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2014年11月30日 (日)

誤解とは正解の裏の顔である(丸山隆平)

学生時代に急性アルコール中毒で救急車のお世話になったことがある。

その時、飲み屋の裏の学生寮にいた友人が路上に倒れていたおバカな泥酔者をしばらく介抱してくれたのだが・・・その学生寮はとある宗教組織の巣窟だったのである。

一宿一飯の恩義があるので・・・その後、なんとなく折伏のお誘いに付き合った。

しかし・・・悪魔なので当然・・・相容れないわけである。

すでに十代前半で・・・オルグにやってきた赤い組織の女子大生を論破し泣かせた経験がある。

おバカなりに友人とは仲良くしたいので・・・宗派を超えた宗教談義の方向に持って行くしかないのだなあ。

そういう時に思うのは「正解」を知っている人々の・・・底の浅さである。

正解は・・・ひとつの法則に基づいた結果に過ぎない。

つまり・・・けして・・・この世の真相などではないのである。

正解を知ったというのは明らかな誤解にすぎない。

誤解が生じた瞬間、真相を探求する心は失われてしまう。

真相の探究者にとって・・・正解を知っていると信じるものは実に不気味なものである。

しかし・・・あらゆる場所にそういう人は潜んでいて・・・うっかり誤解を指摘しようものなら怨まれる懼れがあるわけである。

もちろん・・・そう言いつつ・・・このレビューがある種の思想の押し売りをしていることは間違いないのだが。

だから・・・念には念を入れて申し上げる・・・これは悪魔の妄想でございます。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第8回』(日本テレビ20141129PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・マギー、演出・明石広人を見た。今回は明らかにヘイトスピーチ批判である。他人を口汚くののしるのはお上品とは言えないが・・・言論の自由を愛する立場から言えばヘイトスピーチも擁護しなければならない。そんなことをすれば人格が疑われるわけであるが・・・悪魔なので平気だ。基本的に他人の悪口なんて言うものは信用しなけばいいわけである。他人の陰口を言う人間は余所では私の悪口を吹聴しているに違いないのである。しかし、中傷という攻撃は・・・継続されれば誤解を生じさせる厄介な戦術である。孤立化を避けるためには反撃しなければならず泥仕合となる。まあ・・・ドロドロになるのはそれなりに面白いという他はないのだなあ。

今回は・・・様々な要素を盛り込んで・・・ドタバタ感はそれなりに出ていたと思う。

しかし・・・同じネタ作家の紡ぐ物語としては・・・「素敵な選TAXI」の洗練された感じと対極にある気がする。なんとなく・・・ださいのである。

それは・・・ある種の底の浅さの反映ではないかと邪推する。

まあ・・・子供向けのコミック原作ドラマにそんなこと言うのも野暮ですが・・・。

とにかく、どこか・・・正解の押しつけの匂いが漂うのですな。

遅刻寸前の鵺野鳴介(丸山隆平)は木村克也(吉沢亮)と童守高校の校門というゴールを目指してデッドヒートを繰り広げる。

さて・・・おそらくそうだろうと思って言及を避けて来た赤いジャージの熱血体育教師・渡先生(山田親太朗)は幽霊だったわけである。

その「思い残し」が・・・薄さを感じさせる。いかにも暑苦しいキャラクターなのに「生前は影の薄い存在だった」という自嘲である。

こういうちぐはぐさが・・・全体のトーンを底の浅いものにするのだなあ。

寸劇と劇の作法の間にはそこそこ深くて暗い河が流れているわけである。

そういう矛盾を「そこが面白い」などと自己消化してしまうと・・・本筋を見失うわけである。

だから・・・「思い残していること」の別件を再構築するのが正解なのである。

この脚本家の脚本には至るところにそういう自己満足の跡があり・・・なんだかなあという感じを醸しだすのである。

まあ・・・それも味だという考え方もあります。

遅刻を免れた教師と生徒が健闘を讃えあっていると・・・校舎の屋上には2年III組の生徒たちが集まっている。

校舎裏の運動場には巨大なモナリザの微笑み風地上絵が描かれていた。

お調子者の克也が「これは妖怪人食いモナリザの仕業だ」と言い出して生徒たちの気を引く。

妖怪マニアのまこと(知念侑李)は自分のテリトリーを浸食され不機嫌になるのだった。

「そんな妖怪・・・聞いたことないよ」

「それは・・・お前の知識が不足してるだけだろう・・・人喰いモナリザは新しい学校の七不思議なんだぜ・・・」

克也には虚言癖があって・・・あることないこと言いふらして面白がるタイプなのである。

しかし・・・その話術は巧みで・・・生徒たちの心を掴むのだった。

美術準備室のダヴィンチのモナリザの複製画はたちまち・・・呪われたアイテムに昇格するのだった。

「この世に現れた妖怪は悪の限りを尽くすのだ」と克也。

「善良な妖怪だっているよ」とまこと。

その証拠として雪女のゆきめ(知英)や小豆洗い親子そしてザシキワラシなどを克也に対面させる。

「雪女さんはどこから来たの」

「雪と氷の世界から」

「在日本の童守町の妖怪としての夢はなんですか」

「この世を雪と氷の世界に変えたい」

無邪気に夢を語る雪女に克也は恐怖を感じるのだった。

「在日の妖怪・・・やっぱりなんだかこわいよ」

翌日・・・机と椅子が積み上げられ巨大なツインタワーが出現する。

「すべて・・・在日妖怪の仕業だ・・・あいつらは何をするかわからんからね」と主張する克也。

「そんなの偏見だよ・・・日の元で暮らす人間に悪人がいるように・・・暗闇の生き物にだって善人はいるんだ」とまこと。

「善人って・・・そもそも在日妖怪は人じゃないだろう」

その頃、在日妖狐である玉藻京介(速水もこみち)は篠崎愛(中村ゆりか)と菊池静(高月彩良)に連れ出され・・・イタコ見習い・葉月いずな(山本美月)に愛を告白されるのだった。

「いや・・・なんだか・・・ちがう・・・」

葉月いずなは「ラブ・ファイヤー」と言いながら人体発火現象という新しいステージに到達する。

美月、どこまでいくんだ美月である。

「俺は・・・人間たちを支配するために・・・やってきたのに・・・」

「だから・・・私は玉藻先生の虜です」

「だから・・・ちがうんだって・・・」

悩める在日妖狐だった。

ゆきめたちは誤解を解くために克也に抗議するが・・・在日妖怪の潜在的な能力に恐怖する克也はさらに誤解を深める。

「所詮・・・人間は誤解する生き物なんだよ」と覇鬼(坂上忍)・・・。

「美しい誤解だってあります」と美奈子先生(優香)・・・。

まあ・・・なんだかんだ・・・美奈子先生は覇鬼を拉致監禁しているわけですが。

三日目・・・鶏小屋から鶏が消えた。

「ひとくいモナリザが鳥を喰った」と第一発見者の克也が口にする。

「ちょっと待って」と最近、妖怪の実在を信じた高橋律子先生(桐谷美玲)と疑義を述べる。

「地上絵や・・・タワーは別として・・・これは・・・誰にでもできる犯行よ・・・小屋の鍵をあけるだけでいいんだから」

「まさか・・・お前がネタ作りのために・・・」とまこと。

「なんだよ・・・俺を犯人あつかいか・・・」と克也。

「いつも・・・遅刻する克也君が・・・なんで今日は第一発見者に」

「昨日・・・在日妖怪たちに脅されて・・・眠れなくなって朝一番で登校したんだ」

「また在日・・・妖怪のせいかよ・・・悪いのはみんな・・・在日・・・妖怪か」

「おまえこそ・・・人間より在日妖怪を信じるなんておかしいだろう」

その時・・・姿なき何者かが克也の手に血を塗りつける。

ぬ~べ~は一瞬・・・妖気を感じ取るのだった。

「おまえ・・・その手」

「あ」

「やはり・・・おまえが犯人か・・・」と掌を返す生徒たち。

「いや・・・ちがう」とぬ~べ~。

「え」

「誰かが・・・不和の種をまき散らしているのだ」

「こうなったら・・・真犯人を・・・待ち伏せしよう」

お約束で・・・夜の校舎に張り込む生徒たち・・・。

そして・・・ついに正体をみせる「ひとくいモナリザ」・・・。

律子先生は気絶しそうになるが成長の証を見せ踏みとどまるのだった。

おびえる生徒たちの前に立ちふさがる赤いジャージ。

「この子たちは私が守る」

生徒愛に燃える赤ジャージだが・・・その姿はぬ~べ~にしか見えないのだった。

「俺にまかせろ・・・強制成仏」

口裂け女のようなモナリザの怪は消滅した・・・。

克也は・・・妖怪退治に協力したゆきめたちに・・・謝罪する。

「在日妖怪のことを悪く言ってごめんなさい」

サトリ(矢部太郎)はニヤリと笑うのだった。

その頃・・・無限界時空(高橋英樹)は・・・封印された異次元扉の結界「天狗塚」が破られていることを知る。

「鬼が・・・この世に出てきたか・・・」

校舎の屋上からぬ~べ~たちを見下ろす・・・騒ぎの黒幕。

「ふふふ・・・俺の幻術も見ぬけぬとは・・・ぬ~べ~とやら・・・大したことないな」

封印された覇鬼の弟・絶鬼(山田涼介)が現世に降臨したのだった。

いよいよ・・・鬼の手と鬼本体のバトルが開始されるのである。

どう考えても本体が勝つよね。

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2014年11月29日 (土)

邪魔をしないで・・・私たちこれから共犯するところ(榮倉奈々)

十代から三十代まで・・・時を越えて存在する主人公。

アンチエイジングの発達によって・・・「幸せの黄色いハンカチ」の桃井かおりより、現在の桃井かおりの方が若く見えたりする恐ろしい時代である。

しかし、昔の桃井も桃井なのだった。

まあ、今の桃井はCGかもしれないがね。

・・・おいっ。

あえて老けるのは・・・若返るよりいろいろな意味で難しいわけである。

それぞれの演技プランがぶつかり合う。

髪型で表現するもの、体重変化で表現するもの、メイクで表現するもの、セリフ回しで表現するもの。

それだけですでにかなり面白いわけである。

年齢不詳なのであえて・・・何もしないようなアクターもいたりする。

しかし・・・ラスト・シーンで見せる・・・共犯者たちの凄みのある微笑み・・・。

突然、焦点をあわせてくるような演出のコーディネイトもなかなかに見事だな。

それだけでこれはもう傑作に違いない。

で、『Nのために・第7回』(TBSテレビ20141128PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・山本剛義を見た。複雑に見える時空間のシャッフルだが・・・基本的には現在と過去の転換である。複雑に見えるのは過去が2004年12月という中間点に向かってゆっくりと近づいてくる点だろう。16年前に十代で高校二年生の少女だった主人公は・・・10年前の2004年11月には二十代の若者である大学四年生になっている。そして現在は三十代の大人なのだ。空白の十年が描かれるのかどうかは不明だが・・・とにかく中間点は目前である。人は間違いを犯す。それは愚かさのもたらす結果である。しかし・・・この物語は賢い選択など・・・実はないのではないかという恐怖を匂わせている。定められた運命はどんなにあがいても変えられない。愚かな結果は最初から決められている。だから・・・愚かな人間は哀愁を漂わせる。どうしようもないからである。

【2014年(現在)】高野(三浦友和)は突然、辞職した杉下希美(榮倉奈々)の自宅を訪問する。高野は西崎真人(小出恵介)の出所との関連を疑う。しかし・・・希美に「ガンを発症し、余命一年である」と告げられ・・・牙を抜かれた獣と化すのだった。

「2004年のクリスマスイブに・・・スカイローズガーデンで起こった事件で私の知っていることをすべてお話します。あの日・・・私は野口貴弘(徳井義実)さんに将棋を指南するために・・・部屋を訪ねました。書斎に置かれた盤上の対局は安藤望(賀来賢人)の有利な展開で止まっています。私の役目は逆転の戦略を伝授することでした。安藤に将棋を教えたのは私ですから・・・ある程度の手筋は読めます。そうやって私は野口氏に勝利をもたらしてきたのです。しかし、その日、私にはちょっとした悪戯心が芽生えました。たまには安藤に勝たせてやりたいと思ったのです。あの時、素直に必勝の手筋を伝えていれば・・・私はあの場所にいなかった。もしかしたら・・・あのような悲劇は起こらなかったのかもしれません。私があえて考え込んだために・・・安藤は到着してしまいました。野口氏は安藤をラウンジで待たせ・・・私になんとか勝ち筋を見つけるように命じて・・・席を外したのです。それからしばらく時がすぎ・・・物音に気付いた私は・・・リビングルームに様子を見に行きました。すると・・・野口氏と野口夫人の奈央子(小西真奈美)さんが倒れ・・・燭台を持った西崎さんが立ちすくんでるのが目に入ったのです」

「しかし・・・火を恐れていた西崎は・・・燭台を凶器に選ぶとは思えないのだが・・・」

「西崎さんが・・・何をしたのかは・・・分りません。私が見たのはそういう光景だったのです」

「・・・」

高野が部屋を去ると・・・希美は指輪を取り出す。

安藤から渡された指輪。

「君と結婚したい」

「付き合ってもいないのに・・・」

「でも・・・ずっと君を思っていた」

「十年の間・・・他に付き合った人だっていたでしょう」

「でも・・・結婚したいとは思わなかった」

「私も・・・今は誰とも結婚するつもりはないの」

指輪を返そうとする希美を止める安藤。

「持っていてくれ・・・今はその気がなくても・・・いつか気が変わるかもしれないだろう・・・三年後・・・五年後のことなんか誰にもわからないじゃないか」

それ以上・・・指輪を拒絶することはできなかった。

しかし・・・余命宣告が事実なら・・・希美には三年後も五年後も・・・ないのである。

だが・・・希美はそのことを安藤には伝えない。

希美は安藤の報われぬ恋心を思うのか一人泣く・・・。

帰宅した高野は憎しみの対象を見失い、茫然自失となった。

もの言わぬ妻・夏恵(原日出子)は夫の顔色を窺う。

(散歩でもしませんか・・・)

「一度・・・島に帰ってみようか・・・」

高野はわだかまりの原点を再確認する必要に迫られた・・・。

【2004年・12月】クリスマスで賑わう東京。高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階の野口氏の部屋の玄関の外付けのチェーンをロックしたのは安藤だった。野口氏に暴行された西崎はドアを開けて逃れようとしたが果たせなかった。そして・・・誰かが燭台で野口氏を背後から殴打する。昏倒する野口氏・・・。希美の黄色い衣服は赤く染められている。そして・・・西崎は指紋を残さぬように凶器の刃物を倒れた野口氏に握らせる・・・。

【2004年・秋】希美と安藤は野口氏から野口夫人の病状を聞かされる。

「流産して・・・精神失調になってしまったのだ・・・時々、徘徊するので・・・安全を考えて私が留守の間は・・・幽閉するしかないのさ」

二人になった安藤は希美にささやかな疑念を漏らす。

「奈央子さんが・・・不倫しているという噂があるんだ」

「そんな・・・奈央子さんがそんなことをするはずがないよ」

希美にとって野口夫妻は「幸福」の象徴である。

それが汚されることは希美の心を激しく揺さぶる。

就職活動中の希美は建設会社からの内定の報せを受け・・・前途が開けた喜びを感じる。西崎に報告に行った希美は・・・思いつめた表情の隣人に驚くのだった。

「奈央子となんとか・・・連絡をとりたいんだ・・・」

「奈央子・・・」

希美は・・・西崎と野口夫人のただならぬ関係を察知して動揺する。

「まさか・・・奈央子さんの不倫相手って・・・」

「奈央子は・・・夫からの暴力で苦しんでいる・・・」

「野口さんが・・・暴力なんて」

「俺は奈央子を助けたい」

「おかしいよ・・・奈央子さん・・・監禁されているんだよ・・・それも西崎さんのせいかもしれないのに」

「奈央子と連絡がとりたいんだ」

「夫婦のことなんか・・・外からはわからない・・・愛しあっているように見えても冷え切っているかもしれない。暴力をふるわれてよろこぶ人もいる・・・そんなことに関わりたくないの」

「君だって・・・奈央子のことを好きだったじゃないか」

「あの人は・・・見境のない人・・・断りもなくドレッサーを送ってきたり・・・まして不倫なんてするなんて・・・そういう人が私はこわいの」

不倫は心ない父親を・・・ドレッサーは不敵な愛人と不甲斐ない母親を希美に想起させる。

台所に立った希美は無意識でコンロに着火する。

燃えあがる青い炎。

パニックに陥る西崎・・・。

心に傷を持つ二人の男と女は・・・見つめ合う。

希美は火を加減する。

「ごめんなさい・・・」

「・・・」

同級生が結婚し・・・希美は故郷に帰る。

島へ渡る連絡船の中で希美はついに成瀬慎司(窪田正孝)と再会する。

言葉が心にあふれ・・・言葉を失う二人。

一体・・・なぜ・・・妻は火の中に飛び込んだのか。

一体・・・慎司と希美は何を隠しているのか。

鬱屈した思いに苛まれる高野は船着き場で二人の到着を張り込む。

「結婚式か・・・」

「はい」

「二人で来たのか・・・」

「たまたま・・・船が一緒になったんです・・・」

「・・・」

「じゃ・・・私、先に行きます」

二人のかけがえのない時間を壊したことに・・・高野は気付かないフリをする。

「元気やったか」

「あの時は・・・ありがとうございました」

「いや・・・」

感謝してるなら・・・本当のことを教えてくれという言葉を高野は飲み込む。

高野は苛立ちを膨らませながら声を失った妻の元へと帰る。

希美と慎司は結婚式で合流する。

「大学やめて・・・レストランで働きおるんやて」

希美の耳に「シャルティエ・広田」という店の名前が届く。

「その店・・・有名」

「え・・・そうなん」

友人はさりげなく慎司の隣席を希美のためにあける。

同級生たちは・・・二人の仲をそれとなく知っている。

高野が・・・二人の仲を疑うのは当然なのである。

「どうして・・・シャルティエのこと・・・」

「私の知り合いが・・・その店でプロポーズされたって言ってたんよ」

「へえ」

「泣いてしまったら・・・店の人がカバーしてくれて・・・うれしかったと言っていた」

「うちの店は・・・そういうお客さんを大切にする店なんよ」

「うちの店か・・・その言葉・・・久しぶりに聞いた・・・成瀬くん・・・変わらんね」

逢えなかった時間に起きたことを束の間・・・忘れる二人。

希美は慎司を三次会に誘う。

慎司は希美を二人きりになれる桜花亭に誘う。

二人が高校生時代にデートした亭である。

二人は自動販売機のドリンクで祝杯をあげる。

「大学に入ってから・・・どうしとったん?」

「杉下が奨学金譲ってくれたのに・・・大学やめて・・・ごめん」

「・・・」

「親父が急に死んで・・・何もかもがどうでもよくなって・・・詐欺師みたいなことまでやって・・・でも・・・親父みたいな料理人になりたくて・・・修行できる店を探して・・・」

「私・・・譲ってなんかないよ」

「え」

「奨学金を捜していて・・・村瀬くんの成績なら受けられると思って・・・私の親は・・・大学のお金は出してくれるって言ったから・・・」

希美は嘘をつく。

「でも・・・あんなことがあったから・・・励ましてくれたじゃないか」

「私・・・なんていった」

希美が慎司に囁いた言葉はあくまで秘められる。

「俺なんて・・・大したことないのになんで・・・と思ったけど・・・ずっと励みになった」

「私、譲ったつもりなんてない・・・だから・・・シャーペンでよかったねって合図したでしょう」

「よかったね?」

「そう・・・よかったね」

「俺・・・馬鹿野郎かと思ってた」

「えーっ、なんでーっ」

「よかったねだったのか・・・希美はもう就職決まったの?」

「決まったよ」

「野望は何か叶ったの」

「野望か・・・宝くじは当たった?」

「当たった・・・五百円・・・」

「安い・・・」

「富豪とは出会った?」

「油田は賭けなかったけど・・・将棋は役に立ったよ」

「本当?」

二人は失った時間を取り戻すようにはしゃぐ。

その頃・・・安藤は内定祝いのワインを持って希美を訪ねていた。

西崎はそんな安藤を言葉責めにする。

「島に帰ったよ・・・妙にうれしそうだったな・・・服を新調してじいさんに見せてた・・・誰か逢いたい人でもいるんじゃないか・・・」

西崎は野口夫人からメールを受け取っていた。

(話したい・・・不安なの)

西崎の表情からは火にあぶられている焦燥感は窺えない。

西崎はそういう男なのだ。

灼熱バードはいつも地獄の業火に焼かれているから。

ただ・・・天国と地獄を思わせる高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階を下界の野バラ荘の窓から見上げるばかり・・・。

島から戻った希美は土産を持って野口家を訪ねる。

しかし、高級マンションのフロントマンは慇懃無礼に・・・野口氏の許可のない訪問者の入室は拒絶するのだった。

希美は「秘密」の匂いを嗅ぐのだった・・・。

野バラ荘に戻った希美は西崎に居酒屋「串若丸」へと呼びだされる。

希美は焼き鳥が好きなんだなあ・・・。

焼き鳥が好きな女子大生なのに学費は愛人の前で父親に土下座して捻出し、放火犯人の疑いのかかる同級生を庇って偽証し、富豪の夫人のエアを止める。こんな女に誰がした・・なのだった。

その開きかけた前途にのしかかる・・・西崎と野口夫人の心の闇・・・。

「野口さんちにもお土産持って行ったけど・・・奈央子さんには会えなかったよ」

「そうか・・・」

西崎は文芸誌を取り出した。

新人賞の第一次予選通過者に「貝殻/西崎真人」が記されている。

「うわあ・・・すごい・・・」

「俺は・・・奈央子のために・・・これを書いた」

「・・・」

「島はどうだった・・・」

「・・・」

「彼には会えたのか」

「元気だった・・・島から出てからいろいろあったけど・・・島から出られてよかったねとお互いを讃えあいました・・・彼は・・・野口夫妻が利用しているレストランで働いています・・・出張給仕とかもしてるみたい・・・」

「それを利用して・・・奈央子に接触できないかな」

「やめて・・・彼を巻き込まないで・・・」

「彼とまた会う約束はしたのか・・・」

「アパートがぼろいと言ったら・・・どんだけぼろいか見に来るって・・・」

「そうか・・・」

「とにかく・・・変なことには付き合わないわよ」

「・・・」

「西崎さんも・・・彼女のことは忘れて・・・」

「僕の母親は・・・火事で死んだ・・・」

「え」

「助けようと思えば助けられたが・・・僕は助けなかった」

「・・・」

「今度は助けたい」

西崎と希美は恐ろしい炎で結ばれていたのだった。

【2004年・11月下旬】慎司は・・・お土産として店のスイーツを選ぶ。

「彼女か・・・」

「そんなんじゃないですよ」

店の人間のひやかしに微笑む慎司。

希美を訪ねて来た見知らぬ若い男を胡乱気な視線で見つめる「野バラ荘」を愛する大家・野原兼文(織本順吉)・・・。別に恋のライバル登場を警戒しているわけではない。ここは鎌倉ではないからだ。就職祝いに希美の頭を叩くのはスイーツな雑誌仕込みの恋愛テクニックではないのです。だから・・・誰もそんなこと思わんわっ。しかし・・・このままでは心を完全に奪われてしまいそうでこわいのです。

しかし・・・希美が嬉しそうに慎司を迎えるのを見て野原は安堵したようだ。

希美は「シャルティエ・広田」のスイーツに目を細める。

「食べるのがもったいないね」

幼馴染の二人にはつもる話が山ほどあるわけだが・・・その語らいの時を阻止する西崎だった。

「やあ・・・いらっしゃい・・・君の話はよく聞いているよ」

「はあ」

「西崎さん・・・勝手に入ってこないで・・・ごめんね・・・隣の住人なの」

「ああ」

「君は何のために・・・働いている」

「え・・・自分のためですけど・・・」

「もしも・・・今にも崩れ落ちそうな吊り橋の上で・・・杉下が助けを呼んでいたら・・・君はどうする」

「そりゃ・・・助けに行きますけど・・・」

「俺も・・・助けたいんだ・・・ラプンツェルを・・・」

「ラプンツェル・・・」

「グリム童話で魔女が塔に閉じ込めた金髪美少女よ・・・スーパーマリオブラザーズのピーチ姫みたいなもの」

「ああ・・・この人・・・演劇関係の人・・・?」

「小説家なの・・・」

「へえ」

「そこで・・・君にぜひ頼みたいことがある」

「やめてください」

そこへ・・・安藤からの着信がある。

「今度・・・野口さんの家へ二人で行かないか・・・」

「ごめん・・・いま・・・来客中なの・・・後でかけ直すから」

「え」

「塔に閉じ込められた奈央子を救出する・・・俺はこれをN作戦2と名付ける」

「・・・」

唖然とする・・・西崎以外の人々だった。

【2014年(現在)】高野夫妻は青景島を訪れていた。

料亭「さざなみ」の跡地に建てられたパチンコ屋もつぶれたらしい・・・希美の両親や愛人がその後どうなったのかは不明である。

成瀬周平(モロ師岡)の墓参に出向いた二人は・・・墓前に佇む慎司と邂逅する。

幸福から見放されたような三人は息を飲む・・・。

その頃・・・野バラ荘の西崎の部屋の呼鈴を鳴らす希美。

出迎えた西崎と秘密を共有する犯罪者の視線で見つめ合う二人。

西崎がニヤリとした。

希美もニヤリとした。

【2004年・12月24日】床に倒れた野口夫妻。泣きじゃくる血まみれの希美・・・。

西崎は布で凶器を掴み・・・野口氏の手に握らせる・・・。

福岡ソフトバンクホークスの誕生が承認され・・・二日後にはスマトラ沖地震が発生し・・・二十二万人の命が失われる・・・。

西崎と希美が共犯者となった夜の始り・・・。

ああ・・・なんて・・・愚かな・・・

救いを求め満たされたくて許されるなら・・・

なんて・・・愚かな・・・なんて・・・愚かな・・・

ああ・・・なんて・・・愚かな・・・

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2014年11月28日 (金)

熱がさがった後には夢への扉があるのです。(綾瀬はるか)

二人がいつも傷つけあって暮らす愛のかたち・・・それが同棲時代である。

いつの話だよっ。

同棲時代は二つの意味を含んでいる。

男女が一緒に暮らす時に結婚という形式よりも同棲という形式の方がなんとなく流行した年代。

そして・・・今は結婚していたり別れていたりするが・・・同棲していた頃。

まあ・・・無責任で自由で少し後ろめたいふしだらな暮らしぶりである。

もちろん・・・慎み深い人やもてない人たちからは白眼視されるわけだが・・・やりたい盛りのカップルは浮かれまくっているわけである。

だから・・・生まれ変わっても・・・同棲してイチャイチャしたいと思います。

リスク重視の時代には流行しないと思われるが・・・どうせ離婚するならとりあえず同棲の方がセーフティーという考え方もある。

しかし・・・だらだらやっているうちにできちゃった結婚という場合もあります。

まあ・・・愛のかたちは人それぞれってことで・・・。

で、『きょうは会社休みます。・第7回』(日本テレビ20141126PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・狩山俊輔を見た。巷では・・・「女房と畳は新しい方がいい」なんて言うかと思えば「姉女房は身代の薬」などとも申します。まあ・・・年上の女性の方が経験値が上で・・・なにかと遣り繰りが巧いので家庭円満にはいいだろうという希望的観測ですな。・・・落語かよっ。まあ・・・そういう発想は今に始ったことではないわけですが・・・最近ではコミック「めぞん一刻/高橋留美子」(1980~1987年)という先行系があります。大学生が・・・二歳年上の未亡人に恋をする話・・・どちらかと言えば・・・男性の心理を中心に描かれますが・・・作者が女性なので女心もそれなりに滲み出るという展開です。その発展系と言えるこのドラマ。年齢差が広がったり・・・女性が処女だったりしていますが・・・未亡人には亡き夫の惣一郎の名を冠した飼い犬があり・・・処女にはマモルという名の飼い犬があって名残を感じさせます。また・・・脇役の大川瞳(仲里依紗)と加々見(千葉雄大)の関係性もより原点に近い年上の女性カップルになっています。そうなると・・・CEO朝尾(玉木宏)はテニスクラブのコーチ・三鷹瞬の転生ということになるわけですが・・・かなり甘い感じのライバルに仕上がっています。しかし・・・コーチとしての役割は進化しているのでございます。大人ですからな・・・。

九歳年下の大学生でバイトくんの悠斗(福士蒼汰)と結婚を前提としているようなしていないような感じで交際中の帝江物産横浜支社食品部デザート原料課勤務・青石花笑(綾瀬はるか)は恋仇の歯科衛生士の鳴前ひろ乃(古畑星夏)を無抵抗主義で撃破し・・・二人の仲は少し深まる。

しかし・・・悠斗の目には明らかに・・・理想の男に映る元CEOが復活して現れると・・・悠斗は動揺する。

三年前には高校生だった悠斗は・・・花笑への独占欲から・・・「一緒に暮らすこと」を提案するのだった。

都会生まれで都会育ちの花笑は・・・一人暮らしの必要に迫られず・・・三十年間の実家暮らしである。

彼と一緒に暮らすことにときめきつつも巣立つ心の準備が出来ていないのである。

乱れる心を沈めつつ同棲のための物件探しに出かける二人なのだった。

一方、もう一人の花笑である加々見は・・・意中の人、瞳の意中の人・朝尾の復活に尻に火がつく。

何を考えているかわからない後輩以上に何を考えているかわからない先輩・大城(田口淳之介)は加々見を励ます。

「元気出せよ・・・こういう時はカレーだよ。知ってるか、カレーはお釈迦さまが貧しい病人のために精をつけさせようと考案した薬膳なんだぜ。インド人もびっくりの豆知識だろう」

しかし、カレー屋でオムライスを食べる大城。

加々見は何を考えているかわからないパワーで三杯食べたら無料をクリアである。

一方、立花課長(吹越満)はアルバイトの悠斗を正社員として採用しようと画策中である。

就職氷河期が去りつつあるとはいえ・・・この会社・・・人材的に大丈夫なのかっ。

大手商社という設定だったんじゃないのかっ。

復活した朝尾に激しくアプローチする瞳は・・・元CEOに軽くあしらわれるのだった。

元CEOの興味の対象はあくまで主人公なのである。

花笑の昼食時に・・・蕎麦屋に現れて・・・お代を払って華麗に去っていく元CEO・・・。

「この間は別れの危機だったのに・・・今度は同棲計画か・・・忙しいね」

「お、お構いなく・・・」

「しかし・・・花も恋愛も・・・いつか色褪せることをお忘れなく」

「ほっといてください」

まあ・・・この二人の方も・・・主役カップルとして申し分ないわけである。

しかし・・・ここでは主人公のお相手はあくまで悠斗である。

学生生活にアルバイトそして恋愛と・・・公私ともに多忙な悠斗はなんとなく体調を崩しつつあった。

花笑はなんだかんだ・・・元CEOのアドバイスは真摯に受け止める。

花笑の知る夫婦のサンプルは両親のみ・・・。

巌(浅野和之)と光代(高畑淳子)の夫婦の言葉少ない暮らしぶり・・・。

その静けさに・・・ふと不安を感じる花笑・・・。

その妄想は・・・プロ野球風ベンチからのサイン的夫婦の暮らしへと発展する。

送りバントのサインで思わずバントの仕草をする長島監督なんて・・・みんなもう知らないよ。

まあ・・・野球中継を晩酌しながら見る父親に寄り添う箱入り娘だからな。

女友達の感想は・・・。

「なんとなくどっちかの部屋に入り浸りなし崩し的になだれ込むのが同棲生活なのに・・・」

そこで・・・お試し同棲を提案する花笑だった。

超短期ステイである。

ここまで・・・理想の飲み屋の大将を演じて来たブッシーこと武士沢(田口浩正)は・・・。

「若い時にはホテル代にも苦労するから・・・同棲の方が経済的だよね」

ギリギリアウトの冷やかしを展開する。

性欲のピークにある二十代男性(個人差があります)の性欲を受け止める覚悟の花笑だったが・・・お試し一日目の夜に・・・合体はなしなのである。

悠斗の体調に異変が生じているのだった。

持ちこんだ愛犬マモル(ジェントル)の写真の視線も気になり・・・一睡もできない花笑。

父親と同じようないびきをかいたらどうしようとさらなるプレッシャーが花笑を襲う。

二日目で早くも実家に戻る花笑だった。

そんな花笑が・・・家を出ることを考えているのではないかと察知する光代である。

巌は来るべき時が来た衝撃に三途の川を渡りかけたらしい。

「許して下さい」

「許す」

親公認の同棲って・・・もう一つ・・・みだらじゃないよね。

元CEOにモーションかけつつ・・・加々見のデートの誘いも断らない瞳である。

「私のどこが好きなの」

「顔です」

「どうして・・・」

「初恋の人に似ているから・・・」

どこまでも痛々しい加々見であるが・・・ここまで痛々しいと・・・瞳も絆されるわけである。

まあ・・・顔が好きというポイントは大切だ。

とにかく・・・男はその気にならないと出来ないシステムだからである。

もちろん・・・穴があいてればなんでもいいというタイプもあります。

男に好みの顔があり・・・好みとは十人十色・・・だから人類は繁栄しているのである。

もちろん・・・穴があいていればなんでもいいというタイプもかなり貢献しています。

一方・・・悠斗は元CEOから・・・アドバイスを受ける。

「同棲するんだって」

「・・・」

「あせってるんじゃないの」

「・・・」

「彼女のことが・・・ちゃんと見えているのかな」

「・・・」

元CEOは・・・お人好しでお節介なおばさんなのかっ。

不動産屋はついに掘り出し物を売りこみにかかる。

お値段と物件内容は・・・都心からの距離である程度折り合うものである。

悠斗も花笑も気に入るが・・・価格的に・・・学生の悠斗の名義では・・・契約NGという流れになるのだった。

社会人である花笑の名義で・・・花笑の両親が保証人に・・・。

三年前まで高校生だった悠斗に・・・世間が牙を剥くのだった。

もちろん・・・悠斗には・・・それなりの自信があるわけだが・・・それが過剰と判定されたわけである。

花笑は愛するものを傷つけまいと・・・その条件を了解する。

しかし・・・それがショックな悠斗なのだった。

病は気から起こるので・・・悠斗は感染症に対する抵抗力を失い、高熱を発するのだった。

「今日は・・・会社休みます」

花笑は退社後・・・ただちに「彼の部屋」へかけつける。

寝込んでいる彼を見て・・・実家に引き返す花笑・・・看病セットを調達である。

ここでネーム入り水枕が登場するが・・・辻褄的にはフルネームではなくて「花笑」である方が自然である。

もちろん・・・夫婦別姓主義者への配慮もあるだろうが・・・。

「嫁入り道具」として・・・名前を入れるなら・・・ファーストネームだけの方が効くだろう。

そもそも・・・家から持ち出さないものに名前が入っているという話なのである。

まあ・・・気にならない人にはどうでもいいだろうが・・・画竜点睛を欠く一点である。

湯たんぽに氷枕。

ちなみに・・・氷は最初凸凹していて嫌な感じがするのだが・・・親のすることなので子供は我慢するのである。

そして・・・おばあちゃんの知恵袋的な焼きネギの喉まきである。

ネギの有機硫黄化合物(二硫化アリル)は抗菌作用のある刺激物で発汗作用を伴う。

また喉元の保温は・・・免疫力の向上を促すのである程度有効なのである。

ネギアレルギーの人は逆効果なのでご注意ください。

また・・・おかゆのゆるさはそれぞれの好みにもよるので・・・調整が必要である。

あまり・・・べちょべちょなのは嫌だな。おいっ。

花笑の献身的な介護に・・・愛されている自信を失いかけた悠斗の精神は再生を果たすのだった。

不安は熱とともに去りぬである。

「花笑さん・・・僕は少しあせっていたみたいです」

「はい」

「一緒に暮らしたい気持ちは変わらないけど・・・自分名義で部屋を借りれるようになるまで・・・待ってください」

「私も・・・少し・・・不安だったので・・・ホッとしました」

いつかは色あせる「愛の花」を・・・少しでも長持ちさせるのは・・・いろいろと工夫が必要なのである。

しかし・・・夫婦とは・・・色褪せていく時を・・・二人で眺めるもの・・・とも思う花笑だった。

なにしろ・・・すでに三十歳なのである。

かなり大人な花笑とついこの間まで子供だった悠斗・・・。

その間に流れる時は時々、洪水となって流れ出る。

しかし・・・回復した彼に思わずキスをしてしまう花笑だった。

性欲のピークにある三十代女性(個人差があります)の生々しさである。

ピーク同士(個人差があります)の二人はお互いをむさぼりつくすのだった・・・。

一夜明けて・・・上司に呼ばれる二人。

交際発覚を危惧する花笑だったが・・・。

悠斗は「正社員の誘いを断り・・・大学院進学」を明かし、花笑には「一般職から総合職」への打診がある。

早く社会人になりたいといいつつ・・・大学院に進む意向の悠斗・・・。

結婚しないなら・・・本格的にキャリアを積むことを求められる花笑・・・。

性欲とは別に世の中の時は流れていくのである。

そして、密会の現場は草の者の痕跡を残す大城によっておさえられるのだった。

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2014年11月27日 (木)

頼まれたら断れない人・・・だからといってパシリとは限らない(竹野内豊)

ドラマは夢の世界である。

神でもありパシリでもあった運転手が過去に連れて行ってくれたりする。

妻と愛人の心が入れ替わってしまう。

未成年と不適切な性行為による妊娠出産近親相姦親殺し子殺し抑制された多重人格者が実在する。

基本的になんでもありなのである。

そのすべてを受け入れるためにはそれなりに柔軟である必要がある。

「そんなことあるわけないじゃない」

そんなことを言う人は認知症を発症している可能性がある。

なにしろ・・・それを言ったらおしまいなのだ。

夢の世界で・・・しばらく・・・自分を忘れる・・・。

そうせずにはいられない自分が少し・・・可哀想だとしても。

で、『素敵な選TAXI・第7回』(フジテレビ20141125PM10~)脚本・バカリズム、オークラ、演出・星野和成を見た。インタビューの基本は質問をすることだが・・・何を問うかと言えば・・・相手の人生について・・・と総括することができる。もちろん・・・伝えなければいけない事柄が別にあったり、極度に限定されている場合はある。メルトダウンしそうな原子力発電所の責任者に「好きなタイプ」を聞いたりはしない。人生とは一種のサイクルである。誰かの出産によって生まれて・・・誰かに育てられる。ここでの主な関係は親子である。幼年期から思春期にかけては初恋が関係する。やがて恋愛関係が主軸となり・・・結婚ということになる。夫婦関係が生まれ・・・場合によっては不倫関係なども起こる。さらに出産によって子供ができれば親子関係である。ここである意味、一周したわけだ。ただ、子供の視線と親の視線では別である。親の人生は続き、老いと死がやってくる。誕生も死も・・・本人にはあまり記憶がないところが人生の醍醐味である。インタビュアーはこういう人生のポイントのメモを持っているものだ。そしてインタビュー相手のプロフィールと照合して・・・質問のポイントを考える。ドラマのテーマもまた同じようなものである。今回は「結婚相手を親に紹介する」である。ついこの間、むふっ♥の世界でも通りすぎたところだが・・・こっちはこっちでそういうお年頃なんだな。

