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2014年9月 4日 (木)

恐怖女子高校~私はこうして失った(橋本愛)

芹明香の映画「恐怖女子高校・不良悶絶グループ」(1973年)と宮下順子の映画「私はこうして失った」(1971年)を混ぜてみました。

なぜ、混ぜた。

共演なら「四畳半襖の裏張り」(1973年)があるじゃないか・・・。

「四畳半襖の裏のドラえもんかっ」(野村周平)じゃあんまりだからな。

それにしても橋本愛(1996年1月生まれ)は1995年度生まれのスターを代表しすぎだよな、後は大野いとぐらいだもんな。

そして・・・なんていうか・・・三鷹ストーカー殺人事件の被害者も1995年度生まれだったわけで。

そういう流れでこの主題・・・薄氷を踏んでるよな。

東京地裁の裁判員裁判で「無期懲役」の求刑に対して、「若くて更生可能性がある云々」で「懲役22年」の判決である。

被害者の遺族は「失望」するよな。

公開処刑が妥当なんじゃないのか。

なにしろ・・・一人の人間を二度殺しているんだからな。

で、『若者たち2014・第8回』(フジテレビ20140903PM10~)脚本・武藤将吾、演出・中江功を見た。紆余曲折して終盤に来てコレである。そうなれば・・・これは「三鷹ストーカー殺人事件」を下敷きにしたフィクションということになる。つまり、お嬢様の永原香澄(橋本愛)と貧困ゆえに落ちこぼれた佐藤旦(野村周平)の地獄のロミオとジュリエットなのである。あの事件でも被害者は成績優秀な女子高校生、加害者は貧困の家に育ち、母親の交際相手から過酷な虐待、近所のコンビニで消費期限の切れた弁当を無心する生活を送って成人した男だった。男は七月にリベンジポルノ行為をした後で十月に被害者を殺害している。つまり、事件をなぞればやがて旦は香澄を殺害するわけである。なぞらないのであれば・・・なんで今、これを物語るのか・・・と心が冷えるものがある。

理屈じゃなく・・・駄目なんじゃないかと感じるのだった。

嵐の前の静けさ・・・。

未熟児あかりは危機を脱し、父親の旭(妻夫木聡)は保育器の中の我が子に語りかける。

「仕事も順調なんだけどさ・・・今はちょっと不満があるっていうか・・・なにしろ・・・俺はずっと道路を作って来た男だからさ・・・今の仕事に馴染めないっていうか」

「何・・・子供相手に愚痴ってんのよ」と旭の妻・梓(蒼井優)は咎める。

「いや・・・なんか話かけろっていうから・・・」

「とっとと仕事に行きなさいよ」

「あ・・・いけね」

さんな若夫婦の漫才に微笑む梓の母・京子(余貴美子)だった。

ほのぼのホームドラマなのである。

最近まで鬼畜・新城(吉岡秀隆)と不倫していたひかり(満島ひかり)も何事もなかったかのように明るく振る舞う。

ストーカー行為で補導された旦も大人しく自宅の押し入れで謹慎している。

何を考えているかわからない陽(柄本佑)は女優である香澄と相思相愛の演出家という関係を楽しんでいるようだ。

ここまでの経緯をふりかえってみよう。

旦は産褥で母親を失い、事故で父親を亡くし、三人の兄と一人の姉によって貧困の中で育てられる。当然のように情緒不安定な人格が形成される。

旦(ただし)が高校生になった時、次兄の暁(瑛太)が詐欺事件の犯人として逮捕され、これを発端としていじめの対象となる。結局、高校を中退した旦は予備校に通い、そこで香澄と知りあう。

容姿端麗で学力優秀な香澄だったが・・・何事か鬱屈を抱えており、旦とラブホテルで一夜を過ごした後、妊娠詐偽で堕胎費用を搾取しようとする。

弟のために香澄と対峙した陽(はる)は香澄の美貌に心を奪われ主催する演劇サークルの主演女優に抜擢する。

舞台で自分を表現することで新しい扉を開いた香澄は魅力を開花させる。

旦はそんな香澄に心を奪われ、交際を申し込む。

香澄の心はすでに陽に向かっていたが・・・何故か、交際を承諾する。

香澄との肉体交渉を求める旦。しかし、香澄はそれを拒絶して、陽との交際を開始する。

やがて・・・香澄と陽の関係に気がついた旦はストーカーと化して香澄の学校や家に押しかけ・・・香澄の母親(山下容里枝)に警察に通報されてしまう。

「自分は悪くない」という思いを抱えたまま・・・引き込もる旦。

そして、香澄と陽は恋に芝居に充実した日々を過ごす。

そこで・・・旦は香澄が残した「恥ずかしい写真」をネットに流出させるのである。

もちろん、18歳の女優・橋本愛がお茶の間に披露しているセミヌード画像なので基本的にはそれほど恥ずかしい写真ではないのだが・・・ここは演出上の配慮でドラマ内現実としては社会生活が困難になるほどの恥ずかしい写真を流出させたのである。

