たった一人のなつかしい恋人・・・愛した男はあなただけ(広末涼子)
筆おろしの相手が20代の広末涼子で30代の時にそんなこと言われてニヤニヤしない男はいないわけである。
ドラマの内容から「首都圏連続不審死事件」とその被告を連想する人も多いだろうが・・・これはまったくのフィクションなのである。
最初の女と再会したら殺人事件の被告だったという話だ。
発想としては・・・自分の初体験の人が再会した時・・・どんな風になっていたら面白いかという起点である。
本来、清く正しい世界では配偶者であるべきだが・・・この自由気ままな世界ではそうとも限らないんだな。
第一、処女をたくさん喪失させてしまう男や・・・童貞をたくさん喪失させてしまう女がいるわけで・・・。
多くの場合、中古品同士が婚姻しているとも言える。
まあ・・・基本的に女たらしに女にされ・・・女の敵に男にされている人も多い。
そういう意味では・・・男女を問わず、大衆が感情移入しやすいのは処女性(童貞を含む)を奪われたものである。
最初の経験をした時と場所としては・・・昼下がりの勉強部屋。
階下には実の母がいて・・・隣の部屋には実の兄がいる。
ギシギシもアンアンも憚られる設定である。
しかし・・・相手が広末涼子なので・・・いつでもどこでも天国なのであった。
絶対に忘れられない・・・絶対にだ。
で、『聖女・第2回』(NHK総合20140826PM10~)脚本・大森美香、演出・日比野朗を見た。連続殺人および殺人未遂の被告・肘井基子(広末涼子)の愛する絵画「聖女プラクセディス」はもし、真作ならフェルメールの初期の作品と言える。そこに描かれる聖女は慈愛に満ちた美女である。その背後には斬首された死体(殉教者)が横たわっている。恐ろしい残虐行為が行われた直後の光景なのだ。処刑された理由はキリスト教を信仰していたからである。神を信じることが罪であった時代の話なのである。キリストを神と仰ぐことが常識ではなく非常識だった時代・・・そういう時代があったし、今も世界のどこかではそうであるかもしれない。法律を犯したものが裁かれる時・・・常識と非常識は鬩ぎ合う。殺されるものは常に不条理を感じながら死ぬのである。
肘井と接見したことで胸中に生じた複雑な気持ちを抱えながら報告書を作成する新人弁護士・中村晴樹(永山絢斗)・・・。
そこへ・・・婚約者の看護師・本宮泉美(蓮佛美沙子)が夜勤明けでやってくる。
「エネルギーを頂戴」と中村弁護士に抱きつき、「おかえし」と称して膝枕を強要する本宮看護師は少しうざいくらいだが・・・二人は熱愛中なのである。
しかし・・・すでに中村弁護士の心には「最高の女」が蘇っているのだ。
本宮看護師の敏感なアンテナは・・・恋人の変調を感じ取り、原因を究明し始める。
そして・・・報告書に「肘井基子」の名を見出すのだった。
「この女って・・・」
「ああ・・・弁護士が解任されて・・・新しい弁護士を捜してる・・・うちの所長が名乗りをあげたけど・・・うちみたいな小さな事務所じゃ・・・無理だと思う」
しかし・・・本宮看護師の不安は去らない。
その頃・・・基子は・・・前原弁護士(岸部一徳)宛てに手紙を認めていた。
もちろん・・・それは・・・昔の恋人へのラブレターだったのである。
相手が中村弁護士とは知らず、前原弁護士は老いた心臓をドキドキさせるのだった。
「話題の事件」を担当すると聞き、野心的な黒坂弁護士(田畑智子)は名乗りを上げる。
ちなみに広末涼子は1980年度生まれを代表するスター女優であるが・・・田畑智子もその一人である。「ファースト・クラス」で沢尻エリカに激しく嫉妬していたが今度は広末に嫉妬むきだしなのだった。この年度には他に竹内結子、田中麗奈がいて、さらに酒井若菜、小池栄子、優香、眞鍋かをり、野波麻帆、井上和香、新山千春、北川弘美、奥田恵梨華、菊地凛子、伊藤歩などがいる。結構、巨乳世代だよな。
だが・・・前原弁護士、黒坂弁護士、小池弁護士(田中要次)のチームは基子に相手にされないのであった。
結局、中村弁護士が指名されるのだった。
「どうなってんのよ」と鼻息荒い黒坂弁護士だった。
複雑な気持ちで差しいれを基子に届ける中村弁護士。
