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2014年10月31日 (金)

シュシュは髪を束ね、腕に嵌めたり、場合によっては・・・何を言ってるんですか。(綾瀬はるか)

そんなところを飾ってどうするんだ。

・・・何の話だよ。

まあ、変態にもいろいろあるからな。

シュシュ=かわいいだしな。

今回、一方通行の恋愛モードになりかけて・・・ヒヤヒヤしたよね。

ハチミツとクローバー」で痛い目にあってるからな。

そもそも一方通行の連鎖というのは・・・価値観の単純化であって・・・幼稚なせつなさなんだよな。

もちろん・・・たまたまそうなっているということはありえるが・・・説明が大変になるだけだ。

鮫島(水上剣星)→加々見(千葉雄大)→大川瞳(仲里依紗)→朝尾(玉木宏)→青石花笑(綾瀬はるか)→田之倉悠斗(福士蒼汰)は一見、面白そうだが、要するに単純な価値観に基づく序列化でありワンパターンに過ぎないのである。

おいっ、最初の二人っ。

大切なのは主人公の恋の行方なのであって・・・背景に拘りすぎるとあやまちを繰り返すことになるよ。

なにしろ・・・大人は瞳←朝尾→花笑が普通なのである。

それは・・・単なる浮気性じゃないのか。

ま・・・「ハチクロ」の場合は原作が原作だからな。

で、『きょうは会社休みます。・第3回』(日本テレビ20141029PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・狩山俊輔を見た。裏番組の「ファーストクラス」が日本シリーズに追いやられ深夜の彼方に消え去りつつ、↘*5.8%を死守したのに対し、こちらは余裕の↗17.1%である。これだけあれば心穏やかに作品に携わることができるよねえ。傑作であれば視聴率はある程度無関係だが・・・評価が微妙になりやすい作品には順風がなによりなのである。とにかくいろいろあるけど最後はちょっとハッピーな感じで持続することをお願いしたいのである。

前回は・・・悠斗に対して妙にフレンドリーなひろ乃(古畑星夏)の登場で・・・奈落に堕ちた花笑だったが・・・悠斗がメールをくれただけで昇天して眼鏡を置くという「むふっ」な展開だったわけである。

これは一種のハッピーエンドで・・・「むふっ」というのはささやかな幸せと同義語なんだな。

お茶の間に「むふっ」とどれだけ言わせることができるかが腕の見せ所なんだな。

これはそういうゲームなのである。

ちなみに「むふっ 綾瀬はるか」でYahoo検索すると前回記事がヒットします。

・・・どうでもいいわっ。

三十歳の誕生日に処女を喪失し・・・二人で食べるラーメンにも「むふっ」とする花笑である。

最初に言っておくと、このドラマは100%、かわいいよ、綾瀬はるか、かわいいよの連鎖です。

「花笑さん・・・映画好きですか?」

ファースト・ネームで呼ばれただけで・・・軽く感じる花笑だった。

花笑の処女を奪った男はタメ口と・・・年下の男として敬語を織り交ぜて花笑を言葉攻めするのだった。

「花笑さん、おかわりするよね」

「花笑さん、メンマも頼みますか」

「花笑さん、そろそろ行く?」

「イキマス」

「むふっ」すぎて「メロメロ」なのであった・・・いつの時代だよっ。

あまりの幸せに・・・うっかり寝過ごしそうになる花笑だった。

しかし・・・遅刻や欠勤などもっての他なのである。

なにしろ・・・職場には「むふっの源」が待っているのだ。

ああ・・・幸せっていいなあ。

そんな花笑の変化を食品輸入卸会社「サフィラストレーディング」のCEOである朝尾侑(玉木宏)は貴重な小動物を見る目で観察するのだった。

「年下の彼とうまくいってるのかな」

「お構いなく」

「忠告しよう・・・重い女にならないことだな」

CEOには善意も悪意もない・・・成功者の基本は「情けは他人のためならず」なのである。

しかし・・・根が真面目な花恵はCEOの軽いアドバイスを必要以上に重く受け止めるのだった。

このあたりが・・・こじらせているわけだが・・・何をこじらせているかは人それぞれである。

エレベーターに乗り合わせ損なった太った女性を見て・・・重みを感じる花笑だったが・・・ようするにおデブの人は体重をこじらせているにすぎない。

一方、悠斗は若さのパワーでストレートに押してくるのだった。

(土曜日・・・映画の後で・・・ウチで鍋しない?)

はじめての恋人との映画鑑賞、はじめての恋人のお宅訪問、はじめての恋人の部屋で鍋・・・そして・・・めくるめくはじめてアレコレの予感にいやがおうにも重くなる花笑だった。

そんな花笑に微笑みかける・・・愛犬マモル。

(あのな、いとはん、おすわりができるようになったら、そらお手とかおかわりとか、そないなもん、ちょろいもんですわ)

「マモル・・・できるようになったな」

マモルに励まされ・・・軽やかな女を目指す花笑だった。

そういうものを目指してしまうところがすでに重いわけである。

巌(浅野和之)と光代(高畑淳子)の夫婦は結婚適齢期を軽々とスルーした娘の変化に気がつく。

巌はかなり激しく気付くが、光代はそうでもないのである。

巌は・・・周囲に気を使う方で光代はのんびりやさんなのだろう。

デート前日は鍋。

明日も鍋なのに・・・。

「明日、私と買い物に行かない」

「明日は・・・友達の処に泊まることにしちゃった」

「友達って・・・一華 (平岩紙)ちゃん」

「違うよお・・・私だって他に友達いるよお」

しかし・・・誰とは言わない娘に蒼ざめる巌だった。

「じゃ・・・キムチ持ってく?」

母は娘にそういうことがあるとは微塵も疑わない・・・というかそういうことで気をもむ時期を通過してしまったのかだ。

「何・・・見ますか」

映画館で選択を迫る悠斗。

基本的に少女漫画の主人公はホラー映画マニアである・・・そうなのか・・・例①「アマリリス/岩館真理子、例②「ヤマトナデシコ七変化♥/はやかわともこ」・・・・・・・・・二例かよっ・・・だから映画「ゾンビカムバック」を見たい花笑だったが・・・。

「悠斗くんの見たい奴でいいよ」

選択権を投げ返すのは軽やかなのかどうか微妙である。

妊娠した時に「産むか、堕すか・・・悠斗くんが決めてよ」みたいな感じになるからな。

結局、実はすでに花笑が鑑賞済みの映画「あなたの売れない女優」を選択する悠斗。

私の見たい映画を選んでくれたら・・・それが運命みたいなことを乙女は思いがちですが・・・すべて偶然です・・・なんか、嫌な思い出があるんだな・・・忘れたね。

とにかく、ラブコメと思われる映画「あなたの売れない女優」を楽しく見る二人。

手がふれてポップコーンをこぼす夜 はじける気持ちが暗闇に咲く

なんで一首詠むんだよ。

そして・・・はじめての二人で夕食の買い物の後で・・・悠斗の意外に片付いてる部屋・・・連夜のキムチ鍋で・・・〆のラーメンの前にキスをする二人。

そんなむふっの嵐で煮えたぎる鍋。

だが・・・やはり、ラーメンはかかせない悠斗。

ラーメンを待つ間、いつでもどうぞと言わんばかりに仰向けになったままの花笑はベッドサイドに埋もれた「シュシュ」を発見してしまうのだった。

自分のものでない女物装身具に激しく反応する花笑である。

一瞬で体重が5万トンくらいになったのだった。ゴジラかよっ・・・しかも平成ゴジラかっ。

自分以外の女の存在は絶対に許さない・・・重い女と化した花笑は証拠物件を握り締め立ち上がるのだった。

「急用を思い出したので帰ります」

「ええええええええええええええっ」

悠斗は猛り狂ったナニをもてあますのだった。

せめてシュシュがあれば飾って気を紛らわせることもできたろうに・・・どんな奴だよっ。

お泊まりをキャンセルした娘に・・・出前の寿司を食べていた両親は気不味い感じになるのだった。

「寿司・・・食べるか」

「今夜はいいです」

巌はウニを持って立ちつくす。

笹野一華・さやか(平澤宏々路)母娘出動である。

「なんで・・・持ってきちゃうのよ」

「・・・」

「その場で・・・聞けばよかったじゃないの」

「そんなの・・・こわくてできないよ」

「まあ・・・聞いても存在しない妹とかでごまかされたりして」

「たったシュシュひとつの恋の終わりなのね」

すべてから逃避した花笑は眼鏡をかけます。

さて・・・悠斗の事情は一切、説明されないわけだが・・・明らかに元カノの何かを発見されたと・・・明らかに心当たりがあるよね。

「突然帰ってごめんなさい」の花笑のメールに返事を返せないあたりね・・・。

「昔の思い出問題」発生である。

まあ・・・昔の女の写真とか、昔の女の動画とか、昔の女のあれやこれやを絶対に処分できない男はいるけどな。まあ・・・銀行の貸金庫に保管する必要はあるよな。

しかし・・・花笑が惧れているのは現在進行形のふたまたで・・・予想される女のバトルなんだよな。

相手の女にとって邪魔ものだからな。

邪魔ものになるのが耐えられない気質なんだよな。

そんな花笑の気配を見逃さないCEO・・・。

すでに・・・前哨戦で・・・悠斗に釘を刺しているからな。

「三十路の女と交際する意味わかってんのかな」

「彼女のことを真剣に考えていますから」

「別れるなら・・・早い方がいいよ・・・彼女に残された時間は少ない」

「難病ものですか」

「まあ・・・一種・・・そういうものなんじゃないか」

そして・・・悪意も善意もなく・・・結婚事業というビジネスのパートナーとしてCEOに迫る恋の野獣大川瞳にミーティングのセッティングを求めるのだった。

「花笑さんを誘うのがデートの条件なんですよ・・・可哀想だと思ってお願いします」

「・・・」

いやとは言えない花笑だった。

瞳に対する評価を格上げするCEO。

「約束を果たすとは意外だな」

「約束を守るのは当然じゃないですか」

「世の中にはそうでない人間も多い」

「朝尾さんは・・・」

「私は・・・約束を守るために生まれてきた男だ」

「じゃ・・・私がボウリングに勝ったら結婚してくれますか」

「いいとも」

しかし・・・プロボウラーのような実力を見せるCEOだった。

「い、今のは練習です・・・今度は本気出しますよ」

瞳が本気のボールを捜しに行く間に花笑を攻めるCEO。

「もう・・・彼と別れたのか」

「お構いなくお願いします」

「あんな男・・・とっとと忘れて俺と付き合え」

「からかわないでください」

「ゆっくりと考えるんだな」

「お断りします」

「ということは・・・今も彼が好きで好きでたまらないということか」

花笑は痛い所を突かれるのだった。

逃げても逃げられないもの。

それは恋心なのである。

ようやく・・・花笑は・・・いるかもしれないしいないかもしれない仮想敵と戦う決心をしたのだった。

待ち合わせ場所にはことかかない横浜である。

ロマンチックな波止場に・・・波止場じゃないだろ・・・悠斗を呼びだす花笑。

「あの・・・今・・・他に交際している方がおありですか」

「え・・・」

そして・・・花笑は封筒入りのシェシェを差し出すのだった。

「・・・」

「ごめんなさい・・・無断で持ちかえってしまいました」

「こんなものを・・・処分していなかったのは・・・僕の若さゆえのあやまちです」

「・・・」

あっさり・・・証拠を証拠として認める悠斗だった。

そして・・・取り出すのは・・・自室の合鍵である。

「花笑さんに隠すようなことはひとつもありません・・・いつでも部屋に来てください」

花笑・・・それは・・・おさがりかもしれないけど・・・いいのかよっ。

しかし・・・悠斗に抱きしめられたら・・・何もかもどうでもよくなる乙女な花笑だった。

「こんなことで別れたりしませんから」

どんだけ・・・自信家なんだ・・・悠斗という一部お茶の間の叫びを残し・・・どうやら花笑は初めての合鍵で「むふっ」に満たされたらしい。

きっとアレコレして帰宅した花笑にアイスクリームを進める母親は・・・ぼんやりしているようで・・・娘が見知らぬ鍵を持っていることを見逃さないのだった。

大いなるかな・・・娘を持つ母の心である。

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2014年10月30日 (木)

あなたの涙を拭うための白い靴下あります(竹野内豊)

あくまで妄想上の話である。

いつもそうだろうがっ。

木村文乃は木村佳乃と間違えやすい。

お前はな・・・。

しかし・・・木村佳乃がロンドン生まれ成城育ちの生粋のお嬢様なのに対し、木村文乃はそうでもないのである。

11才も年が違うので・・・比較される必要もないのだが・・・木村佳乃と木村文乃じゃどうしてもアレなんだよな。

どうしたって木村文乃は木村佳乃みたいなんだろって想像されちゃうんだな。

そこで・・・凄く損をしたりするのではないかと心配だ。

何を心配してんだよ。

女優だから・・・どんな役でも演じるのだが・・・木村佳乃がなんとなく育ちの良さが滲み出るのに対して・・・木村文乃はそうでもないわけである。

そうなると・・・育ちが普通でも・・・悪い方向に行きがちなのが世界なのだ。

ものすごく・・・不幸で・・・紆余曲折のあるおいたちだとか人生を妄想してしまうのである。

あらゆる現場でものすごくひどいあつかいを受けてるんじゃないかとかな。

だから・・・他人の靴下で鼻かんじゃうのがすごくフィットするんだよな。

そういうところが・・・かわいいよ、木村文乃かわいいよ・・・なんだな。

そこなのかっ。

木村文乃がいつまでも平凡な美人でありますように。

で、『素敵な選TAXI・第3回』(フジテレビ20141028PM10~)脚本・バカリズム、演出・筧昌也を見た。タイムスリップにおいて「記憶」は重要な要素である。気まぐれな神である枝分(竹野内豊)はおそらく神であることをほとんど忘却しているだろう。なにしろ・・・人間の脳細胞の情報処理能力は全知全能向きではないと思われるからだ。前夜の「信長」のように高校生本体が肉体と精神ごと戦国時代にタイムスリップという設定なら平成時代の記憶は戦国時代まで持ちこされるわけである。一方で・・・コチラでは・・・経過した時間の記憶を持ったまま・・・過去の自分と同化するわけである。人間の記憶のメカニズムがまだ完全に解明されていないからいいようなものの・・・かなり危うい感じはする。なにしろ・・・タイムスリップすると・・・涙の跡は消えてしまうのである。本当は・・・蓄積された記憶も消えるのがあるべき姿のような気がする。しかし・・・神の作りし超テクノロジーに悪魔風情があれこれ言うのもなんなんだよな。逆に、時間旅行物では記憶だけが過去に転移するというアイディアもある。大人の記憶を少年時代の自分に送り込むとどうなるか・・・という話である。少年は突然、大人びるわけだが・・・大人だった記憶もまた・・・少年の幼さに飲み込まれて行くことになる。この一人の中にある二つの自我ということを考えると・・・人は皆、いたるところで未来からの干渉を受けているのでは・・・と考えることがあります。

それにしても・・・「ボーダーライン」明らかに虚実のラインを越えて浸食してきているよな。

まさか・・・これだけ危機管理の徹底している東京下町の火事現場であんなことが起きるなんてな。

まあ・・・ニュースの登場人物では火事現場のすぐ隣でパチンコしていた人が一番面白かったけどな。

さて・・・記憶を失った神である枝分は自分のポジションというものにこだわる。

「cafe choice」の中でも自分の定位置というものが大切なのである。

なにしろ、神なので鎮座したいのである。

しかし・・・人間となった今、そういうわがままはなかなか通らない。

いつものウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)や、どうやら今回、ウエイトレスであることが確定した関カンナ(清野菜名)のどちらにも・・・「いつもの席に移りたい」がどうしても言えないのである。

他人にどう思われているか・・・人間なら意識して当然だとなんとなく神は思っている。

ようやく・・・マスター・迫田(バカリズム)に意を伝えることに成功するが・・・席を移ろうとすると突然始る見知らぬ客の誕生日サプライズ・サービスに落ちつかない気分になる。

神には誕生日というものがよくわからない。なにしろ・・・神にとってそれは・・・設定にすぎないからである。

そういう曖昧な設定の自分に・・・枝分は時として困惑するのだった。

おそらく・・・枝分には誕生の記憶はなく・・・まあ、人間は大抵そうだけどな・・・幼い日に誕生日を祝ってもらった記憶もない・・・あらゆる情感が設定に過ぎないのである。

枝分とは違い・・・思いつめた表情で・・・産婦人科の医院にやってきた麻里奈(木村文乃)には様々な思いが渦巻いているらしい。

そうした出来事もすでに記憶となり・・・麻里奈は都心のホテルにいる。

そこでは・・・「素敵な夫婦アワード2014」の授賞式が行われている。

ベストパートナー賞に選ばれたのは企業経営者の野々山(中村俊介)とモデルの明歩(笛木優子)夫妻である。

麻里奈は野々山の秘書として授賞式に立ち会っているのである。

仲睦まじく取材に応える野々山夫妻だったが・・・麻里奈の表情は苦々しい。

何故なら・・・麻里奈は野々山社長の愛人だったのである。

麻里奈は気がつかなかったが・・・会場には同じように苦々しい表情の記者(窪塚俊介)がいた。最近は瑛太の弟が大活躍だが・・・窪塚洋介の弟もいるわけだ。二人の弟もなんとなく棲み分けているな。同じ脇役でももてもて役とふられ役は恐ろしいほどの神の流れの手の内なのである。男の乳首は見せても女の乳首は見せない暗黙の了解の恐ろしさである。

ともかく・・・モデルでもある妻の明歩が姿を消すと・・・たちまち・・・愛人に対する性欲を剥き出しにする野々山社長なのだった。

しかし・・・麻里奈はそろそろ・・・野々山社長の不倫相手であることには我慢できなくなっていたのである。

基本的に・・・女が男に何かを要求する場合は・・・「性的行為」の前が理想である。

「やるため」に男のハードルが下がるからだ。

しかし・・・男によっては・・・「やったこと」でなにもかもどうでもよくなるタイプもいるので吟味が必要である。

お茶の間の多くはここで「妊娠の話」が出ると予測する。

しかし・・・麻里奈の話は・・・。

「奥さんと離婚して・・・私と結婚して・・・」なのであった。

これに対して野々山は最低レベルの対応をする。

「何を言うのかと思えば・・・なんで・・・俺が君と結婚しなけりゃならんのだ・・・だってもう結婚してるし・・・それを承知で君は俺とあれやこれやしたんだろう。俺は結婚してない相手とあれやこれやがしたいのであって・・・君と結婚したら・・・それはただの夫婦のあれやこれやじゃないか」

「えええええ」

ここで・・・普通の女なら退くところだが・・・麻里奈はここであの話をする。

「だって・・・私のお腹にはあなたの赤ちゃんが・・・」

「赤ちゃんだって・・・しょうがないウソをつくな・・・結局、君は俺の財産目当てか」

「えええええ」

ここまで「愛」をないがしろにされて・・・「体だけの関係」をあからさまにされたら女としての立場がないので麻里奈は野々山を平手打ちである。

しかし・・・野々山は話どころがすべては清算された風情で立ち去るのだった。

なんとなく・・・思い描いていた展開とのあまりの落差に化粧が崩れるほど涙する麻里奈だった。

パンダ目になった麻里奈がホテルを出ると・・・そこには「選TAXI」が客を待っていたのだった。

なんとなく・・・事情を察した枝分が涙ふく木綿のハンカチーフを差し出そうとするが・・・それは白いソックスだった。

木村文乃にはドラマのロケ現場で靴下を片方なくし、そのまま片足靴下なしで帰宅したという面白いのかどうか微妙なエピソードがあり、その旨、ウイキペディアにも書かれているわけだが、きっとバカリズムの心には何か触れるものがあったにちがいない。

行き先を告げない麻里奈に対して枝分はついロマンチックなことを言ってしまう。

「海にでも行きますか」

「行かないわ」

せっかくの気遣いを拒絶されて傷心する枝分だった。

「あの・・・こういう状況で海に誘うのは・・・あわよくばとかそういう下心ではなくて・・・あのあくまで海でも見たら気持ちが落ち着くのではないかなあと思ったわけで・・・それにハンカチがなくて靴下出したのも受けを狙ったとかそういうことではないのです」

「運転手さん・・・面白い」

「え」

「散々だったわ・・・赤ちゃんができたとまで言ったのに・・・」

「赤ちゃんが・・・」

「そうよ・・・それなのに・・・どうしてこんなことに」

「じゃあ・・・やり直してみますか・・・」

なくてもいいタイムスリップ感を演出する効果音付で三時間くらい戻る二人。

料金は端数切り捨ての六万円である。

どうやら・・・女は高額所得者らしい。

戻りたい時間よりかなり前まで戻った麻里奈は・・・ホテルのロビーで野々山夫人の不審な行動を目撃する。

野々山夫人は見知らぬ男と親密な会話をして・・・何やら宝石のプレゼントまでされている。

(奥さんも・・・不倫していたのか・・・)

この辺りで・・・一部お茶の間は気がつくはずである。

野々山社長もとんでもない男だったが・・・麻里奈もとんでもない女である可能性に。

ある意味・・・野々山社長の洞察力は並はずれていたのである。

第二の時間の中で麻里奈の選択は・・・とりあえず性行為なのだった。

その後で・・・野々山は意外な一面を見せる。

「君にこんなことを言うのはなんだけれど・・・俺は家族に恵まれていなかったから・・・結婚したらすぐに子供が欲しかったんだ・・・でも・・・妻は仕事が忙しくて・・・」

まさに・・・妊娠のことを打ち明けるタイミングである。しかし・・・麻里奈は・・・。

「あなたにお知らせしようかどうか・・・迷ったんですけど・・・奥様も・・・不倫なさっているのでは」

「え」

何やら思いあたる野々山・・・。

「君とのこと・・・真剣に考える必要があるな・・・」

結局・・・妊娠の話はしない麻里奈である。

つまり・・・麻里奈は・・・野々山社長の財産目当ての女だったのだ。

第二の時間の中で・・・妻の座が近付くことを感じる麻里奈。

しかし・・・そこへ・・・件の記者が現れる。

なんと・・・記者は・・・麻里奈の元彼。

しかもストーカーで・・・違うんじゃないのか・・・本人の話をうのみにするなよ・・・野々山と麻里奈の不倫現場を盗撮していたのだった。

「麻里奈と別れないなら・・・この写真を公開する」

「やめろ」

もみ合う二人・・・野々山社長は階段落ちで・・・顔には死相が現れる。

「えええええ」と叫びながら・・・タクシー乗り場に走る麻里奈だった。

「ものすごいことになっちゃった・・・」

「どうしますか」

「戻るわよ・・・今度はもう少しうまくやる」

「よく考えてくださいね・・・あなたのことだけでなく・・・お腹の赤ちゃんのことも・・・」

神の記憶がなんとなく・・・モラルや・・・人命尊重について・・・語らせるらしい。

パネルによる遡上である。

倒れたパネルの足がみきれているのは・・・ネタなのか。

一種の記憶の残滓か・・・。

麻里奈は完全に犯罪者の顔つきで・・・夫人に・・・不倫の事実を夫に話すように仕掛けるのだった。

「隠していることがおありでしょう」

「まあ・・・あなたは本当に親身になってくださるのね」

「秘書ですから・・・」

「私にとっては家族のようなものよ」

「ありがとうございます」

心の中で舌を出す麻里奈・・・しかし。

「隠していてごめんなさい・・・私、不妊治療をしていたの」

「え」

「さっき・・・主治医の先生が忘れもののアクセサリーをわざわざ届けにきてくれたんだけど・・・その時、教えてくれたのよ」

「ええ」

「私、赤ちゃんができたの・・・」

「えええ」

「うれしいよ・・・」

「ええええ」

二人になると野々山社長は別れを口にしようとする。

麻里奈はいい女でもとんでもない女でもなかった。

普通の女だったのである。

「なんだか・・・嫌になっちゃった」

「え」

「悪いんですけど・・・私と別れてください」

「・・・」

晴れやかな表情でタクシー乗り場に戻る麻里奈だった。

「これでよかったんですか」

「よかったのかどうか・・・でも生まれてくる赤ちゃんには誰もが幸せになってほしいと思うものでしょう」

「そうですね・・・不倫じゃ・・・それも無理ですものね」

「昔なら・・・実力ある男が好きなだけ女を孕ませて好きなだけ子供を産ませたんでしょうけどね・・・今は普通の女は普通の男で我慢する時代だもの」

「・・・」

「海に行ってください」

「はい」

二週連続・・・海にやってくる枝分である。

なにしろ・・・海が似合う主人公なのである。

「じゃ・・・お腹の赤ちゃんは・・・あなた一人で・・・」

「あれね・・・嘘なの・・・兆候があって・・・産婦人科には行ったけど・・・妊娠してなかった・・・本当に妊娠してたら・・・もう少し粘るわよ」

「・・・」

麻里奈の普通のいかがわしさにドンビキする枝分だった。

なにしろ・・・神だった頃の記憶が・・・人間に・・・いろいろなものを求めるからなのだ。

しかし・・・「cafe choice」の常連客の標道雄(升毅)は枝分の誕生日を祝ってくれるのだった。

誕生日は一月遅れだっだが・・・枝分は拘らない。

どうせ・・・それは設定に過ぎないのだから・・・。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

Sentx003ごっこガーデン。まこかまCM撮影用特設セット・木綿のハンカチーフ海岸コース。まこひかないでと言われても思いっきりひく竹さまに受ける~。木村文乃ちゃんはなんとなく幸せになってほしいと思うのでしゅ~。それって基本、不幸な女だと決めつけているからでしゅか~。写真に写るのはイヤよイヤイヤ~と言いながらバッチリ写ってしまう枝分が可愛いのでしゅ~。えだわかれはエダブンって読めマス・・・まさかカナブンとかけてるの・・・うえ~ん・・・バカリズムしゃんのいけず~、じいや、白い靴下くだしゃ~いくう男子は妊娠詐偽にご注意ですよ~。出来ちゃった結婚して出来てなかったらいろいろとアレですから~。放送中にブラックアウトした一部地方の皆さん・・・再放送あるそうですよ~。チェックしてくださ~い

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2014年10月29日 (水)

桶狭間は桶狭間山の向こうだら、ここは田楽狭間村だに(前田敦子)

異次元の彼方では・・・歴史も微妙に違う時があるから・・・地形が違っても平気だ。

だよね~。

朝食のためにパンをコンビニに買いに行く時・・・。

「明日は牛乳配達のある日だっけ」と聞こうとして舌がもつれ・・・「アルフィーだっけ」になった時・・・。

家人に「アリス」と返されて我が家におけるニューミュージック的だじゃれ空間が保持されているのを感じるのと同じだ。

まったく意味不明なんだが・・・。

歴史ものって難しいよね。

土台が嘘なんだけど・・・嘘を本当だと信じてる人も相手にしなけりゃならんし・・・。

まあ・・・結局、最後は何でもありだって人間は開き直ることができるからね。

そうなんだよねえ。

自分より頭のいい人に出会うのは若ければ若いほどいいよねえ。

一生、バカしか知らないで終わる人はどんだけ頭がいいのかねえ。

で、『信長協奏曲・第3回』(フジテレビ20141027PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・岡田道尚、演出・金井紘を見た。とりあえず・・・ポテトチップスの賞味期限とかを考えると・・・この世界ではまだ天文二十年(1551年)なんだよな。いや、わからんぞ、この世界では1年は10日くらいなのかもしれん。つまり、一月たつと三年過ぎるわけか・・・。ま、辻褄にこだわる必要はないんじゃないか。・・・全部夢だったオチかもしれんしな。そんな恐ろしいことが・・・。とにかく・・・なんとなく戦国時代で、なんとなく織田信長の、なんとなく桶狭間の合戦をエンジョイしようよ。エンジョイできるのか・・・お前ってやつは。

建久3年(1192年)に征夷大将軍に任じられた鎌倉幕府初代将軍の源頼朝の父は源義朝で祖父は源為義で曾祖父は源義家である。・・・源為義は源義家の孫って説もあるけどな。

おい・・・話が12世紀まで遡ってるぞ。

で、源義家の息子の一人が源義国である。

・・・無視かよっ。

源義国には足利義康と新田義重という息子がある。基本的に・・・足利とか新田という土地に赴任して・・・足利の源義康とか新田の源義重とかになるわけである。つまり、分家だ。

新田義重は里見義俊とか山名義範という息子もあるが本家は新田義兼が継ぐ。義兼の息子が義房、義房の息子が政義、政義の息子が政氏、政氏の息子が基氏、基氏の息子が朝氏、朝氏の息子が新田源氏八代目新田義貞である。言わずと知れた足利尊氏のライバルである。

尊氏の方は足利義康の子孫である。

義康の息子には矢田義清があり、義清の息子には広沢義実があり義実の息子には細川義季があって・・・これが細川幽斎の先祖になる。

話を戻すと足利義康の跡を継ぐのは足利義兼であり、義兼の息子には畠山義純もいるが、跡を継ぐのは足利義氏である。

義氏の息子には足利康氏がいて・・・これが延元3年(1338年)に征夷大将軍に任じられ室町幕府の初代将軍となる足利尊氏の先祖である。

話を戻すと・・・戻るのかよ・・・足利義氏には吉良長氏という息子もある。長氏の息子が吉良満氏がいて・・・吉良上野介の先祖になるわけだが・・・吉良長氏のもう一人の息子が・・・いよいよ・・・今川国氏なのである。

つまり・・・今川国氏の息子が基氏、基氏の息子が範国、範国の息子が範氏、範氏の息子が泰範、泰範の息子が範政、範政の息子が範忠、範忠の息子が義忠、義忠の息子が氏親で・・・氏親の息子が・・・今川義元なのである。

そこかっ。

今川家は基本的に駿河守護だが・・・遠江や三河、そして尾張までも守護を兼任していた過去がある。

Nobuoo2現在・・・サブローが織田信長になった頃の今川家は・・・東の相模国の北条家と北の甲斐国の武田家と同盟を結び・・・駿河・遠江二国の守護としてお家騒動で弱体化した三河国松平家の領土をめぐって尾張国の織田家と争奪戦を演じていたわけである。

そして・・・今川義元は信長の父・信秀の死によって・・・三河国はおろか・・・尾張国東南部にまで進出を果たしたのであった。

三河国の支配権を持つ松平元康は今川一族の関口氏の娘との結婚によって、今川一門に組み入れられ・・・義元は駿河・遠江・三河三国の国主として動員兵力三万人を誇った。

そして・・・史実では永禄3年(1560年)に尾張におよそ二万の兵力で押し寄せる。

これに対し、織田信長の動員兵力はおよそ・・・三千・・・。

どうやったら・・・勝てるんだという兵力差だが。

意外にも信長が勝利してしまうのが世に言う「桶狭間の合戦」である。

このために・・・日本人には・・・戦は作戦で勝てるという神話が生じ・・・兵力差を軽視する傾向が生まれ・・・後の世でものすごく痛い目にあいます。

もちろん・・・四世紀以上も前の出来事なので・・・「桶狭間の合戦」の実態には諸説あるわけだが・・・定説ではほぼ次のような展開であった。

すでに尾張国に今川方の城となった大高城、鳴海城があり、防戦一方の織田家は・・・大高城と鳴海城を分断するために丸根砦、鷲津砦を築く。

今川義元は三河国の国主とも言える松平元康と・・・実質上の三河国支配者で目付けの朝比奈泰朝に先発させ・・・およそ五千で二つの砦を攻めさせる。

織田信長は清州城にあり、これを包囲攻撃するために今川軍一万が中軍として進出。

今川義元はその後方を残り五千の兵とともに追従していたのである。

通説では信長は義元の進路に忍者を放ち、その居所を特定していた。

信長は千人を砦の防御に割いて、残り二千人。

今川の総数二万人に対しては十分の一の戦力だが・・・今川本陣の五千人に対しては半分に満たないとはいえ・・・「勝てないこともない」戦力である。

信長軍は「通り雨」という幸運にも助けられ・・・騎馬兵主体という機動力を生かし、「田楽狭間」で雨宿り中の今川軍を急襲するのだった。

そして、先制攻撃の利を活かし、「桶狭間山」に逃げようとした今川義元を討ち取るのだった。

「桶狭間山の田楽狭間の戦い」が・・・「桶狭間の戦い」となるのである。

桶狭間山の麓の田楽狭間は・・・つまり、丘に囲まれ桶のようになった狭間である。

雨の跡でぬかるんだ合戦場ではおそらくドロドロの死闘が繰り広げられたのだろう。

まさに・・・必勝を信じていた今川義元にとっては・・・予想外の泥試合となったのだった。

一方・・・サブローは「今川義元が来る」と聞いて逃げ出すのである。

どうやら・・・「桶狭間」も「信長が勝ったこと」も知らなかったようだ。

せっかく・・・「予言書」を持っているのに・・・教科書嫌いのバカは救いようがないよね。

「相手は十倍の兵力」

「野戦ならば必ず負けて信長様は殺される」

「篭城ならばいつかは兵糧が尽きて飢えて死ぬ」

「降伏すれば信長様は切腹」

悲観的な家臣たちの言葉に・・・逃げるしかなかったサブロー(小栗旬)だった。

しかし・・・お約束で・・・サブローの逃げた先にあったのは・・・今川領となっている尾張国の狭間村であった。桶狭間山の麓なのである。

逃げ疲れたサブローは農家の娘・お春(前田敦子)の世話になるのだった。

ちょっと指に切り傷を作ったお春に魔法のリュックから絆創膏を取り出して貼るサブロー。

しかし・・・サブローを信長と知ったお春は・・・村長(前田吟)に報告して・・・サブローは捕縛されてしまうのだった。

「明日・・・打ち首にして・・・今川様に首を届けるだに」

「えええええ」

逃げた信長を追跡してきた前田犬千代(藤ヶ谷太輔)は清州に飛んで帰るのだった。

「なんと・・・信長様が・・・百姓に捕まったと・・・」と俯く池田恒興(向井理)・・・。

一方、清州城に潜入した今川方の忍者・木下藤吉郎(山田孝之)は「信長が逃亡したこと」を城内に広め、織田方の士気を下げる。

「うつけじゃ・・・」

「うつけじゃのう」

城内は騒然となり・・・帰蝶(柴咲コウ)の侍女・ゆき(夏帆)も呆れるしかないのだった。

しかし・・・すでにサブローを好きになっている帰蝶はヒロインとして立つのだった。

「うつけとはいえ・・・主人公じゃ・・・このまま見殺しにしては話が終ってしまう・・・皆のもの・・・そこを料簡せよ」

仕方なく、決死の覚悟で救出に向う尾張勢だった。

打ち首寸前に・・・武士の嗜みとして帰蝶から教わった辞世を詠むサブローである。

「夏風に 揺れる生首 いとおかし・・・」

「俳句で良いんですか・・・ここは短歌の方が・・・」

「ええと・・・五七五の後は・・・」

「七七です」

「最後に見たのは・・・あの山なんですか・・・」

「桶狭間山・・・」

「おけはざまやま・・・やった七文字だっ」

「お見事です」

そこへ・・・救出部隊到着である。

村人を殲滅しようとする織田勢を止めるサブロー。

「やめてよ」

「口封じしないと通報されます」

「だめだよ・・・この人たちは・・・貴重な食料源じゃないか・・・お百姓さんがいなかったらご飯が食べられないでしょう・・・そんなの小学生だって知ってるよ」

「しょうがくせい・・・」

そこで・・・ようやく教科書を開くサブローだった。

「織田信長・・・桶狭間の戦いで・・・今川義元を討つ・・・なんだ・・・勝つのかよ」

「信長様・・・どうしたのです」

「桶狭間って・・・どっかで聞いたよな・・・あっ」

サブローは桶狭間山を見上げるのだった。

その山の向こう側には今川義元が本陣を構えていた。

「あれを殺ったら・・・勝ちなのか」とサブロー。

「しかし・・・どこに義元がいるのか」と恒興。

そこへ村長とお春がやってくる。

「命を助けて下さった御礼に・・・義元の居場所を突き止め合図しまする」

「やった」

お春は今川本陣に祝勝の舞いを届けるのだった。

「お春・・・いいのか・・・バレたら命がないぞ」

「なんだか・・・あの人・・・ほっとけなくて・・・」

「ああ・・・お春は・・・うつけ好きだから・・・」

宵闇の中、義元の目前でお春と村娘たちは踊りつつ・・・魔法のリュックから取り出した花火を打ち上げる。

「敵は今川義元ただ一人・・・」

織田勢は突入した。

「やりました・・・」

「義元の首とりました・・・」

「首をお披露目しろ」

もちろん・・・サブローは生首を見て嘔吐した・・・。

こうして・・・織田信長は今川義元を桶狭間にて打ち破ったのである。

勝利にわく織田陣営である。

「俺・・・お百姓さんが安心して米が作れる世の中にするよ」

「・・・」

「戦争だって・・・生きるためには必要なことだって分かったから」

「せんそう・・・」

とにかく・・・史実との関連は薄いけれど・・・サクサク進むサブローの戦国絵巻なのである。

そして・・・今も昔も・・・女性の一部は・・・優しくって凄くバカに弱いらしい。

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2014年10月28日 (火)

さながらブラックバーン校長のように「Go」と言いました(満島ひかり)

