本人にもわからない場合がある。もちろん・・・そういう困難を克服するからヒーローなのである。

かすかな物音

追ってくる movin' shadow

振り切れなくなる影

・・・てな感じで夜の街を逃げる男と・・・追跡者の影・・・。

男が逃げ込んだ先はハワイアンなダイニングバー「マヒマヒ」で・・・若者にまぎれて設定年齢38歳・実年齢43歳の東京地方検察庁城西支部の遠藤賢司事務官が合コンに参戦中である。愛は年齢を問わないとは言うものの13年前もギリギリだから・・・今や完全にアウトである。

ちなみに「マヒマヒ」はシイラの事で死人喰らいの諱もある食用魚のハワイでの呼び名である。

「二次会に行きまひまひ~」などと浮かれて集合写真を撮影し・・・「今夜はもてもて」などと井戸事務官(正名僕蔵)に自慢メールをする遠藤・・・。

しかし、トイレで「ナイフで刺された男」を発見し、「赤い服の男」に突き飛ばされ、転んだ拍子に眼鏡を落し、「血まみれのナイフ」を拾ってしまう。

横たわる被害者の前で凶器を握り締めた所で従業員が登場。

「そんな馬鹿な」と本人とお茶の間が叫ぶ間もなく現行犯逮捕される遠藤だった。

「バーベキューをしながら携帯電話が充電できる・・・通販商品・バーベキューチャージャー」で頭がいっぱいの久利生公平検事(木村拓哉)とそれを見抜く麻木千佳事務官(北川景子)や愛犬がラッキー、ロッキー、リッキー、ポッキーの四頭になった田村検事(杉本哲太)など愉快な仲間たちが集う朝の城西支部。

しかし・・・遠藤賢治は殺人未遂で現行犯逮捕された被疑者として・・・不在なのだった。

検察庁事務官の不祥事に・・・城西支部には特捜部検事の首藤礼二(石黒賢)と神田川事務官(渋川清彦)が乗り込んでくるまだった。

そして・・・腰縄をうたれた遠藤事務官は被疑者として取調を受けるのだった。

「遠藤は・・・遠藤検事という名刺を作っていたらしい」

「それは・・・結構・・・不適切な行為だな」

「しかし・・・遠藤は人を刺したりしないだろう」

「いや・・・遠藤も人間ですし・・・人間は間違いを起こす生き物ですから」

遠藤への信頼と・・・嫌疑の間で揺れ動く一同・・・。

しかし・・・お腹が減ったのでピザを食べてしまう。

いかにもピザ・パーティーな感じのところで遠藤が登場。

「仲間がこんな目にあってるのに・・・いい気なもんだ」

馬場礼子検事(吉田羊)は心から心配していただけに「あんたがいい年して合コンに狂ってるからいけないんでしょうが!」と思わすキレるのだった。

高級金魚万引き事件を担当していた久利生検事は麻木事務官とお出かけ捜査に出る。

誰もが絶対に余計なことをすると確信・・・これも信頼の証だ。

「赤い金魚は何色なんでしょうか」

「これ赤くないけど金魚かよっ」

「うわああああ、七万円ってたけえっ」

・・・などと高級金魚店で水槽デートを楽しんだ二人は・・・案の定、被害者が入院中の病院に向かうのだった。

しかし・・・何故か・・・被害者の病室は特捜部が完全にガードしていて付け入る隙がない。

だが・・・久利生検事は・・・看護師から・・・被害者が代議士の私設秘書であることを聞きだすことに成功する。

「守秘義務の壁は・・・」

「久利生にお願いされたらつい答えちゃうよね」

「警備員の小杉(勝矢)が喉が渇いたら部長の冷たいお茶飲んじゃうレベルだよね」

黒い噂のある議員の秘書・・・特捜部・・・これから連想されることは・・・特捜部の狙いが被疑者ではなく被害者にあること・・・である。

真相に気がついた愉快な仲間たちは・・・遠藤の無実に確信を持つのだった。

しかし・・・お腹がすいたのでハンバーガーを食べるのだった。

ちょっとしたハンバーガーの集いである。

そこに・・・遠藤がやってきて・・・。

「くりかえしのギャグかよ」

「くりかえしのギャグだよ」

「じゃ・・・もう一回あるな」

「ピザ、ハンバーグときたら次はフライドチキンだよ」

「レビュー的には割愛かっ」

「みんな余計なことはするなよ・・・絶対にだぞ」と言いながら川尻健三郎部長検事(松重豊)は発破をかけるのだった。

全員が「聞き込み」に出かけるが・・・検事や事務官に聞き込み能力はないのだった。

「彼がやったと思いますか」

「すでにキモイですから」

「でも・・・」

「二次会いくぞからのブスリですから」

「・・・」

「逃げるとしたら・・・裏口から・・・海へか・・・」

「泳いでかよ・・・」

久利生も病院で納豆定食を食べたので息は臭いわけだが・・・漁師にまで聞きこむのだった。

「赤い服の男が泳いでませんでしたか」

「何言ってんだ」

「じゃ・・・脱ぎ捨てられた赤い服を見かけませんでしたか」

「だから・・・何言ってんだ」

「プカプカ浮いてませんでしたか」

「・・・」

沿岸部の人々を絶句させた後で途方に暮れる一同。

一方・・・明らかに時間稼ぎをしている首藤検事は「これは私の想像だが・・・」を連発して取調が適当であることを遠藤に匂わすのだった。

万策尽きた久利生たち・・・。

しかし・・・遠藤の写メ画像が事件解決の決め手となる。

そこには赤い服の男が写っていたのだった。

久利生はそれを持って所轄署の刑事に捜査を依頼する。

「あ・・・そいつは・・・暴力団組員ですよ」

一目で真犯人を特定する刑事だった。

燃える刑事たちにより・・・真犯人逮捕である。

反社会的勢力に選挙妨害を依頼した秘書との金銭トラブルだったらしい。

特捜部は目の前の獲物に気をとられすぎて情報を操作し事件解決という本質を見失っていたのである。

結局、暴力団との接点を明らかにされて・・・曖昧な供述をしていた秘書は陥落したのであった。

遠藤は不起訴・釈放である。

任務を終えて去ろうとする特捜部の首藤検事に物申す一同。

「誤認逮捕で・・・不当な拘留をしたんですから遠藤さんに謝罪してください」と久利生。

「法的におかしいことはしていない」と検事を庇う神田川事務官。

「久利生が言うのはそういうことでなくて」と気持ちがいいほどの俗物・田村検事は責任を回避しながら「人としての話でしょう・・・」と告げるのだった。

「確かに・・・我々は傲慢だったかもしれない・・・申し訳なかった」

頭は下げるが土下座はしない特捜部だった。

しかし・・・慰謝料として・・・特選・松阪牛を贈呈である。

そして・・・あっさりと水に流す食いしん坊軍団・・・。

彼らが最も信頼するのは・・・「St.George's Tavern」のマスター(田中要次)である。

「美味しい食べ方・・・ありますか」

「あるよ」

久利生が憧れるバーベキューチャージャーがお目見えである。

「もう・・・あるんだ」

「もう・・・あるよ」

「よろしくお願いします」

美味しい素材を美味しく調理・・・。

頼んだら応えてくれる人は信じることができます。

傷付けないと約束しても

誰にもわからない can you keep a secret?

悲しくないよ 君がいるから

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

Hero006ごっこガーデン。お散歩ついでにちょっと水族館デート気分セット。アンナみんなと遠藤が写真を撮ったところでオチが閃いたアンナは冴えてるのぴょ~ん。でも、ウムを言わさぬスピーディーな展開でとってもおかしかったのぴょん。キレた羊ちゃんを久利生さんが羽交い締めで制止するところがアンナのツボだったぴょんぴょんぴょん・・・毎回面白いけど・・・そろそろダーリン全開の回が欲しい・・・人間の欲望に果てはないのだぴょ~んシャブリルッキーとレッキーはいないのでありました~。ついでにスマ進ハイスクールのヒロイン・武田梨奈さんは録画価値ありなのでありました~まこ悪いことをしたらごめんなさいデス。一匹7万円の魚を遺伝子操作で10倍にしたら70万円になりましゅか。モンスター化したお魚しゃんがお屋敷で暴れているのは法律に触れましゅか~・・・じいやに見つかる前にドロンしましゅ~mari松阪牛となると・・・じいや、まずはしゃぶしゃぶでお願いします

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2014年8月18日 (月)

男はそれでも生きていく(田中哲司)女も生きて参ります(二階堂ふみ)

合戦は基本スルーだが・・・荒木村重の生涯だけは描き切ったこのドラマ。

主役が黒田官兵衛である以上、有岡城幽閉は見せ場であり、その仕掛け人を避けて通れなかったわけである。

そういう意味でもう・・・ぶっさんでいいじゃないか・・・黒田官兵衛でなくても・・・と思い当たった今回である。

官兵衛には二つの顔がある。

一つは百戦百勝の軍神である。

もう一つは律儀すぎる律儀者である。

そういう自分があ~面倒くせえ・・・とつぶやげばぶっさんなのである。

本当に黒田官兵衛が「いい奴」だったかどうかは別にして・・・この大河ではもう「いい奴」でいいやと思ったわけである。

それに対して、荒木村重は「ひどい奴」である。

なにしろ・・・大いに恩のある主君に謀反して旗色が悪くなると一族郎党を見捨てて逃げた男だ。

官兵衛はそんなひどい奴に裏切られて不具者にされてしまうわけである。

しかし・・・二人は友なのである。

そして・・・官兵衛は底なしのいい奴である以上・・・どんなひどい奴も友として見捨てないという話なのである。

一方、秀吉も基本は「いい奴」だが・・・最高権力者という立場によって「ひどい奴」になりつつある。

大いに恩のある主君の子供たちを一人また一人と粛清中である。

そして・・・大いに恩のある主君の姪を征服しようとしているわけである。

イスラム国の性暴力のようにである。

そんな自分に憤り、そんな自分に泣く・・・恐ろしい表現力だ。

そして・・・茶々・・・。

生年不詳だが・・・永禄12年(1569年)説に立てば・・・数え五歳で小谷城落城。父親・浅井長政は伯父・信長に攻められ自刃。それから十年後・・・天正11年、数え十五歳になった茶々は義父・柴田勝家と実母・お市の方を秀吉に攻め滅ぼされている。

織田と浅井の高貴な血筋を引くために・・・親の仇である秀吉に保護されて天正13年には数え17歳になっている。

それでも生きて来た友を失う官兵衛は・・・関ヶ原を目指してそれでも生きていく女を見出すのである。

このドラマの官兵衛にとって・・・幼馴染で初恋の相手を失った感傷は永遠のものなのだろう。

今・・・苦渋に満ちた政略結婚を強いられる茶々こそが・・・伊吹おたつ(南沢奈央)の再来なのである。

ぶっさんがいい人であり続けるために・・・悲しいモンスターのバトンは道薫から茶々に引き継がれるのだった。

虚無に堕ちた男と狂乱を宿した女の見事な演技のリレーなのだった。

特に二階堂ふみのニヤリ、凄いぞ二階堂ふみのニヤリなのである。

仲をとりもつ秀吉(竹中直人)と茶々(二階堂ふみ)そして道薫(田中哲司)の迫力の演技にぶっさんはやや蚊帳の外だったが・・・イケメン同士、高山右近(生田斗真)と天下一の美女・だし(桐谷美玲)の思い出にひたってうっとりなのである。

それは・・・ぶっさんだと思えば納得できる展開なのだった。

ちょっと面白いくらいなのだった。

つまり、この大河・・・前半は村重、後半は茶々が影の主役なのである・・・それはお前の願望だろう・・・。

で、『軍師官兵衛・第33回』(NHK総合20140817PM8~)脚本・前川洋一、脚本協力・穴吹一朗、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は25行ですが・・・傷だらけなのは戦国絵巻に飢えた一部お茶の間でございますよね~。しかし、今回はなんとこれだけ重厚に描かれながらナレーションベースで葬られる男・・・荒木村重あらため道薫の追悼・描き下ろしイラスト大公開で熱狂でございます。まさか村重イラストが第三弾まであろうとは・・・未だかってない展開とは言えますな~。そして・・・ドラマではだしが聖母マリアとなって・・・官兵衛を信仰の道に誘うわけですが・・・実際は鉄砲入手や外交目的の擬装入信ですよねえ・・・軍師・官兵衛としては・・・。まあ・・・その分、右近は完全に洗脳されて信仰の道を突っ走るわけですが・・・。

Kan033天正十三年(1585年)、秀吉は大坂城を落成。藤原姓から豊臣姓に改めて関白となる。関白・豊臣秀吉の誕生である。翌年に豊臣姓が下賜されるのは豊臣秀長、豊臣秀次などに加えて井伊直政、榊原康政、大久保忠隣など家康の家臣である。家康の家臣に色目を使う秀吉ならではの選択。天正十三年三月に丹羽長秀が胃癌の苦痛に耐えかねて自決。痛いもんな。跡を継いだ丹羽長重は越前など百万石の大名から若狭十五万石、さらに加賀松任四万石までに転落して行く。八月、関白となった秀吉は越中国富山城の佐々成政を大軍を持って征伐。前田利家、上杉景勝、丹羽長重、池田輝政、蒲生氏郷、細川忠興、織田信雄ら十万人に攻められて佐々はさっさと降伏した。十二月、信長の四男で羽柴家の養子となっていた羽柴秀勝が享年18で丹波国亀山城にて死去。後継者として秀吉の甥である豊臣秀勝が指名される。すでに茶々の妹・江(十三歳)の配偶者となっている豊臣秀勝は秀吉の一門衆として丹波少将の名をあげるのだった。このように・・・主家・織田家の遺産を着々と簒奪する秀吉に何かを思いながら黒田官兵衛はカトリックの洗礼を受け、ドン・シメオンとなる。天正十四年五月、荒木村重は追放の地・堺で逝去する。だしと村重の子とされる岩佐又兵衛は七歳になっていた。時は刻々と流れていく。

三河、遠江、駿河、甲斐、信濃・・・家康の領土は数カ国に渡っている。東の関東北条氏とは同盟関係にあるが・・・関白秀吉とは小牧・長久手の合戦以来、言わば休戦中である。しかし、家康には・・・伊賀忍軍という切り札があった。

天正十三年は秀吉と家康の暗殺合戦の年であった。

家康は初代半蔵の配下で達人と噂される影丸を大阪城に放った。

大坂城で・・・飛騨忍軍と影丸軍団が影の激突をしたのである。

七つの影法師と言われる影丸の影武者たちが次々と飛騨の影忍者を倒していく。

ついに・・・本丸の秀吉寝所まで影丸の本体である伊賀の臓六が侵入を果たした。

しかし、老いたりとはいえ猿飛の術を使う秀吉は間一髪で難を逃れる。

赤影と対峙した伊賀の臓六は飛騨の秘太刀で首を落される。

もちろん・・・臓六の秘術である亀首の術である。

森に捨てられた臓六の首なし死体からは・・・首がにょっきりと生え出す。

そこへ通りすがりの石川五右衛門が現れて腰を抜かすのだった。

五右衛門は襲撃の騒ぎを狙って秀吉自慢の茶道具を盗み出している。

「おや・・・影丸か・・・驚かすねえ」

「石川の抜け忍か・・・生きておったか・・・」

「もはや・・・伊賀の里もしまいや・・・抜けるも何もあらへん」

「盗人に身を落したか・・・」

「暗殺の請負人がえらそうに・・・」

「ふ・・・そりゃそうじゃのう」

信州では真田忍軍が徳川に叛旗を翻していた。

正攻法で猛攻を仕掛けた家康はここでも惨敗を喫する。

そして・・・官兵衛の放った神明衆の逆襲を受けるのだった。

毒矢を受けた家康だったが・・・徳川家秘伝の医術で一命は助かる。

そこへ・・・石川数正の出奔の報が届く。

「猿め・・・やりおるわ・・・」

控えの間で半蔵は無言だった。

「これは・・・もう・・・万事休すじゃのう・・・」

「国境の結界は万全でございまする」

「もうよい・・・ここは猿に頭を下げることにするわ・・・頭を下げるのはただじゃからの・・・」

家康は秀吉の人質となっている我が子・於義丸(秀康)に文を認めた。

そこにはただ一字、「下」と記されていた。

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2014年8月17日 (日)

セーラー服と宇宙人〜地球に残った最後の11人〜私は生き残れますか?(門脇麦)

谷間ですから。

とりあえず、体張ってる女優には生き残ってもらいたいね。

まあ・・・これは舞台やってるようなものだよな。

極限状態なのだが・・・緊張感はないという・・・。

断崖絶壁のホームドラマみたいな感じだよな。

こういうシチュエーションで何かを共感するのが困難な時代になっているような気がする。

気持ちの問題なのか・・。

「宇宙戦艦ヤマト」に何を感じるかだよな。

スターシアじゃなくてデスラーが救いの手を差し伸べて来た感じ・・・。

で、『セーラー服と宇宙人(エイリアン)〜地球に残った最後の11人〜・第1回~』(日本テレビ201406270059~)脚本・鴻上尚史(他)、演出・小室直子(他)を見た。基本的にはパロディーでありながら・・・思わせぶりな虚無を語る・・・そういう作風で三十年である。この閉塞状況をどうするか・・・答えを出さないまま・・・というのが長生きの秘訣である。しかし、即断、即決を求められる時代・・・ずるずると決断を引き延ばしちゃダメですか・・・という考え方は通用しないかもしれない。