枝分(えだわかれ)が常連客となっている「cafe choice」・・・。

劇中劇である「犯罪刑事」は共犯刑事(日村勇紀)の登場で新たな展開を見せている。

枝分(竹野内豊)は結構、お気に入りのようである。

しかし・・・常連客の一人、標道雄(升毅)はそれほどでもないらしい。

標はどちらかと言えば「自分語り」がしたい気分であるらしい。

「思えば俺も昔はやんちゃだった・・・」

話のポイントがすべるかすべらないかの世界で生きている人間にとって・・・すでにすべっている話である。

本当にやんちゃな人間はこんなところで油は売っていないものだ・・・おいっ。

だから・・・マスターの迫田(バカリズム)は冷淡に対応する。

ウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)は枝分の読んでいる書籍に興味を示す。

御利益のあるパワースポットの特集記事である。

「そういうの好きなんですか」

乙女チックな件で失敗したと感じている枝分は・・・言葉を選ぶ。

「好きだ・・・と言ったら?」

弱虫で根性無しで小心者の枝分だった。

「私、昔から・・・そういうの好きなんですよね」

夏希は空気を読んで話題に合わせたりしないタイプなので・・・枝分は素直に意気投合するのだった。

そして・・・「待ち受けにすると厄除けになる鳥居」を求めて旅に出るのだった。

その鳥居は片田舎の駅前にあった。

早速、写メを撮影する枝分だった。

しかし・・・そこで・・・地元の暴走族のレディースである苦露悪惨のメンバーに因縁をつけられてしまう・・・。

「てめえ・・・オレたちの写真撮っただろう」

「撮ってません」

「顔かせや・・・こら」

レディースに囲まれた主人公に今日のゲストが気がつく。

ITベンチャー企業のCEO内藤彰(葛山信吾)との婚約が整い・・・故郷の街に婚約の報告にやってきた大橋真理(貫地谷しほり)である。

人格者である内藤は・・・枝分の困窮を見逃すことができずに・・・介入する。

しかし・・・事態は紛糾する。

「ここは女同士ということで・・・」

なぜか・・・別行動をとる真理だった。

婚約者の視界から消えた真理は態度を豹変させる。

「おらおら・・・てめえ・・・誰に口聞いてんだか・・・わかってんのか」

「なんだとこら」

「おまえらじゃ・・・話になんねえ・・・今の頭(ヘッド)に真理が帰って来たと言っときな」

「え・・・真理って・・・まさか・・・初代総長の大橋さんですか」

「伝説の百人殺しの・・・」

「ヤクザの事務所へバイクで特攻かけて・・・」

「東名高速を東京から名古屋まで逆走したという・・・」

土下座するレディースたち。

真理は苦露悪惨の初代総長だったのです。

もちろん・・・フィアンセには秘密です。

それどころか・・・両親について嘘をついていました。

やんちゃだった頃に散々迷惑をかけた親だったのに・・・。

父親はのんだくれ、母親はネグレクトというでっちあげで・・・自分をいい子に取り繕っていたのです。

そんな経緯がありながら・・・なんとか乗り切ろうと淡い期待をかけて・・・家出同然で飛び出した故郷に帰ってきた真理なのである。

枝分は二人を真理の実家に送る。

その道行・・・。

改心した不良より・・・最初から善良な人の方が素晴らしい。

焼きそばパンを買いに行ってスパゲティーパンを買って帰っても文句を言われる筋合いはない。

枝分はパシリではない。

会話が一方的に弾む枝分である。

カツアゲされそうになったことが嫌な過去を思い出させたらしい・・・。

しかし・・・。

「何しに帰って来た」と父の豊(清水章吾)はお約束の叱責。

人の好い母の春代(萩尾みどり)はおろおろするばかり・・・。

「しかし・・・彼女も過去のことは忘れて帰って来たのですから・・・」と真理の嘘を信じてフィアンセを庇うCEO。

「あれだけのことをしておいて・・・」

「あれだけのこと・・・?」

真実を知ったCEOは憤慨する。

「隠しごとは・・・なしだって言ったのに・・・」

CEOは嘘をつかれるのが嫌いなタイプだったらしい。

CEOは怒りにまかせて・・・一人でバスに乗って去っていく。

「ああ・・・あたしはしくじった」

そこへ・・・選TAXI登場である。

今回、枝分は・・・「時空修正についての注意事項・動画」を作成していた。

内容は「シートベルト着用のお知らせ」である。

道交法的なものを本能的に拒否する真理だった。

「やりなおしますか」

「はい」

実家の玄関前まで遡上する真理。

「ちょっと待ってて・・・」

「どうするの・・・」

「先に・・・私だけ・・・両親と話してくる」

単身、両親に再会した真理は土下座するのだ。

「ごめんなさい・・・」

「とにかく・・・あがりなさい」

優しい両親だった。

事情を話すと・・・真理の嘘に付き合ってくれることまで了承してくれるのだった。

「お前は・・・それでいいんだな」

「はい」

辻褄合わせに成功した真理はCEOを呼びこみ・・・結婚の許しを恙無く得る二人。

すべては・・・丸く収まったように見えたが・・・。

そこへ・・・苦露悪惨九代目総長・黒田陽子(小池里奈) が総員体制で挨拶にやってくるのだった。

「初代総長・大橋真理さんがご帰宅と聞き・・・御挨拶に伺いました」

「え」

あわてて・・・周回軌道上の選TAXIを呼びよせる真理だった。

駅前まで遡上する真理だった。

真理とCEOは枝分を救出せずに・・・バスに乗り込むのだった。

「うわあ・・・からまれる」と思った枝分はからまれるのだった。

しかも・・・今度は真理が救ってくれないのである。

そこへ・・・通りすがりのウエイトレス・関カンナ(清野菜名)が現れる。

「あれ・・・君、どうして?」

「ここ・・・地元なんですよ」

「へえ」

「この人に手をだすんじゃねえ」

「なんだ・・・てめえは」

「おめえら・・・苦露悪惨だろ・・・あたしは・・・六代目総長の関カンナだよ」

「え・・・カンナさんですか・・・」

「あの・・・二百人殺しの・・・」

「関東統一戦争でパトカーを燃やした・・・」

「首都高を朝から晩まで逆走し続けたという・・・」

土下座するレディースたちだった。

一方、今度は完全に乗り切る真理。

しかし・・・心には曇りが生じていた。

このままではいけない・・・そんな思いがつのる。

駅前に戻って来た真理を両親が追いかけてくる。

「今度はいつ帰ってくるんだ」

「幸せにおなり・・・」

どこまでも・・・優しい両親だった。

そうなのだ・・・そんな両親を悪者にして・・・フィアンセに嘘をついて・・・筋が通らないのだ。

レディース根性に火がついたのである。

選TAXIを呼びだす真理。

「十年前に戻ってやり直したい」

「十七億円かかりますけど」

「・・・」

「・・・」

「とにかく・・・彼にすべてを打ち明けたいの」

「それなら・・・戻らなくても・・・今、すればいいんじゃないの・・・」

「あ・・・」

選TAXIを借りて・・・CEOにすべてを話す真理・・・。

しかし・・・CEOは・・・。

「正直に言ってくれてありがとう・・・でも、元ヤンだっていうのは・・・薄々知ってたよ・・・だって・・・部屋に特攻服飾ってあったから・・・まさか・・・総長とは思わなかったけど」

「あ・・・あれは・・・薔薇の刺繍が素敵だったから・・・」

「でも・・・下に苦露悪惨って書いてあったし・・・あれ・・・なんて読むの」

「クロワッサンっす」

「スイーツじゃなくて・・・エレガントだけどパンなんだねえ」

「だから・・・僕はパシリじゃないですよ」

とにかく・・・こうして・・・たくさんのレディースとお友達になり・・・厄除けの写真を無事入手した枝分だった。

やんちゃだった標・・・パシリではなかった枝分・・・。

神々も・・・過去は美化するものらしい。

来週は・・・泣き虫・佐山佑香(臼田あさ美)が再登場かっ。

宇佐見夏希の回はまだですかあああああああっ。

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Sentx007ごっこガーデン。愛と青春のパワースポットセット。まこ最強のレディースとパシリでアッシーな彼との純愛物語『私にパンを買ってきてロード』絶賛公開中!・・・コラボ商品のまこかまぱんも絶賛発売中デス。妄想大ヒット御礼でしゅ~。姉ちゃんたちのアクション炸裂も見どころでしゅよ~。パシリの皆シャン・・・お目当てのパンが売り切れの時は迷わずまこかまぱん!・・・文句言う奴にはまこがぼぎゃあんと上等パンチ&上等キックをお見舞いしましゅから~!」くう師走の足音が近づいて・・・思わずつぶやく忙しさ!・・・15がFなら16は10ですか・・・暗算の速いのと密室で安産の人はどちらが偉いの?・・・17億円は11億円なのですか・・・ちがうの?・・・わかりたと言えないよおおおおおおおおおおおおシャブリささやき刑事と森田さくらの再会はすれちがいなのでありました~。 ここまですべてが恋愛話・・・主題歌が恋の歌なのは・・・そういうことなのでありました~

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2014年11月26日 (水)

姉川、ラズベリーに染めて(小栗旬)

正史では織田信長が朝倉征伐に出陣したのが永禄十三年四月二十日である。

そして四月二十三日、正親町天皇は将軍・足利義昭の奏上する改元を許した。

信長はかねてからこの改元には反対だったという。

「将軍就職記念的改元」だったからである。

しかし・・・おそらく・・・信長が二度と帰還しないという前提で・・・義昭は改元を強行したのである。

そのために・・・信長が金ヶ崎城周辺で浅井・朝倉の挟撃に遭い進退窮ったのは元亀元年四月二十六日になっている。

信長は脱出し四月三十日に京に戻るが・・・敗戦処理のドサクサで・・・改元云々どころの騒ぎではなかったのである。

信長の腸は煮えくりかえっただろうと妄想できる。

元亀四年七月、信長は足利義昭を追放し、室町幕府を滅亡させると・・・即座に天正に改元するのだった。

で、『信長協奏曲・第7回』(フジテレビ20141124PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・徳永友一、宇山佳祐、演出・林徹を見た。スイーツな時空間では一体、サブローが戦国時代に漂着してから・・・どのくらいの時が流れたかは曖昧である。そして・・・足利将軍義昭が・・・一体、どういう軍事力を背景として・・・京に君臨しているかも不明なのである。なにしろ・・・京のある山城国のお隣、大和国には・・・義昭の兄・義輝を斬殺した松永弾正久秀が健在なのである。まして・・・この世界の久秀は・・・21世紀のヤクザですからあああああああっ。

正史では・・・松永久秀も徳川家康も・・・この朝倉征伐に参加しているわけだが・・・ここではサブロー(小栗旬)は朝倉義景の説得のための外交交渉団として越前入りするので・・・少人数である。

そもそも・・・この少人数の家臣団を・・・浅井軍団、朝倉軍団が総兵力で襲撃するというのが・・・スイーツの極みだよね。

城内に招き入れて謀殺で充分だよね。

しかし・・・甘いものにそんなこと言うのは野暮なのである。

とにかく朝倉一万、浅井五千の大軍に挟まれた織田勢百人くらいは死に物狂いで脱走するのだった。

まさに・・・ミラクルである。一同大爆笑だ。

殿(しんがり=退却部隊の最後尾)を買って出た木下藤吉郎(山田孝之)は浅井久政とつながっていて・・・後方から信長を追撃する予定だったが・・・正史では組下の竹中半兵衛(藤木直人)が共同作戦を提案したために・・・本当に殿をする羽目になるのだった。

なにしろ・・・竹中半兵衛には飛騨忍軍がついているので・・・うかつな真似はできないのである。

野武士の頭・蜂須賀小六(勝矢)率いる川波衆、藤吉郎の猿飛軍団も加わって朝倉軍団を見事喰いとめてしまうのだった。

「ちっくしょおおおおお」なのである。

史実では京に逃げかえり、五月になって美濃国に戻る信長だが・・・この世界では・・・清州城だか岐阜城だかよくわからない帰蝶(柴咲コウ)の待つ城に直帰である。

さて・・・信長は・・・元亀元年、天正七年、天正九年の三度に渡って鉄砲忍びに狙撃されている。

元亀元年は甲賀の鉄砲忍びの杉谷善住坊が六角義賢の要請で・・・京から岐阜に戻る信長を近江・伊勢国境上で狙撃している。

信長は防弾鎧を着用していたために無傷である。

しかし・・・こちらのサブローを狙撃するのは朝倉義景に雇われたくのいち・ゆき(夏帆)だった。

無防備のサブローは重傷を負うのだった。

当時の金創医(外科医)は坊主で・・・基本、麻酔なしである。

おそらく、骨にくいこんだ弾丸をペンチで取り出し、針と糸で皮膚を縫い合わせ、血止めの膏薬を塗った布をあてるのが治療。くりかえすが麻酔なしである。抗菌剤もないし、鎮痛剤もなし。

あとは・・・運を天にまかせるのみ。

「殺してくれ」と叫ぶか、気絶するほど痛いのだった。

「そうか・・・信長め・・・撃たれおったか・・・ははは」と高笑いする足利義昭(堀部圭亮)だったが・・・だから・・・後ろ盾を殺して・・・どうするのだ。

生死の境を彷徨う信長・・・。

帰還した家臣たちは・・・事態を憂慮するのだった。

ちなみに・・・主だったメンバーは無事なのである。

不死身かっ・・・と言いたいところだが・・・歴史上の名のあるものたちは・・・こうして生き残ったから名前があるとも言える。

尾張統一戦で・・・桶狭間で・・・美濃攻略戦で・・・死んだ武将たちは名もない武将で終わっただけなのである。

ゆきは・・・信長に止めを刺せと指令を受けるが・・・帰蝶に情を移していたために・・・帰蝶の看病する信長を殺すことができないのだった。

くのいち失格である。

本来、忍びには金で雇われるものと・・・人質をとられて働くものがある。

どちらにしろ・・・裏切った場合は・・・追手がかかります。

任務を放棄しただけで・・・どれだけ恐ろしいことになるのかは「カムイ外伝/白土三平」を御照覧あれ。

しかし・・・スイーツなので・・・懺悔して追放され「涙で綴り終えたお別れの手紙」を読んだ帰蝶が前田利家(藤ヶ谷太輔)を派遣して呼び戻され・・・あらたに織田家の一員となるという・・・マロングラッセです。

Nobuoo6さて・・・とにかく・・・九死に一生を得た信長は・・・復讐戦に挑むことになるわけである。っていうか・・・浅井・朝倉連合軍と戦うことになるのなら・・・浅井・織田・徳川連合軍で・・・朝倉攻めていればよかったよね・・・。そんなことモンブランに言っても仕方ないよね。

ちなみに正史では南近江の諸城には織田の武将が配置されています。ゲリラ的戦闘を仕掛ける六角氏との攻防戦が展開するわけですが・・・この世界にはどうやら六角氏はいないみたいだ・・・。

だから柴田勝家(高嶋政宏)が甕を割れないっ。

そのため・・・姉川の戦い前哨戦である野洲河原の戦いもないのだった。

軍師・竹中半兵衛の戦略で・・・小谷城から浅井勢を釣りだすために・・・姉川の南にある浅井方の横山城を包囲する織田軍である。

ここは丹羽長秀(阪田マサノブ)と安藤守就(半兵衛の舅)などの美濃衆が担当します。

ちなみに明智光秀は山城国方面に派遣されていていたりいなかったりします。

ここでは・・・実は信長なので参戦しています。

史実では森可成(森下能幸)や木下藤吉郎が放火して小谷城下を焼き払いますがパンプキンパイでは民百姓が泣くのでしません。

横山城には小野木秀俊という浅井一族の将や三田村や野村といった姉川周辺の小豪族が籠城中。

仕方なく・・・決戦の場に引きずり出される浅井長政と・・・応援にきた朝倉勢である。

ちなみに朝倉勢の総大将は朝倉義景ではなく・・・義景の伯父・景職の孫・朝倉景健である。この他には義景の伯父の一人、朝倉景紀が先鋒として参戦している。基本・・・義景は戦場が嫌いです。

織田軍が・・・浅井勢と・・・徳川軍が朝倉勢と姉川を挟んで相対し・・・六月二十八日早朝・・・決戦の火ぶたが切られるのだった。

両軍合譲らぬ激闘である。

しかし・・・援軍の差が勝敗を決したのだった。

浅井の援軍の朝倉勢は親戚衆の指揮だが・・・織田の援軍の徳川勢は大名である家康(濱田岳)自身が率いるのである。

猛将・榊原康政が側面を突いて・・・朝倉勢は総崩れとなり・・・豪勇を誇る真柄兄弟も防戦の果てに全滅する。

朝倉勢が敗走すると徳川勢は織田軍と二方面から浅井勢を挟撃・・・これにより・・・浅井も崩れる。

すでに姉川は血で染まっている。

どこまでも続く赤い河・・・。

浅井長政は・・・嫁の市(水原希子)と父の久政(村井國夫)の籠る小谷城へと逃げ込んだ。

この戦で長政は傅役(育ての親)である遠藤直経や弟の浅井政之など多数の臣下を失っている。

敗戦を受け・・・横山城は降伏した。

これにより・・・浅井家は北近江での勢力を大きく後退させるのだった。

血まみれの夫を市は出迎える。

「まだ・・・兄上と戦うんですか」

「こっちは弟殺されてんだ・・・もう・・・きれいごとじゃすまないんだよ・・・」

しかし・・・勝利を得たサブローも浮かぬ顔である。

「結局・・・戦をして・・・たくさん死んじゃった」

「それが嫌なら・・・妾と二人・・・どこかへ逃げて百姓でもしますか」

「お百姓さんか・・・それもちょっと嫌だな」

今夜も月が見てるわ

野良猫は夢見るの

どうか勇気をください

星よりも高くとべるほど

信長を仇と狙う藤吉郎は・・・明智光秀が信長と瓜二つの素顔を持っていることを知った。

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2014年11月25日 (火)

男子校の父と女子校の母の間に生まれて!(錦戸亮)

呪縛は普遍的なテーマである。

初めに心があって言葉が生まれる。

言葉は生まれると心を縛りはじめる。

悲しい時には悲しいと言わなければならない。

暗い時には暗いと言わねばならない。

身に悔いあれば身に悔いと。

男なら男と。

女なら女と。

美しくなければ醜いと。

心は縛り付けられて歓喜に震え嘆く。

言葉になんかされたくないと。

たまには嘘がつきたいと。

そして、あらゆる呪縛から解放されて人は言葉を失うのだった。

その時、心は・・・。

で、『ごめんね青春!・第7回』(TBSテレビ20141123PM9~)脚本・宮藤官九郎、演出・山室大輔を見た。普遍的なテーマである「呪縛」をクドカンは作品全体に散りばめる。「あまちゃん」ではユイちゃんは「故郷」である「北三陸」や「家庭」である「足立家」に恐ろしいほどに呪縛されて「憧れの東京」や「望みのアイドル」にはなかなかたどりつけない。その呪縛は魔法のタクシーが時空を超えるまで突破できないのだ。もちろん、呪縛された苦しみも描かれるが「故郷」や「家庭」の甘美な喜悦も同時に描かれるわけである。つまり・・・縛られる快感である。・・・Mだからな。「I.W.G.P.」ではマコトは池袋に呪縛され、「木更津キャッツアイ」ではぶっさんが余命に呪縛される。「タイガー&ドラゴン」では落語家や任侠道に呪縛され、「未来講師めぐる」では来るべき未来にさえ呪縛されてしまうのだった。

人間が何かに縛られてしまうことの理不尽さ・・・哀愁・・・そして愚かしさを満載して物語は紡ぎだされていく。

そして・・・毎回が一同大爆笑なのである。

今回は・・・「一平・ドンマイ愛その終わり」

「会長、卒業写真にはいないけれど」

「銀ちゃんとヤスと・・・じゃなかった父と父とがカールズバーで」

・・・の三本立てです。

・・・三本目はもっと違うのがあったんじゃないか。

「あまちゃん」は女子高校生がヒロインでありながら・・・高校生活はほとんど描かれなかったわけだが・・・こちらでは・・・「高校」そのものに呪縛されているんだなあ。

そもそも・・・生徒が教師になるのは学校に呪縛された果てのことだからな。

場末感に呪縛されたママ(植木夏十)の営むスナック「ガールズバー」で父・平太(風間杜夫)から兄・一平(えなりかずき)の不倫疑惑を知らされた駒形大学付属聖駿高校の教師・原平助(錦戸亮)は真相を確かめるべく帰宅する。

「不倫してんのかよ・・・誰とだよ」

「してるよ・・・どんまい先生と」

「えええええええええええええ」

結婚という呪縛から逃れんとする兄とホリコシという呪縛にうっとりする兄嫁・えれなっちょ(中村静香)・・・そしてアラフォー未婚の呪縛にがんじがらめのかってのマドンナ今ドンマイ先生(坂井真紀)の三角木馬責めに混乱した平助は兄を殴り、兄とハグし、兄と一緒に入浴するのだった。

一方、後ろ暗さにより後ろ指さされ後ろ目痛い罪悪感という呪縛のメタファーである亡母の憑依した観音菩薩(森下愛子)は同クール番組に呪縛されたクドカンによって「地獄先生ぬ~べ~」の鬼の手のようなものを装着するのだった。

「不邪淫戒を破りしものは悪夢のような爪でスパッとヘッドスパしてやろうか」

洗髪は洗礼のメタファーである。

「秘密」は「呪縛」の母であり、子でもある。

「秘密を抱えるもの」は「秘密」に呪縛され、「秘密」は「心」に監禁されているのだ。

秘密の縄目は秘密を持つものをぐいぐい締め上げる。

汚れに満ちた髪は洗わなければスッキリしないのである。

小心者の兄と弟は心に抱えた秘密ゆえに良心の象徴である亡き母の呵責にあう。

しかし・・・弟にはかなり優しい母は・・・兄にはあまり容赦しないのであった。

弟が「放火犯」であることを秘密にしているのは「悪意」によるものではないと合理化しているからである。

一方、兄は「不倫していることを嫁に隠し、不倫相手に結婚していることを隠している」という二重の罪の意識に責められているのだった。

弟は「不倫をやめること」を兄に諭す。

しかし・・・兄は「不倫していることを嫁に明かし、結婚していることを不倫相手に明かせば問題は解決する」という逃避を開始するのだった。

「これなら問題あるまい」

「問題だらけだよ・・・楽になるのは兄貴だけじゃないか」

つまり・・・弟にとって・・・秘密を明かさないのは世のため人のためなのである。

兄弟は二人とも・・・手前みそなのだった。

一方・・・実は大問題を孕んでいる旧・駒形大学付属三島高校の理事長・村井晋太郎(津田寛治)の息子・守(小関裕太)の旧・聖三島女学院の制服着用。

旧・常識に呪縛された豪徳寺教頭(緋田康人)だけがその危うさに警鐘を鳴らす。

「高校生が女装して通学するのは問題があるよね」

「トランス・ジェンダーを問題にすることが問題です」

差別禁止の呪縛は豪徳寺の危機感を沈黙させるのだった。

「みんながいいならそれでいいか・・・」

長いものに巻かれる呪縛である。

平助は養護教諭・ドンマイを偵察する。

ドンマイは「卍模様」のマフラーを編んでいた。

「それ・・・誰かにプレゼントするんですか」

「それは・・・秘密」

平助にとって・・・かってはマドンナ先生だったドンマイ先生。

高校生の頃はラブレターを添削してくれた優しい恩師だった。

今や・・・崖っぷちの未婚女子で・・・兄の不倫相手なのである。

恋愛経験の少ない平助にとってはなんだか恐ろしい存在であり・・・不憫でもあった。

そんなこんなで・・・文化祭実行委員会の会議に遅刻する平助を激しく鞭打つ蜂矢りさ(満島ひかり)である。

その心は平助を相手に激しい恋に堕ちているが・・・未経験の出来事に自分の心を持て余すことこの上なしである。

もはや「好き」と「嫌い」の区別もつかないのである。

もはやツンツンツンツンしなければいてもたってもいられないのだった。

文化祭実行委員会は団結という呪縛の危機を迎えていた。

大木(竜星涼)と昭島(白洲迅)がエスカレーター式進学からの脱落を予感させる成績に追試やら補習やらで欠席。

落ちつかない性格の神保(川栄李奈)と絶対ないけど正解の遠藤いずみ(富山えり子)は予備校模試に備えて欠席。

超恋愛体質の「あまりん」こと阿部あまり(森川葵)は失恋のショックでゲーセンに通いつめ欠席である。

このために・・・「来週転校」という秘密を抱えた女子生徒会長・中井貴子(黒島結菜)は責任を抱えまくるのだった。

「この非常時に・・・何してるの」

「ちょっと・・・ドンマイ先生のところに」

「まあ・・・ドンマイ先生がお好きなのね」

「好き」を越えて「ジュラシー」を感じるりさだった。

「私・・・作業の途中なので・・・これで」

中座したので中座する責任者の女王である。

あわてて追いかけようとする期間限定交際者のカラクリ人形・海老沢(重岡大毅)を制して平助を鞭打つりさだった。

「早く・・・追いかけてください・・・彼女は先生を待っているんだから」

恋愛初心者でも女子高教師のエキスパートであるりさにはすべてお見通しなのであった。

看板作りの作業に戻ったりさの分身である中井に寄り添う平助。

平助に恋する中井にとってはそれだけで至福のひとときなのである。

「あまり・・・無理したらダメだよ」

「無理なんかしてません・・・楽しくて仕方ないんです」

「でも・・・何もかも抱え込んだら・・・」

「私は・・・参加しない人たちが可哀想なんです・・・こんなに楽しいことに参加しないなんて・・・きっと後悔すると思います」

中井の気迫に押され・・・絵筆としてのハケをとる平助。

「先生・・・」

「中井さんにそう言われたら・・・やってみたくなっちゃった」

恋する相手と肩をならべて看板を描く。

あの人は優しい目をしてた・・・。

そんな二人を過去の自分と重ね合わせ・・・祝福しつつ憧憬するりさなのだった。

そんなりさに・・・抱えきれなくなった「秘密」をもらす・・・カラクリだった。

「彼女は・・・来週・・・転校するんです・・・このことは誰にも言わないでください」

即行で中井の父親の携帯に電話するりさだった。

教師としてエキスパートなのである。

「どうして・・・この時期なんですか・・・転校手続きも済んでいると・・・娘さんはこう思ってますよ・・・パパなんて大嫌いって・・・はい・・・私も大嫌いです・・・さようなら」

エキスパートだが親より生徒のタイプらしい。

去っていく生徒のためになんとかしたい呪縛に囚われたりさだった。

流されて変わっていく生徒を叱るのは教師の務めなのである。

召集された欠席者たち・・・。

しかし、神保と遠藤は意外な思いつきをもたらす。

「合併したら・・・校歌はどうなるのか」という話なのだった。

その件について・・・平助は「校長が考えているのでは・・・」と口を挟む。

これ以上・・・問題を抱えたくない平助なのである。

しかし・・・三宮校長(生瀬勝久)も吉井校長(斉藤由貴)もうっかりしているわけである。

「メドレーでどうだろう・・・二曲続けてお楽しみください・・・・みたいな」

「ミュージック・フェアじゃあるまいし」

局の壁を越えて他番組に言及したいクドカンのあらゆる呪縛から解放されたいという呪縛だった。

悔い改めし 汝の罪を

神の御前に さし出さん

洗い流さん 汝の罪を

セイントミッシー 清き乙女も罪深く

「罪にまみれてますな」

臥薪嘗胆 質実剛健

色即是空 諸行無常

禅の心で押忍!押忍!押忍!

神も恐れぬ仏の三島

「喧嘩うってんのか」

「相容れない感じ濃厚ですな」

「新曲作るしかないな」

「文化祭実行委員会で検討させてください」

「え」

「新校歌作成」を持ちかえったりさは教育的指導を展開するのだった。

「作詞は・・・中井さん・・・作曲は・・・原先生お願いします」

「でも・・・中井さんは・・・もう手いっぱいなんじゃ・・・」と男子生徒会長の半田(鈴木貴之)は案ずる。

「だから・・・中井さんの仕事を手の空いている人が分担しなさい」

りさの指令に従い役割分担を発表するカラクリだった。

カフェの責任者はあまりん。

看板・ポスター等責任者に大木と巨乳高校生・佐久間りえ(久松郁実)・・・。

野外ステージの責任者をクイズな二人。

展示コーナーの責任者を神保が・・・それぞれ肩替りすることになる。

中井・・・責任者を兼任しすぎである。

崩壊寸前の内閣かっ。

りさに尻をたたかれ・・・なんとなく・・・中井との共同作業に着手するタレカッパである。

「平ちゃん先生・・・ピアノ弾けるんですか」

名前を呼ぶことにもときめく乙女だった。

「教員免許をとるときに・・・少しだけ」

乙女をどんなに幸せにしているかの自覚はないタレ目の朴念仁だった。

なにしろ・・・兄の不倫問題が弟を呪縛しているのだった。

ついに・・・妻がいることをどんまいに伝える一休・・・。

別れ話があったと誤解した平助は・・・どんまい先生をなぐさめようとするが・・・。

卍マフラーを贈られて戸惑うのだった。

そして・・・お約束の「カバヤキ三太郎のごめんね青春!」で懺悔するどんまい。

「私・・・不倫していたのですが・・・彼からようやく妻がいることを告げられました・・・知ってたんですけど」

「じゃ・・・ごめんねするのは・・・彼なのでは」

「いえ・・・私・・・もう・・・結婚を前提にお付き合いをしている方が・・・別にいるのです」

「ああ・・・それって・・・結構・・・痛々しいパターンだ・・・二股かけていい気になってると・・・二股かけられていてしかもふられるポジションという」

「だから・・・彼はいい練習相手だったんです・・・ごめんねごめんね」

一平は涙にくれ・・・優しい母の亡霊に慰められる。

ほろ苦い呪縛からの解放・・・。

初恋の相手の父親と自分の父親が仲良くなってなんだか苦々しい平助。

初恋の相手の本当の相手が三島コロッケを作ろうとしてポテトサラダを作ってしまうのもなんだか苛立たしいのだった。

そんなこんなで・・・新校歌作成は滞る。

そんなフィアンセ(妄想)の煮えきらない態度を詰る乙女だった。

「やるべきことをやってください」

事情を知らない平助はプレッシャーに耐えかねて・・・ついに爆発するのだった。

「なんで・・・そんなに・・・うるせえんだよ・・・俺だって俺なりにがんばってんだよ」

荒々しい口調の平助に胸きゅん♥の嵐となるりさ・・・。

「時間がないんです」

「え・・・」

「残された時間が来週までしかない生徒がいるんです」

「えええ」

「中井さん・・・来週、転校するんですよ」

「えええええええええええ」

「あ・・・言っちゃった」

鈍い平助もすべての事情を察するのだった。

中井が文化祭を頑張るのは好きな先生の夢のイベントだからなのだ。

しかし・・・中井がいくら頑張っても文化祭には本人は参加できないのである。

中井が平助に好意を持っていることをりさ先生は本当に知っているのだ。

りさ先生は中井にいい思い出を作らせるために新校歌作成を平助に託したのだ。

それなのに・・・平助はそんなことは思いもよらなかったのだった。

平助はたちまち・・・後悔という呪縛の中に陥る。

たちまち・・・出現する聖母マリア風亡き母のメタファー。

「なんで・・・ここに・・・」

「だって・・・ここは母さんの母校だもの・・・」

つまり・・・平助は・・・男子高出身者の父と・・・女子高出身者の母の・・・神も仏もない愛の結晶だったのである。

平助が夢見る男女共学・・・そういうシステムを越えて合体を果たしていた両親だった。

平助は「罪」を抱えていることにどっと疲れを感じるのだった。

秘密を守って・・・自分だけが苦しむことに・・・意味を見いだせなくなったのである。

せめて・・・中井さんに「別れを告げる機会」を与えようと・・・暴走を開始する平助だった。

「神は・・・正直であることを求めますが・・・仏はその点・・・ルーズであると言えます。唯一無二の存在である神に対して・・・神をも導く仏としてのスタンスの違いですね。仏にとって嘘も方便だし、三度までは許したり、知っているのに知らぬふりで知らぬが仏と嘯いたりもします。真実が必ずしも人を幸せにするわけではないからです。しかし・・・嘘をつくのは正直者にはつらいことです。時には真実の痛みに向き合う必要もありますね。たとえば・・・私も皆さんに隠していることがあります。言わない方がみんなのためだと思い・・・隠してきました。その秘密の重さは・・・どんどん・・・大きくなっていく。でも・・・皆さんは若いから・・・本当のことを言って傷ついても・・・回復も早いかもしれない。なにしろ・・・正直者の頭には神が宿るって言いますから・・・そこで・・・僕も・・・皆さんに・・・」

中井の転校を明らかにしようとするうちに・・・自身の秘密の暴露に奔りかける平助。

それを言っちゃあお終いだよ・・・とお茶の間は息を飲む。

秘密のある中井もまた・・・心を揺らがせる。

その時・・・。

「僕はゲイです・・・」と勇気を出して告白するスカートを穿いた男子・村井・・・。

「それ・・・みんな知ってるから・・・第一・・・女子の制服着てるじゃないの」

「え・・・みんな・・・僕がうっかりしているのを気遣って気がつかないフリをしているのかと思ってた」

「ないない」

「えええ」

「だって・・・似合ってるし」

「嬉しい・・・正直に話して・・・神様が微笑んでいるような気がします」

思わず・・・脱力する平助だった。

平助に残されたのは・・・知らないフリを続けて・・・中井の思い出作りに参加することだけなのである。

放課後・・・大好きな人と・・・最後の週末を過ごす中井は涅槃とパラダイスを同時に堪能するのだった。

ひかりは止まる のぞみは通過

水の都 新緑の匂い

友と語らう コロッケの味

ゆっくり走る 駿豆線

ある日 神様と仏様が 出会った

みつめあうことが

青春のはじまり

くいあらためてさとりをもとめ

いろいろあるのが聖駿高校

僕の私の 

青春そのもの

一足早い卒業に満足した中井だった。

一部愛好家の絶叫をよそに・・・禁断の愛に別れを告げる男性教師と女子生徒だった。

「さよなら・・・私の大好きな人」

「なんだ・・・聞こえないぞ・・・また、来週な」

かわいいよ、中井かわいいよの極みである。

転校する中井は・・・カラクリにだけ見送りを許す。

運転席で待つ父親は・・・娘の心情を思いやり・・・「娘に嫌われることの恐怖」に呪縛されるのだった。

「お父さんなんか・・・大嫌い」がリフレインしているのである。

走りだした車・・・合図するカラクリ。

歩道橋の上では仲間たちが中井にエールを送る・・・。

いろいろあったね聖駿高校

あなたは私の青春!そのもの

青春のあれやこれやで歪む中井のポーカーフェイスである。

こうして・・・禁断の恋のライバル(妄想)を送りだしたりさは・・・もう一人の恋のライバル(妄想)に宣戦布告するのだった。

「私・・・原先生の好きなところを見つけてしまいました」

「え」

恋こそは呪縛の中の呪縛。

そして・・・息子が男である呪縛に苛まれる理事長は長き沈黙を破るのだった・・・。

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2014年11月24日 (月)

故事に曰く、鳥は貝を啄ばみ貝は嘴を挟む・・・漁夫は労せずして両者を捕らえる利ありと黒田如水(岡田准一)

その時、人々が何を思ったのか。

それは時の彼方の薄明に包まれている。

それをああだこうだ・・・妄想して楽しむのが歴史というフィクションの醍醐味なのである。

出典がどうだとか伝承がどうだとか・・・証拠のようなものがあっても所詮は人の話(フィクション)なのである。

そしてもの言えば唇は寒いものなのだ。

その中で「これが真相だ」などというのはある意味・・・おバカさんということです。

黒田如水の狙いを一言で言えば「漁夫の利」狙いということになるだろう。

AとBを戦わせて弱ったところをCが叩く。これは「戦わずして勝つ戦略」の基本中の基本なのだから。

しかし・・・「関ヶ原の戦い」に含まれる戦略は無論、これに留まらない。

そもそも・・・上杉を成敗する徳川も反乱軍を挙兵する三成も兵法三十六計の第十四計にあたる「借屍還魂」を借りて大義を創作する。どちらも・・・戦するのは「亡き秀吉公(屍)の御恩(魂)に報いるため」と主張するわけである。

また「漁夫の利」を得るためには・・・対立する二つの勢力を生みださなければならない。このためには「離間の計」を用いるのが普通である。

さらに・・・「離間した二つの勢力」を対立させるために・・・「反間の計」も多用されることになる。

それぞれの間者が・・・それぞれを疑うように仕向けていくわけである。

「徳川方に走ろうとしても正室が豊臣(秀吉)の養女ではなにかと不便でござる」

「いっそ・・・徳川(家康)の養女を正室に迎えられてはいかが」

「御意」

もちろん・・・前妻の実家の蜂須賀家では心穏やかなことではないが・・・蜂須賀家が徳川の養女をもらうのが二月、黒田が徳川の養女をもらうのが六月なので・・・いろいろとアレなのである。

「しかし・・・黒田が豊臣を見限るとはのう・・・」

「いやいや・・・蜂須賀ほど素早くはござらぬ」

「もう・・・口きかないからね」

「それはこちらのセリフ」

徳川の太平の世は・・・冷戦の連続の証明である。

だが・・・秀吉の養女も家康の養女も妻にした男として黒田長政はもっと賞賛されてもいいと思う。

それは一部お茶の間の方々がいろいろとアレなのでございます。

「明日から好きな女と暮らす」と天晴れな宣言をしたNの父親なんて袋叩きの運命ですから。

で、『軍師官兵衛・第47回』(NHK総合20141123PM8~)脚本・前川洋一、演出・田中健二を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はほぼ半減の26行。いろいろと定説通りの展開でしたな。「風林火山」へのオマージュともとれないこともない・・・桶狭間を今川義元に唆す山本勘助と東西挟撃を石田三成に唆す黒田如水の対比・・・そして・・・あくまで黒田家はそんなに悪じゃない的前妻後妻交代劇・・・。まあ・・・知らなかった人にとっては結構、衝撃の展開かもしれませんけれど。そして・・・豊臣政権では結構、幅をきかせていたはずの安国寺恵瓊の突然カムバック登場ぐらいですよねえ。醜態をさらすために戻ってきたのか・・・。しかし・・・待ちかねていた毛利の黒幕描き下ろしでお得でございましたな。できれば・・・吉川家と恵瓊の確執はもう少し描いてあった方が分かりやすかったと思いますけどねえ。「前田」も「上杉」もやっちゃったからいいでしょう的で「真田」は今度やりますから的な不在感・・・。まあ・・・もうすぐ終わるので・・・これはこれでいい黒田官兵衛だったと言う他ないという・・・今日この頃でございます。・・・。

Kan047豊臣政権の主軸は京の伏見城と豊臣秀頼在住の大坂城の二点にある。豊臣家老臣としての対抗馬である前田利家が死去し、反目する奉行衆の石田三成を隠居させた徳川家康は慶応四年(1599年)九月、大坂城西の丸に居を移す。この事によって豊臣政権の宰相の地位を得たと言える。この時、秀吉正室の未亡人・高台院は京に移り、実家である浅野、木下家は徳川方に組した形となった。ここで家康暗殺の陰謀が露見し、首謀者として前田家を継いだ前田利長の名が挙がる。豊臣政権における五家の老臣の内、後継となった前田家がターゲットとなったわけである。利長は織田信長の娘・永を正室とする織田・豊臣の両政権に深く関わった武将であり、秀吉に追放された高山右近(南坊)を保護する無骨者である。だが、足利・織田・豊臣の世を巧みに生きた細川家の当主で明智光秀の娘を妻とする細川忠興とは昵懇の間柄だった。忠興の仲介で家康に利長は恭順の意をしめし・・・徳川・前田は手打ちとなる。残る老臣は西の毛利輝元、北の上杉景勝、そして前田利家の娘を正室とする宇喜多秀家である。毛利を支えた小早川隆景、吉川元春はすでになく、当主は毛利元就の孫の輝元の代となっている。秀吉死後、宇喜多ではお家騒動が発生し、家臣団の分裂が起こる。家康は・・・最後の対抗馬となる上杉征伐の実行に着手する。上杉家では野心家の直江兼続が再起を図る石田三成と密謀を巡らしていた。慶応五年(1600年)四月、家康の上洛命令を無視した上杉家を成敗することが取り沙汰される。五月、直江兼続は家康に宣戦布告。六月二日、会津の上杉景勝成敗が号令される。六月六日、黒田長政は徳川家康の養女・栄姫を継室として迎える。

下総国の保科正直の居城から江戸城に迎えられた家康の姪・ねねは・・・家康の養女となり名を栄と改めた。

保科正直の父は武田の家臣で槍弾正として知られた保科正俊である。

妻に家康の異父妹・多劫姫を迎え、ねねが生まれた。

もちろん・・・ねねはくのいちである。

合戦前の急な縁組が決まり、栄姫となったねねは・・・東海道を西に下るのであった。

天下分け目の決戦を前に・・・真田家では徳川にくみする嫡男・信之と・・・石田謀反に加担する真田昌幸、信繁父子が分裂している。

信之の正室が家康の股肱の臣・本多忠勝の娘であり、昌幸の正室が石田三成の正室と姉妹、信繁の正室が三成の盟友・大谷吉継の娘という血縁による自然な流れである。

信繁の双子の弟で影武者となり真田忍軍を率いる真田幸村は昌幸の命により・・・栄姫暗殺の任を負っている。

三島の宿に集まった幸村の下忍たちは栄姫上洛の道程探査を報告する。

「江戸を発った姫駕籠は囮と判明いたしました」

「海路を選んだ忍び衆を沼津で襲撃しましたが・・・栄姫はここにあらず・・・」

「では・・・中山道が本命か・・・」

「で・・・ございましょう」

「猿飛と霧隠ならば・・・よもや討ちもらすまい」

旅芸人の一座を装った栄姫一行はすでに草津にさしかかっていた。

昼下がりの山中には霧が立ち込めている。

「これは面妖な・・・」

座長を装った武田忍びの生き残りである勘蔵が配下のものに注意を促す。

一行は十人。うち半分は踊り子の装束をした女である。

「来るぞ」

一瞬で十人は山道から姿を消した。

霧の中で忍び同志の暗闘が開始される。

勘蔵は森の中に強敵を見出す。

「猿飛か・・・」

銃声が起こり、銃撃を受けた武田忍びの一人が骸を晒す。

森に逃げれば猿飛の術中にはまり、それを避ければ狙撃の対象となる。

栄姫一行は死地に追い込まれていた。

しかし・・・栄姫は躊躇なく森に飛び込んだ。

「姫・・・」

狙撃を担当していた短筒の名手・筧重蔵は獲物が飛び込んできたのを見て引き金を引いた。

しかし・・・銃声はしない。

重蔵の前には二つの金の目が浮いている。

それが栄姫の邪眼と意識する間もなく・・・重蔵は仲間の忍びたちを乱れ撃つ。

咄嗟に銃撃を避けたのは佐助だけで・・・真田の忍びたちはそれぞれに傷を負っていた。

重蔵の背後に忍び寄った佐助が当て身で重蔵を気絶させるまで・・・同志討ちは続いた。

「ぬかったわ・・・」

才蔵も肩を撃ち抜かれている。

佐助は気絶した重蔵を見下ろし息を吐く。

生き残ったのは三人だけだった。

「逃げ足も速いぞ・・・もはや・・・気配もない」

「まだまだ・・・恐ろしい使い手というのはいるものだ」

「あんなものを嫁にするとは・・・黒田の若殿もこわいもの知らずじゃのう・・・」

「幸村様に叱られるな」

「まあ・・・仕方ないわ」

「うむ・・・邪眼のくのいちの相手など・・・命があったただけ儲けものというもの」

二人の忍びは気絶した重蔵と忍びたちの死骸を残したまま・・・森の中に消えた。

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2014年11月23日 (日)