蜂矢りさ(満島ひかり)の仇名「りさ・ブラックタイガー」が・・・リサ・ステッグマイヤーに由来しているのは確実だが・・・そのキャラクター造形は朝ドラの「花子とアン」の影響下にあるらしい。

つまり、「Go to bed!」のブラックバーン校長である。

今回、りさが「Go back to your classroom!」と叫んだのがその証拠である。

コネタも手がこんでまいりました。

つまり、「花子とアン」とは・・・このコネタのためにのみ存在したのである。

それは違うと思うぞ。

で、『ごめんね青春!・第3回』(TBSテレビ20141026PM9~)脚本・宮藤官九郎、演出・山室大輔を見た。視聴率が10.1%↘*7.7%↘*6.7%である。日本シリーズなんてどうでもいいのにな。これが日本だ。ボクのふるさとだ。信じて愛していたい。ここはボクのふるさとだという気持ちになりますね。東海地震に関連する調査情報(現在のところ、東海地震に直ちに結びつくとみられる変化は観測していません)を気象庁が発表した27日の東京は怪しい雲行きで15時38分茨城県南部で震度3の揺れを観測した時には少し揺れました。国内でのエボラ発生疑惑にも少し揺れますね。そして堀越出身の原エレナ(中村静香)の胸は清々しく揺れます。

男と女は基本的にふしだらなものである。

男尊女卑の世界では・・・その原因は女に求められるのが普通である。

つまり、ふしだらな女がいけないのである。

そういう風潮を面白がると同時に・・・事の本質に迫っていくドラマだ。

たとえば・・・マザコン男というものがある。

このドラマの主人公・駒形大学付属三島高校3年3組担任の原平助(錦戸亮)はおそらくマザコン男だろう。

禅僧・道元の開いた曹洞宗の末寺・永楽寺の住職・原平太(風間杜夫)の息子でありながらウィキペディアに男だったと書いてある観音菩薩を亡き母・原みゆき(森下愛子)を重ねて恋慕している輩である。

だが・・・そもそも男をマザコンにするのは母親がふしだらだからである。

いつまでも童貞の息子を案じた平助が「お前もそろそろ彼女の一人でも作ったらどうだ」と水を向ければ外面如菩薩内心如夜叉で・・・観音様は「私の息子は一生私のもの」的なふしだらさをさらけだすのである。

平助の母恋しの想念(妄想)が平太の感覚を狂わす超現実的展開である。

この辺りのネタは・・・完全にお茶の間向けではないような気がする。

ある意味、女にそれを言ったらおしまいよ・・・的なネタだからな。

とにかく・・・この世のふしだらな事の原因はすべて・・・女にあるわけである。

お前が打ち首になるわっ。

そういうこの世の真実を知らない平助は・・・女性に漠然とした憧れを感じるというのが主題なんだな。

高校時代に女性というものを知らず・・・初恋の女性・蜂矢祐子(波瑠)の唇を親友の蔦谷サトシ(永山絢斗)に奪われ・・・逆上して校舎に放火し・・・三女の礼拝堂を全焼させ・・・祐子とサトシに放火犯人の濡れ衣を着せ・・・二人を高校中退に追い込んで・・・それを今も黙っている平助の前に平然と姿を現す平助。

消息不明だったにも関わらず、サトシはずっと三島在住で・・・熱海、湯河原、沼津、下田(以上静岡県)の職場を転々して箱根(神奈川県)に至り、一年前にバイクの事故で骨折してスナック「ガールズバー」の従業員となったのだった。

「カールズバー」は平助の行きつけの店である。

どうやれば今の今まで二人が再会しないですんだのか摩訶不思議なのである。

だが・・・クドカンワールドでは日常茶飯事と言える。

ここでニヤリとするか・・・なんじゃそりゃあと怒りだすかが感性の分岐点なんだな。

さて・・・一部お茶の間の愛好家はお気づきだろうが・・・サトシは「魔性の男」である。

魔性の男とは・・・つまり、ふしだらであることを隠して慎み深く生きている「女」の本質を引き出すタイプなのである。

多くの男性はこういうタイプの男に痛い目に遭うのが人生なのである。

好きで好きでたまらない女をひょいとかっさらった上でポイ捨てするタイプである。

「魔性の男」の本質は・・・選り好みをしないということに尽きる。

その証拠に・・・ガールズバーのママ(植木夏十)とも「そういうんじゃないそういう関係」だし、祐子の妹・りさにも軽く「運命」を感じちゃうのである。

そして・・・明らかにりさも・・・魔性の男によって女のふしだらさを引き出され始めているのだった。

ちなみに・・・平助はこの期に及んでも・・・祐子は「本当は自分のことが好きだったのではないか」というはかない希望に萌えています。

そして・・・「魔性の男」が語る・・・あの日の祐子はさながら悲劇のヒロインで・・・校舎が一つになれば合併するしかない・・・そうすればずっと一緒にいられるのにと計画的犯行に至ったと推測できるので・・・事情聴取で警察に話した・・・悪い噂の本人発信的顛末・・・。

そして・・・平助が告白する前から交際していた宣言。

平助が祐子を花火に誘った前日に祐子から花火に誘われていた告白である。

「許してくれ・・・あの夜、俺は祐子とキスをしちゃった」

古傷をえぐりこむように打つべしである。

本当は・・・「俺が二人を追い込んだ張本人」と告白したい平助だったが・・・相手が軽すぎて言葉にならないのだった。

それに・・・平助としてもサトシはどうでもいいのである・・・祐子に謝って・・・できれば愛してもらいたいのだ。

男は平気でそういう夢を見る生き物だからである。

さて・・・妄想の観音菩薩は禅僧・道元の「一切我今皆懺悔」で平助の心境を語る。つまり「己の過ちをすべて御仏に懺悔したい」ということである。

洋の東西を問わず・・・弱き人間は・・・心の憂さを絶対者に帰依することで晴らすのである。

仏に縋って己の過ちを懺悔するのも・・・神に頼って己の罪を告解するのも・・・システムとしては同じなのである。

このシステムによって宗教者は信者の秘密を握って絶対的権力者になっていくわけである。

支配されても気が楽な方がいいのが人間というものなんだな。

一方でサトシはこのようなシステムとは無縁なのだ。最初から最後までお気楽だからである。

つまり「魔性の男」なのである。

もちろん・・・人間はないものねだりなので・・・平助はサトシに憧れます。

「憎みきれないろくでなし」という奴ですな。

さて・・・そういう平助のプライベートはさておき・・・駒形大学付属三島高校3年3組と聖三島女学院3年C組の実験的男女半数入れ替えは・・・「合同文化祭」へと駒を進めかかる。

しかし・・・三女校長の吉井良江(斉藤由貴)は・・・「伝統の維持」と「現実的対応」の間で葛藤を続け・・・「学力テスト」で成績向上できなければ実験中止という無理難題を言い出すのだった。

おそらく・・・この校長は最終的にはもっともふしだらな女になるのではないかと推測する。

なにしろ・・・根がスケバン刑事だ。

聖三島女学院の女子生徒たちは・・・基本・偏差値が高いので問題ないのだが・・・駒形大学付属三島高校3年3組は目標が学年首位である・・・聖三島女学院3年C組が最下位を脱出するのは至難の技なのである。

そもそも・・・学力別クラス編成で最下位のCなのである。そこにエスカレーターに胡坐をかいた大学付属のバカが加わるのだ。

一種の無理ゲーである。

追い詰められた平助は・・・秀才の兄・一平(えなりかずき)に・・・頼り・・・強化合宿を開催するのだった。

そして・・・なんだかんだ平助が可愛い平太は・・・一平の嫁・エレナを使い・・・「70点以上なら乳をもませる密約」を男子たちに提示する。

やはり、世界の基本は「おっぱいバレー」なんだな。

どんな基本だよ。

おっぱいさえもめたら戦争はなくなるという・・・。

男の子たちは・・・生まれて初めて一生懸命勉強したのです。

この間・・・駆け落ち事件のペナルティーでトン高3年3組(実験クラス)に転入したふしだらナンバーワンの「あまりん」こと阿部あまり(森川葵)はナイスボディーの男子生徒会長・半田豪に気持ちが移り・・・三宮校長(生瀬勝久)がパーソナリティの三島のミニFM局の番組「カバヤキ三太郎のごめんね青春!」で罪を告白。

「ごめんね、海老沢くん」と一部リスナーに海老沢ゆずる(重岡大毅)の処刑を公開する。

コスメことウサギ人形愛好家の理事長の息子・村井(小関裕太)は乙女の恥じらいで半田との入浴を拒否。

相変わらずなりすましている養護教諭のドンマイ淡島舞(坂井真紀)はあまりんの乗り換えを察知。

聖職者の紛争でわいせつ行為をする「三島のザビエル」(今野浩喜)が出没。(後に三女に侵入、トンコー男子によって圧殺される)

あまりんとりさの差し入れが「三島コロッケ」かぶり。

体育教師の富永(富澤たけし)がケガをしたために・・・タレガッパ平助がバスケットボールで一瞬、見た目バカ丸出しだが早稲田文学部合格圏内の神保愛(川栄李奈)と成績が学年トップクラスで生徒会長の中井貴子(黒島結菜)の心を奪いかける。

もちろん・・・タレガッパもまた・・・やればできるのにやらなかった人生を送っているのである。

りさは・・・平助と男子高校生たちの情熱を見直す一方で・・・明らかにサトシに傾斜。

もちろん・・・姉の事件で凄惨ないじめを受けていたので・・・復讐目的の目もあるが・・・基本・・・「ふしだらな女」がテーマだからな。

そして・・・サンダル(トリンドル玲奈)はサル(矢本悠馬)にカンニングを許容するほど急接近である。サンダルから「んだ」(肯定)を抜いたらサルだからな。

とにかく・・・内容が・・・濃いよね。

しかし・・・十日間漬けで成功したらハイジの声優は商売あがったりなのである。

試験中にあまりの自身の勉強できなさに号泣する男子たちだった。

駒形大学付属三島高校3年3組は学年首位を達成したが・・・聖三島女学院3年C組は最下位脱出不可だった。

こうして・・・実験は中止に・・・。

平助は・・・「女子は男尊女卑の文化の中で好となった・・・しかし・・・男子は男子だ・・・男女平等の世の中なら・・・どうあるへきか」

「高校教師」のフラグが立つ中井は真摯に考え結論を下す。

そして・・・生徒たちは反逆するのだった。

実験の続行の自主的判断に基づく・・・不登校的登校である。

女のふしだらさを隠すことにこだわるスケバン校長は真意を問う。

「男子と接し・・・男子のバカさの中に可愛さを見出すことができました・・・つまり・・・男子は好ましい存在と言うよりは・・・ありかなしかで問われた場合にありと答えるしかない存在だっとわかったのです」

生徒会長のストレートな意見に反駁の余地はないのだった。

こうして・・・平助は母親以外の女子に助けられる味を知ったのである。

そんな・・・歓喜の中・・・スナック「ガールズバー」では・・・。

サトシを追って・・・りさと祐子の父・蜂矢善人(平田満)が登場。

魔性の男を間に挟み・・・運命の再会である。

「銀ちゃん・・・」

「ヤス・・・」

あれは二月の寒い夜やっと十四になった頃

窓にちらちら雪が降り部屋はひえびえ暗かった

ざんげの値打ちもないけれど

私は抱かれてみたかった

選曲ミスじゃないのか・・・。

だってふしだらな女のテーマといえばこれじゃないですか。

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2014年10月27日 (月)

孫子・虚実篇に曰く、夫兵形象水・・・と軍師黒田如水(岡田准一)

今回、軍師官兵衛のセリフは司馬遼太郎の小説「播磨灘物語」丸出しである。

しかも・・・官兵衛のセリフではなく・・・司馬氏の解釈による地の文の「セリフ」化である。

つまり・・・史実とは全く無関係であるばかりか・・・官兵衛のセリフではなく、司馬氏のセリフなのである。

バカなのか。

軍師としての官兵衛の述べる「水」とは「兵」つまり「戦争」の本質を述べるものだ。

孫子の虚実篇が語る「戦争の本質」とは「水」のようなものであるという論から・・・戦に生死を賭けた官兵衛は自らを「戦」すなわち「水」だと名乗ったのである。

「戦争の本質とは水のようなものである。水は高きところから低きところへと流れる。戦争も強いものが弱いものを攻めることに尽きる。水が地形によって流れるように戦争も敵の強弱によって勝敗が決する。戦争が水のようなものである以上、戦争には定石というものはない。臨機応変に敵の強きを避け、弱きを衝く。これが唯一の必勝法である」

強きに逆らわず弱きを打つ。身もふたもない非情の論理が・・・如水には込められている。

で、『軍師官兵衛・第43回』(NHK総合20141026PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は微増の30行。シナリオ的な危機は脱しましたが・・・基本的に苦言ですよね。まあ、三成を演じるあらかじめ死を感じさせたら天下一の田中圭の顔芸は一見の価値ありですが・・・頭を丸めて土下座で命乞いの元祖のように描かれる主人公・・・ハゲ落ちって・・・「ハッピーフライト」かっ・・・でございますよねえ。とにかく・・・秀吉も妻子も侍女も笑った軍師官兵衛・剃髪後のイラスト大公開でお得でございます。まあ・・・黒田如水の方が知名度は高かった傾向が・・・軍師官兵衛によって逆転するわけでございますね。主人公の本名の孝高についてはほとんど告知せずって凄いですよねえ。織田信長がずっと織田上総介で通してるみたいな・・・。まあ・・・作劇なので・・・仕方ないのですが・・・「軍監帰国騒動」は基本的には総司令官(秀吉)と現地司令官(孝高)の戦略方針の齟齬に尽きるのですな。「ここは攻めて攻めて攻めまくる手じゃ」「いや、いったん退いて様子見です」「なんだとう」「アホですか」「こなくそ」「やってられっか」みたいな・・・。そして官兵衛は現地に残る息子に文をしたためる。「ベンチがアホやから試合にならんぞな・・・頭にきたから坊主になっちゃった・・・おえりゃせんのう」なのでございます。とにかく・・・茶々(二階堂ふみ)は最高ですな。

Kan043文禄二年(1593年)正月、前天皇である正親町天皇が崩御。殯(もがり)の期間に鹿狩りをしたという噂で豊臣秀次は殺生関白という影口をたたかれる。明国司令官の李将軍が平壌を防衛する小西行長軍を攻める。明軍は重火器で武装したおよそ四万。小西軍は一万五千。大砲はないが鉄砲の数は明軍を上回っており、篭城戦は充分可能だったが・・・包囲を恐れた小西軍は退却を選択。追撃戦で小西軍は大打撃を受け敗走。退路にあたる龍泉山城の黒田長政は小西軍を収容しきれずに漢城への撤退を決意する。明軍は漢城への進路にある開城に進出。月末に漢城攻略戦に突入する。宇喜多秀家は四万で迎撃。激戦の末に銃撃戦力で上回る宇喜多軍が勝利し、敗走した明軍は平壌まで撤退する。二月は平壌と漢城の中間での押し合いとなる。三月、明軍は宇喜多軍の兵糧貯蔵庫の焼き打ちに成功し、双方が兵糧不足となる。両軍は停戦交渉を開始し、双方が一時停戦に合意する。石田三成と小西行長は合戦における失敗を糊塗するために秀吉に勝利を報告する。朝鮮半島は北に明軍、南に秀吉軍が対峙する状態で七月、休戦状態となる。八月、茶々が秀吉の三男(豊臣秀頼)を出産。秀吉は外征の休戦期間に・・・後継者問題への対処を余儀なくされる。十月に太閤秀吉の嫡子と関白秀次の娘の婚約が成立。二年足らずの緊張関係の後、文禄四年七月、秀吉は秀次に謀反の疑いをかけ、高野山に追放する。

大阪城の石田屋敷の奥の間。

男と男の官能の宴を過ごした三十五才の石田三成と二十八才の真田幸村は息を整えていた。

男色の道も極めた信長と違い、秀吉は衆道嫌いである。

そのために石田三成はその筋の関係を隠していた。

真田幸村は優れたくのいちの術の使い手であった。

幸村が真田家の人質として大阪城にあったことから・・・二人の関係は発展したのだった。

幸村は男でもあり女でもあるという妖しい魅力で・・・三成の心を捉えていた。

性的に満足した二人は・・・趣味の陰謀に走りはじめる。

「石田様・・・御存じかな」

「何をじゃ・・・」

「関白秀次様が・・・唐入りから帰国した武将を続々と聚楽第に呼んで・・・現地の事情聴取をしているそうだ」

「ほう・・・」

「そこでは・・・小西様の大敗走や・・・石田様の兵糧大損失の話が実しやかに語られているそうな」

「それはそれは・・・」

石田三成の顔に凄惨な笑みが浮かぶ。

「そのような根も葉もない噂に・・・石田様は動じられまいが・・・関白様は・・・近く、太閤様にそういう話をまとめて告げるつもりだそうな」

「ふっ・・・」

「いかがなさる」

「しれたことを・・・陥れられる前に陥れる・・・これに限るじゃろう・・・」

「御意・・・」

「関白様にはすでに・・・謀反をしていただく準備が整っておるわ・・・」

「さすがでございますなあ」

「連座して・・・やり玉にあがるものが・・・また大金を運んでくるにちがいなし」

「ふふふ・・・謀反発覚で大儲けでございますな」

「細工は流々、仕上げをご覧じろよ」

陰謀の暗い香りに着火して・・・再び官能の宴に舞い戻る男と男である。

文禄四年の春が終ろうとしていた。

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2014年10月26日 (日)

目を閉じてごらんと言っても閉じてもらえないのが人生だ(丸山隆平)

ボーイズ・オン・ザ・ラン」や「泣くな、はらちゃん」でもてない男としての異常な存在感を醸しだす丸山隆平。

このドラマでも・・・男性アイドルとしては・・・残念な感じを遺憾なく発揮しているのだった。

原作は・・・主人公的な二枚目キャラでありながら・・・女性にあまりもてるとは言い難い感じになっているので原作通りなのである。

そもそも・・・原作のクラスの子供たちは全員小学生である。

もてもてでは危険な香りがするわけである。

なんてったって原作は要するに「ゲゲゲの鬼太郎」+「ハレンチ学園」なのである。

屈指の「ハレンチ度高し」では覇鬼の妹・眠鬼のエピソードが挙げられる。

覇鬼の復讐戦に臨むために地上に出た美少女鬼の眠鬼。

いきなり、鬼のパンツを落してしまい・・・下半身露出で登場である。

もう・・・完全にテレビドラマ化不可能と言える。

そもそも・・・鬼のパンツは霊能力の高い人体を素材にして編まれている。

そして・・・鬼の妖力の制御装置なのである。

鬼のパンツを失った眠鬼は妖力を制御できずにぬ~べ~と戦うことができない。

腹いせに・・・すべての人間を脱衣させる呪いをかける。

ぬ~べ~始め・・・クラスメート全員が全裸である。

もう・・・完全にテレビドラマ化不可能と言える。

さらに・・・男子児童は・・・妖力で人体を解かれてパンツ化されてしまうのだった。

パンツ化されたまま放置されると・・・人間性が崩壊してしまう。

それを防ぐには女子児童に履いてもらってぬくもりを感じるしかない。

そこで女子たちはパンツ化された男子を履く。

女子に履かれたパンツ化された男子たちはものすごくエロうれしいのだった。

パンツ化された男子たちの興奮に女子たちは赤面である。

人間に戻った後もパンツだった頃を懐かしむ男子たち・・・。

もう・・・完全にテレビドラマ化不可能と言える。

やれるものならやってみろと言いたい今日この頃なのだ。

こういう素晴らしい発想力に眉をひそめる大人にだけはなりたくないものだなあ。

・・・なろうとしてもなれないから大丈夫だよ。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第3回』(日本テレビ20141025PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・佐藤友治、演出・池田健司。脚本・演出のマイナー・チェンジでより幼稚度の増した展開だがこれはこれで味があるのである。鬼の手を持っている先生と生徒が仲良くできるかという話なのである。もちろん・・・小学生という児童には説明不要のことも・・・高校生という生徒にはある程度説明する必要が生じるのが常識的だが・・・もはやゆとりが常態化した世界では・・・高校生もあるがままになんとなく受け入れてしまう時代なのかもしれない。そこが一番恐ろしいポイントである。日本は本当に大丈夫なのかっ。

今回の妖怪は・・・影愚痴・・・古くから人の悪意を食って生きて来た妖怪だが、素晴らしいインターネットの世界の発達により・・・獰猛な感じに変化したのである。

目立ちたがり屋の人間に憑依して・・・最終的には公開自殺に追い込むというたちの悪い妖怪である。

シリアスなホラーの演出なら・・・何人かの犠牲者の死体を見せていくところだが・・・ここでは・・・影愚痴に憑依された人間をお金しか信じない霊能力者・無限界時空(高橋英樹)が除霊によって救済するところから始る。

フリとしては弱いが・・・小学生の飛び降り自殺を映像化してはいけない時代なのである。

無限界時空は・・・ついにぬ~べ~(丸山隆平)とご対面である。

「妖怪が・・・お前の学校に逃げ込んだかもしれぬ」

どう考えても真摯な警告であるが・・・金目当ての霊能力者を蔑んでいるぬ~べ~は聞き流す。

ぬ~べ~の現在の関心は・・・故障中の女子トイレに巣食う妖怪に寄せられているのだった。

「開かない~」という女性の声に思わずトイレを開くと・・・いたのはトイレの花子さん(高橋真麻)だった・・・。

父娘の豪華共演である。

まあ・・・妖怪メイクなので一見では誰だかわからない人もいるというのがネックだな。

キッドもしばらく・・・「うわあ・・・凄くよく見かける人だけど誰だっけ」と悶々とした。

強制成仏を仕掛けるぬ~べ~だが・・・トイレの花子さんの憐れに負けるのだった。

人畜無害と見て野放しである。

一方・・・影愚痴が目をつけたのは・・・自己顕示に夢中の童守高校 2年III組の生徒・細川美樹(佐野ひなこ)だった。

「私は可愛いし、胸も大きいのでもっと注目されていいはず」と考えた美樹は素晴らしいインターネットの世界でそれなりにファンを掴んでいる修行中のイタコ・葉月いずな(山本美月)に弟子入りする。

いずなと美樹は注目を集めるために素晴らしいインターネットの世界にアップするコスプレ動画を童守寺和尚(マキタスポーツ)に撮影してもらう。

・・・何してんだ・・・。

自分のSNSのサイトに集客するために・・・面白映像を求めて街を徘徊する美樹は・・・冷凍弁当をぬ~べ~に渡す押し掛け女房的雪女のゆきめ(知英)とのツーショットも入手する。

美樹が公開した画像によって生徒たちに冷やかされ困惑するぬ~べ~だった。

やがて・・・スキャンダルなネタを捜すことに夢中になった美樹は影愚痴のターゲットとなる。

化学教師・高橋律子(桐谷美玲)は生徒のサイトをチェックしてぬ~べ~に警告する。

しかし・・・律子に夢中のぬ~べ~は律子のサイトに熱中するだけなのだった。

律子のサイトの画像を印刷しポスター化する始末である。

影愚痴は・・・油すましじゃなくてなりすましの能力で・・・美樹のようなものとなる。

そして・・・律子の写真にキスしかかるぬ~べ~・・・巨乳増量パットを外す稲葉郷子(松井愛莉)・・・チューチュータオルをチューチューしないと眠れない立野広(中川大志)・・・というような恥ずかしい動画を入手し・・・美樹のサイトにアップしてしまう。

朝、登校してきたぬ~べ~は律子の鉄拳制裁を受ける。

「私に何しようとしてくれちゃってるんですか」

教室ではプライベート公開の被害にあった生徒たちが・・・美樹を糾弾しているのだ。

普通に考えれば・・・そんな動画を一般人がおいそれと撮影できないことは想像に難くないのだが・・・美樹は濡れ衣で窮地に立たされる。

ぬ~べ~も律子先生に叱られたショックで美樹の主張に耳を貸さない。

ちなみに・・・地獄での鬼と亡霊の対話は・・・マギー的要素もなくなり・・・単なる一般論と化したので割愛させていただきます。

美樹は逃げ込んだトイレで花子さんと遭遇し、悲鳴を上げて教室に戻るが・・・生徒たちの対応は冷たいのだった。

しかし・・・すでに妖怪に二度も遭遇している中島法子(水谷果穂)と栗田まこと(知念侑李)はようやく不審を感じる。

ぬ~べ~の正体を知る郷子と広を加えた四人はトイレの花子さんを確認し・・・美樹が嘘をついていなかったことを知る。

その頃・・・美樹は影愚痴に操られ・・・屋上から投身自殺をさせられそうになっていた。

美樹のサイトには「自殺予告」がアップされる。

「いやだ・・・死にたくない」

「何言ってる・・・これは最高に注目を集めるぞ」

「そんな・・・死んで注目されたって・・・」

「注目されなきゃ・・・死んだも同じなんだろう・・・」

美樹の足が柵もない屋上の淵にかかった時・・・ようやく教師としての立場に目覚めたぬ~べ~が駆けつける。

影愚痴の本体は長い舌とたくさんの眼を持つ巨体である。

かけつけた生徒たちの前で鬼の手を披露することをためらうぬ~べ~。

しかし・・・美樹に危機が迫る。

ついに・・・クラスの生徒全員の前で鬼の手による強制成仏に踏み切るぬ~べ~。

生徒たちはぬ~べ~に恐怖するのだった。

「人間なんて・・・自分とはちょっと違うものを嫌悪し、排除しようとする冷たい生き物ですよ」

実は妖狐である玉藻京介(速水もこみち)はぬ~べ~を慰める。

打ちひしがれたぬ~べ~は学校を欠勤。

「どうしちゃったのかしら」と律子は案じるのだった。

四人の生徒たちは・・・クラスメイトを説得する。

「ぬ~べ~はバカで鬼の手だけど・・・妖怪から僕たちを守ってくれたんだ」

「つまり・・・いい妖怪なのか」

「いや・・・妖怪人間だ」

「それは・・・ちょっと・・・」

「わかった」

ついに立ち上がる美樹だった。

美樹のサイトのファン(フォロワー)であるコスプレ動画愛好家によってたそがれていたぬ~べ~は捕獲されるのだった。

「助けてくれてありがとう・・・でも先生が学校さぼっちゃダメだよ」

美樹の笑顔に励まされ・・・ぬ~べ~は教壇に立つのだった。

ついでに・・・空飛ぶ雪女の存在も受け入れる生徒一同だった。

そして・・・ようやく・・・生徒公認の鬼の手教師誕生なのである。

眼を閉じてと言っても無視されて・・・を三回以上、繰り返されても困るからな。

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2014年10月25日 (土)

クリスマス殺人事件か・・・ジングルベルを聞きながらまた誰かが(小西真奈美)

中国では独裁者によって「法治国家」が叫ばれているという。

しかし、自分で自分の首をしめるのは難しいことなのである。

独裁政権が人民に自由を与えることなど未来永劫できない相談なのだ。

一般的に司法と行政が分離するのがいかに困難なことか・・・。

サービスしていいことと悪いことの区別がいかに難しいことか。

正妻を追い出して愛人と暮らす男に法的制裁がないことに驚きを禁じえないわけだが・・・正妻が出るとこ出ないことにはどうしようもないのである。

司法と行政が癒着して・・・権力者に支配されたら・・・「愚かで弱いもの」には何の権利もないのである。

人と人をつなぐ愛憎の絆・・・。

美しい景色の中で醜い人間の暮らしが今日も綴られる。

で、『Nのために・第2回』(TBSテレビ20141024PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・塚原あゆ子を見た。権力の世襲が続けば・・・そこに腐敗が生まれる。しかし、平和共存の絆も生まれるのである。支配者は支配する世界を運営する責任を持つ。しかし、それが支配されるものの幸福につながるとは限らない。支配者に反逆するためには銃をとって立ち上がる必要がある。いやいや・・・法治国家ではまず裁判所に訴えるべきだろうと言うものがあるかもしれない。しかし・・・支配者が司法や行政も支配している場合、それは寝言なのである。娘を酔っ払いドライバーに引き殺された父親が私的に動かなければ無難な決着を目指す・・・それが役人というものなのだ。警察官も火の粉が自分にふりかからなければ様子見をやめないのである。

【2014年】香川県青景島の駐在だった高野茂(三浦友和)は・・・14年前に発生したある事件の時効を目前にしていた。高野はその未解決事件に病的な執念を持っている。そのために・・・事件に関わった人間のその後を追跡しているのだった。彼らは・・・その後も別の事件に関わっていた。手掛かりを得るために・・・別の事件にも足をつっこむ高野だった。

そんな高野に第二の事件の関係者である西崎真人(小出恵介)は問いかける。

「あんたには・・・その女がいなけれりゃ・・・世界が無意味になるような・・・女がいるか。俺にとって・・・あの人がそうだったんだ。あの人が殺されて・・・殺された奴を殺した・・・それだけだよ・・・罪を償って出所した俺にはもう・・・誰かに何かを言われる理由はない」

「そんなはずはないはずだ」

高野の表情には狂気が滲み出る。

「あんたは・・・きっと・・・誰かをかばってる」

その頃・・・高野が追いかける犯人候補の一人・・・香川県青景島出身の杉下希美(榮倉奈々)は・・・洗練されたオフィスでそれなりの地位につき・・・淡々と業務をこなしている。しかし、そのスケジュール帳には西崎の出所の日が記されていた。

【2004年】クリスマスで賑わう東京。高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階では大手商社に勤務するエリートビジネスマンの野口貴弘(徳井義実)が不倫した妻の奈央子(小西真奈美)を殺害し、奈央子の愛人の大学生・西崎真人が貴弘を殺害した。

現場には・・・貴弘の部下である安藤望(賀来賢人)・・・。

そして・・・大学生だった杉下希美・・・。

さらに・・・希美の幼馴染の成瀬慎司(窪田正孝)が居合わせていた。

【2000年】島で一番の権力者である杉下晋(光石研)が愛人の宮本由妃(柴本幸)を自宅に住まわせ、正妻の早苗(山本未來)と子供たちを追い出してから一年が過ぎ去ろうとしていた。希美の弟・洋介(葉山奨之)は本土の高校に進学し・・・音信不通である。美しいが少し知能の不足している母親を抱え・・・希美は悪夢のような日常になんとか順応していた。

女性に高等教育は必要ないという男尊女卑の信念を持つ晋は希美の大学進学への援助を拒否したために・・・希美は新聞配達で進学資金を稼ぎ、自立しようとしていた。

そんな希美を影から支えるのが・・・慎司である。

慎司は島で一番の料亭「さざなみ」の一人息子である。

島一番のお嬢様であった頃の希美にとって・・・客として訪れる店の子供は・・・主従関係で言う従者であることは言うまでもない。

しかし、お嬢様の立場を失っても慎司との間には漠然とした主従関係があった。

もちろん・・・慎司は従者としてお嬢様を愛していたが・・・身分の差が障害となってそれを口にすることができない。

一方、阿漕な父親とダメな母親の両方の血が流れる希美は苦境からの脱出に集中しているために・・・恋どころの騒ぎではないのだった。

だが・・・二人は野望ごっこの仲間でもあった。瀬戸内海の海岸で・・・辛い日常を野望の応酬で紛らわせるのである。

「新しい野望はないの・・・」

「これはおばあちゃんの口癖だったんだけど・・・結婚相手より一日でも長生きしろって」

遠回しにプロポーズする慎司だった。

しかし・・・両親が凄いことになっている希美には心が荒む野望だった。

それをなんとか自制して・・・飲み込む希美。

従者の失言を軽くスルーするのが主人としてのマナーなのである。

「いいね・・・新しい野望に加えよう・・・だけど・・・私や慎司が誰かと結婚することなんてあるのかなあ・・・」

自分と慎司が結婚相手になるとは夢にも思えない希美。

慎司は希美の手を握りたかったが従者なので無理なのである。

そんな希美を本土へのデートに誘いだす慎司だった。

奨学金を受けようとする希美だったが・・・娘の進学を望まない父親が高額所得者であることがネックだったのである。

本土で東京進学のための資料を検出した二人は残された時間で「かき揚げうどん」を食べる。

「香川県だからね」

「香川県だもんね」

つかのまの幸福な時間。

疲れた希美は従者の肩に持たれて眠る。

主人による肩枕させてあげるサービスだった。

従者は狂喜した。

しかし・・・島に戻った希美は狂った母親がカードでものすごい浪費をしていることを発見する。

「希美ちゃん・・・怒らないでね」

「お母さん・・・カードはどこ」

「怒らないで・・・これは生きていくために大切なことなの」

家探しをした希美はカードを発見し、燃やすのだった。

「ごめんね・・・だめだって・・・お母さんにもわかってるけど・・・やはり・・・私、あの家に帰る」

狂乱した母親を宥めるしかない希美だった。

購入した商品は返品できず・・・せっかく貯蓄した学資は泡と消えるのだった。

なんとか・・・援助を乞うために生まれた家を訪ねる希美。

「まあ・・・大変ね・・・お母さん大丈夫・・・夜中中泣きわめいて・・・大変だって噂になってるらしいけど」と父親の愛人。

父親は・・・。

「お前・・・大学に進学する気らしいな。いいぞ・・・母親を捨てて自分のことだけ考える・・・そういう奴が俺は好きだな。しかし・・・金は出さん。この女を見ろ。島の人間はみんなこの女が金目当てで俺とつきあってると思ってる。だけどな・・・この女はすげえ金持ちなんだよ。何件も店を持っているんだ。この女は好きで俺と一緒にいるんだ。こいつはな・・・中卒なんだよ。金を稼ぐのに大学なんか行く必要はない」

「建築関係の大学に進んで・・・家の仕事を手伝おうかと・・・」

「ハハハ・・・心にもないことを言うようになったな・・・いいぞ・・・お前がただここから逃げ出したいだけなのはわかってる・・・そうしたけりゃ・・・自分でなんとかしろよ・・・ヒヒヒ」

希美の中に憤怒、絶望、悲哀が入り混じる。

それは・・・高校の慎司の後ろの席でシャープペンのノックの音に変わるのだった。

「タ・ス・ケ・テ」

カチ・カチ・カチ・カチ・・・。

「それは・・・どういう意味・・・」

しかし・・・希美は答えない。

慎司は友人に問う・・・四文字ってなんだ。

「ダイスキじやねえの」

自暴自棄になった希美は・・・オイルを購入するのだった。

夜更けに生まれた家に放火しようとする希美。

しかし・・・慎司はそれを探知していた。

「やめてください」

「とめないで・・・」

「だめだよ・・・」

「こんな家・・・戻れないなら・・・ない方がいい」

「だからといって・・・こんなことしたって」

「あなたには・・・私の気持ちなんか・・・分らない」

「わかるさ・・・俺の家だって人手に渡るんだ」

「・・・」

「わかった・・・俺が火をつける」

「え」

「君を犯罪者にするくらいなら・・・俺がなる」

「わかった・・・もうやめて」

泣き崩れる希美。

その背中に手を伸ばすが・・・従者なので無理なのである。

「さざなみ」が経営不振に陥り・・・他人に頭を下げないことがポリシーの夫・周平(モロ師岡)に代わり奔走した慎司の母親・瑞穂(美保純)が疲れ果て離婚を決意していた。

母親が島を出て行った日・・・人手に渡る店の中で一人になった慎司は・・・希美からとりあげたオイルに手を伸ばす。

父親は買い物に行くと言って家を出た。

放火の場面はない。

可能性としては・・・放火は何故か火にまかれた父親にも為し得る。

しかし・・・「さざなみ」の火災を目撃した希美は・・・慎司の仕業だと思いこんだようだ。

その時・・・慎司と一緒にいたと駐在の高野たちに偽証をする希美。

希美は慎司に「ありがとう」と囁くのだった。

この時・・・慎司は偽証をする希美に戸惑いを感じる。

もしも・・・慎司が放火犯人ではないとしたら・・・慎司は・・・希美を疑うことになるのだ。

真犯人を秘しお茶の間を惑わせながら・・・火事は鎮火する。

子供のない高野の妻・夏恵(原日出子)は・・・火の中に・・・我が子のような慎司がいるかもしれないと・・・あるいは慎司の父親と不適切な関係があった可能性もあるが・・・火中に飛び込み・・・。

生死の境を彷徨うのだった。

偽証がばれることを恐れる希美は・・・慎司に絶交を宣言する。

「いままで一緒におってくれてありがとう」

その希美の反応から・・・慎司が放火犯人だとしたら感謝を・・・放火犯でないとしたら疑念を抱くわけだが・・・真相は隠されるのだった。

「なんで・・・そんなこと言うん・・・」

とにかく・・・高野が・・・この事件の真相に拘る理由は・・・このあたりにあるのだろう。

もつれた糸は・・・さらにもつれていくからである

【2014年】高野の妻は生存していた。しかし・・・後遺症で声を失っていたのである。

高野が未だに事件の真相にこだわっていることを・・・何故か案ずる面持ちの妻の夏恵。

場合によっては・・・夏恵と周平は不倫関係にあったかもしれない。

ともかく・・・周平が慎司が捨てたオイルで焼身自殺していたとしたら・・・。

慎司がやったと思いこんでいる希美と・・・。

希美がやったかもしれないと疑う慎司で・・・最悪の展開ということになる。

ともかく・・・その謎を解くためには第二の事件の謎を解く必要があった。

高野は・・・貴弘が死んだために・・・出世街道を昇ったらしい・・・安藤望に面会するのだった。

「西崎はNのためにやった・・・って言ってるんですよ・・・それが亡くなった奈央子さんのことだと・・・」

「なるほど・・・僕にとってのNは・・・違いますけどね・・・」

「それは誰なんですか」

「杉下希美ですよ・・・好きだったんです」

「・・・」

希美は・・・望からのメールを受け取る。

(帰国した・・・会いたい)

