誰かロマンチックが好きな私を好きになってくれませんか?(竹野内豊)
リアルだけどつかみどころのない女の子をやらせると・・・南沢奈央は実にうまいのである。
リアルなのにつかみどころがないのは・・・すごいことだからだ。
今回は主人公が乙女チックな中年男である。
主人公の行きつけの喫茶店のウエイトレスを演じる南沢奈央は「客」にリアルだけれどつかみどころのない感じで接する。
主人公は一方的にあらぬことを妄想する。
その妄想に対するウエイトレスの反応が・・・実にリアルでつかみどころがないのである。
すごいぞ、バカリズム、すごいぞ。
で、『素敵な選TAXI・第2回』(フジテレビ20141021PM10~)脚本・バカリズム、演出・星野和成を見た。気がつけば二夜連続タイムトラベルものである。ドラマ「信長協奏曲」は戦国時代に主人公がタイムスリップである。この場合・・・「現代」のことはこれまでのところ描かれない。突然、主人公の高校生を失った家族のことは「過去」の主人公には窺いしれないからである。そういう意味では一人称的な「流れ」の重視と言える。もちろん、「過去」においては主人公のいない場面も描かれ、三人称的な演出もある。しかし、同じ時代に生きている他者は違う時代の他者とはなんとなく違うわけである。コミック「漂流教室/楳図かずお」では小学生の主人公は未来にタイムスリップするが・・・現代では主人公を失った母親が重要な役割で登場し続ける。そういう描き方もあるわけだ。しかし、「現代」と「未来」の二つの違う時代を描くことは様々な矛盾を生みだす。小説「七瀬ふたたび/筒井康隆」では時間を遡上することができる超能力者が登場し、主人公も「やりなおすための過去」へ時間を遡上する。しかし、そこで「パラレルワールド」という時間の分岐の矛盾が紹介される。主人公がやりなおすために時間を遡上した時・・・主人公を失った「現在」はどうなるのかという問題である。主人公の主観では・・・遡上した過去が現在である・・・しかし、客観的に考えると・・・主人公が変えていく未来と・・・元の未来は同時に存在する可能性があるわけだ。時間が唯一無二の存在だと考えると・・・誰かが時間を移動した時点で・・・それまでにあった「時空間」はすべて消去されるということになる。つまり・・・一つの世界の抹殺である。淡々と語られる「時間旅行」の凄みはここにあるのである。一方で「パラレルワールド」はなんでもありというのんびり感を感じさせます。実は・・・ここまでのところ・・・「素敵な選TAXI」の主人公・枝分(竹野内豊)は世界を再編成する神として描かれている。今回は特にほのぼのとした作品世界の裏で・・・神が恐ろしい「この世の終わり」を展開していることを感じさせる仕上がりになっているのである。
全知全能の気まぐれな神は・・・小市民的なタクシー・ドライバー枝分になれば・・・ちまちまとものを考えるのである。
「そこで愛を誓ったカップルは一生結ばれる」という伝説がある・・・某地方の海岸から見える「はあと岩」を紹介する雑誌の記事。
枝分は「そういうロマンチックな話」が好きなのであった。
しかし、「cafe choice」のウエイトレス宇佐見夏希(南沢奈央)にリアルだがつかみどころのない感じの顔で・・・・。
「そういうロマンチックなの・・・お好きなんですか」と問われると・・・うかつに肯定できないのだった。
ロマンチックが許されるのは乙女だけで・・・中年男性には似合わないのではないかと・・・危惧するからである。
なぜなら・・・年齢にふさわしい行為こそが・・・世界から求められるような気がするからだ。
綾瀬はるかも中身が吉田里琴だとみんなが理解してくれたらどんなに気が楽かと言う話だ。
「ひみつのアッコちゃん」かっ。
小学生同士の恋愛ならほのぼのだが・・・女子小学生と定年を迎えた独身男性の恋愛は犯罪なのである。
「キモッ」と叫ばれる惧れがあるのだ。
誰かを気持ち悪くさせるのは・・・気持ちの良くないことなので・・・本音を隠す枝分だった。
「いや・・・そんなことはないよ・・・たまたま・・・見てただけ」