巨大な隕石が地球に衝突し、人類は滅亡した。

しかし、はるかM87星雲から希望を愛する皇帝の支配する宇宙種族が人類に救いの手を差し伸べてきたのであ。

各地に着陸した宇宙船は生存していた地球人を確保。

次々に離陸していく。

しかし・・・宇宙人ギュル(池田鉄洋)は要領が悪く救助定員10名をなかなかに搾りきれないのだった。

ギュルが護身用の銃を紛失している間に宇宙船外に出ようという人々が脱出。

しかし、外は死の大気に汚染されていた。

生き残ったのはなんちゃって女子高校生の水瀬希望(門脇麦)・・・。

水瀬に一目惚れした立花(桐山漣)・・・。

脱出組を殺すきっかけを作った橋爪(永岡卓也)・・・。

自称美人の西原(須藤理彩)・・・。

自称霊能力者の寺田(大島蓉子)・・・。

官僚出身の政治家・森(篠井英介)・・・。

妊婦の大垣(西尾まり)・・・。

在日ナンゴロ人の木梨ネルグイ(清水くるみ)・・・。

婚約者のいる看護師・二瓶(笹野鈴々音)・・・。

小学生の雄介(石田竜輝)・・・。

老人の伊村(岡本富士太)・・・。

つまり・・・定員10人のところ・・・11人いる!のである。

10人しか救助できないと言われ・・・11人は毎回、議論し、対立し、ドタバタするのだった。

その中で水瀬は・・・子供っぽい夢とロマンに燃え正論を吐き続けるのである。

絶望的な状況の中、とりあえず生存を選択した大人たちはあの手この手で自分が生き残る方策を提案する。

主導権を握った森は「姥捨て山」作戦を実行。

高齢者の伊村の死を求める。

これにまっこうから反対する水瀬。

一転して無記名投票となり・・・森の根回しで水瀬に投票する伊村。

ショックを受ける水瀬。

今度は脱出組殺しの重荷を背負った橋爪が犠牲者を志願。

その成り行きに感じるところのあった伊村は百人一首作戦を提案、わざと負けて死を選ぶ。

「順番だよ・・・」

「伊村さん・・・」

千年以上生きているギュルも感動である。

しかし・・・大垣が出産し・・・物語は振り出しに戻る。

今度は在日ナンゴロ人(フィクション)のネルグイがターゲットになったりする。

ギュルは上司にせきたてられ・・・宇宙食による兵糧攻めを敢行。

とりあえず・・・じゃんけんで宇宙食を食べる権利を決める一行。

だが・・・勝者となった西原は宇宙食を喉につまらせ悶絶死するのだった。

こうして・・・出発かと思いきや・・・突然、「希望がないと出発できない」と言い出すギュル。

「今までの茶番はなんだったんだ・・・ふざけんな」とお茶の間と一緒に怒る水瀬だった。

そして・・・銃を手に入れた立花はギュルを威嚇するつもりで射殺してしまう。

そんなこんなで全9話の8話まで・・・。

次回、最終回である。

はっきり言おう・・・どうなってもいいやなあ。

だらだらと見るけどね。

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2014年8月16日 (土)

自殺も人が人を殺すこと。無理心中は自分も他人も殺すこと。世界にはもっと美味しいものがあります(中村ゆりか)

大日本帝国の無条件降伏による敗戦の日だった昨日。

しかし、周辺部では鬼畜ソ連軍による一方的な侵略行為が続いていた。

それによって取得した領土を合法的とするロシアの大統領の恐ろしさである。

「戦争は絶対にしない人たち」は「戦争は一国だけではできないこと」という単純な真理から目をそむけ続けるのである。

そして、中国やロシアという仮想敵国を想定することを妄想と断定するのだった。

「硫黄島からの手紙」(日本テレビ)と「終戦記念スペシャルドラマ・玉砕はみとめない、命ある限り戦え」(フジテレビ)に挟まれながら・・・「平和な日本」の「家族狩り」をお伝えしています。

まあ・・・一家団欒の団地の部屋の隣で・・・人が殺されているかもしれないのが現実の妙味ですな。

で、『家族狩り・第7回』(TBSテレビ201408015PM10~)原作・天童荒太、脚本・泉澤陽子、演出・山本剛義を見た。いよいよ、明日「ホットロード」公開であるが・・・次から次へと繰り出される宣伝のための能年玲奈の番組出演にまさに余計な心配し過ぎ祭りのほぼ一週間であり、その上で二日連続の谷間があって・・・このドラマのレビューがまともにできる自信がないのだった・・・いつもは自信あるのかよ。あーりんロボ程度に自信があーりん。フジの歌まつり・・・チームしゃちほこの出番少なかったな~。

・・・もういいか。

鑑識がゴンゾウだったら殴りつけるくらい三人の変死体のある現場を改変した東京都児童ケアセンター職員で児童心理司の氷崎游子(松雪泰子)と元引きこもりの巣藤浚介(伊藤淳史)だった。

もう、巣藤浚介はチビノリダーと言いたいくらい役柄ではなくいつもの伊藤淳史を演じているようにしか見えない。

おそらく・・・氷崎游子は責任感強すぎて鬱になってしまった中年女を演じているのだが・・・「私が殺した」的な脚本上のあざとさが鼻についてきている。患者を救えなかった医師とか、犯罪を未然に防げなかった警察官とか、生まれる前の戦争勃発を防げなかった日本国民とか・・・いちいち、そんな風に思ってたらやってられないだろう。

まあ・・・人間は何をしでかすか、わからないという大前提でスルーするしかないよね。

認知症の父親と胃癌かもしれない母親という家族と仕事も恋愛も上手く行かない自分自身を持てあまし游子は「死んだ方が楽だ」という心境になっているらしい。

刑事に説教された後は帰宅である。

しかし・・・何か特別なことに憧れる浚介は人が死んだ現場にもう少し居たいのだった。

そこへ・・・忙しいプライベートの合間を縫ってかけつける馬見原刑事(遠藤憲一)・・・。

浚介のシャンプーの匂いに激しく反応である。

そもそも・・・三人も死んでいる現場では出血のある場合は血の匂い、そうでなくても弛緩した内蔵からあふれ出す汚物の臭気で甘い香りもクソもないのである。

そして・・・どれだけ珍しいシャンプーであろうが市販されているものである以上、どれだけの人が使用していることか・・・。

さらに情報提供を求めるためとはいえ容疑者の情報を一般市民に漏洩しすぎである。

整理しよう・・・警視庁捜査一課は・・・「連続一家心中事件」を個別な心中事件として処理している。

しかし、馬見原刑事は「連続一家殺し事件」と考えて・・・事件を「家族狩り」と勝手に名付けている上に、犯人は昔、娘のことで叱られたことのある游子と断定しているのである。

いやあ・・・もう完全に頭おかしいですよね。

さすがに上司の警視庁刑事部捜査一課課長・藤崎(飯田基祐)はもしも殺人事件なら犯人は馬見原すもしれない・・・と思わざるをえない。

そして・・・ふたつの見立てに揺れる椎村刑事(平岡祐太)は現場に・・・馬見原刑事愛用のライターがあるのを発見して愕然とするのだった。

しかも・・・そのライターは証拠品として応酬されながら・・・紛失物となり・・・馬見原刑事の手に戻っているのである。

よく似たライターでしただったら卓袱台は推定100万個投げられると思う・・・低視聴率でよかったよな。

まあ・・・息子に自殺のような死に方をされたショックで妻は発狂、闇社会の女・冬島綾女(水野美紀)とその息子の研司(須田瑛斗)に執着していることがすでに常軌を逸しているので馬見原刑事が犯人でも意外でも何でもないという・・・。

そして・・・ちょっと頭の鈍い感じの研司を一人残して、まんまとおびき出され、凶悪な油井(谷田歩)の拉致を許す綾女もなんだかなあ・・・なのである。

そして・・・綾女からの電話にちょっと微笑む馬見原刑事・・・鈍いにも程があるのだった。

例によって組関係者を暴力で恫喝し・・・油井の行方を探る馬見原刑事。

それほどまでに敵対している前科者の故郷を刑事が知らないなんて・・・な。

要するに・・・ミステリ要素を含んだ文学を・・・ミステリ専門でないスタッフが適当にアレンジするととんでもなく不適当になっていくという・・・ね。

そして・・・故郷で・・・言うことを聞かない我が子を殴って階段から突き落とす油井。

頭から流血して横たわる研司。

まるで・・・死んでいるようだが・・・もし、死んでいなかったら、もう、スタッフを射殺したくなる描写だよな。

つまり・・・実森勇治(岡山天音)に献花しにきた天才美少女・芳沢亜衣(中村ゆりか)のセリフはスタッフの自虐なのか・・・。

「死んだって・・・それをネタにされるだけなんだよ・・・このくそスタッフにね」

そして・・・いたって無責任な男・浚介も「無責任すぎるでしょう」と叫ぶ。

なんだ・・・このスタッフ・・・失敗しても責任とりませんって言いたいのか。

一方・・・母が働き始めたと知り・・・母親の健康状態を案じる游子。

告知すべきかどうかを・・・何故か、浚介に相談しようと電話をかける。

しかし・・・游子が殺人犯かもしれないと突然怯え出す浚介は応じないのだった。

追い詰められた游子は家族を殺して自分も死ぬという甘美な誘惑に誘われる。

それは・・・游子が駆けつけた時に実森の母がまだ生きていて「楽になった」と幸せそうだったから・・・っていうか・・・死にそうな人間に応じてないで救急車を呼んでやれとお茶の間の半分は絶叫する場面である。

そこへ・・・颯爽と現れる白蟻駆除業者・大野(藤本隆宏)・・・。

自分で手配しておいて・・・見積もりを拒絶する精神異常の游子。

しかし、大野が「この家はまだ長生きする」と宣言すると・・・突然、正気にかえるのだった。

「助けてください・・・この家を白蟻から守ってください」

もちろん・・・ここでシロアリが登場するのは毒カレーを連想させるためであることは言うまでもない。

・・・おいっ。

つまり。一種の犯人宣言である。

・・・おいおいっ。

気分が良くなった游子へ・・・渓徳(北山宏光)から励まされた浚介の電話が入る。

完全に無理矢理な感じの恋愛モードである・・・ここは月9かと一瞬、迷うほどだ。

そして・・・夜の水辺でイチャイチャする二人だった。

「私・・・家族を救えなかったの・・・それは私が殺したようなものでしょ」

「なんだ・・・新人の救命医みたいなこと言って・・・僕だって生徒を救えなかった教師だぜ」

「じゃ、同罪ね」

「でも・・・あいつは自殺したんじゃないと思う」

「どうして」

「だって世界には美味しいものがいっぱいあるんだもの・・・それを食べずに死ねますか」

「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」

・・・もう、いいか。

二人が束の間の幸福に酔いしれている頃・・・。

ま、人間は午後9時に死にたいと思い9時5分には生きたいと思ったりする生き物だからな。

大野白蟻工業に就職したのに娘・玲子(信太真妃)との同居の許可が下りないことに腹を立てたアルコール依存症で明らかに人格障害者である駒田幸一は就寝した民子(浅田美代子)と清太郎(井上真樹夫)に刃物を振りかざす。

まだ・・・するかとお茶の間は絶望のため息をつくのだった。

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2014年8月15日 (金)

罪ほろぼしのチャンスをください(水川あさみ)東京スカーレット〜警視庁NS係って意味不明(小野花梨)

ですよねえ。

ちゃんとNSはNew Service(新しいご奉仕)の意味だって説明してたぞ・・・。

スカーレット(赤)は警視庁の捜査一課員だけがつける赤い記章をイメージしてるってことだしな。

っていうか・・・特命係って言えないだけなんだよ。

まあ・・・とにかく・・・東京スカーレットは人数多い版の「相棒」で間違いないな。

浅倉禄郎が転生して刑事になったんだよな。

まあ、かけもちだから、出番多いと「ゼロの真実〜監察医・松本真央〜」泉澤郁夫部長監察医がフランスに出張したりするけどな。

で、『東京スカーレット ~警視庁NS係~・第1回~』(TBSテレビ20140715PM10~)脚本・岩下悠子(他)、演出・近藤俊明(他)を見た。不倫とミステリに満ちた夏ドラマなので谷間で登場である。水川あさみは微妙なボジションである。いや・・・別にシリアスでもいいが・・・コメディーの方がね・・・。チームなので係長もそれなりに活躍するし・・・曲者のベテランも揃っている。ものすごくベタな感じが漂うのだった。そして、第一話では上昇志向の強いホステス役で岩田さゆりが死体になっていたり、主人公を騙す結婚詐欺師を黄川田将也が演じている。ベタだな。都知事役はラサール石井だし・・・それはベタとは言えまい。

とにかく・・・女性の幹部を登用するという政治的アピールのために警視庁捜査一課にNS係が新設され、初代係長に出町警部(キムラ緑子)が任命される。ちなみに上司の捜査一課長は岩井(中村雅俊)である。

そして・・・阿藤(生瀬勝久)や堀(菅原大吉)といったベテラン刑事の中で31歳だが新米の鳴滝杏(水川あさみ) が刑事として成長して行くという・・・ベタな展開である。

まあ・・・各話、アイディアもそれなりにあって・・・ミステリ好きはそれなりに楽しめるかな。

第5話では悪い噂のある阿藤刑事の真実が明らかになるという・・・ベタベタな展開である。

仏のような警察官・岡林(村田雄浩)に更生を促された覚醒剤使用歴のある女・真由子(中村ゆり)が登場。

真由子は連続強盗殺人事件の犯人で死刑囚の横井剛史(弓削智久)獄中結婚の相手である。

「私は・・・横井の経歴を知って・・・自分とあまりにも似ていたことに驚きました・・・私も岡林さんに会うまでは・・・獣でしたから・・・」

しかし・・・かって阿藤刑事の相棒だった岡林は応酬薬物の横流しの疑いをかけられ自殺していた。

阿藤刑事の悪い噂とは・・・岡林の自殺が阿藤の犯行を庇ってのことだったのではないか・・・という疑いによって生じている。

そんな折、真由子に「殺してやる」という脅迫状が届く。

横井に父親を殺された黒川秀輝(窪塚俊介)が捜査線上に浮かぶ。

ベタだが・・・ものすごく凝った話である。

真由子の護衛役となった鳴滝刑事と阿藤刑事だったが・・・恩人の娘である岡林春菜(小野花梨)に「あの阿藤刑事に護られるなんて最悪」と告げられ、真由子は阿藤刑事を遠ざける。

単独で鳴滝が護衛していると・・・真由子は毒殺されてしまうのである。

真由子を守れなかったことに責任を感じる真由子・・・。

しかし・・・凝りに凝った真相が続々と明らかになっていく。

実は・・・真由子はもう一人の恩人である岬加奈子(松本舞)を横井に殺されていたのだった。

獣なので・・・自分の罪を知らない横井に「愛」を教え・・・人間としての罪深さを自覚させてから死刑台に送り込む。

そういう復讐計画だったのだ。

そして、他殺と見せかけて自殺することで・・・「愛するものを失う悲しみ」を横井に与えたのである。

しかし・・・自分自身が愛に溺れた真由子は結婚が復讐のためだったという「残酷な真実」は封印したのだった。

岡林春菜は「獄中結婚なんて・・・セックスできないし・・・おかしい」と思うのだった。

・・・おいっ。「鈴木先生」がまじってるぞ。

やがて・・・鳴滝刑事は・・・春菜が治療に金のかかる重病だった過去があり・・・岡林が阿藤を庇ったのではなく、阿藤が岡林を庇ったのだと悟る。

まあ・・・なんか・・・そんな話です。

まあ・・・凝りに凝った話が好きな人にはいいと思うよ。

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2014年8月14日 (木)

女のために頑張る奴は総じてクズだ(早見あかり)一人じゃないって面倒くさい(藤井流星)アゲイン!!で手すりに胸のせ始めました(久住小春)

いろいろな意味で長い歌番組のための谷間である。

夏なんだなあ・・・。

それにしても・・・不倫がかぶりまくる夏ドラマにあって・・・そこでかぶるのかよっ・・・という叫びを残したのが・・・。

「アゲイン!!」と「あすなろ三三七拍子」である。

なにしろ・・・この二つのドラマは舞台が応援団・・・なのだ。

両方とも原作ものであり・・・そこには何か通じ合うものがあったのだろう。

それは・・・絶対、コミック「嗚呼!!花の応援団/どおくまん」(1975年)だと思う。

ちょんわ~ちょんわ~的に確信を持って言える。

もちろん、特に根拠はない。

で、『アゲイン!!・第1回~』(TBSテレビ201407230113~)原作・久保ミツロウ、脚本・高山直也(他)、演出・李闘士男(他)を見た。「モテキ」の原作者、「NIGHT HEAD」の脚本家、「ガンジス河でバタフライ」の演出家という・・・すでにとんでもない感じの顔合わせである。何より凄いのは原作者が・・・早見あかりをイメージして描いたというキャラクター・加保須南高校応援団長・宇佐美良子を早見あかりが演じているというキャスティングである。さらに宇佐美に意地悪をするチアリーダー部の部長アベタマこと安倍珠貴を演じるのがアニメ「きらりん☆レボリューション」の主人公・月島きらりでおなじみの久住小春なのである。元ももいろクローバーVS元モーニング娘。なのである。さらに秀才少女のレオこと柴田麗緒を演じるのが元おはガールの小島藤子・・・そしてもう一人のヒロイン・藤枝暁を演じるのは「ハードナッツ!」でチアリーディングサークル所属だった浅尾奈津子役の岡野真也である。実は「熱海の捜査官」の行方不明の女子高校生三人組の一人・萌黄泉である。このあまりにもそそるヒロイン競演・・・これだけで見る価値はあるし、藤枝は惜しみなくパンチラもありなのだった。・・・そこかよっ。