「ありがとう・・・でも、タオルは国産がよかったな」
「メイド・イン・チャイナでごめんなさい・・・では・・・これで」
「待って・・・立派になったね・・・あれから頑張ったんだね・・・晴樹くん」
「私は・・・肘井基子という女性とは面識がありません」
「・・・」
「私のこと・・・何もしらないくせに・・・」
基子は仮面を脱ぎ棄てるように涙を流すのだった。
女の最終兵器にたちまち射殺される中村弁護士。
とりみだした基子によって・・・接見は打ち切られる。
「先生・・・」と思わず愛しい女に呼び掛ける中村弁護士。
「今はあなたが(弁護士)先生でしょう」と振り返り微笑む基子。
坂路を転げ落ちる男のお約束にお茶の間は阿鼻叫喚である。
「私にやらせてください」と名乗りをあげる中村弁護士。
「何言ってんの」と凄む黒坂弁護士。
「実は・・・彼女を知っているのです」
「ほう・・・それは面白い」と前原弁護士。
中村は童貞喪失以外のことを告白するのだった。
「それだけ・・・」と女の敵は女的な女の味方の黒坂弁護士。
「・・・」とあくまで黙秘する中村弁護士だった。
結婚式の打ち合わせのために・・・中村家を訪ねる本宮看護師。
しかし、基子との接見のためにドタキャンする中村弁護士だった。
仕方なく、中村の母(筒井真理子)と食事をする本宮看護師は「息子の昔話」で「基子によく似た美人の家庭教師で成績向上」を語るのだった。
本宮看護師の脳裏に鳴り響く空襲警報である。
パターンはイエローなのだった。
そして・・・なぜか、ひきこもりの中村の兄(青柳翔)は基子にも本宮弁護士にも興味を持ったようである。中村の兄・・・おそらく・・・基子と・・・。
ともかく・・・中村弁護士の家庭教師をしていた頃から緒沢まりあを偽名としていた基子は・・・専門学校を卒業後、最初の変死者である青年実業家・阿川(浜野謙太)と交際していたらしい。
「私は貧しい家庭で育ちました・・・父は死に、十四歳までは母に育てられました。私は早くから生きていくためにはお金が必要だと知ったのです。だから・・・経済力のある男性と交際し、その方たちからお金をいただき、暮らしてきました。しかし、多くの女性は交際相手の経済力を条件の一つと考えるはずです。私が特異とは言えないと思います。私には愛と欲の区別が良く分かりません。愛だって食欲や性欲と同じく・・・ただの欲なのではないのですか」
「つまり・・・あなたは・・・お金をもらい愛を与えただけ・・・ということですね」
「そうです・・・しかし・・・ただ一人だけ・・・例外はありました・・・その人のことは・・・お金とは無縁だったのです・・・だから・・・私はその人から去りました・・・自分らしさを失うのがこわかったから・・・」
それは自分のことなのかと考える中村弁護士。
それを見抜いたように中村弁護士を見つめる基子。
必殺のアイコンタクトである。
結局、約束をすっぽかされる本宮看護師だった。
週末には基子の出生地・北九州に出張する中村弁護士だった。
黒坂弁護士も同伴出張するが・・・お茶の間も本宮弁護士も何も危惧しないのだった。
第三の犠牲者である火災で重傷を負い意識不明の大手企業の役員・千倉(大谷亮介)の夫人(中田喜子)から事情を聴取したい弁護士チームは夫人の頑なな拒絶に遭う。
病院を訪れた中村弁護士を追及する本宮弁護士。
「なんで・・・あんな悪女の弁護なんて・・・」
「彼女は悪女なんかじゃない」
「彼女・・・って」
パターン・レッドです。
北九州にたどり着く・・・二人の弁護士・・・。
「依頼人の母親はお好み焼き屋に住み込みで働いていたらしい・・・このお好み焼屋っていうのが普通の店じゃないのよね」
「・・・」
基子は母親・雅恵(安藤玉恵)と幼い日の自分(山口まゆ)の写真に語りかける。
「私・・・ここを出ることができたら・・・本当の聖女になるよ・・・」
祈るように まぶた閉じたときに
世界はただ闇の底に消える
この腕に還りなさい
めぐり逢うため
魂のルフランである。
関連するキッドのブログ→第1話のレビュー
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