担当を替えてください・・・あの人じゃない人に・・・あの人じゃなければ誰でもいいから(信太真妃)
自分の大好きなお父さんが・・・。
一人のおばさんのために・・・犯罪者にされ、そのために施設に預けられ、さらにはおばさんに復讐しようとして果たせず・・・あげくの果てに死んだ・・・。
そのおばさんに抱きしめられるのはどうしても嫌だ・・・。
ある意味、地獄だ・・・。
子供だから・・・もっとも嫌いな人に抱きしめられても文句も言えない・・・。
そういうこの世の残酷さを描いているのなら・・・物凄く納得が行くのだが・・・。
違うんだろうな。
テロップで「はたして馬見原は綾女と研司を救えるか」的な煽りが出るのだが・・・馬見原にそんなことを期待しているお茶の間はきっと少ないぞ。
みんな、「早く、自分の奥さんの見舞いに行ってやれ」と手に汗握っているのだ。
本当に・・・バランスおかしいよな・・・ドラマ全体が。
一体・・・あの病院はどこにあるのだろう・・・異次元空間なのか。
様々な違和感を克服しつつ・・・終盤である。
帝国の若者がバレーボールが白熱して発狂しちゃったを連発して不適切な発言を謝罪されていたが・・・こっちが発狂しそうだよ。
発狂しちゃった人が発狂しちゃったと言って何が悪い。
まあ・・・現実で本格的に発狂しちゃった人の関係者が発狂してクレームつけるんだからいいじゃないか。
もう、その件はやめておけ。
で、『家族狩り・第8回』(TBSテレビ201408022PM10~)原作・天童荒太、脚本・泉澤陽子、演出・山本剛義を見た。発狂していない人を捜すのは難しいが・・・とにかくなんとか日常生活を営むのが人間である。このドラマには親と子という二種類の人間が設定されている。それとは別に大人と子供という分類の仕方がある。基本的には親が大人であるわけだが・・・子供が大人びている場合もあるし、親が子供じみていることもある。その点を軸に登場人物を整理しておきたい。
氷崎游子(松雪泰子)は36歳の成人女性だが・・・児童心理司とは思えないほど児童の心理に暗い。言動は感情的で行動には計画性がない。実に危うい人格である。
父親の清太郎(井上真樹夫)は71歳で認知症を発症しており、もはや責任能力を喪失している状態でもっとも発狂しているわけである。
母親の民子(浅田美代子)は58歳で22歳で游子を生んでいる。享楽的な性格で家族のために献身するというイメージはない。それが娘の游子の精神にダメージを与えているが・・・許容範囲と言えなくもない。少なくとも娘を大人になるまで育てあげたわけである。
駒田玲子(信太真妃)と游子を比較してみれば游子が家庭環境に恵まれているのは一目瞭然である。玲子は母親に育児放棄をされて、アルコール依存症の父親に虐待されているのである。それでも父親を慕う悲しい子供なのである。そんな子供の心を游子は基本的に想像できないのではないか。
駒田幸一(岡田浩暉)はアルコール依存症であるが、正気の時も現実の把握力が高いとは言えず、自分の愚行を他者に責任転嫁するタイプである。その行動は短絡的で登場人物の中でも一際幼児性が高いと言える。恐らくアルコール常用によって発狂しているのだろう。
ドラマから存在を抹消されている38歳の清岡美歩(山口紗弥加)は情熱的な教師とは言えないがごく普通の人格と言えるだろう。そもそも・・・教師が生徒の人格形成に関与するというのは一種の洗脳なのである。様々な大人がいるという実例としてはいい反面教師と言える。未婚のまま中年になる娘を心配する美歩の両親もごく普通の親と言えるだろう。
そんな常識的な親に対応できない31歳の巣藤浚介(伊藤淳史)は歪んだ人格を持っているわけである。おそらく・・・ドラマでは大人になりきれない子供じみた青年という役所なのだろうが・・・無責任で流されやすい人格が記憶障害から急に安っぽい正義感に満ちた人格に転換しており・・・おそらく発狂しているのだろう。
馬見原刑事(遠藤憲一)は暴力団組織構成員・長峰(菅原卓磨)に対する暴行を見ただけでももはや正気ではない。死んだ息子のために精神が歪んでおり、同じく狂を発した妻に同情するでもなく、責任を負うでもなく、他者に感情移入している時点で自分を見失っているわけである。巧妙な罠を仕掛ける犯罪者相手に無防備で乗り込むのはおそらくもはや死にたいと思っているのだろう。このドラマでは駒田につぐダメ人間であろう。