人に関わるとろくなことはないという信念を持つ今村金一郎(藤井流星)は「あまりにも何もない高校生活」から文字通り卒業しようとしていた。「家族狩り」の母親とほぼキャラクターが一緒の母親・里子(浅田美代子)はそれだけでもう面白い。「楽しい高校生活になるといい」と励ましてくれた祖母(藤夏子)も在学中に他界している。本当にこれでよかったのか・・・と金一郎はいつものように学校へ・・・。

そんな金一郎に言葉をかけてくれるのは教師の北島(近藤芳正)だけだった。

しかし、放課後、ひょんなことから・・・三年間全くコミュニケーションのなかった藤枝暁と階段落ちをした金一郎は・・・三年前の入学式の日にタイムスリップしてしまうのだった。

アゲイン(もう一度)のチャンスを得た金一郎の未来改変の旅が始るのであった。

藤枝暁は・・・せっかく交際していたイケメン彼氏との仲がフリダシに戻り、金一郎に怒りをぶつけるが・・・三年間を記憶しているもの同志・・・いつしか、共闘するようになっていく。

一方・・・金一郎が選択したのは・・・超美少女なのに何故か硬派バリバリの応援団長・宇佐美良子の勧誘を受けて応援団員になることだった。

あの時選択を間違えなければ違う人生があったはず・・・ダメ人間ならではの妄想に真っ向から取り組む展開である。

しかし・・・エキセントリックな性格の宇佐美良子は何故か物凄く古風な応援団のスタイルにこだわり・・・周囲から浮き上がる異常人物だったのである。

宇佐美団長の横暴に呆れて去って行った団員や、宇佐美を苦しめるためにはハニートラップや風邪菌ジュースも辞さないアベタマ、そして、アベタマの悪辣さに嫌気がさして金一郎に好意を抱き始めるレオ、実力はあるのにメンタルに問題のある野球部のエース・鈴木(宮里駿)、そして人柄はいいが変態の帰国子女・チャンクマ(渡辺佑太朗)・・・次々に繰り出される面白キャラクターたち・・・。

言いたいことはわかるが・・・ちょっと地味な「あすなろ三三七拍子」を圧倒する金髪主人公の応援団ライフが・・・展開していくのだった。

ま・・・比較するのはちょっと可哀想な気がしますが・・・どっちがどっちにだよっ。

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2014年8月13日 (水)

エボラ出血熱のようなもので退場(橋本真実)壁ドン(高良健吾)さよならなんて言わせません(橋本愛)

「続きはないのかよ・・・」と思わず叫ぶ最終回である。

「ケイゾク」や「トリック」あるいは「富豪刑事」などにはあったので・・・くるみとの再会の日を待ちたい。

それはそれとして・・・呪われた「地上波初放送」の後の第1回の再放送・・・。

6/29(日)にスポーツ中継の延長に伴って中止、7/8(火)深夜、台風関連ニュースのために休止、8/9(土)深夜、台風関連ニュースで中止・・・ようやく、8/11(月)深夜に執念の再放送完了である。

まるで・・・東京に来れないユイちゃんみたいだったぞ。

ついでに・・・なんだか恐ろしい「2014年の西アフリカエボラ大流行」である。8/8にWHOは、西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」であると宣言。外務省は、ギニア、リベリア、シエラレオネに対し「渡航延期勧告」と「退避検討勧告」を出した。パンデミック(世界的流行)への変化点が検出されないことを祈るばかりである。

そして・・・ミステリにおいて「エボラ出血熱のようなもの」が定番化していることに複雑な気持ちを抱きます。

ま・・・基本、こわいものみたさだからな。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・最終回(全8話)』(NHK総合20140812PM10~)脚本・蒔田光治、演出・河合勇人を見た。エボラウイルスが発見されたのが1976年である。フィクションの世界では映画「アウトブレイク」(1995年)がその恐怖を描いている。すでに新型ウイルスの生物兵器化ということでは「復活の日/小松左京」(1964)があるが・・・全身から出血して死に至るという病状がエボラウィルスをフィクションの素材たらしめるわけである。ミステリでは自然発生的なものから・・・ウィルスの人工的変異、そしてテロリストの強奪が一種のジャンルのようなものになっているわけである。先週なんて裏表・ウイルステロものだったのだな。

基本、作り手は神を惧れません。

警視庁公安部長・鶴橋の妻(阿部朋子)と初音署の女性警察官・高野沙織(橋本真実)が配達された小包を開けて謎の霧を吸いこんでしまう。

それは恐ろしい新型ウィルス爆弾だった。

過去が謎に包まれている警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)は「犯罪者の息子であり、身分を詐称して反社会勢力によって警視庁に送り込まれたスパイ」だったことがお茶の間に示される。

その仕掛け人である謎の男・黒沼(升毅)曰く「しかし、お前ときたら刑事になった途端・・・正義に目覚めやがって・・・」というわけである。

だが・・・警察官になるのに足枷となる経歴や家族の存在をクリーンにした組織と伴田刑事が無縁になったわけではないことも明らかである。

「ウイルスを使った犯罪はこれからが本番だ」と黒沼に告げられた伴田刑事は・・・罪なき婦人警官である高野沙織が標的となり「死に至るウィルス」に感染してしまったことに激しい罪の意識を抱くのだった。

「毒性があがって・・・手のほどこしようがありません」と感染症の専門医(阪田マサノブ)も匙を投げるのだった。

隔離された高野婦警とインターフォンで最後の対話をする伴田刑事・・・。

「ごめんなさい・・・せっかく歓迎会な誘ってくれたのに・・・」

「そうだよ・・・とっておきの店を予約していたのに・・・」

「残念です」

「元気になったら・・・今度こそ歓迎会をするから・・・」

「はい」

「すまない・・・」

「なぜ、伴田さんが謝るんですか・・・」

壁ドンである。

恋の三角関係的には天才女子大生・難波くるみ(橋本愛)は惨敗である。

初音署でのウイルステロ発生にくるみは伴田刑事に電話をかけまくるがリベンジに燃える伴田は応答しないのだった。

くるみは・・・鳴らない電話に・・・変化点を検出しようにもできないのだった。

せつない片思いである。

妻を殺害されたことで警視庁公安部長・鶴橋(梶原善)は世間の同情を買い、マスメディアで「テロ撲滅」を訴える。

警視庁捜査第一課長・青山(矢島健一)、管理官の小林(勝村政信)、警視庁捜査第一課刑事の高垣(波岡一喜)の無能トリオは新たなるテロの発生について東京生物科学研究所長・長部(小木茂光)や西尾研究員(正名僕蔵)に意見を問う。

「ウイルスを拡散させるのはそんなに簡単なことではありません・・・空気中でウイルスが感染力を持つのは数分ですし・・・散布されたウイルスは落下してしまいますから・・・」

言葉を濁す研究者たちだった。

「三日後に日本を沈没させるテロが起きる」と予言する黒沼。

しかし反社会的組織との関係を秘匿する伴田刑事にはなす術がない。

愛車ジャガーで闇雲に街を流す伴田刑事は「ウェリントンホテルに強盗が侵入し、被害額は1270円…」というニュースをカーラジオで耳にする。

その時・・・くるみが懲りずに電話をかけてくるのだった。

恋は盲目である。

困った時にはくるみに頼るちょっと悪い男である伴田刑事は東都大学数学科森崎研究室を訪問するのだった。

「三日以内に数学的に・・・テロの発生場所を特定できるか」

「できます・・・でも説明するのに三日かかります~」

「結論だけ・・・頼む」

「各地から人の集まる天井の高い部屋の可能性が高いと言えます~」

「なぜだ・・・」

「農薬をヘリコプターで散布するための理想的な高度と同じです」

直観力に優れた伴田刑事は・・・経団連のような経営者会議が開催されるウェリントンホテルの強盗事件を連想するのだった。

ただちに現場に向かう伴田刑事は・・・西尾研究員と合流する。

当然のようにくるみもやってくるのだった。

ドアの影からウインクするくるみを叱る伴田刑事・・・。

「帰りなさい」

「はい~」

しかし・・・くるみはうざくてかわいいよ、くるみ、うざくてかわいいよ的に帰らない。

くるみは・・・グランドホールの全国経営者会議に出席中の大出ホールディングス会長・大出俊一郎(斉藤洋介)に注目していた。大出はくるみの父親を自殺に追い込んだ男なのである。

調査を開始する伴田刑事・・・しかし、子供が悪戯したことで風船爆弾が軌道し・・・会場にウイルスが散布されてしまうのだった。

「今、ウイルスが撒かれた可能性があります」

「ただちに会場を封鎖しろ・・・」

上司の指令で・・・一人、会場を封鎖する伴田刑事。

現地に到着した特殊部隊は「武力」で「感染者」を「隔離」するのだった。

そして・・・サンプル調査によって・・・ウイルス感染が確認される。

大量の感染者発生に・・・受け入れ態勢が整わない警視庁・・・。

いや・・・もう政府レベルの話である。

その中で大出が肺出血の症状を発症する。

続いて・・・西尾研究員も・・・。

くるみは・・・大出を介抱する。

「君は・・・」

「昔、父親が世話になった難波くるみです」

「水をくれないか」

「・・・」

一瞬、冷たい視線を示すくるみ・・・。

「君は・・・あま難波さんの・・・」

「水です・・・」

くるみは優しく大出に水を与えるのだった。

直感的にふたりの関係を疑問に思った伴田刑事が問う。

「昔・・・私の父は町工場の経営者でした。新しい技術を開発した父親を大企業の既得権益を守るために阿漕な契約で騙したのが大出です・・・父は経済的に困窮して自殺、母親は病死しました。私はさっき一瞬、このまま苦しんで死ねばいいのに・・・と思いました。でも・・・彼らに復讐するために数学を勉強している私なので・・・こんなところで死んでもらっては困るんです~」

「君は・・・馬鹿だな」

しかし・・・暗い過去を持つ正義の男・伴田刑事のくるみを見る目は変わる。

単なるお嬢様の数学者から・・・保護するべき対象に・・・。

やがて・・・換気扇の停止に対応して酸素が注入され・・・鶴橋の奇妙なアナウンスが流れる。

「無暗に脱出はしないでください。裏口にも私の配下の者が配置されています・・・」

それに応じたかのように・・・裏口に放火しようとする西尾研究員。

伴田刑事とくるみがそれを制する。

「私だけが救出される予定だったのに・・・」

「いえ・・・酸素が注入されている今・・・放火は爆死を意味します・・・あなたは殺されかけたんです~」

「そんな馬鹿な・・・」

「じゃ・・・死んでみますか~」

伴田刑事は西尾研究員の嘘の死亡情報を流す。

そして・・・くるみは・・・伴田刑事とのファースト・キスの夢を見た。

たちまち始る救出劇。

検査の結果・・・くるみと伴田は感染を免れていた。

しかし・・・西尾研究員は隔離後に死亡したのだった。

そして・・・すべての犯行は西尾研究員のものと断定されたのだった。

くるみは・・・西尾研究員の残したメモの「配下の者」という文言から黒幕の一人が鶴橋であることを解くのだった。

黒沼が真相の一部を明かす。

「そうだ・・・鶴橋たちは・・・今回の騒動で円安を誘導し・・・為替レートの操作で巨額の金を得ようとしていたのだ・・・自分の女房の命なんて安いものだからな」

すでに・・・鶴橋の属する勢力に飼いならされた警察はまったく動かなかった。

実は・・・難病に冒されている伴田刑事は・・・正義のために暗殺者になることを決意する。

くるみに別れの電話をする伴田・・・。

「風邪ひくなよ・・・」

くるみは・・・数学を越えて変化を感じ走りだす。

選挙演説をする鶴橋にトカレフの銃口を向ける伴田。

しかし・・・くるみは伴田に抱きつくのだった。

「どうしたんだ・・・」

「伴田さんが・・・どこか・・・遠くに行ってしまうような気がして・・・」

「馬鹿・・・くるみ」

頭ポンポンである。

余命いくばくもない伴田刑事・・・復讐途上のくるみ・・・君臨する巨悪。

様々な後味の悪さを残して鮮やかな幕切れ・・・。

美しい復讐の女神としてくるみは佇むのだった。

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2014年8月12日 (火)

ごめんね素直じゃなくてミラクルマジックブレインロマンス思考回路はショート寸前(木村拓哉)

言葉によるコミュニケーションの話である。

英語圏で仕事をすると・・・通訳抜きでは仕事ができない語学力しかないことがものすごいストレスになる。

話が通じないというのはつらいことだ。

それでも「ワタシノイイタイコトワカリマスカア」的に一生懸命伝えようとしなければならない。

すると人間同士なので最低限の相互理解はなんとか可能なのである。

日本語でも専門用語がからむと似たようなことは発生する。

一方、テレビでは不特定多数の人に理解してもらう必要がある。

「ご理解いただけたでしょうか」ではなく「おわかりになりましたか」あるいは「わかった?」の方が正しかったりするのだった。

子供の視線に立つというのは・・・ある意味で子供を馬鹿にした話である。

「被疑者」を「悪いことをしたかもしれないとうたがわれている人」と言い換えることは可能だが・・・「ヒギシャ」という耳慣れない言葉を新鮮に受け止めることができるのも子供なのである。

「ウルトラマン」とか「仮面ライダー」とか「月に代わっておしおきよ」とかだって最初は凄く耳慣れない言葉なのである。

しかし・・・「なんだかすげえ」が伝われば・・・子供は耳を傾けるものだ。

そうでない子供はバカなので仕方ない。

バカでない以上、相手の立場になって考えることと自分の信念を貫くことは・・・融合することが可能なのである。

言葉によるコミュニケーションに実は限界はないのだった。

で、『HERO(第2期)・第5回』(フジテレビ20140811PM9~)脚本・福田靖、演出・金井紘を見た。どんなドラマにも寓話性はあるが・・・このドラマの寓話としての主題の展開の仕方は緻密で驚異的なものがある。今回は鬼の川尻こと川尻健三郎部長検事(松重豊)にスポットライトがあたる。仕事が山積みで管理職である鬼尻が・・・現場に一時復帰するという「話」である。鬼尻が担当するのは置き引き事件で被疑者は小茂田繁樹(矢崎広)だが事件の目撃者が小学生や幼稚園児で証言を得ることが難しいという「話」なのである。一方、久利生公平検事(木村拓哉)と麻木千佳事務官(北川景子)が担当しているのはゴルフ場の吊り橋崩落によってキャディーが負傷し設計者の責任が問われている事件。久利生は設計者を取り調べるために吊り橋の設計の基礎知識から専門用語までを勉強中という「話」である。

鬼尻部長は「子供たち」・・・久利生は「専門家」という「話」の難しい相手に立ち向かう「話」なのである。

さて、臨時の現場復帰であるために・・・事務官は交代制で鬼尻部長を補佐するわけだが・・・麻木が久利生と鬼尻を比較し・・・二人が似たもの同士であることを感じたり、検事職の本質を学んだりするのが重要な「話」になっているという仕掛けになっている。

この大筋を語りながら・・・各検事や事務官の個性を見せつつ、さらには牛丸次席検事(角野卓造)の「話」まで盛り込み・・・ついには久利生が「検事」としての筋を通しながら・・・「仲間」への愛を貫くという「話」にまで踏み込んでいく。

なんという「話」の上手さなのだろう・・・と脚本家の腕前に舌を巻くという「話」なのである。

城西支部で健康診断の結果・・・麻木事務官は体脂肪の数値の増加が・・・取調に時間をかけすぎる久利生検事のために残業が増え食事が不規則になったのが原因と断定する。一方、久利生は健康器具マニアとして体脂肪率ヒトケタという驚異的な健康を維持するのだった。対して鬼尻部長はすべての数値が悪い方に向かっていた。

そのあげく、久しぶりの現場では取調にキレがない。

監視カメラの映像で「盗品を持って逃走中」の被疑者に「急にカバンを渡されてあわてて追いかけただけ」と否認される始末に末次隆之事務官(小日向文世)は「昭和の香りが強すぎる」と呆れる。

一方、久利生は「吊り橋のすべて」を知るために参考図書を大量に収集し、麻木事務官に「専門家に意見を求めればいいのでは」と意見されるのだった。

鬼尻部長も久利生検事も・・・自分が納得しないとダメなタイプなのである。

ここから・・・一部のお茶の間は・・・鬼尻部長の鬼瓦的表現力と・・・目撃者の一人、女子小学生のレイナ(桜田ひより)の演技力に欺かれることになる。

レイナが鬼尻の顔がこわくて証言ができない・・・という欺瞞である。

そのために・・・井戸事務官(正名僕蔵)は鬼尻のネクタイを外させ、遠藤事務官(八嶋智人)は男子小学生への家庭訪問で鬼尻をリゾート・スタイルに導く。

さらに麻木は鬼尻に幼稚園児と一緒にお遊戯をさせる。

麻木はうさぎさんで可愛いが鬼尻は「ゲロゲーロ」なのである。

「部長、固い、固いです」

そこそこ園児に気に入られた鬼尻だが・・・遊ばれただけで証言を得ることはできないのだった。

久利生は「構造物に荷重が作用して部材内部に発生する曲げモーメントという断面力」を理解しようと数式に取り組むが中卒の学歴が立ちはだかる。そんな久利生を東大法学部卒業の宇野大介検事(濱田岳)が上から目線で見下ろすが、それはもちろん、久利生がイスに座っている間の出来事だった。

