自殺も人が人を殺すこと。無理心中は自分も他人も殺すこと。世界にはもっと美味しいものがあります(中村ゆりか)
大日本帝国の無条件降伏による敗戦の日だった昨日。
しかし、周辺部では鬼畜ソ連軍による一方的な侵略行為が続いていた。
それによって取得した領土を合法的とするロシアの大統領の恐ろしさである。
「戦争は絶対にしない人たち」は「戦争は一国だけではできないこと」という単純な真理から目をそむけ続けるのである。
そして、中国やロシアという仮想敵国を想定することを妄想と断定するのだった。
「硫黄島からの手紙」(日本テレビ)と「終戦記念スペシャルドラマ・玉砕はみとめない、命ある限り戦え」(フジテレビ)に挟まれながら・・・「平和な日本」の「家族狩り」をお伝えしています。
まあ・・・一家団欒の団地の部屋の隣で・・・人が殺されているかもしれないのが現実の妙味ですな。
で、『家族狩り・第7回』(TBSテレビ201408015PM10~)原作・天童荒太、脚本・泉澤陽子、演出・山本剛義を見た。いよいよ、明日「ホットロード」公開であるが・・・次から次へと繰り出される宣伝のための能年玲奈の番組出演にまさに余計な心配し過ぎ祭りのほぼ一週間であり、その上で二日連続の谷間があって・・・このドラマのレビューがまともにできる自信がないのだった・・・いつもは自信あるのかよ。あーりんロボ程度に自信があーりん。フジの歌まつり・・・チームしゃちほこの出番少なかったな~。
・・・もういいか。
鑑識がゴンゾウだったら殴りつけるくらい三人の変死体のある現場を改変した東京都児童ケアセンター職員で児童心理司の氷崎游子(松雪泰子)と元引きこもりの巣藤浚介(伊藤淳史)だった。
もう、巣藤浚介はチビノリダーと言いたいくらい役柄ではなくいつもの伊藤淳史を演じているようにしか見えない。
おそらく・・・氷崎游子は責任感強すぎて鬱になってしまった中年女を演じているのだが・・・「私が殺した」的な脚本上のあざとさが鼻についてきている。患者を救えなかった医師とか、犯罪を未然に防げなかった警察官とか、生まれる前の戦争勃発を防げなかった日本国民とか・・・いちいち、そんな風に思ってたらやってられないだろう。
まあ・・・人間は何をしでかすか、わからないという大前提でスルーするしかないよね。
認知症の父親と胃癌かもしれない母親という家族と仕事も恋愛も上手く行かない自分自身を持てあまし游子は「死んだ方が楽だ」という心境になっているらしい。
刑事に説教された後は帰宅である。
しかし・・・何か特別なことに憧れる浚介は人が死んだ現場にもう少し居たいのだった。
そこへ・・・忙しいプライベートの合間を縫ってかけつける馬見原刑事(遠藤憲一)・・・。
浚介のシャンプーの匂いに激しく反応である。
そもそも・・・三人も死んでいる現場では出血のある場合は血の匂い、そうでなくても弛緩した内蔵からあふれ出す汚物の臭気で甘い香りもクソもないのである。
そして・・・どれだけ珍しいシャンプーであろうが市販されているものである以上、どれだけの人が使用していることか・・・。
さらに情報提供を求めるためとはいえ容疑者の情報を一般市民に漏洩しすぎである。
整理しよう・・・警視庁捜査一課は・・・「連続一家心中事件」を個別な心中事件として処理している。
しかし、馬見原刑事は「連続一家殺し事件」と考えて・・・事件を「家族狩り」と勝手に名付けている上に、犯人は昔、娘のことで叱られたことのある游子と断定しているのである。
いやあ・・・もう完全に頭おかしいですよね。
さすがに上司の警視庁刑事部捜査一課課長・藤崎(飯田基祐)はもしも殺人事件なら犯人は馬見原すもしれない・・・と思わざるをえない。
そして・・・ふたつの見立てに揺れる椎村刑事(平岡祐太)は現場に・・・馬見原刑事愛用のライターがあるのを発見して愕然とするのだった。
しかも・・・そのライターは証拠品として応酬されながら・・・紛失物となり・・・馬見原刑事の手に戻っているのである。
よく似たライターでしただったら卓袱台は推定100万個投げられると思う・・・低視聴率でよかったよな。
