奈落の底までお伴する覚悟でお慕い申し上げます(野々すみ花)
そういう覚悟で「強制連行をした男・吉田」と交際してきた「朝日新聞」だったが・・・ついに「訣別」するのだった。
長年、それを応援してきた「報道ステーション」はなんとなく無表情を装いあくまで個人的な問題ですからそっとしておいてあげましょうという態度である。
まあ・・・キャスターはただ・・・番組の方針に従って役割をこなしているだけなので・・・あまり責めないであげてください。
とにかく・・・やってもいないことをやったと言っちゃう人は嘘つきなのである。
それだけの話なのでございます。
それを迷惑だと感じる人もいればそういうことってあるよねえと共感する人もいる。
ただ、それだけの話なのでございますとも。
うしろゆびをさされたくなければ己に恥じない行動を続ける他ないのだが・・・そんなヒーローばかりじゃないのが・・・この世というものでございます。
で、『吉原裏同心・第11回』(NHK総合20140911PM8~)原作・佐伯泰秀、脚本・尾崎将也、演出・川野秀昭を見た。9・11といえばあの日である。その事実をテレビで見た人は世界中にいる。しかし、それぞれの最後の時、加害者や被害者がどういう気持ちだったのかは永遠の謎なのである。生き残ったものは「恐怖」を語るだろう。加害者は「勝利」を宣言し、被害者は「復讐」を誓う。しかし、死人は何も語らないのである。先週終わった監察医・松本真央は語らせるわけだが・・・。現代においては・・・どんな事情があろうとも人を殺せば裁かれる。しかし、事情を知れば心は揺れる。情状酌量したりもする。そして・・・たとえ人斬り包丁を腰にさした武士たちの時代であってさえも・・・命を奪った罪の重さは心にのしかかるという話である。
「俺は朝は焼き魚が喰いてえんだ」
「納豆は安いし体にいいのよ」
新婚の仙右衛門(山内圭哉)とお芳(平田薫)は朝から夫婦喧嘩である。
同じ長屋の吉原裏同心・神守幹次郎(小出恵介)と姉さん女房の手習いの師匠・汀女(貫地谷しほり)は様子を見に来る。
「朝からやかましい・・・せっかく夫婦になったというのに仲良くせんか」
「お前んとこは喧嘩しねえのかよ」
「喧嘩などせん」
「本当ですか」
「嘘ですよ・・・いたします」
「ええっ」
江戸は平和だった。
一方、吉原遊郭の顔役・七代目四郎兵衛(近藤正臣)は吉原一の花魁・薄墨太夫(野々すみ花)は秘事を明かされ困惑気味である。
「あちきは・・・幹次郎様をお慕い申し上げているのでありんす」
「え」
「幹次郎様と結ばるなら命も惜しまないと・・・」
「・・・そんなことは口に出されてはいけません」
「それゆえ・・・四郎兵衛様だけに申し上げたのです」
しかし・・・薄墨太夫の恋心は募って行くばかりなのである。
ま、お茶の間はずっと知っていたわけだが。
その頃、吉原では掏摸(すり)が横行している。
「どうやら徒党を組んでいやがるらしい・・・小物を一人二人捕まえてもきりがねえから・・・泳がせて掏摸の元締めを探りださねえとな」
番方たちに命じる四郎兵衛だった。
そんな折、吉原遊郭の廓うちで仇討ち騒ぎが持ち上がる。
追われるものは中林与五郎(豊原功補)という浪人。
討手は備中国藩士の溝呂木忠也(佐野和真)という若侍である。
「廓うちでの刃傷沙汰はご法度ですぜ」と仲裁に入る四郎兵衛・・・。
「藩主に許された仇討ちじゃ」
追われるものと追うものが吉原に・・・何しに来たのかはさておき。
「とにかく・・・仔細を伺おう」と同心の村崎季光(石井愃一)が二人を分ける。
溝呂木忠也は仇討ちの次第を語る。
「中林与五郎は家に出入りする浪人であった。しかし、拙者の姉に懸想して不埒なふるまいに及んだゆえ、それを嗜めたわが父・溝呂木六兵衛(村野武範)を惨殺し逐電したのでござる」
「それは破廉恥極まる男じゃ・・・そうとなれば時と場所を定める故、存分に仇を討ちなさるがよかろう」
それに対し「逃げも隠れもせぬ」と応じる与五郎だった。
期日まで与五郎の身柄を預かることになった幹次郎。
与五郎は犬を連れてみすぼらしい風体だったが・・・剣の腕はかなりのものだと幹次郎は見抜いていた。
「拙者には貴殿が破廉恥な男には見えもうさん・・・何か訳があるのでしょう」
「何があろうと・・・仇は仇・・・仇討ちに応じぬわけにはまいらぬ・・・」
事情を語らぬ与五郎だった。