鬼尻の補佐を終えた麻木が復帰して、久利生愛用の電動マッサージ器で園児相手の肩こりをほぐすと複雑な感情を胸に立ちさる宇野検事。

「そんなんじゃ、ダメだ・・・ここをこうだよ」

「あ、いい・・・気持ちいい・・・」

「だろう」

二人のいい感じに意気消沈する宇野検事を末次事務官は「肩が重い・・・片想い・・・なんちゃって」と慰めるのだった。

それをおちょくりとはとらない宇野検事である。

理解とはほぼ誤解なのである。

取調に自信を失った鬼尻は・・・辞職を牛丸次席検事に匂わす。

馬場礼子検事(吉田羊)は田村検事(杉本哲太)と痴話喧嘩をすることで・・・事情を知る鬼尻部長の必要性を訴える・・・しかし、慰留工作は功を奏さないし、それが慰留工作であることをほとんどのお茶の間は察しないのだった。

「St.George's Tavern」の出番である。

麻木事務官のリクエストで「フォー」があるよのマスター(田中要次)である。

かっては特捜で鬼検事と呼ばれた鬼尻部長・・・。

「しかし・・・手間をかけすぎる俺の捜査方針は・・・特捜にはあわなかった・・・与えられた仕事を適当に処理することができなかったんだ・・・特捜から左遷されてずっと管理職だ・・・俺は検事として終わっているのかもしれない」

麻木事務官は・・・鬼尻が久利生と似ていることに気がつく。

しかし、久利生は「テレビ・ショップ」の「記憶力を飛躍的に高めるサプリ・ミラクルマジックブレイン」に心を奪われるのだった。

「検事をやめたら弁護士になるんですか」

「いや・・・農業でもやるよ」

鬼尻が去ると麻木は久利生を問いつめる。

「部長がやめちゃっていいんですか」

「でかいキャベツとか作りそうだな」

「どうすればいいのかしら」

「とりあえず回鍋肉かな」

「ちがうっ」

もちろん・・・久利生は鬼尻のことを深く案じているのである。

基礎知識をマスターした久利生は専門家に意見を求めに行く。

自分が理解したことが正しいかどうかをチェックするためである。

もちろん・・・建築や土木の専門家には及ばないが「話」がしたいのである。

そこで「社会科見学」に来た子供たちの写真を麻木に指示す久利生・・・。

「本当の自分を取り戻すことが大切だ」と久利生は語る。

麻木は・・・子供は仲間と一緒なら心を開くのではないかと誤解するのだった。

そこでレイナを同級生たちと東京地方検察庁城西支部に招待する麻木だった。

そこで・・・久利生は検事の仕事について・・・鬼尻に語らせるのだった。

本来なら・・・「皆さん・・・裁判って知っていますか・・・そう・・・誰かが悪いことをしたかどうか・・・決めることだよね・・・おじさんの仕事は悪いことをしたんじゃないかと疑われている人をいろいろとしらべて・・・裁判にかけるかどうかを決めることなんだ」的なことをレクチャーするべきなのかもしれない。

しかし・・・鬼尻は・・・。

「検事は被疑者を取り調べて起訴するか不起訴にするかを決める仕事です。警察にはたくさんの警察官がいて機動力があるのでいろいろなことを調べることができます。しかし、検事の人数は少ないのでそういうことはできません。それでは何をするのか。検事は話を聞くのです。疑われている人の話も聞きます。事件について何か知っている人の話も聞きます。そして・・・本当のことが何かを判断するのです。本当のことがわからなければ正義を行うことができないからです。検事は正義のために真実を求めていろいろな人から話を聞くのが仕事なのです」

真摯な鬼尻の言葉に子供たちは心を奪われるのだった。

眼圧(正しくは眼力)の強い麻木は検事の心の真実に触れ、心を揺さぶられる。

それはレイナも同じだったらしい。

「何を見たか・・・話して下さい」

鬼尻の言葉に・・・レイナは我慢していたものをあふれださせるように泣きだすのだった。

小茂田繁樹の取調。

「お前は・・・事件を目撃した小学生にナイフを見せて黙っていろと脅したそうだな」

「・・・」

「刑法238条、財物の取り返しを防ぐため、逮捕を免れるため、または、罪証隠滅のために、暴行・脅迫をすることは事後強盗の罪に問われる」

「・・・」

「必ず実刑にしてやるっ」

「部長がキレたよっ」と一同は鬼の川尻復活を讃えるのだった。

麻木の尽力に感謝する鬼尻部長。

「いえ・・・すべて久利生検事の采配です」

「じゃ・・・久利生にも御礼を言わないと・・・」

「いえ・・・久利生検事はそういうの・・・苦手ですから」

「ふふふ・・・久利生のことはなんでもわかってるんだな」

「私は・・・久利生検事の事務官ですから」

微笑む鬼尻・・・実はすべてお見通しだった気配さえあるのだった。

吊り橋崩落事件の取り調べ。

嫌疑をかけられた設計者は・・・専門知識で誤魔化そうとする構えである。

しかし・・・「設計上、明らかに吊り橋の強度に問題があったこと」を専門用語を交えて話す久利生に・・・被疑者の顔色は蒼ざめるのだった。

「橋をつくる専門家として・・・あなたが良心に恥じない仕事をしたのかどうか・・・じっくりお話を聞く準備ができています」

検事の仕事は「正しく法を執行するために関係者の話を聞くこと」という「話」だった。

そして・・・そのために時間を惜しんではいけないというのが・・・久利生と川尻部長を結ぶ検事の絆なのである。

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Hero005ごっこガーデン、危惧のある器具のある職場セット。アンナドラマではなかったけど、ダーロイドとお遊戯ごっこをするのだぴょん。じいや、やかましい子供たちのいる幼稚園セットのスタンバイよろしこぴょん。かえるはけろけろでお願いぴょん。アンナもカエルの耳をつけるのぴょ~ん。ダーリンとおそろいでカエルになります。上司と言えども同じ検事仲間として愛をそそぐ久利生・・・じわじわと痺れるぴょん。凶悪犯を叱りつけるところは・・・川尻部長と久利生検事はそっくりさんなのでした~mana久利生の体脂肪率が8.2%って・・・カキコを勝矢におすそわけしている効果?・・・脳ミソがお利口さんになりたいよねえ・・・Miracle Magic Brainを注文しなきゃだす・・・言葉を越えた説得力・・・それが人の力・・・mari久利生は二代目鬼尻・・・だから宇野は許されないGパンを久利生は公認・・・ありのままの大切さを鬼尻も知っているのですね

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2014年8月11日 (月)

踊る阿呆に見る阿呆同じ阿呆なら踊らにゃ損々・・・と兄・蜂須賀家政(高畑充希)

小牧・長久手の戦いも四国征伐も一瞬に過ぎ去り・・・戦国武将が武辺を全く示さないこの戦国大河・・・。

絶望した・・・。

だが・・・今さらなのである。

そういう合戦のロケをしていればそれなりに噂が出るわけであり・・・そういう噂が全くないところから・・・この戦国大河には合戦はないのだと最初から分かっていたのだった。

とにかく・・・軍師官兵衛がなんとなく凄い。そして黒田家は21世紀家族としても模範的。

それだけの話である。

だったら・・・レビューもかなりいい加減でいいじゃないか。

黒田官兵衛の長男・黒田長政の最初の妻・糸姫は蜂須賀小六の娘である。

四国征伐の後に秀吉は小六に阿波国18万石を与えたのだが小六が辞退したために子の蜂須賀家政が大名となった。

つまり、糸姫の兄である。

この家政が徳島城落成の記念に阿波踊りを始めたという説がある。

その説に従えば糸姫は阿波踊りを始めた男の妹であり・・・ものすごく親しみ感じる気がする。

ちなみに長可、乱丸など兄弟がみな戦死した森忠政も美濃金山城主になっていて、池田恒興・元助父子も戦死したために池田輝政も美濃大垣城主になっている。

秀吉家臣の黒田長政、蜂須賀家政、森忠政、池田輝政・・・この「政」の字ブームは誰の影響なんだ・・・。

まさか・・・お市の夫・浅井長政じゃあるまいな・・・。

美人妻とご縁がありますようにか・・・。親心かっ。男のロマンかっ。

で、『軍師官兵衛・第32回』(NHK総合20140810PM8~)脚本・前川洋一、演出・本木一博を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はやや盛り返して36行でございました。まあ・・・秀吉・三成と官兵衛の駆け引きがそれなりに見ごたえがあったということでございましょうか。まあ、主人公以外はどんどんヒールになっていくという水戸黄門感覚が・・・。まあ、それもまた人生ですな。今回は文禄三年(1694年)までは生きたともされる小寺高友(黒田休夢)の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。なんだかんだ出番多いですな。秀吉のお伽衆の一人だし、茶人として利休とも交際があるのでまだまだからんできそうでございます。茶室や茶道具などにはそれなりに拘りを持っている大河ということでございましょうねえ。安土・桃山文化をじっくりと描かれても唖然とするしかないわけですが・・・。これも御時勢なのか・・・。今こそ戦史を学ぶ時代じゃないのかっ。しかし、栄姫がキャスティングされているらしいので・・・関ヶ原の合戦まで・・・あらゆる合戦が超高速で過ぎていくという・・・エスパー伊東な展開が・・・。嗚呼、物悲しい・・・。

Kan032天正十一年(1583年)、秀吉は大坂城の築城を開始する。秀吉が織田家の後継者として振る舞い始めたことに危機感を持った尾張国主・織田信雄は徳川家康と同盟し、天正十二年(1584年)三月、秀吉に宣戦布告。しかし秀吉は旧織田家家臣を調略。伊勢国の織田信包(信長弟)、九鬼嘉隆、関盛信、美濃国の池田恒興、森長可などが秀吉方につくと・・・信雄方は早くも敗色濃厚となる。しかし、四月、野戦においては圧倒的な威力を見せる徳川軍は三河急襲を企てた秀吉の甥である三好秀次軍団を長久手における奇襲攻撃で壊滅することに成功。これに対し秀吉は包囲戦を続行し、その圧力に屈した信雄は十一月単独で降伏。家康は三河に撤退する。天正十三年(1585年)三月、大坂城を完成した秀吉は雑賀党の首領・鈴木重意を謀殺し紀伊国を平定する。さらに長宗我部元親の支配下の四国に侵攻を開始し、毛利輝元や小早川隆景、宇喜多秀家など中国勢を動員し、七月、長宗我部元親を降伏させる。これにより、近畿・中国・四国・北陸・甲信越が秀吉の支配下に入る。ここに至って秀吉は関白に任官し、豊臣姓を賜る。天正十四年(1586年)ついに徳川家康は秀吉に臣従する。ちなみに黒田官兵衛の父・職隆は天正十三年八月に逝去した。この年、黒田長政の二番目の妻となる徳川家康の姪で保科正直の娘・栄姫が誕生している。

大坂城に石田三成がいる。

すでに秀吉の側近中の側近として頭角を現している三成の妻は尾藤頼忠の娘おうたである。

頼忠の兄・尾藤知宣は秀吉の古参の家臣であり、尾藤家は信濃出身の忍びだった。

当然、おうたもくのいちである。おうたの姉おやまは真田忍軍の長・昌幸の正室であり、真田信幸、真田幸村の母である。

石田三成も当然、忍びである。

そもそも・・・石田家は近江の甲賀衆の一族であり、信濃の真田一族とは同族である。

さらに黒田家もその系譜に属している。

しかし、戦乱の中、播磨に根を張った黒田一族と石田一族の縁は切れている。

それが織田信長、羽柴秀吉という戦国の巨人たちによって再び出会ったわけである。

秀吉は尾張時代、近江・長浜時代、播磨時代とそれぞれの時代に応じて家臣団を増強していった。

播磨において尾張国時代の秀吉の戦友とも言うべき蜂須賀家と新参者の黒田家が結ばれたのは政略結婚以外の何物でもない。

しかし、戦術家の蜂須賀小六と戦略家の黒田官兵衛は補完的な相性の良さがあった。

同様に真田昌幸と石田三成もペアを組んでいたのだった。

それをつなぐのがおやまとおうたのくのいち姉妹だったのである。

羽柴秀吉の傘下で・・・二組のペアは次第に権力闘争を深めていくが・・・その火蓋はまだきられていなかった。

くのいちおうたの使いは大阪城の三成に囁く。

「三河のこと・・・成就しましたぞ」

「そうか・・・家康が大坂に参るか・・・」

「いかにも・・・」

これで・・・と三成は笑みを浮かべる。

浅井の姫が上様の子を宿せば・・・石田の天下が来ると確信したのである。

織田忍びの血を引くくのいち茶々は・・・性の秘術を母・お市から伝えられていた。

子種がないとされる上様の精を搾りとることさえできれば・・・。

三成は笑みをおさめ・・・その段取りをつけるために・・・本丸へ向かう。

その表情は女衒そのものだった。

これで・・・あの忌々しい官兵衛に水をあけられる。

三成は禍々しい笑みがこぼれそうになるのを自制していた。

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2014年8月10日 (日)

魔法★男子チェリーズの妹で同窓生〜人は、三度、恋をする〜の最初の恋人ですが何か?(吉田里琴)

谷間なのに二本立てか・・・。

「魔法★男子チェリーズ」はともかく、恋愛の神様(一同大爆笑)原作の「同窓生〜人は、三度、恋をする〜」は駆け足で駆け抜けたいドラマだろう・・・基本的にいつまで恋愛してんだよって話だからな。まあ、いいではないか。

それができるのはある意味、素晴らしいキャラクターなんだろうよ。

この夏は誰もがご存じのよろめきシリーズである。

かぶるにもほどがあるよな・・・。

解放的な気分なんじゃないか。

中学生の夏休みかよっ。

まあ・・・とにかく・・・吉田里琴が健在なのを確認できるのはいいことだ。

で、『魔法★男子チェリーズ・第1回~』(テレビ東京201406220210~)脚本・正岡謙一郎、演出・山本清史を見た。吉田里琴も二作出演だが・・・今季はそういうパターンが多い。このドラマのヒロインを演じる清水富美加も「ペテロの葬列」の前野メイ役とかけもちである。21歳になった志田未来は「信長のシェフ2」と「ST赤と白の捜査ファイル」でヒロインをかけもち。高畑充希は「あすなろ三三七拍子」と「軍師官兵衛」をかけもちである。昨日も言及したが松浦雅の「家族狩り」「GTO」などもある。それぞれのポジションで頑張っているわけだが・・・もちろん子役出身としては志田未来の健闘が光っているのである。ヒロインかけもちはなかなかにハードスケジュールだ。

さて、東京都八王子を舞台にした超能力者戦隊ものであるこのドラマ。

主人公は堂神哲(橋本良亮)だが・・・ようするにABC-Zのメンバーが超能力者なのである。

その超能力者は八王子近辺で発生する。

そういう血筋が結集しているという設定である。

超能力者は17歳男子で童貞というのが条件である。

超能力者はそれを善用する魔法使いと・・・悪用する妖精に分類される。

つまり・・・魔法使いたちは妖精を退治するのが使命なのである。

捕獲された妖精は・・・世にも恐ろしいシステムで童貞を強制卒業させられ能力を消失するのだった。

吉田里琴が演じるのはチェリーズのメンバーで暴走族の総長・・・しかし童貞・・・の伝法寺亨(河合郁人)の妹の中学生・伝法寺ユキである。

兄の亨はラーメン職人であるが・・・スープにダシを使わないのでまずいラーメンしか作らない。

その味をめぐり兄妹喧嘩が絶えないという設定である。

もちろん・・・ユキが口達者なことは言うまでもない。

チェリーズの集会は怪しい童貞の集いなので・・・それを目撃したユキは「うざっ」と言う他ないのだった。

第5~6話では・・・亨の因縁で・・・憑依能力のある妖精に心を乗っ取られて放火犯人になってしまうユキだった。

つまり・・・悪い子になってしまうのだった・・・その善と悪のスイッチ演技が抜群なことは言うまでもない。

まあ・・・ある意味、超演技力の無駄使いだが・・・これも下積みというものだろう。

一方、「仮面ライダーフォーゼ」のヒロインでおなじみ清水富美加は19歳のなんちゃって高校生で主人公の初恋相手である。魔法★男子チェリーズ1号としての堂神哲に憧れているが・・・堂神哲がヒーローだとは知らないという古典中の古典設定。さらに堂神哲の妄想の中で様々な表情を見せるという展開になっている。1994年度生れ組のサバイバルも酣なのである。二階堂ふみ、土屋太鳳、川口春奈、岡本杏理、福田麻由子、松岡茉優、竹富聖花、早見あかりなどがひしめいているからな。

超加速能力者を防壁に衝突させて倒すなど・・・そこそこアイディアもあるが・・・作品としては・・・まあいいか。

とにかく・・・魔法使いと妖精がダンスバトルで対決とか・・・ものすごく無理があるよな。

で、『同窓生〜人は、三度、恋をする〜・第1回~』(TBSテレビ20140710PM9~)原作・柴門ふみ、脚本・田渕久美子、演出・吉田健(他)も見た。クリーニング屋の健ちゃん(井浦新)とヘアサロンのスタイリストのあけひ(稲森いずみ)が中学の同窓会で再会し・・・夫のある身でありながら・・・あけひが健ちゃんに惹かれていくという展開である。

吉田里琴はあけひの中学時代を演じ、回想シーンでの登場となる。

まあ・・・初恋の少女である以上、これ以上なく美少女なのであり・・・その点は文句なく魅力を堪能できるわけである。綾瀬はるか、菅野美穂、黒川智花、山田優、小池栄子、安藤希・・・ヒロインの少女時代のキャリアがまた一つ増えたんだな。まあ、美人女優の子役ができるのは美少女の証なのである。