木綱とは家畜を樹木につないでおく拘束具にすぎない(丸山隆平)

人間はしがらみの中で生きている。

そのわずらわしさを考えれば鬱になるわけである。

しかし・・・親が子を慈しみ、子が親を慕う気持ちは麗しくもある。

我が子の寝顔を見て生きる喜びを感じるのも人。

我が子が鬱陶しくて川に蹴り落とすのも人である。

人が幸せになるためには絆を肯定した方がいいのかもしれない。

しかし・・・祖母の介護のために・・・十代から二十代まで十年間、寝起きを共にして真夜中に五回、下の世話をする孫娘の人生が本当に幸せと言えるのか・・・答えは風に吹かれるわけである。

そんな絆からはさっさと逃げだせばいいのに・・・悪魔は囁かずにはいられない。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第7回』(日本テレビ20141122PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・佐藤友治、演出・佐久間紀佳を見た。ギャラはタレントを拘束する絆である。コスト・パフォーマンスで言えば、拘束時間に対してギャラは相応する必要がある。番組での露出時間と番組制作に関して拘束される時間という問題もある。また・・・タレントの価値という問題もある。これらが複雑に絡み合うのが大人の事情である。スターがトークショーに出演した場合、収録時間は番組の倍程度、収録前後の拘束時間も含めて三倍程度が普通である。これに対し、ドラマは数倍~数十倍となる。しかし、ギャラの枠組みはそれに対応するとは限らない。もちろん・・・スターにも意志があり・・・向き不向きもある。コスパを無視してトークショーよりドラマというタレントもある。コスチューム・プレイはその凌ぎ合いの一つの手である。ずっと出演しているようで・・・本人は不在。まあ・・・がんばりましたね。

人通りの少ない夜更けの街角。

仕事に疲れたぬ~べ~こと鵺野鳴介(丸山隆平)は家路を急ぐ。

待ちうけるのは怪人・赤マント(声・明石家さんま)である。

夢魔(妖精)の一種であるために・・・妖気を感じられなかったのか・・・ぬ~べ~はまんまと魔力の虜になってしまうのである。

「青が好き・・・白が好き・・・それとも赤が好き」

呪いの問いに対して「赤」と答えたぬ~べ~はすでに・・・自身の精神世界を赤マントに支配されてしまうのだった。

帰宅して眠りの世界に落ちたぬ~べ~は赤マントの仕掛けた精神的な檻に閉じ込められてしまう。

ちなみに・・・赤マントの用意したタロットは色違いだが・・・すべて「審判」のカードである。

そして・・・どのカードを選んでも死をもたらす仕組みになっている。

本来、「審判」のカードは「神の祝福」を示す正義のカードだが・・・ここでは「死刑執行」のカードに他ならないのである。

このドラマにおける赤マントは・・・死刑執行された亡者のもののけだが・・・どうやら生前、魔術に長けていたらしい。

山伏系の霊能力者であるぬ~べ~は洋風の魔法に弱かったと思われる。

出勤時間になっても目覚めないぬ~べ~を押し掛け女房的雪女のゆきめ(知英)を案じるが見知らぬ魔術に対抗する術がないのだった。

無断欠勤したぬ~べ~を学校関係者は案じるが・・・しばらく静観することになる。

しかし・・・ぬ~べ~といろいろな意味で縁のあるまこと(知念侑李)だけはぬ~べ~の身を案じ・・・駆けつけるのだった。

夢の世界でぬ~べ~は「究極の選択」を迫られる。

ぬ~べ~の夢の世界を支配した赤マントは・・・ゆきめを死霊キャラ化して「一人しか乗れない船に乗り・・・ゆきめと律子先生の二人が溺れている時にどちらを助けるか」と問わせるのである。

「そんなの選べない」と夢の中のぬ~べ~が応じると・・・「答えない場合は不正解」で罰として死の鎌をふるう。

「赤を選んだ貴方は血まみれになって死ぬ運命って知っとるけ」

「なんだと・・・所詮、夢だろう」

「精神の死は即肉体の死というのはこういう場合のお約束やんけ」

「お約束なのか・・・」

教師の中ではただ一人・・・ぬ~べ~に恋をしてしまった高橋律子先生(桐谷美玲)も駆けつけるが一般人なので・・・為す術がない。

ぬ~べ~の胸に浮かんだ一筋の出血を見たまことは・・・妖怪マニアとして敵の正体を見たてる。

「これは・・・妖怪・赤マント・・・通称Aの仕業に違いない」

説明しよう。赤マントの怪人とは・・・幼い少女を誘拐して監禁し強姦した上で殺害するという鬼畜の怪異である。しかし・・・童守町の赤マントは・・・連続殺人犯・通称Aの死刑後の亡霊なのだった。

「夢の中で通称・Aは三回質問して・・・犠牲者が答えを間違える度に体を刻み・・・Aの文字を刻まれると・・・犠牲者は命を奪われるのです」

「なんで・・・そんなことを知ってんだ」

「そこは深くつっこまないのがお約束です」

「お約束なのか」

たまたま・・・訪問していた小豆洗いの父(上島竜兵)は即座に納得するのだった。

「どうすれば助かるの」

「僕にはどうしようもないけど・・・助けを呼んできます」

まことは助けを求めて童守寺に走る。

もちろん、和尚(マキタスポーツ)は役立たずだが、イタコ見習い・葉月いずな(山本美月)は最強の霊能力者の元へと向う。

ぬ~べ~と確執のある父親・無限界時空(高橋英樹)である。

「父親なんだから・・・助けてあげて・・・」

「そんな妖怪に取りつかれるような愚か者は・・・息子でもなんでもない」

「ひどい・・・見損なったわ」

もちろん・・・本心が違うのはお約束である。

「知っているか・・・童守高校の玉藻先生は・・・妖狐だということを・・・」

「えええ」

「妖力が必要ならば妖狐にでもすがってみるがいい・・・」

その頃、夢の世界では第二の質問の解答に失敗したぬ~べ~が第二の刻印を受けていた。

「くそ・・・こうなったら・・・もう封印してやる」

しかし・・・鬼の手は赤マントの呪力で猫の手に変換されてしまう。

「にゃんじゃこりゃあ」

「ひひひ・・・夢の世界では俺は無敵じゃ・・・」

「そんな・・・お約束・・・」

危機を察知した覇鬼(坂上忍)と美奈子先生(優香)は亜空間世界にぬ~べ~を緊急避難させる。

「絆なんて・・・所詮、戦略的互恵関係に過ぎない・・・お互いの都合のいい時だけの握手さ」

「そんなことはありません・・・傷つけあうより励まし合うのが人の生きる道です」

「他人は他人だよ・・・お前がいも喰って俺が屁をこくか」

「寅さんも健さんも・・・亡くなればみんなが悼むのです」

「だけど集団的自衛権は否定するんだろう」

「そりゃあ・・・敵の敵は味方ですから」

「敵があっての味方ってことじゃねえか」

「みんなが仲良くすればいいのです」

「幼子を殺す極悪人とも仲良くできるのか」

「そうなる前に手を差し伸べればいいのです」

「そんなに手があるもんか・・・千手観音でもあるまいし」

論争に夢中になった二人はぬ~べ~を保護することを一瞬、忘却するのだった。

たちまち・・・夢の世界に帰還するぬ~べ~だった。

恋する玉藻京介(速水もこみち)が妖狐と知ったいずなは「禁断の恋」設定に激しく萌えるのだった。

「ぬ~べ~を助けて」

「なぜ・・・私が・・・」

「だって・・・友達でしょう」

「まさか・・・私が人間に友情を感じるなんて・・・ありえない」

「見損なったわ・・・ぬ~べ~に負けたことを怨んでるのね」

「なんだと・・・」

ぬ~べ~のことなど忘れて遊んでいた他の生徒たちも・・・胸騒ぎを感じてやってくる。

夢の中のぬ~べ~は第三の質問を受けていた。

「次の犠牲者は・・・童守高校の生徒たちか・・・律子先生・・・あなたなら・・・どちらを選ぶ?」

「そんなの選べるか」

「じゃ・・・死んでもらうぜ」

だが・・・妖術で夢の世界に侵入した玉藻が立ちふさがる。

「玉藻先生・・・」

「こんな低級な悪霊に負けるなんて・・・許しませんよ」

しかし・・・夢の世界では・・赤マントは無敵なのである。

ぬ~べ~を庇って血を流す玉藻。

「玉ちゃん・・・」

「ああ・・・いつものあなたみたいなことになってしまった・・・」

友情パワーを炸裂させる二人だった。

しかし・・・何の役にも立たないのだった。

「所詮・・・人の絆など・・・無力」

死の鎌を振りかざす赤マント。

その頃・・・無限界時空は赤マントの悪霊が憑依する水晶を発見していた。

「こんなところに・・・根をはっていたか・・・」

無限界時空は霊力で赤マントの結界に綻びを生じさせる。

その間隙をついて・・・鬼の手を取り戻すぬ~べ~・・・。

「そんな・・・アホな・・・」

「アホちゃいまんねんパーでんねん・・・強制成仏!」

赤マントは地獄に堕ちた。

目覚めたぬ~べ~を絆で結ばれた関係者一同は歓喜で迎えるのだった。

「玉ちゃん・・・」

「・・・」

半妖怪と妖狐にも絆が生じていた。

「知っていますか・・・絆の別名はほだしというんです・・・」

「・・・」

「まさか・・・私がほだされるとは・・・」

「別に・・・僕は・・・玉ちゃんを木につないだりしませんよ」

「・・・」

その頃・・・お約束で・・・無限界時空の残された時間は短くなっていた。

まもなく・・・師走だからである。

さあ・・・谷間はないが裏番組の「リーガルハイ・スペシャル」を見なくては・・・。

年の暮れは殺気に満ちているからなあ・・・。

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2014年11月22日 (土)

これでいいのだMでいいのだ・・・ボンボンバカボンNなのだ(榮倉奈々)

なんだ・・・・。

あまりにもうっとりする主題歌を忘れる呪文なのだ。

こんなにヒリヒリしないで二人にはノンアルコールの炭酸飲料でも飲んでほっぺになるとを貼り付けていてもらいたいよねえ。

榮倉奈々といえば・・・「ダンドリ。Dance☆Drill」(2006年)からレビューしているんだよなあ。美少女というには少し抵抗のある素朴な顔立ちと抜群のプロポーション・・・この落差から生じる超絶的なエロス。分かる人には分かるよねえ。

プロポーズ大作戦」では美少女でグラマーという王道中の王道の長澤まさみの親友役・・・。それで終わらないのがある意味、邪道のエロスの持ち主だからだよねえ。

この後は朝ドラマ「瞳」のヒロインである。

まあ・・・NHKにはこのエロスは使いこなせないよね。

で、「メイちゃんの執事」である。もう、これ以上ない変態ドラマに抜擢されたのだが・・・メンバー全員が濃いのに埋没しなかったのは流石だ。

そして「泣かないと決めた日」でとんでもドラマの主役をこなす演技力を開花させる。

なんと「最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜」では山P相手のヒロインもこなす。

黒の女教師」は少し中途半端だったが・・・スペシャルドラマ「はじまりの歌」や映画「のぼうの城」などで・・・ついに「普通にかわいい役」にまで到達しているのである。

分かる人にしか分からないエロスを秘めて・・・演技派となり・・・ここへ。

ある意味、ここが一つの頂上だと思えるよ。

ここからさらに飛翔して行くのかどうか・・・すごく楽しみだよ。

赤でスタート、黄でダッシュ、だから事故なのだ。

天才バカボンの似合う女子はそう滅多にいるもんじゃないから。

で、『Nのために・第6回』(TBSテレビ20141121PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・塚原あゆ子を見た。島で一番の権力者である杉下晋(光石研)は愛人の宮本由妃(柴本幸)を自宅に住まわせ、正妻の早苗(山本未來)と子供たちを追い出す。高校生だった杉下希美(榮倉奈々)は島で一番恵まれたお嬢様という「自分」を失い・・・一匹の野獣と化す・・・美しいが少し知能の不足している母親は現実逃避をしながら野獣にまとわりつき・・・少しずつ人間性を剥奪していく。最後の希望だった幼馴染の成瀬慎司(窪田正孝)が放火犯であるかもしれないと疑った希美は・・・すべてを捨て去る覚悟で地獄の首都・東京に旅立ったのだ。放火犯のアリバイ工作に協力したという罪を背負って・・・。大都会・東京は故郷での些細な出来事など塗り替えていくパワーを秘めていた。しかし・・・一度、目覚めてしまった野生は・・・希美という獣をゆっくりと追いつめていくのだった。

【2004年】クリスマスで賑わう東京。高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階に棲む野口貴弘(徳井義実)を訪ねた安藤望(賀来賢人)。約束の時間より早く到着した安藤は貴弘の指示に従い、ラウンジで待機する。しかし、約束の時間になっても現れない野口を不審に思い部屋に向かう。室内から杉下希美が入室しないようにと指示するが・・・鍵のかかっていない室内に安藤は入って行く。

そこには・・・野口と野口の妻・奈央子(小西真奈美)の骸が横たわり、西崎真人(小出恵介)と希美・・・そして成瀬慎司が茫然と立ちすくむ。

【2014年】高野(三浦友和)は突然、辞職した希美の自宅を訪問する。

「君の知っていることを話してほしい」

「・・・」

「あの火事の時も・・・君たちは何かをかくしていた」

「・・・」

「あの時・・・もっと強く君たちを責めなかったことを・・・俺はずっと後悔しているんだ」

「・・・」

【2003年】亡き妻の思い出の残る「野バラ荘」を愛する大家・野原兼文(織本順吉)のために都市開発の地上げを阻止しようとする西崎は・・・下宿人仲間の希美や安藤とともに「N作戦」を開始する。その結果・・・大地主である野口貴弘の父親が土地を売却する意志がないことが確認される。

野口の会社への入社が内定した安藤と・・・野口夫人の話し相手となった希美は・・・二人とプライベートな交際を開始する。

しかし・・・暗い翳を宿した野口夫人は・・・希美を訪ね・・・西崎と出会う。

留守の希美を西崎の部屋で待つ間に西崎の小説「灼熱バード」を読んだ野口夫人は・・・一瞬で西崎が虐待された子供であることを理解するのだった。

鳥(西崎)は部屋の片隅で暮らしている。飼い主(西崎の母親)は日々の鬱屈を・・・鳥を虐待することで晴らす。鳥に火のついた煙草を押し付け、煮えたぎったスープをそそぐ。悲鳴をあげる鳥を慈しむ飼い主は泣きながら餌を与えるのだった。鳥はひと思いに殺してほしいと願う一方で・・・飼い主の愛を受け入れるのだった。

野口夫人もまた籠の鳥だった。

夫となにかを密約している希美を疑いつつ・・・気晴らしの相手として希美を誘う。

希美が・・・父親の愛人や・・・実の母親をイメージさせるドレッサーに反応したのを・・・勘違いしたのか・・・突然、プレゼントするような非常識な側面をみせる野口夫人。

配達された部屋に不似合いなドレッサーをもてあます希美だった。

一方、詐欺グループの一員として逮捕された慎司は・・・初犯であったことから起訴はされず、高野(三浦友和)を身元引受人に指名して釈放される。

「すみません・・・誰にも頼めなくて」

「いいのさ・・・」

高野は放火事件へのわだかまりを捨て・・・慎司の将来を案じる。

慎司は・・・大学を辞め・・・父親の背中を追いかけて料理人への道へと歩み出す。

しかし・・・高野が島へ戻ればそこにはもの言わぬ妻・夏恵(原日出子)が待っている。

たちまち・・・不信が高野の胸を焦がすのだった。

【2004年・冬】新年が訪れ・・・希美に母親から結婚の報告が届く。相手は高野が紹介してくれた民生委員であった。高野も若者たちのために精一杯のフォローをしているのだった。希美は母親から解放され・・・心が少し軽くなった。

安藤は希美を初詣に誘う。

この年、小泉首相も元旦に靖国神社へ参拝していた。

自衛隊のイラク派遣が開始された年である。

初詣の混雑に押し流された希美は安藤に手を伸ばす。

その手をとる安藤。

希美の中で・・・慎司は過去の中に消え・・・安藤の温もりが存在感を増していく。

野バラ荘の大家・野原老人は言う。

「苦労したことなんか・・・忘れちゃった方がいい」

父親の暴走によって始った希美の長い冬が終ろうとしているようだった。

西崎は・・・安藤と希美という若者たちに・・・新しい美しさを見出していた。

安藤は・・・清掃会社のバイトの最終日に・・・希美の憧れだったゴンドラによる窓清掃をプレゼントする。

「でも・・・私・・・体重不足で」

「ウエイトを装着すれば大丈夫」

「なんで・・・こんなことしてくれるの」

「お世話になった御礼さ・・・」

「私・・・何もしてない」

「スキューバダイビングに誘ってくれたし・・・将棋も教えてくれたじゃないか」

「・・・」

高層ビルの外側から眺める・・・東京の景色。

「すごいね・・・島から見える景色と全然違う」

「世界の果てとつながっていることがわかったかい」

「うん・・・でも・・・少しこわい」

「こわくなんかないさ・・・世界の果てに何が待っているか・・・楽しみじゃないか」

「安藤・・・かっこいい」

「君だって・・・もうすぐ・・・世界に向かって旅立つのさ」

「私に・・・できるのかな」

「できるに決まってる」

「ありがとう・・・安藤」

そして・・・安藤は一足早く・・・野バラ荘を旅立つ。

「落ちついたら彼女を迎えにくるつもりです」

「そうか・・・」

「何を話しているの・・・」

「落ちついたら君を・・・」

「わーわー・・・何言ってるんですか」

「え・・・何なのよ」

年末に起こる出来事を知っていると胸をしめつける青春の一幕なのだった。

【2004年・春】野口の勤務する会社に就職した安藤は希望通り、野口と同じプロジェクト課に配属され・・・相変わらず将棋の相手を務めていた。実は・・・希美は密かに野口に将棋を指南していたのだった。負けず嫌いの野口は安藤の将棋の師匠である希美に・・・必勝法を伝授されていたのだった。

はたして・・・ふたりの関係がそれだけのものなのかどうかは・・・希美の表情から窺い知ることはできない。

営団地下鉄は東京メトロになった。政治家たちはみんな年金を未納していた。

イラクでは日本人人質事件が発生する。

女子高生コンクリート殺人事件の犯人が監禁致傷事件を起こす。

小泉首相は二度目の北朝鮮訪問で・・・拉致被害者の家族の一部帰国を果たす。

希美は就職活動に励み・・・留守がちだった。

希美を訪ねた野口夫人は西崎と急速に接近する。

「あなたは・・・虐待され・・・それを愛と感じた」

「あんなものは・・・愛じゃない・・・ただの暴力だ」

「私も・・・あなたと同じ・・・」

野口夫人は肌をさらし・・・生々しい傷痕を西崎に見せる。

その姿に魅了される西崎。

野口夫人は西崎の傷に舌を這わせる。

「あなたを・・・傷つけたのは・・・だれなの」

「母親・・・」

「・・・」

二人は激しくお互いの傷を舐めあうのだった。

就職氷河期の中・・・苦闘する希美。

面接官の中に・・・後のパートナーとなる桐野繭子(伊藤裕子)の姿があった。

「四年間・・・ずっと清掃会社でアルバイトしていたのね・・・一番、清掃しやすかった建物はどこでしたか」

「はい・・・」

そんな折・・・野口の薦める石油採掘プロジェクトに問題が発生する。

採掘量が予想を下回り、プロジェクトが破綻したのであった。

「大丈夫なの」と安藤を案ずる希美。

「僕はペーペーだから・・・野口さんも奥さんが重役の娘だし・・・大丈夫だと思うけど・・・」

しかし・・・混乱した社内には送信者不明の不審なメールが送られてくる。

「野口夫人は白昼堂々不倫をしている・・・」

野口夫人と西崎はスカイローズガーデンを望むホテルの一室で愛を交わしていた。

野口家を訪れた希美と安藤は外側に装備されたチェーン・ロックに驚く。

野口夫人は体調を崩し・・・将棋を指す音にも慄く精神的な失調を示す。

「気にしないで・・・また訪問してくれ・・・二人には妻の話し相手になってほしいんだ」

「・・・」

クリスマスの事件の輪郭がうっすらと見え始めるのだった。

あの夜・・・誰が・・・外からチェーンをロックしたのか・・・それは・・・。

【2014年】十年間胸に秘めた思いを安藤は希美に伝える。

「あの夜・・・君に渡そうと思っていた」

それは指輪だった。

「これからは・・・僕とずっと一緒にいて欲しい・・・」

「・・・」

時は無情に流れていく。

希美は高野を呼び出した。

「君に招かれるとは思わなかったよ・・・」

「信じられないかもしれませんが・・・私は胃癌の手術をしました」

「え」

「会社を辞めたのは身辺整理をするためです」

「えええ」

「再発して余命一年と宣告されたのです」

「えええええええええええ」

時間は無常に過ぎていく。

素晴らしい深みへ誘われるこの回廊の美しさは筆舌に尽くしがたい。

幸せになりそこなう登場人物の奥行きを感じられない人には退屈なんだろうなあ。

可哀想になあ・・・。

ジングルベルが暗転の中に鳴り響く・・・。

ああ・・・2014年ももうすぐ終わりだなあ・・・。

ジングルベルジングルベルバカボンボン。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のNのために

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2014年11月21日 (金)

死んだ負け犬をラララと天使の蝶が讃える迷宮で彼の髪にドライヤーをかけました。(綾瀬はるか)

この世は灰色の迷宮である。

もちろん・・・白黒はっきりついている人たちは迷うことはない。

バカだからである。

「原発再稼働は絶対無理」と言う人も、「原発再稼働は絶対必要」と言う人も・・・基本的にはバカなのである。

しかし・・・どっちが正しいかわからない・・・という人はバカよりも性質が悪い。

平和な時空を生きて来たものたちは・・・危険な罠に弱い。

悪質な詐欺の犠牲者たちは・・・みんなバカ正直さんだ。

昼間、住居に鍵もかけずに見知らぬ人の訪問にも応答する。

発信者を確認しないで通話を開始する。

そういう人たちは運が悪ければ殺されるし、大金を失ったりもする。

だが・・・そういう人たちのあふれた社会はなんというやすらぎに満ちていたことか。

まさに・・・悪魔の天国とは灰色の迷宮にこそ存在する。

つまり・・・それは地獄なのである。

で、『きょうは会社休みます。・第6回』(日本テレビ20141119PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・狩山俊輔を見た。他人を傷つけてしまう強い立場に不慣れな帝江物産横浜支社食品部デザート原料課勤務・青石花笑(綾瀬はるか)は歯科衛生士の鳴前ひろ乃(古畑星夏)に九歳年下の大学生でバイトくんの悠斗(福士蒼汰)と交際中であることを伝えることを躊躇したために・・・結果として悠斗の気持ちよりもひろ乃の気持ちを優先したことになる。大人ぶってはいるが三年前には高校生だった悠斗は自分が最優先でなかったことに傷つき・・・「しばらく距離を置きましょう」と花笑に伝えるのだった。花笑は一般的には当然だが個人的には思いもよらない展開に驚愕するのだった。そんな冷戦状態の途中で無防備な花笑は鹿の皮をかぶった狼の元CEO朝尾(玉木宏)とうっかりドライブしてしまう。そこへ悪女となったひろ乃から宣戦布告メールが届き、狼狽する花笑。だが・・・元CEOは黄昏の海岸で車のキーを紛失してしまったと宣言するのだった。

「そんな・・・困ります」

「困らせてすまない」

「私・・・今日はどうしても帰らないと」

「最寄り駅までタクシーを飛ばしても最終電車に間に合わない」

「どうしてくれるんですか」

「とりあえず・・・まあ、お茶でも」

最寄りの店に落ちつく二人だった。

一方、学生たちの飲み会で同席した悠斗とひろ乃。

「この後・・・二人で飲んで・・・私の処女を奪ってください」

「ストレートだね」

「私、正々堂々と戦って・・・私を選んでもらいます」

「花笑さんは・・・こういうことはしない人だ」

「・・・」

「君みたいなタイプを好きな人や・・・タイプでなくてもとりあえず処女を奪う人もいるかもしれないが・・・俺はどちらかといえば花笑さんが好きなタイプで・・・花笑さんはタイプじゃない人の処女をとりあえず奪う人はタイプじゃないと思う」

「そんなあなたを・・・私は好きになりました」

「ありがとう・・・そしてごめんね」

「わ・・・忘れらんねえよ」

お茶の間の一部愛好家を理想男子がうっとりさせている頃、花笑はフレンドリーな元CEOから恋のアドバイスを受けていた。

「彼とうまくいってないの?」

「お構いなく!」

「男って子供だからさ・・・一度口にだすとひっこみがつかないことがある。まして・・・君たちの場合・・・大人と子供が付き合ってるんだからさ・・・ちょっと折れてあげてもいいんじゃない」

「そんな・・・経験豊富な女子みたいなこと無理ですよ」

「正直の上にバカがつくのは・・・結局、正直なのかバカなのか・・・どっちだと思う」

「両方に決まってるでしょう」

「正解」

「どうして・・・私にそんなことを言うんですか」

「友達だから」

「こんなに犬猿の仲なのに?」

「私は君を猿だと思ったことはない」

「私は猿じゃありません」

「バナナが好きそうなのに」

「ムキーッ」

「さて・・・そろそろ・・・合鍵が届く頃だ・・・」

「え」

「どうしても・・・帰らないといけないんだろう・・・それとも私と忘れられない一夜を過ごすかい」

「あなたのバナナなんか死んでも食べません」

深夜に帰宅した花笑をチェックする三十路の独身女である娘をのほほんと案ずる母親の光代(高畑淳子)・・・。

相手が学生なのは心配だ。

しかし娘が未婚のままなのも心配だ。

ママの灰色の選択肢は少ないのだった。

「今日は・・・お泊まりじゃなかったの」

「ちょっと・・・」

「喧嘩でもしたの」

「うん・・・もうダメかもしれない」

「あらあら・・・まだ始ったばかりじないの」

「でも」

「パパとママも・・・付き合いだした頃はいつもケンカしていたわよ」

「パパとママが・・・」

「ケンカするほど仲がいいって言うでしょう」

「それは友達の場合でしょう」

「恋愛だって同じよ・・・そうやって段々とお互いのことが分かっていって・・・この人と一生やっていきたいって思ったら・・・結婚すればいいのよ」

「でも・・・このまま・・・仲直りできなかったら・・・」

「それがいやだったら・・・仲直りすることね」

「・・・どうやって」

「それは・・・自分で考えなさい・・・あなたはもう大人なんだから」

まだまだ子供でいたい花笑だったが成人式は十年前に済んでいるのである。

その年になってはじめて「女」としてのキャリアを積み始めたのに・・・まだ数回の実体験しかしていない花笑である。

できれば・・・さらにキャリアを積みたいのだが・・・どうしたら・・・それが可能なのか・・・申し込み方法が分からない花笑なのである。

さらに・・・花笑にとっては勝ち目のないライバル・ひろ乃がとっくに悠斗を奪い去っているのではないかと気が気ではないのだった。

そんな花笑を職場で無視する悠斗。

花笑は・・・「はじめてのデートで悠斗と獲得したクレーンゲームのアイテム・かものぬいぐるみ」を魔法の鍵ではないかと妄想するのだった。

「かものぬいぐるみ」があれば・・・「目くるめく世界への扉」がもう一度開く。

ゲーム・センターで徹夜した花笑が獲得したのは「さるのぬいぐるみ」だった・・・。

「これが・・・今の私自身・・・」

もはや・・・悠斗が別れ話を切り出すのは時間の問題と悟った花笑は・・・悠斗と二人きりになるのを避けるようになるのだった。

そんな花笑の態度に戸惑う悠斗である。

一方・・・可愛い顔をしているが・・・内面がお子様すぎる加々見(千葉雄大)は・・・自分がもてないのは顔がいけていないからだと思い悩むのだった。

先輩・大城(田口淳之介)は加々見の面倒を見るために・・・悠斗を巻き込むのだった。

「いけてるやつに童貞の気持ちはわかりませんよ」

「そんなことはありません・・・僕だって童貞時代はあったのです」

「ほら・・・バカにしてる~」

「今度は・・・思いきって壁ドンにチャレンジしろよ」

「あんなの・・・妄想の産物ですよ」

「まあ・・・本当にやってるやつがいたら・・・こわいよな」

「・・・」

それでも・・・意中の人、恋のアタッカー大川瞳(仲里依紗)に壁ドンをしてみる加々見。

「今度、僕とデートしてください」

「断る」

瞬殺である。

帝国スター全盛の世界は二枚目ではない帝国スターが二枚目を演じるために本来の二枚目が三枚目を演じるしかないという恐ろしい世界である。

一方、箱入り娘で地味に育った花笑は「世界名作劇場」的な世界に支配されているために・・・絶望的状況では愛犬・マモル(ジェントル)と「フランダースの犬」ごっこをするしかないのである。

「マモルッシュ・・・僕は疲れたよ」

「・・・」

「絵の中の天使が迎えにきたよ・・・」

「・・・」

「誰もが幸せになれるわけじゃないって真理をアニメにするなんて日本人って凄いよね・・・だから・・・ボクはもう・・・眠るしかないのさ」

しかし・・・冷暖房完備の両親の家で簡単には死なない花笑だった。

仕方なく・・・花笑としては一生分の勇気を使ってポストイットを使って「面会」を申し込むのである。

だが・・・ラブコメのお約束の取り違えで・・・約束の場所にやってはきたのは加々見だった。

「ボクに何の話ですか」

「・・・」

「ボクと花笑さんって似てますよね」

「え」

「だって・・・動物と馴染めないから・・・もう植物を育てるしかないんですよね」

「・・・」

「植物は・・・黙って枯れていきますし」

「枯らさないで・・・」

「時々・・・水をやらないで・・・放置して・・・意地悪したくなる時があります・・・実際にはできないけど」

「何もしないで・・・あきらめても・・・前に進めないよ」

「結果が分かっていても・・・ですか」

「だってラビリンスの中でじっとしていも・・・何も始らないでしょう・・・とりあえず目の前の扉が開くかどうか・・・試さないと」

「それで・・・罠だったらどうするんですか」

「扉の向こうに何が待っていたとしても・・・それは一つのステップアップでしょう」

「・・・」

もちろん・・・ステップアップが必要なのは花笑である。

花笑はありえない最後の勇気をふりしぼり・・・魔法のアイテム「悠斗の部屋の合鍵」を取り出すのだった。

「マモルッシュ・・・ボクを守って・・・」

帰宅した悠斗は・・・妖怪「暗闇キッチン正座女」にドッキリするのだった。

「花笑さん・・・」

「勝手に上がり込んでごめんなさい・・・でも・・・どうしてもお話させていただきたく・・・」

「はい」

「この間は・・・私の勝手な思いを押しつけて申し訳ありませんでした」

「僕の方こそ・・・つまらないことで怒ってごめんなさい」

「え」

「あやまろうと・・・思って・・・テラスで待ってたんですけど」

「別れ話じやなくて」

「僕は花笑さんと別れるなんて・・・考えたこともありません」

「えええ」

「花笑さんと・・・一緒に暮らそうと考えています」

「えええええええええ」

「考えてもらえませんか」

「ど・・・ど・・・ど・・・」

「同棲です」

「考えさせてもらいます」

「じゃ・・・今夜は泊っていきますか」

「はい・・・」

先にお風呂に入った花笑はまもなく脱ぐことになるパジャマの感触を楽しむ。

風呂上がりの悠斗は甘えてドライヤーで髪の毛を乾燥させてと要求するのだった。

そんなことでむふっ♥を感じる人たちはトリマーに向いています。

そして・・・加々見は瞳にもう一度チャレンジする。

「僕とデートしてください」

「・・・断る」

「・・・」に可能性を感じる加々見である。

しかし・・・その日・・・元CEOがなんとなく颯爽と社を来訪するのだった。

まあ・・・花笑には無関係だが・・・悠斗は本能的に警戒するのだった。

なにしろ・・・相手は先輩の先輩なのである。そして・・・今回は誰よりも後輩なのである。

ま・・・若いって素晴らしいからな。

「同棲時代」が似合うお年頃なんだし・・・。

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2014年11月20日 (木)

死にたいと言う人に死ねと言う優しさもありますか?(竹野内豊)

世界の中に国があり、国の中に人がいる。

国のことを思う前に世界のことを思う前に人は人を思うのが普通である。

テレビの前で話す人が自由に話し、スタッフがインタビュー内容を自由に編集し、首相が報道内容を自由に批判する。

そういう自由を世界の人々が謳歌しているかどうか・・・この国の人はたまには思いをはせるといいだろう。

景気が悪いくらいなんだ・・・我慢しろと言いたい人もいるだろう。

しかし、選挙特番でお気に入りの番組が飛んだりするのは我慢できないのだ。

選挙結果なんて・・・翌朝のニュースで充分なんじゃないのかっ・・・おいっ。

・・・皆さんも素敵な選択ができるといいですね。

で、『素敵な選TAXI・第6回』(フジテレビ20141118PM10~)脚本・バカリズム、オークラ、演出・筧昌也を見た。ついに脚本協力が共同脚本形式に・・・まあ、一種のオムニバスだし、辻褄合わせのチェックが重要な展開だからな。それこそ・・・こういうドラマこそ、集団体制でやってもいい感じである。金さえあればやりなおしの機会が得られる選TAXIというアイディアで話はいろいろと作れるわけである。このジャンルにはそれなりに歴史があるからねえ。それに加えて・・・選TAXIの運転手である枝分(竹野内豊)の真面目で子供っぽいキャラクターがどんどん魅力的になっていくので・・・楽しいよね。ワンクールが滞りなく終われば・・・セカンド・シーズンも充分にあるパターンだよね。

枝分(えだわかれ)が常連客となっている「cafe choice」・・・。

枝分はウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)にお気に入りの漫画をお薦めしているのである。

「これ・・・面白いから・・・読んでください」

「読んだけど・・・どこが面白いの」

「え」

人間の心が一つではないのは明らかなのである。

一方、ウエイトレスの関カンナ(清野菜名)は常連客の一人、標道雄(升毅)が落ち込んでいる風なのが気になる。

「声をかけた方がいいですかね」

「いや」

「どうしてですか」

「面倒くさいから」

神のように冷淡なマスターの迫田(バカリズム)だった。

枝分が夢中になっている漫画は「おひとよしトレジャー」・・・「週刊少年ストロング」に連載中の人気漫画だった。

しかし・・・作者が(心の)病気になって三週連続休載中なのだった。

作者の虫海暗(三宅弘城)担当の・・・編集者・柴山美空(栗山千明)は四週連続の休載を絶対に避けることを編集長(八十田勇一)から厳命されている。

印刷所は・・・「先生の原稿待ち」で徹夜で待機中なのである。

ところが・・・最後の一コマを残し・・・仕事を放棄しようとする先生なのである。

「先生・・・犯罪刑事とか・・・見ている場合じゃないですよ」

「だってさあ・・・この魔女がさあ・・・強すぎて・・・勝てる気がしないんだよ・・・もう、一年も戦ってるんだぜ」

「主人公が圧倒的な力の魔女に戦っても戦っても勝てない・・・でもあきらめないのが・・・大人気なのでそれでいいんです」

「俺だって・・・たまには主人公に勝たせたいんだよう」

「とにかく・・・もう、残り一コマ、ペン入れするだけなんだから・・・今週はやっちゃいましょうよ」

「やだやだ・・・そしたらすぐ・・・来週のネーム入れないといけなくなるし」

「・・・」

困り果てる柴山だった。

テレビでは戦争で孤児となり運命で来日し外国人タレントとなったサヘル・ローズが演じる滝川クリステルもどきのニュースキャスター・澤口ヘルローズがニュースを伝えている。

地獄の薔薇か・・・。

「じゃあさ・・・おっぱい見せてくれ」

「お断りします」

しかし・・・編集長は・・・「おっぱいくらい見せてやれ」と電話で告げる。

なにしろ・・・人気漫画「おひとよしトレジャー」は雑誌の売り上げに貢献しているのだ。休載によって売上は確実に落ちているのだった。

「雑誌がつぶれたら・・・見せるだけじゃすまなくなるかもしれないんだから」

思わず・・・覚悟を決めかけた柴山。

その時、虫海が・・・「やる気が出た・・・なんかジュース買ってきて」と言い出す。

柴山は喜んで買い出しに出るのだった・・・柴山は・・・お人好しだったのである。

柴山が買い物から帰ると・・・虫海はドロンしていたのだった。

事態を報告するために・・・虫海の豪邸から出版社に戻る虫海は枝分と出会うのだった。

「お客さん・・・なんか・・・ありましたか」

「・・・」

そこへ編集長から電話が入る。

「逃げられました」

「馬鹿野郎・・・お前はクビだ」

失意の柴山を慰める枝分。

「話すと気が楽になるっていうけど・・・どうなんでしょう」

「聞いてくれますか」

事情を聞いた枝分。

「え・・・四週連続休載なんですか・・・そんな」

「そこですかっ」

「じゃ・・・戻りますか」

気分を出して時空修正対閃光風ゴーグルを装着してニュースが始る時間に戻る柴山。

「おひとよしトレジャーにもあるでしょう・・・優しくない優しさだってある・・・ですよ」

枝分は引用したいタイプだった。

第一のハンティング。

漫画家にジュースを買ってあげない柴山である。

「今さ・・・交際している女の子から呼びだされたんだよ」

「それが・・・なんですか」

「今夜こそ・・・やれそうなのに・・・ふられちゃったらどうするんだ」

「あと一コマ描けばいいだけの話でしょ」

その時、柴山に女友達の佐山佑香(臼田あさ美)から電話が入る。

「どうしよう・・・彼氏が浮気してるみたいなの」

「え」

「あたし・・・もう死にたい」

「とにかく・・・今、仕事中なので・・・またあとでね」

にらみ合う柴山と虫海。

しばらくすると・・・再び電話が鳴り・・・警察から佐山が自殺未遂をしたと連絡が入る。

「どうしたの・・・」

「私・・・病院に行かないと・・・」

その頃・・・「cafe choice」に帰還した枝分は・・・標道雄の事情を知る。

交際していた女性に金を貸したまま、ドロンされたというのだ。

「こんな・・・31歳風の女子・・・58歳風の標さんには無理に決まってるじゃないですか」

「だって・・・みんな凄く年下の女性と付き合ってるじゃないか」

「あの人たちはスターですから・・・それに二十歳差は越えてませんから・・・標さんはほとんどダブルスコアじゃないですか」

「そんなあ・・・」

そこへ・・・柴山から枝分に連絡がある。

個人タクシーのお得意様営業的なこともしている枝分だった。

第二のハンティング。

とりあえず・・・佑香のいるバーに直行する柴山。

「え・・・どうして」

「何があったの・・・」

「彼氏の形態見たら・・・知らない女の写メがあって」

「彼には聞いてみた」

「そんなの言えないよ・・・彼氏の形態見た上に・・・写メを勝手に転送したなんて」

「でも聞くしかないでしょ」

「今・・・彼氏・・・仕事中だし」

「私もなんですけど」

「ああ・・・もう死にたい」

「ふざけんなっ・・・あなたが死んだら・・・どけだけの人が傷つくと思ってるの・・・死んでもいいけど・・・死んだら私は絶対に許さないからね」

「ごめん・・・」

「きついこと言ってごめん」

「ううん・・・私が甘えすぎだったよ」

佑香を落ちつかせることに成功した柴山だったが虫海はドロンしてしまったのだった。

「くそっ・・・漫画家め」

枝分の元へ戻る柴山。

「どうでしたか」

「逃げられました・・・」

「え・・・じゃあ・・・四週連続休載ですかあ」

「そこかいっ」

「もう一度やりなおしましょう」

「え・・・でも・・・お金ないし・・・」

「今回は連載再開がかかってるんです・・・おまけします」

「はあ・・・でも・・・友情と仕事の両立は難しいみたい・・・」

「大丈夫・・・奥の手があります」

「奥の手」

「お友達の方はキープすればいいんですよ」

「キープって・・・」

つまり・・・佑香を同乗させてやりなおす作戦である。

そうすれば・・・佑香は柴山と記憶を共有できるのである。

「どういうことなの」と佑香。

「後で説明する」と柴山。

第三のハンティング・・・。

「この人たち・・・誰・・・」

「先生・・・私・・・大ファンです」

「おいおい・・・ファンを仕事場に入れるなんて・・・編集者失格だろう」

「締め切り守らないなんて漫画家失格でしょうが」

「え」

「先生の作品をどれだけの人が待っていると思ってるんです」

「彼女だって俺を待っているんだよ」

しかし・・・虫海の彼女の画像を見た佑香は叫ぶ・・・。

「ああ・・・この女・・・彼氏の浮気相手だ」

「えええええええええ」

驚いた虫海は・・・「女」を電話で問いつめる・・・。

しかし・・・女は電話を切ってドロンするのだった。

枝分は・・・「写メの女」が・・・標の「女」とも同一人物だと気がつく・・・。

実は・・・その女は枝分も見たことがある女なのだが・・・枝分は気がつかなかったらしい。

駆けつけた標は情報を交換する。

「私は五十万円貢ぎました・・・あなたは」

「私は百万円です」

「まさか・・・私の彼氏も・・・」

愕然とする一同。

「許せない」と佑香は叫ぶが・・・。

「もうきっと・・・ドロンされてる」と標。

「いいえ・・・大丈夫・・・一人じゃないからきっとできる」

編集者として・・・「おひとよしトレジャー」を引用する柴山だった。

第四のハンティング。

関係者一同・・・相乗りである。

「ええと・・・料金の請求はどなたに・・・」と枝分。

「・・・ワリカンで」と柴山。

待ち合わせの店にいたのは・・・第五話に登場した自称・看護師の永島知美(浅見れいな)だった。

誰かと電話する知美・・・。

「ああ・・・区役所は切った・・・だってちっとも金を落さないんだもの・・・今は・・・漫画家から搾りとるだけ搾りとってるから」

「はいはい・・・果汁たっぷりの男が来ましたよ」と虫海。

「え・・・」

「友達も連れてきました」

「・・・」

「さあ・・・一緒に警察に行きましょう・・・女詐欺師さん」

第五のハンティング・・・。

ついに・・・最後の一コマを描く漫画家だった。

安堵する柴山。

そして・・・枝分はサインを貰った。

「cafe choice」のウエイトレス宇佐見夏希は連載再開された「おひとよしハンター」のファンになっていた。

人間の心は時にはひとつになることがある。

「面白いですねえ・・・特に絶望的に魔女が強いところがいいですね」

「でしょ、でしょ」

そこへ・・・柴山から連絡が入る。

「先生が・・・一年前に戻って魔女の弱点を描きたいと言ってるんですけど」

「そんなあ・・・だめですよ・・・だってそんなことしたら・・・漫画がおかしなことになりますよ・・・神様には神様の苦しみがあるものなんですから・・・我慢しなさいって言ってください」

