ローマの休日ごっこでイチャよイチャイチャ~したいんだもん(藤木直人)映画*ホタルノヒカリ(綾瀬はるか)
(金)はもはや谷間ではないのだが・・・レギュラーシーズンの時に不本意な形で充分語りきれなかったドラマの映画化のオンエアである。
「玉川区役所 OF THE DEAD」は別に1~2回飛ばしてもどうってことのないドラマだしな・・・おいっ。
・・・っていうか、来週は本命も始るのに・・・「映画*ひみつのアッコちゃん」をやる気だよね。
だって・・・綾瀬はるかなんだも~ん。
もちろん・・・映画は・・・いろいろな意味でグズグズの展開である。
ビジネスとプライベートのオン(生魚)とオフ(干物)の切り替えがないのでくさやレベルになっているとか・・・ゲストが女優も男優も鼻につくタイプで生臭いとか・・・ヨーロッパのことなんかどうでもいいとか・・・いろいろとアレで・・・しかも・・・「ホタルノヒカリ」というコンテンツを愛する人ほどなんだかなあと思わせる仕上がりである。
しかし・・・あえて言おう・・・日本映画なんてそんなものですからああああああっ。
で、『金曜ロードSHOW!映画 ホタルノヒカリ(2012年劇場公開作品)』(日本テレビ20141010PM9~)原作・ひうらさとる、脚本・水橋文美江、演出・吉野洋を見た。ドラマ版「ホタルノヒカリ」はこの作品らしい穏やかで曖昧な結末を迎えたわけだが・・・劇場版はその結末の向こう側を描いていて・・・夢の世界とも夢のない世界とも言える。夫婦となってしまった部長とアホ宮がいつまでイチャイチャしていられるか・・・という話である。なにしろ・・・もはやアホ宮ではないのだ。しかし・・・夢の世界なので・・・ある程度、理不尽に愛し合う二人なのだった。
「新婚旅行はローマに行きたいんだもん」
「箱根でいいじゃないですか・・・ロマンスカーで行けけますし~・・・きっとローマ風呂もありますよ」
「それは多分、熱海だと思う」
休日はゴロゴロしていたい・・・新婦・高野蛍(綾瀬はるか)にとって海外で新婚旅行なんて素敵女子のテリトリーに侵入するようなものである。
しかし・・・結婚も二度目の新郎・高野誠一(藤木直人)にとっては少しは上手にローマで挙式はかねてからの望みだったらしい。
「行けばいいのにね~」
「ローマいいよね~」
二ツ木夫妻(安田顕・板谷由夏)は二人がモタモタしている間に先発である。
そのまま・・・二組のカップルの珍道中でもよかったと思うのだが・・・蛍が仕事に追われモタモタしている間に二ツ木夫妻は帰国である。
蛍の旅行鞄にはニャンコが棲みつく始末である。
2012年の冬から夏はあっという間に過ぎて・・・高野(夫)はローマの食品見本市に出張することになる。
「夫だけが・・・新婚旅行に・・・行くにゃんて」
「新婚旅行じゃない・・・ビジネスだ」
「お留守番にゃんて」
「にゃんこと仲良くしていればいい」
「イヤよ、イヤイヤ~」
「今、時間の螺旋を超越したよね・・・しかもかなりのベタベタで」
「ベタベタシマショウヨ・・・イチャイチャシマショウヨ」
・・・ということでローマに旅立つ高野夫妻だった。
これで・・・新婚旅行そっちのけで・・・高野と現地で働いてしまう蛍なら・・・ドラマの延長戦だったのである。
機内では蛍のパスポート失効の余波で夫婦バラバラに座り・・・仕事では海外赴任さえしている蛍はビジネス・クラスを満喫する・・・隣にはイケメン風の若者として冴木優(手越祐也)が登場して・・・孤立した高野(夫)を複雑な気持ちにさせる・・・。
やや・・・蛍の浮気相手としては役不足のキャスティングだが・・・浮気相手でもないことに・・・テレビ版を愛する一部お茶の間を失望させるのだ。
ローマに到着すると・・・早くも「縁側でビール」が恋しい蛍は・・・いきなりホームシックである。
高野(夫)の映画「ローマの休日」みたいな新婚旅行がしたいは五分で挫折するのだった。
そこでラブコメの定番である・・・高野(夫)と冴木の旅行鞄取り違え発生である。
なんとなく・・・新聞記者の下宿風ホテルに落ちついた蛍は近所でニセモノ蛍を発見する。
ニセモノ登場は巨大ロボットものの定番である。
この辺りから・・・物語は・・・一部お茶の間の期待を裏切りだす。
ニセ蛍は高野夫婦のチェックインした部屋に長期逗留中のセレブだった。
新婚カップルのために・・・一時的に他の部屋に移っているのである。
もう・・・ここに無理がある。
なにしろ・・・相手は・・・何もしないでローマでダラダラ過ごせるほどの資産家なのである。
そういうセレブが馴染んだ部屋を追い出される理由がない。
とにかく・・・何か理由ありらしいニセ蛍。