基本的に最悪なのは油井(谷田歩)なのだが・・・子供に暴力さえ振るわなければ馬見原よりまともに見えるから不思議だ。
父親に暴力をふるわれて母親の愛人を父と呼ぶしかない冬島研司(須田瑛斗)は駒田玲子と並ぶこのドラマの無垢の虐待児童代表である。その存在の憐れさを愛人の息子という設定で打ち消されて可哀想。
研司の母親・冬島綾女(水野美紀)は不幸な女である。しかし・・・油井の子を生んだことがすでに愚行なのである。我が子を守るために父親を必殺するのならもっと捨て身の方法が必要だろう。相手が眠っている時に刺殺するべきだ。夫というものはいつでも妻に殺される覚悟で眠りに落ちるものなのに。
鈴木渓徳(北山宏光)と鈴木佳苗(松浦雅)はとってつけた登場人物なので言及はさけたい。
そういう意味では石倉真弓(篠田麻里子)と石倉鉄哉(佐野和真)も闇を彷徨う馬見原刑事に孫という光明を示すだけの役割でしかなく・・・実に残念な感じである。少しは掘り下げた展開があるといいよね。
山賀葉子(財前直見)は最も大人として描かれる登場人物である・・・「子育てに失敗している」と言うが・・・子供が登場しないのが恐ろしいところなのである。
さて・・・最新の犠牲者候補になっている芳沢亜衣(中村ゆりか)の家庭の事情もぼんやりとしか描かれない。
基本的に・・・父親の芳沢孝郎(二階堂智)は娘を性的虐待しているはずだ。
母親の芳沢希久子(相築あきこ)はそれを見て見ぬフリをして裕福な家庭を営んできたのである。
その前提があれば・・・。
「どうして・・・俺の言うことかきけない・・・いやなら出ていけ」
「私はともかく・・・あの子はあなたの娘でしょう」
「バランスがおかしいだろう」
このセリフはすごく納得できる。・・・それは永遠の仔だろう・・・。
途中で亜衣は父親を刺しているが・・・あれは基本的に亜衣の幻想だったのだろう。
亜衣は母親からは美貌を・・・父親からは知性を受け継いでいるわけである。
支配的で暴力的な父親の破綻が迫っていて・・・そうなれば殺されかねないと亜衣は洞察しているのである。
裕福な家庭に未練のある母親を離脱させるためには・・・父親の経済力を奪うしかないのである。
それが出来なければ破滅した父親に母親も自分も殺される予感が亜衣にはある。
藁をもすがる思いで頼りない大人に救いを求めるしかないのだった。
見事な表現力で亜衣は脚本で描かれていない部分を演じているわけだが・・・お茶の間には届いていない気がして仕方ない今日この頃である。
「あなたはありのままの自分を親に認めてもらいたいのよね」
「馬鹿なのか・・・ババア・・・家族に期待なんかしてねえよ・・・全員、ぶっ殺すしかねえんだよ」
駒田が殺され・・・残された遺言が・・・「生きている妻が死んだことになっている」ことから他殺を疑う・・・突然探偵気分の主人公ペア・・・ああ、恥ずかしい。
そして・・・大野白蟻工業の社長(藤本隆宏)の発言「駒田は身よりがないと言っていた」から・・・密室と床下からの侵入という連想が起き・・・何故か一人で探索に乗り出すヒロイン。
もう、お約束過ぎて蕁麻疹が出そうな展開である。
そして・・・シャンプーが山賀経由であり・・・山賀の思春期悩み相談室と大野白蟻工業が一体化している事実に愕然とするヒロインだった。
山賀と親密な付き合いしているんじゃないのか。
そして・・・新たな容疑者として浮上する・・・駒田をヒロイン殺しに誘導し、駒田の娘に職員の靴を磨かせ、大事な手紙をわざと見せる・・・一時保護所の職員・大熊(宮地雅子)・・・ただならぬノーマークの黒幕感である・・・。
もちろん・・・一致するはずのない線条痕が一致するとなると・・・藤崎課長(飯田基祐)と椎村刑事(平岡祐太)が黒幕として浮上する。
まあ・・・この二人がホンボシなら・・・もうなんでもありだよな。
今週のこれでもか・・・撃たれた椎村刑事・・・予告編に元気に登場。この分だと刺された油井も生きてるかもね~。
そして、ヒロインの背後に立っているのは・・・。
①鉄人28号
②つぐみの実の母親
③謎の編集長
④突然ボレロの指揮者
⑤尾崎の亡霊
⑥通りすがりの発狂した人
果たして・・・正解は・・・?
