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2014年9月 3日 (水)

神様はなぜ娼婦とやり逃げするスケベ野郎を創造したのでしょうか(山口まゆ)

主人公の少女時代を演じる山口まゆは「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」では母親・滝川利佳子(吉瀬美智子)の不倫を非難する娘・真菜を演じている。こちらでは娼婦の娘である。

キリスト教においては「不貞を働く女」や「売春婦」は総じて罪の女というカテゴリーに含まれる。

俗説では「罪の女」の象徴はマグダラのマリアとされることが多い。

キリストを処女懐胎した聖母マリアとは別のマリアである。

禁欲的な方向に発展した教義の中で・・・罪ある女を信者として獲得するためのスターがマグダラのマリアである。

娼婦という罪深い女がキリストに許され、その処刑と復活を見守ったというストーリーが下賤な女たちの心を捉えたことは言うまでもない。

「聖書」の中のマグダラのマリアは悪魔に憑依されつつも、イエスにより悪魔払いされ・・・重要な信徒となる有閑マダムである。

もちろん・・・裕福な女が性的な罪を犯すのは「昼顔」でおなじみの主題なのである。

奇しくも・・・不貞妻と娼婦の娘を演じる山口まゆは「罪の女の娘」というシンボルになっているわけだ。

で、『聖女・第3回』(NHK総合20140902PM10~)脚本・大森美香、演出・水村秀雄を見た。連続殺人および殺人未遂の被告・肘井基子(広末涼子)の愛する絵画「聖女プラクセディス」は17世紀のイタリア人画家フェリーチェ・フィチェレッリの「聖女プラクセディス」の模写である可能性がある。オランダのフェルメールの「聖女」が1665年頃の作品でイタリアのフィチェレッリの作品が1640年代の作品とされており、真似たのがフェルメールであることは間違いない。本来、フェルメールの「聖女」もフィチェレッリの「聖女」とされていたのである。それがフェルメールの「聖女」かもしれないということで・・・この作品の真贋が問われるわけである。もちろん・・・資産価値として・・・フィチェレッリの「聖女」よりもフェルメールの「聖女」の方が高まる・・・わけである。かくして聖なる女は金銭に還元されるのだった。

Swpp002一見してわかるようにフィチェエッリの「聖女」には十字架が描かれておらず、フェルメールの「聖女」にはそれがある。

ドラマでは娼婦の娘が洗礼を受けてクリスチャンとなる描写がある。

おそらく・・・母親の娼婦は・・・クリスチャンではなかったが・・・その教養はあったのだろう。

基子の「基」は基督教の「基」なのだから。

容疑者・肘井基子の生い立ちを調査するために基子の生地である北九州市を訪れた野心的な黒坂弁護士(田畑智子)と基子に童貞を捧げた新人弁護士・中村晴樹(永山絢斗)・・・。

お好み焼屋の看板を掲げながら実は売春宿だった店で住み込みで働いていたという基子の母親・肘井雅恵(安藤玉恵)だった。

基子が五歳の時に父親が他界し、それ以来、娼婦をしながら雅恵は基子を育てていたのだった。

「ああん・・・はうん・・・おおお・・・あん・・・おあん・・・ううん」

性の営みを子守唄にして育った基子だった。

売春婦の娘として見下された日常。

五千円の料金を踏み倒す客もある。

中学生となった基子はそういう客を追いかけて料金徴収する勝気な女に育っていた。

「やることやったら金払わんかい・・・このスケベ野郎」

そんな娘に母親は「お金は大切だけど下品なことを言うのはあかんよ」と諭すのだった。

「下品ってなに?」

「上品でないことよ。あんたは器量良しだから・・・上品にしてたら男衆に愛されるたいね」

「男なんて嫌いたい」

「何言っとうと・・・男に愛されな幸せになれんとよ・・・あんたは男に拝まれるような女になれると」

「観音様?」

「聖母マリア様たい」

この話を聞いて黒坂弁護士は(金銭へのあくなき執念、根拠のないプライドの高さはこうして作られたのか・・・こりゃ・・・悪女になるわな)と洞察するのだった。

一方、晴樹は基子のおいたちの悲惨さに・・・うっとりし始めるのだった。

(ああ・・・基子先生・・・あなたはそんなに・・・そんなにつらい思春期を)

十四歳で母親を病気で亡くした基子は伯父夫婦の家に引き取られる。

しかし、訪問した弁護士たちを追い返す基子の義理の伯母・中根美佐子(内田春菊)だった。

「あんな・・・ズベ公のことなんか知らんとよ」

隣の酒屋の息子・白井久雄(笠原秀幸)は事情を語る。

「となりのおっちゃん(吉永秀平)な・・・姪が風呂入ってるとこを覗き見しとったと。そんで基子はそんなおっちゃんから小遣いせびっとったと。それが近所の噂になって夫婦喧嘩になったと。基子はそりゃ別嬪やったと」