そして・・・部長の鞄(実は冴木の鞄)からは・・・若者風パンツと謎の白い粉が発見され・・・蛍の心に不安のさざ波が立つ。もちろん、蛍なのでだからどうっていうことはない。
しかし・・・謎のニセ蛍が部屋に忘れものを取りに来て・・・蛍の不安を煽る言動を始める。
「あなたの夫はマフィアに誘拐されて・・・二度と帰ってこないかもしれない」
「ぶちょおおおおおおお」
そこへ・・・冴木優が現れて・・・ニセ蛍が優の姉・・・冴木莉央(松雪泰子)であることを告げる。
どうやら・・・莉央のメランコリーな姿勢は・・・夫と娘と別れたことが原因らしい。
蛍はダブルベットの下から・・・莉央の家族写真を発見するのだった。
ちなみに・・・ドラマ終了(2010年)で映画公開(2012年)である。
間には東日本大震災(2011年)が横たわっている。
どう考えても・・・莉央の失われた家族は・・・震災被害者の暗喩である。
それはそれでいいのだが・・・そこがこの映画のネックになっていることは間違いない。
人は忘れていく生き物である。
戦争のことも震災のことも噴火のことも台風のことも忘却の彼方だ。
喉に刺さった魚の骨のようなことをしても通じないのである。
ただ・・・漠然とした違和感が残るばかりなのだ。
とにかく・・・行方不明の高野(夫)がチヴィタ・ディ・バーニョレージョにいることを知った蛍は冴木(姉)とともに女二人で定番のロード・ムービーの旅に出るのだった。
「部長は・・・花嫁衣装を着た私を見たかったんです」
「いや・・・それは女目線のロマンスだよね」
「原作がレディス・コミック(Kiss連載)ですから」
「・・・」
「それにチビ太と言えばひみつのアッコちゃんと原作者同じです」
「そこかっ」
チヴィタ・ディ・バーニョレージョはイタリア共和国ラツィオ州ヴィテルボ県バニョレージョに属する村である。丘の上の城塞都市であるが・・・周辺部が崩落して崩壊の危機にさらされており、「死に行く街」と陰口をたたかれている。
ローマのテルミニ駅から新幹線でオルヴィエート駅まで1時間10分、オルヴィエート駅からバスでチヴィタ・ディ・バーニョレージョまで55分である。
そこをウェディングドレス姿で駆け抜ける蛍。
途中で転んだ所が唯一のおっぱいバレー・サービスと言える。
その道中・・・「あんたたちが幸せそうで・・・むかついた・・・私の夫と娘は・・・不慮の事故で帰らぬ人となったから・・・干物女だった私は・・・二人を旅行に送りだして家でゴロゴロしてたんだ・・・」・・・衝撃の告白をする冴木(姉)だった。
生ける屍となった姉を案じて・・・姉の好物の白玉粉を持ってローマに来た弟だったのである。
「ああ・・・そうにゃんですか」
部長は・・・行きずりの妻と別れた男に「妻(女)にそっくりだ」と言われ・・・「ほっとけない」ので一晩中・・・ダンスに付き合っていたのだった。
ボロボロになった蛍は高野(夫)の胸に飛び込み・・・高野(夫)は蛍を抱きしめてニヤニヤするのだった。
メイドさんに捨てられてしまった冴木(姉)の家族写真を求めて・・・捜索に出る高野夫妻。
放射能の雨の降るメルトダウンした原子炉周辺ほ防護服で彷徨うボランティア。
津波に流されたような池に浮かぶ家族写真。
おなじみの雨合羽を着こんだ高野夫婦は・・・「唯一残った思い出の品」を遺族に届けるのだった。
「ホタルノヒカリは・・・忘れちゃいけないんです・・・幽かで・・・あってもなくても同じで・・・なんのたしにもならなくても・・・その美しさを忘れなければとにかく生きていてよかったと思えるから」
「・・・」
帰らぬものを思い泣きだす冴木(姉)・・・。
もらい泣きする蛍だった。
そんな蛍をこよなく愛する高野(夫)である。
そして・・・行きずりの教会で・・・見知らぬ新婦の前で誓いのキスをする二人。
「ごっつあんです」
・・・などと言いつつ・・・やることをやった二人には・・・天使が舞い降りるのだった。
君忘れないでいて
若い愛の日々を
ぼくらは一つの愛に今結ばれているよ
「ローマの休日」のような・・・ロマンス(甘美な失恋)はなくても・・・「ホタルノヒカリ」にはロマンス(自由気ままな恋愛)があるのだった。
関連するキッドのブログ→ホタルノヒカリ
ごっこガーデン。モノクロームなローマの休日セット。くう「期待通りにならないことが多いから期待しないでいると・・・それ以上に失望させられるという・・・世界は不条理に満ちていますな・・・」みのむし「それはそれとしてフジッキー部長と二人乗りは乙女の夢ですにゃ~」まこ「もちのろんでしゅ~。白玉善哉~、夫婦善哉~、秋ドラマ善哉~」
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