切腹って絶対痛いよね・・・麻酔なしじゃ無理だよね(小栗旬)信長協奏曲(柴咲コウ)
光雄(尾美としのり)は妻の女友達が石段の上にいるのを見た。
「あ・・・危ないなあ」
通りすがりの竹中半兵衛(藤木直人)もつぶやく。
「ゴロゴロしちゃいますよね」
そして・・・1児の母の星野友美(永作博美)と友美の親友で友美の夫の愛人の早川薫(石田ゆり子)が喧嘩を始めるのだった。
「あ・・・危ない」
「ゴロゴロしちゃいましたな」
「っていうか・・・階段落ちはろくなことにならないんですよ」
「そうですか・・・」
「人格チェンジしたり、タイムトラベルしたりね」
「面妖な・・・」
「あ・・・あれだ・・・入れ替わっちゃう方だ・・・僕も昔、小林聡美ちゃんとね」
「あの頃は可愛かったですな~」
「入れ替わるならやはり男女ですよねえ」
「ガッキーと舘ひろしとか」
「まあ・・・最近は女同士が流行ってますな」
「そうなんですか」
30分を前フリに使い・・・ようやく本題に入る友美と薫。
「私たち・・・入れ替わっちゃったわ」
「残り15分で駆け抜けるわよ」
それは・・・「さよなら私」だろう・・・。
今年の秋ドラマ、ファンタジーだらけだな。
でも、これ岡田惠和脚本だから結構、繊細な作りだよな。
(金)候補になっちゃうじゃないか・・・。いやあ・・・やはり秋ドラマは結局、殺す気かになるんだよな。
で、『信長協奏曲・第1回』(フジテレビ20141013PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・西田征史、演出・松山博昭を見た。もしも、現代の三流高校生が戦国時代にタイムスリップして織田信長になったら・・・というファンタジーである。先行系はいわずとしれた戦国自衛隊である。男と生まれたからには誰しも織田信長になりたいと思うわけだが・・・そうとも言えんぞ・・・原作者は女性である。歴史ファンタジーというのは楽しむのが難しいものだ。そもそも歴史そのものが虚構である。しかし、正史とか定説とかがあって・・・ある程度、教養として持っていることが要求される。しかし、教養が過ぎると・・・作品の作者の無知に唖然としたりするわけである。かといって・・・前提が虚構である以上、誰にもそれが間違いだとは断定できないのだ。特に歴史改変となると・・・もうなんでもありである。だから・・・なんとなく楽しければそれでいいじゃないか・・・と思うわけである。とにかく・・・合戦シーンや切腹場面などは・・・今年の大河ドラマを凌駕する仕上がりである。文句が言えないんだなあ。
「俺・・・1年のころから亜里沙ちゃんのことがずっと好きでした。俺と・・・付き合ってください」
高校生のサブロー(小栗旬)は修学旅行中に時代劇系アミューズメント・パークの雑踏の中で亜里沙(飯豊まりえ)に告白する。
「うれしいけれど・・・ごめんなさい」
「うわああああああああああああ」
青春には叫んで走りだし、迷って屋根によじ登る時が必ずある。
そしてそうなれば屋根から落ちるのだ。
落ちた先が戦国時代なのはよくあることだった。
そこは天文二十年(1551年)だった。足利幕府第13代将軍・足利義輝の時代である。室町時代も末期で・・・もはや戦国時代の酣である。
ちなみに・・・足利家は清和源氏である。
源氏の一族は全国にはびこっている。土岐氏などは河内源氏の足利家とは別の美濃源氏である。
足利氏支族には吉良氏もあれば吉良氏の支族の今川氏もある。
駿河今川氏の今川義元も実は支流の支流の成り上がりなのである。
足利氏支族の中でも別格なのが斯波氏である。すでに鎌倉時代に足利氏から枝分かれしており、室町時代には三官領(他に畠山氏と細川氏)筆頭と呼ばれ、越前や尾張の守護になっている。
越前の朝倉家や尾張の織田家はその守護代である。