(これが・・・自分の美貌で金を稼ぐ基子のルーツ・・・悪女誕生かっ)と黒坂。

(ああ・・・先生・・・なんてかわいそうな・・・)と晴樹。

基子の高校の同級生だった佐藤真紀(肘井美佳)たちも基子の悪評を吹聴する。

「嘘ばっかりついてたわ・・・妙にお高くとまって」

(虚言癖があって・・・自尊心が高い・・・今の基子そのままね)と黒坂。

(ああ・・・先生・・・ひとりぼっちで・・・いつもさびしくて)と晴樹。

男と女の間には深い川が流れています。

二手に分かれた晴樹と黒坂。

晴樹は母娘の暮らした店に近い教会を発見する。

神父(牧村泉三郎)は基子のことを覚えていた。

「幼い頃・・・彼女は聖プラクセディスのような聖女になりたいと言ってました・・・どうすればなれるのかと問われ、神に祈りなさいと申しますと・・・神様なんていない・・・もしいたとしても意地悪で悪魔のような存在だと叫んだのです・・・私は彼女に代わってアーメンと言いました・・・しかし・・・それから彼女は教会に足を運ぶようになったのです・・・そして売春婦でも聖女になれるのかと私に聞きました・・・私は悔い改めれば罪が許されることを申し上げたのです・・・主は罪深き女にも慈悲を与えたもうたと・・・それから・・・彼女は姿を消しました・・・しかし、十年程前に一度だけ姿を見せました・・・実に美しい女性になっていたのです・・・まさに聖女の如く・・・彼女はしかし・・・いいえとそれを四度も否定しました・・・いいえ・・・いいえ・・・いいえ・・・いいえ・・・私は聖女になれなかったと・・・私は彼女に入信を勧め・・・彼女は洗礼を受けました・・・私は彼女が訪れるのを楽しみにしていましたが・・・それきりです・・・彼女はいったい・・・どんなあやまちを犯したのか・・・私にはわかりません」

(ああ・・・十年前・・・あの時だ・・・僕を男にしてくれた・・・先生はまさに聖女だった)

とにかく・・・基子が有罪でも無罪でも・・・信じようと思い定める晴樹。

もしも・・・無罪にできたら・・・約束通り、恋人になれるかも・・・と思うのだった。

そうなると・・・最愛の婚約者・看護師・本宮泉美(蓮佛美沙子)がなんとなく疎ましいのである。

有罪になったら基子とはこれきりだからキープしておいてもいいが・・・無罪を勝ち取れれば泉美は「いらない女」なのである。

「なんだか・・・おかしいよ・・・晴樹くん」

「とにかく・・・裁判が終わるまで待ってくれ」

「どうして・・・」

「とにかく・・・それまでは何も考えられないんだ」

女の直感で・・・自分が殺人事件の容疑者と天秤にかけられていることになんとなく気付く泉美だった。

2014年六月下旬・・・基子の公判の期日が迫る。

公判前整理手続で前原弁護士(岸部一徳)は東京地方検察庁検事の千葉恒雄(池田成志)に争点を伝えるのだった。

①2009年10月29日に港区のマンションで死亡した会社経営者・阿川博之(浜野謙太)の殺害の件・・・睡眠薬を提供した自殺ほう助にすぎず時効が成立しており免訴を主張。

②2012年10月12日に伊勢原市山中で死亡したテレビ局プロデューサー・坂東幸雄(森岡豊)の殺害の件・・・無理心中を迫られた緊急避難的な行為だったとして無罪を主張。

③2012年12月4日に練馬区のアパートで重傷を負った企業役員・千倉泰蔵(大谷亮介)に一億三千七百万円の保険金をかけ殺害未遂に至った件・・・タクシーの防犯カメラ映像などによる状況証拠のみであり無罪を主張。

真っ向勝負である。

そして・・・意識を取り戻す・・・千倉泰蔵。

妻の文江(中田喜子)など眼中になく第一声が「まりあさん(基子の偽名)はどこですか」である。

そして・・・「まりあさんが悪女なんてとんでもない・・・私が妻と離婚して一緒に暮らそうと言ったら・・・ありがとうと・・・うれしい・・・と言ってくれたんだ・・・彼女は優しくて美しい・・・聖女です」

文江は泉美に「夫婦ってなんなんでしょうね・・・」と呟くのだった。

小池弁護士(田中要次)から・・・被告との関わりで独自のアプローチをしてみたらどうかと唆された晴樹は公判直前・・・基子との単独面会を挙行する。

「急に来てすみません」

「いいのよ」

「あやまりにきました」

「・・・」

「あなたのことが全部嘘だなんて言って・・・」

「・・・」

「知られたくないことまで勝手に調べて・・・」

「・・・」

「少なくとも先生のおかげで僕は落ちこぼれを卒業できました」

「・・・」

「もういいのよ・・・私が本当に愛したのはあなただけですもの」

「・・・」

「こんな・・・アクリルの壁ごしにじゃなく・・・もうすぐ・・・あなたと会えるわね」

「・・・」

「私はそれだけで・・・幸せよ」

壁ごしに差し伸べられた基子の掌に・・・掌を重ねる晴樹だった。

全国の一部お茶の間で「堕ちた~」の絶叫が響くがJUJUの歌声がかき消すのだった。

そして・・・引き籠りだった怪しい兄の克樹(青柳翔)は髭を剃るのだった。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

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