作者の幸不幸に関わらずどうしても続きが読みたい・・・それが読者というものなのである。

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Sentx006ごっこガーデン。どこか懐かしい終着駅セット。まこ「漫画の続きが読みたくて読みたくて読みたくてたまらない・・・枝分しゃまが可愛くて可愛くて可愛くてたまらないのでしゅ~。年の差カップルの皆さんは・・・毒物の誤飲に注意した方がいいでしゅね~・・・この場を借りて謹んで大先輩のご冥福をお祈りシマスシャブリ次回は・・・キミ犯の豪華共演が再現されるのでありました~。見苦しい男とかけて草野球のキャッチャーととく・・・そのこころは・・・ミットもないちゅうてな・・・合掌くう落すなら早く落さないと・・・関係者にも予定というものがありますから~・・・締め切り守ってナンボでございます・・・守れない人は死ねばいいのにと言われますよ~・・・黙祷

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2014年11月19日 (水)

口は災いの元だからなんとなく金ヶ崎(夏帆)

さて・・・高校生のサプローが戦国時代にタイムスリップしたのが天文二十年(1551年)なのである。

史実では織田信長が金ヶ崎城で浅井長政に裏切られ、朝倉・浅井連合軍の挟撃によって・・・絶対絶命の窮地に陥るのは永禄十三年(1570年)である。

あれから・・・二十年近くの歳月が過ぎて・・・サブローもアラフォーに・・・なってませんな。

一体・・・今は何年なんだろう。

史実の合戦では織田は徳川との連合軍である。

しかし・・・こちらでは信長は一種のお忍び旅行中で・・・見た感じ百人くらいの手勢。

この少人数を一万を越える大軍で攻めてどうする・・・とか言い出してはいけません。

だって・・・これは戦国スイーツな物語なんですもの。

で、『信長協奏曲・第6回』(フジテレビ20141117PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・宇山佳祐、演出・松山博昭を見た。史実では織田信長の上洛戦は永禄十一年(1568年)に開始される。同盟を組んだ北近江の浅井長政が先鋒となり、南近江を支配する六角義賢の軍勢を駆逐するのが第一段階である。信長の戦力はおよそ三万にまで膨張し、南近江の拠点に籠る六角勢は次々と降伏。六角家の主城である観音寺城もあっという間に落城・・・義賢は忍びの一族であるために・・・里のある甲賀へ脱出する。この後は甲賀忍びと信長の忍び軍団・・・森、明智、木下などが・・・ゲリラ戦とゲリラ追討戦を展開することになる。山城国に入った信長は京の都を占拠するとともに周辺諸国に武威を示す。大和の松永久秀、摂津の三好義継らは信長に臣従する。残った抵抗勢力は四国へ逃亡する。冬が来る前に上洛戦は信長の圧勝で幕を閉じ、第15代室町幕府将軍の座に足利義昭が着くのである。

この時・・・越前国の守護大名・朝倉義景は事態を静観していた。

ここで・・・越前守護の朝倉氏と尾張守護の織田氏の因縁というものに触れなければならないだろう。

室町時代、越前も尾張も守護は足利氏の一門・斯波氏であった。

織田氏も朝倉氏もその家来である。

およそ、百年を遡上する応仁元年(1467年)に発生する応仁の乱において合戦のドサクサにまぎれて下剋上が発生し・・・斯波氏は守護代の朝倉氏に越前国を乗っ取られてしまうのである。仕方なく、斯波家は尾張国の守護代・織田家の元へ避難するのだった。

尾張においてはしばらくは斯波氏と織田氏の主従関係が続くのである。

つまり・・・織田氏にとって朝倉氏は憎き主人の仇なのである。

だが・・・百年の間に尾張国でもゆっくりと下剋上が進行し、信長の代でついに織田氏も斯波家を下してしまう。

つまり・・・朝倉氏としては「なんだかんだ言ってもやること同じだよねえ・・・そんで俺んとこはもう何代も続いて守護だけど・・・おたくなんか・・・完全に成り上がり守護じゃん」という気分なのである。

ところが・・・尾張の守護代から尾張守護になった信長はたちまち美濃守護となり、三河国の守護・徳川家と同盟し、朝倉氏がなんだかんだ面倒見ている浅井家とも同盟した上で、直前まで朝倉氏が保護していた義昭を奉じて電撃上洛を敢行である。

「なんだ・・・てめえはよお・・・」とこめかみに血管浮き出る事態なのである。

で・・・信長が・・・「将軍のところに挨拶に来るがよかろうず」と誘っても・・・「誰が行きますかっての」ということになるわけである。

そのために・・・幕府代行として・・・朝倉成敗に向かう信長を・・・因縁によって浅井長政が裏切るのが・・・史上有名な金ヶ崎の戦いなのであった。

Nobuoo51系図というものは不思議なものである。先祖代々の関係が印されたものなのだが・・・その子孫がそれぞれに系図を作るためにいろいろと矛盾が生じていく。たとえば信長の父が織田信秀であることは間違いなく・・・信秀の父が信定なのもほぼ間違いないのだが・・・信定の父が誰かということになるといろいろあれなのである。ある系図には織田大和守家(清州城)の家老家である織田弾正忠家の者であると書かれ、別の家系図では大和守家の分家と書かれているし、別の家系図では織田伊勢守家(岩倉城)の分家と書かれていたりもするわけなのである。こうした間違いは先祖が生前にいくつかの名前を変えたり、襲名で父子が同じ名前を名乗ったり、その時代その時代で登録抹消したり、すべてが嘘八百だったりという様々な理由で生じる。しかし、まあ・・・織田信秀が織田信安の娘を室にしているので織田信賢は信長の従兄弟と言えないこともないとか・・・織田信清の父親は信秀と兄弟なので・・・信長の明確な従兄弟だとか・・・いろいろと妄想するのは楽しいわけである。信長の嫡男として有名な信忠は弘治三年(1557年)に生まれているのにどうしたんだろうとか・・・実母と言われる生駒吉乃はひょっとして本物の方にくっついているのかしらとか・・・とにかく永禄十三年には信雄も五徳姫も信孝も生まれているし、池田恒興の娘と結婚する勝長や秀吉の養子となる秀勝は生まれたて、蒲生氏郷の妻となる冬姫も生まれているはずである。それぞれに母親がいるわけである。まあ・・・帰蝶との子はないわけだが・・・サブローはやることはやってんのかなあ・・・。まあ・・・戦国スイーツにとやかく言ってもしょうがないんだけどなあ。

まあ・・・このドラマはどうなるのか・・・全く分からないところが面白いわけなのだが。

・・・というわけで・・・実はリアル信長である偽りの結核患者・明智光秀(小栗旬)によって越前・朝倉家から将軍継承権を持つ足利義昭(堀部圭亮)を入手したサブローだった。

この世界には六角家は存在しないのか・・・浅井と同盟すれば近江国はフリーパスらしく山城国の京の都まではひとっとびである。

近畿に割拠する三好衆も完全沈黙で・・・サブローは無血で義昭を将軍職に就けることに成功する。

史実では正親町天皇が任じたわけだが・・・このアホドラマでやんごとのない方面に差しさわりがあってはなんだろう的に御簾越しの方として登場である。

式次第は・・・リアル信長が務めたわけだが・・・サブローが義昭とご対面すると・・・たちまち・・・暴言失言を連発するのである。

なにしろ・・・就任早々の将軍を前にして「俺が天下を取ります」・・・「足利幕府でなく・・・民のための天下にしたいと思います」なのである。

傍若無人なリアル信長様も・・・そこまでは言わなかったと思います。

なにしろ・・・本人の前で「謀反宣言」ですからあああああああああああっ。

史実では一年くらいかけて段々と自分が傀儡であることを自覚する将軍も・・・即行で信長追放の陰謀をスタートするしかないのだった。

京の都で買い物を楽しんだサブローは土産としてビードロ(ガラス玉)を購入する。

帰国の途中、サブローは近江でビードロの一つをお市(水原希子)へ。

お市の夫・浅井長政(高橋一生)と夢について語り合う。

美濃国岐阜城に戻ったサブローはセンスの悪い装束購入の件で帰蝶(柴咲コウ)の機嫌を損ね、ビロードで宥める。

・・・っていうか、信長・・・何のために上洛したんだ・・・。

この時点で・・・伊勢国への侵攻を開始し、南近江を含めると山城、近江、美濃、尾張、三河の実質的支配者となっているからこその・・・信長包囲網なわけだが・・・。

実際、将軍を京の都に届けただけだぞ・・・。

そこへ・・・大和国の支配者で・・・義昭の兄で前将軍の足利義輝を殺害した男・・・松永久秀(古田新太)が尾張を訪問する。

「おまわりさ~ん、将軍暗殺犯人がここにいま~す」とは言わないサブロー。

「俺は鬼だ」と刺青を誇示する久秀に・・・。

「あなた・・・ヤクザさんですか」と問う。

顔色が変わる久秀は・・・2005年からやってきた未来人だった。

「おまえはいつごろからきたんや」

「2014年です」

「ここへきてどれくらいたつん」

「さあ・・・なんだか・・・ここ・・・時間の流れが曖昧で」

「そうやねんな・・・そうか・・・九年もたつといろいろあったやろうな」

「九年前、俺、小学生なんで・・・よくおぼえてないけど」

「若いのお・・・」

「そうだ・・・2011年に凄い地震があって・・・津波でたくさん人が亡くなって・・・原子力発電所が爆発しました」

「ほんまかい」

「ええ」

「阪神淡路大震災より凄かったんか・・・」

「ああ・・・その時、俺、生まれてないんですよねえ」

「若いのお・・・」

ヤクザの久秀がここに来て・・・どのくらいたつのか・・・何をしてきたのかは一切明かされない。

しかし、久秀は下剋上の時代が性に合ったらしい・・・。

まあ・・・大名が単身、尾張に乗り込んでくるわけだからな。

ただ・・・久秀は信長に恩を売りに来たという。

「こないなもんが・・・各地の大名に配られてるで~」

「なに・・・これ」

それは・・・将軍による・・・信長追討令だった。

驚く家臣一同である。

だって・・・みんな・・・信長の将軍に対する暴言聞いてただろうがっ。

とにかく・・・何の権限もない将軍が・・・全国に回したこの命令は・・・かなり・・・効果的だったらしい。

近江国からは浅井長政が飛んでくるのだった。

みんな・・・自由気まますぎるぞ。

「それ・・・うちにも来てます」

竹中半兵衛も頭を抱える。

「こうなったら・・・朝倉と同盟するのも手だと思います」

「そうなの」

「朝倉は将軍とは仲良しなので・・・私が先に行って面会を申し込んできます」

「長政ちゃん・・・ありがとう」

竹中半兵衛(藤木直人)も・・・全国の大名に同盟を申し込むお手紙を出すのだった。

しかし・・・いきなり二ヶ国の太守となった織田家には当然、風当たりは強い。

同盟に応じる国はない。

リアル信長である明智光秀は将軍の配下である幕臣・細川藤孝(市川知宏)に頭を下げとりなしを頼む。

「しかし・・・あんなこと言われて許せますか」ともっともな答えである。

長政から・・・朝倉義景(小市慢太郎)が会見に応じる報せがあり・・・同盟締結の説得に行くことになるサブロー。

帰蝶は無事を祈ってお守りを着物に縫い込む。

そして・・・やはり・・・くのいちだった帰蝶の侍女ゆき(夏帆)・・・。

雇い主は・・・朝倉義景である。

「この信長の兵法書・・・解読できなかった」

「え・・・でも・・・日本語ですよ」

「一般的現代人が・・・昔の書を読めないので・・・戦国時代の人間にも未来の書が読めないと考えるバカがいるのだな。現代人でも教養があれば古書を読める人がいるように・・・戦国時代のちょっと教養のある人なら・・・未来用語や用法の完全な翻訳は無理でも大意くらいはつかめる・・・という発想がないのであろう。昔も今も織田信長は織田信長って書くのにねえ。そういう意味で・・・この日本史とやらは・・・読めないという話じゃ」

「ああ・・・」

「さて・・・報せとはなんじゃ」

「信長が・・・こちらに参ります」

「ふふふ・・・その件はお前が案じずとも大丈夫じゃ」

「では・・・尾張にもどります」

「うむ」

一方、復讐鬼・木下藤吉郎(山田孝之)は浅井家で暗躍する。

信長使節団が近江国を過ぎ、越前入りした頃・・・浅井長政は朝倉義景と密約を交わした隠居の父親・久政(村井國夫)に迫られる。

「父を取るか、嫁の兄をとるか」

「嫁の兄を・・・」

「さすれば嫁の腹の子は生きてはおれぬぞ」

「そんな~」

朝倉の居城・越前国一乗谷城までの中間地点である金ヶ崎城で休憩中のサブローたちに急報が届く。

「朝倉氏が挙兵・・・こちらに向かっております」

「浅井氏が挙兵・・・こちらに向かっています」

「どういうこと・・・」

「これは罠だったのでございます・・・我々は袋の鼠です」と池田恒興(向井理)・・・。

「どうしよう・・・」

「逃げるしかありません」

「殿(しんがり)は私めにおまかせくだされ」と藤吉郎。

しかし・・・復讐の鬼は背後から襲う気である。

そもそも・・・信長たちは合戦支度をしていないので・・・退却戦も無理なんじゃないか。

逃げて逃げて逃げまくるしか・・・生き残る術はないのだ・・・。

これは・・・ダメかもしれないね・・・。

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2014年11月18日 (火)

わが青春に悔いなしなんて負け惜しみ!(錦戸亮)

みしまるくんには中の人などいないわけだが・・・あくまでフィクションである。

ちなみにみしまるくんの相棒はかわせみくんである。

かわせみは青土鳥(そにどり)とも呼ばれる。かわせみのせみは蝉ではなく、青土(そに)の訛りであると言われる。

つまり、川の青土鳥がかわせみなのである。

青は羽根の色から名が起るわけだが・・・宝石のヒスイも連想させるわけである。

ヒスイのような鳥としてのカワセミであるのか・・・カワセミのような宝石としてのヒスイであるのか・・・意見が別れる。

風神王アイオロスの娘・アルキュオネーは海で行方不明となった夫・ケーユクスを捜索するためにカワセミに姿を変えて飛翔する。

夫はカツオドリに身を変えて海上にあった。

二人は巡り合うが陸は遠かった。

二羽の鳥は・・・仲睦まじく海の藻屑となったのである。

いい話・・・なのかよっ。

まあ・・・川鳥と海鳥じゃ・・・どちらが生存率高いかは明らかだろう。

そういう意味ではカワセミが先に力尽き・・・カツオドリはその場にとどまり後を追う。

いい話じゃないか。

まさに真のおしどり夫婦である。

ちなみにオシドリは交配シーズンごとに相手を変えます。

で、『ごめんね青春!・第6回』(TBSテレビ20141116PM9~)脚本・宮藤官九郎、演出・福田亮介を見た。「Sometimes the best gain is to lose. 」(負けるのがすごくためになることもある)と語った20世紀後半のテニス・プレーヤー・野獣ことジミー・コナーズ。ライバルには氷の男ことビョルン・ボルグ、悪童ことジョン・マッケンローなどがいる。彼らと死闘を演じたコナーズは「第一の鉄則は勝つこと、第二の鉄則は負けないことだ」とか「勝ちたいという気持ちは負けたくないという気持ちと同じだ」とか・・・勝つことに執念を燃やしている発言が目立つ。つまり・・・「負けることのも勝つためには必要だ」という話である。けして負け惜しみではないのだ。勝ってなんぼの世界の話なのである。基本、アスリートの鉄則は「敗者に語る言葉なし」なのである。死んじゃうのかよっ。

日本のお正月には欠かせない箱根駅伝ではなく・・・三島から「箱根まで駅伝」のスタートである。

男女混合駅伝のために・・・出場機会のなかった・・・聖三島女学院と駒形大学付属三島高校が合体し・・・駒形大学付属聖駿高校として・・・名門・名門駿豆西高に挑むのだった。

それというのも・・・チビクローズことサル(矢本悠馬)とサンダルこと山田・ビルケンシュトック・京子(トリンドル玲奈)のイチャイチャぶりに・・・サンダルのストーカー名門駿豆西高生(平埜生成)が猛烈な嫉妬にかられてサルを半殺しにしたことに・・・聖駿高校が憤ったからである。

私生活のいざこざをスポーツで晴らす・・・実に清々しい話なのである。

しかし・・・肝心のサルは・・・みしまるくんなので・・・駅伝には参加できないのだった。

なんじゃそりゃ・・・という気持ちを・・・原平助(錦戸亮)と蜂矢りさ(満島ひかり)に「青春なんて腑に落ちないもの」という名言でごまかされ・・・それなりに燃える気持ちで駅伝に挑む選ばれた人々だった。

第一走者はインターハイ出場経験のある女子生徒会長・中井貴子(黒島結菜)・・・愛する平助の声援を受け・・・快走・・・できないのだった。

さて・・・クドカンの脚本の基本は・・・現在に至る過去の・・・フラッシュ・バックである。

世界では・・・すべての人々は同時に存在するが・・・物語はそのダイジェストである。

現在を構成する人物の過去をすべて語ることは至難なのである。

そこで・・・ダイジェストの中に・・・省略されていた出来事を混入するのがクドカンの手なのである。

当然、それはかなりややこしく・・・ややこしいことが苦手な人は・・・脱落するしかないのだ。

そして・・・脱落しない人は選ばれし者の幸福を感じるのである。

それが・・・健全な気持ちなのかどうかはべつの話である。

「私の担任は・・・蜂矢先生ですか・・・原先生ですか」

廊下で平助に尋ねるスーパー女子校生・中井貴子の言い淀んだこと・・・それは。

中井一家の食事会に遡る。

東京に単身赴任した父親が週末帰宅しての一家団欒。

そこで・・・「お引っ越しによる転校の話」が話題となる。

「いよいよ、引っ越しね」

「え」

「何、言ってんの・・・東京行きが決まってあんなに喜んでたじゃないの」

「・・・」

その時は・・・男女共学でもなく・・・原先生にも出会ってなかったから・・・。

文化祭の前に・・・転校してしまうことをうっかり忘れていた貴子だったのである。

そのことを平助に言い淀む貴子。

「会えない時間が愛育てる自信」に欠ける貴子は・・・ヤケになって・・・カラクリ人形の海老沢(重岡大毅)の告白を承諾する勢いなのだった。

そんなアレやコレやがスーパー女子校生のメンタルを乱し・・・ペースを乱す。

「ナカイさん・・・マイペース」

平助の声援が・・・さらにナカイさんのペースを乱すのである。

どんどん、順位を下げる恋する乙女ナカイだった。気がつけば最下位である。

それでもなんとか走りきったナカイは・・・愛しい人の姿を捜すが・・・移動車にのった平助は無常にも走り去る。

ああ、無惨・・・。

第二走者は男子生徒会長の半田(鈴木貴之)・・・。

彼もまた・・・メンタルに問題を抱えていた。

りさ先生に告白したものの・・・りさから「原先生と結婚する」という衝撃の告白をされ、それを秘密にしろと脅迫され、暴露しないことを責められた上に・・・一日中「愛している」と言われていないと落ちつかない超恋愛体質の「あまりん」こと阿部あまり(森川葵)に追い詰められ・・・男子だけど乙女な村井(小関裕太)との同性愛に逃避するという激動の日々である。

とてもじゃないが・・・競技に集中できないのだった。

しかし・・・ジムの信奉者であるりさは・・・。

「勝たなきゃ意味ねえんだよ・・・チンタラ走ってたらぶっとばす」

恐怖心から逃走した半田は最下位から脱出するのだった。

第三走者はからくり人形である。

あまりんにふられ・・・失意の中・・・あてつけにナカイに告白。

転校問題に揺れるナカイがやけっぱちな感じの承諾。

しかし、半田にふられたあまりんが舞い戻り・・・気がつけば二股中である。

しかし・・・バカなので・・・この残念な感じの三角関係を・・・「モテキ」と誤解するからくり人形なのである。

これは・・・なんか・・・バンビを越えるバカの予感が・・・。

しかし・・・バカの恐ろしさで・・・快走するカラクリ人形だった。

ドンマイとは無心なりか・・・。

第四走者は・・・落ちつかない性格の神保(川栄李奈)である。

からくり人形を見染めるも・・・告白前に・・・あまりんに奪われ・・・一応、イケメンのウドの大木(竜星涼)と交際を開始するも「キス我慢選手権」の後でキスされそうな気配に幻滅し、三択のクイズ王・昭島(白洲迅)に乗り換えようとするのだが・・・。

「それは・・・無理・・・俺は遠藤が好きだから」

「え」

「三択問題って・・・正解と、ひっかけと、ありえない感じが基本なんだ」

「?」

「ありえない感じが意外と正解というのもセオリーなんだぜ」

「ひっかけが正解だってことは」

「それはない」

「ないのかよ」

「遠藤ちゃんは・・・ありえない感じだけど正解の匂いがするんだよ・・・神保ちゃんは可愛いけど絶対ひっかけだよね」

「ひっかけってなんだよっ」

乙女の怒りは爆走に転じ、聖駿高校を三位に押し上げるのだった。

ここで・・・スポーツ中継の途中ですが・・・お茶の間の様子である。

一休さんこと一平(えなりかずき)は亡き母の面影を宿す観音菩薩(森下愛子)にまたもや「不邪淫戒」を責められ発狂寸前に・・・。蝋人形じゃなくて人形焼きにされかかるところを愛妻・エレナ(中村静香)に介抱されている途中で・・・養護教諭として・・・「箱根まで駅伝」の救護班要員となっているドンマイマドンナ(坂井真紀)が箸休めリポートされているところを視聴してしまう。

「結婚ですか・・・好きな人はいます・・・あ・・・天候ですか・・・えーと・・・私の気持ちのようにどんよりしています」

道ならぬ恋の相手の姿に発情する一休は・・・バイクで走りだす。

坊さんはスクーターが似合うんだよな。

自転車は似合わないよな。

やはり・・・坊主の膝は閉じていてほしいんだよな。

尼さんなら開いてほしいのか。

罰あたりはほどほどになさいよっ。

「尼さんシリーズ」って根強い愛好家がいるよね。

何の話だよっ。

第五走者は遠藤いずみ(富山えり子)・・・。

浅田真央を思わせる集中ぶりである。

そこへ・・・アイドル的な息もたえだえ感を醸しだして神保が到着。

「神保ちゃん」

「遠藤ちゃん」

美少女と野獣の襷リレーである。

そして・・・猛ダッシュする遠藤ちゃん。

「足も早いのかよ・・・」

絶対ないけど正解を確信する昭島だった・・・。

フィニッシュは高橋尚子で決める遠藤ちゃん・・・。

第六走者はキスを我慢する必要のない大木である。

実は・・・神保にふられた大木は・・・巨乳高校生・佐久間りえ(久松郁実)、あまりん、サンダル、そして遠藤ちゃんにもふられているのだった。

イケメンなのに・・・バカが滲み出るらしい。

失うものなど何もないものは・・・爆走するのだった。

「ちっくしょおおおおおおおおおおおおおお」なのである。

なんだかんだ・・・実力者揃いの・・・聖駿高校の選手たち・・・っていうか三島市の選手レベルが低いのか・・・。

第七(最終)走者の成田(船崎良)は二位でタスキを受け取るのだった。

思わぬ順位にプレッシャーのかかる成田は駅伝名物・故障発生である。

ああ・・・お正月が楽しみだねえ。

来年はどんな生まれたての仔ランナーが登場するのか・・・。

しかし・・・ここではお約束のドタバタ・リレーが展開する。

救護所で休む平助とみしまるくん。

みしまるくんはうっかり頭を置き忘れトイレへ。

そこで成田が故障。

無人となった救護所へ凄いスピードで40キロ近くを走破した一休とマドンナが不倫プレーに燃えて突入。

そこへ平助と成田が到着。

みしまるくんの頭に同化した一休を係員が連れ去る。

戻って来た半分、サルのみしまるくんは一休がなんとか脱皮した頭部を取り戻す。

そして・・・成田からたすきを受け取るのだった。

ゴールへ向かう・・・西高アンカーは・・・背後から迫るみしまるくんの姿に驚愕するのだった。

みしまるくんがトップでゴールし・・・歓喜のあまり・・・抱き合う三宮校長(生瀬勝久)と吉井校長(斉藤由貴)だった。合併後は・・・どっちが校長かという嵐の前の和解である。

このあと・・・吉井校長は「カバヤキ三太郎のごめんね青春!」で懺悔するのである。

聖駿高校のトップ同志が雪解けしている頃・・・。

みしまるくんは不安定な頭部を分離し・・・サルが姿を見せる。

そこへ・・・成田を背負って平助がゴールイン。

青春万歳なのだが・・・聖駿高校はいろいろな意味で失格です。

「勝利の美酒は一握りのもののために・・・敗北の果実はみんなのために」

それなりに甘酸っぱい言葉で生徒を慰めるりさ先生だった。

サトシは銭湯の天井から女湯覗いた過去がある男のようないでたちで平助を訪ねる。

「りさちゃんはいけるんじゃないか」

「りさちゃんと夜中に二人きりになっている時点で・・・お前、やっちゃう気満々じゃないか」

「嫌い嫌いは好きのうちだよ・・・」

「そんな・・・高等展開・・・意味不明だ」

「お前には幸せになってほしい・・・」

「真実を知っても・・・そう言えるのかな・・・」

「真実?」

そこへ・・・文化祭委員会に問題発生である。

優秀すぎるナカイさんのスピードにみんながついていけないのである。

「背負いすぎは・・・ダメだよ」と諭す平助。

女心を知らなすぎる男を相手に唇をかみしめるナカイだった・・・。

その頃・・・男と女のすべてを知った感じの銀ちゃんじゃなかった平太(風間杜夫)は・・・息子の不貞を感じ取るのだった。

平太に命じられ・・・一平を問いつめる平助。

「相手は・・・」

「どんまい・・・」

「何してんのお・・・」

「持国天、増長天、広目天、多聞天」

「誰が四天王の話をしろとっ」

不倫は青春の残滓である。

後ろ目痛いのは過去に罪科を感じるからである。

うしろめたさを暗喩するものは背中にすがりつくものである。

変身(メタモルフォーゼ)は殻を脱ぎ去り過去と訣別することの暗喩(メタファー)である。

うしろメタファーは微妙にメタだじゃれです。

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2014年11月17日 (月)

俺が死んだら三途の川で家来集めて戦するダンチョネ・・・と前田利家(岡田准一)

ここまで完全に気配を絶っていた前田利家登場である。

ちなみに黒田如水のキリシタン仲間、高山右近はこの時期、前田家に潜伏しています。

ついでに・・・ねねの侍女・マグダレナは小西行長の母と噂される人物。

あれか・・・関ヶ原の合戦の後に・・・「息子を助けてくだされ」と突然、ねねに泣きついたりするのか。

利家は「槍の又左」の異名の如く、完全なる武闘派である。

平和大好きのこの大河ドラマスタッフにとっては最も異端なのだろうなあ。

臨終に際して後生大事を願う妻・まつに「戦で人を殺すのは罪にあらず・・・我が命を活かすために敵の命を喰らっただけだ」と経帷子を拒絶。

「閻魔大王が問責するなら解散総選挙するまでだ」なのである。

「合戦の心得」を聞かれれば「戦とは侵略である。専守防衛などは戯言」と「先手必勝」の真理を語る。

本当は・・・こういう男だけが生き残れた時代であることを・・・忘れないでもらいたい。

で、『軍師官兵衛・第46回』(NHK総合20141116PM8~)脚本・前川洋一、演出・本木一博を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は倍増越えの54行。とにかく・・・認めたくないものだな・・・自分自身の若さゆえの過ちというものを・・・でまとめてきた今回。思えば如水も若気の至りの塊だった・・・という趣向なんですな。そこから教訓を得て・・・軍師と呼ばれるほどの軍略家になったというわけですが・・・肝心の・・・「さすがは黒田官兵衛」という場面が今ひとつ明瞭に描かれてこなかったので・・・なんだかなあ・・・と思う他はないのでございます。まあ・・・周囲の人々が徳川家康も含めて流石流石を連発するので・・・もう・・・洗脳されるしかない展開なのですな。今回は妻と子を成敗した左目に邪眼を秘めし男・徳川家康公描き下ろしイラスト圧巻でございます。年賀状がんばってくだされませ。だから、私信はコメント欄でえっ。

Kan046慶長三年(1598年)、豊臣秀吉は死去し、形式的に天下の主は幼い豊臣秀頼になった。しかし・・・それはあまりにも不安定な政権の座である。秀吉死後、最大の実力者・徳川家康の動向を巡って右往左往する諸大名たち。秀吉政権の秀頼への継承を目指す石田三成は戦国生き残りの古強者・前田利家を家康の対抗馬として担ぎ出す。しかし、家康は着々と有力大名の抱え込みのための婚姻策を開始する。それを阻止しようと奉行衆は家康を問責するが、実力のあるものに言葉責めは通用しない道理である。着々と党派拡大を図る家康を阻止する手段はないのである。秀吉と違って松平一族は由緒正しい大族である。婚姻のための武器である姫の数に不自由はないのだった。次々と親戚の娘を養女にしては大名家に正室として送り込む家康。たとえば福島正則には家康の祖父・松平清康の娘と結婚した家康にとっては叔父にあたる酒井忠次の娘婿・牧野康成の娘を嫁がせ、蜂須賀小六の孫にあたる蜂須賀至鎮には信長によって死を賜った・家康の嫡男・信康の忘れ形見・登久姫り娘・万姫を嫁がせるという容赦のなさである。家康の母・伝通院と再婚した久松俊勝(家康にとって義理の父)の娘・多劫姫と夫・保科正直の娘・栄姫も婚姻政策の道具として準備万端整ったのだった。

「蜂須賀家が徳川家と縁続きになるのはめでたいことか」

「そうとも言えぬぞ・・・徳川様の天下となった時・・・蜂須賀家は徳川様の親戚・・・こちらはその親戚では黒田家は蜂須賀家より・・・格落ちということになる」

「それは・・・」

「ここは・・・糸様には実家にお帰りいただいて・・・徳川家から正室を迎えるのが上策というもの・・・」

「さすがは・・・殿・・・」

如水とその参謀たちは・・・穏やかならぬ密談を重ねるのだった。

「幸い・・・糸様は・・・跡継に恵まれませんでしたからなあ・・・」

「仕方のないことじゃ・・・」

慶長四年閏三月三日・・・。前田利家は天寿を全うした。

服部半蔵の手引きによって伏見・徳川屋敷に石田三成が逃げ込んだ頃、石田三成配下の犬たちは大坂城から京に向かう黒田の軍勢に遭遇していた。

「犬が吠えるのう・・・」

長政は鼻を蠢かす。

「どうやら・・・石田の忍犬が群れているようでござる」

「ふふふ・・・近江で遊んだ頃にはあやつらとよく遊んだものじゃ・・・」

「殿は長浜育ちでございましたな」

「そうよ・・・知っておるか・・・又兵衛・・・」

「はあ」

「我ら・・・黒田には犬の血が流れておるのじゃ・・・」

「・・・殿・・・それは違いますぞ」

「ほお・・・」

「黒田に流れしは・・・狼の血でございます」

「なるほどのう・・・」

「して・・・犬どもは・・・いかがなさいますか」

「ふん・・・犬万でも馳走してやれ」

「はっ」

忍び犬たちは・・・河原で熱狂の叫びをあげ、はしゃぎまくった。

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2014年11月16日 (日)

おばけなんてうそさなんてうそなのかもしれません・・・今日はここまで(成海璃子)

ホリコシ出身の美少女中の美少女であるシークレット・ナレーターが・・・この話で登場である。

なにしろ・・・帝国俳優が・・・容姿醜悪で結婚できなかった女性の悪霊を抱きしめて成仏させるという・・・。

すでに・・・グロテスクというか・・・ギャグ極まりないというか。

一同爆笑の展開でした。

成海璃子といえば・・・「瑠璃の島」「演歌の女王」「受験の神様」「ドン★キホーテ」とこの枠のヒロインとしておなじみである。

まあ・・・脚本に恵まれているとは言い難いラインナップだよねえ。

そろそろ・・・地上波で主演ドラマが見たいよねえ。

巨乳に育った美少女を使いきれないドラマ・スタッフにも困ったものだよねえ。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第6回』(日本テレビ20141115PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・マギー、演出・松山雅則を見た。冒頭に覇鬼(坂上忍)と美奈子先生(優香)の棲む鬼の手亜空間登場である。「鬼」という存在の認識が脚本家の中であやふやで面白い。そもそも・・・鬼には二面性がある。一つには桃太郎話に登場する「人の敵」としての側面。これには人間が結構、恐ろしいことをする獣性を秘めていることも付随する。つまり・・・敵国民となれば女子供であろうと容赦なく焼き殺して恥じない鬼畜性である。この場合・・・鬼とは人間そのものなのである。もう一つは・・・地獄の羅卒としての鬼である。悪行によって地獄に堕ちた人間に閻魔大王の監督のもと、残虐な刑罰を執行する地獄の官吏である。自由奔放に悪の限りを尽くす鬼と職務に忠実な鬼は全く別の存在である。普通・・・地獄にいる鬼は後者ですから・・・。そこは区別してもらわないと。鬼の立場がありません。

洋の東西を問わず、地獄は存在する。

これは権力者が民の最終兵器である自爆を防止する意味が大きい。

死んでも己を貫こうとする人間に死んだって死後の世界で責め苦が待っているぞと脅迫するものである。

親という権力者が子に「嘘をつくと閻魔様に舌を抜かれる」と嘘をつくので地獄では舌を抜かれた親が山積みになっているのだ。

閻魔様は舌を抜きません・・・鬼が抜くんですからっ。

さて・・・人体模型の怪を体験したことで・・・「妖怪の実在する世界」に生きることを受け入れた高橋律子先生(桐谷美玲)は「妖怪は実在するが一般人はその存在について懐疑的である」というお約束を乗り越えて危険な領域に入りつつあった。

職員室で・・・「妖怪が実在することについて」・・・熱く語りかけていたのである。

「私は見たんです・・・人体模型が・・・」

妖狐である玉藻京介(速水もこみち)はこの世界では大人なので・・・ぬ~べ~こと鵺野鳴介(丸山隆平)にご注進におよぶのであった。

「それを言ったらおしまいなんじゃないかな」

「ですよね」

「先生・・・その話はあとでゆっくり・・・僕としましょう」

いるけど・・・いないフリをするというお約束を守るために・・・律子先生の暴走を阻止するぬ~べ~だった。

もちろん・・・ぬ~べ~にピンチを救われた律子先生は少年マンガのお約束でぬ~べ~に惚れてしまっているのである。

だから・・・ぬ~べ~と二人きりで過ごすことに否も応もないのだった。

しかし・・・恥ずかしがり屋なので・・・「あくまで化学教師として妖怪現象を研究するためです」などと煙幕をはる律子先生だった。

「その手にはどういう秘密があるんですか」

「この手には凶暴な妖怪である覇鬼が封じられているのです。しかし・・・封じたのは僕の恩師で霊能力者でもある美奈子先生です。先生は世界を救うために我が身を犠牲にして・・・鬼と共にこの世とあの世の狭間に・・・鬼を封じてくれたのです」

「美奈子先生ってどんな方?」

「とても素晴らしい人で・・・ちょっと律子先生に似ています」

「あら・・・」

他の女と比較するのは禁じ手だが・・・男の子に都合のいい少年マンガの世界では常套手段である。

とにかく・・・ようやく・・・変な世界で夫婦漫才をしている二人の設定が明らかになったのだった。

とにかく・・・このまま・・・二人の愛の世界に突入すると・・・出番がなくなると考えた生徒たちは・・・二人の恋愛をパパラッチすることにしたのだった。

一方、ぬ~べ~と確執のある父親・無限界時空(高橋英樹)を親父転がししたり・・・玉藻先生に一目惚れしたりとお盛んなイタコ見習い・葉月いずな(山本美月)だった。

そんないずなにひたすら追従する童守寺和尚(マキタスポーツ)である。

「みんな!エスパーだよ!」で一世を風靡したマキタスポーツと「アオイホノオ」で実写メーテル・ナンバーワンになった山本美月を・・・完全使いこなせていない土曜ドラマスタッフだった。まあ・・・テレビ東京にしかできないことってあるからなあ。

みんなが芸術性を追求し出したら大衆は娯楽を失ってしまうもの。

押し掛け女房的雪女のゆきめ(知英)はぬ~べ~と律子の仲睦まじい姿に嫉妬する。

妖怪サトリ(矢部太郎)は悟ってニヤニヤするが・・・心の声がテロップでお茶の間に公開されるサービス付である。

一種のファーストクラス的手法だな。

みんな・・・パクリを恥ずかしく思わない素晴らしい世代のクリエーターたちだ。

「律子先生のことどう思っているの」

「教師として尊敬している」

サトリ(尊敬しているし愛してるんだな)

「私のことはどう思っているの」

「妖怪としては好きだ」

サトリ(お前、前提として人間の女じゃないだろう)

ぬ~べ~は基本的に少年マンガの主人公なので不特定多数の女性を愛することが許されているのだ。

しかし・・・恋する律子先生は恐ろしい妖怪「お歯黒べったり」に憑依されてしまうのだった。

Photo「絵本百物語/竹原春泉」という江戸時代の妖怪図鑑に登場するお歯黒べったりは後ろ姿は美人だが・・・ふりかえると目も鼻もなくお歯黒の口だけがある化け物で男を驚かせるあやかしである。まあ・・・ふりかえったら・・・驚愕というのは古典なのである。鉄漿(おはぐろ)は既婚女性の化粧方法なので・・・この妖怪は誰かの女房なのだが・・・花嫁衣装の角隠しをしているために・・・いろいろと妄想が膨らむわけである。その中に未婚のまま死んだ女の怨霊説が生まれる。このドラマでは「容貌に恵まれなかったために良縁に恵まれず死んだ女の霊が幸せそうな恋する女に祟りを為す」というものすごく一部お茶の間の反感を買うような設定になっています。まあ・・・本当は美人に化けようとして化け損なったタヌキが正体なので・・・当たらずとも遠からずな話と言えるのだった。まあ・・・そこはかとなく・・・もの悲しいあやかしなのである。