そのメールを削除しようとした希美は追伸に同様する。

(高野って男が尋ねて来た)

希美は・・・突然、退職を決意するのだった。

「どうして・・・突然、そんなことを・・・」

経営者の桐野繭子(伊藤裕子)は戸惑う。

「二人で・・・二人三脚でやってきたのに・・・」

「すみません・・・」

どうやら・・・希美は・・・職を辞してでも高野には会いたくないらしい。

糸はかなり・・・もつれているのだった。

おっさん、もう、ほっといてやれよ・・・と誰もが思うのである。

そういう意味では「白夜行」・・・犯人が実は高野なら「流星の絆」だ・・・。

それはないんじゃないか。

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2014年10月24日 (金)

むふっ♥の嵐でお願いします。(綾瀬はるか)

ふっきれたのか・・・。

今回は抜群の仕上がりである。

よどみなく・・・三十路まで実戦経験のなかった女性の初々しさが描かれる・・・。

まあ・・・綾瀬はるかがやっているので・・・眼鏡をかけてようが・・・裸眼だろうが・・・満遍なく可愛いわけだが。

百聞は一見にしかずで・・・破瓜の痛みを知った女は・・・たちまち恋の病を発症するのだった。

戦い続ける人の気持ちを理解するためには戦い続けるしかないのだな。

高校時代の同級生が「セックスすれば治る」と宣っていたが・・・まさしく、セックスして治ってしまったんだな。

つまり、恋なんてどうせの病が治り、本格的に発病したわけである。

つまるところ・・・人の生涯は病んでいることばかりなのだ。

で、『きょうは会社休みます。・第2回』(日本テレビ20141022PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。昨日から少し、日本語の様子がおかしい気がする・・・いつもだろう・・・これはずっと接触不良のマウスをだましだまし使っていたのに・・・一昨日、ついに新調して・・・クリックがスムーズすぎて・・・落ちつかない気分になるからなのだろう・・・お前が一番、不安定だわ。私事で恐縮ですが・・・今回、ガラパゴス化した携帯電話を・・・意味なくふるふるしていた主人公に思わず心を奪われたのは一昨日まで断線しがちなマウスをキッドがふるふるし続けていたからなのだ・・・どうでもいいわっ。音信不通になっては復活するマウスを再認識し続けた愛機よ・・・不精な主人ですまない。

・・・もういいか。

処女喪失からの有給休暇消化からの出勤で・・・処女を捧げた九歳年下のアルバイト社員(大学生)の田之倉悠斗(福士蒼汰)が同じ職場にいる緊張感に窒息寸前になる帝江物産横浜支社食品部デザート原料課の青石花笑(綾瀬はるか)だった。

白衣なし、マスクなし、手袋なしで・・・会議室で食材の小分けをして日本中のデザート業者を痛撃する演出はさておき・・・密室(鍵はかかっていない)で田之倉と二人きりになった花笑は自意識過剰を絵に描くのだった。

「あの・・・」

「私語厳禁です」

「でも・・・職場以外では会えないので・・・」

「・・・あの・・・この間のこと(二人で過ごした夜のあれこれ)・・・」

「はい」

「会社のみんなには内緒にしてください」

「わかりました・・・じゃ・・・この間の返事・・・聞かせてください」

田之倉に交際申し込みを受けている花笑なのである。

「ほ、保留にしてください」

「じゃ・・・連絡先教えてくれますか」

「書き写したら・・・消去して」

連絡先をホワイトボードに綴る花笑。そんなことをしても業務にはならないわけだが。

うちわをうちわ業者に発注してもうちわではないという気分なのか。

「俺・・・思うんですけど・・・青石さん、俺のこと好きですよ」

一部、お茶の間では「むふっ♥」の嵐が吹き荒れるのだった。

とりみだし、会社の近所の書店に走り、関連書を漁る花笑・・・。

「なんだ・・・オレオモウンデスケドアオイシサンオレノコトスキデスヨってなんだよ・・・新手の催眠術か?」

そういう関連書がすぐに見つかる書店も書店である。

しかし・・・帰宅して父親・巌(浅野和之)と光代(高畑淳子)とテレビを見ながらビールを飲んでいた花笑に着信ありである。

(今・・・何してますか・・・僕はテレビを見ながらビールを飲んでます)

(私もビールを飲んでます)

(奇遇ですね)

それが奇遇かどうかはさておき・・・男性との何気ないメールのやりとりに有頂天になる花笑だった。

すべてが初体験なのだ。

一方、恋のアタッカー大川瞳(仲里依紗)は・ビル内の違うフロアにある食品輸入卸会社「サフィラストレーディング」のCEOである朝尾侑(玉木宏)に「交歓の宴」開催を申し込み、承諾を得るのだった。

「本日、業務終了後、パーティーです」

商売上のうまみを予感した立花課長(吹越満)は課員一同で朝尾の招待に応じるのである。

「君も来るかい?」

アルバイト社員の田之倉にも声をかける立花課長。

「いえ・・・僕は・・・今日はちょっと・・・」

欠席を告げる田之倉に・・・花笑は安堵すると同時に淋しさを感じるのだった。

社内での交歓会に・・・職場飲みの延長を想定していたデザート原料課一同は・・・同じビルにあるとは思えない「サフィラストレーディング」の洗練されたフロアに圧倒される。

しかも・・・パーティー会場は出張シェフによるバイキング料理が展開されていたのである。

持ちこんだ日本酒とビールを隠匿する原料課だった。

「乾杯」ではなく・・・イタリア式に「サルーテ(御身大切に)」する両社であった。

華やかなパーティー会場にたちまち違和感を感じる花笑は料理の背後で給仕人になりすます。

それを目ざとく見つける何故か花笑に関心を寄せるCEO・・・。

「CEOとチャオは似てないかい」

「何の話ですかっ」

「今日は・・・彼氏・・・来てないんだ」

「・・・」

「残念だな・・・いろいろと話を聞きたかったのに・・・」

「あの・・・どうか・・・御内密に・・・」

「おやおや・・・」

「警視庁特命係のような詮索はやめてください」

「アルバ・トレーディング」で扱うチーズに・・・輸入食品によるアレンジを提案する末端だけども商社マンな一同だった。

なんとなく業務提携の話はとんとん拍子に進行するが・・・なんとなく蚊帳の外の花笑である。

おそらく・・・花笑は営業力では期待されていない・・・事務のエキスパートというポジションなのだろう。

そのために・・・二次会をなんとなくパスしたい花笑・・・。

そこに・・・田之倉から・・・食事の誘いがかかるのだった。

一方、積極的にCEOにアタックする瞳だったが・・・強烈なブロックに遭う。

「君と交際する気はない」

「勝負はこれからですよ」

はねかえされたボールにくらいつく瞳である。

なぜ・・・バレーボールにたとえてるんだ。

おっぱいバレー的な感じです・・・ああ。

一方・・・花笑と田之倉はラーメンデートである。

「私のどこが・・・」と思わず質問する花笑。

「アルバイトの面接の時・・・緊張していた俺に・・・緊張しなくても大丈夫ですよって・・・すごく事務的に声をかけてくれたんです・・・そのクールさに・・・ときめきました」

「えええええ」

「ラーメン食べる時も眼鏡外さないんですか」

「見た目も重視なので」

「でも・・・眼鏡曇ってます」

「・・・」

ラーメン、餃子、ビール・・・二人で2350円。

しかし・・・会計の段になってサイフを忘れて来たことに気がつく田之倉。

支払いは花笑だった。

「今度の日曜日・・・どうでしょう」

「え」

「連れて行きたい店があるんです」

「予定を確かめないと・・・多分大丈夫」

日曜日に予定などない花笑だった。

「今度は僕が御馳走しますから・・・」

花笑はスケジュールに「田之倉と食事」を喜々として書き込むのだった。

しかし、怪しく二人の背後を通り抜ける「中華街行き」の路線バス。

ここは横浜なのである・・・。

そして・・・帰宅した花笑を待っていたのは・・・「特殊な詐欺のニュース」だった。

たちまち・・・あらぬ妄想に走りだす・・・花笑・・・。

実は・・・サイフを忘れたというのは嘘だったのでは・・・。 

最初から・・・「私」に払わせる気だったのでは・・・。 

そういう詐偽にあったのでは・・・。 

今度・・・行く店では・・・「五万円くらい」払うことになるのでは・・・。 

やがて・・・「100万円くらい」要求されるのでは・・・。 

そして・・・会社に忍び込み、横領する花笑。 

そこで待ち構えるCEO・・・。 

「だから言っただろう・・・眼鏡をかけてマニキュアしていない女は会社の金を使い込むって」 

「ほっといてください・・・お金が必要なんです」 

しかし・・・金庫の中には課長が待ち構えている・・・。 

「ア~ロ~ハ~」

悪夢にうなされる花笑だった・・・。

花笑の数少ない友達で二児の母の笹野一華 (平岩紙)は相談に応える。

「確かに・・・ヒモ的な男はいるよねえ」

「でしよ・・・」

「でもそんなことを惧れていては彼氏なんかできないわよ・・・あのね・・・うちの子なんて幼稚園の年少さんだけど・・・彼氏いるわよ」

「・・・」

「まだ彼氏いないのお・・・メールの最後は疑問文にして送るのが基本よお・・・相手が返信しやすいからあ」

処女喪失から間もない三十路の女は笹野さやか(平澤宏々路)のレクチャーを受けるのだった。

そして・・・疑心暗鬼の虜となった花笑に襲いかかる運命の日曜日。

田之倉が案内する店には・・・ヤクザといえばヤクザな大将がいた。

「大学の先輩で・・・武士沢さん」

武士沢(田口浩正)はぼったくりそうといえばぼったくりそうなムードを持っていた。

そしてメニューには価格がなかった。

二人はグル・・・私はカモ・・・。

これは・・・五万円ではすまないかも。

もし・・・お金が足りなかったら・・・体で払うのか。

ついに観念する花笑・・・。

しかし、なんとなくなごやかに会食は進行し・・・。

「6540円になります」

よかった・・・払えると花笑が思った瞬間、会計をすます田之倉だった。

「え・・・でも・・・」

「俺が御馳走するって言いましたから」

奢ってもらった。

生まれてはじめて男の人に奢ってもらった。

生きていてよかった

生きていてよかった

そんな夜がここにありました・・・。

口惜しいほどに嬉しくて花笑の恋心が扉を開いた瞬間・・・。

いかにも・・・恋のライバル、しかも彼氏に相応しい感じの・・・謎の女・鳴前ひろ乃(古畑星夏)登場である。

なんだか知らないが親しげに話す田之倉と謎の女の子。

しかも・・・花笑は「青石さん」なのに「ひろ乃ちゃん」「悠斗くん」と呼び合う二人。

しかも・・・この時、初めて田之倉の名前が悠斗だったと知る花笑。

しかも・・・なにやら悠斗くんは「忘れらんねえよ」をひろ乃ちゃんに貸しっぱなしにしているという。

しかも・・・「忘れらんねえよ」が2008年に結成された三人組のロックバンドで、「セックスしなけりゃ子供はできねえ」がコンセプトで、ボーカルが三十年間童貞で、しかもそれが嘘で、金が全然無いからグリーン ラベルで乾杯してあとは全裸になるなんて全く知らない花笑だった。

しかも・・・二人は「ふるふる」で交信しちゃうのである。

花笑はもやもやした感じになり・・・二人を残して帰宅するのだった。 

もやもやに囲まれてとりあえずメールである。 

「ごちそうになってすみませんでした」 

そして・・・返事を待つ花笑・・・。 

しかし・・・返信メールの着信はない。 

夜中を過ぎてもない。 

娘の挙動が不審なことに・・・そろそろ気がつく両親だった。 

恋に犠牲はつきものである。 

そして供物として捧げられるのは愛犬マモル・・・。 

マモルは・・・意味不明の真夜中の散歩に狩りだされる・・・。 

そして・・・生まれて初めて徹夜を体験する花笑。 

「ああ・・・さやかちゃんのアドバイスさえ・・・しっかりと守っていたら」 

後悔先に立たずなのだった。 

通勤のバスの中で・・・路上の「二人」を目撃した花笑は思わず途中下車して追跡を開始する。 

なんだ・・・もはや・・・恋に憑かれた狩人なのか。 

しかし・・・「二人」は赤の他人だった。 

これは・・・まさにこじらせている状況。 

しかし・・・こじらせているのは・・・女ではなく・・・人格そのものなのではっ。 

タクシーで出社した花笑・・・しかし、田之倉の姿はない。 

寝不足で朦朧とした意識の中で・・・田之倉が試験のために欠勤であることを課長の口から聞く花笑。 

けっ・・・試験とか言っちゃって何をしているやら。 

荒みきった花笑だった。

業務提携の資料を届けに来た花笑から漂う腐臭を嗅ぎ取るCEO・・・。

「彼とはどうなの?」

「もう・・・終わったことです」

「どうして・・・」

「メールの返事を待って眠れない夜を過ごすなんて無理なんです」

「君は・・・本当に憶病なんだな」

「え」

「何を怖がっているのかしらないが・・・経営者の名言を引用して君に捧げよう・・・失敗を恐れることよりも・・・チャレンジしないことを恐れよ・・・だよ・・・何かを始めなければ・・・終わることもできないんだ」

「・・・」

そこへ届く田之倉のメール。 

(メールに気がつかなくて返信遅くなってごめんなさい) 

????????の海を泳ぐ花笑。 

(眼鏡をかけてラーメンを食べる女をどう思いますか?) 

(眼鏡をかけていてもいなくても・・・青石さんと一緒にラーメンを食べられたらそれで幸せです) 

花笑はベッドに飛び込んだ。 

そして・・・静かに眼鏡を置いたのだった。 

翌日、眼鏡をかけずに出勤した花笑の美しさに誰もが驚く。 

同僚・大城(田口淳之介)は「花笑の恋人マモル(愛犬)の威力」を感じるのだった。 

美しく変身した花笑に微笑みかける田之倉。 

「あの件についてお返事します・・・よろしくお願いします」 

勇気を出してはじめての告白をする花笑。 

花笑は生まれて初めて男の子と手をつないでラーメン屋に走るのだった。 

一部お茶の間の胸キュンは鳴りやまない・・・。

やればできる脚本家なんだよな・・・。そうだって信じてましたから・・・。なんじゃ、そりゃ。

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2014年10月23日 (木)

誰かロマンチックが好きな私を好きになってくれませんか?(竹野内豊)

リアルだけどつかみどころのない女の子をやらせると・・・南沢奈央は実にうまいのである。

リアルなのにつかみどころがないのは・・・すごいことだからだ。

今回は主人公が乙女チックな中年男である。

主人公の行きつけの喫茶店のウエイトレスを演じる南沢奈央は「客」にリアルだけれどつかみどころのない感じで接する。

主人公は一方的にあらぬことを妄想する。

その妄想に対するウエイトレスの反応が・・・実にリアルでつかみどころがないのである。

すごいぞ、バカリズム、すごいぞ。

で、『素敵な選TAXI・第2回』(フジテレビ20141021PM10~)脚本・バカリズム、演出・星野和成を見た。気がつけば二夜連続タイムトラベルものである。ドラマ「信長協奏曲」は戦国時代に主人公がタイムスリップである。この場合・・・「現代」のことはこれまでのところ描かれない。突然、主人公の高校生を失った家族のことは「過去」の主人公には窺いしれないからである。そういう意味では一人称的な「流れ」の重視と言える。もちろん、「過去」においては主人公のいない場面も描かれ、三人称的な演出もある。しかし、同じ時代に生きている他者は違う時代の他者とはなんとなく違うわけである。コミック「漂流教室/楳図かずお」では小学生の主人公は未来にタイムスリップするが・・・現代では主人公を失った母親が重要な役割で登場し続ける。そういう描き方もあるわけだ。しかし、「現代」と「未来」の二つの違う時代を描くことは様々な矛盾を生みだす。小説「七瀬ふたたび/筒井康隆」では時間を遡上することができる超能力者が登場し、主人公も「やりなおすための過去」へ時間を遡上する。しかし、そこで「パラレルワールド」という時間の分岐の矛盾が紹介される。主人公がやりなおすために時間を遡上した時・・・主人公を失った「現在」はどうなるのかという問題である。主人公の主観では・・・遡上した過去が現在である・・・しかし、客観的に考えると・・・主人公が変えていく未来と・・・元の未来は同時に存在する可能性があるわけだ。時間が唯一無二の存在だと考えると・・・誰かが時間を移動した時点で・・・それまでにあった「時空間」はすべて消去されるということになる。つまり・・・一つの世界の抹殺である。淡々と語られる「時間旅行」の凄みはここにあるのである。一方で「パラレルワールド」はなんでもありというのんびり感を感じさせます。実は・・・ここまでのところ・・・「素敵な選TAXI」の主人公・枝分(竹野内豊)は世界を再編成する神として描かれている。今回は特にほのぼのとした作品世界の裏で・・・神が恐ろしい「この世の終わり」を展開していることを感じさせる仕上がりになっているのである。

全知全能の気まぐれな神は・・・小市民的なタクシー・ドライバー枝分になれば・・・ちまちまとものを考えるのである。

「そこで愛を誓ったカップルは一生結ばれる」という伝説がある・・・某地方の海岸から見える「はあと岩」を紹介する雑誌の記事。

枝分は「そういうロマンチックな話」が好きなのであった。

しかし、「cafe choice」のウエイトレス宇佐見夏希(南沢奈央)にリアルだがつかみどころのない感じの顔で・・・・。

「そういうロマンチックなの・・・お好きなんですか」と問われると・・・うかつに肯定できないのだった。

ロマンチックが許されるのは乙女だけで・・・中年男性には似合わないのではないかと・・・危惧するからである。

なぜなら・・・年齢にふさわしい行為こそが・・・世界から求められるような気がするからだ。

綾瀬はるかも中身が吉田里琴だとみんなが理解してくれたらどんなに気が楽かと言う話だ。

「ひみつのアッコちゃん」かっ。

小学生同士の恋愛ならほのぼのだが・・・女子小学生と定年を迎えた独身男性の恋愛は犯罪なのである。

「キモッ」と叫ばれる惧れがあるのだ。

誰かを気持ち悪くさせるのは・・・気持ちの良くないことなので・・・本音を隠す枝分だった。

「いや・・・そんなことはないよ・・・たまたま・・・見てただけ」

「ああ・・・そうなんですか」

リアルでつかみどころのない場面である。

劇中ドラマ「犯罪刑事」(主演・デビット伊東)に夢中の関カンナ(清野菜名)は・・・現在、登場人物の熱血目撃者(前野朋哉)がお気に入りだった。

「目撃の仕方が半端なく熱いんです」

しかし・・・常連客の標道雄(升毅)は「ブサかわ」のキャラクター商品には馴染めないのだった。

「ブサイクとかわいいを一緒にするな」というのが正直な気持ちだからである。

そういう気持ちはわからないでもないが・・・あえて主張はしないのが・・・大人だ。

そして・・・枝分は・・・「はあと岩」を求めて海辺の町・優陽町にやってきた。

そこはのどかな田舎町だった。

昼下がり・・・海岸近くの派出所には松原巡査(松下洸平)がいて・・・暇をもてあまして・・・ドラマ「犯罪刑事」を見ている。

そこへ・・・飼い犬が行方不明になった近所の女性を連れて民宿の経営者・平野(仲村トオル)がやってくる。

「トクボウに続いて警官役か・・・この間は・・・亀甲縛りをされていたな」

「先輩こそ・・・どう見ても刑事ですよ」

「何の話だ」

平野は釣竿を抱えて海辺に戻る。

どうやら・・・民宿も暇らしい。

「はあと岩」の道しるべをたどるとそこはリゾート開発の予定地だった。

平野はどうやら・・・「はあと岩」にも「リゾート開発」にも苦い思いを感じるようだった。

平野は鬱屈を抱えている。

しかし・・・それは時の流れにのみ込まれ・・・ほとんど細波のように心を揺らすだけのようだ。

古傷である。

灯台の側で釣りを始めた平野に・・・松原巡査が血相を変えてやってくる。

「先輩・・・大変です・・・町長の娘さんが誘拐されました・・・犬を捜してる場合じゃないですよ」

「あの犬だって・・・あの人には大切な家族だろうが・・・」

「そりゃあ・・・そうですけど・・・犬と人間が溺れている時に犬を先に助けたら・・・犯罪者になる可能性がありますよ」

「だな・・・」

町には優陽町の町長・高橋雄一郎(斉木しげる)のポスターが張られ・・・盛んにリゾート開発がアピールされていた。

「町長の娘か・・・」

平野の心の奥底ではふたたび細波が立つ・・・。

アンニュイな雰囲気が醸しだされるのだった。

その理由は誘拐事件の捜査に当たる横山刑事(梨本謙次郎)と町長夫人の加奈子(木下美咲→霧島れいか)が同窓生で・・・平野の共通の友人であることに関係しているらしい。

そこへ・・・道に迷った枝分がやってくる。

「すみません・・・はあと岩は・・・どこでしょうか」

「え・・・」

「ご存じないですか」

「いや・・・知ってますけど・・・」

「じゃ・・・教えてください」

「たいした岩じゃないですよ」

「謙遜しなくてもいいですよ」

「いや・・・謙遜しているわけでは・・・お一人ですか」

「そうですけど」

「いや・・・お一人で行くようなところじゃないですよ」

「いいじゃないですか」

「変ですよ」

「一人で行ったらロマンチックではないとでも・・・」

「ロマンチックって・・・」

ブサイクとは言えない二人が延々とブサイクな会話を続けるのだった。

結局、米丸神社の角を曲がった不倫橋の先の高台に案内してもらう枝分だった。

「タクシーなのに・・・ナビもないの・・・」

「いろいろと別のシステムを搭載しているんで・・・とにかく・・・はあと岩は絶対に見たいのです」

「・・・」

なんだろう・・・これはうざいおっさん合戦なのか。

その時、対向車線を町長の娘を乗せた広報車がすれ違う。

「あ・・・」

思わず・・・車内から松原に電話する平野だった。

「誘拐された町長の娘を乗せた車を見たぞ」

枝分は・・・神と人の中間の存在として口を出す。

「誘拐ですか・・・」

「・・・」

「どうします・・・Uターンして追いかけますか」

「頼みます」

「でも・・・後で必ず・・・はあと岩に案内してくださいよ・・・」

「・・・」

非常線が張られ・・・町長の娘を乗せた車は確保される。

署内で・・・高橋町長に礼を言われる平野。

しかし・・・娘のいのり(柳生みゆ)には感謝の色はない。

「ありがとうございました」と町長夫人の加奈子は口では言うが・・・顔には何かものいいたげな表情が浮かぶ。

誘拐犯人の達也(間宮祥太朗)を見た時・・・平野には忘れられないけど忘れようとして本当に忘れかけた過去を思い出す。

加奈子と平野(中山卓也=大河ドラマ「軍師官兵衛」の荒木村次)が恋人だった頃。

加奈子が実力者の父親に見合い結婚を命じられたこと。

一緒に逃げようという加奈子の申し出を・・・平野は断った。

そして・・・平野は・・・加奈子を失ってしまったのだ。

あの時と・・・同じだと・・・平野は悟ってしまった。

加奈子の娘・・・いのりには見合い話があり・・・達也はいのりの恋人で・・・二人は駆け落ちを実行に移した。

「とんだ・・・お邪魔虫だったよ・・・」

タクシーの中で自嘲する平野。

「じゃ・・・やりなおしてみますか」

「やりなおす・・・?」

運賃19500円で過去に戻った平野・・・料金設定・・・ある意味、時価だな。

対向車線に達也が運転し、いのりを乗せた広報車が現れる。

警察に通報せずに二人を追いかけた平野は二人に事情を聞くのだった。

二人は平野の想像通り・・・駆け落ちの途中だった。

「そうか・・・無責任にこんなことを言うのはどうかと思うけど・・・俺は二人を応援するよ」

「?」

しかし・・・話が長引いたために・・・結局、警察官が到着し・・・二人は拘束されてしまうのだった。

「いのり」

「達也」

恋人たちの悲痛な叫びが・・・平野の胸を打つ。

「こんなつもりじゃなかった・・・」

結局、警察署で高橋町長は平野に謝礼金を渡そうとする。

いのりと達也は・・・やり直す前より激しく・・・平野を怨む。

加奈子の顔には悲しみの気配がある。

平野の胸の奥底に眠っていた後悔が爆発するのだった。

平野は警官から拳銃を奪った。

「何をする・・・」

驚く一同。

平野は加奈子を奪った高橋町長の金を奪い取る。

「君・・・一体・・・」

「平野さん・・・」

「平野・・・」

「先輩・・・」

平野はいのりを人質にとり・・・達也を連れて逃走を開始するのだった。

「そろそろ・・・はあと岩に行かないと・・・日が暮れますよ」

枝分の呑気な言葉に・・・平野は必死に訴える。

「二人を乗せて・・・過去に戻ってくれ」

「ええええ・・・はあと岩は・・・」

「二人とも・・・よく聞け・・・今から二人を・・・駆け落ち前の時間に戻す・・・こんなことにならないように・・・駆け落ちはやめて・・・町長に正面から・・・ぶち当たれ・・・達也くん・・・それが本当の男のやり方だと思う・・・こんなことになったら・・・終わりだろう・・・」

「終わりって・・・終わりなのは・・・おじさんの方じゃ・・・」

「俺のことは気にするな・・・」

「しかし・・・そんなに前に戻るとなると・・・料金が・・・」

「これだけあれば・・・足りるんじゃないか」

平野は町長から奪った金を枝分に渡す。

「足りますね」

「多分・・・これでお別れだから・・・言っておく・・・幸せになってくれ」

タクシーは走りだし・・・警官隊に包囲された平野は拳銃を空に向けて放つのだった。

「さようなら・・・俺が・・・本当の愛を失くしちゃった世界・・・」

弾丸が虚空を突進する。

その途中でタクシーは選TAXIとなる。

弾丸は消えた。弾丸を包む空気が消えた。弾丸を放った平野が消えた。

優陽町が消え、海が消えた。

地球が消え、銀河が消えた。

宇宙が消失した。

選TAXIの背後で・・・存在していた時空は存在しなくなり・・・過去が新しい現在となる。

未来は折りたたまれて無となった。

いのりと達也だけが・・・数時間の・・・存在しない世界を記憶した人間となったのである。

「夢を見ていた気分だよ」

「二人で同じ夢を見るかしら・・・」

「君のお父さんに・・・交際を許してもらうために・・・会いに行こう」

二人は町長に会った。

娘の結婚を金儲けに利用しようとしていた父親も・・・人の親である。

娘に泣かれ・・・妻に口説かれ・・・ついに折れるのだった。

二人の交際は認められた。

見守っていた枝分はロマンチックな成り行きに微笑むのだった。

「これから・・・どうするんですか」

「二人で・・・はあと岩に行こうと思います」

「あの・・・良かったら・・・お乗せしますよ」

三人は・・・はあと岩に向かう。

途中で・・・平野が釣りをしているのに気がつく二人。

「お礼しなくちゃ・・・」

しかし・・・平野は二人とは初対面だった。

「ええと・・・君たちは・・・誰だっけ」

「・・・」

そこへ・・・逃げた犬が通りかかる。

飼い主はすぐそばにいた。

いのりによって犬は飼い主に戻される。

いのりと達也は微笑んで・・・幻の恩人と別れるのだった。

昼下がり・・・海岸近くの派出所には松原巡査(松下洸平)がいて・・・暇をもてあまして・・・ドラマ「犯罪刑事」を見ている。

優陽町は平和だった。

「結局・・・はあと岩を見に行ったんですか」とリアルだがつかみどころのない声で質問する夏希・・・。

「たまたま・・・近くを通りかかったんで・・・」と言い訳がましく応じる枝分・・・。

土産は・・・「歯痕饅頭」だった。

「はあとって・・・歯痕って書くんですか」とカンナ・・・。

「何でも・・・恋人と別れを強要された男が岩にかじりついて別れを拒んだという伝承が・・・」

素晴らしいインターネットの世界の情報を伝える「cafe choice」のマスター・迫田(バカリズム)だった。

紅白の饅頭は角が欠損してあんこのむき出しである。

「なんだか・・・食べかけみたいだな」と標道雄・・・。

「こういうの好きなんですか」とカンナは枝分に問う。

「こういうのって・・・」

「ちょっと怖い感じの・・・オカルトチックな・・・」

神よりも人的な枝分は答えに窮するのである。

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Sentx002ごっこガーデン。まこかま新作「はあとかま」CM撮影用特設セット。まこロマンチックでオカルトな恋人たちの物語でしゅ~。二人で行ったからには浮気は絶対ダメでしゅよ~。浮気をしたら呪われるのでしゅ~。愛憎に満ちた破廉恥地蔵が夜な夜な枕元に立って頭をかじられちゃいますからご用心~。キスマークならいいけれど~歯跡マークはハードでしゅ~・・・でも歯跡かまはかじった部分だけ原価がお得に・・・さあ・・・次は許さない女になりましゅよ~・・・時間旅行も金次第でしゅからね~・・・有罪無罪も金次第でしゅか~?くう男たちのうざさが・・・癖になるドラマですよね~。なんというかウザかわ・・・?・・・まったりとした中に・・・ピリリと沁みるせつなさ・・・なかなかのお手前です・・・残された未来が消えてなかったら・・・D-x世界は大変なことになってますからね・・・ある意味・・・過去へのかけおち物語・・・

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2014年10月22日 (水)

父は昭和の警察官、夫は平成の高校生ってか!(柴咲コウ)

歴史なんて全部ウソなのだが・・・それを理解することはなかなかに大変である。

たとえば・・・靖国神社には本土空襲の犠牲者は祀られていない。

連合軍が東京を空襲するのはそこに戦力があるからだ。

つまり・・・敵が存在するわけである。

戦闘員と非戦闘員を帝国がいかに線引きしても・・・戦闘機を女子供が作っている以上・・・戦闘力があるわけである。

それが総力戦というものだ。

だから・・・東京大空襲の犠牲者は全員、英霊であるべきだろう。

ガダルカナルで餓死した軍人も広島の原爆投下で焼死した勤労学生も皆、英霊であるべきだ。

だから・・・靖国神社の歴史は・・・ウソなのである。

歴史は主に勝者のつくウソだが・・・敗者だってウソをつくのだ。

すなわち・・・歴史なんてすべてウソなのである。

で、『長協奏曲・第2回』(フジテレビ20141020PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・西田征史、演出・松山博昭を見た。基本的に時間旅行をして戻る過去は現代の歴史の延長線上にある。しかし・・・すでに現代人が過去に行ってしまったことで歴史は変わってしまっているという発想が可能である。つまり、そこはもはや「歴史上の過去」ではないわけである。けれど歴史がウソである以上、それが本当の過去なのか・・・ウソの過去なのかを判別することは時間旅行者には不可能に近いとも言える。そういうなんだかわからない過去に戻ると・・・なんだかわからなくなるのだが・・・元々、歴史に詳しくなければ何の問題もない。当たって砕けるだけなのである。

高校生のサブロー(小栗旬)がタイムスリップして織田信長になりすましたのは天文二十年(1551年)だったと言う。

しかし・・・その後は・・・年号についてスルーである。

ちなみに・・・通説では斎藤道三が子の斎藤義龍との戦いに敗れて戦死する長良川の戦いは弘治ニ年(1556年)四月の出来事である。

えーと・・・サブローが戦国時代に来てから・・・五年の歳月は・・・流れてないような気がするよね。

そして・・・信長が弟の信行を殺害したとされるのは弘治三年(1557年)である。

えーと・・・道三が死ぬ前に・・・信行死んじゃってるよね・・・。

つまり・・・この戦国時代は・・・もはや正史とは違う世界に属しているのである。

すなわち・・・これはなんとなく戦国時代のお話です。

だが・・・あまり・・・やりすぎると違和感が半端ないので・・・そうなってしまった理由が求められる。

そのひとつが・・・サブローより先に未来人が訪れて・・・もう歴史を変えてしまっているという・・・今回の展開なのだった。

そもそも信長と道三の会見は天文十八年(1549年)の出来事という説もあれば天文二十二年(1553年)という説もある。

信長の父・信秀は天文二十年に病死するので・・・その後と考えた方が・・・美濃の守護代道三と尾張下四郡の実質的支配者の信長の会見という辻褄が合うわけである。

とにかく・・・二人はこの対面が初対面なのである。

歴史にあまり詳しくないサブローは斉藤道三の名前さえ知らなかったが・・・道三の娘で信長の正室である帰蝶(柴咲コウ)や・・・織田家家臣の柴田勝家(高嶋政宏)、池田恒興(向井理)、森可成(森下能幸)、丹羽長秀(阪田マサノブ)たちに「会えば必ず斬り殺される」と脅され恐怖するのだった。

着ていく衣装に悩んだサブローは結局、正装である詰襟の学生服を選択するのだった。

通俗的には・・・うつけの信長がラフなスタイルでやってくるのを密かに観察していた道三がラフなスタイルで対面の場に現れると・・・礼装に着替えた信長が現れて道三がギャップ萌えする場面である。

しかし・・・この世界で道三は人払いをすると・・・クラシックな警察官の制服に着替えてくるのだった。

「え・・・」

「はい・・・私は・・・おまわりさんでした」

「えええ」

「君は・・・昭和何年から来たのかな?」

「昭和って・・・平成ですよ」

「へいせい・・・」

斉藤道三は・・・昭和四十七年(1972年)からやってきた未来人だったのである。

平成生まれのサブローにとって昭和はすでに歴史に属するため・・・よくわからないのだった。

「知らないかな・・・札幌オリンピックのあった年なんだけど・・・」

「さあ・・・」

「総理大臣は田中角栄でさあ・・・」

「ええと・・・」

「シンシアは・・・シンシアは知ってるよね」

「シンシア・・・」

「吉田拓郎は・・・」

「あ・・・堂本兄弟で何度か・・・」

「堂本兄弟・・・?」

22才の警察官だった道三は・・・すでに四十年間を戦国時代で過ごしているという。

「四十年・・・そんなに・・・すぐに帰れると思ったのに・・・」

「帰れないよ・・・なんで来たのかわからないのに・・・帰る方法なんて・・・まるでわからないでしょう」

「そんなあ・・・」

2014年に戻れないかもしれないと思うと目の前が暗くなるサブローだった。

道三にとっても・・・サブローがやってきた21世紀は・・・遠い未来だった。

「君・・・歴史に詳しいの」

「いや・・・全然」

「でも・・・本能寺の変は知ってるよね」

「聞いたことはあります・・・誰か死ぬんですよね」

死ぬのはお前だと言いたいのを堪える道三だった。

しかし・・・道三もまた・・・それほど歴史に詳しくはなかった。

必死に生きた結果・・・自分が蝮の道三という有名人になっていることに驚いたほどである。

一体・・・昭和の警察官がどのように・・・斉藤道三になってしまったのだろうか。

天文二十年のおよそ四十年前は永正八年(1511年)である。室町幕府の第10代将軍足利義稙が第11代将軍の足利義澄と将軍位を争い返り咲いた年だ。

正史でも道三の前半生は謎に包まれており・・・生年も明応三年(1494年)から永正元年(1504年)までと幅がある。つまり・・・永正八年には6才~16才ぐらいだったわけである。結局、何歳なんだよ。

そのために斉藤道三は・・・父・西村新左衛門尉と子・長井左近大夫の親子二代が一人の人格にまとめられている説まであるのだった。

とにかく・・・二十二歳の道三は山城国で油問屋の婿になり、松波庄五郎を名乗り、美濃国に流れてきて美濃守護土岐氏の守護代の一人である長井氏の家臣となって、西村勘九郎を名乗り、土岐氏の相続争いに介入するために土岐頼芸に接近し、上司の長井氏を殺害して長井規秀を名乗り、長井氏の本家の名跡を引き継いで斉藤利政と名乗ったのだった。

大永七年(1527年)には主君・頼芸の愛妾だった深芳野を側室にしている。

深芳野は頼芸の子を身籠っており、生まれたのが斉藤義龍である。

土岐氏の血を引く義龍を嫡男として育てた道三は着々と美濃国支配の実権を握って行く。

ちなみに深芳野は西美濃三人衆の一人、稲葉一鉄の姉とされる。

一方で天文元年(1532年)に東美濃の実力者・明智氏から正室の小見の方を迎える。天文四年頃には帰蝶が生まれるのだった。小見の方は他に龍元、龍之、長龍なども生む。

そして天文十一年(1542年)・・・道三はついに主君・頼芸を美濃国から追放するのである。

この時点で苦節三十年なのだった。

しかし、追放された土岐頼芸は・・・越前・朝倉氏や・・・信長の父・信秀を頼り、道三に合戦を仕掛ける。

天文十五年、道三は朝倉氏と和睦し、天文十七年には織田氏と和睦するために帰蝶を信長に嫁がせたのである。

ちなみに頼芸派だった相羽城主・長屋景興(鶴田忍)を討伐したのは織田氏との同盟成立後であり・・・史実としては帰蝶(平澤宏々路→赤城くれあ→柴咲コウ)が人質になっていたことは考えにくいが、長屋氏討伐が天文十四年だったという説もありあながち否定できない。

そもそも昭和の警察官が何をやったのかをあれこれ言っても始らないわけである。

道三とサブローの会見は表面上は首尾よく終わる。

しかし・・・道三(西田敏行)は・・・「信長が偽物なら・・・用はない」と呟くのだった。

尾張国に戻った信長の元に道三の嫡男・斎藤義龍(新井浩文)がやってくる。

「帰蝶は織田家と離縁させ、武田家に嫁がせる・・・拒否すれば合戦」

外交としては無茶苦茶であるが・・・昭和の警察官のやることなのである。

本来、道三にとっては織田との同盟は美濃国統一の方便であった。

また、織田家にとっては北の斉藤道三と東の今川義元という両雄の挟撃を回避する意味があったわけである。

道三の美濃支配は・・・正室の小見の方につらなる土岐氏庶流の明智氏、遠山氏などの東美濃勢力、側室の深芳野につらなる土豪の稲葉氏、氏家氏、安藤氏などの西美濃勢力の危ういバランスの上にたっており、織田との同盟はまだ解消できないのだ。

不合理な道三の申し出に茫然とする織田家一同。

サブローにいたっては事態の把握すら困難である。

しかし、帰蝶は・・・「戦国にあっては女は戦の道具・・・父の申す通りにしましょう」と自らを犠牲に織田を守る姿勢である。

帰蝶の侍女であるゆき(夏帆)は・・・帰蝶の気持ちを代弁するのだった。

「昔は・・・道三様と帰蝶様は仲睦まじい父娘だったのです。美濃の蝮と蝮の娘として・・・あえて刺々しく振る舞っているのは一種のツンデレなのでございます」

「ツンデレなのか・・・」

しかし・・・道山の暴走には隠された意図があったのだった。

帰蝶のために伊勢神宮に参拝した池田恒興は情報を持ちかえる。

「道三様は・・・徳川家康、豊臣秀吉なる武将をお探しとか・・・そんな武将は聞いたこともありませぬ・・・」

道三は娘のために・・・絶対安全な嫁ぎ先を求めていたのだった。

しかし・・・歴史の知識が浅いために・・・まだ名乗りをあげていない武将を検索していたのてある。

けれど・・・同じ未来人であるサブローには・・・道三の秘めた思いがなんとなくわかるのだった。

「すべては・・・可愛い娘のためか・・・親馬鹿の極みだな・・・武田信玄は有名だもんね」

さて・・・尾張の東では・・・駿河・遠江・三河三ヶ国の領主・今川義元と甲斐国の武田信玄、相模国の北条氏康が軍事同盟を締結していた。武田は信濃国の支配をめぐり上杉家と対立し、北条は関東制覇を目指し、今川は上洛の機会を窺っている。

今川義元(生瀬勝久)は・・・忍びの段蔵(早乙女太一)と伝次郎(山田孝之)に美濃と尾張の分断工作を命じていた。

Nobuoo1伝次郎は斉藤義龍の陣に忍びこみ・・・謀反を唆すのだった。父が正室の子供に相続をさせるかもしれないと疑心暗鬼になっていた義龍は・・・美濃国の正統な支配者である土岐氏の血を武器に・・・簒奪者である父・道三に叛旗を翻す。かねてから道三の強引な手法に反感を持っていた美濃の豪族たちは・・・義龍の元に結集する。

道三は篭城し・・・死を覚悟した。

一方・・・サブローは道三の心を知り・・・帰蝶のために道三に味方することを決意する。

すっかり・・・帰蝶のファンとなった家臣一同は・・・サブローに賛同するのだった。

「なんと・・・婿殿が援軍とな・・・」

その時、道三の元には忍び(仁科貴)が拾ったサブローの日本史の教科書が届いていた。

そこに「長良川の戦い」の記述を見出す道三。

「おう・・・・偽物でありながら・・・教科書通りのことを・・・あやつめ・・・意外とやるのかな」

死を覚悟した道三は・・・信長と帰蝶に手紙を認めるのだった。

「さよなら・・・帰蝶・・・父親らしいことをしてやれずすまない・・・幸せになってください」

「婿殿・・・娘を頼みます・・・歴史をのりこえて」

そして・・・道三は教科書から・・・本能寺の変の記述を削除するのだった。

道三の自害の報を聞き・・・史実通りに撤退する織田軍。

尾張に戻った信長は謝罪する。

「ごめん・・・お父さんを助けられなかった」

「いいのです・・・ありがとうございました」

初めて・・・心が通うサブローと帰蝶である。

西美濃三人衆の一人・安藤守就の娘婿・竹中半兵衛重治(藤木直人)は英雄・道三の死を悼んだ。

今川義元の人質として育った松平元康(濱田岳)は・・・織田攻めが近い事を知る。

今川忍びの伝次郎は尾張潜入のために通りすがりの商人を殺し、名前を奪う。

その名は木下藤吉郎・・・。

時が天文何年なのかは不明だが・・・どうやら・・・歴史は加速しています。

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2014年10月21日 (火)

見てんじゃねえよ!リア充です!エア彼氏だよ!かわいいじゃん!あたしと帰りたいのかしら!えええええええええええっ!(川栄李奈)

クラスメイトにはほとんど気付かれないまま、ひっそりと咲いてひっそりと散った聖三島女学院3年C組(実験クラス)・神保愛(川栄李奈)の仄かな恋の花に栄光あれ!