関連するキッドのブログ→ホワイト・ラボ~警視庁特別科学捜査班~

Rico2014sCLUB Rico開催中。シャブリ「同窓生はなんだかんだで吉田里琴ちゃんの出番が多くて喜ばしいのでありました~mariまあ、ほぼ第一回でしたけどね~エリですよね~

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2014年8月 9日 (土)

私が殺すしかないという気持ち(水野美紀)

水槽のメダカが増殖し、親が子をバリバリ食べるので隔離する。

なんとなく神様になったような気分を味わうわけだが、美味しい生きた餌を取り上げられた親メダカにとっては悪魔なのかもしれない。

世界はなんという油断ならない弱肉強食の論理で満ちていることか。

とんでもないことをしでかしかねない子を持った親は・・・殺さなければ何をしていたと言われ、殺せば鬼と言われるわけである。

正気とは言えない認知症患者が親になってしまえば子供は正気を保つだけでも大変だ。

家族が家族の面倒を見る。

その普通のことが困難であることは多い。

いい家族とは単に運のいい家族に過ぎないのだった。

その幸運を噛みしめるドラマである。

で、『家族狩り・第6回』(TBSテレビ20140808PM10~)原作・天童荒太、脚本・泉澤陽子、演出・坪井敏雄を見た。脚本家チェンジで後半戦開幕である。「あぽやん〜走る国際空港」「安堂ロイド〜A.I. knows LOVE?〜」「トクボウ 警察庁特殊防犯課」と手堅いまとめ役として登場する若手である。ものすごくまとめてきました。同時に写真のみの登場だった「ベル電気」の鈴木渓徳(北山宏光)の歌舞伎狂いの妻・佳苗(松浦雅)が顔見世興行である。連続テレビ小説「ごちそうさん」の西門ふ久で「GTO」でなんちゃって女子高校生(19)もやっている。ちなみに松浦雅は「第1回JUNONプロデュース ガールズコンテスト」(2012年)のグランプリ受賞者なのだった。ついでに第2回のグランプリ受賞者・川鍋朱里(13)は「おはスタ」(テレビ東京)でおはガールをやっています。・・・おいっ。その情報いるのかよっ。

・・・さて。

いろいろと豪快に引いた前回・・・である。

まず・・・油井(谷田歩)の策謀に乗って・・・夫・馬見原刑事(遠藤憲一)の愛人・冬島綾女(水野美紀)を剪定鋏で殺害しようとした佐和子(秋山菜津子)は相手が誰かも確かめることもせずに包丁を突き上げた綾女に先手をとられ転倒。

「誤解です・・・あの人は亡くなられた息子さん・・・勇男さんに重ね合わせて・・・ウチの子を守ろうとしていただけです」

その言葉を信じた佐和子は思わず自決しようとするが・・・修羅場をくぐっているらしい綾女は素手で鋏を受け止めるのだった。

打ちのめされた佐和子は・・・放浪し、入水自殺を図った所で保護される。

大騒ぎである。

かけつけた馬見原刑事に「私が・・・あの人のように自立した女だったら・・・勲男だって・・・あんなことにはならなかったもしれない・・・あの子を殺したのは私です」と懺悔する佐和子。

しかし・・・何故か・・・馬見原刑事と冬島母子の写真を入手した石倉真弓(篠田麻里子)は父親を罵るのだった。

「あんたってどこまで酷い男なの・・・兄さんだけでなく・・・母さんも殺す気・・・この死神」

だが・・・初対面の真弓の夫・鉄哉(佐野和真)は冷静に挨拶をする。

「この子は・・・お義父さんにとっては孫になります。抱いてやってください・・・それにお義母さんはやはりお義父さんと暮らした方がいいと思います」

まあ・・・父親としては頭のおかしな祖母を孫の側に置いておきたくないよな。

妄想的には「奥さんを狂気においやった人が責任もって始末してください」ということになるのだった。

綾女はとっとと夜汽車に乗るべきだしな。

一方、アラフォーで一途に結婚したいだけの国語教師・岡美歩(山口紗弥加)に恥ずかしいところを見られて逆上した実森勇治(岡山天音)は石膏象をふりあげるが・・・元引きこもりの巣藤浚介(伊藤淳史)の制止の声には従うのだった。

そして、自宅に暴れに帰るのだった。

あわてて・・・追いかける適当にお人よしの浚介。一方、実森の母親(占部房子)は東京都児童ケアセンター職員で児童心理司の氷崎游子(松雪泰子)を呼びだす。

合流した二人は土足で実森家に上がり込むが暴れるだけ暴れた実森は部屋に引きこもる。

「何かあったら相談してください」

「子供を生んでないあなたたちに親の気持ちがわかるわけない」

自信喪失中の游子は山賀葉子(財前直見)の名刺を渡す。

「この人なら子育ての経験があるので・・・」

何故か、游子を崇拝する浚介は「他人にまかせるなんて」と不満を口にする。

しかし・・・游子は何もかもを背負いこみ、心が折れかかっているらしい。

自宅に戻れば・・・母の民子(浅田美代子)は不在で・・・父親の清太郎(井上真樹夫)は空腹のためにトイレットペーパーを痛快丸かじりであった。

実は民子は・・・家計を助けるためにパチンコ屋に就職したのだったが・・・何故かそれを娘に告げない。

娘は認知症の父親と家庭を顧みない母親、そして虫食いで床板の鳴る古い家に心を蝕まれて行く。

実森が登校した件がネットに投稿され・・・何故か・・・父親に切りつけた後、消息不明だった芳沢亜衣(中村ゆりか)が「感動して改心した」と登校してくる。

そのために・・・浚介の桐明学院高校での評価は上がったのだった。

美歩も「学校で猥褻な動画を鑑賞していたこと」を許してくれるらしい。

しかし・・・何か特別なことに憧れる浚介には・・・そういう日常はどうでもいいことなのである。

彼にとっては不登校の少年と心が通い合ったことが人生で最大の痛快事だったのである。

一体・・・どんな人生だったんだ・・・。

游子は山賀によって実森家に呼び出される。

別居中の実森の父親も訪れていた。

「あの子は成績優秀だったんですが、中学受験にも高校受験にも風邪を引いて失敗したのです・・・そして・・・」

母親は体調管理の責任を感じていたらしい。

「私には・・・もう・・・妻や息子を愛するモチベーションがゼロなんです」

父親の残酷な心情吐露に思わず服毒自殺を図る母親。

それを制する游子。

「どうしてこんな薬を・・・」

「いざとなったら・・・あの子を殺そうと・・・でも・・・できなくて・・・こうなったら私が死ぬしか・・・」

「お父さんもお母さんも・・・辛かったですねえ・・・大丈夫です・・・方法はありますから」

自信を持って微笑む山賀に・・・たじろぐ游子だった。

(この家族を・・・助ける方法なんて・・・あるんですか)

そういう気分だったのである。

両親の会話に耳を傾ける実森は浚介にメールを送る。

「この世界には自分とあなた以外にも人間がいることを思い出した」

「今度は家で二人きりで会おう」

「ボクは大人になって底辺の人間になるのが苦しい」

「他人と比べる必要はない・・・キミはキミじゃないか」

「またあなたに会いたい」

「また会おう・・・」

浚介は友達ができた喜びを游子と分かち合おうと思った。

その頃、游子は「母親の健康診断の結果」を医師から知らされていた。

今時、58歳の成人女性の「がんの疑い」を本人できなくて家族に告知するものなのかどうかは別として・・・とにかく・・・游子が「家族」を重荷に感じさせるための設定なのである。

父親は認知症、無責任な母親はガン、仕事には自信が持てない。

游子は街を彷徨うのだった。

「もう・・・ピリオドの向こう側に行きたい・・・」

脳腫瘍の父親に「ご飯が柔らかい」と文句を言われ、認知症の母親に「お水を少なめに炊けばいいのよ」とアドバイスされた時のようないたたまれなさである。

幻想の中で游子は遺体を床に落としていく。

どんだけ思わせぶりな描写をすれば気が済むのか・・・。

そんな游子を思い出したように尾行する馬見原刑事・・・。

しかし、妻・佐和子から着信があり・・・游子を見失うのだった。

浚介は游子不在の氷崎家を訪問し、鈴木一家とともに和気藹々の家族ごっこを楽しむ。

そこへ・・・新人の駒田幸一(岡田浩暉)を連れた白蟻駆除業者の大野甲太郎(藤本隆宏)が害虫駆除の見積もりに現れる。

氷﨑家は白アリに冒されている。

そして・・・游子のシャンプーを使った浚介は甘い香りを嗅ぐのだった。

翌朝・・・浚介は端末に残された実森からのただならぬメッセージに気がつく。

「さよなら」

あわててかけつけた浚介は器物破損で家庭に不法侵入し、実森の両親の死体と息絶えた実森自身を発見し、思わず「美しい・・・」と呟くのだった。

現場は物凄い臭気がたちこめてそれどころではないはずだが。ドラマだからな。

そして・・・何故か両親の死体を動かしている血まみれの游子も発見する浚介だった。

ミステリ好きのお茶の間が・・・そんなことしたらダメでしょうと思わずつぶやきまくる惨状である。

まあ・・・頭のおかしなスタッフのすることなのである。

もはや・・・そういうレベルのドラマだと言う他はない。

とにかく、修羅場詐偽が終焉し、新たな犠牲者が発生したのはホッと心が和む展開だった。

はたして・・・天才少女・芳沢の一家の運命はいかに・・・である。・・・おいっ。

ところで・・・「私が殺すしかないという気持ち」とは「殺意」のことである。

このドラマのプロデューサーはどちらかと言えばサービス精神が旺盛で、それがくどすぎる場合があるわけだがこの脚本家はそれをふまえて抑制できるタイプである。思いついたことを全部盛り込みたいプロデューサーは一種の統合失調症なのでそれをいなして統合するのはなかなかの人格者なのである。まあ、そのうち神経衰弱になる惧れはあるけどね。たとえば今回も主人公に恨みを持つ幼児虐待者が自宅にやってきてイヒヒというあくどいフリがあるわけだが・・・そこを軽めにおさえている。ここで「殺意」を匂わすこともできるが・・・主人公が殺されない以上、やりすぎになる。そういう勘が冴えているんだな。

それでなくても「殺意」はくどいほど散りばめられているわけである。

愛人を殺すしかないと思う佐和子。

子供の実の父を殺すしかないと思う綾女。

自分以外の世界を殺したい実森。

佐和子は自分を殺したいと思う。

実森の母は息子を殺すしかないと思う。

そして自分を殺すしかないとも思う。

自殺を図った二人の女がいて・・・愛人よりも警察官役が似合う綾女や女刑事の匂いがする主人公がそれを制止する。

これもかぶっているのと重ねているのとの危うい境界線に立ってしまうところをうまくまとめています。

そういう中で・・・超人を夢見る凡人である浚介と天才である芳沢の危うい関係が浮かび上がるのである。

馬見原の父と娘がどこか不器用なところが似ているように・・・。

主人公と母親がお互いに言葉足らずのところがあるように・・・。

尊敬と軽蔑が似たもの同志であるように・・・。

私が助けるしかない気持ちと私が殺すしかない気持ちは・・・実は同じ気持ちなんだな。

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2014年8月 8日 (金)

武士の誇り、遊女の誇り、線香花火の如く儚く(貫地谷しほり)

誇りほど説明しにくい言葉はない。

そもそも・・・誇りとは自分を敬う気持ちである。

あらゆる宗教はこれを否定するのが基本だ。

なにしろ、敬うべきなのは人ではなくて神だからである。

しかし、現代社会はそれを基本的人権の核心としている。

つまり、人間としての尊厳こそが最も大切なことなのである。

この二律背反の要素を持つ言葉は・・・一方で傲慢とよばれ、一方で愛と呼ばれる。

つまり、自分を好きになることが出来なければ世界を愛することはできないからである。

堕天使が神よりも自身を愛し地獄に堕ちて以来・・・誇りは様々なおかしみを生みだした。

人間の誇り、武士の誇り、騎士の誇り、将軍の誇り、男の誇り、女の誇り、花魁の誇り、医師の誇り、研究者の誇り、プロフェッショナルの誇り、ジャーナリストの誇り、従軍慰安婦の誇り・・・誇りほど馬鹿馬鹿しいものはないのである。

それでも人は問われることがある。

君に誇りはないのか・・・と。

で、『吉原裏同心・第7回』(NHK総合20140807PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・西谷真一を見た。映画「GODZILLA ゴジラ」祭りから映画「ホットロード」祭りへと推移した七月下旬から八月上旬・・・頭の中がゴジラと能年玲奈で爆発しそうなのであるが・・・世の中は淡々と広島の日から長崎の日へ向かい・・・敗戦の日にたどり着くのである。ゴジラ映画を見てこれほど・・・被曝を意識したことはなかったので・・・やはり「フクシマ」はものすごい影響力を持っているのだと感じる。考えてみれば「ゴジラ」は放射能汚染物質そのものなのである。幸いにして直撃を免れてもゴジラの通過した後は物凄い放射線量なのではないか。子供なんかが「ゴジラ頑張れ」などと言っている場合ではないのだ。防衛軍の皆さんも全員被曝しているわけである。運よく戦死しなくても長い発癌との戦いが待っているのだ。次に日本版「ゴジラ」を作る時に・・・そこは避けて通れないのではないか・・・いや、あっさりスルーするんじゃね。

吉原一の花魁・薄墨太夫(野々すみ花)は基本的には「呼出し」格の遊女である。

大見世「三浦屋」の遊女でありながら・・・客は茶屋に遊女を呼びださないと会えないという仕来りである。

金のかかる茶屋遊びをしなければ会うこともできない格上の高級遊女なのである。

つまり、相当な経済力が要求されるわけである。

今、薄墨太夫には伊勢亀(真夏竜)という上客がついており、花魁として吉原遊郭で稼ぐ様々な男女のためにも・・・搾りとれるだけ散財をさせなければならない。

それが花魁の使命なのである。

しかし、薄墨太夫は身辺に危機が迫っていると感じていた。

何者かが・・・薄墨太夫をつけ狙っているらしい。

伊勢亀の散財が一段落したところで、三浦屋の主人(中平良夫)を通じて報せを受けた吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)は薄墨太夫の警護を請け負う。

「薄墨太夫が吉原入りした時に世話したのは私だ・・・ここで何かあっては面目が立たない」のである。

吉原裏同心の神守幹次郎(小出恵介)は「しかし、どうして太夫は早く危機を告げなかったのか」と訝しむ。

しかし、遊女たちの手習いの師匠を務める汀女(貫地谷しほり)は「上客が来るのに妙な噂が立ってはならぬという心遣いでしょう」と諭す。

「吉原のものたちの暮らしの心配か・・・」と幹次郎もようやく腑に落ちるのだった。

やがて・・・一人の若い浪人が捜査線上に浮上する。

幹次郎は「加門麻に天誅を下す」という脅迫状を発見するのだった。

やがて・・・四郎兵衛から・・・薄墨太夫の身の上を聞く幹次郎。

「太夫は武家の娘であり、名を加門麻と申しました。両親が借金を残して病死したために・・・自ら遊女になったのでございます」

幼き日の加門麻(仲愛理)には間宮慶一郎(水原光太)という許嫁もいた。

身替り屋の佐吉(三宅弘城)に探らせると・・・間宮慶一郎は婚約解消後に病死・・・加門家も間宮家も断絶している。

しかし・・・間宮家には養子に出ていた弟の間宮鋭三郎(辻本祐樹)がいたのである。

鋭三郎もまた身を持ち崩し無宿人になっているという。

幹次郎は薄墨太夫に現状を話す。

窓辺で線香花火を楽しみながら太夫は頷くのであった。

「吉原の遊女になってからは外の世界のことは知りませぬ。しかし・・・許嫁が遊女になってしまった慶一郎様の苦悶、そのことに憤る鋭三郎殿の気持ち・・・今となっては知らぬこととは申せませぬ」

「だが・・・そなたは武家の娘として・・・けじめをつけたのではないか・・・」

「幼さゆえの気負いでございますよ」

「・・・」

「勝手なお願いを申し上げれば・・・どうか・・・鋭三郎殿の命を救ってくださいませ」

「あいわかった」

しかし・・・上客の伊勢亀は廓外での屋形舟遊びに薄墨太夫を誘い出すのであった。

大盤振る舞いであるために・・・誘いを受ける太夫。

しかし・・・廓の外に出れば警護を手薄になる。

幹次郎は「誘いを断るように」と申し入れるが薄墨太夫は拒絶する。

「ならば・・・鋭三郎の命を助けることはできぬかもしれぬぞ」と幹次郎は告げる。

やがて・・・舟遊びの日。

医者の柴田相庵(林隆三)の偽物が現れ、遊郭に入る。

「なんと・・・儂の偽物とは・・・これは危うい匂いがするの・・・」

相庵の危惧通りに・・・薄墨太夫を廓内の稲荷神社の境内で追い詰める鋭三郎だった。

薄墨太夫の前に白刃が煌めく。

しかし、幹次郎はこのことを予見していた。

「警護のものが外に目を向ければ中が手薄になると読んだのだろう」

「兄の無念を晴らすため・・・義姉上を討たねばならぬのです」

「加門の家と間宮の家の縁は消えておろう」

「義姉上は私に武家の誇りを諭してくれたお方・・・それがこともあろうに花魁になろうとは・・・許せませぬ」

「私は武家の誇りは捨てました・・・今、私にあるのは遊女としての誇りでありんす」

幹次郎のみねを返した剣を見た鋭三郎は叫ぶ。

「武士ならば尋常に勝負せよ」

幹次郎は鋭三郎の捨て身の覚悟を悟る。

冴え渡る幹次郎の剣技は鋭三郎を薙ぎ払う。

「許せ・・・約束は守れなかった・・・」

「幹次郎様は・・・鋭三郎殿の武士としての誇りを守ってくださったのですね」

「・・・」

幹次郎抜きで向いあう汀女と薄墨太夫・・・。

「私と太夫は・・・似たもの同志・・・武家の娘と生れ・・・家のために身を売って・・・」

「しかし・・・私と汀女様ではちがうところもあります・・・私には助けてくれた人がおりませぬ」

よろめきまくる夏ドラマにあって・・・もっとも静かに儚く燃える線香花火のような三角関係である。

雨が降り・・・家路をたどる幹次郎と汀女は仲睦まじく相合傘である。

「私も・・・夫の武士の誇りを傷つけた女なのですね」

「・・・」

「だからこそ・・・私はあなたを誇りに思います」

それが・・・汀女の誇りなのである。

人にとって誇りとは命よりも大切なものなのだから。

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2014年8月 7日 (木)