キャラクター設定で妖怪が接近すれば妖気をたちどころに探知するぬ~べ~だが・・・基本的に子供だましのドラマなので・・・そこはなんとなく・・・恋に浮かれて気がつかない風を装い・・・やや無理のある最後の落しにつなげていく。このあたりが脚本家の作風と言えばそれまでだが・・・スマートではありません。

まあ・・・妖怪成仏作戦を雪女に告げる場面で・・・小豆あらい(鈴木拓)が効果音で邪魔をするなんていうネタは・・・「ドラマ」としては最低の部類だが・・・「お笑い」としてはそこそこ上質なのである。

その辺りの匙加減はもう・・・好みによるとしか言いようがないけどさ。

ほとんど背景と化した生徒たちだが・・・まこと(知念侑李)だけは・・・いずなにもゆきめにも優しく接して「お姉さん好き」をアピールするのだった。

帝国サービスもほどほどにしておけやっ。

生徒たちに尾行されながら・・・「きょう、会社休みます」的なデートを展開するぬ~べ~と律子先生。

最後は童守寺に到着して・・・突然、仏前結婚式が開始される。

立会人として玉藻先生といずなが呼ばれ、式を信仰するのは和尚である。

意外な成り行きに驚愕する生徒たち。

とにかく・・・律子先生は仏前の花嫁衣装も抜群に似合うのだった。

そこかっ。

もちろん・・・察する人はここで・・・ああ、妖怪を成仏させるために・・・生前の願いをぬ~べ~一座が叶えているのだと分かるわけである。

ぬ~べ~は最初から妖怪が律子先生に憑依したことを知っているのである。

しかし・・・そういう人の心が分からないゆきめは事前に説明されていたにも関わらず嘘の祝言をぶちこわすのだった。

「嘘でも誰かと結婚するなんて嫌」・・・妖怪の女心だった。

たちまち・・・正体を現し・・・暴れ出す・・・お歯黒べったり・・・。

ぬ~べ~は鬼の手を抜くが・・・女が憐れすぎて強制成仏に踏み切れない。

「このままでは律子先生の身が持ちませんよ」と玉藻。

「できない・・・分った・・・お前とは・・・あの世で結婚するから・・・律子先生を離してくれ」

あらぬことを口走るぬ~べ~だった。

しかし・・・ぬ~べ~に優しく抱きしめられて昇天する悪霊である。

「今の言葉・・・本当ですか」

夢と現実の狭間を彷徨っていた律子先生は正気を取り戻してぬ~べ~に問う。

もちろん・・・少年マンガの主人公は・・・そんなにたやすく愛は誓わないのである。

・・・ただし、原作では・・・ぬ~べ~は誰かと最終回直前に結婚します。

「なかなか巧みな話術でしたね」と意見を述べる玉藻先生。

「いや・・・半分本気でした」

「おやおや・・・」

「僕はそういう男ですから」

どういう男なんだよと誰もが問いたい決め台詞だよなあ・・・。

とにかく・・・ぬ~べ~をめぐって人間の律子先生と雪女のゆきめの恋のバトル開始なのである。

まあ・・・鬼の娘と恋愛する少年マンガがあるので・・・よくある話なのであった。

とにかく・・・明石家さんまがゲストに出ることがニュースなのだが・・・気持ちは分かるけど・・・そんなのドラマとは基本関係ないよねえ。予告はもう少しさりげなくしてもらいたいよ。

妖怪変化よりもあさましい感じですからあ。

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2014年11月15日 (土)

幸せそうで素敵だなあ幸せそうで素敵だなあ幸せそうで(榮倉奈々)

両親によって踏みにじられ壊されてしまった主人公の良心。

身近にいながらそのことにまったく介入しなかった警察官は・・・もしも主人公が犯罪を犯せば公僕として職務を遂行する。

主人公は別に警察官に復讐するつもりはないが・・・この世界の神は・・・その罪を問う。

そういう意味では「白夜行」よりも進化しているかもしれない。

憐れな二人の子供を追う「白夜行」の笹垣刑事は全く断罪されなかっが・・・憐れな二人の子供を追う高野は・・・「妻が何かを隠している」という苦しみに悶える。

まあ・・・いじめを傍観したものを裁くことはほとんどの人間を裁くことになる禁断の果実である。

意味が分からない人は幸いなのだ。

基本的にこの世こそが地獄なのだから。

で、『Nのために・第5回』(TBSテレビ20141114PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・山本剛義を見た。島で一番の権力者である杉下晋(光石研)は愛人の宮本由妃(柴本幸)を自宅に住まわせ、正妻の早苗(山本未來)と子供たちを追い出す。高校生だった杉下希美(榮倉奈々)は島で一番恵まれたお嬢様という「自分」を失い・・・一匹の野獣と化す・・・美しいが少し知能の不足している母親は現実逃避をしながら野獣にまとわりつき・・・少しずつ人間性を剥奪していく。最後の希望だった幼馴染の成瀬慎司(窪田正孝)が放火犯であるかもしれないと疑った希美は・・・すべてを捨て去る覚悟で地獄の首都・東京に旅立ったのだ。放火犯のアリバイ工作に協力したという罪を背負って・・・。

もちろん・・・放火犯人が誰かは秘密のままである。慎司が無実であるとすれば・・・物凄く歪んだ関係が成立しているわけである。

そして・・・その秘密は・・・警察官・高野(三浦友和)の妻なのに・・・何故か火事場に飛びこんで・・・それ以来、失声症になってしまった夏恵(原日出子)が握っている。

妻が何かを隠しているのに聞き出せない高野は仕方なく・・・放火の疑いのかかった慎司と慎司のアリバイを証言した希美につきまとうのだった。

14年の時を越えて・・・。

【2004年】クリスマスで賑わう東京。高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階では大手商社に勤務するエリートビジネスマンの野口貴弘(徳井義実)が西崎真人(小出恵介)を激しく暴行していた。

誰がが鋭利な刃物を抜く。

床に散乱した花束を踏みにじりキッチンに向かう野口。

キッチンの床に倒れて死亡している野口の妻・奈央子(小西真奈美)・・・。

誰かが燭台を振りかざし野口を背後から殴打する。

野口夫妻の死体を見下ろす・・・。

希美・・・慎司・・・西崎・・・そして安藤望(賀来賢人)・・・。

警察官が到着し・・・西崎は告白する。

「僕が・・・殺しました」

【2003年】亡き妻の思い出の残る「野バラ荘」を愛する大家・野原兼文(織本順吉)のために都市開発の地上げを阻止しようとする西崎は・・・下宿人仲間の希美や安藤とともに「N作戦」を開始する。

地上げに反対する大地主の野口氏の真意を確かめるために・・・野口氏の息子・貴弘に・・・趣味のスキューバ・タイビングと将棋を使ってアプローチするのがその作戦の全貌である。

希美のアルバイト先の清掃会社の「社会奉仕事業」に参加してスキューバ・タイビングのライセンスを取得した希美と安藤は・・・沖縄で行われる野口氏の「珊瑚を守るキャンペーン」に潜入する。

ポケット将棋を取り出した希美は貴弘の気を引く。

しかし、簡単には釣られない貴弘だった。

仲睦まじい野口夫妻を見つめる希美は・・・自分が失った何か・・・自分が奪われた何かを・・・そこに見出すのだった。

それは憤怒にも似た羨望だった。

潜水直前に・・・具合の悪そうな野口夫人に気がついた安藤はここぞとばかりに接近を開始する。

「船酔いですか」

「いや・・・妻は初心者で・・・」

「急に海に入るのがこわくなってしまったの」

「僕たちも資格をとったばかりですよ・・・初心者コースでのんびり行きましょう」

「そうだよ・・・僕がついてるじゃないか」

「・・・」

美しい南の島。

海の底はパラダイスだった。

手をとりあって海中を進む野口夫妻に背後から接近する希美。

突然、パニックを起こし夫の手を振りほどいて浮上する奈央子だった。

救助に向かったのは安藤。

そして、希美。

驚いた貴弘は少し遅れて浮上する。

「どうした・・・」

「急に息がくるしくなって・・・こわくなって・・・」

妻の身を案じる貴弘を・・・妖しく見つめる希美だった。

野口夫妻の姿は・・・幼い頃から見慣れた・・・今は失われた両親の姿に重なる。

希美の中で・・・複雑な感情が渦巻くのだった。

(アラブの富豪を将棋で釣るのが私の野望・・・)

(なんで・・・将棋なんだよ)

在りし日のNとNの辛い現実から逃れるための空想が・・・今、形をとりはじめる・・・。

野口夫妻は・・・何の疑いもなく・・・二人の若者に感謝するのだった。

プライベートプール付のリゾート・ホテルの一室に招待された希美と安藤。

早速・・・初心者の安藤に勝負を挑む・・・貴弘だった。

「付き合わせてごめんなさいね」

「いいんですよ・・・彼も喜んでいるし・・・それにしても・・・彼が内定の決まった会社にご主人がお勤めなんて・・・」

「凄い偶然よねえ・・・」

「奥様は将棋をなさらないんですか」

「女相手だと手加減しないとならないから・・・つまらないんですって」

「女相手に負けたら口惜しい負けず嫌いかもしれませんよ・・・」

何故か火花を散らす女二人だった・・・。

結局、安藤は泥酔して・・・二人で一部屋の民宿に希美と戻ってくる。

「せっかく・・・チャンスだったのに・・・」

「いきなり用件を切り出したら・・・不審に思われるだろう」

「それもそうね・・・」

しかし・・・安藤には「N作戦」よりも・・・・希美のすらりとのびた長い足が気にかかるのだった。

美脚だ・・・いい足だ・・・エロい太ももだ・・・。

情欲の噴出した安藤は希美の唇を奪う。

おそらく・・・ファーストキスを奪われた希美は驚愕する。

その反応に急速に酔いが醒める安藤。

愛しているから手が出せないシンドロームを発症である。

「ごめん・・・何もしないから・・・もう寝よう・・・」

希美の心に蠢く・・・様々な思い・・・。

安藤だったらいいかな・・・慎司としたかったファーストキス・・・でも・・・私が本当に欲しいのは・・・。

隠されていた太ももが露わになれば手をのばしたくなる。

それが自然。

そして・・・人間とは不自然な生き物なのである。

だが・・・希美は群れを追われた獣だ。

不自然な掟の縄目は解かれてしまっている。

翌日・・・希美は・・・奈央子から・・・高層タワーマンション・スカイローズガーデンへの招待の報せを受け取る。

N作戦会議室では・・・三人のミーティングが行われる。

「安藤は・・・もう・・・作戦から手を引いていいよ」

「なんでさ・・・君が僕を引きこんだくせに」

「でも・・・これから・・・同じ会社で働くのに・・・このことでおかしなことになったら・・・大変でしょう」

「そうか・・・わかった・・・例の件は君にまかせて・・・僕は裏表なしの関係で・・・ということだね」

「そう・・・」

二人きりになった西崎は・・・「沖縄で何かあったのか」と問う。

「ないよ」

「そうか・・・」

一人になった希美を襲う・・・ゾンビのような母親からの電話である。

同窓会で帰島した時に・・・働く母親を見て安堵した希美だが・・・頭のおかしな母親が希美一人きりの充実した生活を脅かす存在であることに変わりはない。

「のぞみちゃん・・・・なんで電話くれないの・・・私・・・のぞみちゃんに相談したいことがあるんよ」

思わず携帯電話を冷蔵庫に封印する希美だった。

別世界のような・・・スカイローズガーデンに魅了される希美。

親睦を深める野口夫妻と工作員たちだった。

地上に降りた工作員は夢から覚めた気分になるのだった。

「凄いねえ・・・お金持ちで・・・エリート社員で・・・こんなマンションに棲んでる人が本当にいるんだねえ」

「そりゃ・・・いるだろうさ」

「まあ・・・安藤はもうすぐエリート社員にはなれるよね」

「両親は二人とも公務員だけどな」

「それは仕方のないことだもの」

「これから・・・どっかで飲まないか」

「私・・・西崎さんとちょっと話が・・・」

「そうか・・・じゃ・・・俺は大学に顔出してくるよ」

安藤・・・・もうひと押しじゃないか・・・。

西崎の部屋を訪れる希美。

「西崎さんに招待のお礼状を書いて・・・ついでに相談したいことがあるって・・・伝えたいんだけど」

「なるほど・・・まかせてくれ」

そこへ・・・本土に上陸したモンスターが現れる。

「のぞみちゃ~ん。中におるんでしょう・・・あ~け~て~」

蒼白になる希美。虐待歴のある西崎は一瞬で事態を察するのだった。

「のぞみちゃんに話したいことがあるんやけん・・・すごく大事な話やけん・・・聞いてほしいんよ・・・ママ、なんかおなか痛くなってきた・・・東京は初めてやけん・・・疲れちゃった」

「あれは・・・嘘だな・・・声の調子でわかる・・・出たくなければ出なくていい」

「大家ですけど・・・どうしました」

「お世話になってます・・・娘に会いにきたんですけど」

「ああ・・・希美さんは・・・バイトなんかで・・・忙しくて・・・今、お留守ですよ」

すべてを了解している大家だった。

「会いたくないわけじゃないんです・・・でも・・・こわいんです・・・島のことがあるから・・・一人で・・・自分の力で生きていきたい・・・」

「誰の力も借りずにか・・・」

「助けてほしいと思った人はいましたけどね・・・」

「罪を共有した・・・彼か・・・彼はどうしているんだ」

「知りません・・・」

「そうか・・・安藤くんは・・・」

「安藤は・・・まっすぐで・・・ズルなんてできないから・・・」

「ズル・・・」

「私ね・・・彼女のボンベのハルブを閉めたんですよ・・・そっと・・・気が付いたらもう・・・やってました」

「・・・」

「私はとんでもない親を持った・・・とんでもない子供なんです」

「親は親・・・子は子じゃないか・・・」

「・・・」

希美は問いたい気持ちを抑える。

あなたはどうなんですか。あなたの体の火傷の跡を刻んだのは・・・誰なんですか・・・と。

希美の弟の洋介(葉山奨之)は大学生になっていた。

「姉ちゃん・・・母ちゃんが会えんかったってこぼしてたで」

「何の用か・・・知ってるん」

「どうせ・・・再婚の話じゃろ」

「再婚って・・・相手は」

「民生委員のおっさんじゃ」

希美は眩暈を感じた。

「それより・・・島じゃ・・・慎司さんの悪い噂がひろまっとった」

「どういうこと」

「なんでも・・・大学にいきよらんで・・・やめたっちゅう人もおって」

「・・・」

慎司は・・・友人の薦めで・・・大金を受け取ってコインロッカーに預けるだけで一件十万円のアルバイトをしていた。

家賃を滞納するほど金銭的に困窮していたのだった。

しかし・・・被害者の老人に・・・父親の姿を見る慎司。

「俺・・・この金・・・返してくる」

「何、言ってんだ・・・お前」

「だってこれ・・・詐偽だろう」

「おい・・・今さら・・・そんなきれいごとかよっ」

二人を取り囲む私服の刑事たち。

「ちょっと話を聞かせてもらおうか・・・君たち、大学生だよね」

逃走しようとする友人。立ちすくむ慎司・・・。

「礼状」を受け取った貴弘は妻には無断で希美と密会する。

「お話があるんですけど・・・」

「僕も・・・君に頼みたいことがあったんだ・・・」

マンション屋上のラウンジで逢う二人を奈央子は見ていた。

N作戦司令室・・・。

「・・・というわけで・・・野口氏は・・・土地を売却する意志が全くないことが判明しました」

「そうか・・・作戦は大成功だな」

祝杯をあげる三人。

しかし・・・貴弘の頼みごとは・・・どうやら・・・秘密のようだ。

そこへ・・・大家が花火を持ってやってくる。

安藤は西崎を誘う。

「いや・・・俺は・・・火がこわいんだ」

「ああ・・・」

それは・・・なぜですか・・・とは問わない希美。

「君も楽しんできたまえ・・・」

「・・・」

「心に何かを抱えていても・・・楽しめる時は楽しむべきだ」

大家と安藤と希美は束の間の美しさに浸った。

はかない・・・夏の終わりの花火だった。2004年はゆっくりと近づいてくる。

【2014年】高野(三浦友和)は妻とともに心療内科を訪れる。

「14年も症状が改善されないというのは珍しいケースです」

高野と二人きりの時に告げる医師。

「なんとか・・・妻の声をとりもどしたいんです」

「それが・・・プレッシャーになって症状を悪化させる場合もあります。状況を受け入れることも大切です」

「先生・・・私は苦しいんです。妻の症状よりも・・・その原因を・・・私だけが知らないような気がして・・・なんで私だけがこんなに苦しいのかと・・・真実を引き出そうとせずにはいられません」

「それがあなたや奥さんをさらに苦しめることになってもですか・・・真実が必ずしも・・・救いになるとは限りませんよ」

「たとえ・・・すべてを失うことになってもすっきりしたいってことはあるじゃないですか」

「・・・」

夫のあくまで自分本位の告白を立ち聞きしつつ・・・その件についてはスルーする夏恵だった。

一体・・・夫に語れない秘密って・・・もう・・・アレしかないんですけど。

まあ・・・我が子のように思っている慎司を庇っているという線もあるにはあるがな。

複雑な思いを抱えて・・・野バラ荘を訪れる安藤。

そこには十年前と同じく西崎が下宿していた。

「うわあ・・・これ・・・最近流行のタイムスリップみたいですね」

「大家のじいさんが・・・ずっとそのままにしておいてくれたんだ」

「そろそろ・・・本当のことを話してくれてもいいんじゃないですか」

「君に話すことは何もない・・・杉下にもだ・・・」

しかし・・・安藤は・・・杉下宛ての郵便物を発見してしまう。

揺れる・・・安藤の恋心・・・。

安藤は・・・高野を訪ねるのだった。

「君が来るとは意外だな」

「僕も・・・本当のことが知りたくなったんです」

「・・・」

「だって・・・西崎さんは・・・火がこわいんですよ・・・燭台で人を殴れるわけないんです」

「・・・」

希美の部屋には・・・西崎からの郵便が届いていた。

そこには札束と手紙が封入されていた。

「杉下君・・・久しぶり・・・君を巻き込み・・・俺と出会わなければ・・・本当にすまない・・・償っても償いきれないこと・・・それでも俺が君にできることがあれば・・・力になりたいと・・・」

その時・・・チャイムがなり玄関には高野が立っていた。

秘密はけして明かしてはならない。

明かさなければ・・・秘密は存在しないのである。

希美は自分にそう・・・言い聞かせる。

そして・・・。

ああ・・・なんて魅惑的な迷宮・・・。

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2014年11月14日 (金)

末永くお幸せにが裏返ると怨みます・・・あなたのこと・・・死ぬまで~だったらどうしよう。(綾瀬はるか)

この脚本家は基本的に弱い人間に優しいんだよなあ。

っていうか・・・弱い人間が好きなんだなあ。

そして・・・その描写を始めると肩に力が入りすぎるんだなあ。

今回・・・また道を踏み外しそうでヒヤヒヤしたよ。

まあ・・・主人公が力技でねじ伏せたけどな。

カレーうどん食べて歯が欠けるような人間は労わるしかないからなあ。

どうでもいい相手の痛みに敏感すぎて大切な人を傷つける。

結局、甘えたら優しくしてもらいたいってことだもんね。

甘えたい年頃ってあるからなあ。

三十路なんだけどなあ。

一人ベッドで膝をかかえられたら・・・許すしかないよねえ。

で、『きょうは会社休みます。・第5回』(日本テレビ20141112PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・狩山俊輔を見た。地味で堅実な父親の巌(浅野和之)と夫唱婦随の母親・光代(高畑淳子)に育てられ温室育ちの箱入り娘で世間知らずの人となり三十歳の誕生日まで処女だった帝江物産横浜支社食品部デザート原料課勤務・青石花笑(綾瀬はるか)は九歳年下の大学生でバイトくんの悠斗(福士蒼汰)に処女を奪われ恋の虜になったのだが・・・結婚適齢期を遥かに過ぎていたので足が地につかない日々を送っていた。

毎日が夢みたいだし・・・そういう日常を与えてくれた悠斗は神様みたいなのである。

まあ・・・花笑から見ればかなり世慣れしている風な悠斗だが・・・実際は三年前まで高校生だったのである。

お茶の間としてはその点を忘れてはいけないんだなあ・・・。

一歩間違えて京都大学にでも入学していたら、頭のおかしいデカルチャーな先輩に革命的共産主義者同盟全国委員会の奇妙な論理によって洗脳されてしまい立派な革命戦士(テロリスト)に仕立てあげられていた可能性さえあるのだ・・・おいっ。

そしてニュース番組をみたお茶の間で・・・。

「今、平成だよな」

「21世紀だよな」

「ここは日本だよな」

などと囁かれてしまうことになります。・・・おいおいっ。

「サフィラストレーディング」の親会社が買収され・・・CEOは解任、合同事業である「イタリア物産展」への参加が中止となり、グルノーブル産のクルミの大量在庫を抱え、右往左往する帝江物産横浜支社食品部デザート原料課一同の困惑も他人事のように感じる花笑だった。

ストーカーのような元CEO朝尾(玉木宏)から解放され、ランチタイムで自由奔放にカレーうどんを食す喜びに浸る花笑だった。

その有頂天ぶりに腹を立てた神様はありえない感じで花笑の前歯をコント的ボケ顔風にへし折るのだった。

うどん屋のおばちゃん、笑いすぎである。

そして・・・花笑の両親も笑いすぎである。

人間を外見で判断してはいけないとしつけられた娘には笑いのポイントが分からない。

マモルは特に無反応だが・・・犬だからだ。

しかし・・・両親の言いつけに従い・・・駅前の評判のいい歯科医にかかる花笑だった。

すると・・・そこには実家で働く歯科衛生士の鳴前ひろ乃(古畑星夏)が待ち伏せしていたのである。

潜伏してたなあ・・・。

「ちょっと相談したいことがあるんですけど・・・」

「はい」

「青石さんて彼氏いるんですか」

「一応・・・いますけど」

「私も好きな人がいるんです・・・青石さんも知ってる人なんですけど・・・」

「ああ・・・ブッシーさん」武士沢(田口浩正)であるわけがないだろう。

「いやだあ・・・悠斗さんですよ」

「・・・」

「青石さんて・・・悠斗さんのバイト先の人なんですよね・・・だからいろいろと教えてもらおうと思って・・・」

超高層ビルから落下する花笑の魂だった。

三十年間、出会ったことのない恋のライバル登場なのである。

ドクターSなら必要以上に燃えあがるところだが・・・花笑は暗闇で背後から鋭利な刃物で刺された気分なのである。あるいはチェーンソウで脳天かち割られた・・・もういいじゃないか。

相手はピチピチ・・・花笑は地味地味である。

鮮度抜群の相手に年齢的に歯茎から時々出血する自分が勝てる気がしない花笑・・・。

将棋で言えば飛車角行金将銀将桂馬香車歩兵抜きで戦うようなものである。

初手で投了かよっ。

せっかく手に入れた夢の世界が崩壊していく音に耳をふさぐの花笑だった。

そんな花笑と・・・元CEOの関係を嫉妬していたと告白する悠斗だったが・・・花笑にはその意味は不明なのである。

だから・・・元CEOとの関係を否定することもできないのだった。

この時点で実は悠斗はものすごく傷ついています・・・なんてったって三年前まで高校生だった男ですから・・・。

そして・・・ブッシーの店で何気なくひろ乃に会ったと告げる悠斗。

ファミレスでレポートを書いていた悠斗に「忘れらんねえよ」を返しにきたひろ乃なので・・・何も疾しいことはない・・・悠斗。

しかし・・・自覚なき嫉妬で目が眩む花笑だった。

「あれ・・・疑ってるの」と感じやすい悠斗である。

「ははは・・・そりゃ・・・ひろ乃ちゃんはピチピチだから・・・」と微妙にフォローするブッシーだった。

ひろ乃には言えないが・・・悠斗には言える花笑である。

「ひろ乃さんに悠斗が好きだって告白されちゃって・・・」

「で・・・付き合ってることは・・・」

「言えなかった・・・」

「なんで・・・」

もちろん・・・悠斗だって自信がないから公にしたいのである。

一方・・・花笑は・・・自分の心がわからないから言えないのである。

言ったら・・・悠斗を奪われてしまうのでは・・・誘拐されて山に埋められてしまうのでは・・・歯医者で一服もられて裸の写真を撮られて脅迫されるのでは・・・何よりも悠斗が自分から去って夢の世界が崩壊するのでは・・・とこわくてこわくてたまらないのである。

「ま・・・相手がかわいそうだからってことだよな」とざっくりとフォローするブッシー。

「じゃ・・・俺から言うよ」

そうなると・・・まるで・・・嫌なことを悠斗におしつけたみたいで・・・結局、ひろ乃を騙し討ちしたみたいで・・・完全に自分が悪者で・・・罪悪感で自分が傷つきそうな予感を察知する花笑。

「待って・・・今度、歯医者で・・・自分で言うから・・・」

自分を追い込んでいるようで結論、先延ばしの花笑である。

どれだけ花笑が恐怖しているのか・・・さすがに判らない悠斗である。

お茶の間だってほとんどわからないわっ。

きっと・・・脚本家だけがわかっているんだな。

ヘタレの中のヘタレの気持ちが・・・。

一応、点描として・・・元CEOから加々見(千葉雄大)に乗り換えようとする恋のアタッカー大川瞳(仲里依紗)のために・・・正体不明の先輩・大城(田口淳之介)がお膳立てしてくれたのに「好きだ」と一言言えない加々見が対比として演出されています。・・・力入ってたよな。しかし、出番作りの感じは否めないけどな。・・・本筋じゃないからな。本筋をすぐに忘れる脚本家なんでドキドキするよね。

そして・・・「私、初恋なんです・・・処女なんです。彼に捧げたいんです」攻撃で・・・言わなければいけないことを言えない花笑。

じゃ・・・なんで・・・自分で言うなんて約束したんだ・・・とお茶の間の責任感の強い人に糾弾される主人公だった。

だって機内にエボラ患者がいたらCAだってパラシュートで脱出するでしょう。

まったく説得力がないぞ。

とにかく・・・自分が傷つくのも嫌だし・・・自分みたいな人が傷つくのも嫌なんだよねえ。

襲いかかるゾンビから逃れるためにダッシュで袋小路へ・・・自分で自分を追い込んでいく花笑なのである。

幼い花笑には・・・自他境界線が確立しておらず・・・自分とひろ乃の区別がつかないのである。

それはそれとして・・・ブッシーの店で悠斗と待ち合わせはする花笑だった。

「どうしても・・・言えなくて・・・」

「う~ん」

当然、ひろ乃来襲である。

「今日、悠斗が来たら運命だと思うんです」

いたたまれず脱走を試みる花笑だったが・・・悠斗が到着してしまう。

事態収集のために・・・ひろ乃に五千円渡してレモンを買ってきてもらうブッシーだった。

「言えなかったの・・・」

「どうして・・・」

「だってえ・・・」

「どんどん・・・言えなくなるよなあ・・・恋を応援すると言っておいて自分が交際してるなんてごめんね青春!みたいなこと・・・」

「誰と誰が交際してるの」

「そりゃ・・・悠斗と花笑さんが・・・」

「え・・・」

「あれ・・・レモンは・・・」

「交際してるって・・・本当なんですか・・・」

「もちろんだ・・・俺は花笑さんと交際してるし・・・肉体関係もある」

「ひどい・・・」

「あ・・・五千円・・・」

「どうして・・・言えなかったんです」

「だって・・・初恋だって言われちゃうと・・・」

「花笑さんにとって僕は大切じゃないんですか」

大切に決まっているのに・・・問われれば・・・花笑の中のいろいろなものがねじれていくのである。

「いろいろな人とお付き合いしてきた・・・悠斗さんには・・・私たちの気持ちはわからない」

禁句であるが・・・早い話・・・花笑の心の奥では・・・まだまだシュシュの怨みが渦巻いていたのだ。

女の怨みは恐ろしいものよのう・・・。

「私たちって・・・俺たちの問題でしょう・・・」

ひろ乃と比較されて混乱する悠斗だった・・・なにしろ、三年前には高校生だったのだ・・・もう、いいぞ。

「ちょっと・・・わからなくなったんで・・・距離をおきましょう」

「え」

すでに棺桶に入って埋葬される気分の花笑。

もちろん・・・このセリフは・・・いろいろな人とお付き合いしてやることはやってきた悠斗の経験からくる根拠なき自信に裏打ちされています。

キャッチ・アンド・リリース・・・しかし、いつでもキャッチできます精神である。

どんな・・・狩人なんだよ。

花笑の数少ない友達で二児の母の笹野一華 (平岩紙)は相談に応える。

「ちょっとした喧嘩ね」

「喧嘩なの・・・これって喧嘩なの」

「だって・・・相手に自分を通そうとしているわけでしょ」

「え」

「彼氏よりも恋のライバルの味方をする彼女でいいでしょうみたいな・・・」

「私の気持ちなんか・・・きっと誰にもわからないわよ」

「じゃ・・・私たちも距離をおきましょう」

「ええええええ」

「だって・・・あんたのおままごとにつきあってるほど暇じゃないし」

「いやん」

そして・・・職場で顔を合わせてもそしらぬ顔の悠斗に・・・花笑は泣きたくなるのだった。

そして・・・元CEOからのアプローチである。

「仕事で困ってる・・・手伝ってくれないか」

恋を応援してくれた人に冷たくできない花笑である。

黄昏たCEOはとってつけたような用件で夫婦ごっこデートをするために黄昏た国産車でドライブなのである。

なにしろ・・・花笑の中では三十年間ずっと・・・両親のような夫婦になるためのおままごとは続いていたのだ。

「あなた・・・こっちもおいしくってよ」と昭和の夫婦はノリノリで演じることができるのだった。

「面白かったけど・・・時代設定間違ってるぞ」と正直な感想を述べる元CEO・・・。

「ホタルノヒカリ」なら「部長のターン」であるが・・・ココでは単なる三枚目なのである。

黄昏の海岸の魔法も・・・ひろ乃からの一通のメールでたやすく解けるのだった。

今、優斗さんと一緒です・・・悪く思わないで下さい

「私、帰ります」

「え・・・」

居酒屋の飲み会で同席する悠斗とひろ乃。

「あ・・・車のキーが・・・なくなっちゃった」

海岸で立ち往生する花笑と元CEO・・・。

ドタバタする恋人たち・・・。

だが、恋に破れたマモル(ジェントル)はもう餌を待つしか楽しみがないのだった。

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2014年11月13日 (木)

婚活パーティーでは女と女のラブ・ゲームは禁止です(竹野内豊)

でも・・・人生はゲームだからな・・・。

だから・・・男と女のラブ・ゲームならいいって話だろう。

ああ・・・そうか。

「初老の惑星」だからな・・・ラブ・ゲームそのものが遠いのか。

「30歳以上限定」だからな・・・。

「1973年度生れ限定」だと・・・どういうメンバーになるんだ。

なぜ・・・40~41歳限定に・・・。

それは秘密です。

宮沢りえ、後藤久美子、奥山佳恵、高橋由美子、中田有紀、篠原涼子、戸田菜穂、桜井幸子、藤谷美紀、三浦理恵子、さとう珠緒とか・・・結構、凄いな。

ちなみに・・・袴田吉彦もここだ。

じゃ・・・吉田羊と同級生対決だったのか。

だから・・・それは秘密だって言ってるだろがっ。

女に年齢の話は禁物だと何度言ったら・・・。

で、『素敵な選TAXI・第5回』(フジテレビ20141111PM10~)脚本・バカリズム、演出・今井和久を見た。今回は脚本協力のクレジットがなかったな。独り立ちしたのかっ。バカリズムは1975年生まれの38歳だからな・・・38歳の女心をあれやこれやしたいのだろう。ちやほやされたいお年頃だからな。もう脚本家の内面に踏み込む妄想はやめておけ。ごめんね!がいけないのさ・・・。とにかく・・・どんなに女心がわかっていても袴田吉彦には勝てない!・・・ってことなんじゃないか。

枝分(竹野内豊)が常連客となっている「cafe choice」で顔馴染みの標道雄(升毅)はまたもおめかしである。

婚活パーティに参加するためである。

二本のネクタイのどちらが似合うか・・・とウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)と関カンナ(清野菜名)やマスターの迫田(バカリズム)・・・そして枝分に問う標・・・。

全員一致で「両方、変なのでしない方がいい」と言われ・・・標の婚活には早くも暗雲が立ち込めるのだった。

一方・・・いかにも有能そうな外科医・篠崎美佐子(吉田羊)は唯一の独身の女友達が「婚活パーティで知り合った相手と結婚」と聞き・・・婚活パーティーへの参加を決意する。

美佐子はもう38歳だから・・・。

有能で美人の美佐子には華麗なるモテ期があったのだが・・・気がつけばアラフォーの独身女なのである。

病院の年下の看護師(加藤裕月)に「今日はなんだか・・・可愛い感じですね・・・デートですか」と問われ・・・言葉を濁す美佐子。

「婚活パーティーなのよ、もうすぐ40歳であせってんのよ」という本心は口にせず・・・「まあ・・・そんなところよ」とつぶやくのだった。

そういう意味で・・・選択にそつのないできる女なのである。

美佐子が参加する婚活パーティーはクッキングしながら親睦を深めようというスタイルである。

美佐子のグループは次のような顔ぶれである。

大手商社に勤める工藤(袴田吉彦)・・・美佐子の本命である。

区役所職員の前田(須田邦裕)・・・魅力は感じないが手堅い公務員。

韮沢(脇知弘)・・・問題外なので情報収集の必要なしである。

きっと・・・白金学院の卒業生で実家の熊井ラーメンを継いで仇名はクマなのだろう。だから・・・韮沢だってばさ。・・・ごくせんじゃないよお。

そして・・・大川端探偵社のデカ乳の受付嬢メグミじゃなくて・・・職業不詳のデカ乳の夏川英里香(小泉麻耶)である。デカ乳は譲れないんだな。

実年令26歳のなんちゃって30歳なのだ。

さらに・・・ドクターSの嗅覚器に危険な香りを感じさせる謎の女・・・永島知美(浅見れいな)・・・。

ドクターSは三十代半ばと予想するが・・・実年齢・31歳で・・・ドクターSより・・・かなり若いことは確実なのである。

基本、ドクターSは世界を自分に有利な方向で認識します。

医者になろうと考えて医者になり、有能な外科医になろうと考えて有能な外科医になる。

「私は失敗いたしません」なのである。

・・・やはりそこか。

謎の女は本名・大河内日奈で友達に選タクシー抜きで時空修正能力できる桃子がいるんだろう・・・もげっ・・・だから永島知美だってば・・・モップガールじゃねえよっ。時空間を遡上しすぎだろう。

自称・公務員も10年前に持株会社・吹雪ホールディングスの傘下に入った広域指定暴力団組織・赤刃組の元構成員で現金輸送車を襲い、10年間小田原刑務所に服役した高宮健太じゃないのか・・・だから・・・クロコーチの事なんか誰も憶えてないよお・・・。

「私は・・・女医です・・・趣味は料理です」

女医に激しく反応する一同。

(よっしゃあ)

ドクターSはすでに勝利を確信する。

そのために・・・攻撃を手控えるのである。

ドクターSが慎重に様子見をしている間にピラフ担当に立候補したデカ乳はターゲットの工藤に手伝いをおねだりするのだった。

思わず心の中で舌打ちするドクターSだった。

(デカ乳も・・・商社マン狙いかよ・・・商社マンだって会議室でピスタチオ袋詰めする係かもしれないのに・・・)

しかし・・・デカ乳との会話でそれとなく・・・世界を股にかける優秀さを醸しだす工藤。

(やはり・・・工藤が狙い目か・・・)

その時・・・デカ乳は工藤との会話に熱中して・・・ピラフを焦がしてしまうのだった。

すると・・・謎の女は・・・「篠崎さんは・・・料理が趣味なんですよね・・・これ・・・なんとかできませんか」

絶妙のパスで・・・ドクターSの見せ場がやってきたのだった。

「そうね・・・中華風おこげにしちゃいましょうか」

「さすがですね」

「中華風おこげか・・・おいしそうだなあ」とターゲットの工藤も微笑む。

(よっしゃあ)(よっしゃあ)(よっしゃあ)

高揚するドクターSはあたかも手術室の有能なドクターのように現場を仕切りはじめるのだった。

その時・・・公務員が。

「あれれ・・・この洗い物したの・・・永島さんかな」

「そうですけど・・・」

「いつの間に・・・」

「まあ・・・職業柄、こういう補助的なことは無意識でやっちゃうんです」

「職業って・・・」

「看護師です」

「ナースですか」

「ええ」

(ナースかよ、ナースなのか・・・ナースは女医より男受けポイント高いんだよな・・・)

その時、ナースNが必殺技を放つ。

「あ」と工藤を見つめ・・・顔についた「まつ毛」をつまみあげたのである。

「まつ毛です」

(気が利く優しい尽くすタイプのナースかよおおおお)

ドクターSの心に嫌な予感が生じるのだった・・・。

パーティーの最後は連絡先のカード交換である。

交際希望相手を書いたカードを封筒に入れて渡すシステム。

封筒が空の場合もあるが・・・ドクターSの封筒の中身は・・・クマのカードだった。

(ちっ)

そして・・・商社マンとナースNはツーショトで退場する。

ゲームセットである。

だが・・・外には・・・選タクシーが待っているのだった。

「お客さん・・・婚活ですか」

「どうしてわかるの?」

「いや・・・知り合いが・・・参加してたんで・・・上手くいきませんでしたか」

「ナースにしてやられたわ」

「ナースですか・・・」

「女医はナースに比べて不利なのよ」

「え・・・女医なんて凄いじゃないですか」

「そうでしょ・・・でも・・・このゲームでは・・・ナースが最初からボーナスポイントを持ってるの」

「ゲームって・・・」

「ああ・・・口惜しい・・・」

「じゃ・・・やりなおしますか」

「え」

アラフォーの外科医は・・・それほど金に不自由していないので・・・選タクシーversion1に比べて1/5の料金になったversion6でも・・・まだ少し高い時空修正料金を惜しみなく払うのだった。

再試合開始である。

デカ乳が料理を焦がす前に遡上するドクターS・・・。

「話に夢中になって・・・焦がさないでね」

ピラフを中華風おこげに変更する流れを阻止である。

そして・・・ナースNよりも早く洗い物にとりかかるのだった。

(よっしゃあ)

しかし・・・「痛っ」と声をあげる工藤。

包丁で指を切ってしまったのだった。

外科医の出番だとばかりに・・・キッチンタオルで濡れた手を拭くドクターS。

だが・・・ナースはさらに早く、現場に到着するのだった。

「見せてください」

「大丈夫ですよ」

「結構、深いじゃないですか」

そして取り出す・・・絆創膏。

「はい・・・これで大丈夫です」

「ありがとうございます」

「看護師なんで」

「え・・・ナースなんですか」

(やられた)

「あ・・・まつ毛」

(やられた)(やられた)

「あれ・・・洗いものしてくれたんですか・・・料理上手は片付け上手っていいますものね」

公務員の言葉も耳に入らないドクターS。

(やられた)(やられた)(やられた)

パーティーの途中で試合を放棄するドクターSはそのまま選タクシーへ・・・。

「リベンジよ」

「え」

「再試合をお願いするわ」

「でも・・・まだパーティーは・・・」

「コールドゲームなのよ・・・」

「はあ・・・」

「ナースに完璧にしてやられたのよ」

「じゃあ・・・もう少し前に戻って・・・グループをチェンジしたらどうですか」

「ナースに負けたままやめるなんて・・・そんな卑怯な真似はできないわ」

「いや・・・料金払ってやりなおしてる時点で・・・フェアじゃないですけど・・・あの・・・目的は素敵なパートナーを見つけることですよね・・・」

「何言ってんの・・・これは女と女の戦争よ」

「戦争って・・・」

「絆創膏が必要なの」

「それだと・・・パーティーの前まで戻って買ってから会場入りしないと・・・」

「金に糸目はつけないわ」

再々試合開始である。

デカ乳の失敗を封じ・・・洗いものはしないで・・・商社マンの「指きり待ち」をするドクターS。

もう・・・何かが完全に間違っています。

そして・・・。

「痛っ」

ドクターヘリ緊急出動である。

ナースNより、現場に先着するドクターS。

(よっしゃあ)

「見せてください」

「大丈夫ですよ」

「結構、深いじゃないですか」

そして取り出す・・・絆創膏。

「はい・・・これで大丈夫です」

「ありがとうございます」

「女医なんで・・・」

(よっしゃあ)(よっしゃあ)