膨大な小ネタと同じように登場人物のエピソードまで怒涛の中に紛れ込んでいくのだな。

ずーっと川栄李奈だけを見ている人にはもちろん見え見えなんだけどね。

ずーっと原平太(風間杜夫)だけ見ている人はエロ住職マニアなんだけどね。

ずーっと三宮校長(生瀬勝久)だけを見ている人は長寿ラジオ番組「ごめんね青春!」のパーソナリティー・カバヤキ三太郎が同一人物なのかどうか気にかかる。

ずーっと原エレナ(中村静香)だけを見ている人は「アイドル飲み姿カワイイGP!」の四連覇達成が気になるのだった・・・「ゴッドタン」ネタは禁止。

ネタを見逃しているんじゃないかと不安にさせるドラマ・・・困ったものである。

で、『ごめんね青春!・第2回』(TBSテレビ20141019PM9~)脚本・宮藤官九郎、演出・山室大輔を見た。視聴率が10.1%↘*7.7%である。あははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは・・・お茶の間の偏差値の低さに呆然とするよね。まあ・・・この局はこういうのに慣れていると思いたい。しかし・・・まあ、最近、馬鹿番組で高視聴率獲得してるからな・・・ちょっと戦慄するよね。だから・・・なおさら・・・いつ終わるともしれない今を楽しみたいよねえ。

日本における曹洞宗の開祖である鎌倉時代初期の禅僧・道元は父・内大臣・源通親、母・藤原伊子(太政大臣・藤原基房の娘)とされる(異説あり)良血禅師である。

座禅の修行の心得として説くのが「身(しん) 初心(しょしん)なるを顧(かえりみる)ことなかれ」である。そもそも「悟り」を求める修行において、完全なる「悟り」がないことを悟った道元はいかなる高僧も修行の途中にあると説く。だから・・・初心者が経験の少ないことを気にする必要はないという話である。未熟だから修行しないのではなく、どんなに修行しても未熟なのである。じゃ、やっても無駄じゃん・・・と思う人は修行には向いていないのである。

「男女共学」という「普通」がない・・・「男女別高校」こそが諸悪の根源と考えたトンコーこと駒形大学付属三島高校3年3組担任の原平助(錦戸亮)は・・・サンジョこと聖三島女学院の合併の前段階としての実験クラス設置を提案する。

平助の「悪」とは・・・男女共学でなかったために・・・高校時代に女性というものを知らず・・・初恋の女性・蜂矢祐子(波瑠)の唇を親友の蔦谷サトシ(永山絢斗)に奪われ・・・逆上して校舎に放火し・・・三女の礼拝堂を全焼させ・・・祐子とサトシに放火犯人の濡れ衣を着せ・・・二人を高校中退に追い込んで・・・それを今も黙っていることであった。

それもこれも「男女共学」でなかったことが原因なのである・・・それはどうかな。

かくして・・・ベーヤンこと平助はクラスの半数の男子生徒を引率し、聖三島女学院3年C組(実験クラス)に乗り込む。

しかし、そこで待ち受けていたのは論理的な生徒会長の中井貴子(黒島結菜)をはじめとするトンコー関係者を敵視する猛女の群れだった。

女性に慣れていない平助は「ひっくりかえすとスケベ」「女子なんだから」「女っ気がないから」「人生の伴侶」「へらへら」など地雷を踏んで爆死するのだった。 

しかし、ヤンキー風の女子生徒・神保愛(川栄李奈)は・・・甘いマスクのエビゾーこと海老沢ゆずる(重岡大毅)に一目惚れしてしまう。 

けれど・・・エビゾーは神保愛の親友・アマリンこと阿部あまり(森川葵)と隠れて交際していたのである。 

そうとは知らずに「差値66の名門高校であるニシコーこと駿豆西高校に彼氏がいてリアルライフ充実」などと自己紹介する・・・ある意味、かわいい女の神保愛。

どうでもいいが・・・昭島司(白洲迅)の仇名はクイズ・・・大高校生クイズ選手権静岡大会で3位の実力者で・・・三択の昭島の異名を持つ。

そして・・・ヌシもしくはデブの遠藤いずみ(富山えり子)の仇名もクイズ・・・大高校生クイズ選手権静岡大会で2位の実力者で・・・早押しの遠藤の異名を持っていた。

おそらく・・・このクラスの美少女キャラである山田・ビルケンシュトック・京子(トリンドル玲奈)の仇名がサンダルなのは18世紀からの歴史あるフランクフルトのサンダル・メーカー「ビルビルケンシュトック」に由来する。

いずみをデブと呼ぶ「ろくでなしブルース」狂いの古井(矢本悠馬)は「サル」と呼ばれ・・・なんとなくフラグが立っているが・・・古井の視線はサンダルに注がれており・・・ここでもデブ→サル→サンダルの恋の三角関係が早くも火花を散らしているのだった。

一方、蜂矢祐子の妹で聖三島女学院3年C組担任教師の蜂矢りさ(満島ひかり)はクラスの半数の女子生徒を引率し、駒形大学付属三島高校3年3組(実験クラス)に乗り込む。

こちらには長身の真面目な生徒会長・半田(鈴木貴之)もいるが、お馬鹿な大木(竜星涼)や列車内盗撮騒動でりさに顔面蹴りを決められた成田(船崎良)もいる。

佐久間りえ(久松郁実)の巨乳を揶揄するサカリのついた男子生徒を一括するりさ。

「最初に言っておきますが私は処女です。ここにいる女子生徒も全員処女です。純潔を神に捧げた乙女を汚す覚悟はありますか」

沈黙する童貞軍団だった。

ちなみにりさの仇名はリサ・ブラックタイガー。これは40才で出産後もトライアスロンを続けている猛女・リサ・ステッグマイヤーに由来していると思われる。

通報を受けたりさは・・・女生徒の攻撃に沈没寸前の平助を救助するのだった。

困難に遭遇し・・・落ち込む平助を亡き母・みゆきの面影を残す観音菩薩(森下愛子)が慰める。

「元気出しなさいよ・・・」

「でも家(永楽寺)の御本尊は薬師如来なのに・・・なんで観音様があるんだろう」

観音菩薩は大地神だが・・・その前世は餓死した幼子であるとも言われる。

自ら飢えて衰弱しつつ「生まれ変わったら万人を救済したい」と願ったことから救済の道を見通す菩薩となったのである。

一方で薬師如来の前世は無論、医者である。

しかし、体の病は心の病を原因とすることを悟り、無明(迷い)を脱する教えを諭す如来となったのである。

救えなかった命を思い、命に救いを求める・・・観音菩薩と薬師如来は闇に光を感じ、無明に知恵を灯す患者と医者の導師コンビなのである。

だが・・・前世が「スチュワーデス物語」の教官である住職の平太(風間杜夫)は「五反田、キャビンアテンダンド、巨乳」を息子のパソコンで検索するのだった。

妻に先立たれても立つものが立つからである。

ちなみに立つものが立てば教室で赤面するりさだった。

ラジオからは・・・長寿番組の「ごめんね青春!」が流れてくる。

投稿で寄せられた若者の人生相談にパーソナリティーのカバヤキ三太郎が電話で応えるという趣向。

相談者のラジオネーム「からくり人形」の声に反応する平助。

エビゾーだった。

「クラスの女の子との交際を公にしたい」という相談に「一方的に話さないで・・・とにかく言うべきことを言えばいい」と一方的にアドバイスする三太郎だった。

生徒の声には反応するのに・・・校長の声には反応しない平助だった。

つまり・・・いい先生なんだな。

三島コロッケを買い食いしながら男子の品定めをする女子五人組。

つまり、女生徒会長、あまりん、サンダル、女クイズ・・・そしてジンボーこと神保愛。

私、エビゾーが可愛いと思う

「あんだけデスってたのに」

「っていうか・・・ニシコーの彼氏は・・・」

それはエア彼氏だよお・・・彼氏いたらコロッケ買い食いしないし・・・

「ジンボー・・・」

エビゾーと交際していることを秘匿するあまりんである。

しかし・・・三太郎に背中を押されたエビゾーは・・・。

「最悪」と言っておきながら教室で平助の仇名会議をする女子たち。

中心にいる生徒会長にはフラグが立っている。

「濡れ煎餅って・・・」

「流星の絆か」

「中島美嘉かよっ」

「ブラ男爵って」

「たれ目王子って」

生徒会長はこの辺りですでに・・・明らかに禁断の関係に流れ出しています。

そこへ・・・エビゾーが登場。

「一緒に帰らないか」

え・・・あたしと」とジンボー。

「あまりんと・・・」

「何言ってんだ」

「だって僕とあまりんは付き合ってるんだから」

「え」

沈黙するあまりん。それは無言の肯定である。

悲しい・・・悲しいぞ・・・ジンボー。

そして・・・あまりんは家出したのだった。

あまりんの母(角南範子)に呼び出され、午後10時の学校にやってくる平助とりさ。

「まさか・・・エビゾーのやつ・・・」

「なんで彼なんですか」

「今・・・電話しますから」

「エビゾー、お前なんか・・・やったか」

「交際宣言しただけです・・・彼女がどこにいるかは・・・知りません」

「それはウソですよ」

ドンマイ先生こと・・・東高養護教諭の淡島舞(坂井真紀)が飛び込んでくる。

「二人は一緒にいます」

「なんでわかるんです」

生徒たちの素晴らしいインターネットでのやりとりになりすましで参加しているドンマイだった。

「成田になりすましてます」

(お前、成田じゃないだろう)

「大木君に疑われました・・・」

(成田・・・でんがな)

「バレますよ」

(疑ってゴメン)

「バレませんでした」

(ろくでなしBLUESのスタンプゲットだぜ)

「古井くんです」

「どこにいるのか・・・場所を」

(今・・・どこ)

(五反田)

「五反田・・・東京かよっ」

あまりんはエビゾーのためにコーラとCCレモンを買ったりしているのだった。

ウキウキイチャイチャの二人である。

合併の前に合体の勢いなのだった。

その頃、合体の前の夕食でイチャイチャしている兄(えなりかずき)と兄嫁(中村静香)は真空パックの肉の二枚セットについて電話してくるのだった。

「今日、親父、帰ってこないからお前も帰ってくるな」

それどころじゃないんだよ。

エビゾーはあまりんにリードされてラブホテルへ。

しかし・・・そのラブホテルにはコスプレデリヘルのCA風俗嬢をチェンジ中の機長が逗留中だった。

「だから・・・チェンジって言ったら・・・それなりの誠意の見せ方があるだろう・・・短調に転調してどうすんだよ・・・長調で頼むよ長調で・・・堀ちえみに来いって言ってるわけじゃないんだよ・・・って言うか・・・片平なぎさで充分なんだよ」

上位機種に更新中に遭遇する同窓会会長と現役かけおちカップルだった。

「とにかく・・・悪いようにはしないから・・・お互い傷が深くならないようにしないとな」

口止め料として三島までのタクシー代を渡す良識ある善意の第三者である。

童貞と処女は綺麗な体でUターンするのだった。

「合併に渋ってると行き遅れるぞ」などと三女校長の吉井良江(斉藤由貴)を詰っていた同窓会会長は舌鋒鋭くなくなったのであった。

「まあ・・・若いんだから穏便に・・・」

っていうか・・・スケ番と教官・・・フラグ立ててるのか。

エビゾーとあまりんを審問するシスター吉井と平助とりさ・・・。

「でも・・・俺にはあまりんしか見えないし・・・」と開き直るエビゾー。

「神は不完全な人間を完全なものとするために男と女を創造なさったのです」

「・・・」

「しかし・・・この二人は堕落しました・・・楽園から追放するしかありません」

こうして・・・ジュリエットはトンコー組に転入である。

ロミオは三女に残り・・・二人は離ればなれに・・・。

「なんで・・・あまりんなの」

「大体・・・トンコー生と付き合ったら退学なんでしょ」

「・・・」

狂乱の教室で平助はりさの言葉を思い出す。

「あなたの理想論は・・・生徒の心に響かない・・・あなたは生徒に心から向き合っていないから」

「文化祭を共同開催しませんか」

「どうして・・・そうなるんです」

「男女共学の生徒が普通に学べることを・・・男女別学の生徒は学べない・・・それって不公平じゃないですか」

「・・・」

平助の拘りは・・・「本当のことが言えない」ので・・・空虚になりがちだった。

今こそ・・・真実の扉を開く時・・・。

「お前しか見えない・・・これは口説き文句ですが・・・お前しか見えない距離に近づいたらお前も見えません」

「だからこそ・・・距離を置くべきじゃないですか」・・・女生徒会長は斬り込む。

「昔・・・トンコーと三女の生徒の仲は今ほど険悪じゃなかった・・・」

平助は恥ずかしい過去に足を踏み入れた。

トンコーと三女では文化祭の共同開催の話が持ち上がっていた。

両校のエリートたちが実行委員会を作る。

当時の写真をりさはドンマイに見せられる。

ドンマイがマドンナだった頃。

その写真には肩を並べるサトシと祐子が写っていた。

「エビゾーみたいな男子とあまりんみたいな女子が交際していたこともある。二人は校舎の屋上でテートしていた。たまたま・・・礼拝堂が火事になった夜・・・二人は放火犯として疑われた。校舎が火事になれば共学になっていつも一緒にいられると二人が話していたという噂もあった・・・でもそんな噂はでたらめだ・・・だって二人が交際していたことを親友でさえ・・・知らなかったんだから・・・」

サトシは中傷に耐えきれず退学して姿を消した。

しかし・・・祐子は中傷に耐えて通学を続けていた。

三女の女生徒たちは「貴方のために文化祭が中止になった」と祐子を詰る。

すべての原因が自分にあることを知りながら平助は罪を告白することが出来なかった。

ラジオネーム「ロケット花火」はカバヤキ三太郎にアドバイスを求める。

「一方的に話さないで・・・とにかく言うべきことを言えばいい」

「何を・・・」

「おはようでも何でもいいよ」

平助が言うべき言葉は「ごめんなさい」だった。

しかし・・・平助はそれを口にすることはできなかった。

「おはよう」

声をかけた平助。

「おはよう・・・おはよう・・・おはよう」

ストーカーだった。

祐子は泣きだした。

平助は祐子がずっと泣いていたことを知り・・・心がつぶれるのだった。

そして・・・祐子も退学して平助の時は止まったのである。

謝罪して・・・謝罪されて・・・できれば愛されて・・・。

平助の夢は断たれ・・・開きかけた真実の扉は閉じる。

誰が悪いのか・・・平助には分からなかった。

すべては男女共学ではないというシステムの問題に還元されるからである。

「そんなしょうもない先輩のために・・・三女の三島祭とトンコーの男祭りは存続してます・・・」

「一体・・・何が言いたいんですか」

「・・・」

「若い時のあやまちは取り返しがつかないと言うことですか」

「違う・・・ただ一度の失敗ですべてがだめになるなんて・・・おかしいと思うんだ。何度でもチャレンジして・・・正しい道を見つけること・・・それが人間の生き様じゃないか」

でも・・・見つけられなかったら」と失恋の痛手の中にあるジンボーは反駁する。

「黙って・・・茶化さないで・・・タレカッパの話を最後まで聞きましょう」

生徒会長は完全に愛の旗を振りはじめるのだった。

「だから・・・つまらないルールに縛られないで・・・男子と女子はお互いを知りあう努力をするべきだと思う。そして・・・みんながここにいたことを誇りにできるような時間を過ごしてもらいたい。先生はそれを応援したいんだ・・・タレカッパって」

静寂は肯定の証だった。

教室の後ろにはりさが立っていた。

「どこから・・・話を聞いてたんですか」

「今の話は・・・生徒たちに響いたと思います」

「・・・」

「やりましょう・・・共同開催の文化祭を・・・」

「え・・・」

あまりんはトンコーの生徒になった。

「三女に彼氏がいま・・・」という宣言は許可しないリサだった。

前途は多難である。

なにしろ・・・真実の扉はまだ開かれていないのだった。

エロ住職が「OLプレイ」を求めて旅立った夜。

合同文化祭の打ち合わせのために・・・りさとスナック「ガールズバー」で待ち合わせた平助。

しかし・・・ママ(植木夏十)は不在。

かき鍋のおいしいシーズンに生牡蠣食べて当たるなんて・・・恐ろしいことだ。

留守を預かる店員は・・・サトシだった。

「えええええええええええええええ」

謝罪に満ちた青春の幕開けらしい・・・。

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Gome001ごっこガーデン。黄金の涅槃と愛の十字砲火セット。まこ悲しい時~。好きな人に交際している人がいた時~。イヤよイヤイヤ~。分かる奴にだけ分かればいいの道はイバラの道でしゅか~。フレディーはいきなりエイズの先駆者でしゅ~。愛のために検査は受けましょうキャンぺーン中でしゅ~・・・デングとかエボラもあるけどエイズも忘れずに~すべては愛と言う名の欲望のために・・・くう卑屈になれば向上心は失われる・・・高慢になれば虚栄心が育つ・・・初心忘れるべからずですね・・・祈りましょう・・・すべての愛のために生まれてくる命にハレルヤと・・・そして偏差値の向上こそが迷える子羊の救済の道を開くのですシャブリお前しか見えないって松岡修造に言われたら不安になるのでありました~

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2014年10月20日 (月)

明朝第14代皇帝万暦帝・李氏朝鮮第14代国王宣祖連合軍VS太閤豊臣秀吉軍(岡田准一)

天正十九年(1591年)、後継者の鶴松が病死し、豊臣秀吉は関白職を実姉・智の子・豊臣秀次に譲り、太閤と称した。

肥前名護屋城は半島侵略の拠点として整備され、文禄・慶長の役と呼ばれる唐入りが開始される。

秀吉の支配する日本国軍と明朝・李氏朝鮮連合軍は戦争状態に突入したのだった。

李氏朝鮮の国王は第14代国王の宣祖ですでに在位25年である。当時の李氏朝鮮は西人派、東人派という官僚派閥が勢力争いを繰り返し混乱していた。人民は大半が奴隷であり、国家には警察力はあっても軍事力はなかった。

秀吉の半島進出計画も事前に察知していたが・・・官僚同士の抗争によって・・・軍事的危機が黙殺されるという体たらくだったのである。

天下統一の過程で五十万丁の銃を保有する世界最強の軍事国家となっていた日本軍は李氏朝鮮の支配層を蹂躙し、宣祖は首都・漢城を放棄し、明国国境へと逃亡する。

李氏朝鮮の宗主国である明朝は派兵を余儀なくされるのだった。

明朝の皇帝は第14代皇帝の万暦帝である。自分の息子の結婚式に国家予算の半分を費やすというとんでも皇帝だったが・・・国力にものを言わせて李氏朝鮮に対して大規模の援軍を派遣するのだった。

それでも軍事力は日本軍が連合軍を圧倒したが・・・侵略側である日本軍には補給の問題が生じる。

戦争は一進一退を重ね、膠着状態となり、長期戦に突入する。

戦後、国力を疲弊した明朝は北の女真族の侵攻を受け滅亡し、大陸には清国が誕生するのである。

しかし、李氏朝鮮は清国の属国として日本の明治時代まで存続するのだった。

長いものには巻かれるのが基本的な半島気質なのである。

で、『軍師官兵衛・第42回』(NHK総合20141019)脚本・前川洋一、演出・藤並英樹を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は激減の18行。これはシナリオ的な危機でございますねえ。しかも描き下ろしイラスト公開なしです。まあ・・・大政所は未登場のまま他界するし、重要登場人物が続々登場するものの突然現れる感じなので存在感のかけらもないですからねえ・・・。とにかく・・・石田三成が小物だったで最後まで押し切る気満々ですな。一方、官兵衛は合戦は負け知らずだが・・・謀略は苦手みたいなことになってます。兵法と言う事象に対する誤解によって成立しているとしか思えない脚本でございますねえ。電撃作戦で半島縦断、明国増援の後は持久戦・・・これが秀吉と軍師官兵衛の戦略であることは明らかですからな。歴史にもしもは禁物ですが秀吉があと五年長生きしていたら・・・半島の歴史は変わっていたのは確実だったでしょう。少なくとも秀吉の唐入りは半島の奴隷階級の人々に未来を感じさせたのは明らかなのでございます。「敵軍に日本兵は少なし、ほとんどが反乱した朝鮮の民である」というのが朝鮮史の実情だったのでございますものね。

Kan042天正二十年(1592年)一月、太閤秀吉は李氏朝鮮に対し「服属か成敗か」の最後通牒を突きつける。対馬で小西行長は李氏朝鮮からの交渉拒絶の報に接する。ただちに諸大名で構成された秀吉軍は軍事作戦を開始し、四月中旬には秀吉軍は続々と朝鮮半島に上陸した。一番隊・小西行長は勢揃いを待たずに進撃を開始し、四月中に釜山鎮、東莱城、尚州、弾琴台などの弱少な朝鮮軍の守備隊を撃破する。二番隊・加藤清正、三番隊・黒田長政の率いる九州勢は進撃を続け、五月初旬には李氏朝鮮の首都・漢城(ソウル)を陥落させる。しかし、朝鮮国王は城内に放火し、すでに脱出していた。日本軍はただちに追跡を開始するが、朝鮮国軍は放火しては退却する焦土化作戦で逃亡を続ける。六月、小西軍は平壌(ピョンヤン)まで進軍する。七月、明国軍の先鋒部隊が到着し、明軍副総裁・祖承訓が平壌を吸収するが小西軍はこれを撃退する。加藤清正は降伏した朝鮮軍を手勢に加え北上し満州に侵入するが女真族の反撃に遭い撤退する。女真の長ヌルハチは明と李氏朝鮮に同盟を持ちかけるが両国はこれを拒否する。秀吉の母・大政所が死去する。明朝の本軍が到着すると防衛に成功する朝鮮軍拠点が出現し、秀吉軍の進撃は一段落する。八月下旬、小西行長は明国軍と休戦協定を結ぶ。九月、渡海途中に秀吉の甥で茶々の妹の江の夫・豊臣秀勝が病没する。独断専行した加藤清正は軍議に遅れた罪で石田三成に訴えられ帰国・謹慎を命じられる。十二月、後陽成天皇即位のため改元され文禄元年となる。この頃、茶々の第二子解任が明らかとなる。休戦の間に明国軍は着々と反撃準備を整えていた。

大政所の忍びに鶴松を暗殺された茶々は淀城に籠り、復讐戦を開始していた。

大政所と茶々の忍び戦は戦国最大の嫁姑合戦である。

大政所のなかは同じ半農足軽の出身の北政所のねねとは気心がしれていた。

しかし、織田家と浅井家という大名家の血筋を引く茶々とは全く相容れることができなかった。

認知症の気配を発してからの大政所は茶々を息子をたぶらかす女狐と見なす妄想に捉われる。

茶々の生んだ鶴松を自分の孫とは認めずに長女ともの生んだ三人の孫を脅かす存在として認識したのである。

大政所の放った刺客によって鶴松は毒殺されたのであった。

「猿を生んだだけあってまさに雌猿じゃな」

真相を知った茶々は激しく毒づいた。

近江国浅井家出身者を多く揃える茶々の侍女団には石田三成に通じるものがあった。

茶々には甲賀の流れを組むくのいち集団がついていたが・・・これに三成の指図で真田幸村の率いる真田忍軍が加わったのである。

淀城の奥の間に真田幸村が現れる。

「幸村よ・・・妾は・・・肥前名護屋城に参るぞ」

「御意・・・」

「太閤の種をしぼりとってくれるわ・・・」

「御意・・・」

「しかし・・・あの雌猿が生きておってはおちおち子育てもできぬわ・・・」

「御意・・・」

「吉報を待っておるぞ・・・」

「御意・・・」

茶々が身を翻すと幸村の姿も消えていた。

真田忍軍は雑軍である。

真田の忍びとして激しい修練を生き伸びた幸村自らが各地の忍者の里をめぐりスカウトした実力者が揃っていた。

そのツートップが甲賀の猿飛佐助と伊賀の霧隠才蔵である。

すでに・・・伊賀も甲賀も忍者の里としてはその機能を失っていた。

信長が豪族としての忍びを撲滅したからである。

しかし・・・双方の隠れ里は残り・・・そこでは子供を攫っては忍びとして育成するシステムが細々と運営されている。

佐助も才蔵もそうした里の出身であった。

カリスマの能力を持つ幸村は二人の天才忍者の心を掴んでいる。

幸村の命を受けた二人の忍びは難攻不落の大坂城の結界を破り、本丸の奥の間に侵入する。

本丸を守備するのは・・・飛騨の黒影だった。

黒影は奇妙な霧が城内に発生しているのを訝しんだ。

霧はますます濃くなり・・・一寸先も見えなくなる。

「面妖な・・・」

黒影は警戒の合図を配下の忍びに送る。

しかし・・・応ずるものがない。

黒影は守備を固めるために・・・仕掛けを施した松の木に身を寄せる。

そこには黒影の武具が隠されている。

しかし・・・あるはずの松の木が消えていた。

黒影は驚愕した。

周囲を漂う白い霧の向こうで波の音がしたのである。

「霧隠れ流秘術・・・異界流し・・・」

ひっそりと声が聴こえる。

黒影はその声の主に必殺の手裏剣を放つ。

しかし・・・手裏剣は虚空に消えた。

「馬鹿な・・・」

思わず後ずさった黒影の足元には地面がなかった。

「おおおおおおお」

悲鳴を残して落下する黒影は千尋の谷を見た。

チョモランマの氷雪に黒影の骸がさらされる。

無防備となった大坂城本丸に佐助は忍びこんだ。

大政所の警護をするくのいちたちが殺到する。

しかし、くのいちたちの武具はすべてかわされる。

大政所は微笑んだ。

「おや、秀吉かえ・・・」

目の前に秀吉がいた。

秀吉は掌に隠した針で大政所の心臓を刺す。

大政所は最後に秀吉の正体を見る。

「おや・・・こんなところに・・・本物の猿が・・・」

大政所が倒れ伏すと・・・佐助の姿も消えている。

大坂城の霧が晴れ・・・天空には朧月が高く登っていた。

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2014年10月19日 (日)

悪い妖怪から生徒を守る正義の味方かもしれません(堀北真希)

オープニング・ナレーションだけだろっ。

それにしても凄い攻撃だったな。

ただでさえ・・・「世にも」の裏だと言うのに。

野球延長で一時間遅延なんて・・・黄金時代みたいだ。

ドラマもバラエティーも泣いたあの日。

育つもんも育たんわ・・・。

しかし、生中継はテレビの本質のひとつだからな。

いつ、ゴジラが出現するかわからんからな。

いや、それはわかる。

妖怪も怪獣も野球もサッカーも流行り廃りがあるよねえ。

転落の人生は恐ろしいよね。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第2回』(日本テレビ20141018PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・マギー、演出・佐久間紀佳を見た。妖怪ファンタジーは一種の宗教である。「ゲゲゲの女房」が「源義経の静御前」と姉妹だったりもする。ゲゲゲ派は昭和の時代に発生したわけだが・・・妖狐の歴史は紀元前まで遡上できる。中国から日本に上陸し平家物語の時代に妖狐は朝廷にまで入り込む。つまり、妖怪ワールドにおいてゲゲゲの女房と靜御前は無縁ではないのである。ここで便宜上、ゲゲゲ派以前のそれらは古典派ということにしよう。源義経が滅亡させた平家一族は平家の亡霊として妖怪化する。法一の耳を奪ったり、夏の海水浴場で足をひっぱったりとなかなかの存在感である。つまり古典なのである。妖怪の定義はなかなかに困難で、それはゾンビが「死なないご遺体」と呼称していいものかどうかと同じくらいにやっかいだ。ゲゲゲ派はフィクションとしてかなりの完成度を持っているが・・・それは作者の呪詛に満ちた人生経験が滲み出るからである。ゲゲゲ派にも妖狐は登場する。しかし、地下の稲荷帝国の存在からも明らかなようになかなかに政治的な存在なのである。ゲゲゲ派にはドラキュラや狼男も登場するが・・・怪物くん派にもそれらは登場する。古典派からの引用は常套手段だからである。それらは西洋の妖怪なのか・・・怪物なのか悩ましいところだ。ジーンズと呼ぶべきかデニムと呼ぶべきか・・・である。ぬ~べ~派はそういう点にはあまりこだわらない。面白ければそれでいい世界の出身だからである。

しかし・・・殺害されて高校の壁に塗りこめられて自縛霊的に妖怪・壁男になったものと・・・天界に属する超生命体・妖狐を一緒にされるとややたじろぐわけである。

壁男は悲しい・・・ただ壁から上半身を尽きだして通りかかった人を驚かせるだけである。

それは交通事故で下半身を失った障害者のようなものだ。

今なら、パラリンピックに誘導するのが・・・好ましいと思うが・・・この世界では「存在しているのが悲しいだろうと」と霊力で一発成仏である。

考えようによっては非常に危険な展開である。

ゾンビ区役所がゾンビ発祥の地をメキシコと設定してしまうのも本当は危険なのだ。

もしも、中国や韓国に設定したらクレームが来るかもしれないからメキシコにしているなら・・・そこにはメキシコなら文句言わないだろうという安易で危険な兆候があるわけである。

さあ・・・わけのわからない心配してないで・・・そろそろ本編に行けよ。

童守高校の国語教師・ぬ~べ~こと鵺野鳴介(丸山隆平)の正体・・・左手に鬼を封印している半妖怪であること・・・はのろちゃんこと中島法子(水谷果穂)と栗田まこと(知念侑李)だけが知る秘密である。

ぬ~べ~は妖怪たちから生徒を守ることが使命だと言うのだが・・・教師の使命は勉強を教えることだ。

しかし・・・ぬ~べ~は小学生のような性格で・・・どんな性格だ・・・何より生徒たちに愛されたいのである。

もちろん・・・それは演じているのがアイドルだからではない。

人に愛されてる実感がないと鬱になる心の病気だからである・・・おいっ。

まあ・・・要するに教師としても大人としても未熟なのである。

そのために・・・空回りして本質を見失うのだった。

一方、生徒たちの人気者となった家庭課教師の玉藻京介(速水もこみち)は実は妖狐なのである。

「四百年生きている」と発言しているので・・・古典派の妖狐の一族ということになる。

妖怪のことを物の化という場合があるが・・・これは無機質のものから動物や植物のものまで人間以外の万物が意識を持つように変化した状態である。

本来、妖狐は稲荷大明神や九尾の狐のように天界の生命体で、ある意味、神なのであるが・・・おそらくぬ~べ~派の妖狐は化け猫のようなものであるのだろう。

四百年前に・・・狐が何らかの刺激で物の化となったのである。そして、本家である玉藻前の一族であることを詐称しているのだろう。

ちなみに意識化現象にもモノ(悪霊)とタマ(神霊)があることが古典派の基本である。

おなじみの手法で悪霊は人の陰気を食って力を得るのである。

怨みや愚痴などの悪感情が陰気とは限らないが、笑う門には福来ると信じたいのが人情というものなのだろう。陽気なかしまし娘はなんとなく妖怪の餌食になるとは考えにくいのである。まあ、今や本人たちが妖怪のようなものだからな・・・おいおいおいっ。

