別れた人に会った・・・別れた熱海で会った・・・おんなじホテルに宿泊中だから(木村拓哉)
一度くだした結論に変更を加えるのは善悪定かならぬことがある。
原子力の平和利用を始めたからには人類滅亡まで突き進むのもまた是である。
山際のいかにも危険な土地に住むのもそれぞれの決断によるものだ。
しかし、絶望は愚か者の結論でもある。
優しい言葉で絶対安全を謳い、お買い得の物件を売りつける。
その結果がもたらす死を悼み、あやまちをくりかえしませんと誓うのもまた人間である。
廃墟と化した街に亡霊はいるか。
それでも顔をあげて前へと足を踏み出すか。
歯を食いしばりハザードマップと向き合うか。
それとも愛に溺れるか。
すべてはそれぞれの選択と決断に委ねられている。
何故と問いかけても誰も応えてはくれない。
だけど・・・大丈夫、終焉はすぐそこだ。
どんな孤独も百年くらいの辛抱である。
で、『HERO(第2期)・第7回』(フジテレビ20140825PM9~)脚本・福田靖、演出・平野眞を見た。愛を持続するのは困難なことである。もちろん、人は時には持続に見せかけた怠惰でお茶を濁す。気がつかないふりで破滅をスルーする。それで偽りの愛を手に入れた気になったりする。だが・・・心の底で真実の愛が呼び掛ける。本当にそれで幸せなのかと。手抜きのトレーニングで筋力がアップしないように・・・一方的な奉仕だけでは幸福には届かない。愛にふさわしい人間になるために努力するものだけが愛を信じることができるのだ・・・とヒーローは語りかけるのだった。
【馬場検事のヒートアップがやや唐突だが・・・これはスピンオフ・ドラマで二股男の結婚式に乗り込み傷害罪に問われた被疑者を担当してしまった余波である・・・スピンオフは見ていなくても本編が楽しめるのが鉄則で・・・少し失敗していると言える・・・つまりスピンオフ→本編ならスムーズだが・・・本編→スピンオフだと違和感が生じるということだ】
失った愛に戸惑い続ける馬場礼子検事(吉田羊)は久利生公平検事(木村拓哉)に「夜の顔」を開示する。しかし・・・久利生検事の心は冷え冷えの通販グッズ「クールマンZ」に占拠されているのだった。
その耳元に・・・第一の秘密「田村検事のことが今でも忘れられない」が囁かれる。
その秘密に少しウヒョーとなる久利生だった。
しかし、業務連絡で・・・案件過多の馬場検事は「同居中の恋人・綾野さくら(中村ゆり)への暴力によって傷害容疑をかけられた被疑者・城山圭吾(竹財輝之助)の件」の委譲を久利生に申し入れ受諾される。
「恋人を殴った男」に敵意丸出しの麻木千佳事務官(北川景子)だったが・・・何故かくしゃみを連発する麻木にペースを狂わされるのもなんのその久利生は冷静に被疑者を観察するのだ。
城山圭吾はどこか信用できない二枚目だった。もちろん、二枚目だから信用できないわけである。
だから、容疑を認め謝罪の意思を示す城山を・・・久利生は信用できないのである。
二枚目である以上、何かが悪に染まっているわけである。
美しいことはそれ自体が罪だからである・・・おいっ。
何しろ、相手は怨み屋本舗で色事師担当もできる逸材なのである。
結局、久利生は事件後、実家に戻っている被害者から事情を聴取することにする。
被害者・さくらの実家は熱海だった。しかも駅から遠いので宿泊する必要があった。
当然、麻木事務官も同行するので・・・宇野大介検事(濱田岳)の心は胸騒ぎでいっぱいになるのだった。
末次隆之事務官(小日向文世)は「熱海でしっぽり、温泉でずっぽり」と煽るのだった。
人の恋路を嗤うものには天罰覿面である。
末次事務官の憧れの人・馬場検事の担当案件で検察官請求予定証拠の閲覧のために城西支部に弁護士の梶原洋人(戸次重幸)が現れる。
梶原は馬場検事の離婚した夫であり・・・「君と別れたのは失敗だった」などと復縁を仄めかすのだった。
打ちのめされる末次だった。
整理しよう。
馬場検事と田村検事(杉本哲太)の職場恋愛。
田村検事が父親そっくりの牛丸次席検事(角野卓造)の娘と見合い結婚。
破局に傷心の馬場検事と梶原弁護士の結婚。
結局、破局。
馬場検事の心には自分を選ばなかった田村への執着心が燻り続けているらしい。
場合によっては田村・梶原結婚からの田村検事との交際もあるわけだが・・・とにかく、馬場検事は梶原よりも田村に未練があるらしい。
どちらにしろ・・・それは自分を見失っていることになるのだった。
二人の事情を知る川尻健三郎部長検事(松重豊)は対処に苦慮するのだった。
妻が子猫を三匹も拾い動物屋敷になりつつある田村家。