つまり、足利の家来の斯波の家来が織田家である。
守護代織田家は岩倉の織田伊勢守信安が尾張北部を清州の織田大和守信友が尾張南部を宰領していた。
織田信長の父、信秀は・・・信友の三家老の一人である。
つまり、足利の家来の斯波の家来の清州織田の家来なのである。
しかし、時は下剋上である。信秀は父・信定と勇猛に立ち回り・・・清州織田家の乗っ取りにほぼ成功していた。
サブローが邂逅する織田信長(小栗旬・二役)は信秀の三男で・・・織田三郎信長と言われている。
正史では天下布武を半分成功させた武将である。
信長には太郎信広と次郎信時という異母兄がいたとされているが・・・信時は六男だったとう研究者もあり、では次男の信長がなぜ三郎なのかという疑問もわく。それが歴史というものなのだ。
おい・・・この一から話、いつまで続けるんだ。
「あ・・・似ている」
「いや・・・そっくりだ」
サブローと信長の運命の出会いだった。
そして・・・ここから・・・この世界が正史世界ではなく・・・異次元の世界であることが分かる。
質実剛健だった信長は虚弱体質で・・・後継者レースから脱落していたのだった。
天文三年生まれの信長は齢十八(数え歳)なのだが二つ年下の同母弟・信行(柳楽優弥)に命を狙われている身の上だった。
正史では母親の土田御前(イメージ・キャスト・山本美月)に「信行くんは凄いわあ。絶対織田家のトップになれるわ。お兄ちゃんなんか殺してええで」と薫陶されたため・・・ということになっているが・・・この世界では病弱な兄が後継者になったのでは織田家の存続が危ういと家老の柴田勝家(高嶋政宏)が後押ししている形になっている。
「じゃ・・・後はまかせた・・・偽物とバレたら殺されるぞ」
本物の信長は逃げたのだった。
「え・・・俺が信長って・・・」
少し頭の悪いサブローはまんまと人身御供にされてしまうのである。
そこに信秀の愛人である未亡人の息子(父は池田氏)の池田恒興(向井理)、忍者である森可成(森下能幸)、代々の郎党である丹羽長秀ら・・・信長派の家来がやってきて・・・サブローは拉致されてしまうのだった。
夢見心地のサブローは父・信秀(団時朗)や正室の帰蝶(柴咲コウ)と対面を果たす。
そこへ・・・今川義元(生瀬勝久)による正史より二年遅い安祥城攻防戦が発生。
合戦の現場で・・・槍に串刺しされる兵、手足が千切れ飛ぶ惨状を見せられてサブローはようやく・・・大変なことになっていると思うのだった。
所謂、濃姫である帰蝶は美濃国守護の土岐家を乗っ取った蝮こと斉藤道三(西田敏行)の娘である。正史では近江国を狙う道三と三河国を狙う信秀の間で結ばれた軍事同盟のための政略結婚だが・・・ここでは大国美濃から小国尾張を守るためという話になっている。
つまり、帰蝶は次代の尾張女王候補者なのである。
その身が大事にされているかどうか・・・帰蝶の兄・義龍が視察にやってくる。
信行はこの機に帰蝶を殺し、責任を信長に負わせようと暗躍する。
しかし、帰蝶はサブローが持っていたデング熱対策用虫よけスプレーで難を逃れるのだった。
帰蝶の侍女・ゆき(夏帆)は「これも信長様のおかげです」と囁く。きっとエスパーなのだろう。
「女に手を出すなんて卑怯だぞ」と信行を詰るサブローに・・・父・信秀は感動する。
だが・・・直後に信秀は今川の放った忍びの者(山田孝之)に暗殺されてしまう。
「信長・・・跡をつげ」
「え」
いきなり・・・織田家の当主となったサブローである。
信秀の弟・信康の子で信長の従兄にあたる信清(麿赤兒)に攻められそうになったサブローは犬山城の領地を気前よく与えてしまう。
激怒した信行グループは信長に叛旗を翻す。
恒興にも裏切られ万事休すのサブロー・・・しかし、領地をもらった信清が味方してくれて奇跡の逆転勝利である。正史では信長の妹の一人お犬と結婚する信清だが・・・十年後、信長に敵対して敗北し甲斐国に逃亡するのである。