あまり深く考えることなく七不思議探検隊となったぬ~べ~は壁男を壁から除霊してどこにあるのかわからない仏の世界に転生させるのだった。

そんな様子を監視する妖狐は・・・ふたつの悪だくみを思いつく。

一つは・・・ぬ~べ~を罠にはめ・・・生徒たちにぬ~べ~への悪感情を生じさせ、これを食べる。

もうひとつはそのことで生徒たちを追い詰め・・・ぬ~べ~の正体を暴露するということである。

狐なのであまり、頭がいいわけではなく・・・そんなことをして何になるのかもあまり考えない脚本なのだった。

折しも・・・童守高校は文化祭シーズンで・・・ぬ~べ~のクラスはお化け屋敷のアトラクション開催を決定する。

稲葉郷子(松井愛莉)と立野広(中川大志)がリーダーシップを発揮し、クラスは一つとなって活動するのだった。

蚊帳の外に置かれたぬ~べ~は疎外感を味わうのだった。

気分を高めるために修行中のイタコである葉月いずな(山本美月)主催の百物語(怪談話のリレー大会)に参加する生徒たち。

しかし、そこに乗り込んで「安易な気持ちで妖怪に接してはいけない」と説教するぬ~べ~。

当然・・・しらける生徒たちだった。

「邪魔しないでよ」

「君のような未熟な人間に・・・妖怪を語る資格はない」

いずなにまで説教を始めたぬ~べ~は明らかに何様なんだ状態である。

妖怪の実在を知るのろちゃんとまことはなんとかフォローしようとするが・・・自己中心的な性格のぬ~べ~はますます生徒たちの反感を買うのだった。

生徒たちが作り上げたお化け屋敷セットに「本当の一つ目小僧とは違う」と難癖をつけるぬ~べ~。

生徒たちは呆れて休憩に出る。

教室に取り残されたぬ~べ~に妖狐はとんぼの妖怪を送り込む。

とんぼの妖怪と大立ち回りを演じたぬ~べ~は・・・生徒たちの苦心して作ったセットを破壊しまくるのだった。

戻って来た生徒たちは惨状を見て「なにしてくれてんだ」と激昂。

そりゃそうだ。

落ち込んだぬ~べ~を慰める妖狐だった。

「失敗から学ぶことが大切ですよ」

優しい言葉に救われる気持ちになるぬ~べ~。

「どうしたら・・・信頼を取り戻せるか」を自分の手の中に封印された幻想世界の覇鬼(坂上忍)と謎の女教師・美奈子先生(優香)に相談する。

「そんなの形にしなくちゃだめだろう。誠意より金だよ」

「でも形のないものも信じないと未来は築けないわよ」

「未来だって・・・あははははは」

「将来のことを話すと鬼は笑っちゃうのよね」

「まあ・・・天気予報のない時代の方ですからねえ」

一方、稲川淳二のものまねが得意の童守寺和尚(マキタスポーツ)といずなの前に現れた金目当てのエクソシスト・無限界時空(高橋英樹)はいずなが無断で持ち出していた管狐のこいなりを召喚する実力を見せる。

「弟子入りしたいんですけど」

「ことわる」

「でも・・・ぬ~べ~に未熟者と言われて口惜しいのです」

「未熟者に未熟と言われてもさしたることはない」

なにやら・・・因縁ある無限界時空とぬ~べ~なのである。

誠意を見せるために・・・お化け屋敷セットの修復を始めるぬ~べ~。

不器用なぬ~べ~を見るに見かねて手伝う化学教師・高橋律子(桐谷美玲)だった。

しかし、お化けの仕掛けが発動して悶絶である。

倒れた律子先生を介抱しているところに郷子と広がやってきてあらぬ誤解が発生する。

「暴行教師だわ」

「警察を呼ばないと」

「違う・・・」

やってきたまこととともに律子先生を保健室に運ぶぬ~べ~。

教室に残った郷子と広の前に妖狐は本性を見せる。

本当にあった怪異の世界に腰を抜かす二人。

郷子の悲鳴にかけつけるぬ~べ~。

「生徒たちは私の命だ」

「八甲田山かっ」

「先生」

身を挺して火炎攻撃から守ってくれたぬ~べ~にたちまち感謝する郷子と広だった。

「そろそろ本気でいくぞ」と妖狐。

「こっちにだって奥の手がある」とぬ~べ~。

鬼の手攻撃である。

「強制成仏」

「意味分かって言ってんのか」

しかし・・・妖狐と言えども地獄の鬼には歯がたたないのだった。

逃げ出した妖狐を追ったぬ~べ~は玉藻先生の正体を知る。

「妖怪だったのか」

「お前こそ妖怪じゃないか」

「僕は人間だ」

「左手が鬼の手になってるやつは妖怪だよ」

「妖怪じゃないもん・・・人間だもん」

「子供かっ」

妖狐とぬ~べ~の間にファナモの話の好きな小学生レベルの友情のようなものが芽生えるのだった。

こうして・・・ぬ~べ~の秘密を知る生徒は四人になったのだった。

まあ・・・最終回までにはみんな秘密を知ることになっちゃうね。

そうなると一人くらいは素晴らしいインターネットの世界に鬼の手動画をアップするよね。

とにかく・・・お化け屋敷は大盛況で・・・押し掛け女房的雪女のゆきめ(知英)の友達の本物の一つ目小僧も紛れ込む。

無口なサトリの化け物はただの一般人であることは言うまでもない。

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2014年10月18日 (土)

Nozomi(賀来賢人)Naruse(窪田正孝)Nishizaki(小出恵介)Nのために(榮倉奈々)

決定なのか。

(月)「ごめんね」

(火)「信長」

(水)「選タク」

(木)「休み」

(金)「N」

(土)「ぬ~べ~」

(日)「官兵衛」

谷間なしである。

「ひみつのアッコちゃん」のレビューは・・・年末で・・・会えない時間が愛を育てるのか。

それにしても「ひみつのアッコちゃん」(綾瀬はるか・吉田里琴)→「Nのために」(榮倉奈々)→「甲殻不動戦記 ロボサン」(私立恵比寿中学)の流れで視聴すると頭が沸騰するよな。

やはり、秋ドラマは殺意に満ちているな。

で、『Nのために・第1回』(TBSテレビ20141017PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・塚原あゆ子を見た。誰かの子供であること。誰かの親であること。そこに普通の関係を見出す事の出来る人は幸せなのかもしれない。五分毎に便意を訴える母親とか、子供に麻薬を打つ父親とか、父親を湯船に沈める子供とか、母親を崖から突き落とす子供とか・・・そういう関係とは無縁の人々。そういう普通の家庭と・・・普通でない家庭の境界線はすぐそこにあるかもしれない。人は不条理に出会う。逃げるか、立ち向かうかはその人の資質によるものなのだろう。

【2014年】かって・・・瀬戸内海の小さな島の駐在だった高野茂(三浦友和)は殺人事件の犯人として刑期を終えた西崎真人(小出恵介)を訪ねる。

「そんな昔のことは忘れたね」

【2004年】事件は会社員の野口夫婦が住むマンション「スカイローズガーデン」の48階の一室で起こった。

夫である野口貴弘(徳井義実)が妻である奈央子(小西真奈美)を殺害し、奈央子の愛人である西崎が貴弘を殺害したのである。

【2014年】「しかし・・・現場には他に人がいましたよね」

「・・・」

事件現場には貴弘の部下である安藤望(賀来賢人)、大学生の成瀬慎司(窪田正孝)、同じく大学生の杉下希美(榮倉奈々)が居合わせた。

「彼らは・・・あなたと顔見知りだった」

「・・・」

「あなたは事件直後、担当の弁護士に・・・俺たちはすべてNのためにやった・・・と語っている」

「・・・」

「俺たちってあなたと誰です・・・Nって何のことですか」

「そんなこと調べてどうするつもりだ」

「成瀬慎司と・・・杉下希美の二人は・・・古くからの知り合いでね・・・捜しているんですよ」

「・・・」

「15年前二人は・・・あおかげ島という小さな島の高校生だったんです」

【1999年】杉下希美は・・・島で一番の企業の経営者の娘として何不自由のない暮らしをしていた。

島は祭りの開催で賑わっていた。

幼馴染で島で一番の料亭の息子である成瀬慎司を目で追う希美は・・・婿養子だがやり手の父親・晋(光石研)、美しい母親・早苗(山本未來)、中学生の弟・洋介(葉山奨之)という家族に囲まれて何の不安も感じていない。

しかし・・・祭りの終わりとともに・・・家庭は崩壊する。

愛人の宮本由妃(柴本幸)を島に連れ帰った晋は・・・妻と子供たちを家から追い出したのである。

「何言ってるんだ・・・頭おかしくなったのか」と洋介は父親に問う。

「この家に婿養子にきて17年・・・傾きかけた会社を立て直し・・・家族を養うためにやるだけりことはやった。毎年、毎年、祭りの世話をしてきた。しかし、俺も自分のための祭りがしたくなったんだよ・・・俺は俺の稼いだ金で・・・俺の喰いたいものを食い・・・俺の暮らしたい女と暮らすことにしたんだ」

お嬢様育ちの早苗はおろおろするばかりだった。

事態を把握した希美は父親に殺意を抱く。

凶器を手にした望美を制止したのが・・・島の駐在だった高野だった。

結局、希美は母親と弟とともに山奥の廃屋に移り住む。

父親は生活費として月十万円を振り込むと約束する。

狭い島である・・・噂はたちまち広まる。

島の実力者である父親の行為はそれほど問題にはされず・・・追い出された三人が後ろ指をさされる始末である。

母親は現実を受け入れられずゆっくりと狂って行く。

高級な化粧品に執着し、最初の振り込みをすべて費やす。

飢えた希美は父親に無心に行くが応対するのは愛人だった。

「お金ね・・・そうだ・・・こうしよう・・・私が料理してあげる・・・それをあげるわ・・・だけどもらう時は土下座して頼んでね」

愛人は料理が上手で嗜虐的な性格だった。

「お願いします・・・料理をください」と屈辱に耐える希美。

「私はねえ・・・料理が上手なの・・・あなたのお父さんにはいつも褒められる。あなたのお母さんは料理が下手なんですってね・・・不味くて食べられたものじゃないって・・・十七年もよく我慢していられたよね」

弟は・・・唇を尖らせる。

「あの女の作った料理なんて・・・」

「黙って食べなさい・・・一ヶ月の我慢よ・・・あの人が心配して作ってくれたんだから」

「美味い・・・なんて美味いんだ・・・俺たちっていつも不味いものを食べてたのか」

「お母さんにはそんなこと言っちゃダメよ」

「うん」

掌を返すように・・・希美の友達は去って行った。

ただ・・・慎司だけが・・・希美に寄り添う。

慎司の父親(モロ師岡)と母親(美保純)も諍いが絶えない。料亭の経営も傾いていたのだった。

希美と慎司の二人は趣味の詰将棋で心を通わせる。

希美が出題し、慎司が解くのだった。

シャープベンをカチカチカチと三回ノックしたら・・・それは「凄い」の意味なのである。

「どうして・・・自分で解かないの」

「私は将来・・・豪華客船で・・・アラブの富豪と将棋で勝負するの・・・勝って油田をいただくのよ・・・そのためには戦略が必要なの。あなたが解いた手順を暗記するのが私の為すべきことなのよ」

「へえ」

尋常ではない家庭を生きる希美の心情を優しく受け止める慎司だった。

希美の母親は高価な宝石を購入しようとし、息子の怒りを買う。

「しっかりしてくれよ・・・姉さんがどんな思いで食事を用意していると思ってんだ」

「やめて」

「あの女の手料理なんだぞ・・・母さんが毎日美味しい美味しいと喰ってんのは」

「ひいいいいいいいい」

しかし、希美の母親は現実から逃避し続けるのだった。

もはや・・・まともな人間ではないのである。

なんとか冬を乗り切った希美。

弟は本土の全寮制高校に進学し、希美は新聞配達のアルバイトで糊口をしのぐ。

「大学なんかに行く必要はない。俺は大学に行ってないが大学に行った奴より金を稼いでいるからな・・・やりたいことがあったら金を稼ぐのが一番だ」

父親は希美を大学に行かせるための経済的援助を拒否するのだった。

しかし、希美は折れない。

闘志を燃やすのである。

希美にはだめな母親の血も流れていたが・・・素晴らしい父親の血も流れていたのだった。

慎司の料亭が人手に渡るのが決まった夜。

慎司は希美を真夜中のデートに誘いだすのだった。

朝日の当たるバルコニー。

「私・・・奨学金でもなんでももらって大学に行く・・・そして一人で生きていく」

「俺も・・・奨学金でもなんでももらって大学に行くよ」

二人は・・・たくましく生きていくことを誓うのだった。

【2014年】高野は回想を止めた。

「そんな二人だったんだ」

「そういう二人にあんたは何かしたのかい」

「他人のできることに限りはある」

「ふふふ・・・若者は自分のことしか考えないと・・・大人たちは言うよね」

「・・・」

「でもさ・・・誰かのためになら何でもするって若者だっているだろう」

「・・・」

「その人がいなければ生きている意味がない誰かのために・・・嘘もつけば人も殺す・・・そういう若者だってさ」

「一体・・・何があったんです・・・あなたたち四人は何を隠しているんですか」

「すべては・・・Nのために・・・さ」

素晴らしい滑り出しである。

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2014年10月17日 (金)

きのう、処女を喪失したのできょうは会社休みます。(綾瀬はるか)

呪縛が解けたな・・・。

ついに「アオイホノオ」から解放されたみたいだ。

同僚社員に佐藤二朗がいたらどうしようかと思ったぜ。

流れとしては・・・「ホタルノヒカリ」がそこそこやれたんだから・・・コレも行ける・・・的な感じ。

後はバランスだよな。

「恋」と「仕事」の両立という現代女性の直面する問題が「筋」だからな。

いや・・・どちらかというと少子化時代の「恋」と「家族」の問題にシフトするのかもしれんぞ。

なるほど・・・。

ホタルはほぼ・・・ヒロインの家族はスルーだからな。

男女雇用機会均等法は「親の老後」が女子にも降りかかってくる制度だからな。

実の親の世話を嫁にまかせた時代の終焉だよな。

まあ・・・スイーツはスイーツだからねえ。

結局、もてもてなんだよな。

結局、ちやほやされたいんだよな。

そういう甘い夢に徹してもらいたいねえ。

で、『きょうは会社休みます。・第1回』(日本テレビ20141015PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。問題は脚本だよなあ。臆病な男子主人公については一応「プロポーズ大作戦」で成功しているわけだが・・・その後はずっと低調な推移で・・・「SUMMER NUDE」でとんでもない感じになってココである。なんで女流に書かせなかったんだ。しかし、原作付なので初回を見る限りは無難なスタートだった。「SUMMER NUDE」の豪華すぎた共演よりも・・・今回はオーソドックスな三角関係で・・・要するに「プロポーズ大作戦」の逆をやればいいわけである。基本的に女々しい作風なので・・・意外と合うかもしれないねえ。

30才の誕生日まで・・・なんとなく男性経験のなかったヒロインが帝江物産横浜支社食品部デザート原料課の青石花笑(綾瀬はるか)である。

本人はなんとなく・・・と思っているが・・・要するに臆病なのである。

なにしろ・・・アレはものすごく無防備になる必要のあるものだからな。

その上、アレがアレにアレしてくるという想像すると恐ろしい行為なのだ。

やはり・・・初体験は本能がアレの時にあれよあれよとすました方が無難だ。

18才の時にチャンスのあった花笑。

相手は大学の先輩である。

しかし・・・ホテルに誘われ、門限を理由に断ったのがアレだったのである。

相手には別の交際相手がいたというが・・・18才くらいならよくあることである。

切磋琢磨してアレを磨く年頃だからな。

おいっ。

脚本家がアレなのではっきりと描かれないわけだが・・・要するに引きずってしまうわけである。

チャンスを逃したというあせりで・・・時間が止まってしまったのだ。

次の日、花笑は思う。昨日、やっておけばよかったな。

一週間後、花笑は思う。一週間前にやっておけばよかったあ。

一年後、花笑は思う。一年前にやっておけばなあ。

そして12年後・・・花笑は・・・12年前にやっていればと思うのだった。

まあ・・・明らかにホラーです。

脚本家は優しい性格なので・・・この辺りの痛々しさを痛快に笑いで包まないのがもどかしいわけである。

笑える話をシリアスに持っていっちゃうんだもんなあ・・・。

しかし、ヒロインがヒロインなので存在感でなんとか持って行きます。

帝江物産は老舗の商社である。

その支社の食品部のデザート原料課の事務職の女性社員・・・。

安定しているのか不安定なのか・・・微妙な職場で十年、キャリアを積んできたのである。

ずっと・・・ここが職場とは限らんぞ。

いや・・・なんとなくそういう感じなんじゃないか。

そういう描写もこの脚本家は不得手なんだよなあ。

職場には二線級のイケメンが何人か配置されている。

「リーガルハイ」の忍びの者こと田口淳之介の演じる同僚・大城。

「ST 赤と白の捜査ファイル」の脇役刑事役の水上剣星の演じる鮫島。

「平清盛」だろうが「SUMMER NUDE」だろうがずっと童貞な感じの千葉雄大が演じる加々見。

上司は「あまちゃん」の観光協会長でおなじみの立花(吹越満)である。

ヒロインに老いを感じさせる若手女子のポジションに大川瞳(仲里依紗)である。24才で一児の母の実生活がほのぼのと反映する。

そして・・・ヒロインの恋のお相手が・・・「あまちゃん」の種市先輩こと宇宙キターッな福士蒼汰の演じる田之倉悠斗・・・。

大学生のアルバイトなのである。

実は・・・花笑は悠斗を一目見た時から・・・心を奪われていたのだった。

そんな描写ないだろう。

だから・・・悠斗は初体験の相手になるかもしれなかった大学の先輩と一緒なんだってば・・・。

花笑の時間は止まってるんだから。・・・ああ。

生ぬるい感じの職場では生ぬるい感じのアフターファイブしかないのである。

すでに・・・恋愛の対象外となっている花笑は揶揄の対象でしかない。

課長も瞳には忘れない義理誕生日プレゼントを・・・花笑にはうっかり忘れるのである。

大城は毎日のように・・・「そろそろ・・・彼氏を作ればどう」と余計なお世話をするのだった。

ちなみに大城は花笑にとって最初から対象外だった。

どんなに若くても社会人だからである。

花笑の相手は最初から・・・悠斗以外にはいないのである。

大城のお世話がしつこいために・・・ついに嘘をつく花笑。

「私・・・最近付き合っている人がいるんです」

「えええええ」

「でも・・・他の人には言わないで・・・」

もちろん、課員一同に吹聴する大城だった。

花笑は思わず悠斗を窺う。

ね・・・花笑は最初から悠斗狙いってことでしょう。

誤解されたくないわけである。いや・・・この時点では悠斗とは何の関係もないわけだが。

花笑と比べれば恋愛に積極的な瞳は・・・ビル内の違うフロアにある食品輸入卸会社「アルバ・トレーディング」のCEOである朝尾侑(玉木宏)にまでアピールを展開していた。

「のだめカンタービレ」の千秋先輩は・・・綾瀬はるかとは「鹿男あをによし」で共演済みである。

しかし・・・今回は・・・花笑のターゲットが大学生限定なので最初から対象外なのであった。これは「鹿男」で女生徒(多部未華子)とキスをした報いだな。

だが・・・ランチタイムで花笑と同席すると何故か・・・CEOは花笑にアプローチを開始する。

スイーツの神様がそうしろというんだな。

しかし・・・「こじらせ女子」・・・大学生時代のミスを引きずり恋愛恐怖症で男性恐怖症でセックス恐怖症の花笑はコミュニケーションを拒絶である。

処女である前に人間性にも問題があるんじゃないか・・・。

そんな・・・花笑を作り上げたのは・・・両親。

「最後から二番目の恋」のダメ男でおなじみの巌(浅野和之)と「昼顔」の極めて典型的な姑を演じたばかりの光代(高畑淳子)・・・。

娘に「花のように笑え」とシュールなほどにロマンチックな名前をつけてしまった・・・スイーツな両親なのだ。

そのために・・・花笑は「いい子」のまま、三十路に突入しようとしているのである。

まあ・・・良い両親が子供を幸せにするかどうかは未知数だからな。

三十路になるのに交際相手もいない娘のためにバースデーケーキを並んで買う巌だった。

一方・・・悠斗のストーカーである花笑は尾行して屋上で電話の会話を盗み聞く。

「だから・・・君とはもう終わったんだよ」

悠斗に彼女がいたことにショックを感じると同時に・・・彼女がいなくなった事を知り歓喜する花笑。

もちろん・・・本人さえはっきりと認めない深層心理の話である。

「あ・・・なんか・・・すみません」

花笑に気がつき動揺する悠斗。

スイーツの神様の指示により・・・悠斗が彼女に別れを告げたのは・・・実は花笑に恋をしてするからなのだ。

えええええっ。一体なんで。

もちろん・・・おっぱいバレー的なアレですね。

もちろん・・・そんなこととは露知らぬ・・・花笑だった。

そして・・・誰もが花笑の誕生日だとは気付かない課内飲み会の夜。

瞳のアプローチをかわすための「俺・・・彼女います」という悠斗のウソにカチンとくる花笑。

「この間、電話で別れ話してたでしょう」という理不尽な攻撃をするのだった。

「え」

なぜか・・・おしゃれなバーで・・・花笑と瞳と悠斗の二~三次会である。

花笑と瞳のツーショットでの会話。

「瞳ちゃんは積極的でうらやましいな」

「だって花笑さん・・・彼女いるんでしょ」

「あ・・・友達がね・・・消極的で彼氏ができなくて」

「そんなの・・・コーマンですよ」

「コーマン・・・」

「高慢ちきだって言うんですよ。いつかバス亭に白馬の王子様が迎えに来るなんて言い出すタイプですよ。来ませんよ。バス亭に来るのは路線バスだけですよ」

「・・・」

酔い潰れた花笑を送りだすと残ったのは本気で花笑を狙っている悠斗と・・・心の奥底で悠斗を狙っている花笑の二人が残るのだった。

「ひどいな・・・タレコミなんて」

「だって・・・彼女をふっておいて彼女がいるなんてずるいじゃないですか」

「もしかして・・・彼氏いるって・・・ウソなんですか」

「・・・」

超能力者のような悠斗だった。

もちろん・・・スイーツの神様が囁いているのである。

気まずくてトイレに立つ花笑。

そこへ・・・花笑の数少ない友達で二児の母の笹野一華 (平岩紙)からお誕生日のお祝いメールが届く。

目ざとくそれを察知する悠斗。

花笑が戻るまでにバースデー・サービスをオーダーするのだった。

初めて男に誕生日を祝われた花笑は陥落する。

「今夜・・・朝まで一緒にいてください」

「朝まで・・・何するの」

「バッティングセンターとか・・・ゲームセンターとか・・・」

「そして・・・私をあなたのセンターにしてくれるんですか」

「そんな・・・親父ギャグはなかったと思います」

だが・・・花笑のセンターは激しく貫かれたのだった。

下半身がじんじんする朝・・・おっぱいバレー的な悠斗の手をそっと外した花笑はホテルから脱走するのだった。

なにしろ・・・12年間過ごした竜宮城の夢が醒めたのである。

大学生とのアレが失敗から成功にチェンジして・・・花笑は浦島太郎となった。

玉手箱を開けたら18才から30才になっていたのだった。

「ああああああああああああ」と叫びながら朝の街を走る花笑だった。

それを目ざとく見つけるCEO。

「おや・・・昨日と同じ服・・・やりましたか」

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」と叫びながら会社から撤退する花笑。

そして・・・たまりにたまった有給休暇を消化するのだった。

「今日、会社休みます」

失われた12年に呆然とする花笑だった。

娘のコーマンを許してきたというか結果としてコーマンを阻んできた巌は・・・おいっ・・・娘にケーキを食べさせる。

ここを優しいシーンと考えるか・・・残酷と考えるかは・・・微妙なところですな。

まあ・・・どんな父親も自分以外とのセックスを娘に許したくはないわけですが・・・おいおいおいっ。

そして・・・女学生から適齢期を過ぎたおばさんに突然なってしまった花笑は意中の人と顔を合わせることもできないのだった。

ものにした女の態度にとまどう悠斗。

エレベーターの壁ドンである。

「俺・・・マジですから」

「え」

「俺じゃ・・・ダメですか」

「え」

キスである。

「ええええええええええええ」

通りすがりのCEOは一瞬ですべてを見抜くのだった。

「なんか・・・困ってるんだろ・・・相談にのるよ」

スイーツです・・・極上のスイーツの世界が今、幕開きました。

アレがアレしたからな。

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2014年10月16日 (木)

とりかえしの・・・とりかえしのつかないことをしてしまった貴方のための素敵な選TAXI(竹野内豊)

呪いである。

呪いがかかってしまっている。

アオイホノオ」の呪いだ・・・。

(土)「地獄先生ぬ~べ~」の修行中のイタコである葉月いずなが森永とんこ(山本美月)・・・。

(日)「ごめんね青春!」の生徒会長の中井貴子が津田ヒロミ(黒島結菜)・・・。

(日)「軍師官兵衛」の黒田家家臣の栗山善助が岡田 トシオ(濱田岳)・・・。

(月)「信長協奏曲」の織田信長の弟の信行が焔モユル(柳楽優弥)・・・・。

そして・・・(火)「素敵な選TAXI」のゲストが庵野ヒデアキ(安田顕)なのである。

もはや・・・「アオイホノオ」関係者の出演ドラマしかレビューできない運命なのかっ。

・・・そんなことはない・・・と思う。

で、『素敵な選TAXI・第1回』(フジテレビ20141014PM10~)脚本・バカリズム、演出・筧昌也を見た。企画的にはものすごく危険な香りがしたが・・・意外とオーソドックスにまとめてきたのだった。時間旅行ものとしては・・・ファンタジー系である。そうなると基本的に悪魔の香りがしてくるわけだが・・・今回の魔法使いは・・・天使系である。失敗した人にやり直しのチャンスを与えるだけでなく・・・適切なアドバイスもしてくれるのだ。ある意味、ものすごく道徳的な展開である。なにしろ「短気は損気」ということわざをじっくりと語りました・・・という序盤である。しかし・・・そこから・・・「相手の立場になれ」とか「想像力を働かせろ」とか・・・さらに模範的なアドバイスを重ねてくるのである。ずっとこうなのか・・・それとも悪魔的な要素を展開することもあるのか・・・予断を許さないところがなかなかなのである。

休憩時間を「cafe choice」で過ごすタクシー・ドライバーの枝分(竹野内豊)・・・メニューを見てなかなか・・・注文を決められないタイプである。

ウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)も呆れるほどに決断力がないのだった。

マスターの迫田宏(バカリズム)はテレビドラマ好きらしい。

話題は・・・始ったばかりのドラマ「犯罪刑事」(主演・デビット伊東)である。

客だか従業員だか不明の関カンナ(清野菜名)には好評らしい。

「面白いんですよ・・・刑事が犯人で・・・犯人が刑事なんです」

「じゃ犯人刑事でいいじゃないか」

ささやき刑事の異名をとる・・・藤村寛平じゃなくて・・・常連客の標道雄(升毅)は「犯罪刑事」にはあまり好意的ではないようだ。

「匂う、悪の香り・・・キミ、犯人だよね・・・悪いようにはしないから・・・今夜・・・」

「ここはそういうお店じゃないですよ」

「あ・・・そう」

「枝分さん・・・そろそろご注文を・・・」

「・・・アイスコーヒーで・・・」

思わずお盆を落す夏希だった。

夜の街は騒がしい。

何か事件があったらしく・・・非常線が張られ警官による検問が行われている。

売れない役者の村上秀樹(安田顕)は通行人に衝突するほど急いでいた。

デートの待ち合わせに遅刻しているのだ。

しかも・・・高級レストランを予約し・・・恋人の浦沢香(小西真奈美)にプロポーズしようという大事な夜なのである。

ポケットには指輪も忍ばせている。

午後九時の待ち合わせなのに・・・もう・・・九時二十分・・・。

レストランの給仕(住田隆)に案内されて・・・着席した時には二十一分・・・。

恋人の香はご機嫌ななめである。

一方、秀樹は・・・プロポーズの事で頭が一杯なのである。

「待った?」

「待ったってどういうことよ・・・貴方が遅刻してきたんだから待ったに決まっているでしょう」

「まあ・・・そうだよね」

「謝りなさいよ」

「ごめん」

「・・・」

「とにかく・・・食べようよ」

「私はいろいろと待たされてるわ・・・いつか有名な役者になるからって言って・・・八年よ」

「・・・」

「私・・・待たされ続けているような気がする」

「いや・・・だから・・・」

今日はプロポーズしようと思っているんだと言いたい秀樹だった。

「この間のドラマだって・・・出番五秒だったじゃない」

「いや・・・十秒は出ていたぞ」

「・・・最近、会うと喧嘩ばかりしている気がする・・・もう別れましょう」

「え」

席を立つと香は店を出ていく。

追いかけようとする秀樹を給仕が遮る。

衝突して料理で汚れる秀樹の衣装。

「お客様・・・どこかでお見かけしたと思っていたのですが・・・俳優の村上秀樹さんでは?」

「え・・・」

「私、ファンでございます。この間の犯罪刑事の瞬殺演技も素晴らしかったですねえ・・・三秒であのふざまな存在感はさすがでした」

「いや・・・十秒は・・・とにかく・・・急いでいるんだ」

「よろしければサインを・・・」

「後にしてくれ」

店を出た秀樹は・・・香がタクシーに乗って去ろうとしているのに追いすがる。

「待ってくれ・・・話を聞いてくれよ」

「・・・」

しかし、香を乗せたタクシーは走り去る。

そこへ・・・「選TAXI」がやってくる。

「初乗り・十分・3000円」という表示には秀樹はもちろん気がつかない。

「前の車を追ってくれ」

「お客さん・・・刑事ですか」

「・・・」

「なわけないですよねえ・・・一度言ってみたかったんです・・・前の車を追ってくれと言われたら・・・お客さん、刑事ですか・・・これがベタですよね」

「急いでくれよ」

「私、安全運転がモットーなんです・・・だから・・・見失っちゃいました」

「ええーっ」

「惜しいことをしましたねえ・・・ちょっとした選択ミスで・・・恋人を失う・・・ベタですよねえ」

「見てたのか」

「見てました」

「・・・」

アムロもガンダムに乗らなかったらララアを殺さずに済んだんですよね」

「ガンダムに乗らなかったら・・・アムロがサイド7で死んでたんじゃないか」

「・・・共通な話題があるっていいことですねえ」

「そういう場合じゃないんだよ」

「お客さんは運がいいですよ」

「この状況でかっ」

「なにしろ・・・このタクシーは・・・時間を遡行できるんです」

「ええええええ」

「行きますか・・・やり直すために過去へ・・・」

「そんな馬鹿な・・・」

「三十分くらいなら一万円で・・・お客さんが店に入る前の時間です」

「そんなに前から見てたのかよ・・・」

「あそこはタクシー乗り場ですから」

「三十分前に戻れるものなら戻りたいよ・・・」

「じゃ・・・行きますよ」

「空車」の表示が・・・「賃走」から「戻車」に変わる。

「はい・・・つきました」

「え・・・」

「不思議なことって意外と地味なんですよ」

「マジでか・・・」

「お客さん・・・服を見てください」

レストランで汚れた服が元に戻っていた。

「お代は・・・中に入って時間が戻ったことを確認してからでいいですよ」

「まさか・・・とは思うけどね」

半信半疑で店に戻った秀樹は・・・九時二十分を再び経験する。

席ではご機嫌ななめの香が待っている。

「待たせてごめんなさい」

先手を打って謝る秀樹。

「・・・」

しかし・・・香の機嫌は直らない。

結局・・・「この間のドラマだって・・・出番五秒だったじゃない」と言われてしまう。

「やり直したのに・・・」と唇をかみしめる秀樹。

しかし・・・そこで・・・給仕のことを思い出す。

「でも・・・見てくれた人だっているんだよ」

「どこによ」

「あそこ・・・」

秀樹は給仕を呼びよせる。

「犯罪刑事見てくれたんですよね」

「あ・・・やはり、お客様は俳優の村上秀樹様でしたか」

「そうです」

「すばらしかったですね・・・わずか三秒の出番であの迫力」

「いや・・・十秒くらいは」

「五秒よ」

「よかったら・・・サインしましょうか」

「よろしいのですか・・・では・・・今、色紙を・・・」

給仕の介入によって・・・和む空気。

ここだとばかりに指輪を取り出す秀樹。

「結婚してくれないか」

「え・・・この流れで・・・プロポーズなの・・・」

「・・・」

「でも・・・うれしい」

心が通い合う恋人たちだった。

だが・・・そこへ・・・邪悪な運命が襲いかかる。

「あの・・・カオリさんですよね」

「あ」

「ほら・・・昨日、合コンで一緒だった金崎ですよ」

「合コン・・・」

「あのね・・・違うの・・・」

じゃ・・・この人が売れない役者の彼氏さんか・・・

「なんだって」

「彼女、一晩中愚痴ってましたよ・・・」

「一晩中・・・」

「覚えてないわ」

「ですよね・・・かなり酔ってたから」

「・・・」

嫉妬で頭が沸騰した秀樹は席を立つ。

「待って・・・話を聞いて」

しかし・・・秀樹は香に構わず選TAXIに乗り込むのだった。

「出してくれ」

「いいんですか」

「いいんだ」

通常モードで発車する選TAXI・・・。

「どうやら・・・上手くいかなかったようですね・・・でも料金はいただきますよ」

「ほら・・・一万円・・・」

「ありがとうございます・・・でも、彼女、悲しそうでしたよ」

「いいんだ・・・あんな浮気女」

「浮気ですか・・・本当に・・・」

「・・・」

「浮気するような人が・・・酔って恋人の話するのかな」

「聞いてたのか」

「だって・・・乗り逃げされたら困るでしょう」

「見張ってたのか」

「きっと・・・女友達にでも人数合わせで呼ばれたんじゃないのかな」

「え」

「あなたなら・・・どうします・・・彼女がいるからって・・・断りますか」

「いや・・・」

「それで・・・行くには行ったけど・・・話題はあなたのこと・・・可愛いじゃないですか」

「あああああああ」

「後悔してますね」

「後悔してます」

「戻りますか・・・」

「もう・・・一万円三千円しかない・・・」

「じゃ・・・途中からになりますけど・・・一万円で・・・レストランの支払い・・・大丈夫ですか」

「あ・・・」

タクシーから降りて戻った時間に参戦するためには・・・実物大パネルと交代するシステムである。

じゃ・・・この人が売れない役者の彼氏さんか・・・

「はい・・・そうです」

「彼女、一晩中愚痴ってましたよ・・・」

「いつも・・・苦労ばかりかけてしまって・・・」

「香さん、人数合わせで呼ばれたって言って最初からカップリング拒否でしたからねえ」

「ああ・・・そうだったんだ」

「でも・・・最後にはあなたがいつか凄い役者になるって自慢してました」

「そうなんだ」

「酔ってたから・・・覚えてないわ」

「あ・・・すみません・・・お邪魔しちゃって・・・でも偶然に驚いたんで」

「そういうことってありますよねえ」

金崎がテーブルに戻ると香は微笑む。

「ごめんね・・・合コンなんかに参加しちゃって」

「いいさ・・・女同士だって・・・付き合いがあるだろうし・・・」

「ありがとう」

「うん」

秀樹も微笑んだ。

何もかもが上手く行きかけた時・・・非常線を張られて進退窮った宝石強奪犯人がレストランに乱入してくるのだった。

犯人は拳銃で武装している。

「えええええ」

「なんなの・・・」

たちまち・・・拘禁される客と従業員一同。

「これから・・・お前たちの一人を殺す・・・それから・・・警察と交渉する」

「・・・」

「人質の人命尊重で突破できるのだ」

「・・・」

誰でもいいが・・・お前だ」

指名されたのは秀樹だった。

「なんで・・・俺・・・」

犯人が銃を構えると飛び出す香・・・。

身を挺して秀樹の命を救ったのだ。

香は凶弾に倒れた。

思わず駆けだす秀樹。

意表をつかれた犯人は秀樹の逃走を許す。

秀樹は「選TAXI」に乗り込んだ。

「三千円で・・・行けるところまで」

「かしこまりました・・・しかし・・・大変なことになるかもしれませんよ」

「行かなくちゃ・・・香に会いに行かなくちゃ」

「・・・ですよね」

誰でもいいが・・・

「俺を撃て」

立候補する秀樹だった。

「秀樹・・・どうして」

「だって・・・もしも君が撃たれたら・・・困るじゃないか」

「男だね」

秀樹は撃たれた。

「秀樹・・・秀樹・・・」

「君を愛して正解だったよ・・・君はどうかな」

「正解に決まってるでしょう」

「ごめんな・・・幸せに・・・」

「秀樹」

銃声を聞きつけて警官隊が突入し・・・犯人は逮捕される。

救急車が到着したが・・・心肺停止の秀樹は病院で死亡が確認された。

病院で一夜を過ごした香は帰宅のためにタクシー乗り場に向かう。

そこには選TAXIが客を待っていた。

売れない役者の村上秀樹(安田顕)は通行人に衝突するほど急いでいた。

デートの待ち合わせに遅刻しているのだ。

しかも・・・高級レストランを予約し・・・恋人の浦沢香(小西真奈美)にプロポーズしようという大事な夜なのである。

そこへ・・・香からの着信がある。

「ごめんなさい・・・店を変更したいの」

「え・・・」

「別の店を予約したから」

「うん・・・いいよ」

別のレストランに向いながら香は警察に通報する。

「宝石強奪犯人を見ました・・・場所は・・・」

待ち構える警察官によって犯人は無事逮捕された。

香はにこやかに食事をしながら・・・待っている。

秀樹のプロポーズの時を・・・。

秀樹はポケットに忍ばせた指輪に手をかけて・・・。

「お決まりですか・・・」

「うん・・・今夜は・・・マスターお薦めのcafe choiceオリジナルタルトとミントハープティーのセットで・・・」

「cafe choiceオリジナルタルトとミントハープティーのセット入りました~」

「ごめん・・・それ・・・完売」

「え・・・」

優柔不断ではなく何事にも慎重な天使は・・・甘いものを食べそこなうのだった。

とにかく・・・時間遡上も金次第なのである。

しかし・・・やりなおしが成功するかどうかは・・・本人の人柄によるのだろう。

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Sentx001ごっこガーデン。選taxi自家用走行中セット。まこ好きな時代に行けるわ~。タイムマシンにお願い~。むふふふ・・・竹さまタクシーを貸し切るのでしゅ~。金に糸目をつけないので江戸時代で花魁道中を見物して、大江戸花火大会も観覧するのでしゅ~。助手席はまこの指定席でしゅからね~。じいや~、次はフロントもベンチシートにしてけろけろけろ~・・・改造の間にみのむし先輩と神社の階段をゴロゴロしてくるからね~くう後悔だらけの人生に乾杯です。十年前とかにリターンすると・・・一体いくらになるの・・・え・・・およそ420億4800万円・・・おまけしてですか・・・財閥関係者割引でお願いします・・・