東京に奇跡が起きる日(大村彩子)

万に一つの可能性に賭ける・・・と言うわけである。

一万というのは百の百倍だ。

可能性で言うと1%の/100つまり、0.01%である。

さて、一億というのは百万の百倍である。

非常に大雑把に人間が百歳まで生きるとすると・・・日本人は各年齢が百万人くらいいる。

それぞれの年齢は一万の百倍ということで・・・万に一つのことは各年齢百人くらいに起きるわけである。

一万人いて9999人には無縁のこと・・・そういうことはあまりリアルではないという考え方もあるが・・・そういうことを言う人は少し想像の翼を広げるといいだろう。

一万通りの奇跡があれば・・・奇跡は誰にでも起きることなのである。

で、『2014・第5回』(フジテレビ20140806PM10~)脚本・武藤将吾、演出・中江功を見た。今年の夏ドラマは不倫がかぶりすぎてると誰もが思うわけである。「ペテロ」「同窓生」「昼顔」「花子とアン」と人妻はよろめきまくっている。その中で愛人側の不倫を描いているこのドラマはよろめきたい人妻にとんでもないと思われやすいのではないかと思う。まあ・・・つまりは色魔のなせる業ですな。この世は色餓鬼に満ちているわけです。まあ・・・長い低迷気を経て・・・社会が弱肉強食に舵をきったので早くも退廃の波が打ち寄せているとも言えます。それにしてもこの夏はみんな少しみだらな気分すぎるのかもしれません。

舞台「飛龍伝」の挿入が終わり・・・幻想的な舞台では・・・「濡れ場」を吉川瑞貴(広末涼子)が演じていたわけですが・・・実際には永原香澄(橋本愛)が演じていたということが非常に伝わりにくいわけです。

つまり・・・主演のハルこと佐藤陽(柄本佑)と香澄は舞台の上で抱き合い、キスをして・・・濃厚な擬似恋愛をしていたわけです。

香澄にとっては初舞台であり・・・ハルにとっても非常に新鮮な体験だったわけです。

二人の心と心に現実を越えた絆が生まれている・・・それを前提として理解していないと・・・明らかにピエロなタダシこと佐藤旦(野村周平)の香澄への告白と・・・ハルと香澄の淫靡なアイ・コンタクト・・・そして・・・意味深な香澄の了承のいかがわしさが楽しめないので注意が必要です。

一方・・・明らかに魅かれあっている前科者のサト兄こと暁(瑛太)と夢破れて堕胎という過去を持つ屋代多香子(長澤まさみ)の戯れ・・・。

「このトウモロコシ・・・生で食べれるわよ」

「俺のトウモロコシを食べるかい」

「私はそれほど飢えてないわよ」

「ちっ」

・・・おいっ。

まあ・・・時間の問題だよな。なにしろ・・・サト兄の未練が残る女・・・吉川瑞貴はもうこの世にはいないのだ。存在しない広末涼子よりそこにいる長澤まさみだよな。・・・ものすごく贅沢な選択じゃないかっ。押し倒されてあの胸の量感・・・他のレギュラー女優陣が思わず舌打ちするよな。

・・・おいおいっ。

さて、物語は長男・旭(妻夫木聡)と妻・梓(蒼井優)の妊娠中の胎児(仮名=太郎もしくは太子)を巡って展開する。流産の危機は脱したが前置胎盤によるハイリスク妊娠となった梓。早産の危険性が高まったのである。

東京城北医科大学病院NICUに勤務する看護師の長女・ひかり(満島ひかり)は未熟児で超低出生体重児の患者・まどかを担当していることから・・・そのリスクを兄夫婦に伝えようとする。

出産・育児に困難が付きまとう可能性があるからである。

しかも・・・父親となる旭は無職であり・・・経済的に問題があるわけである。

情報化社会では貧富の差の自覚が出産率の低下の一因となっている可能性がある。

経済的な充足感が得られずに大人になった子供たちはとてもじゃないが親になれる気分ではない・・・ということだ。

基本的にはみな中流だから大丈夫という安心感が求められるのだが・・・上流と下流が強調されやすいマス・メディアの流す情報がそれを阻害するわけである。

上を見上げて憎み、下を見下ろし怯える中流は非常に脆いのだった。

とにかく・・・この二人でも人の親になれるなら・・・私もという例に旭と梓がなれるのかどうか・・・微妙ですな。

専門家として兄の覚悟を問うひかり・・・。

しかし、無学の兄は困惑するのである。

前科者の暁は「そういう時こそ周囲の暖かい支援が必要なんだよな」とお前が言うな正論なのだった。

幼くして母親を亡くし・・・母の思い出のないひかり。

「母親になったことのないあなたには・・・生みたいという気持ちがわからない」と言う梓。

梓の経済的に貧しい母親・京子(余貴美子)は「あなたが生みたければ生めばいい・・・どっちにしろ・・・私はお前の味方だ・・・だって母親なんだから」と梓を抱きしめる。

ひかりが担当していた患者・まどかが危険な状態になり・・・まどかの母親・志保(中村優子)はやつれ果てた状態で現れる。

まどかの父親・孝光(望月章男)は障害児の親になってしまったことをなかなか受容できない状態だった。

「あんたたちが・・・余計なことをするから・・・俺の人生がひどいことになった」

孝光の絶望がひかりの心を切り裂くのだった。

ひかりにはかってシングルマザーとなった親友がいて・・・応援した過去があった。

しかし・・・経済的に行き詰った彼女に「あんたが生めっていうから私の人生がひどいことになった」と罵られた過去があったのである。

まったく・・・佐藤家の兄弟姉妹はどいつもこいつもである。

因縁があり・・・旭とは複雑な心情を交わし合うサワタリ道路社長(岩松了)の恩情で就職が決まりかけた旭。

しかし・・・ひかりの忘れものを届けたことで・・・まどか行方不明事件に巻き込まれてしまい面接に三時間の遅刻である。

他人の心配より自分の心配しろよとお茶の間でみんなが叫ぶのだった。

思いつめて、まどかをゴミ焼却場に捨てようとする母親。

ひかりは必死に説得する。

「まどかちゃんは・・・少しずつ大きくなっています・・・私はそんなまどかちゃんに・・・いつも励まされているんです」

我が子の重みを感じ、泣き崩れる母親だった。

しかし・・・父親の心は溶けない。

「この子が幸せになれるとは思えない」

ついに・・・旭が爆発するのだった。

「なれるかかどうかじゃねえ・・・お前が幸せにしてやれ・・・お前・・・親だろう」

「お前に何がわかる・・・」

「この子は私が育てます」

ついに・・・夫より我が子を選ぶ母親だった。

夫はただ・・・たじろぐのだった。

就職が決まらず・・・思い出の後楽園遊園地で失望した梓から「あきらめの境地」を聞かされる旭。

そこに・・・後楽園ホールでの試合を終えたプロレスラー杉浦貴(杉浦貴)が舞い降りる。

「お前・・・仕事ないなら・・・うちの警備員でやとってやるよ」

「ぷわ~」

これが奇跡である。

底辺には底辺の生き方があります。

ひかりの不倫相手である新城(吉岡秀隆)はドライブのついでに・・・ひかりの親友(大村彩子)の消息を明らかにする。

思えば大村彩子は1984年度生れを代表する美少女子役である。

満島ひかりは今や、1985年度生れを代表する個性派女優だ。

二人は1997年、大村が映画「パラサイト・イヴ」で満島が映画「モスラ2 海底の大決戦」で・・・スクリーンに可憐さを爆発させているのだった。

そして・・・十年後の2007年には第三話と第五話で「帰ってきた時効警察」にそれぞれゲスト出演しているのだった。

それから七年・・・妄想的には完全に親友と言える二人である。

親友の娘・萌菜(堰沢結衣)は美しく成長し・・・母と娘は・・・ひかりに感謝の気持ちを伝えるために微笑む。

ひかりの揺れる心は一瞬、涅槃に漂うのだった。

しかし・・・現実的には新城の娘・寿々(横溝菜帆)の存在が重く・・・ひかりの心にのしかかっている。

そして・・・新城の妻(斉藤由貴)には・・・「新城とひかりの怪しい写真」が届く・・・。

欲望が奇跡を招き、別の欲望が奇跡を運び去るのである。

来週、谷間です。

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2014年8月 6日 (水)

じぇいじぇいじぇい・・・鳥が死んだら鈴虫がどばーっと鳴くよ・・・あゝおもしろい蟲のいき(橋本愛)

いろいろとタイムリーな感じだが・・・おさがり放送である。

とにかく、タイムリーでないのは・・・テロリストのグループ名だろう。

「JJJ」で「じぇじぇじぇ」と連想する人は2013年には多数存在したのである。

エボラ出血熱や鳥インフルエンザが・・・爆発するのかしないのか・・・世界は変化点検出の恐怖の中にある。

そして・・・超絶美少女くるみとのお別れのときは迫っている。

ああ、君をもっと見ていたい。

そう思うのは私だけではないはずだ。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・第7回』(NHK総合20140805PM10~)脚本・蒔田光治、演出・河合勇人を見た。人は未来を知りたがる生き物である。星を見ては未来を占い、花を見ては未来を占う。たとえばカレンダーは明日を予見させるシステムだ。四季がある地域では段々暑くなったり段々寒くなったりが一目で予測できるわけである。もちろん、そこにはデータの蓄積と解析による世界構造の認識の成果が関与している。ピッチャーが次の投球で直球を投げるのか変化球を投げるのか予測できればバッターの打率は向上する可能性がある。変動する世界の行く末を決定論的に占う技術は常に求められている。たとえば株価が上がるのか下がるのか・・・その兆しを読みとることができたなら・・・と相場師は思うわけである。

恋する乙女は意中の人からの着信を待つ。

しかし、天才女子大生・難波くるみ(橋本愛)はそれを数値化し・・・怪しい株価のテクニカル分析の如く、変化点を検出しようとするのである。

だが・・・虚しく着信なしの日々は続くのだった。

時は11月・・・秋が深まって行く。

くるみは秋の深まり以上に虫の声が頻繁に聴こえることに注目する。

虫の声へのこだわり・・・それは・・・くるみの過去に何か関係しているようである。

虫の声は次第に高まり、変化点検出が可能になるのだった。

あれ松蟲が鳴いてゐる。

ちんちろちんちろ ちんちろりん。

あれ鈴蟲も鳴き出した。

りんりんりんりん りいんりん。

あきの夜長を鳴き通す

あゝおもしろい蟲のこゑ。

かなり歌唱力の向上したくるみの歌声を東都大学文学部の浅尾奈津子(岡野真也)は盗み聞き・・・出番を確保したのだった。

だが・・・くるみがそれなりにこの文部省唱歌を歌えるのはくるみの家族やくるみの生い立ちが関与していると思われる。

くるみは鈴虫の啼く声によって世界の異常を検知し・・・警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)に伝えるのだが、事件が発生中のため・・・とりあってもらえないのだった。

事件は・・・東京生物科学研究所で実験用ラットの大量死に三沢研究員(池津祥子)が驚くところから始る。

三沢は上司の西尾研究員(正名僕蔵)に報告するが、西尾は情報を隠蔽する。

実は・・・西尾は危険な新型ウイルスの研究を極秘で行っていたのだった。

その一週間後、東京生物科学研究所にテロリストが侵入し、西尾を誘拐し、新型ウイルスを強奪するのだった。

やがて・・・都内では野鳥の大量死が発生する。

「鳥が死んだから・・・鈴虫が繁殖した」と仮説を立てたくるみは・・・鳥の大量死が報告された公園に出向き・・・散歩中の男・川島(徳井優)と知りあう。

しかし・・・川島は新型ウイルスに感染して肺出血を発症し、くるみの目の前で血をなんじゃあこりゃあ敵にどばあっと吐いて倒れる。

川島からの感染を疑われ、「うおおおおっ・・・こっ」的に採血されて隔離されるくるみ。

くるみ、かわいいよくるみであ。

しかし、くるみの感染の疑いは晴れる。

川島の他にも内村と中川という感染者が出て・・・ニュースで病状を知った三沢研究員は新型ウイルスとの関連を疑うのだった。

伴田刑事に情報を伝えるべく待ち合わせをした三沢は何者かに殺害される。

しかし、何故か情報を記したファイルは残されている。

事件は新型ウイルスを利用したテロの様相を示してきた。

東京生物科学研究所長・長部(小木茂光)は三沢殺害の容疑者の一人として取調を受け・・・新型ウイルスが偶然に出来たものであることを捜査陣に伝える。

政界への転身を考えていると噂される警視庁公安部長・鶴橋(梶原善)に圧力をかけられ、犯人検挙に取り組む警視庁捜査第一課長・青山(矢島健一)は「感染者三人の行動から感染ルートを探れ」と管理官の小林(勝村政信)と警視庁捜査第一課刑事の高垣(波岡一喜)の凸凹コンビに命ずる。

しかし、聞き取りによる情報では三人に共通点は見出されず、捜査は暗礁に乗り上げる。

そして・・・くるみの端末に伴田刑事からの着信が入るのだった。

「すると・・・君は・・・鈴虫の鳴き声から鳥の大量死、そして感染者の川島にまでたどり着いていたのか・・・何故、そのことを言わないんだ」

「言ったじゃないですか」

「・・・」

くるみは三人の行動表に空白の時間があることに気がつく。

「川島さんは上野で・・・内村さんは高円寺で・・・中川さんは品川で・・・それぞれ・・・警察には言えない場所に行っていた可能性があります」

移動時間と移動場所は円で示せるほど単純ではないが・・・点と線の世界である・・・アバウトに三人の行動範囲を地図上に示し・・・それぞれの行動範囲が三重に重なる点・・・新宿区のエリアを特定するくるみだった。

伴田刑事はくるみと共に怪しいアダルトショップ・・・ではなくてラ・フランス(洋ナシ)が目印の怪しいヒョウ柄バニーから麻薬の売人の存在を突き止める。

張り込む二人は占いで時間をつぶし、伴田刑事は手相でどスケベ線を三本発見され、運命の人が目の前にいるとくるみに告白されるがスルーするのだった。

やがて二人は売人を尾行し・・・ついにテロリストのアジトを突きとめるのだった。

「ここから絶対に動くな・・・もし、五分で俺が戻らなかったら・・・わかってるな」

「はいっ」

もちろん・・・二人の暗黙の了解はすれちがっている。

潜入した伴田は監禁された西尾研究員を発見し、応援を要請するがテロリストたちに発見され窮地に追い込まれるのだった。

「五分たちました・・・帰ってこないので・・・迎えにいきます」

くるみのアホの子パワー炸裂である。

しかし・・・裏口から侵入したくるみは「敵の気をひく救出作戦」に成功するのだった。

駆けつけた警官隊に包囲されたテロリスト・グルーブ「JJJ」は自爆するのだった。

しかし・・・事件に不審なものを感じる伴田刑事。

やがて・・・謎の男(升毅)からの電話で新たな局面が展開されていく。

警視庁公安部長・鶴橋の妻(阿部朋子)が・・・初音署の女性警察官・高野沙織(橋本真実)が・・・小包を開けて謎の霧を吸いこんでしまう。

その頃・・・大出ホールディングス会長(斉藤洋介)の新聞記事を読んだくるみは過去のくるみ(甲斐恵美利)の記憶を呼び覚ます。

ドラマは最終回へまっしぐらなのである。

ああ・・・せつない・・・。

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2014年8月 5日 (火)

もし俺がヒーローだったら信頼を裏切りはしないのに(木村拓哉)

「金属泥棒」の話である。

「貴金属泥棒」にはルパンの匂いがするが「金属泥棒」には侘しい感じが漂う。

「マンホールの蓋」とか「電線」とか「ガードレール」とか「公園の遊具」とか・・・そんなものを盗むのか・・・と思うわけである。

マンホールの蓋がないと・・・人が落ちる可能性がある。使用中の電線が盗まれれば停電だ。ガードレールがなければ車が崖下に転落し、ブランコや滑り台がなくなれば幼児が落胆する。

盗む以上に悲しい感じがするわけである。

そもそも・・・東京で金になるほど金属を盗んだら・・・置き場に困るんじゃないか・・・。

まあ・・・しかるべきルートがあって・・・そんな心配をする必要はないのかもしれない。

まさか・・・マンホール盗難→マンホール転売→マンホール発注→マンホール配備→マンホール盗難という流れはないだろうけどな。

で、『HERO(第2期)・第4回』(フジテレビ20140804PM9~)脚本・福田靖、演出・平野眞を見た。人生に流転はつきものである。時とともに人は場所を移動して行く。今回はかっての東京地方検察庁城西支部の仲間だった中村美鈴検事(大塚寧々)が京都地検から出張してきて旧交を温める。久利生公平検事(木村拓哉)もついこの間までは宮崎地検の男だったわけである。懐かしい気持ちは人の心を慰める。しかし、かっての自分を振り返りたくない人間もいるわけである。まして・・・かっての仲間が被疑者として現れた麻木千佳事務官(北川景子)は複雑な心境になるのだった。今回は過去の自分が現在の自分に迫ってくる趣向なのである。