「ああ・・・そうなんですか」
リアルでつかみどころのない場面である。
劇中ドラマ「犯罪刑事」(主演・デビット伊東)に夢中の関カンナ(清野菜名)は・・・現在、登場人物の熱血目撃者(前野朋哉)がお気に入りだった。
「目撃の仕方が半端なく熱いんです」
しかし・・・常連客の標道雄(升毅)は「ブサかわ」のキャラクター商品には馴染めないのだった。
「ブサイクとかわいいを一緒にするな」というのが正直な気持ちだからである。
そういう気持ちはわからないでもないが・・・あえて主張はしないのが・・・大人だ。
そして・・・枝分は・・・「はあと岩」を求めて海辺の町・優陽町にやってきた。
そこはのどかな田舎町だった。
昼下がり・・・海岸近くの派出所には松原巡査(松下洸平)がいて・・・暇をもてあまして・・・ドラマ「犯罪刑事」を見ている。
そこへ・・・飼い犬が行方不明になった近所の女性を連れて民宿の経営者・平野(仲村トオル)がやってくる。
「トクボウに続いて警官役か・・・この間は・・・亀甲縛りをされていたな」
「先輩こそ・・・どう見ても刑事ですよ」
「何の話だ」
平野は釣竿を抱えて海辺に戻る。
どうやら・・・民宿も暇らしい。
「はあと岩」の道しるべをたどるとそこはリゾート開発の予定地だった。
平野はどうやら・・・「はあと岩」にも「リゾート開発」にも苦い思いを感じるようだった。
平野は鬱屈を抱えている。
しかし・・・それは時の流れにのみ込まれ・・・ほとんど細波のように心を揺らすだけのようだ。
古傷である。
灯台の側で釣りを始めた平野に・・・松原巡査が血相を変えてやってくる。
「先輩・・・大変です・・・町長の娘さんが誘拐されました・・・犬を捜してる場合じゃないですよ」
「あの犬だって・・・あの人には大切な家族だろうが・・・」
「そりゃあ・・・そうですけど・・・犬と人間が溺れている時に犬を先に助けたら・・・犯罪者になる可能性がありますよ」
「だな・・・」
町には優陽町の町長・高橋雄一郎(斉木しげる)のポスターが張られ・・・盛んにリゾート開発がアピールされていた。
「町長の娘か・・・」
平野の心の奥底ではふたたび細波が立つ・・・。
アンニュイな雰囲気が醸しだされるのだった。
その理由は誘拐事件の捜査に当たる横山刑事(梨本謙次郎)と町長夫人の加奈子(木下美咲→霧島れいか)が同窓生で・・・平野の共通の友人であることに関係しているらしい。
そこへ・・・道に迷った枝分がやってくる。
「すみません・・・はあと岩は・・・どこでしょうか」
「え・・・」
「ご存じないですか」
「いや・・・知ってますけど・・・」
「じゃ・・・教えてください」
「たいした岩じゃないですよ」
「謙遜しなくてもいいですよ」
「いや・・・謙遜しているわけでは・・・お一人ですか」
「そうですけど」
「いや・・・お一人で行くようなところじゃないですよ」
「いいじゃないですか」
「変ですよ」
「一人で行ったらロマンチックではないとでも・・・」
「ロマンチックって・・・」
ブサイクとは言えない二人が延々とブサイクな会話を続けるのだった。
結局、米丸神社の角を曲がった不倫橋の先の高台に案内してもらう枝分だった。
「タクシーなのに・・・ナビもないの・・・」
「いろいろと別のシステムを搭載しているんで・・・とにかく・・・はあと岩は絶対に見たいのです」
「・・・」
なんだろう・・・これはうざいおっさん合戦なのか。
その時、対向車線を町長の娘を乗せた広報車がすれ違う。
「あ・・・」
思わず・・・車内から松原に電話する平野だった。
「誘拐された町長の娘を乗せた車を見たぞ」
枝分は・・・神と人の中間の存在として口を出す。
「誘拐ですか・・・」
「・・・」
「どうします・・・Uターンして追いかけますか」
「頼みます」
「でも・・・後で必ず・・・はあと岩に案内してくださいよ・・・」
「・・・」
非常線が張られ・・・町長の娘を乗せた車は確保される。
署内で・・・高橋町長に礼を言われる平野。
しかし・・・娘のいのり(柳生みゆ)には感謝の色はない。
