父・宇都宮鎮房、母の父・大友義鑑、鶴姫十三歳、黒田長政の側室となる(市川由衣)
人質ということは基本的にそういうことである。
黒田長政は二十歳であり、正室の蜂須賀正勝の娘・糸があるものの嫡子がない。
すでに12万5000石の大名家となっている黒田家では忌々しき問題なのである。
長政は官兵衛が二十二歳の時の子供であるので・・・そろそろなのである。
当然、有力家臣は長政に女を送りこむわけである。
長政も官兵衛同様に洗礼を受けたクリスチャンであるが・・・一夫一婦制はあくまで建前である。
人質時代が長いために官兵衛よりも秀吉の言葉が重い傾向もあり、秀吉がバテレンはいけないと言えばさっさと棄教したい気分だったかもしれない。
ともかく、土着の宇都宮鎮房が新しい国主というべき、黒田家に娘・鶴姫を送りこむのは臣従の証である。
もし、黒田長政と鶴姫の間に子供が出来れば一族になることが出来る。
それに対して・・・黒田一族は無残で冷酷な仕打ちをすることになる。
しかし・・・戦国時代には別に珍しいことではない。
本来、黒田官兵衛とは・・・そういう男である。
一部お茶の間のためのキャラクターとイメージが違うからといって美化をするのもほどほどにしてもらいたいよね。
もで、『軍師官兵衛・第37回』(NHK総合20140914PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は28行で増進ですが・・・基本的に鶴姫(市川由衣)にうっとりなのでございますよねえ。かって秀吉は宇喜多家の本領安堵を主君・信長に願い出て薄氷を踏む思いを味わったはずですが・・・天下人とその家来では発想が違ってくるわけでございますよねえ。有能な武将は帰服させて手駒として使った方がいいという発想から・・・直接、管理できる領地は広ければ広いほどいいという発想になる。土着の武士と領民の一体感は無用の長物なのですな・・・あくまで領地から収奪する有能な管理人としての能力が求められるわけです。その代表が石田三成なのでございましょうねえ。「アオイホノオ」のゲストの市川由衣も際だっていましたが、鶴姫13歳を演じる市川由衣28歳も存在感抜群でございましたよねえ。イラスト大公開がなくて残念でしたが・・・あくまでマイペースでお願いします。だから、私信はコメント欄でやれと何度言ったら・・・。
天正十五年(1587年)十月、城井谷城に籠城した宇都宮鎮房を鎮圧するために出陣した黒田長政は地の利を生かした宇都宮勢に待ち伏せ攻撃を受け惨敗。肥後国人一揆の平定戦に参戦していた官兵衛は戦線を離脱して豊前国に帰陣し、宇都宮に味方する土豪を攻略し、城井谷城を包囲する。兵糧攻めの不利を悟った鎮房は黒田家への臣従と本領安堵を交換条件とする。十二月下旬、官兵衛はこの条件で紛争処理に同意する。これによって大友・宇都宮両家の血を引く鶴姫が黒田家嫡子の長政と縁を結ぶことになる。しかし・・・それは軍師・官兵衛の冷酷な計略だったのである。号令によって二十万の軍勢を動員できる関白に反逆することがいかに無謀なことであるか・・・官兵衛は鎮房をみせしめとして天下に知らしめる役割を担っていた。天正十六年(1588年)二月、肥後統治の失敗を責められて佐々成政は尼崎に幽閉される。四月、黒田本城の中津城に招かれた鎮房は留守を預かる娘婿の長政によって謀殺される。同行した宇都宮家の重臣も殺戮され、長政は側室・鶴姫を侍女団もろとも磔刑に処したのだった。一方、鎮房の嫡男・朝房は宇都宮勢を引き連れ官兵衛の配下として肥後国に出陣中だった・・・。宇都宮家粛清を実行する長政は鎮房の父の籠る城井谷城を急襲する。その頃、秀吉は聚楽第に後陽成天皇を迎え、徳川家康や織田信雄に臣下の礼をとらせていた。閏五月、佐々成政は秀吉に切腹を申しつけられ果てた・・・。
中津城に急造された宇都宮御殿に宇都宮の人質である鶴姫が初夜の儀を迎えるべく待っていた。
名家の血を引く鶴姫は幼い顔に気品を漂わせている。
長政は氏素性の定かならぬ黒田家の嫡男とは言え、母親は播磨国の名家・赤松家の血を引く櫛橋家の出身である。それほど出自に引け目は感じない。
戦場で研ぎ澄まされた長政は夜目が利く。
薄明かりに照らされた鶴姫の表情が固いのは見て取れた。
夜具の向こう側にいる鶴姫の元へと距離を詰めて腰を下ろす。
「長政である」
「はい」
「御殿は気に入ったか」
「立派でございまする」
「余も・・・かって人質だったことがある」
「まあ・・・」
「父が織田家の家来になった折、今の関白殿下の人質となった・・・」
「・・・」
「殿下も・・・北政所様も・・・慈しんでくださった」
「さようですか」
鶴姫の口元に微笑みが浮かんだ。
「そなたは女であるから・・・黒田家と宇都宮家が結ばれた証を示さねばならぬ」
「はい」
「最初は痛いが・・・我慢できるか」
「印をいただいて伴のものに申さねばなりませぬ」
「そうか・・・では・・・参るぞ」
長政は鶴姫をかき抱くとそのまま寝具に押し倒した。
その細くて白い足を一挙に開く・・・。
「鶴姫・・・参るぞ」
「あ・・・」
長政に刺し貫かれ鶴姫は短く叫ぶと、歯をくいしばり・・・涙を流した。
情を通じ・・・長政の心は揺らぐ。
