雨雲の蔽える月も胸の霧も掃いにけりな秋の夕風・・・と愛妻家・北条氏政(岡田准一)
この子が跡を継ぐとなると北条家もお終いか・・・と父・氏康を嘆かせた後北条家四代目当主・氏政。
その予言通りに後北条家は滅んだ。
氏康の慧眼恐るべし・・・という考え方もあるが・・・そう思うのなら何とかしろよとも思う。
氏康は氏政の按排の悪さが気にかかったわけだが・・・まあ、辞世が少し字余りなのが御愛嬌である。
「胸の霧も」のあたりね・・・。
しかし・・・偉大な曾祖父、祖父、父を持って・・・「俺だってがんばったんだよう」とは言いたかったと思う。
22万VS8万で孤立勢力で篭城・・・いかにも武将としては駄目な感じである。
愛妻家で悪い人ではなかったとか・・・妙な再評価もされるわけだが・・・戦国武将は滅んだらそれまでである。
「前にすすまないとだめですか・・・もう少しここにいたいのです」などという戯言は・・・夢見る乙女だけに許される。
「あの雨雲の向こうに隠れている月だってナイスな風が吹けば輝きだす・・・後北条家というブランドがボクには重すぎた・・・もっと身軽でいたかったなあ」
まあ・・・可愛いお坊ちゃんと考えれば・・・これ以上なく微笑ましいよね。
で、『軍師官兵衛・第40回』(NHK総合20141005)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は25行で大幅減・・・まあ・・・小田原征伐もエッサエッサエサホイサッサでございましたからねえ。このスタッフは江戸時代ものをやればいいと思いますな。戦国時代にもう来ないでくれ・・・という気持ちで一杯でございます。けれど・・・ひょっとすると北条氏政を描くといいかもしれませんな。ウジウジウジウジして結局滅んで行くという・・・向いている。後妻もあるが基本的に愛妻家だし。それはさておき・・・ついにアイスバーの似合う徳川家康描き下ろし展開で万歳三唱でございます。なにしろ・・・脇役をやらせたらネズミ男か宇野重吉かってぐらいなものですからな・・・こののほほん大河をしめてくれてますねえ。ルビーの徳川大河を見たくなりましたぞ~・・・しかし、それでは主役に~。
天正十八年(1590年)三月、秀吉は北条征伐の号令をかける。圧倒的な兵力で東に進軍する征伐軍は三月下旬に主力が沼津に到着する。北条軍は山中城に北条氏勝、韮山城に北条氏規を配し、伊豆国防衛戦を展開。徳川家康は豊臣秀次、池田輝政、堀秀政らと共に山中城を攻め落とし、先鋒部隊として四月初旬に小田原に到着する。織田信雄は蒲生氏郷、稲葉貞通、蜂須賀家政、福島正則、細川忠興、森忠政、中川秀政らと韮山城を責めるが苦戦。六月中旬まで包囲戦を展開する。一方、長宗我部元親、九鬼嘉隆らが率いる水軍衆は下田城を攻略。制海権を得て小田原沖に進出する。五月下旬には小田原城は包囲され篭城戦に突入。征伐軍は同時に北条氏に対して降伏勧告を行う。一方、別働隊となった上杉景勝、前田利家ら北方衆は関東の北条氏支城の攻略戦を開始。四月中旬までに大道寺政繁の松井田城を始め、厩橋城、箕輪城、玉縄城などを攻め落とす。四月下旬には江戸城を陥落させると下総国方面にも侵攻。五月には関東の諸城はほぼ降伏開場する。六月、唯一残っていた忍城を石田三成、直江兼続、真田信繁が攻めて・・・攻略に失敗すると言う汚点を残すのだった。このトリオは関ヶ原でも負けます。
二月、官兵衛は大坂城にいた。
脚の古傷が疼く・・・。ひょっとすると夜半の雪が降っているのかもしれなかった。
しかし、天主閣の奥の間からは外は見えない。
そこは関白・秀吉と軍師・官兵衛の密議の場だった。
控えの間には石田三成、千利休、石川数正、青木一重、安威了佐、小出秀政など雑多な顔ぶれが詰めている。