「あ・・・まつ毛」

(よっしゃあ)(よっしゃあ)(よっしゃあ)

商社マンのカードをゲットするドクターS。

クマと公務員のカードを引いたナースNに勝利宣言である。

「二枚も引くなんて・・・さすがね・・・私なんかたった一枚」

そして・・・やってきた商社マンはさりげなくドクターSをデートに誘うのだった。

勝利の余韻にひたるドクターS・・・そこへ・・・。

七代目リハウスガール・・・建みさとが登場する。

本人じゃないだろうっ。建みさと(建みさと)かよっ。

最近・・・見たな。「HERO」にも「GTO」にも「吉原裏同心」にも出てたよ。

頑張るな・・・。

そして元リハウスガールは・・・だからね・・・工藤の正体を暴露するのだった。

「この男、婚活パーティーあらしなのよ・・・こうやってお持ち帰りして・・・やり逃げするんだから・・・」

「何・・・言ってんだ・・・こんな女の言うことを信じないでください」

しかし・・・すでに退場しているドクターSだった。

「あれ・・・意中の人を捕まえたのでは」

「いいのよ・・・とにかく・・・ナースに勝っただけで・・・満足なの・・・なんか・・・ついでに人助けしたような気分だわ」

「はあ・・・」

ところが・・・ナースNは今回、カードに公務員を記入したらしい。

ドクターSの前を通りすぎるナースNと公務員のカップル。

「なんだか・・・お似合いですねえ」

「ちっ」

闘志に火がついたドクターS。

「戻るわよ」

「戻りません」

「え・・・」

「だって・・・あなた・・・結婚に向いてませんよ・・・っていうか恋愛の意味がわかってないし」

「なんですって・・・」

しかし・・・その時・・・ドクターSは枝分が竹野内豊のそっくりさんであることに気がつく。

「あなたって・・・」

「なんですか」

「あ・・・まつ毛」

「やめろよ」

「私と結婚を前提としたお付き合いを・・・」

「しないよ」

「なんですって・・・」

まあ・・・ドクターSは・・・「神」をも畏れぬ性格なんだな。

それにしても・・・なぜデカ乳は選ばれないのだ。

脚本家が狙っているからか。・・・おいっ。

「cafe choice」へと逃げ込む枝分である。

標もまた・・・カップル不成立で帰還していた。

「ねえ・・・枝分ちゃん・・・誰かいい人紹介してよ・・・」

「そんな人は・・・あ・・・女医さんなんかどうですか・・・」

捨てる神あれば・・・拾う神ありって言うしねえ。

ああ・・・この店って神々の世界なのか・・・。

ウエイトレスの二人は天使なんだな。

まあ・・・小悪魔なのかもしれんがね。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

Sentx005ごっこガーデン。version7お披露目代々木路上風セット。まこ竹しゃまとイチャイチャ してるところをみられちゃいたいわ・・・それをペチャクチャ言いふらされたらまこはハッピー♪・・・むふっ♥でしゅ~。さすがはベンチシートでしゅね~。からだをひねらないでも・・・いろいろとむふふなのでしゅ~。まあ・・・工藤と枝分なら絶対絶対絶対枝分なのデス!・・・とにかく袴田ゲス男の歴史にあらたな一ページが・・・さすがは袴田くん・・・信頼を裏切らないっていうか・・・期待通りに信頼を裏切るっていうかくう「これって・・・結局・・・公務員とナースというお似合いのカップルの縁結びをするために神の仕組んだ毒をもって毒を制する作戦だったのでは・・・一回目のアプローチカードの交歓でナースは毒牙にかかっているわけだし~。・・・そしてきっと婚活パーティーのサクラのアルバイトをしていたメグミちゃんは淡々と大川端に戻って行くのよねえ・・・だってそこには素敵な探偵さんが眠っているんだもん

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2014年11月12日 (水)

近江の路は京の都に通ず(水原希子)

なんでローマ推しなんだよ。

温泉の恋しいシーズンですからあ。

テルマエ・ロマエかっ。

早く、Ⅱをオンエアしてもらいたいよね。

・・・お市の方が浅井長政に嫁いだ時期にも諸説あるわけである。

定説では永禄十年(1567年)で長政には永禄七年(1573年)生まれの長男・万福丸がいたことになる。

つまり、お市の方は後妻、あるいは継室なのである。

先妻は六角義賢の宿老の一人で佐々木高島系源氏の平井定武の娘とされている。

六角氏との同盟を解消して先妻を実家に帰したということになっているのだ。

しかし、長政には側室・八重の方もいて次男・万寿丸や三男・円寿丸なども生んでいる。

戦国時代ですからっ。

だが、お市の方が永禄四年(1561年)に嫁いだという説もあり・・・これならお市の方が全部生むことも可能である。ただし、この場合は同盟目的が・・・美濃攻略作戦の一環となるわけである。

長女の茶々は永禄十二年(1569年)生まれが定説だが・・・これも定かでない。

戦国の女たちは・・・天下人の妻となってさえも出生の日も定かではない・・・境遇なのである。

もちろん・・・サブローにはそんな知識はありません。

なにしろ・・・明智光秀が何をした人なのかも知らない人なんですからあ。

まあ・・・そういうもんだよねえ。偏差値が低いってことはさ。

で、『信長協奏曲・第5回』(フジテレビ20141110PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・岡田道尚・宇山佳祐、演出・金井紘を見た。永禄十年に美濃国を制して、尾張と合わせて二ヶ国持ちの大名となった織田信長は上洛を視野に北近江の浅井氏と同盟を結び、同母妹の市姫を浅井長政の室として送りだす。これで信長と長政は義兄弟となったわけである。信長は単独で三万、長政は一万足らずの動員力だったと推定される。この時期、武田信玄が一万五千、北条氏康が二万、上杉謙信が一万という動員数なので数で言えば圧倒的に織田家は単独首位にたったのだった。少なくとも・・・信長の中では天下統一が現実のものになってきたと思われる。

Nobuoo4さて・・・浅井一族は近江の北に古から棲む物部氏の一族を発祥とする説がある。本家は聖徳太子に滅ぼされるが物部一族は陸奥から九州まで全国津々浦々に繁殖していたのである。そんな近江浅井一族に藤原鎌足を始祖とする正親町三条家の庶子が流れ着いて戦国浅井家が歴史の舞台に現れるのである。出発点は近江源氏の主流・京極氏の郎党としてである。

さて・・・京極氏は・・・宇多天皇を始祖とする宇多源氏の流れである。源成頼が近江国佐々木庄に下って佐々木氏が発祥し、佐々木氏から京極家と六角家が分派する。京極家と六角家は時には対立し、時には協力して・・・近江源氏の主流となっていったのである。応仁の乱では敵味方となり、戦国中期には・・・北近江を京極家が・・・南近江を六角家がほぼ手中に収めつつあった。

しかし・・・世は下剋上である。京極家の家臣であった浅井家から・・・浅井亮政という猛将が出て、主家の京極家を圧倒し始める。京極家は浅井の庇護下に置かれるお飾りとなっていった。しかし・・・跡を継いだ久政は・・・戦下手であった。京極家の守護代として南近江の六角家に挑んだ戦いに敗れ・・・拡大した領土を失ってしまったのである。結局、久政は六角家に臣従し、婚姻政策で生き残りを図る。妹を美濃の斉藤家に、二人の娘を六角家と京極家に嫁がせるという平身低頭ぶりであった。そして・・・息子の長政には六角家の重臣の娘を嫁にもらったのである。六角の家来の娘を嫁にもらうというのは・・・つまり六角に浅井が臣従するということなのである。

ちなみに・・・久政の娘が嫁いだ六角義実は嫡流だが・・・叔父の六角定頼が主流派となって・・・長政は幼少時を定頼の人質として過ごした。

長政が元服すると・・・祖父譲りの勇猛さを示し、六角氏に反抗する。永禄三年(1560年)、赤尾清綱・海北綱親・遠藤直経らの重臣とともに若武者・長政は六角の軍勢を打ち破った。長政に魅了された家臣たちは久政に隠居を求め・・・ここに北近江の戦国大名・浅井長政が誕生する。長政は六角家から押し付けられた嫁を返品します。

つまり・・・信長は・・・この北近江の若武者に・・・市を嫁がせることにしたのだった。

てなことはまったく知らないサブロー(小栗旬)である。

ひょんなことから・・・明智光秀と名乗る本物の信長が一瞬、岐阜城に入り、浅井家の同盟のためにお市を嫁がせると決定してしまうと・・・婚前交渉のために・・・違うだろう・・・同盟締結交渉のために近江国小谷城に向かう軍師・竹中半兵衛(藤木直人)を猛ダッシュで追いかけるのだった。

お市の婚姻を条件に隠居の浅井久政(村井國夫)と当主の浅井長政(高橋一生)が同盟に同意したところで・・・サブロー乱入である。

「だめよ、だめだめ~。愛のない結婚なんて・・・お市ちゃんが可哀想だもん」

「えええええええええ」

「アイとは・・・なんでござろうか」

「染物でござるか」

「藍染なら・・・浅井家にもございまする」

とにかく・・・四倍の兵力を持つ相手との交渉なので浅井家もギリギリ下手に出て・・・織田家の無茶ぶりに対応するのだった。

しかし・・・婚姻という証がないとそう簡単には話に乗れないのである。

婚姻同盟なら対等の関係だが・・・領地を勝手に通せば・・・臣従したも同然で・・・浅井家の面目が立たないのである。

交渉は決裂し・・・岐阜城に戻ったサブロー。

「私、浅井に嫁ぎます」と市。

「そんなの・・・ダメだよ・・・結婚ってのは・・・恋愛して・・・お互いを認め合って・・・結婚指輪を薬指にはめないと・・・」

「指輪ですか・・・」

「そして・・・誓いのキスを・・・」

「祝言に鱚ですか・・・鯛ではないのですか」

「魚の種類じゃなくて~」

偏差値低い高校生は優秀な女友達に甘えるのだった。

「帰蝶ちゃんもなんとか言ってよ」

「他国に嫁いだからと言って幸せになれないとも限るまい・・・」

斉藤家から同盟の証として織田家に嫁いだ帰蝶なのである。

「そんなあ・・・知らない国に嫁ぐなんて・・・可哀想じゃん」

自分の妻の身の上を失念するサブローだった。

「帰蝶ちゃんて・・・冷たい」

「・・・」

バカの言うことなので我慢する帰蝶だった。

一方・・・やはり・・・くのいちだった帰蝶の侍女・ゆき(夏帆)はサブローの兵法書である「日本史の教科書」を本国に送付するのだった。

そんなゆきを敵国の間者と知って泳がせる復讐の鬼・木下藤吉郎(山田孝之)・・・。

藤吉郎はサブローに提案する。

「北近江国に忍び入り国境の浅井の砦に放火して参りましょうか」

「それ・・・いいね」

ピンときたサブローは「戦意のないことを示すために・・・美濃・北近江の国境にある織田方の砦の破却作戦」を実行する。

あきれ果てる浅井の父子だった。

そうとなれば・・・侵攻するしかないのである。

だって戦国時代ですから。

「え」

浅井が攻めて来たと知り・・・愕然とするサブローだった。

密かに市を慕う池田恒興(向井理)は市に浅井との婚姻を懇願するのだった。

「兄上・・・市は嫁ぎます」

「でも・・・」

「戦をしないで勝つのは市の願いでもございます。今の織田なら・・・浅井に負けはしないでしょうが・・・戦をすれば・・・傷つくもの・・・死ぬものは・・・必ず出ますでしょう」

「・・・」

「これは・・・市の役目にございます」

花嫁衣装を着た市を盛大に送りだす織田家一同。

そのあまりの美しさに・・・正史では・・・市の再婚相手となる柴田勝家(高嶋政宏)は胸きゅんである。

池田恒興の手紙で「織田家の指輪」のならわしを知った長政は特注の指輪を用意して・・・新妻を迎えるのだった。

戦国一の美男美女カップル誕生である。

ようやく・・・帰蝶が敵国に嫁いできた女であることに気がつくサブロー。

「ごめん・・・俺がバカだった」

「うつけじゃからの・・・」

「俺・・・帰蝶ちゃんのいい夫になるよ」

「何をしてくれるのじゃ・・・」

「デート」

仲睦まじく・・・馬で遠乗りに出かけるサブローと帰蝶だった。

その姿を・・・怪しげに見つめる覆面の武将・・・明智光秀こと・・・帰蝶の本当の夫・信長だった。

まあ・・・二人は仮面夫婦だったんだろうけどさ。

とにかく・・・織田浅井同盟が成立し・・・上洛の準備は整ったらしい・・・。

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2014年11月11日 (火)

中の人などいない!(錦戸亮)

「いずっぱこ」こと伊豆箱根鉄道駿豆線、「みとしー」こと伊豆・三津シーパラダイスに続いて実在する三島市の公式キャラクター・「みしまるくん」登場である。

あまちゃん」の実はフィクションである「北三陸市」や「北三陸鉄道リアス線」よりもさらにリアル「三島市」を混入してフィクションの地平線を彼方に感じさせるこのドラマ。

この虚実一体感は・・・他の追随を許さない見事なテクニックの成果である。

もう・・・「箱根まで駅伝」(フィクション)も実在しそうな気分である。

三島中央高校も、三島農業高校も、駿豆商業高校もきっとある。

駿豆西高校の可愛い第一走者もきっといる。

そこかっ。

で、『ごめんね青春!・第5回』(TBSテレビ20141109PM9~)脚本・宮藤官九郎、演出・山室大輔を見た。人間の心情とは難解なものだ。パーソナリティー(心理的人格)の難解さを簡易化したものがキャラクター(特徴的人格)である。たとえば・・・本当は好きで好きでたまらないのに嫌いなフリをするツンデレというキャラクターはかなり世間に浸透していると言えるだろう。しかし、実際にはツンデレも複雑なパーソナリティーの一部分に過ぎない。つまり、ツンデレというキャラがパーソナリティー全体の暗部を隠蔽しているわけである。今回、未検挙の放火犯である原平助(錦戸亮)は駒形大学付属三島高校と聖三島女学院の合併後の校名を「駒形大学付属聖駿高校」と命名する。これに対し神保愛(川栄李奈)の第一声は「だっせーっ」なのであるが・・・次のシーンでは「聖駿高校っていいよね」と否定から肯定に豹変する。もちろん「気まぐれ」で「移り気」なキャラクターでもあるが・・・これもまた「ツンデレ」の一種である。本音は「好き」でも建前は「嫌い」なのである。実はこのキャラクターの古い名前には「マッチポンプ」という奴がある。「あいつはひどい奴だ」と火をつけておいて、みんなが同意して悪口を言い出すと「でも意外にいいところもある」と火を消すタイプである。これには一種の悪賢さも感じさせる要素もあるが・・・ツンデレと言えないこともないのである。

クドカンワールドの面白さは難解な要素を含んでいる。

今回、ヒロインの蜂矢りさ(満島ひかり)が結婚相手と定めた平助のことを・・・「どうしても好きになれない」と言い続けるのだが・・・それが本音なのか・・・建前なのか・・・判然としないのである。

実は・・・ものすごく「ツンデレ」なだけかもしれないわけだ。

しかし・・・「好きになれない」と本人が言えば・・・そうなのかと思うのが人情というものなのだ。

「いや・・・口ではそんなことを言うが本心は・・・」と言い出すのはストーカー要素があるしな。

けれど・・・悩みに悩んでいる風なりさが・・・原平太(風間杜夫)の一言、「うちの息子はまんざらでもない感じだった」と言うだけで喜びに浸るのはどういうことか。

結局、りさの悩みは「私がこんなに好きなのに彼がちっともそんな気がなかったらどうしよう」という気配を漂わせるわけである。

その瞬間、かわいいよ、りさかわいいよが発生するのは言うまでもない。

それがツンデレの奥義だからである。

もちろん・・・格闘家好きのりさが・・・本当はナイスボディーの男子生徒会長・半田豪(鈴木貴之)の告白に心を動かされていて・・・気をそらせるために平助との結婚という妄想に熱中しているという可能性もあるが・・・真相としてはかなりの高倍率の線だと思う。

そういうことをああでもないこうでもないと考えていると一日なんてあっとう間だ。

恐ろしいドラマだなあ。

親友の好きな相手・蜂矢祐子(波瑠)と交際してしまった蔦谷サトシ(永山絢斗)も酷い奴だが・・・祐子のような美少女に迫られて親友を裏切らない男はゲイだけであるという考え方もあり・・・軽く見える性格も・・・重さの裏返しかもしれない・・・わけである。

そういうことをクドカンは淡々と見せてくるのだが・・・分からない人には本当に分からないわけである。

たまりませんね。

さて、圧倒的な美少女として設定されたサンダルこと山田・ビルケンシュトック・京子(トリンドル玲奈)と圧倒的に不釣り合いなチビクローズことサル(矢本悠馬)・・・もう本名はどうでもいいよね・・・の交際に・・・非公認ファンクラブを運営する名門駿豆西高生(平埜生成)は猛烈な嫉妬を感じ・・・列車内でサルを集団暴行してしまうのだった。

恐ろしい犯罪行為だが・・・クドカンワールドではそれも人の営みにすぎない。

他のドラマではうやむやに処理されることをきちんと警察権力が介入してくる。

しかし・・・警察権力が介入してもうやむやになるところが面白いのである。

サルは「俺は被害者じゃない」と主張するが・・・警察官は「加害者が、非を認めて謝罪したいと言っているから」・・・と穏便な処理に動くわけである。

「喧嘩上等」のサルの自意識の損傷は無視されるわけである。

聖三島女学院校長の吉井良江(斉藤由貴)の関心も・・・サルがサンダルと交際している意外性に向けられるのだった。

恐ろしい犯罪行為の首謀者にはほとんど実害がないという・・・恐ろしい展開である。

しかし・・・すでに・・・絆で結ばれつつある実験クラスのメンバーたちは・・・三島市観光協会が主催する「第三回高校生箱根まで駅伝」への参加を決定する。駿豆西高が三連覇中の大会で足の速いサルを中心としたメンバーが勝利することで雪辱を果たそうと言うのである。

成績が学年トップクラスで生徒会長の中井貴子(黒島結菜)の推進力、恐るべしなのであった。

すべては・・・愛する平助のために・・・なのである。

そして・・・自分の青春時代になかった・・・男女の絆に・・・平助は泣けてくるのだった。

「青春にはプライドが必要だから・・・」なのである。

一方・・・蜂矢善人(平田満)の農園に自主的に通うサトシ。

「俺の仕事の邪魔をするな」とツンツンする善人だったが・・・最後は「ジャガイモの収穫は終わった・・・来週はサツマイモの植え付けで忙しくなるぞ」とデレデレなのである。

つまり・・・これがりさの父親の正体なのだ。

未検挙の放火犯である平助によって無実の罪を着た娘にも・・・冷たくしたことを後悔するのだった。

「あの時・・・暖かく励ましてやれなくてごめんね」

金曜日は忙しい三宮校長(生瀬勝久)がパーソナリティの三島のミニFM局の番組「カバヤキ三太郎のごめんね青春!」に父娘で登場する蜂矢家の人々。

りさは・・・「結婚相手を好きになれない」という悩みを「ガールズバー」の結婚相手の父親の一言で自己解決してしまう。

「そのことは解決しました」

つまり・・・そういうことなのである。

礼拝堂の告解室で・・・「人を好きになるって難しい」と姉と同じ悩みを懺悔した妹は・・・結局、「好きな人に好かれなかったらどうしよう」という乙女にすぎなかったのである。

それにしても祐子とりさ・・・恐るべき姉妹感だな。

一方・・・やはり・・・あの一言が・・・好きな人を出奔させるきっかけを作っていたことを知り・・・打ちのめされる平助。

「娘に優しくしてくれてありがとう」と言われ「すみませんでした」と謝るしかないのである。

そして・・・「本当は僕が犯人です」という告白のハードルはさらに高くなっていくのだった。

そんな・・・年上の義理の弟に激しくアタックする兄嫁でホリコシ出身のエレナっちょ(中村静香)は・・・一日三回のセックスが週三回に激減した夫・一平たん(えなりかずき)に対する不満を熱く語るのだった。

一平は倦怠期を脱する刺激を求めて・・・ラブホテル「R」で微妙に妖艶になった養護教諭のドンマイ淡島舞(坂井真紀)と「一休さん的虎を屏風から追い出すセックス」を行い・・・「結婚のおねだり」という怪物を召喚するのだった。

ここで・・・なぜ・・・サンダルがサルに魅了されたのかという・・・謎の遠い解説が試みられる。

サルは実は・・・三島市に棲息するイチョウの妖精「みしまるくん」の仮の姿だったのだ。

逆だろう・・・。

世界で一番有名なネズミにも中の人などいない。

・・・そうですか。

とにかく・・・本当は京都の大寺のボンボンだが・・・貧乏な半田のプロフィールを詐称したサルことイニシャルがFの古井豊はイニシャルがNのご当地キャラクターの伝道師・中野(中川家・剛)の期待に応えるためにすべてのスケジュールをFで埋めることを目指すのだった。

あえていおう・・・NのためにすべてがFになる・・・のである。

素早いコネタ展開だなあ・・・。

改編期にすべてのタイトルをチェックしてたんだ・・・。

涙ぐましい努力だよね。

とにかく・・・サンダルはサルの中のみしまるくんの輝きに魅了されたのだ。

そして・・・「箱根まで駅伝」当日は・・・みしまるくん参上なのである。

みしまるくんとサルは同時に存在できないのである。

サルのために・・・参加する駅伝にサルが参加できないのである。

この矛盾を解消するために集団暴行の首謀者に暴行するサル。

事情を知った平助はサルを停学処分にする。

納得できない・・・生徒たちだったが・・・。

「腑に落ちないくらい・・・我慢しなさい」というりさ。

つまり・・・不条理とおりあいをつけるのがグローイングアップの真髄なのである。

サルの面子を守るために・・・参加を決めた駅伝に・・・いかなる事情があるとはいえ・・・参加しないことは・・・全員のhonour(名誉)を損じる・・・腑に落ちないことこそ・・・青春の輝かしい思い出になるのです」

腑に落ちない青春の残滓に苦しむ平助の心情吐露である。

「わからないけど・・・わかりました」

とにかく・・・担任の平助の・・・役に立ちたい生徒会長だった。

だって・・・愛してるんだもん。

そして・・・かけめぐる青春である。

駒形大学付属聖駿高校のメンバーは中井、神保、遠藤(富山えり子)、海老沢(重岡大毅)、半田(鈴木貴之)、大木(竜星涼)、成田(船崎良)の七人である。

遠藤・・・なんで選抜されてんだ・・・。

さらに・・・一休さんが妻帯者と知ったドンマイはこれ以上なくガクガクブルブルし・・・観音様に憑依した亡き母・みゆき(森下愛子)の亡霊は・・・長男を激しく叱責するのだった。

「この子はもう・・・出家の身にあるまじき・・・在家の五戒も守れぬとはもう・・・口惜しや・・・不邪淫戒を犯した上はもう・・・地獄に堕ちる身・・・不憫なれども許すまじ・・・」

もはや・・・夜叉と化した亡霊に「ぎゃっ」と叫ぶ僧侶だった。

ああ・・・どこまで行くんだか・・・あな恐ろしや・・・。

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2014年11月10日 (月)

露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことは夢のまた夢・・・と太閤秀吉(岡田准一)

「甲子夜話/松浦靜山」(1841年)の伝える豊臣秀吉の辞世。

技巧的だった秀次の辞世と比べると、その天才ぶり、自由奔放さが明らかで・・・爽やかである。

「露が生じるのは夜明け」であり、それが消えるのは「昼日中」である。

つまり・・・陽光に満ちているのである。

露もまた陽光を受けて光っているのである。

そして・・・光つつ、大地に飲み込まれ、あるいは蒸発して・・・美しい生涯を終える。

つゆ、つゆと来て・・・ゆめ、ゆめと繰り返す辺りも流行歌のリフレインのような軽さが漂っている。

それでありながら・・・「夢の中の夢」と超現実的要素まで盛り込まれているのだ。

この歌を自嘲と捉えるか、恐ろしいまでの自己陶酔と捉えるか・・・それは聞き手の感性にもよる。

豊臣秀吉はやはり・・・日本史上、稀有の存在だったことは間違いない。

秀吉がもう少し長生きして四世紀前から朝鮮半島が日本の領土になっていれば・・・みんなもっと幸せになっていたと思う。

まあ・・・そういうことも夢のまた夢なのである。

案外、明治維新は朝鮮半島から始っていたりして・・・。

なにしろ・・・征韓論の成立しない時空間になってるわけだし。

西郷さんも長生きしたんだよな・・・きっと。

あくまで・・・高い城の男のような話である。

で、『軍師官兵衛・第45回』(NHK総合20141109PM8~)脚本・前川洋一、演出・大原拓を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は幽かに減って24行。とにかく・・・徳川家康は元祖ダルマだったわけですな。それはそれとしてご臨終記念・太閤豊臣秀吉晩年のイラスト大公開で感涙でございます。竹中秀吉と岡田官兵衛の演技はそれなりに重厚なのですが・・・天下統一という偉大な業績の具体的な成果がほとんど描かれていないので・・・二人の苦労が水泡に帰する感じがそれほど伝わらないんですよねえ。百年以上続いた下剋上がまもなく終わり・・・二百年の停滞が今、始ろうとしている。そういう荘厳さにはやや欠けるような気がいたします。歴史上の人物も人間に過ぎないわけですが・・・それだけじゃあないだろうとも思う今日この頃でございます。

Kan045慶長二年(1597年)七月、朝鮮水軍は司令官を李舜臣から元均に交代し、巨済島沖で出撃準備中に日本水軍によって壊滅する。元均は戦死し、以後、朝鮮水軍は存在しないに等しい状態となる。黒田熊之助は母里吉太らと共に渡海中に海難にあい溺死。秀吉が年寄として頼みとした小早川隆景が病死。俗に言う五大老は秀吉生前に欠損してしまう。そこで秀吉は十人衆を選抜する。後の世に五大老と呼ばれる徳川家康(関東)、前田利家(北陸)、宇喜多秀家(近畿)、毛利輝元(中国)、上杉景勝(東北)の大大名と浅野長政、石田三成、増田長盛、長束正家、前田玄以ら秀吉側近の官僚集団である。後の世で五奉行と呼ばれる彼らは全員合わせても五大老のひとりの石高に足らず、いかにも秀吉ありきの歪な政治体制だった。十月、室町幕府15代将軍足利義昭死去。名実ともに室町時代が終焉。朝鮮半島では軍師・黒田如水がゆっくりとした前進を展開し、一年間で朝鮮半島南部をほぼ支配下に置く。慶長三年(1598年)三月、秀吉は醍醐寺に庭園を造営し、盛大な花見を挙行する。五月、秀吉は八幡明神(軍神)化を宣言。五大老に秀頼に対する起請文の提出を求める。八月、再度五大老に起請文を提出させるも直後に死亡する。これを受け、日本軍は明軍と和蟻を結び、撤退を開始する。十二月、撤退中の日本水軍を李舜臣の朝鮮水軍残党が襲撃、応戦した島津水軍の銃撃により李舜臣は戦死する。日本軍は粛々と帰国の途に就いた。死後、朝鮮半島で李舜臣が英雄として祭り上げられたことは言うまでもない。蹂躙されっぱなしだったでは朝鮮王家の面目にかかわるからである。

伏見城の北の森で・・・老忍・猿飛秀吉と戦国最強の刺客・初音が死闘を演じている頃。

南の森では・・・初音に誘導された徳川忍び衆が真田忍軍と遭遇戦を演じていた。

真田忍びと服部半蔵配下の伊賀衆が共に斬殺され・・・忍び戦が勃発してしまったのである。

真田屋敷と徳川屋敷の結界が重なっていた虚をつかれたのだった。

そして、あろうことか、服部半蔵と猿飛佐助が相対してしまったのである。

森の中に恐ろしいほどの殺気がみなぎっていた。

半蔵の放つ伊賀十字打ちの手裏剣がすべて虚空に消える。

「できる・・・」

半蔵は相手の力量を知り、戦慄した。

「よもや・・・甲賀の猿飛か・・・」

半蔵は秀吉が甲賀の猿飛の一族であることを知っていた。

そして・・・その一族に佐助という名人が生まれたことも・・・。

「甲賀者が流れて真田の忍びとなっていたのか・・・」

半蔵は得意の木の葉隠れを使うべく風上に移動しようとするが・・・敵は驚異的な移動力でそれを阻む。

「おのれ・・・」

強烈な気を感じた瞬間、半蔵の配下が割って入る。兜割の石打ちを受け、伊賀の下忍は即死する。

半蔵配下の忍びは・・・佐助めがけて殺到するが・・・森の中の佐助は無敵だった。

半蔵は仕方なく・・・撤退を開始する。

その動きを油断なく捉えた佐助は必殺の一撃を放とうとする・・・その時。

「佐助・・・待て」

「才蔵・・・伊賀者だけに・・・伊賀の頭に情けをかけるか・・・」

「太閤殿下が・・・討たれた」

「なにっ・・・」

「幸村様の命じゃ・・・退いて・・・真田屋敷を守るのじゃ・・・」

「・・・承知」

数人の忍びの骸を残し・・・夜の森は静けさを取り戻す。

もちろん・・・それは嵐の前の静謐であった。

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2014年11月 9日 (日)

余命一日の人体模型と私(桐谷美玲)

21世紀初頭に学力の標準を低位させる教育的試行錯誤が行われた。

人間力の養成という不可解な目標を掲げた教育方針の混迷は結果として全体的学力の低下の傾向を示す。

日本における経済的停滞とあわせ、「向上心」を「悪」とする傾向は「一位でないとダメなんですか」という言葉に集約される。

まあ、一位を目指さない人間は二位にも三位にも最下位にすらなれないからな。

この学力の向上の停滞と少子化という全体数の減少により21世紀初頭に教育期間を迎えたものに「ゆとり世代」が冠される。

切磋琢磨しないために競争力が乏しく、全体が縮小しているために頂上も低い。

そこから生じる「なんとなくバカ」なイメージが「ゆとり世代」に与えられると・・・当然のことながら・・・「ゆとり」でも優秀な人間に反発が生じ、「ゆとり」は「差別的言動」という批判が生じる。

そこで生み出されたのが「さとり世代」である。

新しく生じた「素晴らしいインターネットの世界」に最初から順応した「仮想」と「現実」の狭間に棲む彼らには流血と根性のフィギュア・スケーター羽生結弦も含まれる。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第5回』(日本テレビ20141108PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・佐藤友治、演出・佐久間紀佳を見た。「学校の怪談」あるいは「学校の七不思議」において真夜中に歩きだす人体模型は定番の一つである。人体模型は内蔵剥き出しのグロテスクさでゾンビ的要素が造形に含まれている凄いアイテムだと思う。映画「学校の階段3」(1997年)では野田秀樹的な人体模型が大活躍である。人体模型をこよなく愛するヒロインのドラマ「ヤマトナデシコ七変化♥」(2010年)などというものもあり、人気の高さが偲ばれる。

「頑張ったりするのはなんだか性に合わないし、なんとなく生きていければいいので将来の目標は特になし」という童守高校 2年III組の生徒・山口晶(清水一希)が進路希望を空欄のまま提出するので困惑する担任教師のぬ~べ~こと鵺野鳴介(丸山隆平)である。

妖狐である玉藻京介(速水もこみち)に相談すると・・・「いわゆるひとつのさとり系ですね」と言われ、思わず自宅に居候している妖怪サトリ(矢部太郎)を連想するぬ~べ~だった。

「素晴らしいインターネットの情報によって世界を熟知した気分にひたる・・・夢見がちな若者のことですよ・・・そういう人間は私が生まれた江戸時代からいます」

「夢を見るのはいいことじゃないですか」

「現実で夢を見るのと・・・現実を夢と見なすのは違いますよ」

「玉藻先生の夢は何ですか」

「私の夢・・・目標というなら・・・この世の支配者となり、人間を恐怖のどん底にたたき落とすことです」

「それはちょっと・・・」

熱血を秘めた高橋律子先生(桐谷美玲)は「妖怪現象はすべてプラズマで説明できる」という意味不明な主張で実験を続ける。偏差値の低い童守高校において成績上位の山口晶に進学を勧めるが、晶は目標を定めてそれに向う行為がなんとなく恐ろしいのだった。

「人体模型・・・君はいいよな・・・いつもありのままで」

「じゃあ・・・変わるかい」

「え」

童守高校の理科準備室の人体模型はもののけ化していたのである。

人体模型に生じた魂は晶に憑依して・・・人格を支配するのだった。

「やった・・・僕は人間になれたぞ」

どこか・・・知的障害者風の人体模型の晶は獲得した自由を謳歌する。

世界最高の霊能力者となり大金をせしめるのが目標のイタコ見習い・葉月いずな(山本美月)は童守寺和尚(マキタスポーツ)の大太鼓伴奏で人体模型の晶と微妙なダンスバトルを展開する。

勢いのついたいずなはぬ~べ~の下宿を尋ね、押し掛け女房的雪女のゆきめ(知英)たち居候の妖怪たちと意気投合し、妖怪サーカス計画の夢想にひたるのだった。

妖怪サーカスは子供にしかみえないサーカスの心あたたまるメルヘンだが・・・ここではこれで通過かな。

なにしろ・・・児童ではなく生徒が相手のドラマになっているものですから。

翌日、学校に現れた人体模型の晶の・・・豹変ぶりに驚くクラスメイトたち。

「わーい、今日もがんばって勉強するぞ」

「え」

霊能力で人体模型の晶の正体を見破り、強制成仏にかかるぬ~べ~に玉藻先生が疑問を投げかける。

「人間のために・・・妖怪の魂を滅する・・・それが・・・本当に正義と言えるのか」

「・・・」

「晶の魂は一日くらいなら・・・消滅することはないだろう・・・一日、執行猶予を与えてやったらどうだ」

はつらつとした人体模型の晶に絆されて・・・強制成仏を思いとどまるぬ~べ~だった。

事情を聞いたクラスメイトたちは一日留学生として人体模型の晶と接することで合意する。

栗田まこと(知念侑李)は「人体模型だから・・・ジンタと呼ぼう」と提案、人体模型の晶はジンタとなるのだった。

ジンタでいいや・・・とクラスメイトに納得される晶・・・存在感ゼロだったのか。

授業を受け、サッカーに興じるジンタは・・・ある意味で・・・人間初心者であり・・・生徒たちは物珍しさも手伝って和気藹々である。

ジンタが妖怪とは知らずに・・・律子先生は生徒を励ます「夢がかなうお守り」をプレゼントするのだった。

実は・・・ジンタはいつも人体模型を優しく磨いてくれる律子先生に恋をしていたので歓喜するのだった。

そして・・・ジンタにとって夢の時間はあっというまに過ぎ・・・別れの時がやってきた。

「楽しかったよ」

「これでお別れなんて残念だ」

「ジンタ、さようなら」

クラスメイトの優しい言葉に感激するジンタ。

「このまま、お別れなんていやだ・・・このまま、人間でいたい」

「じや・・・晶はどうなるの」

「これ以上、憑依されたままでいると人間の晶の魂は消えてしまうかもしれない」

「それはひどい・・・ジンタ、晶を戻してくれ」

「なんだ・・・晶よりジンタがいいって言ったのは嘘だったのか」

教室から逃げ出すジンタだった。

「ぬ~べ~・・・晶を助けて」

やはり・・・妖怪より人間を愛する人間たちである。

律子先生に救いを求めるジンタ。

しかし、その姿は人体模型化し始める。

「律子先生・・・僕の夢はかないました。律子先生、僕はあなたが大好きです」

愛を囁きながら迫ってくる人体模型に・・・お化け嫌いの律子先生は気絶するのだった。

「律子先生・・・」

「ジンタ・・・すまない」

鬼の手を発現させ晶の身体からジンタの魂を抽出したぬ~べ~は強制成仏を実施する。

ジンタはこの世から消滅した。

「ジンタはどうなるの・・・」

「きっと・・・人間に生まれかわるよ・・・あんなに人間になりたがっていたんだから・・・」

「律子先生が気絶していてよかった」

しかし・・・途中から目覚めていた律子先生は・・・すべてを知ってしまうのだった。

晶にはジンタの遺言が残されていた。

「きみのからだをかりて人間になれてうれしかった・・・きみが人間として・・・もっともっと楽しいと・・・いいなとおもいます」

晶は・・・ジンタの喜びと悲しみを傍観していた。

そして・・・ただ生きていることの本当の意味を知ったのだった。

「ぬ~べ~・・・ボクは・・・ジンタの分まで人生を楽しむことにしたよ」

「そうか・・・」

「なんとなく生きていたらなんとなくしか楽しくない・・・もっと凄く楽しいことを捜す」

「ありがとう・・・晶」

「なんで・・・ぬ~べ~が感謝するんだい」

「俺は・・・そういう男だからさ」

そんなぬ~べ~を追いかける律子先生。

「私・・・本当のことを知ってしまいました」

「え」

「それとは別に・・・気がついたことがあります」

なぜか熱くぬ~べ~を見つめる律子先生。

そんな二人を嫉妬に燃えた眼差しでゆきめは見た。

何かを得ると言うことは何かを失うということなんだな。

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2014年11月 8日 (土)

美しい女(中越典子)綺麗な人(小西真奈美)何かを隠す女(原日出子)胸に秘めた野望(榮倉奈々)

サイコな希美ママが更生すると・・・今度は西崎ママがバトンを受け継ぐのか・・・。

実に飽きさせない展開をしてくるな。

「夜行観覧車」もろくでなしママのパレードだったが・・・「ふつうの家庭」に縁薄い子供たちの話は・・・どうしても面白いんだなあ。

希美に対する虐待がソフトなものに感じられるハードな西崎の記憶。

十字架にかけられるために生まれてくるものの聖なる夜に殺人事件はフィットするんだなあ。

究極の愛を求めずにはいられないものの生い立ち・・・それは「ふつうの家庭」では育まれにくいんだよねえ。

で、『Nのために・第4回』(TBSテレビ20141107PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・山本剛義を見た。ジグソーパズルのジグソーとは糸鋸のことである。バラバラにするために使うわけだ。そういう意味でジグソーパズルにはほんのりとホラーの香りがするわけである。回想はドラマの常套手段だが、このドラマのように時間を断片化させたものが苦手な人は多いかもしれず、そういう人はジグソーパズルも苦手のような気がする。断片化したピースが原型を取り戻す興奮というのは一種の変態性を醸しだすような気もする。もちろん、図形や立体と違い、時間の境界線は一般人にとって曖昧なものである。それは人間の認識力が現在を永遠に認識できないことと無関係ではないだろう。それでも些細な疑問は湧く。同窓会のために島へ帰り、成瀬慎司(窪田正孝)の父親の通夜の後で杉下希美(榮倉奈々)はどこに泊ったのか・・・とか。

【2014年】高野(三浦友和)は「スカイローズガーデン殺人事件」で被告となった西崎真人(小出恵介)の弁護人となった法律事務所を訪れる。

「なぜ・・・この事件を調べているんですか」

「半年前、この事件に二人の人間が関わっていることを知りまして・・・」

「二人?」

「慎司と希美です・・・この二人は別の事件にも関わっているんです」

「その事件は未解決なんですか」

「はい」

高野は資料に書かれた二人の調書から・・・過去へ向かって旅立って行く。

【2004年】クリスマスで賑わう東京。高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階では大手商社に勤務するエリートビジネスマンの野口貴弘(徳井義実)と希美が将棋を指していた。野口が中座したために希美は別室の出来事に気付かず、時を過ごした。

料理のデリバリー会社に勤務する慎司は偶然にも幼馴染のいる部屋へ宅配して惨劇を目撃する。

野口貴弘が不倫した妻の奈央子(小西真奈美)を殺害し、奈央子の愛人の大学生・西崎真人が貴弘を殺害したのだった。

しかし・・・その場にいた安藤望(賀来賢人)は・・・「僕のせいだ・・・僕のせいでこんなことに・・・」と呟く。

慎司は希美に呼び出され、「希美」と名前を呼びながら室内に入った。

希美の鮮やかな黄色の衣装は・・・血で汚れていた。

横たわる二つの死体。

座り込んだ西崎・・・。

【2014年】希美と再会した安藤はディナーを共にする。

「高野さんが来たんだって」

「事件のことを聞きに・・・杉下のところへも行くんじゃないのか」

「・・・でも、今夜は懐かしい友達に会えてうれしかったわ」

「もう・・・事件のことは忘れよう」

「忘れられるの・・・私には無理」

「僕がいけないんだ・・・僕のせいで・・・」

「もう・・・やめて」

ちぐはぐな二人の会話・・・店を飛び出す希美・・・。

逃れようとする過去の「何か」から・・・亡霊のように高野が飛び出すのである。

【2002年】島を出て明央大学に通う希美は二年生になっている。下宿する「野ばら荘」の住人である西崎と安藤とも良好な関係を築いている。第一の時間がゆっくりと第二の時間である【2004年】に迫っているのだった。