「流出画像」「美少女」でいつも検索しているのであろう演劇サークルの団員がネット上で「香澄の恥ずかしい画像」を発見する。

それを知った陽と香澄はたちまち、犯人が旦であると思い当たる。

おそらく・・・その画像は誰もが保存したくなるようなショッキングでエロティックなものなのである。

たちまち、ネット上に浸透と拡散していく香澄の恥ずかしい姿。

おそらく局部なども披露していたのだろう。

香澄は衝撃を受け、演劇活動を中断する。

陽は主演女優を失ったショックで旦を問いつめる。

「なんでこんなことをした」

「別にいいだろう」

「彼女の恥ずかしい写真は世界中で永遠に保存され続けるんだぞ」

「そんな・・・つもりじゃなかったよ」

・・・などというのは嘘である。システムを知らずにどうしてリベンジポルノが出来ようかだ。

「彼女と交際したことを大衆にひけらかし、付き合った事実を半永久的に残し、かなり話題になり、女の尊厳を傷つけたかった」に決まっているのである。

旦の心の闇は愚かで未熟であるほど深いのである。

兄弟の中でただ一人、「リベンジポルノ」を知っている前科者の暁は佐藤家を知りつくした女・屋代多香子(長澤まさみ)に問いかける。

「どうすればいいと思う」

死ねばいいと思うよ

「・・・」

どうやら・・・多香子の友人と言う名の本人は誰かに「恥ずかしい写真」を所持されているようだった。

それはまた別の展開である。

大人のすることだ。

警察沙汰にされないように・・・旦を連れて謝罪に出向く旭。

しかし、香澄の父親(鶴見辰吾)は微妙な応対をする。

「香澄は社会的に抹殺されたようなものだ・・・取り返しのつかないことをしておいてどう責任をとるつもりだ」

「・・・」

「責任の取り方もわからず・・・形だけ謝られても仕方ない。警察に通報するしかない」

「それだけは勘弁して下さい」と土下座する旭。

「君が弟を庇うように私も娘を庇わねばならない」

「死ねばいいんだろう」と凄む旦。

「馬鹿・・・何を・・・」

「死んでお詫びしますよ」

とりあえず退散した二人。

「あなた・・・警察に通報なさるの」

「そんなことをして問題を大きくしたら・・・娘がもっと傷つくじゃないか」

ここまでは・・・被害者家族で描かれる永原家。

しかし、最初の香澄の問題行動から・・・当然、秘密があるはずである。

しかし・・・あの事件を下敷きにしている以上、被害者家族の落ち度への言及はかなり厳しいと推察する。

一方・・・同情すべき点がある・・・という描かれ方の旦は・・・家出である。

鬼畜の新城は「どうすれば謝罪できるのか・・・本人が考えるべき」などと当たり障りのないことをアドバイスするのだった。

何故か・・・おそらく廃校になっている出身学校に集う・・・旭、暁、ひかり、陽の四人。

たちまち始る肝試しちゃん・・・ではなかった捜索活動。

暁は教壇に潜む旦を発見し、気付かぬ態で全員に集合をかける。

「あいつは・・・本心を話せない奴だから」

「でも・・・陽の笑顔にいつも励まされていた」

「俺が詐偽なんかしたせいで・・・自殺未遂までさせて悪かったと思っている」

「あいつが好きなことを知っていて、ものにしてしまった俺が悪い」

「何にもしてやれないが・・・いつもそばにいるからな」

ついに・・・投降する旦だった。

「えーん、僕は悪いことしちゃったよう」

「泣くな・・・笑え」

所詮・・・社会の底辺を彷徨う一家である。

いざとなったら社会を敵にして戦う覚悟があるのだった。

だから長男は父親を殺した会社から金をもらい、次男は詐偽で逮捕され、長女は不倫、三男は弟から恋人を略奪し、四男はストーカーでリベンジポルノ投稿者なのである。

ものすごく分かりやすい貧困層=犯罪者予備軍の論理なのであった。

そして・・・おそらく被害者家族にとっては迷惑でしかない・・・雨の中で謝罪のためのすわりこみをする旦。それを見守る旭。

学校で友人から「画像」を示され・・・答案用紙を画像と見間違うほどの恐怖に襲われた香澄は悶々とベッドに横たわる。

何故か・・・そんな娘の背中を押す父親。

おそらく・・・この世界では「三鷹ストーカー殺人事件」は発生していないのだろう。

玄関から姿を現した香澄。

「もういいよ・・・私も悪かったんだから・・・これきりにしよう・・・」

家の中に姿を消す香澄。

まったく納得のいかない旦だった。

旦の暗い表情に気がつく旭。

「お前・・・まさか許してもらえたら・・・仲良くできるとか思ってたのか」