罪な男である久利生検事はお気に入りの柿の種を麻木事務官にお薦めするのだが・・・そこには悪気はない。別に麻木事務官の気を引きたいわけではないと思う。しかし、ありのままの自分が他人を魅了してしまうのは罪なのである。

第二期ここまで未登場の雨宮舞子検事(松たか子)のあれやこれやがあるわけである。

そして・・・東大法学部卒業の宇野大介検事(濱田岳)の本人以外にはバレバレの麻木事務官への恋慕がある。

お似合いの年頃の二人に気を使う久利生検事なのだった。

東京は交差点だからである。大人である久利生検事にはよくわかっているのだ。

ちなみに・・・麻木事務官の故郷・千葉県木更津はJR総武線快速で東京駅まで乗車1時間16分である。

一方、八王子の神童と呼ばれたらしい宇野検事の故郷・東京都八王子はJR中央線で東京駅まで乗車1時間10分である。

二人とも東京駅まで一時間ちょっとの東から西から東京にやってきた男女だったのである。

運命の二人かもしれないのだった。

だから・・・二人が結ばれるために障害になることのないように配慮する久利生検事なのだった。

まあ・・・そんなことが主題であってもおかしくないここは月9である。

もちろん・・・そうはいいつつ・・・どうしても麻木事務官が久利生検事に恋をしてしまいそうな気配漂う今回のエピソードなのである。

京都地検の女・中村検事が事務官の小金沢克雄(温水洋一)を連れて出張してきたのは・・・宇野検事が取調中の被疑者・土井垣次郎(西村和彦)が関西方面でも犯行を行った疑いがあるためだった。

土井垣の容疑は「健康器具詐欺」である。

高齢者を狙って実効性のない健康器具を高額で売りつけたらしい。

詐偽の常習犯である土井垣は言葉巧みに宇野検事の追及をかわす。

「判断力の衰えた高齢者の弱みにつけこんだんだろう」

「ちがいますよ・・・そんなことを言うのは実子のみなさんでしょう・・・実の親であるお年寄りを放置しているくせに・・・金のことだけ・・・悪いのはそういう社会の風潮ですよ」

「若者たち2014かっ・・・」

しかし・・・百戦錬磨の中村検事は鍛え抜かれた腕の冴を見せる。

「これ・・・バブル時代に流行ったやつよね・・・大量の在庫があって・・・二束三文の処分品でしょう」

「なぜ・・・それを・・・」

「私の中に沁みついたバブルの記憶をなめんなよ」

ある意味、意味不明の展開だが・・・中村検事の迫力に陥落する被疑者だった。

不条理なキャリアの差を見せつけられて落ち込む宇野検事である。

中村検事との再会に胸をときめかせる末次隆之事務官(小日向文世)・・・。

しかし、その前に立ちふさがる小金沢事務官だった。

「昔はどうだったか知りませんが・・・今は京都地検の女なんですから」

なんという不毛の争いなのか・・・。

しかも・・・末次事務官は馬場礼子検事(吉田羊)と中村検事を両天秤にかけて悩むという妄想の極地を彷徨うのだった。

一方・・・室内温度29℃を望む冷え症の馬場検事は・・・室内温度16℃を望む暑がりの田村検事(杉本哲太)との過去の恋愛を旧知の中村検事に愚痴る。

中村検事は昔の男・芝山検事(阿部寛)を一瞬思い出すが・・・実は京都の老舗の男とゴール間近らしい・・・。

一方、義父の牛丸次席検事(角野卓造)と円卓を囲む田村検事・・・。今回は川尻健三郎部長検事(松重豊)も同席である。やたらと娘と田村検事の夫婦仲を気にする牛丸だが・・・それだったら義理の息子と飯食ってないで家に追い帰したらどうなんだといつも思う。

娘婿を野放しにできない自分そっくりの娘を持つ複雑な親心なのか・・・。

そして・・・田村検事は家庭のあれやこれやがストレスになっているらしい。

とにかく・・・そんな田村検事を夢に見るほど・・・過去を清算できていない馬場検事らしい。

・・・とこのように主人公とヒロイン抜きでも盛り沢山のこのドラマである。

さて。今回、久利生検事が担当する事件は・・・麻木事務官の過去を垣間見せるのだった。

マンホールの蓋を盗もうとして逮捕された男・飛田丞治(阿部亮平)は麻木事務官の地元・木更津時代のヤンキー仲間だったのである。

ヤンキーであった過去を隠そうとする麻木についちょっかいを出す久利生検事。

悪気はないのである・・・ただフレンドリーなだけなのだ。

そして、久利生自身はそういう旧交は温めるべきものだと思っていた節がある。

「千佳じゃねえか」

相手のことを思い出せなかった麻木事務官だった。

「よく・・・バイクの後ろに乗っけてやっただろう」

「あ・・・飛び蹴りの飛田・・・」

昔の仇名で呼ばれ顔色を変える飛田。

久利生検事は飛田に寄せられた減刑嘆願書の多さが気になるのだった。

「多過ぎて・・・気持ち悪い」

「嘆願書があろうとなかろうと起訴・不起訴には関係ありません」

事務官に徹しようとする麻木をつい苛めたくなる久利生検事。

悪気はないのだった。

お出かけ捜査で・・・嘆願書の提出者に会うと・・・続々と麻木検事の顔見知りが登場する。

アクセサリー販売業の倉石(徳秀樹)は「飛田は面倒見のいい男で・・・」と被疑者に好意的な意見をする。

しかし・・・麻木の昔の交際相手を知るキャパ嬢のカナコ(丸高愛美)は「嘆願書は倉石たちに頼まれて書いた」と重要な証言をするのだった。

「私は好きでヤンキーになったわけではありません・・・木更津のような地方都市では可愛い子が目立つし・・・そういう子の前には強引な男が現れるものなのです。私はあくまでマイルドなヤンキーだったんです。ちゃんと高校も卒業したし、短大にも行って・・・いつまでもバカやってられないと思い、勉強して試験を受けて事務官になったんです」

「すごいじゃないか」

久利生検事は親しみを込めて麻木事務官の過去を追及し・・・その痛々しさに触れて少し後悔するのだった。

触れられたくない過去に触れられて・・・端末を何度も置き忘れるほど・・・麻木が動揺していることに気がついたのである。

かっての仲間が犯罪者となって目の前に現れるのは・・・実は恐ろしいことなのだった。

ここから・・・久利生検事は急速に麻木事務官労りモードを発動するのだった。

「疑わしいと思っている点が二点ある・・・マンホールを盗んだのが初めてだということ・・・そして、犯行を一人でやったということだ」

被疑者を追及する久利生・・・。

多過ぎる嘆願書が疑惑を招いたのだった。

「この中に・・・共犯者がいるんじゃないかな・・・まさに藪蛇ですよね・・・」

「St.George's Tavern」で一時を過ごした後・・・マスター(田中要次)は麻木事務官が端末をテーブルに忘れたことを見逃さない。

「あるよ」

店を出た麻木は覆面をした二人組に襲われる。

「てめえ・・・調子にのってんじゃねえぞ」

しかし・・・追いかけて来た久利生が立ちはだかるのだった。

久利生の背中にしがみつく麻木・・・。

マイルドヤンキーなので早い車にのっけられて急にスピンかけられたらこわかった麻木なのである。

そのこわい思いの果てが・・・今の麻木を形成しているのだった。

修羅場をくぐりぬけた久利生には瞬時でそのことが分かるのだった。

「こんなことをしたら・・・ただじゃすまないぞ」

「ちくしょう・・・おぼえてやがれ」

逃げ出す二人組・・・しかし、車のナンバーを見てとる久利生だった。

「へナンバーか・・・現実にはへナンバーは屁を連想するので存在しないから偽造ナンバーだが・・・ここはフィクションなのでへナンバーは実在する架空ナンバーなんだな」

「・・・」

「送って行くよ」

「いいです」

「でも・・・これは俺の責任だから」

「じゃ・・・送ってください」

自然にバスの後部座席にすわる元ヤンキーの香り漂う二人だった。

相手の声から一人が倉石、もう一人は車の持ち主であることが割り出される。

「それにしても・・・マンホールの蓋を盗んだだけなのに・・・何故・・・脅しまで」

久利生の疑惑は深まるのだった。

そして・・・現場周辺の未解決の盗難事件を調査した久利生は真相に迫るのだった。

公園の遊具の盗難現場では・・・ホームレスが殺害されていたのだった。

「目撃者の証言では・・・被害者は最初に飛び蹴りされたそうなんですよ・・・」

「・・・」

「飛び蹴りの飛田さん・・・」

「くそっ・・・千佳・・・てめえが余計なことを言うから・・・昔の仲間に裏切られるとはな」

「何言ってんだ・・・まともに生きている人間がなんでまともじゃない奴にとやかく言われる筋合いがある。昔の仲間が犯罪者になって・・・裏切られたのは麻木事務官なんだよ」

ドシン。

なんだよ・・・麻木事務官が恋に落ちた音が聴こえました。

飛田とその仲間たちの窃盗団には強盗殺人の嫌疑がかけられたのだった。

久利生は昔の仲間を死刑台に送ることになるかもしれない麻木事務官を気遣うのだった。

一方、麻木が木更津のヤンキーだったことを知り、激しく動揺する八王子の神童。

「僕はどうすればいいんですか」

「君はありのままでいいんじゃないか」

「中卒のあなたに期待した僕がバカでした」

「えええええ」

口では久利生を全面否定した宇野だったが・・・翌日、久利生になりきろうとしてなりきれないスタイルで現れるのだった。

「全然、似合ってない」と断言する麻木に・・・。

「いや・・・お前だけは似合ってるって言ってやれ」と恋の天使を目指す久利生・・・。

しかし・・・もちろん・・・好むと好まざるとに関わらずポジションは恋の悪魔なのである。

とにかく・・・やんちゃできるけどしない・・・それが美しい大人というものなんだな。

まあ・・・そうなると過去はある程度、やんちゃなわけだが。

次回は宇野に即刻着替えを命じた川尻部長にスポットライトが当たる模様である。

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Hero004ごっこガーデン。危険で一杯の東京路上セット。アンナあのセリフでズギューンッと胸を撃ち抜かれましたのぴょ~ん。そして風穴からリピの嵐が吹き荒れるのだぴょんぴょんぴょん。ここで泣かされた後の~宇野検事に一同大爆笑でしたぴょん。ラフなスタイルなのにキッチリした着こなし・・・いや、着こなせてない感じに涙が止まりませんでした~。や~ん。泣いて笑ってまた泣いて・・・そしてとにかくしがみつく~まこアンナちゃんがぎゅーってしがみつくのでダーロイドの耐久力アップも必要でしゅね~。はたして中村検事はホントに玉の輿ゴールインできるのか・・・婚約指輪がないところが・・・ちょっと危険でしゅね~。しょして芝山検事の出番はあるのか~?・・・そしてかっけええええ久利生検事は恋泥棒なんじゃ・・・じいや、次はしゃべくりレナの衣装に着替えましゅ~、ヨロシコmana確かに麻木はまいっているが・・・久利生にまいってるんじゃないのかにゃ~。そして夢にまで田村を見る馬場は・・・不倫してまうで~エリバランスがとれていて見やすいってエンターティメントとしては何よりですよね。そしてごっこポイントも申し分ないのでスー。アンナちゃん、よかったねmariマイルドでなくてかなりハードなしがみつきですね

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2014年8月 4日 (月)

さらぬだにうちぬるほどもなつのよのわかれをさそうほととぎすかな・・・とお市の方(二階堂ふみ)

なぞに満ちたお市の方の辞世である。

12世紀の歌人・藤原俊成の「さらぬだに臥す程も無き夏の夜を待たれても鳴く時鳥」(短い夏の夜は横になる間もなくホトトギスの声を聞くばかりだ・・・新勅撰和歌集)を手本にしていると考えられ、一種の即興詩の趣きもある。

率直に訳せば「そうでなくても夏の夜のホトトギスは眠らずに待つものと決まっていますのに今生の別れを誘うようですよ」ということになるでしょう。

しかし・・・ここは戦場。

そして敵はお市にとっては前夫・浅井長政の仇・羽柴秀吉である。

ここは「去らぬダニのようなあやつを、討ち果たすこともできないままに・・・ほととぎすかよっ」ぐらいの諧謔がこめられていてほしいものですな。

これに対して柴田勝家は「夏の夜の夢路はかなき跡の名を雲井にあげよほととぎす」と応じています。

まあ、勝負は時の運とは言うものの・・・「面目ない」と素直に謝罪なのですな。

「けれどお市の方の名声は後の世まできっと伝わります」と慰めているわけです。

主筋であり天下一の美人妻に仕える騎士の感慨が匂い立ちますな。

ちなみにほととぎすは冥界と現世を往来する神秘の鳥なのです。

で、『軍師官兵衛・第31回』(NHK総合20140803PM8~)脚本・前川洋一、演出・尾崎裕和を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はややトーン・ダウンの27行でございました。まあ・・・なんていいますか・・・画伯、われらの戦国絵巻はどこいったんでしょうね・・・あの峠に巻き起こる血わき肉踊る華々しい合戦は・・・という感じでございますからねえ。清州会議は・・・長浜城攻略は・・・岐阜城攻めは・・・滝川一益の挙兵は・・・賤ヶ岳の戦い・・・中川清秀の戦死は・・・美濃返しは・・・七本槍は・・・前田利家の裏切りは・・・すべてダイジェスト版でございますか~。画伯も東京出張でお疲れで・・・イラスト公開もお休みでございます。もう、おとくなところがなにもなし・・・せめて江がおとく(鈴木梨央)だったらよかったのに・・・でも、茶々が二階堂ふみだったからいいか・・・。

Kan031天正十年(1582年)六月十三日、明智光秀死亡。織田政権に対する反乱が鎮圧された所で、二十七日、織田家の相続に関する会議が尾張国清州城で開催される。所謂、清州会議である。織田信長および嫡男・信忠の死亡により・・・天下は再び混迷する。それを避けるために・・・秀吉は信忠の遺児・三法師の相続を主張する。信長三男の信孝を後継者に推す柴田勝家は・・・宿老・丹羽長秀、信長の乳兄弟・池田恒興が秀吉についたことで敗退した。信長の次男・北畠信雄が尾張国、三男の神戸信孝が美濃国、四男の羽柴秀勝が丹波国を相続し、勝家は秀吉から近江国長浜を譲り受け、秀吉は山城国を得た。ここから・・・秀吉・信雄組と勝家・信孝組の跡目相続根回し合戦が始るのである。そうなれば秀吉は勝家の数段上を行くことになる。やがて、信長の妹・お市を室に迎えた勝家は伊勢国の滝川一益を味方に加えたものの・・・配下の前田利家・金森長近・不破勝光までもを調略される始末である。秀吉は大和の筒井家、摂津の池田家、中川家なども味方に引き入れ、十二月、ついに長浜城を奪取、さらに岐阜城の織田信孝を降伏させる。北国の柴田勝家は冬の合戦を封じられていた上、秀吉は背後の上杉家と密約を交わしていたのである。明けて天正十一年(1583年)正月、伊勢の滝川一益が挙兵し、二月、柴田勝家が南下を開始、しかし、秀吉は伊勢国、近江国周辺に防衛陣を築き、戦線は膠着する。四月、織田信孝が美濃国で挙兵し、秀吉軍は三方向からの圧迫を受けることになる。しかし、播磨、丹波、丹後、大和、摂津、山城、若狭、尾張という八ヶ国の動員力を持つ秀吉は賤ヶ岳に突出した勝家軍の前衛部隊を撃破、そのまま越前に攻め込み、勝家・お市の方の夫婦を二十四日、自害に追い込んだ。織田信雄も弟の信孝を二十九日に自害させる。五月、滝川一益が降伏し・・・ここに秀吉は織田家の実質上の後継者として天下統一の道を歩み始める。

越前国北ノ庄城にも初夏の気配が立ち込めていた。

奥の間にはお市の方がいる。

人影が揺らぎ・・・お市の方の前に神明尼が現れる。

二人は瓜二つであった。

神明尼はお市の双子の妹である。

「お弐か・・・」

「いかにも・・・」

「戦の様子はどうじゃ・・・」

「元より・・・勝家殿に万に一つも勝ち目はありませぬゆえ・・・」

「そうじゃろうのう・・・」

「無理をなされましたな・・・」

「小谷(長浜)は我がふるさとも同じ・・・殿(浅井長政)と暮らした日々はいかにしようと忘れられぬ・・・影に生きるそなたにはなかなかに判るまいがな・・・」

「姉上は・・・人の幸せを味わいすぎましたな・・・」

「それは悲しみを味わったも同じぞ・・・」

「さようかもしれませぬ・・・」

「気になるのは・・・娘たちの行く末・・・」

「さりとて織田の血を引くものならば・・・」

「長女の茶々・・・末の娘の江は・・・なかなかのくのいちになるに違いない」

「でありましょうな・・・」

「影に身をまかせてもよいが・・・なかなかそうはなるまいのう・・・」

「光りある場所に生まれた宿縁がございましょう・・・」

「我が妹よ・・・」

「はい・・・姉上・・・」

「娘たちを頼み参る・・・そなたにとっても姪っ子じゃ」

「されど・・・姉上はいかがなされます・・・」

「妾はのう・・・いささか疲れたのじゃ・・・影の世と違い、こちらはそれなりに気ぜわしいものよ」

「・・・でございまするか」

「・・・お弐よ・・・さらばじゃ・・・」

「お市様・・・」

二人のくのいちに別離の涙はない。

日差しが表より降れば・・・そこに神明尼の姿は消えていた。

一人残されたお市の元へ・・・柴田勝家の敗北の報せが届く。

城から見下ろす森のどこかで不如帰が鳴いていた。

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2014年8月 3日 (日)

