桶狭間は桶狭間山の向こうだら、ここは田楽狭間村だに(前田敦子)
異次元の彼方では・・・歴史も微妙に違う時があるから・・・地形が違っても平気だ。
だよね~。
朝食のためにパンをコンビニに買いに行く時・・・。
「明日は牛乳配達のある日だっけ」と聞こうとして舌がもつれ・・・「アルフィーだっけ」になった時・・・。
家人に「アリス」と返されて我が家におけるニューミュージック的だじゃれ空間が保持されているのを感じるのと同じだ。
まったく意味不明なんだが・・・。
歴史ものって難しいよね。
土台が嘘なんだけど・・・嘘を本当だと信じてる人も相手にしなけりゃならんし・・・。
まあ・・・結局、最後は何でもありだって人間は開き直ることができるからね。
そうなんだよねえ。
自分より頭のいい人に出会うのは若ければ若いほどいいよねえ。
一生、バカしか知らないで終わる人はどんだけ頭がいいのかねえ。
で、『信長協奏曲・第3回』(フジテレビ20141027PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・岡田道尚、演出・金井紘を見た。とりあえず・・・ポテトチップスの賞味期限とかを考えると・・・この世界ではまだ天文二十年(1551年)なんだよな。いや、わからんぞ、この世界では1年は10日くらいなのかもしれん。つまり、一月たつと三年過ぎるわけか・・・。ま、辻褄にこだわる必要はないんじゃないか。・・・全部夢だったオチかもしれんしな。そんな恐ろしいことが・・・。とにかく・・・なんとなく戦国時代で、なんとなく織田信長の、なんとなく桶狭間の合戦をエンジョイしようよ。エンジョイできるのか・・・お前ってやつは。
建久3年(1192年)に征夷大将軍に任じられた鎌倉幕府初代将軍の源頼朝の父は源義朝で祖父は源為義で曾祖父は源義家である。・・・源為義は源義家の孫って説もあるけどな。
おい・・・話が12世紀まで遡ってるぞ。
で、源義家の息子の一人が源義国である。
・・・無視かよっ。
源義国には足利義康と新田義重という息子がある。基本的に・・・足利とか新田という土地に赴任して・・・足利の源義康とか新田の源義重とかになるわけである。つまり、分家だ。
新田義重は里見義俊とか山名義範という息子もあるが本家は新田義兼が継ぐ。義兼の息子が義房、義房の息子が政義、政義の息子が政氏、政氏の息子が基氏、基氏の息子が朝氏、朝氏の息子が新田源氏八代目新田義貞である。言わずと知れた足利尊氏のライバルである。
尊氏の方は足利義康の子孫である。
義康の息子には矢田義清があり、義清の息子には広沢義実があり義実の息子には細川義季があって・・・これが細川幽斎の先祖になる。
話を戻すと足利義康の跡を継ぐのは足利義兼であり、義兼の息子には畠山義純もいるが、跡を継ぐのは足利義氏である。
義氏の息子には足利康氏がいて・・・これが延元3年(1338年)に征夷大将軍に任じられ室町幕府の初代将軍となる足利尊氏の先祖である。
話を戻すと・・・戻るのかよ・・・足利義氏には吉良長氏という息子もある。長氏の息子が吉良満氏がいて・・・吉良上野介の先祖になるわけだが・・・吉良長氏のもう一人の息子が・・・いよいよ・・・今川国氏なのである。
つまり・・・今川国氏の息子が基氏、基氏の息子が範国、範国の息子が範氏、範氏の息子が泰範、泰範の息子が範政、範政の息子が範忠、範忠の息子が義忠、義忠の息子が氏親で・・・氏親の息子が・・・今川義元なのである。
そこかっ。
今川家は基本的に駿河守護だが・・・遠江や三河、そして尾張までも守護を兼任していた過去がある。
現在・・・サブローが織田信長になった頃の今川家は・・・東の相模国の北条家と北の甲斐国の武田家と同盟を結び・・・駿河・遠江二国の守護としてお家騒動で弱体化した三河国松平家の領土をめぐって尾張国の織田家と争奪戦を演じていたわけである。
そして・・・今川義元は信長の父・信秀の死によって・・・三河国はおろか・・・尾張国東南部にまで進出を果たしたのであった。
三河国の支配権を持つ松平元康は今川一族の関口氏の娘との結婚によって、今川一門に組み入れられ・・・義元は駿河・遠江・三河三国の国主として動員兵力三万人を誇った。
そして・・・史実では永禄3年(1560年)に尾張におよそ二万の兵力で押し寄せる。
これに対し、織田信長の動員兵力はおよそ・・・三千・・・。
どうやったら・・・勝てるんだという兵力差だが。
意外にも信長が勝利してしまうのが世に言う「桶狭間の合戦」である。
このために・・・日本人には・・・戦は作戦で勝てるという神話が生じ・・・兵力差を軽視する傾向が生まれ・・・後の世でものすごく痛い目にあいます。
もちろん・・・四世紀以上も前の出来事なので・・・「桶狭間の合戦」の実態には諸説あるわけだが・・・定説ではほぼ次のような展開であった。
すでに尾張国に今川方の城となった大高城、鳴海城があり、防戦一方の織田家は・・・大高城と鳴海城を分断するために丸根砦、鷲津砦を築く。
今川義元は三河国の国主とも言える松平元康と・・・実質上の三河国支配者で目付けの朝比奈泰朝に先発させ・・・およそ五千で二つの砦を攻めさせる。
織田信長は清州城にあり、これを包囲攻撃するために今川軍一万が中軍として進出。
今川義元はその後方を残り五千の兵とともに追従していたのである。