小説家志望の西崎は処女作「灼熱バード」を書きあげ、希美たちに読ませる。

「幻想小説ですよね」と希美。

「いや・・・SF小説だろう」と安藤。

「これは・・・究極の愛の小説だ」と断言する西崎。

【西崎の過去】西崎の紡いだ言葉と西崎の記憶には乖離がある。

幼い西崎は美しい女(中越典子)に凌辱され、その肉体には醜悪な刻印が標される。

「本当の生は灼熱の中にある。餌はオーブンに投げ込まれている。私は灼熱の中に身を投げるもっとも愚かなバードとなったのだ。火あぶりにされるか、ひと思いに殺されるか・・・」

【2002年】西崎は希美に問う。

「君にとって・・・究極の愛とはどんなものだ」

「罪の共有です・・・共犯ではなくて・・・罪の意識を共有して・・・誰にも知られずに相手からも身を引いて行くこと・・・」

それは・・・希美・・・単なる思いこみじゃないのか。

安藤は希美が「居酒屋」と「清掃会社」の二つのアルバイトを掛け持ちしている理由を問う。

「父親に入学金を借りているので・・・早く返したいの」

「入学金を・・・返す?」

希美より恵まれている安藤には理解が難しかった。

深夜、希美の寝込みを襲う・・・呪われた母親・早苗(山本未來)からの電話。

「のぞみちゃあん・・・お母さん、さみしいんよお」

「何時だと思ってるの・・・明日、朝からバイトなんよ」

「まさか・・・男とおるんやないやろうね」

「いいかげんにして・・・私には私の生活があるの・・・もう夜中に電話せんで」

もはや・・・妖怪のような早苗の後ろ姿である。

希美に島から届く同窓会の報せ。

「会いたい人がいるんだろう」と「野バラ荘」の大家・野原兼文(織本順吉)・・・。

「いるけど・・・来るのかどうか」

「会えるといいねえ」

恐ろしい島に勇気を出して向う希美。

母親は福祉課の職員・池園(山中崇)の手配でなんとか魚市場で働いている。

その姿に少し安堵する希美。

島の光景には懐かしく心を癒すものもあった。

慎司との思い出が蘇る・・・。

そこに同窓会の幹事・磯野友子(梨木まい)から連絡が入る。

「同窓会中止になるかもしれん」

「中止って・・・」

「成瀬くんのお父さん・・・亡くなってしもうたの」

「え」

周平(モロ師岡)は心不全だった。

時間を遡上する時に紛れ込む葬儀の断片はこれだったらしい。

「慎司に具合の悪いの隠しとったんや・・・」

「頑張ってる息子に心配かけたくなかったんじゃろう」

やたらと慎司に無用のプレッシャーをかける島の人々だった。

なぜか・・・周平の遺体を見て身ぶるいする高野の妻・夏恵(原日出子)・・・。

それを見逃さない高野。

「周平さんと何かあったのか」

横に首をふる夏恵だが・・・。

ものすごく腑に落ちない高野だった。

つまり・・・妻が真実を語らないので・・・十年以上も高野は希美と慎司を追いかけるのか・・・。

そして・・・夏恵と周平の間にただならぬ関係があったのは決定的なのだな。

傷心の慎司の元へやってくる高野。

「生命保険は」

「借金払ったら残らん」

「放火事件は犯人が出頭しないことには・・・どうにもお手上げじゃ」

「・・・」

慎司の中ではこみ上げるものがあったが・・・口には出さなかった。

放火の真犯人も・・・慎司が高野に何を言いたかったかも・・・謎に包まれているのである。

通夜の席で・・・無言で見つめ合う希美と慎司。

その姿を忌々しく見つめる高野だった。

希美には語りたいことがあった。

慎司にも語りたいことがあった。

だが・・・会う時にはいつも他人の二人なのである。

「がんばれN」とは口に出せないのだ。

【2003年】M-Vロケット5号機によって小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げられた五月・・・就職活動中の安藤はすでに大手商社から内定を得ていた。しかし、「亡き妻の思い出の残るじいさんの野バラ荘を都市開発の地上げから守ろう大作戦・・・略してN作戦」の発動を西崎が告げる。

具体的な再開発計画が始動したのだった。

「この辺の大地主である野口氏も計画に反対しているらしい・・・我々は野口氏の意図を探るために野口氏の息子・・・貴弘氏に接したい」

「珊瑚を守ろうとか・・・ボランティアにも熱心みたい・・・」

「小笠原で中国密漁船と一戦交えるのか」

「いや・・・それは台風にまかせておこう・・・沖縄でスキューバ・タイビングだ・・・」

「そういえば・・・バイト先もボランティア活動に熱心で・・・スキューバ・ダイビングの資格を無料で拾得させてくれるって・・・私、資料取ってくる」

二人になった西崎と安藤。

「どうして・・・彼女まであんなに熱心に・・・」

「君には帰る家があるが・・・俺や彼女にはないからな」

「え」

「彼女が高校生の時に父親が愛人を連れ込んで家から彼女と母親を追い出したそうだ」

「・・・彼女はそんなことまで西崎さんに・・・」

「いや・・・彼女がじいさんに話したのを俺がじいさんから聞きだした」

「・・・」

「君は彼女が好きなんだな」

「まあ・・・彼女は何とも思ってないみたいですけど」

「君と彼女は似ている」

「どこがですか・・・」

「俺と違って現実の中で夢をかなえようとしている」

「・・・」

「俺は君たちが好きだ・・・君たちを見ていると現実も捨てたものじゃないかもと思うことがある」

三人は・・・野口の主宰する「珊瑚を守る会」のイベントに参加する。

希美は見た。

高みに住む野口夫妻の輝く姿を・・・。

野口貴弘の金色のジャケットを・・・。

チャンスがあるなら

高い所にいる誰かと知り合いたいと思ってた

自分が今いる場所から

もっと 遠くへ行くために

すべてを手に入れた誰かの背中に近づいて

その肩に 手をかけてみたかった

それをバネに

今よりもっと高い所に行くために

そして・・・西崎は・・・野口夫人の美貌に心を奪われる。

貴弘にコンタクトした西崎は情報を収集してくる。

「二人はスキューバダイビングの資格をとれ」

「なんで・・・僕まで」

「貴弘は・・・君の就職する会社のエリートらしい」

「えええ」

「そして・・・・趣味は将棋だ」

「ついに・・・将棋が役に立つ日が来たのね」

西崎は夢と現実の狭間に生きる男だった。

現実の野望に目を向けた希美と安藤はその狭間に巻き込まれて行く。

スキューバ・ダイビングの講習会に参加する希美と安藤。

「西崎さんの水着にならない主義ってなんなんだよ」

「水着にはならない・・・か」

希美は知っていた。台風の日に・・・ふと目にした西崎の身体の傷跡。

「ところでなんで・・・清掃会社のバイトなんて・・・」

「高層ビルの窓ふきのゴンドラに乗ってみたかったの・・・でも女子はやらせてもらえないらしい」

「なんでまた・・・」

「島から見える海には水平線がなかった・・・高い所に登ってずっとずっと遠くを見るのが・・・私の野望・・・約束したから・・・」

「約束って誰と」

「・・・」

そこへ通りすがりの慎司が現れる。

思わず追いかける希美。

「おい・・・一緒に焼き鳥食べるんじゃ」

「ごめん・・・先に帰って・・・」

しかし・・・胸を揺らせて慎司を追いかけた希美を阻む赤信号。

慎司は幻のように雑踏に消える。

実際の慎司は荒んだ生活を送っていた。

大学も休みがちである。

希美を失い・・・父親を失い・・・目標を失った慎司。

そんな慎司に・・・悪の誘惑が忍びよる。

法外の収入をもたらすビジネスは悪事と相場が決まっているのである。

そうとは知らず・・・希美は・・・野口夫妻と知りあいになるための沖縄ツアーに参加するのだった。

過去から逃れるためにひたむきに前向きに生きようとする希美。

しかし・・・未来からは・・・第二の事件が・・・ゆっくりと近づいてくるのだ。

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2014年11月 7日 (金)

ごはんだよと彼が言いました。(綾瀬はるか)

よどみない展開で何も言うことがないドラマである。

視聴率も14.3%↗17.0%↗17.1%↗17.3%で申し分ないのだった。

谷間なしの2014年秋ドラマ・・・。

(日)「ごめんね青春!」(TBSテレビ)

(月)「信長協奏曲」(フジテレビ)

(火)「素敵な選TAXI」(フジテレビ)

(水)「きょうは会社休みます」(日本テレビ)

(木)大河ドラマレビューのためにパス

(金)「Nのために」(TBSテレビ)

(土)「地獄先生ぬ~べ~」(日本テレビ)

・・・気がつくとキー局のバランスもいいな。

テレ朝がないじゃないか。

だって・・・「ドクターX」21.3%↘20.9%↘20.8%↗23.7%とかバカが過ぎるだろう。

まあ・・・テレ朝は「朝日新聞とは無関係だけど朝日新聞はそれほど悪くないと思います」要素が強すぎて気持ち悪いしな。

「TBS」みたいに「テレビ朝日は死んだ」と言うところから始めるべきだよな。

殺すなよっ。

仲間由紀恵の「SAKURA~事件を聞く女」とか武井咲の「すべてがFになる」とか深田恭子の「女はそれを許さない」とか・・・脚本・岡田惠和の「さよなら私」とか私も会社休みたい風な沢尻エリカの「ファースト・クラス」とかそれなりに面白いけどね~。

明らかにとんでもないことになっている世界経済も面白いけどな~。

で、『きょうは会社休みます。・第4回』(日本テレビ20141105PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。正体不明の女によるシュシュ攻撃を突破し、ついに九歳年下の大学生でバイトくんの悠斗(福士蒼汰)と本格的交際をスタートした三十歳の誕生日に処女喪失した彼氏いない歴三十年の帝江物産横浜支社食品部デザート原料課勤務・青石花笑(綾瀬はるか)の物語である。

子供が嫌いという人もいるが・・・多くの人間は子供が大好きである。

子供がはしゃいでいるだけで気分が浮き立つという人は多い。

花笑の父親・巌(浅野和之)も光代(高畑淳子)もそういうタイプらしく・・・花笑の親友・笹野一華 (平岩紙)が娘のさやか(平澤宏々路)は生まれたばかりの赤ん坊を連れて遊びに来れば大歓迎なのであった。

自分の娘が三十路になっても出産はおろか結婚もしていないことに・・・様々な葛藤はあるだろうが・・・それはそれなのである。

しかし・・・どうしても・・・「ウチの子と来たら・・・」は口を出る。

だが・・・さやかは「彼氏いるよねえ」と爆弾発言なのである。

基本的に・・・花笑が言いたくても言えないことは誰かが言ってくれる「むふっ♥」なシステムになってます。

「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」

驚愕する両親。

もちろん、娘の将来を心配しつつ、娘を誰にも渡したくない巌は光代よりもショック五割増しなのであった。

「そうじゃないかと思ってた・・・どんな人?」という光代に対し「お父さん、もう寝る」の巌だった。

花笑は・・・相手が九歳年下の大学生であることを危惧するのだった。

それを告げられた父親が・・・瀕死になるのではないかと惧れたのである。

花笑の妄想は時を越え、「僕のいた時間」の難病告知の悪魔の医師・(吹越満)に父親の病状を説明される。

「急性娘の彼氏若すぎ症候群ですね・・・彼氏があと一歳若かったら危ないところでした・・・フリーターならまだしも・・・大学生ですからねえ・・・予断を許さない病状です」

だが・・・危篤状態になる巌。

妻の手を振り払い娘に今際の言葉を伝える。

「だ、大学生は・・・無理だ」

ご臨終である。

妄想から目覚めるとそこは職場だった。

悪魔の医師は上司の立花課長に戻っている。

朝尾(玉木宏)がCEOを務める食品輸入卸会社「サフィラストレーディング」との合同事業である「イタリア物産展」への出品内容の会議が開かれている。

「パンツァネッラにグルノーブル産のクルミが必要です」とCEO。

帝江物産横浜支社食品部デザート原料課一同は困惑するのだった。

「グルノーブル産のクルミは最高品質なだけに・・・品薄なんです」

「パンツァネッラといえばアーリオ・オーリオ・ペペロンチーノと並ぶイタリアの貧乏人料理ですよね」

「大体、パンツァネッラはパン料理なんですか・・・サラダなんですか」

「パンツァネッラはパンツァネッラですよ」

「しかし・・・グルノーブルといえばフランスじゃないですか」

「イタリア物産展なのに」

「パンツァネッラの本場はトスカーナでフランス寄りですし、グルノーブルはイタリア寄りですから問題ありません」

「そういう問題なのか」

「できるんですか、できないんですか」

「・・・善処します」

CEOに押し切られる課長だった。

品薄のグルノーブル産のクルミ調達に課員一同、残業体制である。

その日・・・悠斗とデートの予定だった花笑は「むふっ♥」のおあずけを喰らうのだった。

しかし・・・付箋で「僕のことは心配なく・・・残業がんばってください」と伝えられ・・・それだけですでに「むふっ♥」の花笑なのだ。

打ち合わせの間、.クルミを食べまくり鼻血ブーの加々見(千葉雄大)だったが・・・意表をついたミャンマー・ルートをビンゴして殊勲賞を獲得する。

しかし、童貞の加々見の意中の女でCEO狙いの大川瞳(仲里依紗)にご褒美をもらうことはできないのだった。

花笑は最終バスを逃すが・・・ストーカーのように現れるマセラティ・グラントゥーリズモ(時価)に乗ったCEOだった。

「タクシー代も馬鹿にならないでしょう」

「・・・」

普通・・・ここで高級イタリア車に乗った花笑を見て誤解するのは・・・悠斗なのだが・・・このドラマでは・・・巌である。

「彼氏とはうまくいってるの」

「お構いなく」

「将来のことを考えたら・・・彼じゃなくて僕だと思うけど」

「ほっといてください」

そんな会話の後、家に着いた花笑とCEOを見て驚愕する巌。

すっかり・・・CEOを娘の交際相手と思いこんだ巌はなんとなくマセラティ・グラントゥーリズモに酔うのだった。

「今度・・・彼を家に連れてきたらどうだ」

「え」

「俺は・・・お前の選んだ相手にとやかく言うつもりはない」

本当かしら・・・本当かしら・・・本当かしら・・・と悩む花笑。

しかし・・・花笑と悠斗は交際二週間足らず・・・両親に紹介するのは早い気もする花笑。

年下の瞳にご相談である。

「あの・・・交際相手を両親に紹介するのって」

「マモルさんを・・・」

「はい」

「私ならすぐにしますね・・・結婚する気もない相手とだらだらと付き合っても時間の無駄ですし」

「でも・・・こわくないですか・・・マモルさんにどう思われるかとか」

「想像してみてください・・・何年も付き合った相手に両親に会いたくないと言われるのとどっちがこわいか」

「でも・・・交際って結婚を前提としたお付き合いですよね」

「明治時代ですか」

「平成は違うんですか」

「恋愛と結婚は・・・平成では別ジャンルです」

「・・・」

武士沢(田口浩正)の店で振り替えデートの花笑と悠斗。

しかし・・・花笑は「両親に会って」が言えないでこわい顔になるのだった。

そんな花笑を「今夜、家に泊らない」と誘う悠斗。

そこで武士沢は・・・「おいおい、ちゃんとお譲さんのご両親には挨拶に行ったのか」と意見をするのだった。

花笑が言いたくて言えないことは誰かが言ってくれるシステムなのである。

「お譲さんはどうなんです」

「両親には会ってもらいたいと思いますけど・・・今すぐでなくても」

「僕は会いたいです」

「・・・」

難題クリアである。まあ・・・波乱は待ち受けてますけどね。

悠斗の青石家訪問の日。

CEOでなく悠斗を見て・・・急性娘の彼氏若すぎ症候群を発症する巌だった。

マモル(ジェントル)には馴染んだ悠斗だったが・・・「大関鷹の富士が12歳年下のアイドル・カールズ・ネバー・クライの早瀬リオと結婚するのはスルーできても娘が九歳年下の大学生と交際するのには抵抗がある巌が立ちはだかる。

「私はこの子をどこに出しても恥ずかしくないよう育てて来たつもりです・・・だから娘の彼氏が21歳の大学生だと知って愕然としました・・・君はうちの娘と一緒になる気はあるんですか?」

「大学生なのでまだ結婚は考えておりません・・・しかし、花笑さんとは真剣です」

「今日のところはお引き取りいただけますか?」

「・・・分りました」

「・・・お父さん、ひどい」

夫の逆上をとりなす光代。

「また・・・遊びに来てね」

巌は58歳である。つまり・・・花笑は巌が28歳の時の娘なのだ。

その花笑がもう30歳なのである。

巌もそのことは充分分かっていたつもりだったが・・・父親の業の深さである。

悠斗を追いかける花笑。

「お父さんがあんなこと言う人だとは思わなかった」

「俺は平気だから・・・俺のことより今日は戻ってお父さんとちゃんと話したほうがいい」

どこまでも・・・「むふっ♥」な悠斗なのである。

花笑が家に戻ると光代が巌を説教中である。

「花笑がどれだけの思いで家まで連れて来たか・・・分かってる?」

「あいつには本当に悪いことをしたと思ってる」

マモルを連れて散歩に出る父を追いかける花笑。

「私・・・初めて・・・男の人に誕生日を祝ってもらって・・・うれしかったの」

「そうか・・・よかったな」

「だから・・・」

「俺は・・・あいつと別れろなんて一言も言ってないだろ」

心が通じている父と娘なのである。

結局、悠斗の家に行くことにする花笑に・・・巌は秘蔵の焼酎を持たせるのだった。

そして・・・本格的な「むふっ♥」に突入する花笑と悠斗。

結局、二度目のお泊まり(公認)である。

巌・・・・。

目覚めた花笑は・・・悠斗が朝食を用意する音を聞く。

これが・・・本当のむふっ♥なのね・・・と彼シャツをお披露目する花笑である。

幸せ一杯で出社した花笑。

花笑にとってはどうでもいいことだったが・・・「サフィラストレーディング」の親会社が買収され・・・CEOは解任され・・・元CEOになってしまったのだった。

「御社と進めていたプロジェクト全て中止せざるを得なくなりました・・・大変申し訳ございませんでした」

朝から土下座の元CEOである。

瞳の結婚事業も・・・中止せざるを得ないのか・・・。

まあ・・・花笑には本当にどうでもいいのである。

だって・・・CEOが元CEOになろうがどうしようがむふっ♥とは無関係なんだもん。

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2014年11月 6日 (木)

遺失物の拾得者は速やかに物件を遺失者に返還するか警察署長に提出しなければなりません(竹野内豊)

そうしないと刑法254条で遺失物横領罪に問われる可能性があるわけである。

警察署長に届けると遺失者不明の場合は公告されることとなる。

1958年から遺失物の公告期間は期間は6か月だったのだが、2006年の法改正で3か月に短縮された。

このために公告をしてから3か月以内にその所有者が判明しないときはこれを拾得した者がその所有権を取得するひとが民法240条で定められている。

今回の場合、換金しないで宝くじを届けると・・・いろいろとアレなので・・・換金してしまってから届けたとすると・・・その善意はどういう風に解釈されるのか・・・様々な問題を孕んでいる。

ま・・・期限切れ寸前の宝くじの当たり券を拾うのは宝くじに当たるより難しいので・・・考えなくてもいいか。

宝くじに当たった話は・・・なんといっても「書店員ミチルの身の上話」ですな。

さて・・・今回は「あまちゃん」の前髪クネ夫や「未来講師めぐる」のユーキでおなじみの勝地涼(28)と「SPEC」のサトリや「みんな!エスパーだよ!」の浅見紗英でおなじみの真野恵里菜(23)が夫婦役で登場である。

年の差は五歳で・・・二人とも立派な大人なのに・・・なんだか・・・ものすごく危険な夫婦に見えるのは気のせいである。

ああ・・・一億円なくたってこんな若夫婦ならいいじゃないかという話です。

ちなみに・・・「プロポーズ」で始り、「かけおち」、「不倫」ときて「離婚の危機」・・・このドラマはここまで「愛」を貫いてますな。

結局、人間の選択肢って・・・「愛」関係なんだな。

で、『素敵な選TAXI・第4回』(フジテレビ20141104PM10~)脚本・バカリズム、演出・星野和成を見た。今回、枝分(竹野内豊)は神の片鱗を覗かせる。乗客である朝倉(勝地涼)の所有する宝くじが・・・遺失物を拾得したものだと・・・教えられずに見抜いているのである。「その宝くじはなくなります・・・元の場所に戻るので」・・・何気ない一言だが・・・枝分の神々しさが輝くのである。もちろん・・・ゲストのその後の人生をかいつまんで話したりする時も、神のみぞ知ることを淡々と語るので・・・神なんですけどね。一体、神様のくせに何してんだとは思いますけどね。

そんな枝分が常連客となっている「cafe choice」にテレビ番組「おめざめテレビ」の取材が入ることになる。

たまたま私服を購入していた枝分がおめかしするべきかどうか思案していると・・・同じく常連客の標道雄(升毅)はすでにおめかししているのだった。

マスター・迫田(バカリズム)に「決めてますね」と問われ「決めてない」と言い張る標だったが・・・検事風ウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)に厳しく追及され、弁護士風ウエイトレスの関カンナ(清野菜名)に見放されて・・・ついに罪を認めるのだった。

おめかしすることが罪と知った枝分は着替えを断念する。

その頃、詳細は明らかにされないが・・・十年も働いている町工場の社長・速水(菅田俊)とおそらく些細な意見の違いで決裂し、解雇されてしまう朝倉という若者がいた。

「謝っちまえばいいじゃないか・・・社長だってお前にやめられたら困るしさ」

同僚の三浦(石井智也)は宥めるのだが・・・。

「俺、悪くないもん」

意地を張り、頑なな朝倉なのである。

通勤に使う東都中央バスに乗り込んだ朝倉は・・・バスの中で何気なく床に落ちていた宝くじを拾う。おそらく・・・ゴミとしてどこかで捨てるつもりだったのだろう。朝倉はそういう真面目な若者なのである。

バスを降りた朝倉はコンビニで求人誌を購入し、たまたま行われているドラマ「犯罪刑事」の撮影を見学する。

不良鑑識官(浅利陽介)は叫ぶ。

「俺は指紋とか・・・下足痕とか・・・そんなのどうでもいい・・・ただ自由が欲しかった」

なんじゃこりゃと思いながら一応写メは撮る朝倉だった。

そして、公園のベンチで求人誌をめくる朝倉は・・・ふと将来への不安を抱く。

なんとなく拾った宝くじを取り出した朝倉はスマホで一応当選番号をチェックしてみるのだった。

「ええええええええええ」

宝くじは当選していた。

客待ちの間、初期型ゲームボーイで「BATTLE CITY」をプレイする枝分は朝倉を乗客として迎えるのだった。

「一番、近い東西銀行まで」

「お急ぎですか」

「できれば窓口が閉まる前に・・・」

しかし、道路は渋滞である。

どうやら・・・前方で事故が発生したらしい。

「どうやら・・・三時までにつくのは無理ですね」

「じゃあ・・・明日にするか」

「給料日とかですか」

「一億円の宝くじに当たったんです」

「そりゃ・・・凄い」

思わず宝くじを枝分に見せる朝倉。

「今日、ささいなことで会社クビになっちゃって・・・どうしようかと思っていたら・・・宝くじに当たっちゃったんですよ」

「これ・・・去年の宝くじですよね・・・引き換え期間は大丈夫ですか」

「引き換え期間・・・」

スマホで検索すると・・・それは・・・今日だった。

つまり・・・午後三時になると・・・ただの紙切れになるのだった。

「今、三時になっちゃいましたね」

「・・・」

「あと・・・三十分早ければね・・・一億円か・・・やり直しますか?」

「やり直す?」

BGMに加え、高速道路のトンネル利用でタイムスリップ感をアップする枝分。

エンジョイしてるな。

社長から手切れ金のような最後の給料をもらい懐の温かい朝倉は一時間前からやり直すのだった。

リプレイ一回目。

無駄な行動を省き、三十分時間を短縮して枝分と再会する朝倉。

「これなら間にあいますね」

「お願いします」

しかし、銀行の窓口嬢に印鑑を求められ、引き換えは失敗。

あわてて帰宅すると・・・そこには突然帰宅した夫に不信感を抱く妻の明日香(真野恵里菜)が障害となって立ちはだかる。

「こんな時間に・・・どうしたの?」

「とにかく・・・印鑑がいるんだ」

「印鑑って・・・おかしいでしょう」

「時間がないんだよお」

「ちょっと・・・待って」

妻の制止を振り切って印鑑を持って脱出する朝倉。

明日香は・・・会社に電話して・・・夫が解雇されたことを知る。

サトリンならサトるのに・・・。

銀行に駆けつけた朝倉だったが・・・無情にもシャッターは閉じるのだった。

タクシーに戻った朝倉に妻から「実家に帰る」とメールが届く。

「どうでした」

「間に合いませんでした・・・嫁にも逃げられました」

「えええ・・・なんでそんなことに・・・」

「もう一回いいですか」

「ふふふ・・・ゲームみたいですね」

エンジョイしてるな。

リプレイ二回目。

一刻も早く、印鑑を取りに戻るために・・・最初より早めで宝くじを拾う朝倉。

その時、パスが揺れて・・・女子校生の太ももにタッチしてしまう朝倉。

痴漢騒ぎが持ち上がり、逃走した朝倉を何故か、ゾンビのように追いかける正義感の強すぎる乗客一同である。

まるで暴徒と化して日本車を襲う中国人のように朝倉が乗り込んだ枝分の車両をガンガンと叩く一般市民の群れ。

「おい、やめろ、ふざけんな」

キレる枝分だった。

リプレイ三回目。

「急ぎながらも・・・慎重に」という枝分のアドバイスを受けトライする朝倉。

無事に宝くじを回収。

「あら・・・どうしたの」

「ちょっと・・・忘れものをとりに」

「忘れもの」

「うん・・・後で説明するよ・・・仕事に戻らないと」

「ねえ・・・見て・・・ミニトマトがなってたの・・・すごくない?」

「うん・・・そっか、良かった」

「まだ・・・青いんだけど」

「今日さ・・・臨時ボーナスが入るんだ・・・久しぶりに美味しいものを食べに行こう」

「えっ」

「何食べたいか・・・考えておいて」

「わかった」

「じゃ」

「いってらっしゃい・・・気をつけてね」

「うん」

犯罪刑事は叫ぶ。

「俺は犯罪者だ・・・でも人間なんてみんな犯罪者じゃないか」

余裕で枝分と再会である。

「これ・・・間に合いますよね」

「間に合いますね」

しかし・・・なんとなく混み始める道路。

「用心して・・・ここから歩いて行きます」

「そうですか・・・」

「ここまでのお金・・・清算します」

「換金されてからでもいいですよ」

「いえ・・・お金はあるんで・・・換金したら・・・そのまま嫁とおいしいものを食べに行くつもりなんです」

「そうですか」

「ありがとうございました」

足取り軽く銀行に向かう朝倉。

しかし、その頭上からは巨大な道路標識が落下するのだった。

下敷きになった朝倉は身動きができない。

ゲームオーバーからのコンティニューならずである。

朝倉は死亡した。

道路では渋滞が始っていた。

枝分の車に新しい乗客がやってくる。

思いつめた表情の男。

「どうかしましたか・・・」

「宝くじをね・・・」

男のリプレイ一回目。

男は期限切れ寸前の宝くじをバスで・・・落しませんでした。

ホッとした表情でそのまま・・・銀行に向かう男。

バスに乗り込んだ朝倉は宝くじを拾うことはない。

しばらく公園で頭を冷やした朝倉は・・・社長に謝罪して・・・職場に復帰することを選択する。

何しろ・・・家には可愛い明日香が待っているのだった。

店では「おめざめテレビ」の放送をみんなで視聴している。

せっかくおめかししたのに標はオンエアではカットされていた。

制服の枝分は結構、出番が多かった。

レポーター(池田裕子)に質問される枝分。

「チーズケーキはいかがですか?」

「あの・・・え~と・・・この・・・ケーキの・・・チーズケーキの・・・おおおおおいしいとひ」

しどろもどろの枝分。

しかし・・・枝分が気になったのは・・・やはりおめかしした方がよかったかな・・・という点だった。

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Sentx004ごっこガーデン。まこ様竹様W主演映画「ゾンビカムバック」タイアップ歯跡まこかまCMセット。まこギャボーッ、こわいの苦手なのに・・・ゾンビ映画に主演するとはあああああっ。絶賛妄想公開中なのデス。もちろん、共演の竹しゃまには抱きついて抱きついて抱きつきまくりました~。うひょひょひょ~。役得の上にまこかま売上好調で一億円のお小遣いをゲットでしゅ~・・・クネ夫・・・無事でよかった・・・くう永遠の仔から14年かあ・・・感無量ですねえ。タイムトンネル・・・リアタイで知っている人はいますか~。枝分さんはめっさ楽しそう・・・だった

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2014年11月 5日 (水)

一夜城は一夜にしてならず(山田孝之)

「墨俣一夜城伝説」を否定する人は基本的に他人の手柄話が嫌いな人と言える。

そして、次に豊臣秀吉の立身出世物語が嫌いなのである。

こういう人を野放しにしておくとそのうち「豊臣秀吉は実在しなかった」とか言い出すので注意が必要である。

墨俣城が斉藤方にあったとか、信長が秀吉に墨俣築城を命じた文書がないとか・・・そういうあれやこれやで「一夜城なんかないさ」という人はやはり一種のバカなのであろう。

敵前で「砦」を構築するのは織田信長の常套手段であった。

「付城」という発想は戦術としては珍しいものではない。

しかし、信長は「土木力」というものに注目し、効率的に短期間で城を作る技術を開発していたのである。

すでに・・・桶狭間の合戦で・・・今川方の城に対して、囮を兼ねた砦を構築している。

この後、信長は常に敵対する城に対して、包囲のための砦を築くことを心がけるのである。

美濃攻略戦において、斉藤龍興の稲葉山城(後の岐阜城)を攻略するために信長はじわじわと主城を前衛に移しながら、包囲のための砦を構築していった。

墨俣砦もまたその一つであり、それが秀吉の出世の糸口の一つとなったのは明白な歴史的事実なのである。

夢々疑うことなかれ。

で、『信長協奏曲・第4回』(フジテレビ20141103PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・宇山佳祐、演出・林徹を見た。催眠の演出家なのだが・・・素材の勝利で今回はなんとか乗り切ったな。最も、今回は開始以来、最も合戦シーンが少なかったのである。墨俣攻防戦なのにだ。もちろん・・・永禄三年(1560年)の桶狭間の合戦から、永禄九年(1567年)の墨俣一夜城まで七年の歳月が過ぎ去らないこの「時空間」では・・・高校生のサブロー(小栗旬)が到着したのは天文二十年(1551年)なので史実通りなら16年の月日が経過してサブローも三十代過ぎのおっさんになっているはずなのだ・・・もう年末には天下布武が完成する勢いなのである。感じとしては三ヶ月くらいで天下統一しちゃう織田信長・・・二十歳そこそこで天下人になるので世界征服も夢ではないな。

そうなると「織田のもとの世界平和」が実現してしまうんだな。

そこには当然、アメリカ合衆国も、ロシア共和国も、中華人民共和国も、EUもないわけである。

テームズ川で鵜飼いが盛んに行われているんだ・・・きっと。

世界各地に信長大明神が祀られ・・・いい加減にしておけよ。

さて・・・斉藤道三に歴史を託されたサブローこと織田信長の元へ徳川家康(濱田岳)がやってくる。

松平元康が松平家康になるのは桶狭間の合戦後、まもなくである。

家康は松平一族の作る松平党の党首であるが・・・その立場はまだ不安定だった。今川傘下から脱し、信長と同盟するのは尾張国と三河国という隣接する国主がお互いの背後を固める意味もあるし、弱小国として経済的に豊かな信長に後ろ盾となってもらうためでもある。

史実では家康が徳川を名乗るのは信長の尽力で永禄九年、朝廷および足利幕府より従五位下三河守に任じられて後である。

徳川という名は松平家の祖先が新田氏庶流の得河三郎義秀だったとう伝承に基づくものとされている。

天文二十年(1551年)、永禄三年(1560年)、永禄九年(1567年)が一月ほどに圧縮されたこの時空間ゆえに・・・松平元康は一気に徳川家康に改名するのだった。

「え・・・徳川家康・・・聞いたことある」

しかし・・・徳川家康が何をした人なのかは知らないサブローだった。

これは・・・超ウルトラスーパーデラックスバカと言っても過言ではない。

とにかく・・・家康の業績を知るために高校の日本史の教科書を捜すサブローだったが・・・教科書は見つからないのである。

やはり・・・信長夫人・帰蝶(柴咲コウ)の侍女・ゆき(夏帆)はただものではなく・・・何故か、教科書を隠蔽してしまうのだった。

はたして・・・その正体は・・・?

とにかく・・・実際に天下を統一したのが徳川家康だとは知らず・・・サブローは「天下統一」の方法を模索するのだった。

柴田勝家(高嶋政宏)、丹羽長秀(阪田マサノブ)、池田恒興(向井理)、森可成(森下能幸)など主だった家臣に問うサブロー。

「ねえ・・・どうしたら天下統一できるの」

「それは・・・京にのぼらねば」

「じゃ・・・行こうか」

「そのためには敵である美濃を通らねばなりませぬ」

「ええと・・・美濃は・・・」

「先頃、病死した斎藤義龍(史実では永禄四年病没)の嫡男・斉藤龍興がおさめております」

「いつの間に・・・・」

龍興(間宮祥太朗)は永禄四年に14歳だがこの世界では21歳くらいに見えます。

「龍興はたいしたことないですが・・・武将の一人に竹中半兵衛と申すものがありまして・・・これが物凄い智将です。知力100くらいございます」

「なんか・・・凄そう・・・」

竹中氏は本来、平氏だが・・・美濃竹中氏は土岐氏の傘下にあるうちに婚姻を重ねその庶流となっている。

系譜というものは曖昧なものである。

源氏が足利の地に土着すれば足利氏となる。この時、土地の豪族の娘と婚姻して子を為せば、そこで新たな支族が生まれたりもする。

平氏である竹中氏から源氏の土岐氏に娘を差し出す。

源氏の土岐氏から平氏の竹中氏に娘が下げ渡される。

そうこうするうちに、主が土岐氏であれば・・・従である竹中氏は源氏の庶流となるのである。

美濃には藤原氏を祖とする遠山氏もいるが・・・ここに土岐氏が婿として入り、土岐支流である明智遠山氏が誕生する。これが史実の明智光秀の祖となる。

帰蝶の母親の小見の方は明智氏の娘であり、帰蝶と光秀は従兄妹にあたるとされている。明智氏と同様に土岐氏庶流の竹中半兵衛は帰蝶にとって遠い親戚という感じになるのだった。

その竹中半兵衛(藤木直人)が龍興の家来を辞し、信長の家臣になるために参上する。

しかも・・・織田家に龍興の間者(スパイ)がいると言い出す。

「うちにはそういう人はいません」とサブローは半兵衛を投獄するのだった。

帰蝶に「半兵衛殿は・・・戦のない世を作りたい・・・と申していた」と教えられ・・・牢獄の半兵衛にルービックキューブを差し入れる信長。

「戦のない世の作り方教えてくれませんか」

「それは夢物語・・・塵芥(ちりあくた)のようなもの」

「でも・・・塵もつもればなんとやらって言うじゃないですか」

「山です」

「それそれ」

一方、今川の間者だった木下藤吉郎(山田孝之)は今川の忍び段蔵(早乙女太一)を殺し、今川家と訣別する。

しかし・・・藤吉郎には・・・織田信長に私怨があったのだ。

定説では織田信長の初陣は天文十六年(1547年)とされている。傅役の織田家次席家老・平手政秀が後見し、三河国の吉良大浜に出陣した。今川領地の村を襲撃し、放火して一夜野営を行い、尾張に帰陣するという一種の軍事訓練である。

どうやら・・・その村で家族を殺され、信長に斬り殺されそうになった・・・藤吉郎である。

「信長を苦しませて・・・殺す」

藤吉郎の復讐の炎は燃える。そのために忍びとしての腕を磨いてきたのだろう。

しかし・・・それは・・・サブローの知らぬことであった。

やがて、サブローに取り入り、復讐の機会を狙う藤吉郎は・・・美濃攻略の奇策として「墨俣一夜城作戦」を提案するのだった。

Nobuoo3すでに本城を清州から美濃尾張国境に近い小牧山城に移した信長は犬山城(城主・織田信清)、鵜沼城(城主・大沢二郎左衛門)など斉藤方の諸城を攻略するものの稲葉山城攻めには永禄四年、永禄六年、永禄九年の三度に渡り失敗を繰り返している。

その攻め口を確保するために稲葉山城の南に位置する墨俣築城は常に求められていた。

しかし、美濃国からは守りやすく、尾張国からは攻めにくい対岸に砦を構築するのは難度が高かったわけである。

しかし、藤吉郎の作戦は加工済みの用材を水路で搬入するという理に叶ったものであった。

早速・・・実行に移したサブロー。しかし、用材の調達部隊となった藤吉郎や前田犬千代(藤ヶ谷太輔)は斉藤方の野武士に襲撃され、犠牲を出す。情報が漏れていたのである。

藤吉郎が突き止めた間者は森可成であった。

ちなみに森氏は由緒正しい源氏の一族である。その領地は美濃国にあり、信長の父・信秀の頃には斉藤道山の配下であった。

つまり、斉藤家とは所縁が深いので・・・この裏切りはありうることだった。

そもそも・・・下剋上の時代、主従関係は力の論理に支配されている。

だから、森可成は道三の死後、織田家に鞍替えをしたのである。森一族にあって森可成は野武士の戦に優れていたと言われる。つまり、忍びのものである。野武士とは戦乱の果てに領地を失った武士の姿なのである。当然、その戦法は奇襲略奪を主とした山賊のものとなるのだった。

そのために信長は森一族を美濃攻略の先鋒として起用したのである。

美濃の地侍だからこそ・・・地の理を知っているからだ。

しかし、それは美濃に馴染みがあることによって裏切りの危険も孕んでいるのである。

史実では森可成が斉藤家に情報を流した事実は明白になっていないが・・・織田、斉藤のどちらにが勝ってもいいようにするのは・・・地侍の身過ぎ世過ぎなのであった。

情報漏洩発覚で・・・切腹沙汰となる森可成だったが・・・サブローは切腹が大嫌いなのだった。

「そんなことしないでいいよ・・・お父さんが死んだら可愛い蘭丸くんたちが泣くじゃないか」

柴田勝家、池田恒興についで森可成も・・・切腹を止められて心を信長に奪われるのだった。

その様子に心を奪われる半兵衛・・・。

「道三殿も・・・戦のない世が来るとおっしゃっていた」

「そりゃ、そうだろうね、未来人だから」

「ミライジン・・・なにやら・・・甘美な響きですなあ・・・とにかく・・・そうおっしゃった道三殿も・・・結局、戦で命を落された」

「でもさ・・・同じ戦うのなら・・・夢を求めて戦った方がテンションあがるでしょう」

「天照・・・つまり・・・陽の輝きですか・・・」

「さあ・・・意表をついて一夜城作戦再開だ」

燃えあがる織田家家臣一同。

しかし、築城現場に・・・半兵衛の弟・竹中久作重矩(上山竜治)がやってくる。

「どうか・・・兄をお救いください・・・兄は斉藤を裏切った罪で処刑されようとしています」

半兵衛は・・・斉藤の間者として・・・城に放火する任務を放棄したのだった。

サブローに絆されて裏切った半兵衛だったが倫理観が強すぎるために裏切りの罪に服す覚悟だったらしい。

一夜城を捨て・・・救出に向かうサブロー。

「そんな・・・」とガッカリする藤吉郎。

「心配ご無用」と森可成。

「でも・・・人手が・・・」

「拙者には・・・闇の手配手段がありまする」

美濃国の野武士である森可成は・・・美濃・尾張国境を縄張りとする野武士の棟梁・蜂須賀小六(勝矢)との絆があったのだ。

小六と藤吉郎・・・運命の出会いだった。

そして・・・墨俣築城成功である。

半兵衛を救出した信長一行は万歳三唱である。

帰蝶や信長の同母妹・市姫(水原希子)もかけつけ戦勝を祝うのだった。

そして・・・竹中半兵衛は調略につぐ調略で・・・美濃の国衆を味方につけ・・・斉藤龍興は国を追われるのだった。史実では永禄10年(1568年)のこととされている。

こうして・・・サブローは尾張・美濃の二国の領主となったのだった。

美濃を手中にして・・・道三の墓参りを帰蝶とすませたサブロー。

そこへ・・・本物の信長が現れる・・・。

どうやら・・・彼はこの世界の明智光秀になるらしい・・・。

仮面か・・・仮面の武士になるのか?

シャアなのか?

