豊臣鶴松生誕・・・黒田官兵衛、嫡男・長政に家督を譲る(岡田准一)
天正十七年(1589年)五月、茶々、豊臣鶴松を出産。
黒田官兵衛は嫡男・長政に家督を譲り、秀吉に近侍する。
つまり・・・軍師・官兵衛の誕生である。
黒田長政を補佐するのは黒田八虎。
井上九郎右衛門之房・・・妻は櫛橋伊定の娘で官兵衛の妻・光とは姉妹である。
栗山善助利安・・・太兵衛の義兄弟。黒田一成の舅。
母里太兵衛友信・・・善助の義兄弟。母・母里氏は官兵衛の義母と姉妹。大友宗麟の娘婿。
黒田兵庫助利高・・・官兵衛の同母の弟。
黒田修理亮利則・・・官兵衛の異母の弟・・・母・神吉氏。
黒田図書助直之・・・官兵衛の異母の弟・・・母・母里氏。
黒田三左衛門一成・・・官兵衛の養子。善助の娘婿。
後藤又兵衛基次・・・母・神吉氏は官兵衛の義母と同族。長政の乳兄弟。
黒田家のホームドラマを描きたいのであれば・・・この地縁・血縁に満ちた八虎と官兵衛の関係を描くべきなのである。
戦国の家族と・・・太平の家族の差異を少しは物語れるはずである。
まあ・・・いまさらですが~。
で、『軍師官兵衛・第39回』(NHK総合20140928PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は36行+2行で微増中・・・しかし・・・後北条氏四代目当主・北条氏政は再生・描き下ろしイラスト大公開なのでございますねえ。嫡子・北条氏直の正室は徳川家康の娘・督姫ですが・・・キャスティングされているのかどうか・・・微妙ですな。大政所や朝日姫と同様に言葉だけの存在か・・・。なんていうか・・・無駄なことをしないといか・・・手間を惜しむというか・・・よくわからない制作姿勢ですよね。家康と・・・氏政が舅同志という関係にあることを絵にしないでどうするんだ・・・と思いますけれど~。やはり・・・脚本家が・・・「天地人」とか「江」と同じ・・・戦国史音痴なのではという疑惑が幽かに生じるのでございますな~。苦手のことはしないでほしいものですな~。
天正十四年(1586年)、黒田長政の正室・糸の兄・蜂須賀家政の嫡男・至鎮が誕生している。蜂須賀家は阿波国主として順調に統治を行っていた。天正十五年(1587年)、真田昌幸は大坂城で秀吉に謁見、豊臣家臣となる。天正十六年(1588年)、北条氏政・氏直父子は秀吉の上洛要請を拒否。徳川家康の仲介で八月、氏政の弟・氏規が名代として上洛。徳川家康の次男で秀吉の養子・秀康が豊臣姓を賜る。天正十七年(1589年)、真田家・北条家・徳川家における沼田領の帰属問題が表面化。火種として着火の時を待つ。三月、豊臣秀長が淀城を改修し、茶々が入場。五月、茶々は鶴松を出産。秀吉は黒田長政の家督相続を認める。真田昌幸の嫡男・信之と家康養女(本多忠勝の娘・小松姫)が婚姻。福島正則は伊予今治十一万石、加藤清正は肥後北半国十九万五千石、池田輝政は美濃国岐阜で十三万石、細川忠興は丹後十二万石、浅野長政は若狭国小浜八万石、豊臣秀次は近江国四十三万石、黒田長政は豊前国中津十二万五千石と秀吉子飼いの大名が揃い踏みである。秀吉の姉・日秀を母とする秀次の別格扱いが印象的である。
大政所は眉を潜めた。
秀吉に鶴松が誕生したことである。
ただちに・・・秀吉の嫁である北政所を呼びだす。
「秀吉に子ができたとな」
「お孫さまでございます」
「本当にそうかのう・・・」
「間違いございませぬ」
「秀吉はこれまで多くの女たちを侍らせてきたというのに・・・おかしなことじゃ」
「お母様・・・」
「ねね殿もそうは思わんか・・・」
「しかし・・・お世継ぎでございますから」
「孫なら・・・他にもおる・・・秀次もおれば・・・秀勝もおるし、秀保もおる」
「しかし・・・殿下にとっては・・・みな甥です」
「私にとっては・・・みな可愛い孫じゃ・・・血もつながっている」
ギラリと大政所の目が光る。
「信長様の姪とやらが・・・気に入らん・・・私にとっちゃ・・・秀吉の嫁はねね殿だけじゃ」
「お母様・・・」
「今度の子は・・・我が家に仇をなすのではないかと・・・思うんじゃ」
「それ以上・・・言ってはなりませぬ・・・」
「私は血のつながっていないものが・・・この家を継ぐのは絶対嫌じゃ・・・」
血縁に対する異常なこだわりが大政所の目に狂気の光を宿している。
「殿下のお世継ぎでございますよ・・・」
「いいや・・・きっと・・・ちがうぞ・・・私は許さぬ」
「お母様・・・」
北政所の背筋に冷たいものが走る。
大政所には明らかに妄執の気配が漂っている。
そして・・・大政所には尾張のくのいち衆がついているのである。
淀城で生まれた鶴松は秋には大坂城に入ることが決まっていた。
北政所に迷いが生じる・・・。
このこと・・・夫・秀吉に告げるべきかどうか。
北政所の心は揺れた。
そして・・・その口は閉ざされた。
淀殿の子など・・・いっそいない方がよかろうず・・・と北政所の心が囁いたのである。
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