「この犬は遠州の浜辺で見つけましてな・・・声をかけたら・・・寄って来た・・・そこで遠介と名付けて旅の伴にいたしました」
「追われての旅は苦しゅうございますからな」
「確かに・・・そろそろ・・・決着をつける時と思っておりました」
「拙者も・・・追われてここへたどり着いたものでござる」
「そうでござったか」
「惨い夫から妻を攫うようにして共に逃げ・・・妻仇討ちとして追われながら・・・江戸へ」
「・・・御苦労なされたな・・・」
「さほどでもござらん」
「そうまで打ち明けられては・・・語らぬわけにはまいらぬようじゃ。当時、拙者は浪々の身を囲碁の指南で養っておりました。六兵衛は教授相手でございます。六兵衛は腕が上がらぬままに賭け碁の虜になってしまいましてな。一勝負で二朱(およそ一万円)などという遊び事を求めてきたのです。客を逃したくないという心が仇でした。負け続けた六兵衛はついには賭け金を二分(およそ四万円)にあげようと言い出したのです。六兵衛は賭け碁にいれこんで方々に借金を作っていたのです。そのことを諌めると逆上した六兵衛は抜刀して斬りかかって参りました。拙者は逃げようとしたのですが・・・折悪く・・・あの息子が居合わせて・・・二人掛かりとなり・・・やむなく・・・六兵衛を斬ってしまったのでございます」
「それでは・・・理は与五郎殿にあるではありませんか」
「そのようなこと・・・語って何になりましょう・・・父親の仇を討つために・・・あのような若者が流浪の身・・・それが憐れに思えてなりませぬ・・・」
「・・・」
仇討ちの日時が決まり、忠也は江戸藩邸の上役・亀田満右衛門(野添義弘)に報告する。
「それは・・・大義である・・・それならばしかるべき助太刀を用意せねばなるまい」
「助太刀・・・」
「お主の父の死の真相・・・知るものは多い・・・万が一にもお主が敗れて・・・仇の口からそのことが漏れては・・・藩の一大事じゃ・・・美談と醜聞では大違いじゃからのう」
「・・・」
村崎の口から助太刀のことを聞く幹次郎。
「助太刀とはいささか卑怯ではござらぬか」
「仇討ちではよくあることじゃ・・・非は仇にあるのじゃからな」
「ならば・・・拙者、義によって与五郎殿に助太刀いたす」
「何・・・」
汀女に決心を告げる幹次郎。
「お止下さるな・・・やらせてくだされ」
「とめませぬ・・・おやりなさいませ」
「・・・お許しくださるか」
「私は・・・武士の妻でございますから」
「姉様・・・」
「しかし・・・死んではなりませぬ・・・必ず生きて帰ると誓ってくださいませ」
「誓いまする」
薄墨太夫も幹次郎を呼びだすのだった。
「助太刀の件・・・おやめください」
「・・・何故です」
「愛しいお方が命を落すかもしれないのに・・・止めずにおられるでしょうか」
「姉様は・・・行けと言ってくれました」
「そうでありんすか・・・汀女様は・・・武士の妻・・・あちきは・・・所詮、遊女でございましたねえ」
武家に生まれ遊女となった薄墨太夫は・・・敗北を悟るのだった。
憐れである。
仇討ち決行の日・・・折悪く・・・掏摸の一味が尻尾を出す。
「お役目を果たされよ」と与五郎。
「すぐに片付けて参ります」と幹次郎。
仙右衛門と幹次郎は手早く仕事を終えるのだった。
「後は頼んだぞ」
「まかせときな」
幹次郎は走る。
そして・・・間に合った。
「助太刀の方々は拙者が相手をいたす」
四人の助太刀を気迫で圧する幹次郎。
しかし・・・与五郎は無抵抗で忠也に討たれるのだった。
「与五郎殿・・・何故」
「潮時でござる・・・若いものが生き伸びた方がよかろう・・・江戸の地で友にめぐりあえてよかった・・・遠介を・・・」
与五郎はこときれた。
虚無の風が野原を吹き過ぎる。
もの憂い顔で帰宅する幹次郎に駆け寄る汀女。
「よくご無事で・・・」
「与五郎殿は・・・見事な最後でござった」
「さようでございましたか」
すべてを悟った汀女はひっそりと幹次郎に寄り添う。
遠介は・・・柴田相庵(林隆三)の患者の家に引き取られて行った。
しかし・・・相庵の出番はない・・・合掌である。
そして・・・ついに・・・豊後からの追手の影が幹次郎と汀女に迫る。
最終回は越えねばならないこ小太りの山が・・・立ちはだかるらしい・・・。
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