「ありがとうございました」と町長夫人の加奈子は口では言うが・・・顔には何かものいいたげな表情が浮かぶ。
誘拐犯人の達也(間宮祥太朗)を見た時・・・平野には忘れられないけど忘れようとして本当に忘れかけた過去を思い出す。
加奈子と平野(中山卓也=大河ドラマ「軍師官兵衛」の荒木村次)が恋人だった頃。
加奈子が実力者の父親に見合い結婚を命じられたこと。
一緒に逃げようという加奈子の申し出を・・・平野は断った。
そして・・・平野は・・・加奈子を失ってしまったのだ。
あの時と・・・同じだと・・・平野は悟ってしまった。
加奈子の娘・・・いのりには見合い話があり・・・達也はいのりの恋人で・・・二人は駆け落ちを実行に移した。
「とんだ・・・お邪魔虫だったよ・・・」
タクシーの中で自嘲する平野。
「じゃ・・・やりなおしてみますか」
「やりなおす・・・?」
運賃19500円で過去に戻った平野・・・料金設定・・・ある意味、時価だな。
対向車線に達也が運転し、いのりを乗せた広報車が現れる。
警察に通報せずに二人を追いかけた平野は二人に事情を聞くのだった。
二人は平野の想像通り・・・駆け落ちの途中だった。
「そうか・・・無責任にこんなことを言うのはどうかと思うけど・・・俺は二人を応援するよ」
「?」
しかし・・・話が長引いたために・・・結局、警察官が到着し・・・二人は拘束されてしまうのだった。
「いのり」
「達也」
恋人たちの悲痛な叫びが・・・平野の胸を打つ。
「こんなつもりじゃなかった・・・」
結局、警察署で高橋町長は平野に謝礼金を渡そうとする。
いのりと達也は・・・やり直す前より激しく・・・平野を怨む。
加奈子の顔には悲しみの気配がある。
平野の胸の奥底に眠っていた後悔が爆発するのだった。
平野は警官から拳銃を奪った。
「何をする・・・」
驚く一同。
平野は加奈子を奪った高橋町長の金を奪い取る。
「君・・・一体・・・」
「平野さん・・・」
「平野・・・」
「先輩・・・」
平野はいのりを人質にとり・・・達也を連れて逃走を開始するのだった。
「そろそろ・・・はあと岩に行かないと・・・日が暮れますよ」
枝分の呑気な言葉に・・・平野は必死に訴える。
「二人を乗せて・・・過去に戻ってくれ」
「ええええ・・・はあと岩は・・・」
「二人とも・・・よく聞け・・・今から二人を・・・駆け落ち前の時間に戻す・・・こんなことにならないように・・・駆け落ちはやめて・・・町長に正面から・・・ぶち当たれ・・・達也くん・・・それが本当の男のやり方だと思う・・・こんなことになったら・・・終わりだろう・・・」
「終わりって・・・終わりなのは・・・おじさんの方じゃ・・・」
「俺のことは気にするな・・・」
「しかし・・・そんなに前に戻るとなると・・・料金が・・・」
「これだけあれば・・・足りるんじゃないか」
平野は町長から奪った金を枝分に渡す。
「足りますね」
「多分・・・これでお別れだから・・・言っておく・・・幸せになってくれ」
タクシーは走りだし・・・警官隊に包囲された平野は拳銃を空に向けて放つのだった。
「さようなら・・・俺が・・・本当の愛を失くしちゃった世界・・・」
弾丸が虚空を突進する。
その途中でタクシーは選TAXIとなる。
弾丸は消えた。弾丸を包む空気が消えた。弾丸を放った平野が消えた。
優陽町が消え、海が消えた。
地球が消え、銀河が消えた。
宇宙が消失した。
選TAXIの背後で・・・存在していた時空は存在しなくなり・・・過去が新しい現在となる。
未来は折りたたまれて無となった。
いのりと達也だけが・・・数時間の・・・存在しない世界を記憶した人間となったのである。
「夢を見ていた気分だよ」
「二人で同じ夢を見るかしら・・・」
「君のお父さんに・・・交際を許してもらうために・・・会いに行こう」
二人は町長に会った。
娘の結婚を金儲けに利用しようとしていた父親も・・・人の親である。
娘に泣かれ・・・妻に口説かれ・・・ついに折れるのだった。
二人の交際は認められた。
見守っていた枝分はロマンチックな成り行きに微笑むのだった。