そこで・・・結婚記念日にパーティーを開催しようという田村夫人。
そのパーティーに出席しようという馬場検事。
しかし・・・田村の電話の待ち受けの牛丸次席検事そっくりの田村夫人の写真を見た時、馬場検事の中で何かが変わったらしい。
「この女に負けたのかよ」
そこで蘇る元・夫の変わらぬ優しい言葉。
「君の笑顔は素敵だ」
「そうだ・・・私は笑顔の素敵な女・・・牛丸次席検事そっくりの女に負けるわけがない」
馬場検事は・・・地獄の執着心から抜け出したのだった。
愛を始めるより終わらせるのが難しいタイプである。
そういう女はつい・・・惰性で愛を持続してしまう。
もちろん・・・愛なんてすべて惰性だという考え方もあります。
「熱海はヤバイ・・・」と別件の被疑者も語る東京近郊の夢の温泉街。
久利生と麻木はタイアップ丸出しのリゾートホテル「ROYAL WING」にチェック・インする。
しかし・・・夏風邪を引いた麻木は発熱してダウンするのだった。
一方、久利生は爽やかに目覚め、何故かグラビアモデル100%のプールサイドで朝食後、単独で被害者の実家に向かう。
被害者の実家は十三代続く旧家で・・・被害を訴えたのは被害者の母親(岡まゆみ)だったらしい。
一瞬で・・・箱入り娘が・・・落ちこぼれて家出をし・・・悪い男にひっかかったパターンを思い描く久利生。
しかし・・・悪い男にある程度、共感できる久利生は・・・被害者自身の気持ちを問うのだった。
だが・・・親の圧力の前で・・・本心を語れない被害者。
被害者が・・・被疑者に対する未練を持っていることを見抜く久利生である。
けれども・・・それが良いことなのかどうか・・・久利生は決断を下せないでいる。
一方、麻木の容体は悪化。
久利生はバスで麻木を医院で受診させる。
その帰り道・・・バスに乗り合わせたなんちゃって女子高生(小林里乃・桑澤菜月)の会話から「秘密」を連想する久利生。
つい・・・それを麻木に語ってしまう。
それはやがて恋の未練の話になり・・・被害者の被疑者に寄せる思いに発展する。
「でも・・・それって前を向く勇気がなくて・・・そこにいる方が楽だからという気分なのかも」
熱にうなされて名言を吐く麻木。
依存とか癒着とかを思い浮かべながら下車する女子高校生を目で追う久利生は・・・被疑者の姿を発見する。
被疑者が女子高生を突き飛ばしながら謝罪する様子もないのを見逃さない久利生。
この瞬間、被疑者の評価は著しく下がったのである。
被疑者を追跡した・・・久利生は・・・被疑者が思い出の品物を持って被害者を訪ね、別れを切り出そうとしていたと釈明を受ける。
被疑者が被害者に直接会うことは許されないと釘を刺した後で・・・被疑者から思い出の品と手紙を託される久利生だった。
その日、久利生の発注した「スーパークールZ」がホテルに届く。
麻木は優しさに包まれておたふくとなるのだった。
久利生はホテルに麻木を残し、喫茶店「風の家」に被害者を呼びだすのだった。
思い出の写真や・・・自分の出した手紙・・・被疑者からの謝罪の手紙を読んだ被害者は・・・訴えを取り下げたいと言い出すのだった。
「そうなりますよね」
「・・・」
「狡猾ですよね・・・やり方が卑怯だ」
「え」
「だってそうでしょ・・・こうしたら・・・あなたが別れないと言い出すに決まっているという感じですよ。ここからは・・・法律家ではなく・・・一人の人間としての意見です。あなたたちは・・・こういうことを繰り返してきたんでしょう。彼の悪い部分をあなたが否定する。彼が暴力をふるった後で謝罪する。あなたは彼の悪い部分も含めて許す・・・」
「・・・」
「彼はあなたに甘え・・・あなたは彼に甘えている・・・これは犯罪です・・・もちろん・・・法は被害者の報復感情を代理する側面を持つ・・・あなたにそういう気持ちがなければ処罰は意味がなくなるのかもしれません・・・しかし、誰かを傷つけて責任をとらない人間を作り出すことでもあるんです・・・」
「・・・」
「あなたは彼に責任をとらせるチャンスを与えるべきではありませんか・・・彼が罪を償った後であなたの気持ちが変わらなければ・・・本当の愛を続けることができるはずです・・・あなたは彼に変わってほしいと願っている・・・そして、彼が変わらなければ今度はあなたが殺されてしまうかもしれませんよ」
被害者は不幸せの連鎖から顔をあげるのだった。
久利生には「被害者の心の秘密」も「被疑者の心の秘密」も分からない。
ただ・・・心は行動に現れると信じているのである。
