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2014年8月13日 (水)

エボラ出血熱のようなもので退場(橋本真実)壁ドン(高良健吾)さよならなんて言わせません(橋本愛)

「続きはないのかよ・・・」と思わず叫ぶ最終回である。

「ケイゾク」や「トリック」あるいは「富豪刑事」などにはあったので・・・くるみとの再会の日を待ちたい。

それはそれとして・・・呪われた「地上波初放送」の後の第1回の再放送・・・。

6/29(日)にスポーツ中継の延長に伴って中止、7/8(火)深夜、台風関連ニュースのために休止、8/9(土)深夜、台風関連ニュースで中止・・・ようやく、8/11(月)深夜に執念の再放送完了である。

まるで・・・東京に来れないユイちゃんみたいだったぞ。

ついでに・・・なんだか恐ろしい「2014年の西アフリカエボラ大流行」である。8/8にWHOは、西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」であると宣言。外務省は、ギニア、リベリア、シエラレオネに対し「渡航延期勧告」と「退避検討勧告」を出した。パンデミック(世界的流行)への変化点が検出されないことを祈るばかりである。

そして・・・ミステリにおいて「エボラ出血熱のようなもの」が定番化していることに複雑な気持ちを抱きます。

ま・・・基本、こわいものみたさだからな。

で、『ハードナッツ! 〜数学girlの恋する事件簿〜・最終回(全8話)』(NHK総合20140812PM10~)脚本・蒔田光治、演出・河合勇人を見た。エボラウイルスが発見されたのが1976年である。フィクションの世界では映画「アウトブレイク」(1995年)がその恐怖を描いている。すでに新型ウイルスの生物兵器化ということでは「復活の日/小松左京」(1964)があるが・・・全身から出血して死に至るという病状がエボラウィルスをフィクションの素材たらしめるわけである。ミステリでは自然発生的なものから・・・ウィルスの人工的変異、そしてテロリストの強奪が一種のジャンルのようなものになっているわけである。先週なんて裏表・ウイルステロものだったのだな。

基本、作り手は神を惧れません。

警視庁公安部長・鶴橋の妻(阿部朋子)と初音署の女性警察官・高野沙織(橋本真実)が配達された小包を開けて謎の霧を吸いこんでしまう。

それは恐ろしい新型ウィルス爆弾だった。

過去が謎に包まれている警視庁初音署(フィクション)の伴田竜彦刑事(高良健吾)は「犯罪者の息子であり、身分を詐称して反社会勢力によって警視庁に送り込まれたスパイ」だったことがお茶の間に示される。

その仕掛け人である謎の男・黒沼(升毅)曰く「しかし、お前ときたら刑事になった途端・・・正義に目覚めやがって・・・」というわけである。

だが・・・警察官になるのに足枷となる経歴や家族の存在をクリーンにした組織と伴田刑事が無縁になったわけではないことも明らかである。

「ウイルスを使った犯罪はこれからが本番だ」と黒沼に告げられた伴田刑事は・・・罪なき婦人警官である高野沙織が標的となり「死に至るウィルス」に感染してしまったことに激しい罪の意識を抱くのだった。

「毒性があがって・・・手のほどこしようがありません」と感染症の専門医(阪田マサノブ)も匙を投げるのだった。

隔離された高野婦警とインターフォンで最後の対話をする伴田刑事・・・。

「ごめんなさい・・・せっかく歓迎会な誘ってくれたのに・・・」

「そうだよ・・・とっておきの店を予約していたのに・・・」

「残念です」

「元気になったら・・・今度こそ歓迎会をするから・・・」

「はい」

「すまない・・・」

「なぜ、伴田さんが謝るんですか・・・」

壁ドンである。

恋の三角関係的には天才女子大生・難波くるみ(橋本愛)は惨敗である。

初音署でのウイルステロ発生にくるみは伴田刑事に電話をかけまくるがリベンジに燃える伴田は応答しないのだった。

くるみは・・・鳴らない電話に・・・変化点を検出しようにもできないのだった。

せつない片思いである。

妻を殺害されたことで警視庁公安部長・鶴橋(梶原善)は世間の同情を買い、マスメディアで「テロ撲滅」を訴える。

警視庁捜査第一課長・青山(矢島健一)、管理官の小林(勝村政信)、警視庁捜査第一課刑事の高垣(波岡一喜)の無能トリオは新たなるテロの発生について東京生物科学研究所長・長部(小木茂光)や西尾研究員(正名僕蔵)に意見を問う。