「これから・・・どうするんですか」
「二人で・・・はあと岩に行こうと思います」
「あの・・・良かったら・・・お乗せしますよ」
三人は・・・はあと岩に向かう。
途中で・・・平野が釣りをしているのに気がつく二人。
「お礼しなくちゃ・・・」
しかし・・・平野は二人とは初対面だった。
「ええと・・・君たちは・・・誰だっけ」
「・・・」
そこへ・・・逃げた犬が通りかかる。
飼い主はすぐそばにいた。
いのりによって犬は飼い主に戻される。
いのりと達也は微笑んで・・・幻の恩人と別れるのだった。
昼下がり・・・海岸近くの派出所には松原巡査(松下洸平)がいて・・・暇をもてあまして・・・ドラマ「犯罪刑事」を見ている。
優陽町は平和だった。
「結局・・・はあと岩を見に行ったんですか」とリアルだがつかみどころのない声で質問する夏希・・・。
「たまたま・・・近くを通りかかったんで・・・」と言い訳がましく応じる枝分・・・。
土産は・・・「歯痕饅頭」だった。
「はあとって・・・歯痕って書くんですか」とカンナ・・・。
「何でも・・・恋人と別れを強要された男が岩にかじりついて別れを拒んだという伝承が・・・」
素晴らしいインターネットの世界の情報を伝える「cafe choice」のマスター・迫田(バカリズム)だった。
紅白の饅頭は角が欠損してあんこのむき出しである。
「なんだか・・・食べかけみたいだな」と標道雄・・・。
「こういうの好きなんですか」とカンナは枝分に問う。
「こういうのって・・・」
「ちょっと怖い感じの・・・オカルトチックな・・・」
神よりも人的な枝分は答えに窮するのである。
関連するキッドのブログ→第一話のレビュー
ごっこガーデン。まこかま新作「はあとかま」CM撮影用特設セット。まこ「ロマンチックでオカルトな恋人たちの物語でしゅ~。二人で行ったからには浮気は絶対ダメでしゅよ~。浮気をしたら呪われるのでしゅ~。愛憎に満ちた破廉恥地蔵が夜な夜な枕元に立って頭をかじられちゃいますからご用心~。キスマークならいいけれど~歯跡マークはハードでしゅ~・・・でも歯跡かまはかじった部分だけ原価がお得に・・・さあ・・・次は許さない女になりましゅよ~・・・時間旅行も金次第でしゅからね~・・・有罪無罪も金次第でしゅか~?」くう「男たちのうざさが・・・癖になるドラマですよね~。なんというかウザかわ・・・?・・・まったりとした中に・・・ピリリと沁みるせつなさ・・・なかなかのお手前です・・・残された未来が消えてなかったら・・・D-x世界は大変なことになってますからね・・・ある意味・・・過去へのかけおち物語・・・」
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コメント
せつなさは 止まらない♪
乙女な枝分さんに胸が 胸が 苦しくなるデス・・・
ん?胸が苦しいのは、お節料理シーズンに備えて
歯跡かまぼこ工場がフル稼働してるせいかなぁ~。
片っ端からまこ☆ミキ自らがかまぼこに歯跡つけまくって
かけらを食べまくってるから胸焼けしちゃってるのかも~♪
あんこのかわりにわさびを練り込んでるせいか
息が 息が燃えるようさ~♪
投稿: まこ | 2014年10月24日 (金) 15時11分
●no choco●まこ☆ミキ様、いらっしゃいませ●no choco●
だ・れ・か
ロマンチック
と・め・て
「歯跡まこかまキャンペーン・ロマンチックが止まらねえ/H☆C」妄想絶賛発売中でございます。
歯型ヴァージョンも限定エリ様、限定アンナ様、限定まこ様と
揃ってすでにプレミアムがついてますぞ~。
しかし、まこ様闇市場に生噛りバージョンを
流すのはおやめくだされ~。
衛生上にアレですぞ~っ!
なになに・・・まこ様のよだれは
殺菌力が半端ないから大丈夫だと・・・。
さすが・・・まこ様、一般人の常識が通用しませんな。
は・・・まさか・・・まこかま工場の業務用消毒液は・・・。
まこ様のヨダレを薄めたものなのですか~っ。
投稿: キッド | 2014年10月24日 (金) 20時25分