官兵衛の義弟である井上九郎右衛門がつなぎの間にいて密議による指図を控えの間の担当官に伝え、戦略が練られて行く。
時々、官兵衛の走り書きが安威了佐に渡されると達筆で速筆の了佐はそれをたちまち清書する。石田三成はそれをさらに書類にまとめていく。文となれば千利休が手紙にしたためる。石川数正は主力となる徳川軍について意見を求められれば応えるという具合である。
奥の間からは時々、秀吉の高笑いが響く。
「ふはははは・・・これはいかんな」
「天下統一の総仕上げでございますれば」
「みちのくの戦はないか・・・」
「北条が降伏すれば・・・もはや・・・手向かうものはございません」
「しかし・・・これはもはや・・・戦とも呼べん」
「まあ・・・赤子の手をひねるようなものでございますれば・・・」
「水軍はどうかのう・・・」
「すでに大坂に西国の水軍は終結を終えつつあります。四国の長宗我部は尾張に船団を進め、伊勢の九鬼衆などは遠江まで進出しております。北条の水軍勢に帰順を進めるために播磨の梶原高景が伊豆・相模に調略をかけておりますれば・・・小早川水軍、松浦水軍、宇喜多水軍などは・・・出番がないかもしれませぬ」
「水上輸送は小西にまかせたか」
「兵員、兵糧、武具弾薬すべてぬかりなく」
「みちのくからの参陣はいかがじゃ・・・」
「伊達家は北条と通じているので渋りましょうが・・・殿下の小田原の陣にはおっつけ参りましょう・・・」
「独眼竜とやら・・・面白そうじゃのう・・・まさに物見遊山じゃの・・・」
「殿下・・・勝負に油断は禁物ですぞ・・・」
「北国の春はどうじゃ・・・」
「今年は雪解けが早いとみましたゆえ・・・三月になれば関東に出てくる手筈でございます」
「こちらが・・・小田原を囲む頃には半分は片付きそうじゃの。利家も景勝も遮二無二働くじゃろう」
「まあ・・・殿下は・・・茶々様でもお呼びになり・・・箱根の湯でくつろがれるがよいでしょう」
「そうじゃのう・・・北政所に鶴松を預けるのがいいかもしれん。最近、大坂城の大政所様がちと怪しいでの・・・」
「御苦労なさいますな」
「まあ・・・仕方ないわ・・・一族皆・・・忍びの者じゃ・・・それが関白だ・・・侍従だと畏まっておれば・・・ついには血が騒ぐのじゃ・・・」
「真田一族には・・・前田勢に加わってもらいまする」
「六月には決着じゃな」
「そうなりましょう」
「成敗はどうする」
「名目上の旗頭は氏直殿ですが・・・結局は氏政殿の采配・・・それと氏照殿までは切腹させねばなりますまい」
「氏政は大人しく腹を切るか」
「我が子を助けると言えば切りましょう・・・子煩悩なお方のようです」
「全く・・・女々しくも命惜しみをして・・・さっさと上洛すれば・・・伊豆一国くらいはくれてやったのに・・・」
「まあ・・・器量なきものの運命というものです」
「それにしても・・・つまらんなあ・・・のるかそるか・・・そういう場面がない」
「では・・・石田三成殿に仕上げをまかせてはいかがか」
「ほう・・・」
「忍の城には関東一の美しい姫君がおるそうです」
「なんと・・・」
「これを石田殿に狩らせるのです」
「なるほど・・・忍はそこそこ手強いか・・・」
「勝敗の行方は五分五分というところでしょう」
「うんうん・・・結果が分からぬというところがそそるの・・・」
「で・・・ございましょう」
「官兵衛・・・お主も悪よのう・・・」
「殿下ほどではございませぬ・・・」
「言うのう・・・ふははははは」
秀吉の高笑いに石田三成は微笑むのだった。
(殿下はごきげんうるわしいようじゃのう・・・)
知らぬが仏である。
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