「ウイルスを拡散させるのはそんなに簡単なことではありません・・・空気中でウイルスが感染力を持つのは数分ですし・・・散布されたウイルスは落下してしまいますから・・・」

言葉を濁す研究者たちだった。

「三日後に日本を沈没させるテロが起きる」と予言する黒沼。

しかし反社会的組織との関係を秘匿する伴田刑事にはなす術がない。

愛車ジャガーで闇雲に街を流す伴田刑事は「ウェリントンホテルに強盗が侵入し、被害額は1270円…」というニュースをカーラジオで耳にする。

その時・・・くるみが懲りずに電話をかけてくるのだった。

恋は盲目である。

困った時にはくるみに頼るちょっと悪い男である伴田刑事は東都大学数学科森崎研究室を訪問するのだった。

「三日以内に数学的に・・・テロの発生場所を特定できるか」

「できます・・・でも説明するのに三日かかります~」

「結論だけ・・・頼む」

「各地から人の集まる天井の高い部屋の可能性が高いと言えます~」

「なぜだ・・・」

「農薬をヘリコプターで散布するための理想的な高度と同じです」

直観力に優れた伴田刑事は・・・経団連のような経営者会議が開催されるウェリントンホテルの強盗事件を連想するのだった。

ただちに現場に向かう伴田刑事は・・・西尾研究員と合流する。

当然のようにくるみもやってくるのだった。

ドアの影からウインクするくるみを叱る伴田刑事・・・。

「帰りなさい」

「はい~」

しかし・・・くるみはうざくてかわいいよ、くるみ、うざくてかわいいよ的に帰らない。

くるみは・・・グランドホールの全国経営者会議に出席中の大出ホールディングス会長・大出俊一郎(斉藤洋介)に注目していた。大出はくるみの父親を自殺に追い込んだ男なのである。

調査を開始する伴田刑事・・・しかし、子供が悪戯したことで風船爆弾が軌道し・・・会場にウイルスが散布されてしまうのだった。

「今、ウイルスが撒かれた可能性があります」

「ただちに会場を封鎖しろ・・・」

上司の指令で・・・一人、会場を封鎖する伴田刑事。

現地に到着した特殊部隊は「武力」で「感染者」を「隔離」するのだった。

そして・・・サンプル調査によって・・・ウイルス感染が確認される。

大量の感染者発生に・・・受け入れ態勢が整わない警視庁・・・。

いや・・・もう政府レベルの話である。

その中で大出が肺出血の症状を発症する。

続いて・・・西尾研究員も・・・。

くるみは・・・大出を介抱する。

「君は・・・」

「昔、父親が世話になった難波くるみです」

「水をくれないか」

「・・・」

一瞬、冷たい視線を示すくるみ・・・。

「君は・・・あま難波さんの・・・」

「水です・・・」

くるみは優しく大出に水を与えるのだった。

直感的にふたりの関係を疑問に思った伴田刑事が問う。

「昔・・・私の父は町工場の経営者でした。新しい技術を開発した父親を大企業の既得権益を守るために阿漕な契約で騙したのが大出です・・・父は経済的に困窮して自殺、母親は病死しました。私はさっき一瞬、このまま苦しんで死ねばいいのに・・・と思いました。でも・・・彼らに復讐するために数学を勉強している私なので・・・こんなところで死んでもらっては困るんです~」