まあ・・・息子に自殺のような死に方をされたショックで妻は発狂、闇社会の女・冬島綾女(水野美紀)とその息子の研司(須田瑛斗)に執着していることがすでに常軌を逸しているので馬見原刑事が犯人でも意外でも何でもないという・・・。
そして・・・ちょっと頭の鈍い感じの研司を一人残して、まんまとおびき出され、凶悪な油井(谷田歩)の拉致を許す綾女もなんだかなあ・・・なのである。
そして・・・綾女からの電話にちょっと微笑む馬見原刑事・・・鈍いにも程があるのだった。
例によって組関係者を暴力で恫喝し・・・油井の行方を探る馬見原刑事。
それほどまでに敵対している前科者の故郷を刑事が知らないなんて・・・な。
要するに・・・ミステリ要素を含んだ文学を・・・ミステリ専門でないスタッフが適当にアレンジするととんでもなく不適当になっていくという・・・ね。
そして・・・故郷で・・・言うことを聞かない我が子を殴って階段から突き落とす油井。
頭から流血して横たわる研司。
まるで・・・死んでいるようだが・・・もし、死んでいなかったら、もう、スタッフを射殺したくなる描写だよな。
つまり・・・実森勇治(岡山天音)に献花しにきた天才美少女・芳沢亜衣(中村ゆりか)のセリフはスタッフの自虐なのか・・・。
「死んだって・・・それをネタにされるだけなんだよ・・・このくそスタッフにね」
そして・・・いたって無責任な男・浚介も「無責任すぎるでしょう」と叫ぶ。
なんだ・・・このスタッフ・・・失敗しても責任とりませんって言いたいのか。
一方・・・母が働き始めたと知り・・・母親の健康状態を案じる游子。
告知すべきかどうかを・・・何故か、浚介に相談しようと電話をかける。
しかし・・・游子が殺人犯かもしれないと突然怯え出す浚介は応じないのだった。
追い詰められた游子は家族を殺して自分も死ぬという甘美な誘惑に誘われる。
それは・・・游子が駆けつけた時に実森の母がまだ生きていて「楽になった」と幸せそうだったから・・・っていうか・・・死にそうな人間に応じてないで救急車を呼んでやれとお茶の間の半分は絶叫する場面である。
そこへ・・・颯爽と現れる白蟻駆除業者・大野(藤本隆宏)・・・。
自分で手配しておいて・・・見積もりを拒絶する精神異常の游子。
しかし、大野が「この家はまだ長生きする」と宣言すると・・・突然、正気にかえるのだった。
「助けてください・・・この家を白蟻から守ってください」
もちろん・・・ここでシロアリが登場するのは毒カレーを連想させるためであることは言うまでもない。
・・・おいっ。
つまり。一種の犯人宣言である。
・・・おいおいっ。
気分が良くなった游子へ・・・渓徳(北山宏光)から励まされた浚介の電話が入る。
完全に無理矢理な感じの恋愛モードである・・・ここは月9かと一瞬、迷うほどだ。
そして・・・夜の水辺でイチャイチャする二人だった。
「私・・・家族を救えなかったの・・・それは私が殺したようなものでしょ」
「なんだ・・・新人の救命医みたいなこと言って・・・僕だって生徒を救えなかった教師だぜ」
「じゃ、同罪ね」
「でも・・・あいつは自殺したんじゃないと思う」
「どうして」
「だって世界には美味しいものがいっぱいあるんだもの・・・それを食べずに死ねますか」
「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」
・・・もう、いいか。
二人が束の間の幸福に酔いしれている頃・・・。
ま、人間は午後9時に死にたいと思い9時5分には生きたいと思ったりする生き物だからな。
大野白蟻工業に就職したのに娘・玲子(信太真妃)との同居の許可が下りないことに腹を立てたアルコール依存症で明らかに人格障害者である駒田幸一は就寝した民子(浅田美代子)と清太郎(井上真樹夫)に刃物を振りかざす。
まだ・・・するかとお茶の間は絶望のため息をつくのだった。
関連するキッドのブログ→第6話のレビュー
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