ドラマの犠牲となったシロアリに黙祷・・・。
関連するキッドのブログ→第7話のレビュー
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コメント
こんにちは。
夏期の割には楽しめるドラマが揃っておりますが…
ツッコミという名の楽しさであったりする物もあるわけでございます^^;
>テロップで「はたして馬見原は綾女と研司を救えるか」的な煽りが出るのだが・・・馬見原にそんなことを期待しているお茶の間はきっと少ないぞ。
ほんとーーーにこの部分が邪魔で邪魔でどうすればいいのか解らんくらいですわ。
大袈裟に色々と煽られ過ぎて、別にケンジくんが来週になったら
元気に走り回っていても全く気にならないレベルでございます。
ヒロインの後ろに立っているのが志村でも……驚かないように
残りの2話をジッと見守りますわ。
残暑厳しいおり、お身体にはお気を付けくださいませ。
ごきげんよう~…←は、魔法の言葉らしい…。
投稿: くう | 2014年8月23日 (土) 18時57分
❀❀❀☥❀❀❀~くう様、いらっしゃいませ~❀❀❀☥❀❀❀
本日はまこ様が夏の災害救援基金チャリティー西瓜割り大会をなさったので冷えたスイカをお召し上がりください。
夏ドラマはなかなかの豊作ですが
どんどんなんだか違う方向に
進んでいくこのドラマ。
そのうち一周回って元の位置に戻るかもしれませんな。
キャスティング的には地味だか派手だか
分類の難しい顔立ちの芳沢亜衣(中村ゆりか)の
ピックアップが一番の収穫でございます。
佐伯日菜子や大政絢、栗山千明系統・・・。
意外と貴重なタイプですからな。
児童虐待事件と一家心中事件のリンクがあるのかどうかが
キーポイントのような気がします。
子供に暴力をふるってしまう父親ということでは
油井、駒田がリンクしていますが
子供が親を殺して自殺という一家心中事件に見せかけた
連続殺人事件とはこれまでのところなじまない。
油井と馬見原のあれやこれやが邪魔でございますよねえ。
遠藤憲一は石橋蓮司や大杉漣ほどには器用な役者じゃないのですな。頑張ってますけどな。
子供が親を殺すことを否定する馬見原が
実は子供が自殺することで心を殺されているというのが
ドラマの基本軸だと思われますが
あまりにも散漫な描写で
お茶の間に届いているとは思えず・・・。
まあ・・・一種のジグゾーパズル的な展開なのでしょう。
夏にそういう根気のいるドラマは向かないと思うばかりでございます。
夏は冷たく冷やした知恵の輪的なものがよろしいのではないかと。
ケンジくんは一種の「呪怨」キャラクターみたいですな。
そして・・・もはや、ヒロインがふりかえって
腰を抜かしたまま・・・後退りする展開でもおかしくない
ホラーな引き・・・。
ある意味、お化け屋敷的な狙いなのでしょうな。
子供たちが宿題の影におびえる季節。
秋風を心待ちにしつつ
夏の終りを惜しむ頃・・・ご自愛くださりませ。
ごきげんよろしゅうお願い申しあげまする。
投稿: キッド | 2014年8月23日 (土) 22時24分