通説では信長は義元の進路に忍者を放ち、その居所を特定していた。
信長は千人を砦の防御に割いて、残り二千人。
今川の総数二万人に対しては十分の一の戦力だが・・・今川本陣の五千人に対しては半分に満たないとはいえ・・・「勝てないこともない」戦力である。
信長軍は「通り雨」という幸運にも助けられ・・・騎馬兵主体という機動力を生かし、「田楽狭間」で雨宿り中の今川軍を急襲するのだった。
そして、先制攻撃の利を活かし、「桶狭間山」に逃げようとした今川義元を討ち取るのだった。
「桶狭間山の田楽狭間の戦い」が・・・「桶狭間の戦い」となるのである。
桶狭間山の麓の田楽狭間は・・・つまり、丘に囲まれ桶のようになった狭間である。
雨の跡でぬかるんだ合戦場ではおそらくドロドロの死闘が繰り広げられたのだろう。
まさに・・・必勝を信じていた今川義元にとっては・・・予想外の泥試合となったのだった。
一方・・・サブローは「今川義元が来る」と聞いて逃げ出すのである。
どうやら・・・「桶狭間」も「信長が勝ったこと」も知らなかったようだ。
せっかく・・・「予言書」を持っているのに・・・教科書嫌いのバカは救いようがないよね。
「相手は十倍の兵力」
「野戦ならば必ず負けて信長様は殺される」
「篭城ならばいつかは兵糧が尽きて飢えて死ぬ」
「降伏すれば信長様は切腹」
悲観的な家臣たちの言葉に・・・逃げるしかなかったサブロー(小栗旬)だった。
しかし・・・お約束で・・・サブローの逃げた先にあったのは・・・今川領となっている尾張国の狭間村であった。桶狭間山の麓なのである。
逃げ疲れたサブローは農家の娘・お春(前田敦子)の世話になるのだった。
ちょっと指に切り傷を作ったお春に魔法のリュックから絆創膏を取り出して貼るサブロー。
しかし・・・サブローを信長と知ったお春は・・・村長(前田吟)に報告して・・・サブローは捕縛されてしまうのだった。
「明日・・・打ち首にして・・・今川様に首を届けるだに」
「えええええ」
逃げた信長を追跡してきた前田犬千代(藤ヶ谷太輔)は清州に飛んで帰るのだった。
「なんと・・・信長様が・・・百姓に捕まったと・・・」と俯く池田恒興(向井理)・・・。
一方、清州城に潜入した今川方の忍者・木下藤吉郎(山田孝之)は「信長が逃亡したこと」を城内に広め、織田方の士気を下げる。
「うつけじゃ・・・」
「うつけじゃのう」
城内は騒然となり・・・帰蝶(柴咲コウ)の侍女・ゆき(夏帆)も呆れるしかないのだった。
しかし・・・すでにサブローを好きになっている帰蝶はヒロインとして立つのだった。
「うつけとはいえ・・・主人公じゃ・・・このまま見殺しにしては話が終ってしまう・・・皆のもの・・・そこを料簡せよ」
仕方なく、決死の覚悟で救出に向う尾張勢だった。
打ち首寸前に・・・武士の嗜みとして帰蝶から教わった辞世を詠むサブローである。
「夏風に 揺れる生首 いとおかし・・・」
「俳句で良いんですか・・・ここは短歌の方が・・・」
「ええと・・・五七五の後は・・・」
「七七です」
「最後に見たのは・・・あの山なんですか・・・」
「桶狭間山・・・」
「おけはざまやま・・・やった七文字だっ」
「お見事です」
そこへ・・・救出部隊到着である。
村人を殲滅しようとする織田勢を止めるサブロー。
「やめてよ」
「口封じしないと通報されます」
「だめだよ・・・この人たちは・・・貴重な食料源じゃないか・・・お百姓さんがいなかったらご飯が食べられないでしょう・・・そんなの小学生だって知ってるよ」
「しょうがくせい・・・」
そこで・・・ようやく教科書を開くサブローだった。
「織田信長・・・桶狭間の戦いで・・・今川義元を討つ・・・なんだ・・・勝つのかよ」
「信長様・・・どうしたのです」
「桶狭間って・・・どっかで聞いたよな・・・あっ」
サブローは桶狭間山を見上げるのだった。
その山の向こう側には今川義元が本陣を構えていた。
「あれを殺ったら・・・勝ちなのか」とサブロー。
「しかし・・・どこに義元がいるのか」と恒興。
そこへ村長とお春がやってくる。
「命を助けて下さった御礼に・・・義元の居場所を突き止め合図しまする」
「やった」
お春は今川本陣に祝勝の舞いを届けるのだった。
「お春・・・いいのか・・・バレたら命がないぞ」
「なんだか・・・あの人・・・ほっとけなくて・・・」
「ああ・・・お春は・・・うつけ好きだから・・・」
宵闇の中、義元の目前でお春と村娘たちは踊りつつ・・・魔法のリュックから取り出した花火を打ち上げる。
「敵は今川義元ただ一人・・・」
織田勢は突入した。
「やりました・・・」
「義元の首とりました・・・」
「首をお披露目しろ」
もちろん・・・サブローは生首を見て嘔吐した・・・。
こうして・・・織田信長は今川義元を桶狭間にて打ち破ったのである。
勝利にわく織田陣営である。
「俺・・・お百姓さんが安心して米が作れる世の中にするよ」
「・・・」
「戦争だって・・・生きるためには必要なことだって分かったから」
「せんそう・・・」
とにかく・・・史実との関連は薄いけれど・・・サクサク進むサブローの戦国絵巻なのである。
そして・・・今も昔も・・・女性の一部は・・・優しくって凄くバカに弱いらしい。
関連するキッドのブログ→第2話のレビュー
| 固定リンク
コメント