「君は・・・馬鹿だな」

しかし・・・暗い過去を持つ正義の男・伴田刑事のくるみを見る目は変わる。

単なるお嬢様の数学者から・・・保護するべき対象に・・・。

やがて・・・換気扇の停止に対応して酸素が注入され・・・鶴橋の奇妙なアナウンスが流れる。

「無暗に脱出はしないでください。裏口にも私の配下の者が配置されています・・・」

それに応じたかのように・・・裏口に放火しようとする西尾研究員。

伴田刑事とくるみがそれを制する。

「私だけが救出される予定だったのに・・・」

「いえ・・・酸素が注入されている今・・・放火は爆死を意味します・・・あなたは殺されかけたんです~」

「そんな馬鹿な・・・」

「じゃ・・・死んでみますか~」

伴田刑事は西尾研究員の嘘の死亡情報を流す。

そして・・・くるみは・・・伴田刑事とのファースト・キスの夢を見た。

たちまち始る救出劇。

検査の結果・・・くるみと伴田は感染を免れていた。

しかし・・・西尾研究員は隔離後に死亡したのだった。

そして・・・すべての犯行は西尾研究員のものと断定されたのだった。

くるみは・・・西尾研究員の残したメモの「配下の者」という文言から黒幕の一人が鶴橋であることを解くのだった。

黒沼が真相の一部を明かす。

「そうだ・・・鶴橋たちは・・・今回の騒動で円安を誘導し・・・為替レートの操作で巨額の金を得ようとしていたのだ・・・自分の女房の命なんて安いものだからな」

すでに・・・鶴橋の属する勢力に飼いならされた警察はまったく動かなかった。

実は・・・難病に冒されている伴田刑事は・・・正義のために暗殺者になることを決意する。

くるみに別れの電話をする伴田・・・。

「風邪ひくなよ・・・」

くるみは・・・数学を越えて変化を感じ走りだす。

選挙演説をする鶴橋にトカレフの銃口を向ける伴田。

しかし・・・くるみは伴田に抱きつくのだった。

「どうしたんだ・・・」

「伴田さんが・・・どこか・・・遠くに行ってしまうような気がして・・・」

「馬鹿・・・くるみ」

頭ポンポンである。

余命いくばくもない伴田刑事・・・復讐途上のくるみ・・・君臨する巨悪。

様々な後味の悪さを残して鮮やかな幕切れ・・・。

美しい復讐の女神としてくるみは佇むのだった。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

統計学的スコア(得点) による標準値変動の予測を志向する変化点(チェンジ・ポイント)の算出方法について興味のある方はコチラへ→天使テンメイ様のハードナッツ 

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コメント

やはりエボラを思い起こしますね、アウトブレイクも思い出しました。なんというタイミング…。

それにしても、これでおしまいなんでしょうか、寂しいです。

最後の数分、夢中で見ていて、終わってから、いろんな気持ちがわいてきました。

伴田さんからの電話、やっとくるみの想いが報われたようで、嬉しかったのですが、またくるみの大切な人がいなくなるのかと思うと、なんとも切なくなりました。
でも、きっとご両親と同じように伴田さんのことも、くるみはずっと胸に抱いて生きて行くのだろうな。そして、一人で「ただいま」と「お帰り」を言うのかな、…と思うと、余計に切なくなりました。

数学と妄想好きの変わり者のキャラクターの奥に、しっかり孤独や強さや優しさを感じました。愛ちゃん、すごいですね。

くるみは本当にアホで、本当に可愛いかったです。ぜひまた会いたいです。
できたら、やはり伴田さんもいてほしいなあ。

あと、あまりにも悪いやつが野放しのままなのは、やはりモヤモヤしますね。

投稿: ギボウシ | 2014年8月14日 (木) 00時35分

オチツキレイセイシズカナヒト~ギボウシ様、いらっしゃいませ~ワクイエミダイスキ!

キングのスーパーフールから、バイオハザードのゾンビウイルスまで・・・レベル4の世界は底なしで広がっている感じがします。

それはやはり原初的な恐怖を誘うのでしょうねえ。

やや・・・唐突な終了・・・。

しかし、橋本愛演じるくるみはすごくチャーミングですからね・・・。

第二期があることを信じて待ちたい気分でございます。

そもそも・・・最初が「死刑にならない男に復讐する遺族たち」の話・・・。

復讐が虚しいものなのか・・・それとも復讐こそが唯一の正義なのか・・・永遠のテーマでございます。

愛するものを奪われ
孤独に生きるくるみの淋しさが
ちりばめられた作品。

珠玉の名作でございますよね。

アホの子でありながら天才・・・
強いようで弱い乙女・・・
そしてついにその魂を感じたパートナー・・・
しかし・・・残酷な運命が待っている予感。

そう言う意味ではこれで完結している作品です。

だけど・・・くるみに会いたい気持ちは
キッドも強く感じています。

再会できるといいなあ・・・

投稿: キッド | 2014年8月14日 (木) 03時12分

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