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2014年10月15日 (水)

切腹って絶対痛いよね・・・麻酔なしじゃ無理だよね(小栗旬)信長協奏曲(柴咲コウ)

光雄(尾美としのり)は妻の女友達が石段の上にいるのを見た。

「あ・・・危ないなあ」

通りすがりの竹中半兵衛(藤木直人)もつぶやく。

「ゴロゴロしちゃいますよね」

そして・・・1児の母の星野友美(永作博美)と友美の親友で友美の夫の愛人の早川薫(石田ゆり子)が喧嘩を始めるのだった。

「あ・・・危ない」

「ゴロゴロしちゃいましたな」

「っていうか・・・階段落ちはろくなことにならないんですよ」

「そうですか・・・」

「人格チェンジしたり、タイムトラベルしたりね」

「面妖な・・・」

「あ・・・あれだ・・・入れ替わっちゃう方だ・・・僕も昔、小林聡美ちゃんとね」

「あの頃は可愛かったですな~」

「入れ替わるならやはり男女ですよねえ」

「ガッキーと舘ひろしとか」

「まあ・・・最近は女同士が流行ってますな」

「そうなんですか」

30分を前フリに使い・・・ようやく本題に入る友美と薫。

「私たち・・・入れ替わっちゃったわ」

「残り15分で駆け抜けるわよ」

それは・・・「さよなら私」だろう・・・。

今年の秋ドラマ、ファンタジーだらけだな。

でも、これ岡田惠和脚本だから結構、繊細な作りだよな。

(金)候補になっちゃうじゃないか・・・。いやあ・・・やはり秋ドラマは結局、殺す気かになるんだよな。

で、『信長協奏曲・第1回』(フジテレビ20141013PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・西田征史、演出・松山博昭を見た。もしも、現代の三流高校生が戦国時代にタイムスリップして織田信長になったら・・・というファンタジーである。先行系はいわずとしれた戦国自衛隊である。男と生まれたからには誰しも織田信長になりたいと思うわけだが・・・そうとも言えんぞ・・・原作者は女性である。歴史ファンタジーというのは楽しむのが難しいものだ。そもそも歴史そのものが虚構である。しかし、正史とか定説とかがあって・・・ある程度、教養として持っていることが要求される。しかし、教養が過ぎると・・・作品の作者の無知に唖然としたりするわけである。かといって・・・前提が虚構である以上、誰にもそれが間違いだとは断定できないのだ。特に歴史改変となると・・・もうなんでもありである。だから・・・なんとなく楽しければそれでいいじゃないか・・・と思うわけである。とにかく・・・合戦シーンや切腹場面などは・・・今年の大河ドラマを凌駕する仕上がりである。文句が言えないんだなあ。

「俺・・・1年のころから亜里沙ちゃんのことがずっと好きでした。俺と・・・付き合ってください」

高校生のサブロー(小栗旬)は修学旅行中に時代劇系アミューズメント・パークの雑踏の中で亜里沙(飯豊まりえ)に告白する。

「うれしいけれど・・・ごめんなさい」

「うわああああああああああああ」

青春には叫んで走りだし、迷って屋根によじ登る時が必ずある。

そしてそうなれば屋根から落ちるのだ。

落ちた先が戦国時代なのはよくあることだった。

そこは天文二十年(1551年)だった。足利幕府第13代将軍・足利義輝の時代である。室町時代も末期で・・・もはや戦国時代の酣である。

ちなみに・・・足利家は清和源氏である。

源氏の一族は全国にはびこっている。土岐氏などは河内源氏の足利家とは別の美濃源氏である。

足利氏支族には吉良氏もあれば吉良氏の支族の今川氏もある。

駿河今川氏の今川義元も実は支流の支流の成り上がりなのである。

足利氏支族の中でも別格なのが斯波氏である。すでに鎌倉時代に足利氏から枝分かれしており、室町時代には三官領(他に畠山氏と細川氏)筆頭と呼ばれ、越前や尾張の守護になっている。

越前の朝倉家や尾張の織田家はその守護代である。

つまり、足利の家来の斯波の家来が織田家である。

守護代織田家は岩倉の織田伊勢守信安が尾張北部を清州の織田大和守信友が尾張南部を宰領していた。

織田信長の父、信秀は・・・信友の三家老の一人である。

つまり、足利の家来の斯波の家来の清州織田の家来なのである。

しかし、時は下剋上である。信秀は父・信定と勇猛に立ち回り・・・清州織田家の乗っ取りにほぼ成功していた。

サブローが邂逅する織田信長(小栗旬・二役)は信秀の三男で・・・織田三郎信長と言われている。

正史では天下布武を半分成功させた武将である。

信長には太郎信広と次郎信時という異母兄がいたとされているが・・・信時は六男だったとう研究者もあり、では次男の信長がなぜ三郎なのかという疑問もわく。それが歴史というものなのだ。

おい・・・この一から話、いつまで続けるんだ。

「あ・・・似ている」

「いや・・・そっくりだ」

サブローと信長の運命の出会いだった。

そして・・・ここから・・・この世界が正史世界ではなく・・・異次元の世界であることが分かる。

質実剛健だった信長は虚弱体質で・・・後継者レースから脱落していたのだった。

天文三年生まれの信長は齢十八(数え歳)なのだが二つ年下の同母弟・信行(柳楽優弥)に命を狙われている身の上だった。

正史では母親の土田御前(イメージ・キャスト・山本美月)に「信行くんは凄いわあ。絶対織田家のトップになれるわ。お兄ちゃんなんか殺してええで」と薫陶されたため・・・ということになっているが・・・この世界では病弱な兄が後継者になったのでは織田家の存続が危ういと家老の柴田勝家(高嶋政宏)が後押ししている形になっている。

「じゃ・・・後はまかせた・・・偽物とバレたら殺されるぞ」

本物の信長は逃げたのだった。

「え・・・俺が信長って・・・」

少し頭の悪いサブローはまんまと人身御供にされてしまうのである。

そこに信秀の愛人である未亡人の息子(父は池田氏)の池田恒興(向井理)、忍者である森可成(森下能幸)、代々の郎党である丹羽長秀ら・・・信長派の家来がやってきて・・・サブローは拉致されてしまうのだった。

夢見心地のサブローは父・信秀(団時朗)や正室の帰蝶(柴咲コウ)と対面を果たす。

そこへ・・・今川義元(生瀬勝久)による正史より二年遅い安祥城攻防戦が発生。

合戦の現場で・・・槍に串刺しされる兵、手足が千切れ飛ぶ惨状を見せられてサブローはようやく・・・大変なことになっていると思うのだった。

所謂、濃姫である帰蝶は美濃国守護の土岐家を乗っ取った蝮こと斉藤道三(西田敏行)の娘である。正史では近江国を狙う道三と三河国を狙う信秀の間で結ばれた軍事同盟のための政略結婚だが・・・ここでは大国美濃から小国尾張を守るためという話になっている。

つまり、帰蝶は次代の尾張女王候補者なのである。

その身が大事にされているかどうか・・・帰蝶の兄・義龍が視察にやってくる。

信行はこの機に帰蝶を殺し、責任を信長に負わせようと暗躍する。

しかし、帰蝶はサブローが持っていたデング熱対策用虫よけスプレーで難を逃れるのだった。

帰蝶の侍女・ゆき(夏帆)は「これも信長様のおかげです」と囁く。きっとエスパーなのだろう。

「女に手を出すなんて卑怯だぞ」と信行を詰るサブローに・・・父・信秀は感動する。

だが・・・直後に信秀は今川の放った忍びの者(山田孝之)に暗殺されてしまう。

「信長・・・跡をつげ」

「え」

いきなり・・・織田家の当主となったサブローである。

信秀の弟・信康の子で信長の従兄にあたる信清(麿赤兒)に攻められそうになったサブローは犬山城の領地を気前よく与えてしまう。

激怒した信行グループは信長に叛旗を翻す。

恒興にも裏切られ万事休すのサブロー・・・しかし、領地をもらった信清が味方してくれて奇跡の逆転勝利である。正史では信長の妹の一人お犬と結婚する信清だが・・・十年後、信長に敵対して敗北し甲斐国に逃亡するのである。

敗戦の責任を取り切腹する信行。

「だめだよ・・・死ぬなんて・・・」と軽く諭すサブローだが、目の前で信行は腹を切る。

「天晴れな最後でござった」と褒めそやす家臣一同。

「あんたら・・・頭おかしいよ」と叫ぶサブローだった。

目の前の血しぶきに嘔吐するサブローを帰蝶は複雑な気持ちで見つめるのだった。

その頃、信長は明智光秀を名乗っていた。

原作を知らない一部お茶の間は「なんじゃあそりゃあ」と松田優作気分にひたるのだった。

ちなみに信秀を暗殺した忍びの者は後の羽柴秀吉である。

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2014年10月14日 (火)

31歳 独身です(錦戸亮)ごめんね青春! (波瑠)

誰もが自分の青春に謝罪したい気持ちでいっぱいなんだな。

今、青春の中にいる人たちには悔いのないようにしてもらいたいものだ。

まあ・・・絶対、謝ることになるけどなっ。

さて・・・間違いなく、日本一の脚本家になったクドカンの最新作である。

おそらく空前絶後だと考える。

ちなみに・・・秋ドラマのレビュー予定はほぼ決まってきた。

本当なら、(日)のレビューでもいいのだが・・・「官兵衛」「ごめんね」「信長」の流れにしないと頭が戦国モードになる惧れがあるわけである。そうなると戦国シミュレーションゲームを始めてしまう可能性があり、天下統一している間に日常生活が破綻してしまうので・・・私事かっ。

(月)「ごめんね青春!」

(火)「信長協奏曲」

(水)「素敵な選TAXI」

(木)「きょうは会社休みます。」

(金)未定

(土)「地獄先生ぬ~べ~」

(日)「軍師官兵衛」

つまり、週明けはすべて一日遅れのレビューとなります。

(金)に何が来るかは神のみぞ知るわけですが・・・秋ドラマは谷間を許さない・・・法則かっ。

で、『ごめんね青春!・第1回』(TBSテレビ20141012PM9~)脚本・宮藤官九郎、演出・山室大輔を見た。今、クドカンワールドに対抗できるのは福田雄一ワールドくらいだが、後者は深夜限定である。それでも「アオイホノオ」(テレビ東京)はとんこさんこと山本美月が(土)「ぬ~べ~」に津田ヒロミこと黒島結菜が(日)ココに主人公を演じた柳楽優弥が(月)「信長」に三夜連続で登場(第1話で死亡するけどな)・・・タレント・キャラクターを革新させる凄腕を見せている。もちろん・・・アイドル再生工場であるクドカンは最近では・・・土地を革新する段階に来ているわけである。今回は・・・静岡県三島市が・・・再生されてしまうのだな。

一方、「流星の絆」以来、あまり、作品に恵まれたとは言えなかった錦戸亮も本格的な俳優として脚光を浴びることになるだろう。

そして・・・「壇の浦夜枕合戦記」級の色気を醸しだす風間杜夫も・・・つかこうへい以後の世界をふたたび歩きだすのだな。

ああ・・・何もかもが楽しみだ。

冒頭を飾るのは「あまちゃん」で一回休みのクドカンワールドの大地神・観音菩薩(森下愛子)である。「池袋ウエストゲートパーク」の真島リツコ、「木更津キャッツアイ」のローズ、「マンハッタンラブストーリー」の千倉真紀、「タイガー&ドラゴン」の水越小春、「流星の絆」の戸神貴美子、「うぬぼれ刑事」の玲子ママ・・・なんで「あまちゃん」にいなかったのか・・・不思議なくらいだ・・・「純と愛」のせいだろっ。

それにしてもなんで・・・三島なんだ。

それは・・・きっと朝ドラといえば「おはなはん」でヒロインの長山藍子の出身地だからだろう。

妄想はそこまでだ。

とにかく語り手となった観音菩薩は・・・主人公・トンコーこと駒形大学付属三島高校3年3組担任の原平助(錦戸亮)の亡き母・みゆきの化身なのである。泣かせる話なんだな。

そして・・・話は・・・みゆきが生きていた14年前に遡るのだった。

見事ななんちゃって高校生を演じる錦戸亮(29)である。

駒形大学付属三島高校の生徒だった平助の親友はなんちゃって高校生では定評ある蔦谷サトシ(永山絢斗)である。「聖女」の話かっ。広末涼子とキスしていたのかっ。

ちなみに・・・永山絢斗は窪塚洋介の弟・窪塚俊介でも伊藤淳史の弟・伊藤隆大でもなく、瑛太の弟である。いちいち・・・お茶の間に説明することか・・・それに一人は故人じゃないか・・・「のだめ」の時の役名・瀬川悠人から連想するだけだろう。そうです。

さて・・・平助の初恋の人が・・・三女こと聖三島女学院の生徒・蜂矢祐子(波瑠)である。

なんちゃって女子高生としては「ノーコン・キッド 〜ぼくらのゲーム史〜」で実証済みである。絶対に見てたな。

清楚な・・・しかも魔性・・・祐子がトンコーのプールを借りに来て・・・平助に着替えを覗かれる。

そこから始る・・・偏差値44のトンコー生と偏差値60の三女生の淡い恋の物語である。

しかし・・・それはかなりの一方通行だった。

花火に誘った平助に対する返信が「行けたら行く」である。

そして・・・夜空に咲く花火の下・・・トンコーの屋上で一人花火をする平助は見たのだった。

三女の屋上でキスをする・・・祐子とサトシを・・・。

これが役得というものかっ。永山絢斗二季連続唇奪取である。

青春にはうわあああああああああああああああと叫びたい時があります。

平助はやり場のない気持ちをロケット花火に託すのである。

結果として三女の礼拝堂は全焼したのだった。

祐子とサトシは放火犯人として警察の取り調べを受け・・・証拠不十分で釈放されたものの・・・その後、消息不明となる。

平助は覚えている・・・サトシの顔に浮かんだ表情を・・・。

それは「ごめんな・・・でもしょうがないだろう・・・青春だもの」と語っていた。

夢の中で・・・亡き母は平助に語りかける。

「どうして・・・罪を告白しなかったの・・・お父さん(風間杜夫)がこわかったから?・・・それともふられた腹いせに放火したのが・・・恥ずかしかったから?」

夢の中での母の問いに平助は黙秘である。

「ざまあみろと思っていたからだよ・・・あんなことになってよかったと思っていたから・・・でもしょうがないだろう・・・青春だもの」

放火犯人の心情を肯定することはテレビドラマではかなりの困難を伴うのである。

愛してくれなかったものに報いることに悔いなし・・・しかし青春に悔いあり。

これはあの事件の根底にある流れである。

逆にあの事件はこのドラマの最悪の方向にデフォルメされた展開なのだ。

それをストレートに言わずにこれだけ口ごもる。

もう・・・この時点で大傑作だな。

そして・・・心の闇ではなくて・・・青春の思い出を抱えたまま大人になった平助だった。

平助の父親は・・・曹洞宗の永楽寺(フィクション)の住職・原平太である。市議会議員であり、トンコーの同窓会会長でもある名士だった。しかし、息子は放火犯なのである。

事が露見すればスナック「ガールズバー」で煩悩を晴らしている場合ではなくなるのだった。

寺の跡取りである平助の兄・一平(えなりかずき)は新婚さんである。しかし、弟は放火犯なのである。

事が露見すれば元グラビアアイドルの妻・エレナ(中村静香)とイチャイチャしている場合ではなくなるのだった。

しかし・・・このドラマではこの件が露見する可能性は極めて低い気がするのだった。

基本、若者が失恋して放火するのは・・・まあ、青春なんじゃないかというスタンスだからである。

なにしろ・・・大切なのは・・・経営に行き詰った聖三島女学院(フィクション)と・・・偏差値向上を目指す駒形大学付属三島高校(フィクション)の合併話の行く末なのだ。

男子高と女子高が一緒になって男女共学になる・・・こんな夢のような話があっていいものなのか・・・今、普通にあるぞ。合併しなくても男女別高が共学高になってるしな。

さて・・・三島は・・・伊豆半島の付け根に位置する宿場町である。

熱海と沼津の中間で・・・微妙な位置である。

三島駅からは修善寺駅にむけて伊豆箱根鉄道駿豆(すんず)線が伸びている。

実在する三島広小路駅には偏差値66の名門高校であるニシコーこと駿豆西高校(フィクション)がある。

ちなみに駿豆とは駿河国と伊豆国の略称である。

そして、三女の生徒は次の三島田町で下車。

さらに・・・トンコーの生徒は・・・何故か紹介されない次の三島二日町駅で下車するのだが・・・。

三女とトンコーはプールの貸し借りをするくらい隣接して建っているのである。

つまり・・・三女の生徒はけがらわしいトンコーの男たちと同じ駅を利用したくないために一駅歩くのだった。

なにしろ・・・生徒手帳に「トンコー生と不適切な交際をしたものは退学」と校則が記されているほどなのである。一同大爆笑。

これはもう・・・差別の域を越えてるよね。

しかし・・・そんな禁断の関係を結ぶ勇者は必ずいるわけである。

トンコーの海老沢ゆずる(重岡大毅)と三女の阿部あまり(森川葵)は隠れて交際しているのだった。

消極的なゆずると燃えるような恋がしたいあまりのカップルは・・・おそらくこの物語の主軸なのである。

さて・・・合併話に積極的なトンコーの三宮大三郎校長(生瀬勝久)、消極的だが背に腹は替えられない三女の吉井良江校長(斉藤由貴)が不毛な議論を重ねているところで・・・「俺が放火犯になったのは・・・高校が男女共学でなかったから」と信じる平助は提案するのである。

「実験的に・・・一つのクラスだけ・・・共学にしてみたらどうでしょう」

こうして・・・聖三島女学院3年C組と駒形大学付属三島高校3年3組は半分ずつ男女を入れ替えた実験クラスになるのだった。

さて・・・三女には生徒をトンコー男子から守るためには鉄拳制裁も辞さない女教師がいる。

蜂矢りさ(満島ひかり)だった。

もちのろんで・・・消息不明の祐子の妹なのである。

どうやら・・・魔性の女の妹は・・・質実剛健であるらしい。

そして・・・頑なに男性を拒絶するタイプなのである。

心に闇ではなくて青春の宿題を抱える平助は祐子の妹の存在に心が揺れるのだった。

ついに・・・実験的な男女共学がスタートする日。

女子にほのぼのと憧憬を持つ男子生徒たちは・・・ミニりさらしい生徒会長の中井貴子(黒島結菜)や、ヤンキーらしいマスクの神保愛(川栄李奈)、主とかいてヌシらしい遠藤いずみ(富山えり子)たちの洗礼を受け戦慄する。

ゆずるはせっかく眉毛を整えて登校したのに・・・関係を絶対に秘匿したいあまりに「見るんじゃねえよ。このオカマ野郎、セクハラで訴えっぞ!」と罵倒されるのだった。

「あまりん・・・」

ああ・・・そうだよ・・・生身の女はいい香りもするけれど臭かったりもするんだよ。

今、青春が目覚めようとしているらしい。

青春に襲いかかられて・・・戸惑う平助なのである。

「・・・静かにしてください」

もちろん・・・女子生徒は・・・男子ではないのである。静かにしてくれたりしないのだ。

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2014年10月13日 (月)

人生七十力囲希咄吾這寶剣祖佛共殺堤る我得具足の一太刀今此時ぞ天に抛・・・と茶聖・千利休(岡田准一)

利休こと千宗易は天正十九年(1591年)、秀吉から切腹申しつけられ、これに従う。

信長の茶の湯の師匠だった利休は政治と風流を融合させて独自の境地を開いた。

知性と教養を供えた信長にとって利休は道具に過ぎなかったが、利休はそれに甘んじることができた。

しかし、秀吉には教養がなく、利休は己を抑えることができなくなっていったのである。

秀吉は信長同様に利休を道具として使おうとしたが果たせず、殺すしかなくなってしまったのだった。

死の前日、利休は当然の如く、それを察し、遺偈を残したのである。

「私は七十歳になりました。あっと言う間のことでした。私の実力は神も仏も畏れぬものでございます。私が本気を出せば敵するものなどありません。しかし、それを今、捨て去ることにいたします」

利休は天下人となった秀吉に・・・無償の愛を捧げたのである。

己が晒し首にした天下一の茶人に愛されていたことを知った秀吉はさめざめと泣いた。

で、『軍師官兵衛・第41回』(NHK総合20141012)脚本・前川洋一、演出・藤並英樹を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は微増の27行。まあ、豊臣秀長、豊臣鶴松という秀吉にとって肉親中の肉親が死ぬ。その中間に赤の他人が挟まっているところが人生の妙であり・・・史実とはいえ・・・どう描いてもそれなりに情念が伝わってきますからねえ。そして・・・ついに茶聖・千利休の描き下ろしイラスト大公開で感無量でございますねえ。まあ・・・信長が天才とすれば、利休は奇才・・・老いて、頑固になり、風狂が過ぎてしまったということなのでしょう。それはそれで漢(おとこ)の人生でございますなあ。

Kan041天正十八年(1590年)七月、北条氏政・北条氏照は切腹して果て、高野山に追放された北条氏直は天正十九年(1591年)に一万石を与えられ大名となるが十一月に病死する。ここに後北条氏はほぼ滅亡した。これにより、秀吉はほぼ天下統一を完成する。しかし、小田原征伐についに参加することの叶わなかった病床の秀吉の弟・秀長は天正十九年一月に病没し、織田・豊臣政権を通じて影の外交官となっていた千利休は二月に秀吉に死を賜る。天下統一の最後の仕上げと言える奥州仕置の最中、九戸氏が反乱し、秀吉は豊臣秀次に鎮圧を命じる。徳川家康・前田利家・上杉景勝、伊達政宗らは九月に九戸氏を降伏させた。反乱鎮圧の途中の五月、豊臣鶴松は病死する。十二月、秀吉は秀次に関白職を継承させる。半島経由での大陸侵攻を企画した秀吉は朝鮮通信使に対し服属交渉を開始する。しかし、李氏朝鮮は列島からの侵攻を現実のものとして把握することが困難であったため交渉は決裂する。秀吉はすでに渡海のための軍港として肥前・名護屋城の築城を開始していた。天正最後の年はこのように波乱を含んで幕を開けるのである。

大坂城には北条氏直が逗留していた。

すでに関東の盟主は徳川家康になっている。

氏直には旧領の下野から一万石が捨扶持として与えられることになっていた。

もちろん・・・氏直の正室である督姫の実父・家康の采配である。

しかし・・・氏直は病床に臥していたいた。

大坂城内の仮屋敷では督姫が懸命の看病に務めている。

だが・・・病状は思わしくなかった。

「少しお休みなされませ・・・」

近習として使える氏盛が義理の叔母である督姫に告げる。

氏盛は十四歳、氏直の父・氏政の弟・氏規の長男である。

督姫は看病に疲れた顔に微笑みを浮かべる。

「助五郎殿・・・お気遣いは無用じゃ・・・」

「・・・」

「ついに・・・戦がおわりしものを・・・殿は運がないのかもしれぬ・・・」

「そのようなことは・・・」

「ふふふ・・・小田原城の主たるものが・・・このように・・・敵の城のひとすみで・・・生死の境を彷徨っている・・・運がよいとは申せませぬなあ・・・」

「・・・」

「小太郎をお呼び下され・・・いざと言う時には・・・お前に跡を継いでもらわねばならぬ・・・そなたの父に一言言わねばならぬのじゃ」

風魔小太郎は屋敷の小さな庭に控えていた。

「父上に従って関東にいる氏規様に・・・文を届けておくれ」

「御意・・・」

小太郎は小雪のふりかかる大坂の地を駆け抜ける。

「北条も風前の灯のようじゃのう・・・」

小太郎には・・・風魔一族の行く末もまた・・・消えかかる灯明のように感じられるのだった。

「これが・・・天下統一か・・・」

大坂城の忍びたちは・・・遠ざかる小太郎の姿を監視している。

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2014年10月12日 (日)

化学は化け物学ではありません(桐谷美玲)管狐・・・逃げた(山本美月)地獄先生ぬ〜べ〜(丸山隆平)

毎度おなじみの妖怪ファンタジーである。

いくつかの注意点があるが・・・まずは・・・脚本・マギーである。

山田太郎ものがたり」はそこそこだったが・・・「こちら葛飾区亀有公園前派出所」はいろいろとアレだったわけである。

今回もかなりアレな感じはあるが・・・まず・・・プロデューサーがそれでいいと思った勇気というか思慮のなさを讃えたいと思う。

馬鹿じゃないのかっ。

さて・・・今さらだが・・・原作は小学校の先生なのに・・・ドラマは高校教師になってます。

まあ・・・今の高校生は二十世紀の小学生レベルだと思えばよろしいのでしょう。

そして・・・レギュラー女子高校生に松井愛莉、佐野ひなこ、水谷果穂、中村ゆりか、高月彩良が配置されているが・・・なんちゃって高校生は佐野ひなこ(19)だけなので・・・生徒でお色気展開が期待できるのは一人しかいないということだ。

まあ・・・このぐらい心の準備があればこの山は乗り越えられると期待します。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第1回』(日本テレビ20141011PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・マギー、演出・佐久間紀佳を見た。「」の演出でおなじみなので・・・特撮部分に関してはそつがない感じに仕上がっている。登場人物の整理は微妙だが・・・「玉川OTD」よりはマシになっている。主人公に全く絡まない形で・・・重要なライバルたちを登場させているあたりが・・・タレント行政的にださいのであるが・・・そういうことを言っても無駄だからな。主人公が何者なのかは・・・全く説明されないが・・・そもそもファンタジーとはそういうものだから大目に見てください。

童守高校(フィクション)に国語教師のぬ~べ~こと鵺野鳴介(丸山隆平)が赴任してくる。

同時に家庭課教師の玉藻京介(速水もこみち)も赴任して・・・在任の化学教師・高橋律子(桐谷美玲)はフレッシュな刺激を期待するのだった。

しかし・・・それなりに洗練された玉藻に対して・・・ぬ~べ~は挙動不審で・・・律子は幽かな苛立ちを感じるのだった。

何より・・・お化けが怖い律子にとって・・・「学校の七不思議」について質問しつつ、「妖怪は実在する」と断言するぬ~べ~はとんでもない教師だったのである。

アンドロイドから荒木村重の妻そしてカラスの監死官とコスチュームプレイの続いた桐谷美玲がお化けが怖くて気絶しちゃう一般人である。

かわいいぞ、律子先生、かわいいぞ。

ちなみに・・・今回は「ありのままの自分」が主題である。

脚本的には・・・「ありのままの自分ってなんだよ」とおちょくり倒しているわけだが・・・あまりにフレーズを連発しすぎて追従感が漂うのが素人脚本の悲しさである。

スポットライトのあたる女子生徒はのろちゃんこと中島法子(水谷果穂)であるが・・・のろちゃんがイメージ・チェンジしようとすると・・・稲葉郷子(松井愛莉)と細川美樹(佐野ひなこ)が「のろちゃんらしくない」と否定する展開がある。

松井愛莉は「山田くんと7人の魔女」で、佐野ひなこは「水球ヤンキース」でその他の女生徒ポジションである関係から・・・いかにもいじめが発生したかのような場面になっているが・・・三人は単に仲良しトリオなのである。

しかし・・・この件がのろちゃんにプレッシャーを与え・・・のろちゃんは「本当の自分探し」を始めてしまう。

のろちゃんが悩んでいることに気がつくぬ~べ~だが・・・「本当の自分とは何か」という哲学的命題に応えることはできないのだった。

なにしろ・・・ぬ~べ~は哲学者ではなく・・・妖怪ハンターだからである。

その左手に鬼の力を封じている半妖怪なのである。

ちなみに鬼の手に封じられている鬼は・・・覇鬼(坂上忍)で・・・手の中には・・・謎の女教師・美奈子先生(優香)も潜んでいる。

手の中亜空間に侵入するとぬ~べ~は覇鬼や、美奈子先生と対話できるのだった。

「ありのままでいいなんて戯言だよ」

「どうしてですか」

「たとえば生のジャガイモとフライドポテトどっちがいい」

「私はポテチ」

「だからたとえだよ」

「人間はジャガイモではないわ」

「だからたとえだってば・・・」

こういう不毛の会話が面白いと思っちゃうからマギーはねって言われるんだ。

さて・・・主軸となる生徒の一人が「よろず占い処 陰陽屋へようこそ」で実は妖狐である沢崎瞬太役の知念侑李が演ずる栗田まことである。

彼は・・・童守寺和尚(マキタスポーツ)の居候で修行中のイタコである葉月いずな(山本美月)と接点を持ったりしている・・・妖怪マニアだった。

さて・・・この物語では・・・妖狐はまことではなく・・・玉藻なのだが・・・とにかく・・・「あやかし」の実在する世界なのだった。

そして・・・玉藻は妖狐である以上・・・人間界に仇なす存在で・・・ぬ~べ~とは敵対関係にある。

もちろん・・・悪魔にとっては不可解なことだが・・・妖怪を退治することが正義なのである。

そして・・・童守高校に玉藻が赴任してきたことにより・・・怪異は表面化してくる。

最初の妖怪は・・・ゲゲゲの世界では美少女を鏡の中に閉じ込めたフリをして鬼太郎をたぶらかした・・・鏡の変化である「雲外鏡」である。

雲外鏡は不安定になったのろちゃんを同化しようと狙っているのだった。

もちろん・・・美少女だからである。

「雲外鏡」は余波として妖怪マニアのまことにも「河童」を幻視させたりする。

まことは・・・検索で・・・校内にある鏡が怪しいとあたりをつける。

そこで・・・のろちゃんと真偽を確かめる真夜中の探索を行うのだった。

同行した律子先生は序盤に気絶して脱落する。

一方・・・金目当てのエクソシスト・無限界時空(高橋英樹)を嫌悪するぬ~べ~は無料奉仕で美術室の醜い彫刻に憑依した悪霊を浄化する。

ちなみに・・・雲外鏡も・・・悪霊も・・・基本的には精霊の類である。

白雪姫の母親が問う魔法の鏡の精や・・・自殺した彫刻家の亡霊などは基本的に幽霊なのだな。

精霊と幽霊の差異は人間には些細なことだろう。

あえて言及はさける。

生徒の危機を霊感力で察知したぬ~べ~は鏡の間に駆けつけるのだった。

鏡の世界に連れ込まれそうになっていたのろちゃんを救出するぬ~べ~。

「僕は教師として・・・君たちに素敵なアドバイスはできない。だけど・・・妖怪からは守る」

「じゃ・・・教師でなくてもいいのでは・・・」

「それは言わないでください」

強敵・雲外鏡に対して鬼の手の封印を解くぬ~べ~。

地獄の鬼の力は圧倒的で・・・さしもの雲外鏡も強制浄化されてしまうのだった。

「この手のことは秘密に・・・」

「そんなこと言ったって誰も信じない」

「先生・・・助けてくれてありがとう」

こうして・・・ぬ~べ~は二人の生徒の信頼を得たのだった。

この他に生徒には・・・立野広(中川大志)、木村克也(吉沢亮)、菊池静(高月彩良)、そして篠崎愛(中村ゆりか)が在籍しています。中村ゆりかは「家族狩り 」の女生徒ヒロインからここである。エピソード回が楽しみだ。

とにかく・・・妖怪は実在するのだった。

その証拠に・・・ぬ~べ~の下宿には押し掛け女房的雪女のゆきめ(知英)が常駐なのだった。

妖怪なんだから浄化しろよは禁句です。

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2014年10月11日 (土)

ローマの休日ごっこでイチャよイチャイチャ~したいんだもん(藤木直人)映画*ホタルノヒカリ(綾瀬はるか)

(金)はもはや谷間ではないのだが・・・レギュラーシーズンの時に不本意な形で充分語りきれなかったドラマの映画化のオンエアである。

玉川区役所 OF THE DEAD」は別に1~2回飛ばしてもどうってことのないドラマだしな・・・おいっ。

・・・っていうか、来週は本命も始るのに・・・「映画*ひみつのアッコちゃん」をやる気だよね。

だって・・・綾瀬はるかなんだも~ん。

もちろん・・・映画は・・・いろいろな意味でグズグズの展開である。

ビジネスとプライベートのオン(生魚)とオフ(干物)の切り替えがないのでくさやレベルになっているとか・・・ゲストが女優も男優も鼻につくタイプで生臭いとか・・・ヨーロッパのことなんかどうでもいいとか・・・いろいろとアレで・・・しかも・・・「ホタルノヒカリ」というコンテンツを愛する人ほどなんだかなあと思わせる仕上がりである。

しかし・・・あえて言おう・・・日本映画なんてそんなものですからああああああっ。

で、『金曜ロードSHOW!映画 ホタルノヒカリ(2012年劇場公開作品)』(日本テレビ20141010PM9~)原作・ひうらさとる、脚本・水橋文美江、演出・吉野洋を見た。ドラマ版「ホタルノヒカリ」はこの作品らしい穏やかで曖昧な結末を迎えたわけだが・・・劇場版はその結末の向こう側を描いていて・・・夢の世界とも夢のない世界とも言える。夫婦となってしまった部長とアホ宮がいつまでイチャイチャしていられるか・・・という話である。なにしろ・・・もはやアホ宮ではないのだ。しかし・・・夢の世界なので・・・ある程度、理不尽に愛し合う二人なのだった。

「新婚旅行はローマに行きたいんだもん」

「箱根でいいじゃないですか・・・ロマンスカーで行けけますし~・・・きっとローマ風呂もありますよ」

「それは多分、熱海だと思う」

休日はゴロゴロしていたい・・・新婦・高野蛍(綾瀬はるか)にとって海外で新婚旅行なんて素敵女子のテリトリーに侵入するようなものである。

しかし・・・結婚も二度目の新郎・高野誠一(藤木直人)にとっては少しは上手にローマで挙式はかねてからの望みだったらしい。

「行けばいいのにね~」

「ローマいいよね~」

二ツ木夫妻(安田顕・板谷由夏)は二人がモタモタしている間に先発である。

そのまま・・・二組のカップルの珍道中でもよかったと思うのだが・・・蛍が仕事に追われモタモタしている間に二ツ木夫妻は帰国である。

蛍の旅行鞄にはニャンコが棲みつく始末である。

2012年の冬から夏はあっという間に過ぎて・・・高野(夫)はローマの食品見本市に出張することになる。

「夫だけが・・・新婚旅行に・・・行くにゃんて」

「新婚旅行じゃない・・・ビジネスだ」

「お留守番にゃんて」

「にゃんこと仲良くしていればいい」

「イヤよ、イヤイヤ~」

「今、時間の螺旋を超越したよね・・・しかもかなりのベタベタで」

「ベタベタシマショウヨ・・・イチャイチャシマショウヨ」

・・・ということでローマに旅立つ高野夫妻だった。

これで・・・新婚旅行そっちのけで・・・高野と現地で働いてしまう蛍なら・・・ドラマの延長戦だったのである。

機内では蛍のパスポート失効の余波で夫婦バラバラに座り・・・仕事では海外赴任さえしている蛍はビジネス・クラスを満喫する・・・隣にはイケメン風の若者として冴木優(手越祐也)が登場して・・・孤立した高野(夫)を複雑な気持ちにさせる・・・。

やや・・・蛍の浮気相手としては役不足のキャスティングだが・・・浮気相手でもないことに・・・テレビ版を愛する一部お茶の間を失望させるのだ。

ローマに到着すると・・・早くも「縁側でビール」が恋しい蛍は・・・いきなりホームシックである。

高野(夫)の映画「ローマの休日」みたいな新婚旅行がしたいは五分で挫折するのだった。

そこでラブコメの定番である・・・高野(夫)と冴木の旅行鞄取り違え発生である。

なんとなく・・・新聞記者の下宿風ホテルに落ちついた蛍は近所でニセモノ蛍を発見する。

ニセモノ登場は巨大ロボットものの定番である。

この辺りから・・・物語は・・・一部お茶の間の期待を裏切りだす。

ニセ蛍は高野夫婦のチェックインした部屋に長期逗留中のセレブだった。

新婚カップルのために・・・一時的に他の部屋に移っているのである。

もう・・・ここに無理がある。

なにしろ・・・相手は・・・何もしないでローマでダラダラ過ごせるほどの資産家なのである。

そういうセレブが馴染んだ部屋を追い出される理由がない。

とにかく・・・何か理由ありらしいニセ蛍。

そして・・・部長の鞄(実は冴木の鞄)からは・・・若者風パンツと謎の白い粉が発見され・・・蛍の心に不安のさざ波が立つ。もちろん、蛍なのでだからどうっていうことはない。