近キョリ恋愛〜Season Zero〜女子生徒はみんな彼女だと思っている(山下智久)

谷間でございます。

秋公開の映画のスピンオフを夏の深夜にだらだらとやる・・・すごい作戦だな。

しかも、山Pファンの皆様がいつでるかわからない・・・現代の櫻井ハルカを待ち続けるという阿漕な展開である。

時々、ナレーションが挿入されたりするので・・・聞き逃すこともできないのだった。

まあ・・・いいと思います。

ついに教師役の山Pが登場する時代になったんだな。

山下智久も二十代の終りなんだなあ。

で、『近キョリ恋愛〜Season Zero〜・第1回~』(日本テレビ201407200050~)原作・みきもと凜、脚本・松田裕子、演出・河合勇人(他)を見た。超弩級の少女マンガテイストである。2014年10月公開の映画「近キョリ恋愛」の前日談という形式で・・・第一回は高校の英語教師である櫻井ハルカ(山下智久)が登場する。

女子生徒「恋人はいますか?」

ハルカ「います」

女子生徒「どんな人ですか?」

ハルカ「明るくて笑顔が似合う素敵な人です」

女子生徒「それは誰ですか」

ハルカ「この学校の女子生徒全員です」

・・・というようなバカヤローな教師なのである。

本編には未登場だが・・・生徒の一人・枢木ゆにと禁断の恋を展開するのが映画の主題である。

ゆにを演じるのは映画「渇き。」(中島哲也監督)でキスをしまくっていた小松菜奈である。

予告編でも壁ドンであわやキス・・・という展開なのだった。

まあ・・・少女マンガでございますから~。

ハルカの勤務する西泉高校の男子生徒(岡山天音)からは「イケメンとしてアドバイスをお願いします」などと言われ「明日の来ない今日もある・・・今日やれるならやっておけ」などと応じるハルカなのである。

そんなハルカに着信があり・・・血の繋がっていない姉の凛々子の結婚式が知らされる。

そして・・・ハルカは忘れられない17歳の頃の回想に誘われる。

するとハルカは阿部顕嵐になってしまうのだった。

17歳の山下智久を知っているので物凄く違和感があるわけだが・・・そんなことを言っていたらドラマを楽しめないのでご注意ください。

母親の再婚相手の娘である凛々子(足立梨花)はハルカと一緒に暮らしたこともあるが・・・現在は両親と米国在住。

ハルカは高校生だが一人暮らしをしていた。

しかし・・・恋人に会うために凛々子が帰国。

血のつながらない年上の女と一緒に暮らすことになるハルカ。

そんなハルカに思いを寄せる幼馴染で同級生の女子・滝沢美麗(石橋杏奈)は「ハルカに送信しないメール」を書くような片思い中なのだった。

時の彼方で女子高校生と恋愛する教師になるハルカだけに・・・その恋もせつなさに満ちています。

一方、米国で知り合った美大の講師・橘将吾(永山たかし)には坂井麻理恵(久慈暁子)という恋人がいて・・・凛々子の恋も前途多難なのだった。

まあ・・・青春恋愛少女マンガです。

ちなみに・・・なんちゃって高校生の石橋杏奈は22歳。「第31回ホリプロタレントスカウトキャラバン」(2006年)のグランプリ受賞者である。

ついでに・・・足立梨花は21歳。「第32回ホリプロタレントスカウトキャラバン」(2007年)のグランプリ受賞者なのだ。

つまり、グランプリ受賞者の豪華共演で・・・年下の方が年上の女を演じ、おへそも出しているのである

しかし・・・違和感はまったくないぞ。

とにかく、少女マンガドラマとしては素晴らしい出来栄えだと思う。

まあ・・・これ以上、語ることはありません。

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Kin001ごっこガーデン・禁断の教師と女生徒のセット。エリついに山P先輩が先生になる時が来たのでスー。教壇に立って英語をペラペラと話す山P先生にときめかない女子高生がいるでしょうか・・・いやいないなのでスー。壁ドンからのキスにメロメロになりまスーまこじいや~、壁の補強工事をちゃんとしないと大変なことになりましゅよ~・・・エリ姉ちゃんはロイドに壁をたたかせまくるに決まっているのでしゅから~

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2014年8月 2日 (土)

一人殺せば何人殺しても同じこと(財前直見)

おいっ・・・。

アラサーちゃんだな。

アラサーちゃんですよお。

一度挿入すれば・・・以下省略。

とにかく・・・このドラマの最大の難関は・・・岡美歩(山口紗弥加)がアラフォーちゃんに見えないこと。

そして、氷崎游子(松雪泰子)が岡美歩より二つ年下に見えないことなんだよな。

だから・・・基本的に子供の巣藤浚介(伊藤淳史)が美歩より年上の游子に魅かれていくように見えるんだよな。

登場人物が基本的に全員小学生設定だよな。

ま・・・私ってブスだったのという脚本家だからな。

私ってダメだったの・・・私って勘違いだったの・・・私って我儘だったの・・・私ってグズだったの・・・私ってバカだったの・・・私ってオトナだったの・・・と延々と叫び続ける感じに・・・。

まあ、それはそれで面白いわけだが・・・。

それより、やはり、キャスティングだ。

もちろん、タレント行政的にはありえないのだが・・・奇をてらったキャスティングが逆にすでに日常化して・・・フレッシュでない・・・ということはある。

見原刑事・・・岡田浩暉

駒田・・・遠藤憲一

浚介・・・平岡祐太

椎村刑事・・・伊藤淳史

游子・・・山口紗弥加

美歩・・・松雪泰子

みたいにシャッフルしたくなるんだなあ・・・。

油井と綾女には納得してるのか・・・。

で、『家族狩り・第5回』(TBSテレビ20140801PM10~)原作・天童荒太、脚本・大石静、演出・伊藤雄介を見た。夏休みである。当然、猛暑である。台湾では物凄い惨事。日本では政府がインフレにするって宣言しているのにインフレにこぞって反対するマスメディア。まあ、基本的にテレビを見るのは底辺に近い人々だからな。暑いからって何を言っても許されると思うなよ。とにかく・・・これ見よがしの引きには辟易しますな。いいじゃないか・・・きっと一生懸命作ってるんだから。

ついに・・・キャスティング的に真犯人である山賀葉子(財前直見)登場である。

潜伏していたなあ・・・。

しかし・・・游子(松雪泰子)の「私、人殺しですから」詐偽はどうするつもりなんだ。

いや・・・意外と冷蔵庫に猫の首を入れているのかもしれんぞ。

一方で・・・恩人である馬見原刑事(遠藤憲一)の家族に危機が迫っているのにまったく警告を発しない冬島綾女(水野美紀)は・・・結局、物凄い悪女なんだよな。

そうじゃないという展開になったら一同爆笑するしかないもんなあ。

浚介と一緒に実森家に乗り込んだ游子・・・。

まったく事情を知らないにも関わらず、引きこもりの実森勇治(岡山天音)の説得を母親の智代(占部房子)が嫌がるのも構わず強行である。

そんなに簡単に心が通いあうなら誰も苦労はしないわけだが・・・ついに浚介のことを癒しの超能力者として神に選ばれた男と游子が言い出して・・・とんでもない感じが充満するのだった。

まあ・・・游子はそういう精神に問題を抱える女であるわけだ。

それでいいのかな。

そして・・・一方で・・・岡美歩の「私の男に手を出さないで宣言」に翻弄されるわけである。

ここで問題なのが見た目年齢なんだよな。

どう見ても若い女に圧倒される年上の女にしか見えない游子なのである。

「俺も引きこもっていた」と共通体験で実森を攻撃する浚介・・・。

そして「男同士の下ネタ交流」で都合よく心を開く実森だった。

自家製拳銃でドア越しに撃たれる時代だが・・・多くの場合、人は人を殺さないのが前提である。

連続殺人犯が別にいる以上、実森は割とまとも・・・ということになるのだろう。

とにかく、嵐が静まって実森の母親も一応、家宅不法侵入を咎めることはしないのだった。

ある意味、ほとんど見知らぬ男女に侵入される方がこわいよね。

家に戻って来た二人は元教え子の電気屋・渓徳(北山宏光)に送られてきた清太郎(井上真樹夫)と民子(浅田美代子)の夫婦に遭遇する。

清太郎の認知症は・・・民子を疲弊させるほどの威力があるはずだが・・・まるで手がかからない子供のように弱体化している。

まだらと言えば聞こえはいいが・・・そんな生易しいものではないのが普通である。

妻も娘も「死ねばいいのに」と思っていたはずだ。

つまり・・・あまりにもトーンが一定していないのが少し気になる。

まあ・・・それが現実的だと言われればそうなのだが。

まあ・・・この物語の登場人物は山賀葉子を除いては全員、短気で行き当たりばったりな性格なんだよな。

他人をお父さんと呼ぶ研司(須田瑛斗)、他人に唾をはきかける駒田玲子(信太真妃)、そのアルコール依存症の父親・幸一(岡田浩暉)、精神を病んでいるが夫の浮気相手は許さない馬見原佐和子(秋山菜津子)、本妻の病んだ心には全く興味がない馬見原刑事、直感的に油井(谷田歩)の危険性を察知しているのに病んだ母親にその依頼を受けさせる石倉真弓(篠田麻里子)、顔を蒼く塗る女子高校生・芳沢亜衣(中村ゆりか)、そんな娘を施設に入れて隔離したい父親・孝郎(二階堂智)、そんな夫に無抵抗で従う妻・希久子(相築あきこ)・・・。

ろくでもないわけである。

そんな・・・芳沢夫妻に「最終的な解決手段がある」と断言する山賀葉子。

それはもう・・・あれですかっ。

しかし、警視庁刑事部捜査一課課長の藤崎(飯田基祐)は「犯人は馬見原かもしれない」と突然言い出すのだった。

とにかく・・・馬見原刑事は息子の自殺以来・・・完全に方向性を見失っているらしい。

そして・・・なんとなく・・・游子を追いかけて佇む椎村刑事(平岡祐太)だった。

捜査しろよ・・・。

そして・・・あげくの果てに包丁持った愛人とハサミを持った正妻がドアを挟んで対峙である。

薔薇の花弁と血潮の飛散は二度目である。

また・・・嘘だったらどうしよう。

そして・・・どうでもいい感じの浚介と実森の裏DVD観賞会を・・・土足で踏みにじる美歩だった。

あんなにうちとけた二人だったのに

私はここにいるのに

あなたはどうして応えてくれないの

私のSOSを聞いてください・・・

とにかく凶器を振りかざす実森だった。

ま、またですか・・・。

とにかく主人公としての存在感を出すために無意味に自信喪失をする游子とか。

コケおどかしの引きの連続とか。

これは・・・かなりきわどい展開ですな。

もはや・・・小学生向けというよりは幼児レベルの作りに・・・。

もう少し・・・文学的にお願いします。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

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2014年8月 1日 (金)

花魁の文に天紅、極楽あるいは地獄へまっしぐら(徳永えり)

同級生が殺人鬼というのは万に一つの出来事だろう。

別れた恋人が女を殺して悔いが残らぬほどの畜生であるのも万に一つのことだろう。

そういう奇跡のような出来事が起これば人は右往左往する。

しかし・・・奇跡を相手にして凡人が何かを言うのは虚しいことである。

殺人に分かりやすい動機があれば、人は憤り、心の暗闇が広がれば、人は惧れる。

答えはただ一つである。

君子、危うきに近寄らず。

もちろん、それは君子以外には難しいのです。

娘を殺された親が・・・娘を殺した男が少なくとも22年も生き続けることに耐えしのぶ。

現実のこととも思えない。

人を殺しそうな女子高校生を見分けるのも一般人には難しい。

で、『吉原裏同心・第6回』(NHK総合20140731PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・田中英治を見た。「あまちゃん世界」が浸透している以上、徳永えりと言えば「フラッディ・マンデイ」のKではなくて若き日の天野夏なのである。今回は「鶴亀屋」の売れっ子遊女・雛菊を演じる。殺人犯の濡れ衣を着せられて責め問いを受けてやつれた姿が艶やかである。少し、拷問シーンも欲しいくらいだが変態はそこまでだ。

遊女たちの手習いの師匠を務める汀女(貫地谷しほり)は「天紅」なるものの存在を知る。

「最近、お見限りですがたまにはお会いしとうございます」と客に出す文の天(手紙の上辺)に・・・遊女が紅をつけるのである。

本来、意中の人に出すものだが・・・そこは商売なのだった。

天紅の大量生産である。

汀女にそのことを教えてくれた遊女・雛菊が・・・人を殺した疑いで面番所の同心・村崎季光(石井愃一)に捕縛される。

「殺されたのは雛菊のなじみ客で蝋燭問屋の主人・清右衛門らしい」

「しかし・・・遊女にどうして廓の外の人が殺せますか」

吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)は吉原裏同心の神守幹次郎(小出恵介)らに探索を命じる。

鶴亀屋のお職(一番人気の花魁)を務める鞆世(黒谷友香)も「どうか、雛菊を救ってほしい」と頼まれる幹次郎だった。

仙右衛門(山内圭哉)らと探索を始めた幹次郎は聞き込みによって・・・清右衛門(市川しんぺー)が文使いの正五郎(三浦祐介)が届けた雛菊からの手紙の天紅に口づけしたことで死亡したことを突き止める。

天紅にトリカブトの毒が塗ってあったのである。

医者の柴田相庵(林隆三)に尋ねると「トリカブトの毒は医者なら誰でも扱っている」と言われ・・・探索は行き詰る。

雛菊は否認を続け、村崎は根をあげて幹次郎に水をむけるのだった。

「本当にやっておらんのだな」

「はい・・・でも・・・」

「でも・・・なかだ」

「わちきの身の証が立ったならば・・・もっと恐ろしいことが表に現れるかもしれませぬ・・・何か大切なものがこわれてしまうような気がするのでありんす」

雛菊の言葉は判じ物のようで幹次郎にとって意味不明だった。

仕方なく幹次郎は・・・汀女に頼んで吉原一の花魁・薄墨太夫(野々すみ花)に「女心」を解説してもらうのだった。

「遊女は苦界で生きる上で・・・何か心の拠り所を求めるもの・・・遊女にとって恐ろしいのは心の拠り所を失うことでありんす」

「大切な拠り所とは何でしょう」

「それは・・・人それぞれ・・・ふるさとに残した家族への思いもあれば・・・あるいは」

「あるいは・・・愛しい男のこともありましょう・・・」

「なるほど・・・」

「殿方にとって女心は難しきもの・・・まして遊女の心は謎でしょうねえ」

「まったくです」

意気投合する汀女と薄墨太夫である。

お茶の間の皆様にはなんとなく察することのできる話だが・・・汀女の亭主である幹次郎は薄墨太夫の意中の人なのであろう。

なんとも恐ろしい話である。

しかし、当の幹次郎は朴念仁なのである。

雛菊と文使いの正五郎が深い仲だったという遊女・春日(遠谷比芽子)の証言があり・・・二人の共謀が疑われる中で・・・行方不明だった正五郎の死骸が発見される。

一方、身替り屋の佐吉(三宅弘城)からの情報で清右衛門の死因を特定した医者が諒庵(堀本能礼)で・・・蝋燭問屋の番頭・茂蔵(半海一晃)の博打仲間であることが判明する。

茂蔵に動機があることを知った幹次郎は吉原遊郭に共犯者がいることを直観する。

それは・・・雛菊の大切な人・・・鞆世だった。

鞆世は先輩の遊女として雛菊に吉原の作法を仕込んだ恩人だったのだ。

幹次郎は腑に落ちぬものを感じながら汀女に偽の文を書かせるのだった。

「ぬしさま・・・お会いしとうございます」

手紙を受け取った茂蔵は鞆世の前に姿を見せる。

「まだ・・・表立つのは危のうございます」

「何を言う・・・お前が文をくれたから・・・」

「文・・・?」

幹次郎は密会の現場に姿を見せる。

「鞆世さん・・・何故・・・あなたが・・・」

「私にとってお職であることは・・・掛け替えのないこと・・・とって代わろうとする雛菊が憎かったのでございます」

鞆世は美しい顔に鬼の形相を浮かべるのだった。

幹次郎は自害を目論んだ鞆世を制する。

「死なせてくださりませ」

「ならぬ・・・」

泣き崩れる鞆世だった。黒谷友香も流石だなあ。「蒲田行進曲」で小夏を演じる器である。

牢を出た雛菊は浮かぬ顔だった。

「私ばかりが幸せになって・・・」

「いいのだ・・・お前は幸せになれ・・・」

そんな幹次郎に目を細める四郎兵衛の娘・玉藻(京野ことみ)だった。

「幹次郎様は・・・面白きお方・・・」

「俺が見込んだのは剣の腕前だけじゃねえ・・・あの気風だ」

四郎兵衛も自慢げである。

そして・・・日も暮れて。

「姉さまの大切なものは何ですか」

「あなた様ですよ」

「私もです」

毎度、馬鹿馬鹿しい二人である。

この世に分からぬことは多い。しかし、分かってしまえば馬鹿馬鹿しいのである。

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