「違うよ・・・香澄ちゃん・・・笑っていなかった・・・許してくれてなんていないんだよう・・・」

世界は終結に向かって加速していくのだった。

はたして・・・死ぬのは・・・香澄か・・・それとも旦か。

現代の管理社会は自殺を禁ずる傾向にあるが・・・死んでお詫びするしかない場合はあるだろう。

死んだって許されるとは限らないけれど。

何しろ、殺されたら許すことももうできないのだから。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

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コメント

こんにちは~。
ここまで視聴し続けると、
楽しみになって来ましたhappy02

>一人の人間を二度殺しているんだからな。
私もこの事件が過ぎりましたけど、
二度殺す…
上手いな~キッドさんφ(.. )メモメモ
後悔処刑…
言うよな~キッドさん( ゚∀゚)人(゚∀゚ )

今回の鶴見パパには見惚れてました。
私の理想の父親像なのかもしれない。
弁護士の時はそれほどでもなかったのに…
役者さんって面白いですね。
見る側が面白いのかhappy02

それに比べると母親がどうして?
って感じたアンバランスさ。
年齢のせいなのか?と思ったら…
同い年のお二人なんですね!
嫌みな母親像がインプットされてるのか…
眉間のせいかhappy02

深夜の世界柔道選手権で、
どうしても野村周平に見えてしまう海老沼選手。
眠気のせいかhappy02

(笑)を絵文字に変換してみたら、
元気が出るより…
やかましいもんですねhappy02ヾ(゚∇゚*)ヤメロ

投稿: mana | 2014年9月 4日 (木) 11時26分

hairsalon|||-_||シャンプーブロー~mana様、いらっしゃいませ~トリートメント|||-_||hairsalon

第105テラスでさよなら夏祭り開催中でございます。
特製海の家風やきそばをご賞味ください。

香澄と旦の青春の蹉跌を描くことに関しては
よどみなく展開しているこのドラマ・・・。
豪華共演陣が背景となってきましたな。

日本・フィリピンの混血児であったあの事件の加害者とは違い
貧しいけれども優しい兄姉たちに育まれた末っ子。
同じ間違いを犯しても違う道をたどるという話なのか。

あの事件の被害者はリベンジポルノ被害の後
芸能活動を中止して・・・その後殺害。

償えない罪を犯したものの
「それでも生きていく」に正解なんかありませんからな。

最低限の良識あるマスメディアと
ルールなき悪意に満ちたネットメディアという
二つの巨大な情報の流れがあり
真実がどちらにも存在する世界。

悪魔でさえ流出されてもたくましく生きていけとは
叫べないわけでございます。

「犯されたら泣けばいい」って三上寛(歌手)は歌いましたけどな。

全世界の夫婦の寝室に中継カメラが設置され
愛を公開することが「普通」にでもならないと
傷を癒すことはできないのでございましょう。

もちろん・・・芸能人には
どんな姿をさらしても
芸のためなら恥も外聞もなくていい
というタイプもありますけどねえ。

ふふふ・・・日曜に武将
月曜に弁護士
水曜に娘の父親と・・・。
鶴見信吾祭りでしたな。
山下容里枝とはなかなかに
お似合いの夫婦だと
思いましたけれど
男と女の間には深い川がありますからねえ。
どちらかといえば娘を案じる母と
どこか計算高い父親・・・
解決するなら金しかないだろうという感じが
ございましたよ。

ま・・・相手がどれだけ
貧乏なのか・・・知らないわけですが・・・。

少なくとも
芝居と陽という救いが
あるともないとも言えるようなここまでの展開。

二人の若者が
それでも生きていくという結末はドラマとしては
ありなのかもしれませんが・・・
それなら・・・この題材を
とりあげていいのか・・・と思わざるをえないのですな。

死人に口なしですからねえ。

happy02は賑やかでよろしいですなtyphoon


投稿: キッド | 2014年9月 4日 (木) 23時50分

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受信: 2014年9月 4日 (木) 18時11分

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