しかし・・・謎のニセ蛍が部屋に忘れものを取りに来て・・・蛍の不安を煽る言動を始める。

「あなたの夫はマフィアに誘拐されて・・・二度と帰ってこないかもしれない」

「ぶちょおおおおおおお」

そこへ・・・冴木優が現れて・・・ニセ蛍が優の姉・・・冴木莉央(松雪泰子)であることを告げる。

どうやら・・・莉央のメランコリーな姿勢は・・・夫と娘と別れたことが原因らしい。

蛍はダブルベットの下から・・・莉央の家族写真を発見するのだった。

ちなみに・・・ドラマ終了(2010年)で映画公開(2012年)である。

間には東日本大震災(2011年)が横たわっている。

どう考えても・・・莉央の失われた家族は・・・震災被害者の暗喩である。

それはそれでいいのだが・・・そこがこの映画のネックになっていることは間違いない。

人は忘れていく生き物である。

戦争のことも震災のことも噴火のことも台風のことも忘却の彼方だ。

喉に刺さった魚の骨のようなことをしても通じないのである。

ただ・・・漠然とした違和感が残るばかりなのだ。

とにかく・・・行方不明の高野(夫)がチヴィタ・ディ・バーニョレージョにいることを知った蛍は冴木(姉)とともに女二人で定番のロード・ムービーの旅に出るのだった。

「部長は・・・花嫁衣装を着た私を見たかったんです」

「いや・・・それは女目線のロマンスだよね」

「原作がレディス・コミック(Kiss連載)ですから」

「・・・」

「それにチビ太と言えばひみつのアッコちゃんと原作者同じです」

「そこかっ」

チヴィタ・ディ・バーニョレージョはイタリア共和国ラツィオ州ヴィテルボ県バニョレージョに属する村である。丘の上の城塞都市であるが・・・周辺部が崩落して崩壊の危機にさらされており、「死に行く街」と陰口をたたかれている。

ローマのテルミニ駅から新幹線でオルヴィエート駅まで1時間10分、オルヴィエート駅からバスでチヴィタ・ディ・バーニョレージョまで55分である。

そこをウェディングドレス姿で駆け抜ける蛍。

途中で転んだ所が唯一のおっぱいバレー・サービスと言える。

その道中・・・「あんたたちが幸せそうで・・・むかついた・・・私の夫と娘は・・・不慮の事故で帰らぬ人となったから・・・干物女だった私は・・・二人を旅行に送りだして家でゴロゴロしてたんだ・・・」・・・衝撃の告白をする冴木(姉)だった。

生ける屍となった姉を案じて・・・姉の好物の白玉粉を持ってローマに来た弟だったのである。

「ああ・・・そうにゃんですか」

部長は・・・行きずりの妻と別れた男に「妻(女)にそっくりだ」と言われ・・・「ほっとけない」ので一晩中・・・ダンスに付き合っていたのだった。

ボロボロになった蛍は高野(夫)の胸に飛び込み・・・高野(夫)は蛍を抱きしめてニヤニヤするのだった。

メイドさんに捨てられてしまった冴木(姉)の家族写真を求めて・・・捜索に出る高野夫妻。

放射能の雨の降るメルトダウンした原子炉周辺ほ防護服で彷徨うボランティア。

津波に流されたような池に浮かぶ家族写真。

おなじみの雨合羽を着こんだ高野夫婦は・・・「唯一残った思い出の品」を遺族に届けるのだった。

「ホタルノヒカリは・・・忘れちゃいけないんです・・・幽かで・・・あってもなくても同じで・・・なんのたしにもならなくても・・・その美しさを忘れなければとにかく生きていてよかったと思えるから」

「・・・」

帰らぬものを思い泣きだす冴木(姉)・・・。

もらい泣きする蛍だった。

そんな蛍をこよなく愛する高野(夫)である。

そして・・・行きずりの教会で・・・見知らぬ新婦の前で誓いのキスをする二人。

「ごっつあんです」

・・・などと言いつつ・・・やることをやった二人には・・・天使が舞い降りるのだった。

君忘れないでいて

若い愛の日々を

ぼくらは一つの愛に今結ばれているよ

「ローマの休日」のような・・・ロマンス(甘美な失恋)はなくても・・・「ホタルノヒカリ」にはロマンス(自由気ままな恋愛)があるのだった。

関連するキッドのブログ→ホタルノヒカリ

Hthk001ごっこガーデン。モノクロームなローマの休日セット。くう期待通りにならないことが多いから期待しないでいると・・・それ以上に失望させられるという・・・世界は不条理に満ちていますな・・・みのむしそれはそれとしてフジッキー部長と二人乗りは乙女の夢ですにゃ~まこもちのろんでしゅ~。白玉善哉~、夫婦善哉~、秋ドラマ善哉~

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2014年10月10日 (金)

現実を見据える妹(原菜乃華)ゲストの妹(酒井美紀)ビンタ!〜弁護士事務員ミノワが愛で解決します〜(山口紗弥加)

谷間でおなじみのEXILEドラマである。

今回は・・・岡本信人とかマキバオーとか大久保佳代子とかにそっくりと噂がある人の主演です。

いつも思うのだが・・・EXILEに基本的に興味がないと・・・誰なんだよと思うしかない主人公なんだよな。

ある意味、ひとつのジャンルだ。

今回の注目は・・・年の離れた異母妹を演じる原菜乃華である。

映画「地獄でなぜ悪い」(2013年)で武藤ミツコ(二階堂ふみ)の少女時代を演じている。

一見して・・・石原さとみの少女時代を彷彿とさせる美少女子役である。

孤児となってしまい・・・仕方なく破天荒な兄に引き取られるという役どころ。

割とおいしい役だと思う。

まあ・・・基本的にそこしか見どころがありません。

で、『ビンタ!〜弁護士事務員ミノワが愛で解決します〜・第1回』(日本テレビ201410022359~)原作・小川圭、脚本・大石哲也、演出・国本雅広を見た。元暴走族総長の箕輪文太(松本利夫)は近所のおばさんから相談を受けて不良息子を更生させるために遠洋漁業の船に送り込むような黒い組織ともつながっているチンピラである。ろくでなしの父親(深水三章)が死んだと舎弟でもんじゃ屋「もん吾ろう」の店主・大津吾郎(石黒英雄)から聞かされる。さらに・・・死んだ父親は・・・文太に腹違いの妹・箕輪カナ(原菜乃華)も残していた。文太の母親もカナの母親もすでに他界している。

「天涯孤独だと思っていたら妹がいたなんて・・・」

馬面の文太とは似ても似つかない美少女の妹・カナの出現に萌える文太。

「お前の面倒は俺が見る」

「バカじゃないの・・・家も職もない人が何言ってるの・・・今回は遺産分与の交渉に来たのよ」

「ツンデレなの?」

「意味分かって言ってんの?」

「・・・」

カナと一緒にやってきたのはカナの死んだ母親の弟を名乗る沢田(児島一哉)という男だった。

「箕輪さんの家を売却すると六千万円になります」

「はあ・・・」

「兄と妹でおよそ・・・三千万円ずつ分けるということでいいですか」

沢田が金目当てでカナを養育しようとしていると直感した文太は反対する。

「やめとけ・・・お兄ちゃんと一緒に暮らそう」

「はあ・・・バカじゃないの・・・この人は公務員なの・・・チンピラが保護者なのと・・・公務員が保護者なのと・・・どちらが実生活で有利だと思うわけ?」

「・・・」

そこで・・・固い職業に就くために就職活動を展開する文太。

もちろん・・・採用する企業などあるはずもないが・・・たまたま・・・工藤洋平法律事務所の所長(西村雅彦)は・・・所員だが煙たい存在である高田夏美弁護士(山口紗弥加)に嫌がらせをするために・・・文太を事務員として採用するのだった。

高田弁護士は・・・パソコンも使えず平仮名しか書けない文太の教育係に任命されるのだった。

「なんじゃこりゃ」である。

そこに今回のゲストで依頼人の戸上玲奈(酒井美紀)が現れる。相談内容は恐ろしいほどの偶然で・・・実の兄・酒井健一(袴田吉彦)との遺産相続問題である。

健一・玲奈兄妹の母親が死んで貯金五百万円と・・・五千万円相当の実家が残った。

健一は・・・貯金を全額妹に渡し・・・実家をもらうと言い出したのだった。

「おかしいでしょう・・・五千万円と五百万円じゃ」

「そうですねえ」

しかし・・・頭の悪い文太は「兄妹で争うなんておかしいじゃねえか」と言い出すのである。

「依頼人の利益を守るのが私たちの仕事よ」と説教する夏美。

だが・・・聞く耳持たない文太は「争いの原因になる家」を破壊するためにブルドーザーで特攻するのだった。

「なんじゃそりゃ・・・」

「口で言って分からない奴にはビンタが一番でしょう」

「ビンタは鼓膜を破る可能性があるからゲンコツにしておきなさい・・・私はデコピン派だけどね」

しかし・・・GTO方式で廃墟から思い出のアルバムを発見した兄妹は・・・絆を思い出すのだった。

「私・・・五百万円でいいや」

「いや・・・この家は売ってきっちり折半にしよう・・・」

裁判沙汰をやめる二人。

工藤所長は「弁護士の仕事は・・・この事務所の利益を守ることだ」と説教。

聞く耳を持たない文太は工藤所長をビンタしてクビになるのだった。

一方、文太の父親は多額の借金を残していて実家も抵当に入っていたことが判明する。

カナの叔父は引き取りを拒否するのだった。

「どこへ行くんだ」

「施設に決まってるでしょう」

「俺は・・・お前を笑顔にしたいんだよ」

「主役にそう言われちゃ仕方ないわね」

ホームレス兄妹の誕生である。

しかし・・・独立した夏美が二人を拾いあげるのだった。

まあ・・・こんな感じでございます。

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2014年10月 9日 (木)

棒姉妹1号(木村文乃)棒姉妹2号(高梨臨)実の妹(新川優愛)今日、恋をはじめます(武井咲)

本格的な谷間である。

クラスメートを殺害したり、母親や祖母を殺害したり、女子高校生もいろいろとあるわけだが・・・感覚的にはこの映画のヒロインも恋人を殺害してもおかしくないと思う。

なにしろ・・・護身用に常時、鋏を携帯しているわけである。・・・違うぞ。

何人いるか・・・わからないヒロインの恋人の猟色の餌食たちの誰かが刺してもいいと思う。

しかし・・・イケメンなので・・・何をしても許される上に・・・最後はハッピーエンドである。

恐ろしい・・・恐ろしい少女マンガの世界である。

で、『月曜ゴールデン特別企画・今日、恋をはじめます(2012年劇場公開作品)』(TBSテレビ20141006PM9~)原作・水波風南、脚本・浅野妙子、演出・古澤健を見た。春の高校一年生は冬には中学三年生だったわけで・・・公開時、武井咲18歳は・・・微妙になんちゃってだが、木村文乃24歳と、高梨臨23歳は完全になんちゃってだよな。新川優愛は18歳でなんちゃって中学生である。ちなみに松坂桃李は24歳である。まあ・・・みんな大人びた高校生なのです・・・と言われればそれまでだが・・・たまにはなんちゃってじゃない高校生も見たいよね。

初めてのキス

偏差値がそれほど高くない高校に入学した地味目の女子・日比野つばき(武井咲)は二度と同じ女と寝ないというゴルゴ13のような鬼畜クラスメート・椿京汰(松坂桃李)と出会う。京太は家が近所だからと高校に入学したが成績はトップでクラスの人気者である。悪友の西希(山﨑賢人)と賭けをして・・・地味な女の子を口説いて、一度、同意の上の性行為をしたら捨てるという悪行三昧を中学生の頃から繰り返していた腐れ外道なのだった。

早速、つばきはターゲットにされるが・・・かっての犠牲者である山内有砂(高梨臨)がつばきに絡み始め・・・掟を破って強引につばきの唇を奪ってしまう京汰・・・。

常時、鋏を持っているつばきだが・・・防御力はゼロに等しく・・・ファースト・キスを強奪される。しかし・・・京汰は「今日からお前は俺の女だ」と意味不明なことを言いだすのだった。

「だって・・・キスもしたしな」

「あんなのキスじゃありません・・・キスは添い遂げる覚悟でするものです」

「・・・え」

文化祭で・・・つばきの気をひくために絶妙なフォローをする京汰・・・。

妹のさくら(新川優愛)の髪をアレンジし続けて特技の一つになっているつばきは・・・冷たかったクラスメートの髪をアレンジすることでそれなりに受け入れられる。

そのことに感謝して京汰からののデートの誘いに応じるつばき。

シロクマ好きのつばきは・・・「シロクマはパートナーを求めて長い旅をするの・・・ロマンチックでしょう」と語るが・・・。

「結局、交尾するためだろう」

「それは黒いシロクマです」

しかし・・・星の話になると夢中になる京汰は・・・実はロマンチストだった。

京汰からデート用の服をプレゼントされ、京汰のセッティングでカリスマ美容師の花野井(青柳翔)にスタイリングされると・・・たちまち美少女に変身するつばき。

いつの間にか・・・つばきは京汰に恋をしていたのであった。

京汰に憧れるさくらのお伴で・・・姉妹で水着を披露した後で・・・勇気を出して告白するつばきだったが・・・「そんな女とは思わなかった」と京汰は意味不明なことを言い出すのだった。

二度目のキス

西希から・・・京汰の性格を歪ませた原因を聞くつばき。

「あいつの八歳の誕生日の時、母親が男と駆け落ちしちゃったんだ」

「ああ・・・マザコンで」

「そう・・・マザコンで」

つばきは・・・誕生日嫌いの京汰のために・・・クラスメートたちとサプライズ・バースデイ・パーティーを企画するのだった。

痛い所を突かれておこりだす京汰。

「人の心に土足で踏み込むな」

「あなたが・・・お母さんに裏切られて傷ついたのはわかるけど・・・女はみんなあなたのママじゃないのよ。自分が傷つくのは許せないのに・・・人を傷つけても平気なんて・・・子供すぎるのよ」

「ひでぶ」

「これ・・・プラネタリウムのフィルム・・・」

「フィルムだけかよ」

「来年は別のフィルムをあげる」

「・・・」

「再来年になったらプロジェクターを」

「なんだよ・・・それ」

「私はずっと・・・あなたを祝うから」

「・・・ありがとう」

相思相愛になり・・・二度目のキスをする二人。

三度目のキス

しかし・・・そんなに簡単に幸せにはしないのがお約束というものである。

中学生の時の最初の犠牲者で・・・今も京汰を愛している菜奈(木村文乃)が現れる。

さらに・・・京汰の父親(村上弘明)の元へ出奔した妻・京香(高岡早紀)から連絡が入る。

「男と別れてガンで入院しているそうだ」

「なんだよ・・・それ」

自分を裏切った母親を許せない気持ちと母親に逢いたい気持ちの板挟みで苛立つ京汰。

そんな京汰に偶然を装って近付く菜奈・・・。

一方、つばきはストレートに意見をする。

「お母さんに会いに行きなさい」

「余計なお世話だ・・・お前には関係ないだろう」

決裂である。

「私には・・・関係ないのね」

つばきは・・・京汰と距離を置き・・・美容師になる決意をするのだった。

自分の道を歩き出したつばきに・・・心を動かされる京汰。

菜奈の誘惑を退け・・・母親に会いに行くのだった。

一年前に約束したデートの日。

つばきは・・・京汰を待つ。

もちろん・・・。

結局、鬼畜に処女を捧げるつばきだった。

高校二年生の恋の約束が・・・生涯守られるなんて奇跡に近いことを・・・多くの高校二年生はなんとなく知っていると思う。

まあ・・・イケメンとのキスが三度の飯より好きな少女マンガですからっ。

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2014年10月 8日 (水)

もしもあの日あなたに逢わなければ私は世界を支配したかもしれません(広末涼子)

過激な男尊女卑の社会では・・・女は男に服従し、媚びねば生きていけない。

それでも世界は男と女が共に生きるように作られている。

男と女がお互いを敬い、世界を分かち合う日がいつかやってくるだろうか。

女が男を奪いあう時、女の敵は女である。

悪女として生きた女が・・・善男善女の幸福を願った時・・・聖女として祝福される。

女が女であることの不気味で不愉快な有様が苦々しく綴られて・・・これは傑作と言っていいだろう。

で、『聖女・最終回(全七話)』(NHK総合20140930PM10~)脚本・大森美香、演出・日比野朗を見た。キッドはここまでJUJUの歌がピンとこなかったのだが・・・このドラマの主題歌「ラストシーン」には「生きる悲しみ」のようなものを感じた。分かりやすかったと言えばそれまでだが・・・とにかく・・・ぐっときたのである。それにしても・・・二十歳そこそこから現代まで・・・夢の女と罪の女を演じ分け・・・最後は化け物めいた魔の女に堕ちてから・・・聖なる微笑みに至るヒロイン・・・広末涼子のただならぬ深みを感じさせた作品だったなあ。構成的にはやや破綻しかけている部分もあったが・・・とにかく・・・主人公のセリフがいい。やはり・・・脚本家は実力者なんだな。

Swpp006売春婦の娘に生まれて、生き地獄の中で育ったヒロインは・・・油断のない女に成長したのだが・・・ただ一度の愛に躓くのである。神の計画の恐ろしさがそこにある。そう言う意味で・・・愚かで初々しい「真珠の耳飾の少女」でしめくくってもよかったのだが・・・聖なるものを満載しながら・・・どこか邪悪で空虚でみだらな「何か」を感じさせるフェルメールの作品「信仰の寓意」を掲げることにした。もうなんだかよくわからないポーズをとっている女性は磔となったイエスを背負って・・・地球を足蹴にしているわけである。アダムを失楽園に導く林檎も無造作に転がり、仇を為した魔王は砕かれている。イヴの末裔の勝利さえ感じさせる情景だ。当然、男性たちにはあまり評判の良くない・・・フェルメールなのである。

男たちの望む女と・・・女がそうありたい自分自身とは常に乖離があるんだなあ。

初恋の呪縛を封印し・・・平凡で普通な愛を選択した晴樹(永山絢斗)は思い通りのならない世界に対する鬱憤を基子(広末涼子)にぶつけるのだった。

「なんで・・・あの時のまま・・・素敵な人でいてくれなかったんです・・・」

「私は何一つ変わっていない・・・あの時のままよ・・・あなたを・・・あなただけを心から愛しているの」

「いいえ・・・少なくともあなたは・・・あの時・・・誰かを殺そうとは思っていなかったはずだ」

「そんなことはないわ・・・いつだってみんな死んでしまえばいいと思っていた」

「そんな悲しいことを言わないでください」

「でもね・・・あなただけは愛してる」

「そんなこと言われても・・・僕には無理なんですよ・・・僕はイエス・キリストじゃない・・・あなたの罪を許すことも・・・あなたの罪を背負うこともできないんだ」

「どうして・・・」

「だって・・・あなたは・・・犯罪者じゃないですか」

どしゃぶりの雨の中・・・すれちがう男と女である。

訣別したつもりの晴樹と・・・永遠の愛を信じる基子。

おそらく・・・どちらかが間違っているのだろう。

晴樹を待つことに疲れた基子は・・・恋のライバルである泉美(蓮佛美沙子)に直談判を決意するのだった。

多くの男にとってどうでもいい泉美の花嫁衣装選びに付き添う晴樹。

ウエディングドレスを身に付けた泉美の更衣室に・・・幽霊のように現れる基子。

「とてもよく似合うわ・・・あなたにはそのタイプが相応しい」

「え」

「あなたにお願いがあるの」

「・・・」

「晴樹くんを譲ってください」

「譲れません」

「どうして・・・あなたは素敵だもの・・・きっと他にもいい人が見つかるわ・・・だけど私には晴樹くんしかいないの・・・きっと晴樹くんも・・・私との愛を選んでくれる・・・だって晴樹くんを男にしたのは私なんだから」

思わず平手打ちをする泉美だった。

「何するのよ・・・」

「あなたに晴樹さんはふさわしくありません」

逆上して基子も泉美を打つのだった。

「あなたに何がわかるの・・・私がどんな屈辱に耐えて・・・汚れた体を清めてきたか・・・何も知らないくせに・・・」

そこに・・・晴樹が登場する。

思わず逃走する基子・・・。

晴樹は追いかける。

「基子さん・・・悪いのは僕です・・・でも彼女には二度と近付かないでください」

「晴樹くんは・・・いつ家に来てくれるの・・・私・・・ずっと待っているのに」

「基子さん・・・僕はあなたとは・・・生きていけないのです」

謝罪する晴樹の姿を写真に収めるハイエナライター。

しかし、亡霊のようにハイエナライターの背後に立つ基子だった。

「あなた・・・鬱陶しいわ」

「いい写真が撮れましたよ」

「くだらない・・・それに私はもっと美しい・・・」

「・・・」

「いいわ・・・すべてを話してあげる」

「ええっ」

基子は晴樹を地獄に引きずり込む覚悟を決めたのだった。

自ら・・・晴樹との肉体関係を暴露して・・・泉美との三角関係で悩んでいることを告白したのである。

そのスキャンダルな内容に下世話な世界は色めき立つのだった。

「お騒がせしてすみません」

「いいのさ・・・誰が誰と性交しようが自由なんだからな」

前原弁護士(岸部一徳)は退職しようとする晴樹を慰留する。

前原と黒坂弁護士(田畑智子)は基子の海辺の家を訪ねる。

「裁判は不利になるかもしれません」

「ご迷惑をおかけします」

「それは・・・」

「赤ちゃんの靴下です・・・」

基子は・・・生まれてこない赤ん坊のために・・・靴下を編むのだった。

嫉妬の虜となり弟の不幸だけを望む外道となった兄は・・・基子の自爆攻撃に苛立つ。

弟を痛めつけるのは自分でなければならなかったからだ。

しかも・・・騒動で結婚式が延期になった晴樹と泉美の絆は固く・・・入籍だけでもすまそうとしていたのである。

「弟だけが・・・何故・・・愛されるのだ」

兄は基子を呼びだすのだった。

「あなたが晴樹くんのお兄さんだったとは・・・意外だったわ」

「弟は・・・結婚しますよ」

「・・・」

基子は絶望の淵に立つのだった。

婚姻届提出のために役所に向かう晴樹と泉美。

幽鬼のように待ち伏せる基子。

「なんで・・・なんで・・・私を愛してくれないの・・・私がこんなに愛しているのに」

泉美を庇う晴樹。

「ごめんなさい」

「じゃ・・・死んでよ」

基子はありったけの愛をこめて晴樹の首を締め上げるのだった。

そこへ・・・妖怪のように出現する未亡人の文江(中田喜子)・・・。

基子を背後から刺すのだった。

のけぞる基子。

「この女・・・私から夫を奪っておいて・・・死刑にもならないのよ・・・おかしいじゃないの」

「やめてください」

文江から凶器を奪い取る晴樹。

すると文江は基子の頭を路面に激しく何度も叩きつけるのだった。

「狂ってる・・・」

「晴樹くん・・・とめてよ」

「あ・・・ああ・・・」

「誰か、救急車呼んでくださーい・・・警察も呼んでくださーい」

「せめて・・・あと一太刀・・・」

阿鼻叫喚である。

千倉氏を殺したのも千倉夫人だった。

下世話な世間は蒼ざめた。

千倉夫人の暴行によって・・・基子は失明したのだった。

見舞いに訪れる前原。

「友達として・・・来ました・・・あ、私、女に興味がないので・・・御安心ください」

「先生は・・・そういう方だと思ってました・・・だって私を口説かなかったもの」

「はい」

病院の廊下で・・・立ち聞きする泉美。

「私は・・・本当に晴樹くんを愛してました。私は偽りの微笑みでこの世を上手に渡ってきたんですよ・・・それなのに・・・晴樹くんは私の仮面を引きはがしたんです・・・私はそれが辛くて・・・晴樹くんから逃げ出しました・・・私が彼を愛したのが失敗だったのか・・・愛に怯えて逃げ出したのが悪かったのか・・・とにかく・・・私は自分で大切なものを捨ててしまったんです・・・それなのに・・・意地になってとりもどそうとするなんて・・・取り戻せると思うなんて・・・愚かな女でしょう・・・泉美さんと言ったかしら・・・あの人はきっと・・・晴樹くんを幸せにしてくれるでしょう・・・そうね・・・二人には幸せになってもらいたい・・・ああ・・・あったんですね・・・私にも・・・自分ではない誰かの幸せを願う気持ちが・・・そうか・・・あったのか」

「はい」

泉美は立ちすくむ。

晴樹は兄と対峙する。

「一体・・・どういつもりなんだ・・・」

「みんな・・・不幸になればいいのさ・・・彼女だってそう願っているはずだ」

「ふざけんな・・・あの人はただ一生懸命生きて来たんだ・・・臆病で引き籠りのあんたとは全然違う」

「ひでぶっ」

晴樹は悪い予感に襲われるのだった。

基子は入水自殺中だった。

「だめだ・・・戻ってきてください」

「海に忘れたものを拾いに行くだけよ」

「台風接近中にサーフィンするみたいなもんですよ」

「じゃ・・・一緒に来てよ」

泉美もかけつけるのだった。

「基子さんを助けて」

「だめだ・・・僕は泳げないんだ」

「湘南ボーイなのに・・・」

「湘南に生まれたって金槌は金槌さ・・・」

「あのね・・・私も金槌なの」

お似合いの二人だった。

そして・・・基子は海に没した。

基子にとって汚れに満ちた世界は消滅したのである。

この世で最も聖なるもの・・・それは「死」なのである。

聖女の思い出を胸にそれなりに幸せに余生を送る晴樹と泉美だった。

聖女の消えた世界でそれでも地球は虚しく回っている・・・。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

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2014年10月 7日 (火)

映画~謎解きはディナーのあとで(櫻井翔)無人島で(北川景子)ボンボヤージュで(桜庭ななみ)

微妙な谷間である。

巨大台風が過ぎ去って・・・秋の気配が濃厚になったわけだが・・・本格的な秋のドラマのスタートは週末からなのだ。

「御嶽山噴火」「台風18号」と大自然の脅威があったのでなんとなく気分が落ちつかないのだな。

今年の夏は「ゴジラの夏」でもあったので・・・金子修介監督の「ゴジラモスラキングギドラ大怪獣総攻撃」(2001年)とか・・・釈由美子主演の「ゴジラ×メカゴジラ」(2002年)とかの平成ゴジラの傑作についても語りたいのだが・・・語るとなると長くなりそうだからな。

ここはこれでお茶を濁しておく。

そういう作品なんだな。

そーでーす。

で、『映画 謎解きはディナーのあとで(2013年劇場公開作品)』(フジテレビ20140930PM9~)原作・東川篤哉、脚本・黒岩勉、演出・土方政人を見た。男も女も楽しめるコンテンツという意味では執事とお嬢様のドラマは的を得ていると言える。女性は執事にうっとりして、男性はお嬢様にうっとりしていればいいわけだ。つまり、北川景子を堪能するために櫻井翔を我慢して、櫻井翔を堪能するために北川景子を我慢するのだな。我慢なのかっ。毒舌執事もお嬢様刑事も矛盾した存在で設定そのものがコミカルなのだが・・・それを活かしきっているかというと微妙である。もっと面白くなるはずだが・・・そこそこがよろしいのかもしれませんな。あんたが毒舌かっ。

宝生グループ令嬢だが警視庁国立署(フィクション)の刑事でもある宝生麗子(北川景子)はたまりにたまった有給休暇を消化するために・・・アジア最大の豪華客船プリンセス・レイコ号に乗船する。

もちろん・・・宝生家執事の影山(櫻井翔)はお伴するのだった。

しかし・・・プリンセスレイコ号には・・・シンガホールまで芸術作品「ケーライオン」を護送する任務を遂行中の風祭京一郎警部(椎名桔平)も乗船していた。

お嬢様であることを秘匿して刑事となっている宝生麗子は仕方なく、香港出身の令嬢・ホウ・ショウレイを擬装するのだった。

宝生家は海難事故に対する厄除けの秘宝「セイレーンの涙」というブルーダイヤを所有していた。元々は没落したリー財閥が所有していたものを宝生家が買収したのである。

十数年ぶりにプリンセスレイコ号に乗船する麗子のために「セイレーンの涙」は玲子専用室に持ち込まれるのである。

十数年前に麗子が乗船した時には怪盗ファントム・ソロスが宝石強奪を目論み、失敗した過去があった。

「泥棒さん・・・怪我をしているのね」

「クラリスかっ」

幼い麗子(伊東心愛)の思い出の一コマである。

麗子を歓迎する客室支配人・藤堂卓也(中村雅俊)・・・彼はプリンセスレイコ号に住み込みで働いているのだった。そのために・・・藤堂の娘で客船専属歌手の凜子(桜庭ななみ)はほとんどの時間を船上で過ごしていた。

「もし船酔いする体質だったら地獄ね」

「ボンボヤージュ」

出航したプリンセスレイコ号は・・・「ケーライオン」と「セイレーンの涙」という二つのお宝を積んでいたのだった。

「ケーライオン」を狙う二人組の泥棒・高円寺兄弟(竹中直人・大倉孝二)の他にファントム・ソロスも乗り込んでいるらしい。その正体は秘密です。

他に商店街の福引でチケットを得た熊沢美穂(りえママ・・・じゃなかった宮沢りえ)も乗り込んでいたし、プリンセスレイコ号の船内新聞の記者・枕崎美月(村川絵梨)や船医の結城千佳(黒谷友香)、凛子の恋人でコック見習いの石川天明(要潤)、そしてリー財閥を破産させた投資家のレイモンド・ヨー(団時朗)なども船上にあった。

その他にも田中要次や六角精児、鹿賀丈史も登場するが本筋ではないので略します。

やがて・・・落水事故(人間が船から落ちるアクシデント)が発生し・・・発見者から落水者が左舷に落ちたと報告があったため、取舵(左折)しながらプリンセス号は機関を停止する。落水者がプロペラに巻き込まれないようにするための操船である。発電機が停止したために停電するプリンセス号・・・停船する度に停電するのかよっ。非常電源に切り替わるまでにタイムラグ発生である。

つまり・・・お宝の警備装置が無力化するのだった。

一部お茶の間はあまりにも無理な設定に唖然とするのだった。

しかし・・・お宝は無事だった。

落水者はレイモンド・ヨーで心肺停止状態で救助される・・・死因は溺死ではなく刺殺だった。

「なぜ・・・犯人は・・・わざわざ・・・死体に浮輪を・・・」

「お嬢様の脳ミソは難破船でございますか」

「うえ~ん」

「犯人は・・・機関停止による停電を狙っていたのでしょう・・・警備装置を無力化するために」

「そのために・・・殺人を・・・」

「さあ・・・それはまだ分かりません」

続いて・・・石川天明が死体で発見されるのだった。

「全裸で土下座死体はじめました」

「なんでもするんですね」

「一体これは・・・」

「これは人間椅子でございましょう・・・狙いはケーライオン」

「どうして・・・」

「この部屋はケーライオンの保管室の真下でございます」

その時、鳴り響く警報音。

盗みに入った高円寺兄弟は現行犯逮捕である。

しかし・・・「セイレーンの涙」はまんまと盗まれてしまうのだった。

そして・・・麗子は何者かに拉致されてしまう。

「身代金誘拐事件」である。

現金を準備するために船内カジノで醤油メーカーのバカボン(しょうがない御曹司)の京極天(生瀬勝久)にポーカー勝負を挑む影山だった。

何故か軍資金を提供する熊沢美穂。

「ギャンブルの醍醐味よ」

「執事は勝てない勝負はいたしません・・・この船のクルーは全員、私の部下でございます」

「イカサマかっ」

身代金を持って監禁場所の救命ボートに駆けつける影山。

しかし、時限爆弾が爆発し・・・二人は海上に放出される。

だが・・・常に専用衛星で監視されているお嬢様は無人島に漂流しても専用ヘリコプターで救助されるのである。

「私にプライバシーはないのね」

「ございませんとも」

断言するじいや・唐沢(伊東四朗)だった。

船上に戻った影山は・・・推理を披露する。

「セイレーンの涙を奪ったのはリー財閥の執事長です」

「えええ・・・」

「その人は・・・ずっとセイレーンの涙を狙ってこの船に乗り込んでいた」

「えええええ・・・」

「しかも・・・リー財閥のお嬢様を養育していた・・・」

「ええええええ・・・・」

「リー財閥の仇であるヨーを殺害した」

「えええええええええええ」

「お嬢様を騙していた石川を殺害した」

「えええええええええええええええええ」

「そして・・・高円寺兄弟を囮にして・・・宝石を奪ったのです」

「えええええええええええええええええええええええ」

「犯人はあなただ」

父の正体を知り・・・娘は歌い出す。

「宝石の涙はいらないさ・・・ぬくもりが欲しいだけ・・・」

復讐の鬼だった執事はお嬢様の真心に溶かされるのだった。

一件落着と思いきや・・・セイレーンの涙は偽物だった。

「こ・・・これは・・・」

「狙った獲物は逃がさないのよ・・・」

戦利品を前に・・・ファントム・ソロスは美酒に酔うのだった。

その正体は・・・りえママではありません。

関連するキッドのブログ→謎解きはディナーのあとで スペシャル

バンビコース→家族ゲーム

もげっコース→HERO

ななみコース→サイレント・プア

Ntda001ごっこガーデン。プリンセスマコ号くう様専用特設セット。
くうレビューはねえ・・・ごにょごにょ・・・しかし、ごっこはします・・・じいや、次は無人島セットお願いします

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2014年10月 6日 (月)

雨雲の蔽える月も胸の霧も掃いにけりな秋の夕風・・・と愛妻家・北条氏政(岡田准一)

この子が跡を継ぐとなると北条家もお終いか・・・と父・氏康を嘆かせた後北条家四代目当主・氏政。

その予言通りに後北条家は滅んだ。

氏康の慧眼恐るべし・・・という考え方もあるが・・・そう思うのなら何とかしろよとも思う。

氏康は氏政の按排の悪さが気にかかったわけだが・・・まあ、辞世が少し字余りなのが御愛嬌である。

「胸の霧も」のあたりね・・・。

しかし・・・偉大な曾祖父、祖父、父を持って・・・「俺だってがんばったんだよう」とは言いたかったと思う。

22万VS8万で孤立勢力で篭城・・・いかにも武将としては駄目な感じである。

愛妻家で悪い人ではなかったとか・・・妙な再評価もされるわけだが・・・戦国武将は滅んだらそれまでである。

「前にすすまないとだめですか・・・もう少しここにいたいのです」などという戯言は・・・夢見る乙女だけに許される。

「あの雨雲の向こうに隠れている月だってナイスな風が吹けば輝きだす・・・後北条家というブランドがボクには重すぎた・・・もっと身軽でいたかったなあ」

まあ・・・可愛いお坊ちゃんと考えれば・・・これ以上なく微笑ましいよね。

で、『軍師官兵衛・第40回』(NHK総合20141005)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は25行で大幅減・・・まあ・・・小田原征伐もエッサエッサエサホイサッサでございましたからねえ。このスタッフは江戸時代ものをやればいいと思いますな。戦国時代にもう来ないでくれ・・・という気持ちで一杯でございます。けれど・・・ひょっとすると北条氏政を描くといいかもしれませんな。ウジウジウジウジして結局滅んで行くという・・・向いている。後妻もあるが基本的に愛妻家だし。それはさておき・・・ついにアイスバーの似合う徳川家康描き下ろし展開で万歳三唱でございます。なにしろ・・・脇役をやらせたらネズミ男か宇野重吉かってぐらいなものですからな・・・こののほほん大河をしめてくれてますねえ。ルビーの徳川大河を見たくなりましたぞ~・・・しかし、それでは主役に~。

Kan040天正十八年(1590年)三月、秀吉は北条征伐の号令をかける。圧倒的な兵力で東に進軍する征伐軍は三月下旬に主力が沼津に到着する。北条軍は山中城に北条氏勝、韮山城に北条氏規を配し、伊豆国防衛戦を展開。徳川家康は豊臣秀次、池田輝政、堀秀政らと共に山中城を攻め落とし、先鋒部隊として四月初旬に小田原に到着する。織田信雄は蒲生氏郷、稲葉貞通、蜂須賀家政、福島正則、細川忠興、森忠政、中川秀政らと韮山城を責めるが苦戦。六月中旬まで包囲戦を展開する。一方、長宗我部元親、九鬼嘉隆らが率いる水軍衆は下田城を攻略。制海権を得て小田原沖に進出する。五月下旬には小田原城は包囲され篭城戦に突入。征伐軍は同時に北条氏に対して降伏勧告を行う。一方、別働隊となった上杉景勝、前田利家ら北方衆は関東の北条氏支城の攻略戦を開始。四月中旬までに大道寺政繁の松井田城を始め、厩橋城、箕輪城、玉縄城などを攻め落とす。四月下旬には江戸城を陥落させると下総国方面にも侵攻。五月には関東の諸城はほぼ降伏開場する。六月、唯一残っていた忍城を石田三成、直江兼続、真田信繁が攻めて・・・攻略に失敗すると言う汚点を残すのだった。このトリオは関ヶ原でも負けます。