幼い姫の運命を思うと憐れさを覚えてならない。
すべては父・官兵衛の描いた宇都宮の油断を招く計略なのである。
長政の父は戦で負けを知らぬ恐ろしい軍師だった。
せめて・・・今宵は優しくしてやろうと思う他はないのだった。
長政の強靭な肉体の下で・・・鶴姫は震えながら耐えている。
冬の朝はまだ遠い・・・。
関連するキッドのブログ→第36話のレビュー
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コメント
自動車用品店はできるだけジェームスを優先して使う幻灯機です(笑)。
ネット二度見女優(ほめ言葉、この人○○さんで合ってるよね???と調べてしまうレア美女女優)の代表である市川由衣が観られて良かったです。『時空警察ヴェッカーD-02』、『H2~君といた日々』の弓道部員から幾星霜、今年は岩瀬ジュンと鶴姫という当たり年だなぁ……。
投稿: 幻灯機 | 2014年9月15日 (月) 08時19分
キッドさんお久しぶりです。コメントはしてませんでしたがブログは拝見してましたよ♪キッドさんはこのドラマ結構お怒りっぽいですが私は最近までそれなりに楽しく見れてたんですよね。ただ秀吉が天下とってからどうもテンポが速くなりすぎて色々省略されちゃってる気がします。
秀吉もおかしくなるのが早すぎる気がします。
あと官兵衛もすこしくらい汚い面や野心があってもいいのにねと思います。それに三成を悪く描くのは仕方ないんですがこのドラマだと、すべて三成の指図見たいになっているため彼が一番偉いように見えちゃうのはどうなのかしら。関ヶ原までやるなら彼より上の五大老は少しは出さなきゃ不味いような気がします。(^_^;)
投稿: 出雲 | 2014年9月15日 (月) 13時06分
ふふふ・・・原点ですな。
偏見の集積である人相術的に申しますと
いわゆる一つの「険のある顔」の代表選手のような女優ですな。
幻灯機様は・・・これに弱いのですよねえ。
分かります。
君子じゃないので危うきに近寄りたいですな。
こんなに美人なのに・・・メジャーにはなれないのですな。
「時空警察ヴェッカーD-02」では
キッドはハルカ・ノゾミ(森本さやか)推しでございます。
健康的なお色気担当に弱いので
森本さやかが見たくて
「GameWave」(テレビ東京)は欠かせませんでした。
市川由衣を踏み台にした女優は大成功するの法則ありますよねえ。
「クロサギ」とかねえ。
とにかく・・・2014年の市川由衣は恐ろしいほどに輝いてますな。
「呪怨」からの「ゼブラーマン」(2003~2004年)を越える感じがいたします。
息の長い女優であってほしいですなあ。
投稿: キッド | 2014年9月16日 (火) 01時01分
ご存じのように多重人格ですので
基本的にエンジョイしておりますよ。
ただ「風林火山」や「篤姫」「平家物語」ほどには
「江」とか「天地人」とかには深みを感じない・・・。
ただそれだけです。
共通しているのは
夫が愛妻家・・・というか恐妻家・・・。
これは人妻不倫推奨と同様に
一部お茶の間に媚びているスタッフの匂いがします。
物凄く理不尽で残虐さに満ちた歴史があり
今がある・・・このニュアンスを失った大河ドラマに
未来はないと思うわけです。
秀吉で言えば・・・半島侵略の歴史的意味が
まったく描かれない風潮がございます。
もちろん・・・隣国に配慮してしまうわけです。
そういうものは面白くないのですなああああっ。
官兵衛は「悪の権化」ですからな・・・。
すこしくらいでは困るんです。
秀吉は最後まで正気だったと言えます。
織田家から簒奪している以上・・・
豊臣家が簒奪されるのは必至とみて
もう悲しいくらい必死だっただけですよお。
三成は基本的に・・・虎の威を借る狐ですから
どう描いてもこうなります。
それを否定するのは三成関係者の子孫だけでございます。
とにかく・・・このドラマは
オカジュンかっこいい・・・これに尽きるので
それ以外のことは・・・まあ・・・蛇足なんですよ・・・きっと。
投稿: キッド | 2014年9月16日 (火) 01時33分
どうもです
資料どうもありがとうございます
今回の茶々は不気味な魅力満載ですな
早速描いているのですが
すこぶる悪戦苦闘中です; ̄∇ ̄ゞ
それにつけても
なんか底の浅いドラマだと
つくづく思う今日この頃です
投稿: ikasama4 | 2014年9月18日 (木) 22時42分
ご笑納いただき感謝でございます。
歴代茶々の中でも
陰鬱で淫乱な感じは
トップクラスと申せましょう。
浅井三姉妹は・・・こういう狂気を
宿していなければ嘘なのですな。
「江」の失敗点は
まったくの正常人として江を描いたからの
一点に尽きますな。
とにかく・・・二階堂茶々イラストの完成・・・
楽しみでございます。
しかし、あくまでマイペースでお願い申し上げます。
まあ・・・小学生低学年が見るドラマとしては
まあまあの出来かなあ・・・と思うばかりです。
歴史考証は別としても
脚本協力者が必要なほど
歴史の苦手な人に
大河を書かせるな・・・と感じまする。
投稿: キッド | 2014年9月19日 (金) 03時15分