熱が下がり、回復した麻木は・・・久利生の苦労を知らないまま・・・熱海を去るのだった。
旅行で一人発病するタイプは休養十分なのであった。
そして・・・夏風邪に感染する久利生。
城西支部の出口で・・・宇野検事は叫ぶ。
「白のビキニにTバックだったんですか!・・・ねえ・・・どういうことだよ!・・・どうやったら風邪が移るの?・・・どうして~!」
ついでに・・・いつもより苦いじゃんじゃん豆を食べた馬場の元夫は・・・よりを戻すこともなく颯爽と去って行くのだった。・・・今回、スピンオフ要素多いな。
愛の持続と・・・真実の愛の間で揺れる馬場は・・・なんだかふっきれた顔で「St.George's Tavern」のマスター(田中要次)の西瓜が「あるよ」を聞く。
久利生と馬場の間には知らず知らずのうちに友情が深まっている。
そして・・・麻木の寝顔を見つめ、水着ギャルや女子高生が嫌いなわけではない久利生が何を思ったのかはお茶の間にも秘密なのである。
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ごっこガーデン。水着ギャルだらけのラインを越えたリゾート・プールセット。アンナ「恋でほてったほっぺを冷やすクールマンゼェーットぴょん。ダーリンは世界で一番白いタンクトップが似合うのぴょ~ん。馬場検事の久留米弁は・・・心が解放された証明だぴょんぴょんぴょん。愛は我慢するものではなくて心から感じるものなんだぴょ~ん。黙っていては愛は伝わらないもの~。でも、犯罪者には黙秘権がありますぴょん。一人の人を愛し続けるのは大変ですが・・・心から愛することができれば苦労とは思わないのですぴょん。でも熱海で二人きりなら・・・しっぽりずっぽりべったりが自然なんだと思うの・・・あはあん」mana「もげっではなくてプシッでも男性陣はメロメロなのか・・・まあ、エキシッで女性陣も少しメロンになるのだがや~・・・痛い目にあっても好きなのは変態っていうことなのかや?・・・」mari「じいや、すいかはありますか・・・まあ、ありますよね」
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コメント
こんにちは~。
>本編→スピンオフだと違和感が生じるということだ
なるほど~。
それが馬場検事の違和感φ(.. )フムフム
しかし元旦那がダメで田村麻呂の何が良かったのか…
あ、男と女って分からないってテーマか。
どうもバランスがしっくり来ないのは何?って。
辛うじて笑いの部分で埋めてる感じの、
自分のテンションが問題なのかな~って見てました。
キッドさんのお陰で補完できてちょっとスッキリ♪
驚いたことに…
何食わぬ顔で一話をすっ飛ばして書いてる自分に、
成長を感じたことです(笑)
これからもどんどん壊れて行くぞ~(ノ*´▽)ノアハハハハ
投稿: mana | 2014年8月27日 (水) 13時41分
特注じゃんじゃん豆をおみやげにどうぞ。
スピンオフも第一夜~第二夜は軽めだったのですが
第三夜は馬場検事に二股男(三浦力)と被疑者(小野ゆり)が登場して・・・コントとしても見ごたえありましたからな。
それがどうしても本編に波及してしまっている。
もちろん、本編だけでも見ることはできるが
微妙な空気感の違いが生じるという観測でございます。
離婚の原因は夫なのか妻なのか・・・
弁護士の口ぶりだと馬場検事がふられた感じ。
そして・・・田村にもふられている馬場検事。
馬場検事はひどい男がタイプなのかもしれませんな。
そして・・・弁護士が自分への評価をあげ
次席そっくりの田村の妻が勝負対象ではなかったと知ると
ふっきれる・・・
つまり・・・馬場は美しい自分が好きなんですな。
ある意味、ダメ女ですなあ。
久利生検事は・・・
被害者と被疑者にも正面から向き合うことを推奨する。
人にとっての幸せはそれぞれですが
犯罪者には更生のチャンスを与える。
そのために処罰しなければならないという論理。
もちろん・・・結果として悪質なストーカーになる可能性もありますが・・・
そこは・・・久利生の人を見る目で見極めたということになりましょう。
はたして・・・ダメな恋人の帰りを待つほどお嬢様が一途かどうか・・・。
お嬢様じゃないの・・・私、ただのミーハーという気配も漂ってましたがああああっ。
そして・・・一話や二話すっとばしても
全然問題ないですぞ~。
お客様の髪を爆発させることにくらべれば~。
人は忘却するものですからな~
投稿: キッド | 2014年8月27日 (水) 17時14分