二月、官兵衛は大坂城にいた。

脚の古傷が疼く・・・。ひょっとすると夜半の雪が降っているのかもしれなかった。

しかし、天主閣の奥の間からは外は見えない。

そこは関白・秀吉と軍師・官兵衛の密議の場だった。

控えの間には石田三成、千利休、石川数正、青木一重、安威了佐、小出秀政など雑多な顔ぶれが詰めている。

官兵衛の義弟である井上九郎右衛門がつなぎの間にいて密議による指図を控えの間の担当官に伝え、戦略が練られて行く。

時々、官兵衛の走り書きが安威了佐に渡されると達筆で速筆の了佐はそれをたちまち清書する。石田三成はそれをさらに書類にまとめていく。文となれば千利休が手紙にしたためる。石川数正は主力となる徳川軍について意見を求められれば応えるという具合である。

奥の間からは時々、秀吉の高笑いが響く。

「ふはははは・・・これはいかんな」

「天下統一の総仕上げでございますれば」

「みちのくの戦はないか・・・」

「北条が降伏すれば・・・もはや・・・手向かうものはございません」

「しかし・・・これはもはや・・・戦とも呼べん」

「まあ・・・赤子の手をひねるようなものでございますれば・・・」

「水軍はどうかのう・・・」

「すでに大坂に西国の水軍は終結を終えつつあります。四国の長宗我部は尾張に船団を進め、伊勢の九鬼衆などは遠江まで進出しております。北条の水軍勢に帰順を進めるために播磨の梶原高景が伊豆・相模に調略をかけておりますれば・・・小早川水軍、松浦水軍、宇喜多水軍などは・・・出番がないかもしれませぬ」

「水上輸送は小西にまかせたか」

「兵員、兵糧、武具弾薬すべてぬかりなく」

「みちのくからの参陣はいかがじゃ・・・」

「伊達家は北条と通じているので渋りましょうが・・・殿下の小田原の陣にはおっつけ参りましょう・・・」

「独眼竜とやら・・・面白そうじゃのう・・・まさに物見遊山じゃの・・・」

「殿下・・・勝負に油断は禁物ですぞ・・・」

「北国の春はどうじゃ・・・」

「今年は雪解けが早いとみましたゆえ・・・三月になれば関東に出てくる手筈でございます」

「こちらが・・・小田原を囲む頃には半分は片付きそうじゃの。利家も景勝も遮二無二働くじゃろう」

「まあ・・・殿下は・・・茶々様でもお呼びになり・・・箱根の湯でくつろがれるがよいでしょう」

「そうじゃのう・・・北政所に鶴松を預けるのがいいかもしれん。最近、大坂城の大政所様がちと怪しいでの・・・」

「御苦労なさいますな」

「まあ・・・仕方ないわ・・・一族皆・・・忍びの者じゃ・・・それが関白だ・・・侍従だと畏まっておれば・・・ついには血が騒ぐのじゃ・・・」

「真田一族には・・・前田勢に加わってもらいまする」

「六月には決着じゃな」

「そうなりましょう」

「成敗はどうする」

「名目上の旗頭は氏直殿ですが・・・結局は氏政殿の采配・・・それと氏照殿までは切腹させねばなりますまい」

「氏政は大人しく腹を切るか」

「我が子を助けると言えば切りましょう・・・子煩悩なお方のようです」

「全く・・・女々しくも命惜しみをして・・・さっさと上洛すれば・・・伊豆一国くらいはくれてやったのに・・・」

「まあ・・・器量なきものの運命というものです」

「それにしても・・・つまらんなあ・・・のるかそるか・・・そういう場面がない」

「では・・・石田三成殿に仕上げをまかせてはいかがか」

「ほう・・・」

「忍の城には関東一の美しい姫君がおるそうです」

「なんと・・・」

「これを石田殿に狩らせるのです」

「なるほど・・・忍はそこそこ手強いか・・・」

「勝敗の行方は五分五分というところでしょう」

「うんうん・・・結果が分からぬというところがそそるの・・・」

「で・・・ございましょう」

「官兵衛・・・お主も悪よのう・・・」

「殿下ほどではございませぬ・・・」

「言うのう・・・ふははははは」

秀吉の高笑いに石田三成は微笑むのだった。

(殿下はごきげんうるわしいようじゃのう・・・)

知らぬが仏である。

関連するキッドのブログ→第39話のレビュー

天地人→小田原の役の頃

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2014年10月 5日 (日)

二夜連続!(森カンナ)わてが浪花のヒロシ・・・やあらへん消防士やねん~ボーダーライン(小池徹平)

秋ドラマに連続登場する森カンナ・・・とある映画「太陽の坐る場所」の宣伝で相変わらず・・・ボーッとしたトークを展開していたが・・・ようやくボヤボヤしている場合じゃなくなったのか・・・。

前季は「スカーレット」「9係」と警察ものにゲストで出ていたしな。

一方、主演は「あまちゃん」のヒロシである・・・いや、小池徹平だぞ。

基本的にかわいいぞ、徹平かわいいぞ・・・というドラマである。・・・いや、違うんじゃないか。

消防士と書いてヒケシと呼んでもらいたいんだよな・・・うん。

昨日が・・・ゾンビを畏れない一般市民という御嶽山状況に批判的なドラマだったが・・・お前的にな・・・このドラマもクズだろうがなんだろうが一般市民を無差別に護る義務を持つ公僕の悲哀が全面に押し出され・・・なかなかに御嶽山状況に寄り添ったタイムリーな内容になっている・・・お前的にだろっ。

女児の性的な側面に対する表現の厳しい世の中である。御嶽山でも一番気がかりだった女児の行方不明が心肺停止、死亡で決着し・・・胸が痛むわけだが・・・なにしろ、汚れなき少女は無罪だからである・・・このドラマでは主人公が心臓マッサージで心配停止から蘇生という場面が描かれる。女児の性的な部分に刺激を与えているこの描写が禁じられるというとんでもない世の中にならないことを祈るばかりだ。・・・そこかよっ。

がんばれ、表現者たち。そして公僕たち。

で、『ボーダーライン・第1回』(NHK総合20141004PM9~)脚本・宇田学、演出・石塚嘉を見た。大阪の暗部である底辺の一般市民を忌憚なく描く導入部分・・・非常に好感のもてるスタートである。家族というものの厭らしさもそこはかとなく匂わせて・・・いい感じだ。家人が脳腫瘍でいつ意識不明になるかわからない状態だと救急車の人々には物凄く期待するわけである。優秀な人々だといいなあと思うわけである。家人が認知症だと「倒れた人を見つけたら119番だよ」と一日に何回も言うわけである。やってくる救急隊員がそういう事情を一瞬で察する超能力者だといいなあと思うわけである。まあ・・・そういうろくでもない状況に遭遇する世界はなるべくリアルであってほしいよね。でも・・・救う側だって人間だからな。

大阪消防庁・南消防署(フィクション)の消防士・川端明(小池徹平)は配属初日に寝坊で遅刻してしまう。

大学卒業後・・・就職が決まらず消防学校を経て・・・初勤務。

本人は事務職を希望していたのに現場に配属され不満だった。

しかし・・・消火隊の隊長・蔭山陽平(筧利夫)は有無を言わさずアキラを現場に引きずり出すのだった。

初めての火事現場で・・・突入を命じられたアキラは尻ごむのだった。

「なぜ・・・ためらった・・・」

「ためらってません・・・嫌だったんです」

現場では・・・アキラは特に・・・幼い子供と母親に強い関心を見せる。

やがて・・・アキラの家が母子家庭であることが明らかになる。

アキラの母親の育恵(石野真子)は南消防署の署長・菅野修(橋爪功)と何らかの関係があるらしい。

アキラは・・・「事務職もあるから・・・」と菅野に言いくるめられて消防学校に入り・・・結果として現場に配属されたのが不満だったのだ。

「人の生死に関わるなんてまっぴらです」

幼い頃・・・失踪した父親・哲二(国広富之)の件が・・・アキラの性格に影を落しているらしい。

アキラはなるべく人間に関わりたくないのである。

「そういう人間には不向きな職場ではないか」とお茶の間の声を代弁する救助隊の隊長・松井圭介(山口馬木也)である。

アキラに着替えを覗かれた救急救命士で救急隊の隊長・松井楓(藤原紀香)は圭介の妹である。

「五百円」を要求するが拒否され傷つくのだった。

ちなみに楓にはさくら(平尾菜々花)という娘があるが・・・母子家庭だ。

日曜日には出雲大社で指折りのゴージャスさを醸しだす母子家庭の次女の婚礼の儀があったわけだが・・・そういう流れの母子家庭大会なのか・・・違うだろう。

「僕はお金を稼ぎにきているので・・・余計なことにお金は使いません」

「ギャフン」

ちなみに南消防署は・・・次の三つの隊がある。

消火隊にはデブの広田( F・ジャパン)、チンピラの上島(波岡一喜)・・・おいっ。

オレンジでおなじみ救助隊には脳みそ筋肉の木村(趙珉和)などが配置されている。

性格を考えて・・・アキラはしばらく後方支援的な救急隊の預かりとなる。

しかし・・・救急隊とはいえ・・・治安の悪い大阪では・・・任務は常に危険を伴うのである。

ケンカでけが人が出れば被害者の救護中に酒に酔った加害者が絡んでくる。

制止しようとしたアキラは禿散らかしたおっさんに「暴行だ」と叫ばれ唖然とするのだった。

街の顔役(麿赤児)の仲裁で事なきをえるアキラにベテランの救急隊員・伊藤潤一(徳井優)が声をかける。

「この辺の人たちは生活保護の入金があるとつい酒買ってしまうんだ」

「そんなクズなんて助ける価値あるんですか」

「まあまあ・・・それで給料もらっとるんだから・・・ね」

救急隊員の原田明美(森カンナ)は変態で腋の下体臭占いが趣味だった。

「当たるんですか」

「あんた・・・マシな方だけど少し汗臭さが足りんわ・・・」

「本当に・・・変態なんだ・・・」

救急車をタクシー代わりに使う大阪市民の実態の点描あって・・・。

娘の手作り弁当がおあずけになる・・・伊藤隊員。

「この出動から帰ったら食べるんだ」とフラグを立てました。

多重衝突による凄惨な事故現場。

消火隊、救助隊、救急隊が全員出動で・・・人手不足。

その時・・・無事に見えた少女が心肺停止状態に・・・。

「心臓とまってます」

「あんたが心臓マッサージせなあかん」

「ぼ・・・ぼくが・・・いいんですか・・・ゴクリ」

「いいも悪いもないがな」

初めての人命救助の相手が・・・少女・・・。

アキラは・・・頑張るのだった。

「よし・・・もういい」

「え・・・」

「息吹き返した」

「・・・」

「ようやった・・・」

「僕が・・・人の命を・・・助けた・・・」

アキラの心の中で何かが動く。

しかし・・・コール・サインで呼びだされた救急車は不吉な集合住宅へ。

そこには・・・麻薬常習のゾンビカップルが待ち受けていたのだった。

「いかん・・・退避・・・」

しかし・・・伊藤はジャンキー(男)に包丁で刺されてしまう。

「伊藤さん・・・」

ジャンキー(男)はさらに灯油で部屋に放火である。

その間・・・ジャンキー(女)は無反応だった。

救助隊が到着。鍵のかかった部屋に突入する。

しかし・・・猛火である。

救助隊はジャンキー(男)とジャンキー(女)を救助する。

「なんで・・・伊藤さんを後回しにするんです」

「市民が見てるんだ・・・市民を後回しにして・・・仲間を助けたりしたら・・・大変なことになるんだよ・・・特に素晴らしいインターネットの世界では・・・」

「そんな・・・あんな死んでもいい奴助けないでもいいじゃないですか」

「どんな命でも粗末にするな・・・それが建前だ」

「建前ですかっ」

いろいろと納得いかないアキラ・・・。

大阪では不条理も不条理ではないからな・・・。

はたして・・・伊藤は弁当を・・・冷蔵庫に入れたのか。

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2014年10月 4日 (土)

死なないご遺体・・・通称ゾンビ・・・玉川区役所 OF THE DEAD(林遣都)

うわあ・・・秋ドラマ・・・始っちゃったよ・・・。

今さらですが・・・記事の内容はキッドの妄想が責任を転嫁しますので悪しからず。

さて・・・(金)のレギュラー候補である・・・このドラマ。

初回、気になったのは・・・登場人物・・・多過ぎである。

まあ・・・再現ドラマをレビューした後なので・・・余計、そう思う。

それから・・・ゾンビメイクの人・・・誰だか・・・分からなすぎである。

なんていうか・・・言ってはいけないかもしれない類のたとえになるが・・・。

活火山の頂上でランチを楽しんでたら噴火しました的な・・・活火山なめるなよ的に・・・。

言ってはいけないことを言うなよ。人が死んでるんだぞ。

ウサギが死んだので天国のウサギに手紙を書きましょうというところで失笑する小学生レベルだぞ。

でも噴石飛んできて社務所に隠れてその背中に人間が二重三重になってリュックサック翳して九死に一生なんて凄すぎるじゃないかっ。

つまり・・・恐ろしいことを恐ろしいと感じない怖さだよな。

ゾンビをなめてる世界観がものすごくタイムリーでちょっと微笑ましいぞ。

で、『玉川区役所 OF THE DEAD・第1回』(テレビ東京20141004012~)脚本・新井友香、演出・河原雅彦を見た。20世紀末、メキシコ西部でゾンビ・ウイルス感染者が発生。生ける屍と化した「それ」はそれほどの驚異とは見なされず・・・かといって人権は剥奪され・・・高齢者や浮浪者の類として人類社会から疎外されている・・・という世界の話である。日本の首都・東京23区では・・・区役所に・・・特別福祉課が新設され・・・生けるご遺体に対応していた・・・。

真面目なのか不真面目なのか・・・微妙な出だしである。

こういう中途半端さは・・・鼻に突きだすとゾンビなみの腐臭がするので要注意だなあ。

玉川区役所(フィクション)の特別福祉課は・・・活動係と管理係に分れ、主人公の赤羽晋助(林遣都)は管理係の新人職員である。

「生けるご遺体発生」の通報があると・・・上司の大川剛(高橋努)と出動し、ガムテープで捕獲し、マウスピースを装着するのが業務内容である。

捕獲したゾンビは特別保険対象者となり管理されるのである。

特別保健総合センターに移送されたトクホは研究材料になるのだった。

この人間の非人間化が物語の核心なのだろうが・・・今の処は寒い感じがする。

赤羽の親友の幸田(金子ノブアキ)は玉川医科大学でゾンビウイルスの研究者である。

就職の決まらなかった赤羽をコネで区役所に押し込んだのも幸田なのだ。

大森課長(古舘寛治)、管理係の渚(豊田エリー )、赤羽の姉・みわ(田畑智子)なども配置されている。

野放しにされたゾンビもあり・・・下劣な若者は・・・ゾンビを凌辱したりもする。

そんなバカップルの一人、山下マユ(森カンナ)は恋人がゾンビに悪戯して指を噛まれたのに・・・ワクチン接種を理由に放置し・・・同衾し、目覚めると恋人がゾンビ化しているという恐怖体験をする。

森カンナも「ボーダーライン」(NHK総合)のレギュラーなのに・・・売り出しにかかっているのか。

そして・・・マユも恋人に噛まれてしまうのだった。

捕獲に出動した赤羽だが・・・大川がアクシデントで脱落し・・・一人でゾンビに対することになる。

しかし、ゾンビの目の前で装備を柵にひっかけ、身動きできなくなるという・・・最悪の事態に・・・。

絶体絶命のピンチを救ったのは竹刀を持った美少女・立花凛(広瀬アリス)だった・・・。

なんていうか・・・キャスティングがB級感漂うぞ・・・。

ゾンビにとどめを刺そうとする立花を制止する赤羽。

「殺してはいけない・・・」

ゾンビは・・・すでに死んでいるわけですが・・・。

とにかく・・・立花はゾンビ撲滅を胸に秘め・・・特別福祉課に・・・配属されてくるらしい。

これは・・・他のドラマが始るまでの・・・な感じ・・・。

まあねえ・・・「アオイホノオ」の後だと・・・粗が目立つのは仕方ないなあ。

関連するキッドのブログ→セーラーゾンビ

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2014年10月 3日 (金)

2014年秋ドラマを待ちながら(キッド)

朝から国会中継を見ている。

現在、この国はいろいろと問題が山積みである。

しかし・・・そうでない時代なんかないのであってそれでいいと思う。

国なんてものは幻である。

その証拠に御嶽山はいちいち国に許可を得ずに噴火するのである。

人はそれぞれの気分で山に登る。

そして生き伸びる人もいればそうでない人もいる。

それでも・・・災害に対して幻の国家は・・・幻の公務員を・・・生死を分ける現場に送り込むのである。

ある人は・・・そういう幻の行為に感謝を捧げるだろう。

そういう幻の国民の気持ちを感じる人は感じるだろう。

すべてが幻だとしても。

ドラマもまた幻だけれど・・・幻の時間の存在を一時忘れさせてくれるのだ。

そういう意味では退屈な国会中継も幻なんだなあ。

それにしても火山フロントがくの字に曲がっているところに御嶽山はあるんだなあ。

新島噴火のことを考えると直感的にすごくヤバイ感じがするよねえ。

科学的根拠なんて・・・ないけどねえ。

ああ・・・台風が近づいている・・・植木を片付けないとなあ・・・。

面倒くさいなあ・・・。

植木も幻だといいのになあ・・・。

で、(月)は・・・ファンタジーだが「信長協奏曲」・・・「信長のシェフ」より面白いといいけどねえ。ただし・・・今季は週末がいろいろとあるので・・・消滅する可能性はあるね。

(火)は「素敵な選TAXI」・・・また、ファンタジーかよっ。でも・・・竹野内豊だから。「すべてがFになる」の武井咲、「女はそれを許さない」の深田恭子はいいのか・・・すべては運命です。せんたくし~ってバカリズムだなあ。「さよなら私」は脚本・岡田惠和で復活の可能性あるよね。

(水)は「相棒」は別として・・・「きょうは会社休みます。」VS「ファーストクラス」である。

これは・・・綾瀬はるかと沢尻エリカ・・・どっちが好きという話だよな・・・とても決断できない。・・・してるじゃないか。色文字的にね。

(木)は「ドクターX」は別として・・・週末が混んでいるので谷間候補である。

(金)さて・・・「Nのために」・・・原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、主演・榮倉奈々・・・これはそそる。

「玉川区役所 OF THE DEAD」でとりあえずゾンビ・・・これもそそる。もう、今夜だぞ。しかし・・・ペンディングである。

(土)は「地獄先生ぬ~べ~」である。ファンタジーじゃないかっ。「アオイホノオ」のとんこさんこと山本美月を見るためだ。もちろん、ヒロインの桐谷美玲も見ます。

(日)「ごめんね青春!」は宮藤官九郎だが・・・「アオイホノオ」の津田ヒロミこと黒島結菜を見るだけで満足できそうな気がする。つまり・・・(日)のホームドラマ大河にサヨナラして・・・こちらという可能性もある・・・それか・・・予備日にずらすか・・・。戦国ものが続くので・・・(月)かなあ。

結局、夏ドラマの「アオイホノオ」のインパクトは凄かったんだな。

まあ・・・結局・・・最後は見て決めるのは件のごとしである。

処理の仕方にもよるが・・・「官兵衛」「ごめんね」「信長」「ステタク」「会社休み」「Nため」「ぬ~べ~」で七作品・・・谷間なしかあ・・・・。

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2014年10月 2日 (木)

赤色の恐怖(渡邉このみ)いいね依存症(星野真里)なぜ少女は記憶を失わなければならなかったのか?~心の科学者・成海朔の挑戦~(山下智久)

再現ドラマのようなドラマである。

「実際にあった猟奇的な話」・・・という感じですかね。

容疑者役で船越英一郎が登場する。

「スケジュールがねえ・・・」

「しかし・・・セリフを覚える必要がないんですよ」

「やりましょう・・・」

あくまで妄想である。

で、『ザ!世界仰天ニュース・なぜ少女は記憶を失わなければならなかったのか?~心の科学者・成海朔の挑戦~』(日本テレビ20141001PM9~)脚本・松田裕子、演出・石田昌浩(他)を見た。笑福亭鶴瓶・中居正広による「ザ!世界仰天ニュース」の枠内で作られたスペシャルドラマである。物凄くお手軽に作られた感じもするし・・・それなりに手がかかっているような気もする微妙な仕上がりです。まあ・・・再現ドラマと考えたらものすごく豪華であるとも言えます。

奇妙な事件の発生

連続放火事件の重要参考人・八神圭佑(船越英一郎)の家宅捜索で、7歳の少女(渡邉このみ)が発見される。少女は鍵のかかった部屋に軟禁されていたのである。

少女は保護されてからも言葉を発せず身元が特定されない。

少女の誘拐・監禁の容疑者となった八神は聾者であり・・・筆談にも応じず黙秘を貫く。

捜査に行き詰った安孫子賢人刑事(浅利陽介)は医師である姉の美織(木村文乃)の元・恋人で天才心理学者の成海朔(山下智久)に協力を依頼するのだった。

「おいおい・・・捜査に一般人の協力を仰ぐのかよ」と同僚の中沢刑事(波岡一喜)は疑問を呈する。

「いや・・・成海先生のアドバイスで・・・円仮説による地理的プロファイリングをしたところ、連続放火事件の真犯人見つかっちゃったんで」

「複数の犯行地点の間で、最も遠い二点を結んだ線を直径とした円内に犯人の居住地があるとするって・・・単に土地勘のある前科者をピックアップしただけじゃん」

「それはそれとして・・・保護した少女にはカウンセラーが必要ですし・・・」

「まあ・・・いいか・・・予算はでないけどな」

「それは・・・姉が昔の貸しで相殺すると言ってます」

「お前の姉ちゃん・・・闇金かなんか・・・」

「女医ですよ」

大学で准教授をしている成海はこうして・・・少女の心のケアにチャレンジするのだった。

病院で保護されている少女は沈黙を守り、食事も拒絶中だった。

「こんにちは・・・」

「・・・」

「じゃあ、またね」

成海は子供が苦手だった。

手掛かりを求めて・・・少女が監禁されていた部屋を見学する成海。

部屋は浴室、トイレなど生活環境は整っていた。

食べかけのパンもあり・・・監禁中は食事をしていたようだった。

「監禁ではなく・・・まるで保護されていたようだ」

「どういうことです」

「つまり・・・少女にとっては・・・外の世界が監獄なんだよ」

「えええええ」

成海は少女が使用していたスケッチブックを発見する。

「お絵描きだけでなく・・・国語や算数の勉強もしている・・・つまり・・・誰かが勉強を教えていたんだ」

「それって・・・」

「おそらく容疑者の八神さんだ」

「一体・・・なんなんだ・・・少女には・・・暴行の傷痕もないし・・・」

「単に飼育していたのかもしれないが・・・」

「が・・・?」

「この絵には・・・虐待された子供の気配がない・・・むしろ、情緒は穏やかで安定している・・・ただ・・・」

「ただ・・・?」

「この絵には・・・色がない」

少女にスケッチブックを返すことで・・・心を通わすきっかけを得た成海は・・・さらにクレヨンをプレゼントするのだった。

「君は・・・絵が上手い・・・色をつけたら・・・もっと素敵になると思うよ」

「色・・・」

さらにお菓子を与えて・・・少女の心を開く成海。

少女はついに・・・名前を告げるのだった。

「なお」・・・それが少女の名前だった。

名乗り出た母親

事件がニュースとなり・・・瀬田亜唯子(星野真里)が菜央の母親として出頭する。

恐ろしい偶然で亜唯子の息子は・・・病弱で美織の患者だった。

そして・・・菜央は引きとりに来た亜唯子に拒絶反応を見せるのだった。

「母親に何か問題があるのかもしれない・・・」

「しかし・・・子供思いの母親だって話だぜ・・・」

「おかしいじゃないか・・・そんな母親が・・・二年間も娘が行方不明なのに・・・捜索願も出さないなんて・・・」

「あ」

我孫子刑事が調べると・・・亜唯子には複雑な人間関係があった。

亜唯子は三度結婚していた。

最初の夫は家庭内暴力が悪質で・・・逃げるように離縁。

二番目の夫は事故死していた。

最初の夫との間に出来た菜央は最初の夫の戸籍に入れることを亜唯子が嫌悪したために戸籍がなかった。

そして・・・亜唯子は現在の夫・瀬田晃司(中村靖日)と結婚する。息子は第三の夫の連れ子だった。

「八神は二番目の夫の経営する店で・・・働いていた過去がある」

「二番目の夫は・・・本当に事故死なのか・・・」

「実は・・・死因は不詳なんだ・・・」

「おいおい・・・日本の警察、大丈夫か」

「命がけで御嶽山に登っている警察官を見よ」

「すみません」

明らかとなる真相

面会に来た亜唯子が嫌がる菜央の写真を撮ったことから・・・成海は事件の真相を見抜く。

「ドイツの文豪であるゲーテは科学者として色彩論を発表している。これはニュートンの色彩論を批判したもので・・・文学的だが・・・科学的にはあまり評価されていない理論なのだが・・・ゲーテによれば・・・色は光と闇の融合ということになる。そして色は一種の生き物で・・・人間にメッセージを送っていると言うのだ・・・」

「かなり・・・頭がおかしかったのか」

「あくまで幻想的なんだよ・・・しかし・・・実際、人間が見ている色は・・・人間の心が作り出す幻影に過ぎないとも言える」

「イメージか・・・」

「そして・・・色が心に・・・なんらかの影響を与えることは確かだ」

「・・・」

「なおちゃんの場合・・・赤色に対する心理的な抵抗が大きい・・・つまり・・・なおちゃんにとって赤は・・・心に傷を残すほどの・・・悪しき色なのだ・・・おそらく・・・母親の口紅の色・・・」

「なんだって・・・」

「なおちゃんの母親は・・・素晴らしいインターネットの世界で自分の息子の病気とそれを看病する自分を公開している。そして・・・今度はなおちゃんの記事を書いている。誘拐されていた子供を取り戻した善良な母親として・・・」

「そんな・・・まだなおちゃんは彼女を母親として認めていないのに・・・」

「瀬田亜唯子は・・・心の病気だ・・・代理ミュンヒハウゼン症候群・・・子供を看病している自分を評価してもらいたくて子供に毒を与える異常心理の持ち主だ」

「なんだ・・・それ・・・」

「平成20年4月から平成21年3月までの1年間に厚生労働省が把握した虐待により死亡した子どもの事例のうち三件が・・・代理によるミュンヒハウゼン症候群によるものだと報告されている」

「そんな・・・同じように頭のおかしな人が他にもいるのかよ」

「いるんだなあ・・・これが・・・」

亜唯子は息子にインスリンの過剰投与を行い低血糖による意識障害を発症させていた。

そして・・・菜央にも同様なことをしつつ、悪戯の濡れ衣を着せて夫の折檻から子供を庇う母親を演じていたのである。

八神は菜央を父親の暴力から救うために謝って父親を殺害してしまい・・・さらに母親の悪行から守るために・・・菜央を匿っていたのである。

亜唯子は殺人未遂の罪で逮捕され・・・八神は傷害致死の罪に問われたが・・・情状酌量され執行猶予がついたのだった。

せっかく・・・仲良くなった菜央と別れの時が来た成海。

「さびしくなっちゃったのね」と美織は昔の恋人をかっての馴染みである安藤(塚地武雅)の店に誘うのである。

そこは・・・生姜焼き定食が美味い店だった。

とにかく・・・この世の中は奇妙な事件が起こるものなのだ。

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Ypsnk001ごっこガーデン。美味しい定食屋のある夜の町セット。エリふふふ・・・クールで優しいドクター藍沢・・・じゃなくて心理学者・成海P・・・ドジなドクター藤川じゃなくて我孫子刑事が出てたので間違えちゃうのでス~。やさしくやさしく女の子の心を溶かすのでしゅね~。キャ~しゅてき。とにかく・・・美味しい定食屋の美味しい生姜焼き定食は絶対に美味しいのでス~。じいや、生姜多目でよろしく~シャブリ星野真里さんのクズ母ぶりが見事なのでありました~

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2014年10月 1日 (水)

罪を犯したものを裁くのは人ではありません(広末涼子)

人が人の罪を裁くことはすでに不条理なことである。

人という不完全な生き物が・・・完全なる真実を明らかにすることは不可能である。

不完全な人が不完全な罪を犯したとして不完全な裁きを行い不完全な罰を不完全な人に与えるのである。

それが不条理なものであるのは当然なのである。

人は可能な限り、力を尽くして不条理に挑む。

それを善と呼ぶか、悪と呼ぶか・・・不完全な人間には不完全な判断しかできないのだ。

この物語はそういう前提の話である。

で、『聖女・第6回』(NHK総合20140930PM10~)脚本・大森美香、演出・水村秀雄を見た。十月になったのだが・・・夏ドラマの余韻として・・・このドラマが残留しているわけである。夏ドラマは不倫の匂いが濃厚だったわけだが・・・このドラマはそういう「性の歓び」を完全に否定しているヒロインの話である。しかし・・・そういうヒロインがただ一度の「性の歓び」に翻弄されるわけである。生きるためには・・・人を殺すことも悪ではないと信じるヒロインはお茶の間には好感を持って迎えられないわけだが・・・そういう「悪女」が「たった一度の恋」に悶える様はそれなりに支持されるのではないかと考える。

Swpp005「聖女」の製作者かもしれないフェルメールには「マリアとマルタの家のキリスト」という作品がある。聖女のプラッセーデ(プラクセデス)とプデンツィアーナ(プデンティアナ)と同じくマリアとマルタは姉妹である。ベタニア村の姉妹の家をナザレのイエス(キリスト)が訪問する。ルカの福音書での描写によれば・・・姉であるマルタがイエスをもてなすために忙しく働き・・・妹のマリアはイエスの言葉に耳を傾けている。「私はあなたをもてなすために働いているのに・・・妹はまったく働かない・・・あなたからも一言おっしゃってください」とマルタはイエスに苦言を呈する。するとイエスは「この世で一番大切なことは私の言葉に耳を傾けることだ・・・それをしているものにそれをしてはいけないとは言えない」と応じるのである。

善男善女の「気働き」の完全否定である。

神の子の語る真理とは・・・そういう恐ろしさを含んでいるのである。

聖書にはマリアが複数登場するが・・・それぞれは完全には分化していない。

聖母マリア、マグダラのマリア、ベタニアのマリアは・・・それぞれ・・・イエスをめぐる罪の女としてのマリアを象徴する存在である。

そもそも・・・処女懐胎など信仰なき目で見れば単なる不義密通の結果に過ぎないのである。

そういう罪の女たちが神に許されて聖女となるのが新約聖書のダイナミズムなのである。

人を殺すのが悪という・・・不文律は一つの不条理に過ぎない。

聖戦において敵を殺すのが悪ではないことからも明らかなのである。

だから・・・キリスト教徒は原爆を広島に投下できるのである。

新人弁護士・中村晴樹(永山絢斗)は千倉泰蔵(大谷亮介)から「基子が床に火のついた煙草の吸殻を落したのを見た」という記憶を知らされて・・・漠然とした罪の意識に苛まれる。

罪深きものを弁護しているのではないかという怯えが生じているのである。

一審で無罪を得た基子(広末涼子)は大胆に純粋な恋の相手である晴樹に肉体関係の復活を迫る。

その甘美な誘惑を退けて晴樹は自己の認識の枠組みによる「正義」に基づき・・・真実を求めるのだった。

「あなたは・・・千倉さんを殺そうとしたのではないのですか」

「そんなこと・・・よく覚えてないわ」

単なる獲物にすぎない千倉の状況に拘る晴樹の真意が理解できない基子はうかつにも本心を覗かせる。

「あなたにとって千倉さんは・・・お金を持っている限り・・・尊敬できる相手だった・・・しかし、無一文になって・・・あなたと結婚したいと言い出した千倉さんは・・・たちまち疎ましい存在になった・・・だから・・・あなたは千倉さんが死ねばいいと思った」

「死ねばいいと全く思わなかったとは言えないわね」

「・・・」

「それがどうしたの・・・生きていれば誰かに死んでほしいと思うことなんて・・・よくあることでしょう」

「それは・・・違う・・・死ねばいいと思うのと・・・殺意を持ってこぼれた灯油に火のついた煙草の吸殻を投げるのとは・・・」

「どうして・・・」

「どうしてって・・・それは犯罪ですよ」

「だって・・・私は無罪になったでしょう・・・」

晴樹は・・・ようやく・・・何不自由ない家庭で育った男と・・・売春婦の娘として育った女の心がまったく違う心であることに思い当たるのだった。

人それぞれに違う心がある。

しかし・・・傲慢な晴樹はそれを受容することはできない。自分が善であり、相容れない他者が悪であるという図式によって動くのである。

「もう・・・僕にはあなたがわからない・・・」

「晴樹くん・・・」

逃げるように部屋を立ち去る晴樹だった。

一方・・・病院の屋上から転落した千倉は・・・急報で駆けつけた本宮泉美(蓮佛美沙子)の前で危篤状態となっていた。

そのニュースを知った基子の心は揺れる。

「死ねば・・・いい」と感じたからである。

しかし・・・晴樹の幼さを感じる基子の心は乱れる。

「愛する男は・・・バカだから・・・それを受け入れないかもしれない」

そのことによって生じる都合の悪さが基子の心を揺らすのだった。

嘘はつけないが・・・真実を語らないことで消極的な時間稼ぎをする晴樹だったが・・・ついにタイムリミットが来る。

前原弁護士(岸部一徳)に千倉の新証言を語るのである。

「それが・・・どうした」と前原はにべもない。

「だって・・・真実は・・・殺人未遂なんですよ」

「我々の仕事は・・・依頼人の利益を守ることだ・・・依頼人が無実だと言っている以上、そうなるべく最善を尽くすべきだ・・・それに・・・千倉氏は再び・・・法廷には立てない」

「そんな・・・僕には・・・もう彼女は弁護できません」

「いいよ・・・この件から外れればいい」

「・・・」

なにしろ・・・晴樹は成績向上に夢中になって気が付いたら弁護士になっていた男である。

心は高校生なのだった。

基子が恐ろしい悪女だと知り、たちまち・・・お母さんのように甘えさせてくれる婚約者・泉美にすがる晴樹。

「隠していてすまなかった・・・基子さんは・・・初恋の女性だ」

「昔のことはどうでもいい・・・今はどうなの・・・」

「昨日・・・キスしました・・・でも今は・・・あの人がこわいんだよう・・・」

「バカじゃないの・・・」

しかし、あくまで前向きな泉美は・・・晴樹の反省を受け入れるのだった。

馬鹿正直なエリート弁護士を捨てる気にはなれなかったのである。

一方、弟の破滅を願う兄は着々と準備を進めている。

何故か・・・そのことを晴樹には告げない泉美だった。

あくまで前向きな泉美は・・・弟に対する兄の悪意を完全には読みとれないのである。

「そんな復讐をしたって何もいいたことはありませんよ」

「君が僕に肉体的奉仕をしてくれれば考えても良い」

「そんなことを言うあなたは・・・可哀想な人です」

「憐れみか・・・自分の正しさを疑わない人というのは・・・本当に愚かだな」

「私は・・・絶対に晴樹くんを守りますから」

もちろん・・・泉美の覚悟は・・・単に晴樹を愛し続けるということに過ぎない。

兄の悪意は・・・そういう善なる心そのものを破滅に追い込むことを願っているのである。

そういう悪意の存在を・・・泉美は感じることができないのである。

夫を殺害したかもしれない妻の文江(中田喜子)は・・・「あの女が夫を殺した」と根も葉もない証言をハイエナ・ジャーナリズムにまき散らすのだった。

実は・・・二億円の隠し金を持っている基子は・・・狂気の坂を転げ落ちていく。

晴樹の愛人として・・・晴樹の子供を生むことを夢見ながら・・・海の見える邸宅を購入するのだった。

しかし・・・基子からの着信を拒む晴樹。

ついに・・・事務所で遭遇する晴樹と基子。

悪魔のような前原弁護士は・・・二人きりになる機会をあえて設ける。

我が子を谷底に突き落とす獅子のようなタイプなのだろう。

「結婚するんですってね」

「はい」

「私とはいつ・・・暮らし始める?」

「おっしゃってる意味がわかりません」

「愛人でいいの・・・でも貴方の子供を四人くらい生んでいいお母さんになりたいの」

「それは・・・無理です・・・今のあなたは・・・僕にとって・・・憧れのまりあ先生ではなく・・・単なる犯罪者ですから」

「そんなの・・・いや」

「すみませんでした」

「謝ることはないのよ」

「悪いのは僕ですから・・・さよなら」

「そんなの・・・私は認めない」

タクシーに押し込まれる基子。

そこへ・・・千倉氏死亡のニュースが飛び込む。

その時・・・悪女の顔には聖女のような微笑みが浮かぶ・・・。

すべてを許す神に帰依するものと・・・容赦なく命を奪う火山さえも神とあがめるものの間には暗くて深い川が流れているのだ。

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