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2014年11月 4日 (火)

リア充へのいけずも飲み込む乙女チックワールドの勝利なのだ!(黒島結菜)

ホリコシ出身の原エレナ(中村静香)不在の今回。

まさかとは思うが・・・おとがめあったのか。

バカなのか。

もちろん・・・がんじがらめの一部業界で・・・誰かが言っていいことと悪いことをいろいろアレするのは分かり切っているのだが・・・。

バカなのか・・・とは言いたい。

こんな・・・芸術性の高い作品に対してクレームつけること事態が恥ずかしいことと何故わからないのか。

あ・・・バカだからか。

ミロのヴィーナスに着衣させてどうする・・・という話である。

どこにもない・・・無印的なコーラを発注するような・・・そういうバカげた風潮にはウンザリなのだ。

だけど・・・バカは無制限に生み出されるんだな。

勉強するヒマのない芸能人クラスがバカで何故悪いんだ。

まあ、一部スポンサーや一部お茶の間はバカだけど神様だからな。

で、『ごめんね青春!・第4回』(TBSテレビ20141102PM9~)脚本・宮藤官九郎、演出・金子文紀を見た。ついに・・・「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」「タイガー&ドラゴン」「流星の絆」などでおなじみの名コンビである。ますますいいよねっ。今回は「アオイホノオ」で抜群の津田ヒロミを出現させた黒島結菜が美少女力を爆発させ・・・他の追従を許さない・・・と思ったが・・・エリーこと満島ひかりが底知れぬ底力ですべてをかっさらっていきました。いい女風になった坂井真紀がそれほどでもなかったことや・・・斉藤由貴がどうなろうと知ったこっちゃないことが・・・歳月の重さを感じさせてくれました。

さて・・・銀ちゃんとヤスじゃなかった・・・未検挙の放火犯である原平助(錦戸亮)の父親・原平太(風間杜夫)と濡れ衣で放火の容疑のかかった蜂矢祐子(波瑠)の父親・蜂矢善人(平田満)が旧交を温め合うスナック「ガールズバー」・・・いや・・・修羅場と化した店内である。

なぜなら・・・そこには蜂矢祐子と当時交際していた蔦谷サトシ(永山絢斗)が勤務中だったのだ。

明らかに広島に原爆を落した「運命」を怨んで語り続ける被爆者的に・・・サトシを鞭打って当然の態度で杖による一方的暴行を加える善人であった。

「だからって集団的自衛権の行使の容認を否定できないじゃないですか」と問う高校生に大人としてきちんと答えてあげて欲しいものである。・・・なんの話だよっ。

「とにかく戦争は悪なのです」と言ってれば平和になるくらいなら誰も苦労はしないよな。

「こいつのおかげで・・・祐子は・・・」

「すみません」

思わず謝る平助だった。なぜなら・・・真犯人だからである。

「何故・・・君が侘びる」

しかし・・・どうしても本当のことが言えない・・・言うと最終回だからである・・・平助はまたしても嘘をつくのだった。

「僕は・・・サトシの親友で・・・祐子さんのことが・・・好きだったので・・・」

嘘をついた勢いで言わなくてもいいことを言う平助だった。

「好きって・・・君が・・・」

「片想いですけど」

「ああ・・・よくメールを送って来たのは君だったのか」

「はい」

「全部、俺が削除しといたけどな」

「え」

「あんまりしつこいんで俺が何度か返信しておいた・・・今は勉強に力を注ぐべきとかな」

「あれ・・・祐子さんじゃなかったんですか」

「俺だよ」

「ええええええええ」

「じゃ・・・お前は」

「そうです・・・オレが親友の恋のキューピッド役を請け負いながら・・・ちゃっかり交際しちゃった男です」

「ひどいな」

「最悪の男なんですよ・・・殴られて当然の男です」

「そうだ・・・君も殴ってやれ」

「おい・・・待ちな」

割り込む銀ちゃん・・・じゃなかった平太。

「黙って聞いてれば・・・ウチの息子が・・・マザコンの根性無しとはどういうことだよ」

「そんなこと言ってません」

突っ込む祐子の妹のりさ(木村真那月→満島ひかり)だった。

お・・・サトシじゃなくて・・・平助を庇うのか・・・それは意外な伏線だった。

しかし・・・平助は妄想の中で観音様を亡き母親と融合させるほどの筋金入りのマザコンである。

それはともかく・・・語られる蜂矢家の悲喜劇。

「私は敬虔なクリスチャンとして純朴に暮らす箱根の農夫でした。しかし、家族を養うために三島でペコリのおじさんの青果店の経営を始めたのです。貧しいけれど楽しい暮らしでした。そこへ・・・あの事件です。店には八百屋お七とかもっとペコレとか・・・そういう落書きとしても笑える誹謗中傷があり・・・閉店を余儀なくされたのです・・・娘の祐子は家出をして消息不明となり・・・」

娘を消息不明にしたのも平助である。

「しかし・・・土地を切り売りして娘のりさの学費を捻出し、こうして立派な教師になってくれたことが救いです。たまたま、育てた馬鈴薯でコロッケを作ったところみしまコロッケとして有名になり、今はロイヤリティーだけで悠々自適の暮らしです」

「なんだ・・・結局、ハッピーエンドか」

「すべては神の思し召しです」

銀ちゃんとヤスはなんとなく和んで・・・在りし日々を懐かしむのだった。

「小夏はすこし太ったと思わねえか」

「あ・・・映画の方の・・・」

「そうそう・・・そっちそっち」

「そうですねえ・・・太りましたかねえ」

とにかく・・・なんだかんだ・・・いたたまれない平助は観音様(森下愛子)に縋る。

「やったのは・・・僕なのに・・・」

「なのにねえ」

息子を見守る母の慈愛を注ぐ観音様・・・しかし・・・この後、仏の顔も三度までの事態が彼女を襲うのだった。

一方・・・本格化した三女トンコー合同文化祭計画は・・・成績が学年トップクラスで生徒会長の中井貴子(黒島結菜)の推進力でグイグイと進み、何故か実行委員による「伊豆・三津シーパラダイス」の親睦会に発展する。

どうやら・・・大口後援者からの寄付が打ち切りになったらしい聖三島女学院校長の吉井良江(斉藤由貴)は「いいですよ」と許可する。

「どうやら・・・合併しかないと腹を決めたらしい」と通称3Dこと駒形大学付属三島高校の校長・三宮大三郎(生瀬勝久)はニヤニヤするのだった。

そのために・・・教師同志も親睦を深める。

「コロッケならすぐできるだら」でおなじみのスナック「ガールズバー」のママ(植木夏十)の出番確保の流れである。

そこで繰り広げられる「壁ドン」論争。

「壁ドンっていうのはよ・・・あれだろ・・・若いものが勢いにまかせてズッコンバッコン、ギシギシアンアンしていると・・・無粋な隣人に壁をドンと叩かれるっていう」

「いつの時代の話ですか・・・今や、乙女の憧れ、壁を背にした乙女がイケメンに壁ドンとされて見つめられて胸キュンなのですよ」

なぜか・・・吉井校長と・・・平太には恋の炎が燃え上がり・・・とばっちりを受けたなりすましている養護教諭のドンマイ淡島舞(坂井真紀)はマドンナ復活を指向する。

そして・・・金曜日は忙しい三宮校長(生瀬勝久)がパーソナリティの三島のミニFM局の番組「カバヤキ三太郎のごめんね青春!」ではナイスボディーの男子生徒会長・半田豪(鈴木貴之)が公開告白稽古に没入するのだった。

翌日は・・・高僧によるありがたい講話会の日だったが・・・何故か・・・亡き妻の魂の宿る観音様の前で同衾し、遅刻する平太と吉井校長。

仕方なく・・・ピンチヒッターに現れた一平(えなりかずき)は微妙に変身した淡島舞に心を奪われる。

そして・・・いよいよ・・・グルーブ交際の日がやってきた・・・ま、集団デートである。

もはや・・・実行委員でもないメンバーも参加し・・・くんずほぐれつである。

「あまりん」こと阿部あまり(森川葵)はラジオを聴取して半田の告白に胸を高鳴らせ、明らかに胸が他の生徒よりそびえたつ佐久間りえ(久松郁実)をなりすまされている成田(船崎良)と大木(竜星涼)が登頂せんとし、あまりんにふられた海老沢ゆずる(重岡大毅)はあてつけで中井貴子狙いに走り、サンダル(トリンドル玲奈)はサル(矢本悠馬)と「まっさん」的な何かになり、遠藤いずみ(富山えり)と三択の昭島(白洲迅)は水族館でもクイズ合戦である。

海老沢に速攻で失恋した神保愛(川栄李奈)は目移りするうちに自分の立ち位置を見失いそうになっているらしい。

そんな中・・・二人の生徒会長のターゲットは教師に絞られていたのだった。

「私・・・先生のこと好きです」

「え」

硬直する平助だった。

なにしろ・・・生まれて初めて女子に告白されたのである。

「でも・・・交際しようとは思いません。だけど・・・私が合同文化祭で頑張るのは・・・すべて・・・先生のためですから」

研ぎ澄まされて重い・・・中井会長。

一方、半田はイルカも飛び出す絶叫告白で・・・周辺を脅かすのだった。

しかし・・・告白されたりさはクールに対応する。

「うれしいけど・・・あなたの気持ちに応えることはできない・・・先生、結婚するんだ」

「知りませんでした」

「予定はないけどね」

「え」

「今日、決めたから」

「その人のこと好きなんですか」

「いいえ・・・まだ付き合ってないし」

「えええ」

「相手は原先生よ・・・絶対秘密だからね」

半田とお茶の間が心の中で一体となった瞬間である。

もちろん・・・時は遡上するのだった。

通称みとしーに向かう通称いずっぱこの車内。

和気藹々の男子と女子に感動する平助。

そこで・・・一緒に掴んだら必ず結ばれるハートのつり革伝説について熱く語るりさ。

揺れる車内・・・思わず壁ドンの平助。

その時・・・平助とりさが掴んでいたのは・・・伝説のハートのつり革だったのです。

この瞬間・・・処女のりさは・・・姉にふられた男・平助と結ばれる「運命」を感じたのでした。

あああああああああああああああああと開いた口がふさがらない処女の醍醐味である。

こじれた綾瀬はるかも凄いけどこじれた満島ひかりも甲乙つけがたいな。

とにかく・・・突然、自分を熱く見つめ始めたりさの視線に気付かず・・・童貞なので・・・中井会長に予防線を張る平助。

「ねぇ、私たちって、付き合ってるのかなぁ?・・・と女子はよく口にしますが・・・社会に出れば世界は常に男女共学です・・・そこには様々な出会いがあります。あわてず騒がず様子見をすることが大切です」

いかにも・・・腰の退けた平助の言葉にまったく同意の様子のない中井会長だった。

一方・・・りさはイギリスの代表的なロマン派詩人で閑古鳥をこよなく愛するウィリアム・ワーズワースの言葉を引用する。

「You must love him, before to you he will seem worthy of your love.」

(あなたが愛するのはあなたの愛する者が愛する価値があるからではない)

「いいですか・・・ムキムキだから好きになるのではありません・・・好きな相手がムキムキならムキムキも好きになるのです」

硬直する半田。

激しく同意のあまりん。

「様子見とか・・・単なる時間の無駄です。青春時代は短いんだ・・・がっついていこう!」

走りだした恋の暴走列車は止まらないのが運命なのである。

なにしろ、主人公にヒロインが恋をしているだけでこんなに面白いんだぜ。

万歳。ごめんね青春!

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2014年11月 3日 (月)

いそかげのまつのあらしやともちどりいきてなくねのすみにしのうら・・・と豊臣秀次(岡田准一)

豊臣秀吉の姉・日秀の子で関白となった豊臣秀次は鎌倉の将軍家伝来の「源氏物語」を所有していたと言われる。

秀次は叔父・秀吉の期待に応えるために文武両道の探究者だった。

もちろん・・・素性の定かならぬ家の出である・・・その努力は涙ぐましいものと言える。

秀次の辞世には・・・源氏物語第12帖「須磨」を思い起こさせるものがある。

奔放な美女・朧月夜との不適切な関係により都を追われ、無位無官となった光源氏は須磨で侘び住まいをする。都での様々な光と影を懐かしむ光源氏だったが海辺でただならぬ嵐に襲われ恐怖に慄くのである。

その一節に・・・「友千鳥が声をあわせて啼いている明け方は一人泣き暮らす者をなぐさめるようだ」とあるわけである。

「磯陰の松の嵐や 友千鳥」なのである。

「生きて啼く声の澄みにしの浦」なのだった。

友千鳥は秀吉を含める豊臣一族である。その声は・・・かっては一族を思い美しく響いていたというのに・・・今は・・・迫ってくる滅びの時をただ待っているようではないか・・・ということだ。

怨みの歌ではあるが・・・なかなかに趣きがあるのだった。

秀次の所有していた「源氏物語」は徳川家康の手に移り、今に伝わっている。

で、『軍師官兵衛・第44回』(NHK総合20141102PM8~)脚本・前川洋一、演出・鈴木航を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は幽かに減って27行。秀吉を間に挟んで・・・野望を推し進める石田三成・淀組と・・・時の流れに茫然とする官兵衛の対比はなかなかに面白いのですが・・・どうしても「日本号」のことは盛り込みたいという・・・美術さんの情熱が水を差すのですな。一同爆笑ですな。前にも述べましたが・・・茶器などの「それらしい品々」については物凄く力の入っている大河ドラマとは言えます。今回の大杯もなかなかの一品でしたしねえ。そういうことでどうするっ・・・とは思いますけれど。それはさておき・・・予想外の淀殿の描き下ろしイラスト大公開で感無量でございました。とにかく、二階堂ふみは素晴らしいのでございます。ああ・・・「熱海の捜査官」でも見るかな。

Kan044文禄三年(1594年)八月、石川五右衛門は京都三条河原で「石川や浜の真砂はつきるとも世に盗人の種はつくまじ」と辞世を残して煎り殺される。文禄四年(1595年)七月、前関白の豊臣秀次は切腹を命じられ死亡。蜂須賀小六と並ぶ股肱の臣だった前野将右衛門長康や黒田官兵衛の従兄弟で播磨以来の臣である明石則実なども連座して死を賜る。忠臣を自らが粛清する成り上がり者にありがちな轍を秀吉も踏むのである。愛児・秀頼の後継者レース参加者を排除することは・・・豊臣政権の行く末を暗示するのだった。その中で秀吉の義弟となった徳川家康だけは容易く排除できない実力を兼備していたのである。忠臣として石田三成を評価する向きもあるが・・・結局、目先の利益に目が眩んだ小悪党であることはこの一点で明白なのだった。秀吉の手足となって働く五奉行(三成、浅野長政、増田長盛、長束正家、前田玄以)は秀吉の威を借る狐だった。秀吉こけたら皆こける宿命である。秀吉の正室・寧々の血縁である浅野一族、木下一族は生き残りを家康に賭ける他なくなるのである。秀頼誕生後、寧々の兄・木下家定の子、秀秋は嫡子のない小早川家に養子に出ることで難を逃れる。黒田如水はこの縁組に関与しており、それは一つの布石だった。小早川隆景の隠居により、小早川秀秋は筑前三十万石の領主となる。文禄五年(1596年)十月、伊予地震、豊後地震、伏見地震など天変地異が相次ぎ、慶長に改元。慶長元年十二月、秀頼元服。慶長二年(1597年)二月、秀吉は再び朝鮮への出兵を号令する。軍監として出陣した黒田如水は・・・秀吉の逝去を前提とした専守防衛作戦を展開する。

如水は釜山浦の築城が思ったより進捗していないことを出迎えた九郎右衛門に問う。

「やはり・・・人夫不足か」

「はい・・・とにかく人手が足りませぬ。朝鮮王の支配を嫌い、協力を申し出る賤民は多いのですが・・・文盲のものが多く、筆談ができませぬ。読み書きが出来て大工仕事の技術のあるものはほとんど逃亡しており、結局、土地のものには雑用しかさせられませぬ」

「朝鮮語を話せるもの、大和言葉を話せるものの育成はどうなっている」

「それも思うにまかせませぬ・・・なにしろ・・・土地土地で言葉が違いまする」

「だが・・・最低限の意思疎通はできるだろう」

「それはそうなのですが・・・話せるものほど・・・朝鮮王への忠誠心も強いわけでございます」

「なるほど・・・身分の差が・・・忠誠心の差になっておるのか」

「さようでございます」

「年貢のことはどうなっておる」

「文禄の折に逃げた百姓たちは停戦の間に戻って参りましたので・・・半数ほどは支配下に入っております」

「秋までには前線を押し上げ、漢城あたりまでは支配下におく。百姓どもを安堵させるのが何よりの要じゃ」

「若殿は大殿の言いつけ通り、百姓を慰撫しておりますが・・・各陣によって・・・」

「まあ・・・それは仕方あるまい・・・若い輩も多いからのう・・・後で痛い目を見ればわかるだろう」

「黒田本陣は北東の丘に構築が終わっておりまする」

「明の水軍の様子はどうか」

「何度か、補給船を襲撃してきましたが・・・その度に撃退しております。もはや、組織だった水軍はないようです」

「おそらく・・・漢城周辺に集結させているのだろう」

「東と西・・・どちらの道も・・・二十里ほどは完全に我が軍が制しております。おそらく進軍を開始すれば漢城までは一月とかかりますまい」

「斥候の報告はどうだ」

「気になるのは文禄の頃、石田殿や小西殿が逃走の際に放棄した鉄砲弾薬がかなりの量、敵の手に渡っております。明軍はこれで訓練を重ねていると思われます」

「しかし・・・鉄砲のしごきにはそれなりの年月がかかるからな・・・」

「そうではございますが・・・下手な鉄砲も数撃ちゃあたると申します」

「一理あるのう」

「終わりの決まっている戦でございますからな」

「そうじゃ・・・殿下の命があと五年あれば・・・明の国境も犯せようが・・・それはできぬ相談じゃ・・・この戦は・・・兵の損耗を抑え・・・持久戦に持ち込まねばならぬ」

「幸い・・・朝鮮兵は・・・討って出れば必ず退却しますからな・・・」

「命のありがたさを知っておるのじゃ・・・見習うべきところぞ」

「しかし、明軍はあなどれません」

「それは・・・そうじゃ・・・なにしろ・・・兵法のふるさとじゃからのう」

「いかにも・・・」

二人の老将は微笑む。

釜山浦には春風が吹いていた。

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2014年11月 2日 (日)

困った時の神頼みと溺れるものは藁をも掴むは同じ意味です(丸山隆平)

ここ半世紀の流れを見ていると・・・体罰は是か否かという問題は・・・否定の圧勝に至っている。

もはや、体罰は虐待と同義語になったといっていいだろう。

本当にそれでいいのか・・・という問題はさておき・・・じゃ・・・言うことを聞かない子供をどうすりゃいいんだ・・・である。

言葉の暴力を念頭に置けば・・・叱ったりしてもいけないんだな。

暴力絶対反対主義者にとっては・・・死刑も許容できない。

人間が人間を殺す以上の暴力なんてないからな。

世界には理不尽が満ちているで・・・子供を殺された親が殺人者を憎むことも許されない世界はすぐそこにあるだろう。

実際、子供を誘拐されて・・・犯人もわかっているのに・・・37年間も無事を祈るしかない両親もある。

その不条理を人間は受容するのである。

誘拐事件そのものを「なかった」と言い張った人々もあったということになれば「謝罪」するのみである。

暴力で奪われたものを暴力で奪いかえしてはならないからである。

つまり・・・この国では正当防衛は基本的に罪なのである。

世界は子供を奪われた両親に深い同情を示すだろう。

だからといって子供を取り戻してはくれないのだ。

暴力反対とは・・・つまり・・・無力になることだからである。

そういう世界が私は嫌いだ。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第4回』(日本テレビ20141101PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・マギー、演出・明石広人を見た。タイトルに地獄が入っている以上、死後の世界は必ず存在するわけである。基本的に無宗教国家である日本国では逆にどんな宗教も許容する傾向にある。多くの人はキリスト教の教祖の誕生を盛大に祝った後で神社に初詣に出かけ一年の無事を祈願し、かなりの人が仏教の寺に埋葬される。こんななんでもありの国は世界でも稀であろう。最近ではいきなりイスラームのテロリストになろうとするバカまで現れたわけである。ただし・・・多くの人はなんとなく死後の世界はあるような気はしているものの実は死んだら終わりだと思っていたりするわけである。死ぬ気になれば何でもできるという思いこみを和らげるために・・・死後の世界の想像の翼は広がっているとも言える。まあ、基本、生前に寄付しないと・・・地獄に堕ちますという前提である。

だから・・・妖怪は実在するなんて言う人がいたら間違いなく詐欺師なのである。

そういう立場に立つ登場人物が高橋律子先生(桐谷美玲)だ。

しかし・・・律子先生も・・・もしもあったらどうしようと考えるのだった。

死後の世界の立証は困難だが・・・死後の世界は存在しないという立証も困難なのである。

しかし・・・立証が困難でも「心」というものはありそうな感じである。

「心」の中には「妖怪」も存在しているわけである。

人間の「心」というと・・・あれだが・・・現代の日本人の「心」にはある程度「雪女」は存在している可能性が高い。

「心」は基本的に情報なので・・・「雪女の情報」と言っても良い。

つまり・・・雪女を知らないということは日本人ではない可能性が高まるのだった。

だから・・・このドラマに・・・雪女のゆきめ(知英)が登場することに意義があるのだった。

日本人であれは知っておく必要がある雪女を韓国人が演じているのは問題ではない。そもそも日本人に雪女を広めた小泉八雲は英国人である。

とにかく・・・雪女が虚構の中に存在して・・・基本的に冷たいことは・・・日本人の「心」にとって重要なのだと考える。

最近では「八重の桜」や「軍師官兵衛」や「まっさん」のように主人公がクリスチャンというドラマもあるわけで・・・それはそれで「日本人の心」のためにはいいだろう。そこで「汝の隣人を愛すること」を学び、その一方で「神の敵は皆殺しでいいこと」も学ぶことができる。

ぬ~べ~(丸山隆平)は鬼の手に・・・妖力を宿しているわけだが・・・そのために心が「地獄のような場所」に通じている。

本来、地獄とは死後の世界に属するものだが・・・毎日20万人が死ぬ世界において・・・地獄は常時存在するわけである。

だから・・・異次元通路によって現世の人間の心と地獄が通じていることはありえる。

まあ・・・基本的には人格の分裂という精神疾患です。

前回、脚本がマギーでなかったので・・・一種の禅問答である覇鬼(坂上忍)と亡霊である美奈子先生(優香)とぬ~べ~の三者対談がスカスカだったのだが・・・今回は「人間が人間を叱ることはあっていいのか」という哲学的問題を・・・それなりに面白可笑しくしあげていたと考える。

「子供には拳銃の弾丸ではなくラーメンを食べさせろ」という話だったよね。

違う気がする。

受験は・・・学力差による人間集団の再編成である。

高校生が時々、小学生のような言動をするドラマだが・・・生徒の学力が小学生児童なみの高校はきっと実在する。

童守高校はそういう高校なので・・・憐れみを持って接しよう。

ぬ~べ~の妖怪退治を経て、妖怪の実在を知った2年III組の生徒たちは恐怖するどころか・・・「妖怪の世界」をエンジョイし始めるのだった。

そのために・・・「開かないよ~」でおなじみのトイレの花子さん(高橋真麻)は生徒たちのアイドル的存在となってしまい、自分の存在意義を見失い転校を決意するのだった。

妖怪の恐ろしさを知っているぬ~べ~はなんとか「危険性」を伝えようとするが生徒は耳を貸さない。

「海は恐ろしいものだ」と言っても「サーフィンしちゃう」のが若者なのである。

「台風の海でサーフィンすることは自殺行為だ」と言っても「波を求めて死地に向かうのが若者だもの」なのである。

なにしろ・・・バカには話すだけ無駄なのだ・・・だからバカなんだから。

そして・・・そんな生徒たちを悪の道に引きずり込むのが・・・ちょっとバカな周囲の大人たちである。

家出中のイタコ見習い・葉月いずな(山本美月)と童守寺和尚(マキタスポーツ)は子供たちのお小遣いを巻き上げようといろいろと危険な遊びで・・・生徒たちを惑わすのだった。

生徒たちは「エンジェルさん」や「幽体離脱ごっこ」に小学生のように夢中になるのだ。

ついに・・・美樹(佐野ひなこ)は擬似幽体離脱体験中に首がのびて妖怪「ろくろ首」化してしまう。

伸ばすことはできても縮めることはできないいずなは困窮する。

ぬ~べ~の最初の理解者であるまこと(知念侑李)はあわてて救難要請をするのだった。

ぬ~べ~は妖力によって物質化した霊体ろくろ首を妖力によって切除し、美樹を常態に戻すことに成功する。

「未熟な霊能力を使うな」といずなを叱るぬ~べ~だったが・・・叱られることに慣れていないいずなや生徒たちは・・・なんとなく高圧的なぬ~べ~を敬遠するのだった。

ぬ~べ~もまた・・・かって無限界時空(高橋英樹)に「未熟者」と罵倒されたことがあり・・・自分が嫌な気分になったことを他人にしてしまったと・・・思い悩む。

そんなこととは知らない律子先生は・・・最近、生徒と仲がいいぬ~べ~に・・・その指導方法を訪ねる。

しかし、居合わせた妖狐である玉藻京介(速水もこみち)に「妖怪のことで生徒の心を掴んだんですよね」と実情を伝えられてしまう。

「まだ・・・妖怪なんていう・・・非現実的なことで・・・生徒の気をひいているんですか・・・」

科学万能主義者の律子先生は・・・教育的指導のために・・・「プラズマ実験」を行うことを決意する。

一方で・・・無限界時空によって封印されそうになった玉藻は・・・無限界時空とぬ~べ~が知り合いだと知り・・・ぬ~べ~に情報の開示を求める。

しかし・・・「妖怪なんていないことを実証する」という律子先生のプラズマ実験にぬ~べ~と玉藻は招待されてしまうのだった。

一方で寺に伝わる怪しげな書から・・・妖怪「陰魔羅鬼(おんもらき)」が封印されていることを知った和尚は・・・いずなに「妖怪召喚ショー」を持ちかける。

二人は生徒たちを集め・・・陰魔羅鬼の封印を解くのだった。

現れ出でたるは・・・人の魂を盗むと言われる巨大な怪鳥だった。

恐怖に襲われ、生徒の一人、篠崎愛(中村ゆりか)などはパンチラ寸前である。

そこかっ。

妖気を感じたぬ~べ~は律子先生を玉藻に託して駆けつける。

仕方なく、律子先生を催眠術で眠らせ、お姫様抱っこをサービスする玉藻だった。

いずなは生徒たちを逃がし・・・管ぎつねで対抗しようとする。

「いでよ・・・管ぎつね」

しかし・・・出ません。

駆けつけたぬ~べ~は・・・未熟な二人に・・・努力の大切さを悟らせようと考える。

「陰魔羅鬼は供養されなかった人間の怨念の結晶体で・・・信仰の不足している宗教家に祟ると言われている。修行不足のあなたたちが・・・心をあらためなければ封印できない」という教育指導的虚言を述べるのだった。

あわてて読経を始める和尚だが・・・修行不足のため・・・しどろもどろになってしまう。

「じゃ・・・いずな・・・お前がなんとかしろ・・・」

「でも・・・」

「やれると信じるんだ」

「いでよ・・・管ぎつね」

ぬ~べ~に励まされ使い魔として飼育された低級霊「こいなり」の召喚に成功するいずな。

こいなりは陰魔羅鬼にそこそこの一撃を加える。

「よくやった・・・」

鬼の手を出すぬ~べ~。

「強制成仏!」

彷徨う死者の霊を冥界に送ることに成功である。

同時に・・・和尚やいずな・・・そして生徒たちも少しは懲りたらしい。

懲りるという字は懲役の懲である。

この世に存在しないものが存在することを知らぬ律子先生は一人プラズマ実験に虚しさを感じるのだった。

一件落着して・・・ようやく玉藻の質問時間がやってくる。

「無限界時空とは何者だ」

「あいつは・・・俺の父親だ」とぬ~べ~。

本当の世界ではトイレの花子さんの父親だけどな。

本当の世界ってなんだよ。

しかし、懲りない和尚は「河童の手(木製)」を「鬼の手(木製)」に改称してひと儲けしようと思案するのである。

ぬ~べ~が実在したのなら北朝鮮に渡航して鬼の手で悪しき妖怪どもを退治して攫われた人々を救出できるのになあ。

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2014年11月 1日 (土)

がんばれ・・・N(窪田正孝)がんばれ・・・N(榮倉奈々)

学校というのは面白いところである。

小学校や中学校では地域社会・・・たとえば、町とか村とかの延長線上の幼馴染が顔を揃える。

もちろん、例外はある。

いきなり・・・付属校に入る人も多い御時勢だ。

とにかく・・・高校になると都道府県単位で見知らぬ顔に出会うことになる。

しかも・・・受験システムによって・・・ある程度の学力による差別化が起るわけである。

幼馴染ののんびりした優劣から・・・見知らぬ者同志の実力伯仲の切磋琢磨になるわけである。

これが大学となると全国津々浦々から・・・とんでもない赤の他人が集まってくる。

その一人一人に・・・想像を絶したおいたちが隠されているわけである。

こんなに面白いことはないのである。

しかし、まあ・・・人間に興味がない人にはどうでもよかったりするわけである。

けれど・・・どうしたって・・・あの原爆の落ちた広島から来た人か・・・とかあの原爆の落ちた長崎から来た人か・・・とかあの北方領土に接する北海道から来た人か・・・とかひめゆりの塔のある沖縄から来た人か・・・などと一々面白いんだよなあ。

そして・・・そこで出会った学生によって・・・それぞれの勝手な県人像が描かれるわけである。

しかし・・・同じ大学にいる女子学生が土下座の成果でここにいるかもって想像したことはなかったなあ。

それだけでもこのドラマは評価に値するよねえ。

自分が現役の大学生だったら・・・あの子は土下座してるかも・・・あの子もひょっとしたらって妄想の翼が広がるに違いない。

広がらねえよ。

で、『Nのために・第3回』(TBSテレビ20141031PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・塚原あゆ子を見た。成瀬周平(モロ師岡)は火事では死亡しなかったのか・・・そして・・・高野夏恵(原日出子)は心因性で声が出なかったのか・・・つまり、ある意味、だんまりなのか・・・これはもう・・・周平と夏恵は・・・そういう関係だったとしか・・・そして、放火したのは・・・周平ではなく・・・二人の関係を知った高野(三浦友和)・・・「流星の絆」かよっ。

慎司(窪田正孝)が放火したのなら・・・杉下希美(榮倉奈々)は単なる偽証である。

しかし・・・それでは事件が単純になりすぎる・・・。

慎司は希美にやったと思われたという場合・・・希美に誤解を解きたいわけだが・・・父が放火犯人であることを疑えば・・・それも難しいわけである。

もちろん・・・希美がやった可能性も・・・慎司としては捨てきれない。

その場合はアリバイ工作の共犯者ということになる。

お茶の間的には・・・待ち合わせの亭で火事を目撃した希美は・・・アリバイが成立しているわけだが・・・証言者はいないわけである。

まあ・・・もちろん・・・ここでそういうことが明らかになったら・・・話が終ってしまうからな。

なにしろ・・・第三者が放火犯人かもしれないわけである。

なぜか・・・夫に対して後ろめたい表情を見せる夏恵(原日出子)・・・。

いかにも・・・何かを隠しているようである。

「なんで・・・火なんか」

「あんたと結婚してればよかった」

「何を今さら・・・さあ、逃げんと」

「うわあ・・・・火が火が」

・・・的な。

妻が隠している秘密を追いかけて・・・十数年・・・高野が本当に知りたいのは・・・真実ではなくて・・・妻の自分への偽りのない愛なんだな。

まあ、妄想上ではそういうことになる。

【2014年】安藤望(賀来賢人)にクリスマスイブ殺人事件について問う高野。

「僕は・・・あの日から・・・彼女とは疎遠になってるんです。僕は彼女とはただの友達でしたが・・・僕としては妻にするなら・・・杉下希美だと思っていた・・・希美が僕にとってのNだから」

「杉下希美にとってのNは誰だったんでしょうか」

「それをあなたに応える義務はありますか。大体・・・あなた、誰なんです」

「・・・」

希美の職場を突き止めた高野だったが・・・建築事務所の副社長だった希美は直前に職を辞していた。

「突然、理由もなく辞めるような子じゃないんですよ・・・何か事情をご存じないですか」

経営者の桐野繭子(伊藤裕子)に問われた高野は・・・。

「全く、心当たりがありません」

お前だ。お前じゃないか。

それにしても・・・職を辞するほど高野を拒絶するとは・・・高野、女子高校生時代の希美に悪質なセクハラでもしていたのか。

いや・・・それはないと思うぞ。

高野は希美が学生時代に住んでいたアパート「野バラ荘」の大家だった野原兼文(織本順吉)を訪ねる。

「さあ・・・どうでしたかねえ・・・いや・・・確かにそうだ・・・待てよ・・・違うかな」

妻に先立たれて二十年・・・野原の記憶は曖昧である。

結局、得るところなく帰る高野。

しかし・・・野原の家には西崎真人(小出恵介)が潜んでいた。

「あんな感じでよかったかなあ」

「うん・・・充分だよ」

「あの人誰だい」

「刑事ドラマを見すぎた元駐在さんだ」

野原は認知症を偽装していたのだった。

夫の帰りを待つ夏恵は暗鬱な表情を浮かべている。

【2004年】クリスマスで賑わう東京。高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階では大手商社に勤務するエリートビジネスマンの野口貴弘(徳井義実)が不倫した妻の奈央子(小西真奈美)を殺害し、奈央子の愛人の大学生・西崎真人が貴弘を殺害した。

現場には・・・貴弘の部下である安藤望・・・。

そして・・・大学生だった杉下希美・・・。

さらに・・・希美の幼馴染の成瀬慎司が居合わせていた。

しかし、事件の真相は謎に包まれている。

なぜか・・・高野は・・・野口が無実ではないかと疑っているのだった。

妻が不倫しているとか・・・信じたくないのかもしれない。

それが自分の妻でなくても・・・。

【2000年】島で一番の権力者である杉下晋(光石研)は愛人の宮本由妃(柴本幸)を自宅に住まわせ、正妻の早苗(山本未來)と子供たちを追い出す。美しいが少し知能の不足している母親を抱え・・・希美は悪夢のような日常から脱出するために・・・奨学金を得て、大学に進学しようとしていた。

しかし・・・奨学金を得たのは成瀬慎司だった。

シャープペンのノックの音で「オ・メ・デ・ト・ウ」と祝福する希美。

しかし・・・自分が放火したと希美が思っていると感じている慎司にはそれが「バ・カ・ヤ・ロ・ウ」とか「ヒ・キョ・ウ・モ・ノ」とかに思えるのだった。

「さざなみ」の火災で重傷を負った周平と夏恵は順調に回復しつつあった。

しかし・・・夏恵は・・・心因性と思われる失声の症状を示す。

病床の妻に「何か面白いことあった」と問う高野・・・これは浮気されるな。

妻は仕方なく「あなたと話したいけど・・・眠たくて」と筆談に応じるのだった。

大切な妻の声が聞けなくて苛立つ高野は・・・火元の成瀬親子にからむ。

「また・・・仕事やめたんだって・・・」

「あんな・・・仕事やってられっかよ」

「気持ちは分かるけど・・・慎司も大学に行くんだし」

「・・・」

「あの火事で・・・保険金は出たのか」

「スズメの涙さ」

「慎司・・・火事のことで何か知ってるんだったら正直に言ってな」

「知っていることはみんな話しましたよ・・・俺が疑われてるみたいですけどね」

「まあ・・・夜中に自転車にのってあちこち出かけてるから・・・いろいろ言われるのよ」

「自転車にのってあちこち行ってるから・・・火が出た時に家にいなかったんじゃ」

「・・・」

「火事場にはオイルの缶があったし・・・杉下さんちの玄関先にオイルが撒かれていたこともあったんよ」

「杉下のことも疑っとるのか」

「いろいろと問題ある家の子じゃから」

「見て見ぬふりじゃなかったのかい」

「まあ・・・事件となれば話は別じゃ」

「もう・・・火事のことは忘れたい」

「しかし・・・放火犯人は捕まえんとな」

暇をもてあましてしつこい高野に顔をしかめる周平と慎司だった。

帰宅した希美を待っていたのは・・・大学の入学願書を引きちぎる母親だった。

「私を置いて島を出るような悪い子やないよねえ・・・希美ちゃんは・・・」

「お母さん、私、大学に行きたいの」

「だめよ・・・そんなお母さんを一人にするような悪い子はおしおきしないと」

希美を部屋に閉じ込める早苗。

「お母さんだって・・・希美ちゃんのためにいろいろ我慢しているんだから・・・希美ちゃんもわかってくれないとお母さん困る」

全国の理想的でない母親像首位をぶっちぎりで走る早苗である。

仕方なく部屋を片付ける希美は高松行きフェリーのチケットを発見する。

それは慎司と・・・お互いのために買いあった「島からの脱出切符」である。

「ガンバレN」と裏書きされたチケットに勇気づけられ・・・窓から脱出する希美。

担当物件の地鎮祭に出席中の父親に直訴するのだった。

周囲には大人たちが耳をそばだてる。

そこで父親に土下座する娘。

「お父さんは・・・大学卒業した人を馬鹿にして・・・憎んで・・・大学になんて娘を行かせたくないというのはよくわかります。お父さんの連れて来た人も中卒なのにお金を稼げる仕事ができてうらやましいです。だけど・・・私はバカなので大学に行きたいのです。だから・・・大学に行くお金を貸して下さい」

ものすごく世間体の悪い感じに辟易して同意する父親だった。

「お前・・・金を出すまで・・・これをやり続ける覚悟やな」

「はいっ」

「わかった・・・金は出す」

「やるわね」

「ありがとうございます」

不気味な笑顔を応酬する父と娘と父の愛人である。

【2001年】高校の卒業式も終わり、先に島を出る慎司。最後に一目・・・希美に逢いたいと願う。船着き場では高野が目を光らせている。しかし・・・思いを抑えきれなくなった伊豆の踊子じゃなかった希美は自転車を漕ぐのだった。

埠頭を渡る風の中・・・希美が叫ぶ。

「がんばれ」

慎司はフェリーの上で手を振る。

「がんばれ」

高野は慎司と希美がうらやましかった。

強い憎しみを覚えたのである。

何故なら、高野の妻はがんばれと口にしてくれないのである。

希美が島を出ていく日が来た。

「私は一人で生きていくから・・・お母さんも一人で生きてください」

「うまくいくわけない」

ありがたい餞の言葉である。

山本未來万歳っ。

そして・・・東京での希美の新生活が始った。

入学式からバイトの面接に直行する新入生の希美に・・・偶然、道を教えたのが二年生の安藤だった。

偶然は恐ろしいもので・・・安藤は希美と同じアパートの住人だった。

築六十年・・・風呂は大家と共有で月二万円の家賃。

希美に許されたギリギリの新居だった。

そこで・・・希美は大学に五年通ってまだ卒業できない・・・小説家志望の西崎真人(小出恵介)に出会う。

そして・・・運命の九月十一日がやってくる。

鳥島近海で発生した台風第15号は日本の南東海上を発達しながら北上し午前9時30分頃に暴風域を維持したまま神奈川県鎌倉市付近に上陸した。台風は東京都から茨城県へと抜け、東京の最大瞬間風速34.1m/sで暴風と大雨で首都圏の交通はマヒしたのである。

「野バラ荘」も床上浸水し、一階に住む希美と西崎は・・・二階の安藤の部屋に避難するのであった。

そして・・・三人はなんとなく仲良くなるのである。

午後10時の「NHKニュース」は中継映像で炎上する世界貿易センタービルの姿を映し出していた。「アメリカ同時多発テロ事件」の日本における最初の夜がやってきたのだった。

三人は・・・物凄い事件の展開に恐怖した。

翌日、世界が震撼する中で・・・呑気にアパートの修繕に励む三人。

大工仕事の得意な西崎と希美は意気投合し、使えない安藤は年下の希美に「安藤」と呼び捨てにされるのだった。

「野望」に燃える希美・・・。

「一つの創作」を模索する西崎・・・。

「高額所得者となりタワービルの住人」を目指す安藤・・・。

三人の青春が朽ち果てそうなアパートで始ったのである。

しかし・・・まもなく・・・アパートの取り壊し問題が起きる。

近隣に地下鉄の駅が出来ることによる地上げだった。

三人は・・・「野バラ荘」を守るために団結するのだった。

もちろん・・・野バラ荘も「N」なのだ。

どうやら・・・それが悲劇の発端となるらしい・・・。

【2014年】希美は安藤と待ち合わせをする。

「待たせてごめん」

「・・・」

「会いたかった・・・」

安藤は希美を抱きしめる。

希美の手はゆっくりと安藤の背中に・・・。

一方・・・西崎は・・・夜道を歩く慎司に電話をかけるのだった。

「やあ・・・久しぶり」

「・・・」

すべてはNのために・・・と言いたくなる今日この頃だが・・・Nはまだ闇の中にあるのだった。

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