敗戦の責任を取り切腹する信行。
「だめだよ・・・死ぬなんて・・・」と軽く諭すサブローだが、目の前で信行は腹を切る。
「天晴れな最後でござった」と褒めそやす家臣一同。
「あんたら・・・頭おかしいよ」と叫ぶサブローだった。
目の前の血しぶきに嘔吐するサブローを帰蝶は複雑な気持ちで見つめるのだった。
その頃、信長は明智光秀を名乗っていた。
原作を知らない一部お茶の間は「なんじゃあそりゃあ」と松田優作気分にひたるのだった。
ちなみに信秀を暗殺した忍びの者は後の羽柴秀吉である。
関連するキッドのブログ→Woman
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コメント
デング熱対策もキタ━ヽ(゚∀゚)ノ━!!スプレー
>この一から話、いつまで続けるんだ。
ずっと聞いていたい
ってこうなっちゃうんですよね~。
気になって調べるとキリがなく。
知らな過ぎるのは損ですね~。
辻褄合わせを楽しむためには…
ココを読め(笑)
>土田御前(イメージ・キャスト・山本美月)
大谷直子さんとはイメージがφ(.. )フムフム
柴田勝家が弟側についてたことにも、え?
遡ってどこからお勉強したらえぇのん?
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ありがたいことです(-人-)ナームーヾ(゚∇゚*)ナンデヤネン
明智光秀を名乗るなんて展開には、
歴史無知な私でも喜んじゃいましたよ!
まさかそう来るなんてヽ(*´∀`)ノゎぁぃ♪
秋ドラマ楽しいっす
投稿: mana | 2014年10月15日 (水) 15時21分
デング熱にはスプレー、エボラ出血熱には血清ですな。
一から話は切りあげ時が難しいのでございます。
基本的にとどまるところを知りませんので~。
mana様は言わば三英傑の本場のお生まれですので
興味は尽きないのでございましょうねえ。
信長、秀吉、家康を生みながら一度も
首都になれなかった名古屋・・・。
終わりの国ですからなあああああっ。
ドラマは基本的に省略という技法で成り立っております。
二~三度のご飯や・・・トイレのこと、夜の生活などにも
あまり立ち入らないわけです。
それと同じように脇役はいたりいなかったりするわけですな。
今回ですと・・・平手のじい一家が不在です。
土田御前も未登場。
もちろん・・・信秀の側室の一人で結構長生きする
恒興の母も出てこない。
十人以上いる信長の兄弟姉妹も一部省略。
そんなに大勢キャスティングできるかっと
プロデューサー様がおっしゃるのですな。
信行の家老と言えば林氏が有名ですが
有力家臣の柴田勝家も信行派でした。
主従関係というものが下剋上の場では
ある程度、流動的になっている。
それに戦国大名とは基本的に・・・豪族集団で独裁化に成功したものと考える必要がございます。
次期リーダーを決めるのは家臣団なのか・・・現当主なのかという軋轢ですな。
信長は天才でしたので
少数精鋭主義をとりつつ
義父斉藤道三の力を背景に
主家である清州織田家、その主人である斯波家、
父親の兄弟たち、自分の兄弟たちという
ライバルたちの抗争を利用して
一人一人敵対者をつぶし
尾張の支配者となっていく。
信長の青春はまさに仁義なき戦いそのものだったので
本当はここが一番面白いのでございます。
まあ・・・小栗旬がダブルで
小栗旬が向井理を押し倒したりして
山田くんが荒んでいる・・・。
もうイケメン活劇としても
充分お楽しみなさるがよろしかろうと存じます。
秋ドラマ、殺す気満々ですな~。
投稿: キッド | 2014年10月15日 (水) 21時31分