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2014年11月22日 (土)

これでいいのだMでいいのだ・・・ボンボンバカボンNなのだ(榮倉奈々)

なんだ・・・・。

あまりにもうっとりする主題歌を忘れる呪文なのだ。

こんなにヒリヒリしないで二人にはノンアルコールの炭酸飲料でも飲んでほっぺになるとを貼り付けていてもらいたいよねえ。

榮倉奈々といえば・・・「ダンドリ。Dance☆Drill」(2006年)からレビューしているんだよなあ。美少女というには少し抵抗のある素朴な顔立ちと抜群のプロポーション・・・この落差から生じる超絶的なエロス。分かる人には分かるよねえ。

プロポーズ大作戦」では美少女でグラマーという王道中の王道の長澤まさみの親友役・・・。それで終わらないのがある意味、邪道のエロスの持ち主だからだよねえ。

この後は朝ドラマ「瞳」のヒロインである。

まあ・・・NHKにはこのエロスは使いこなせないよね。

で、「メイちゃんの執事」である。もう、これ以上ない変態ドラマに抜擢されたのだが・・・メンバー全員が濃いのに埋没しなかったのは流石だ。

そして「泣かないと決めた日」でとんでもドラマの主役をこなす演技力を開花させる。

なんと「最高の人生の終り方〜エンディングプランナー〜」では山P相手のヒロインもこなす。

黒の女教師」は少し中途半端だったが・・・スペシャルドラマ「はじまりの歌」や映画「のぼうの城」などで・・・ついに「普通にかわいい役」にまで到達しているのである。

分かる人にしか分からないエロスを秘めて・・・演技派となり・・・ここへ。

ある意味、ここが一つの頂上だと思えるよ。

ここからさらに飛翔して行くのかどうか・・・すごく楽しみだよ。

赤でスタート、黄でダッシュ、だから事故なのだ。

天才バカボンの似合う女子はそう滅多にいるもんじゃないから。

で、『Nのために・第6回』(TBSテレビ20141121PM10~)原作・湊かなえ、脚本・奥寺佐渡子、演出・塚原あゆ子を見た。島で一番の権力者である杉下晋(光石研)は愛人の宮本由妃(柴本幸)を自宅に住まわせ、正妻の早苗(山本未來)と子供たちを追い出す。高校生だった杉下希美(榮倉奈々)は島で一番恵まれたお嬢様という「自分」を失い・・・一匹の野獣と化す・・・美しいが少し知能の不足している母親は現実逃避をしながら野獣にまとわりつき・・・少しずつ人間性を剥奪していく。最後の希望だった幼馴染の成瀬慎司(窪田正孝)が放火犯であるかもしれないと疑った希美は・・・すべてを捨て去る覚悟で地獄の首都・東京に旅立ったのだ。放火犯のアリバイ工作に協力したという罪を背負って・・・。大都会・東京は故郷での些細な出来事など塗り替えていくパワーを秘めていた。しかし・・・一度、目覚めてしまった野生は・・・希美という獣をゆっくりと追いつめていくのだった。

【2004年】クリスマスで賑わう東京。高層タワーマンション・スカイローズガーデン48階に棲む野口貴弘(徳井義実)を訪ねた安藤望(賀来賢人)。約束の時間より早く到着した安藤は貴弘の指示に従い、ラウンジで待機する。しかし、約束の時間になっても現れない野口を不審に思い部屋に向かう。室内から杉下希美が入室しないようにと指示するが・・・鍵のかかっていない室内に安藤は入って行く。

そこには・・・野口と野口の妻・奈央子(小西真奈美)の骸が横たわり、西崎真人(小出恵介)と希美・・・そして成瀬慎司が茫然と立ちすくむ。

【2014年】高野(三浦友和)は突然、辞職した希美の自宅を訪問する。

「君の知っていることを話してほしい」

「・・・」

「あの火事の時も・・・君たちは何かをかくしていた」

「・・・」

「あの時・・・もっと強く君たちを責めなかったことを・・・俺はずっと後悔しているんだ」

「・・・」

【2003年】亡き妻の思い出の残る「野バラ荘」を愛する大家・野原兼文(織本順吉)のために都市開発の地上げを阻止しようとする西崎は・・・下宿人仲間の希美や安藤とともに「N作戦」を開始する。その結果・・・大地主である野口貴弘の父親が土地を売却する意志がないことが確認される。

野口の会社への入社が内定した安藤と・・・野口夫人の話し相手となった希美は・・・二人とプライベートな交際を開始する。

しかし・・・暗い翳を宿した野口夫人は・・・希美を訪ね・・・西崎と出会う。

留守の希美を西崎の部屋で待つ間に西崎の小説「灼熱バード」を読んだ野口夫人は・・・一瞬で西崎が虐待された子供であることを理解するのだった。

鳥(西崎)は部屋の片隅で暮らしている。飼い主(西崎の母親)は日々の鬱屈を・・・鳥を虐待することで晴らす。鳥に火のついた煙草を押し付け、煮えたぎったスープをそそぐ。悲鳴をあげる鳥を慈しむ飼い主は泣きながら餌を与えるのだった。鳥はひと思いに殺してほしいと願う一方で・・・飼い主の愛を受け入れるのだった。

野口夫人もまた籠の鳥だった。

夫となにかを密約している希美を疑いつつ・・・気晴らしの相手として希美を誘う。

希美が・・・父親の愛人や・・・実の母親をイメージさせるドレッサーに反応したのを・・・勘違いしたのか・・・突然、プレゼントするような非常識な側面をみせる野口夫人。

配達された部屋に不似合いなドレッサーをもてあます希美だった。

一方、詐欺グループの一員として逮捕された慎司は・・・初犯であったことから起訴はされず、高野(三浦友和)を身元引受人に指名して釈放される。

「すみません・・・誰にも頼めなくて」

「いいのさ・・・」

高野は放火事件へのわだかまりを捨て・・・慎司の将来を案じる。

慎司は・・・大学を辞め・・・父親の背中を追いかけて料理人への道へと歩み出す。

しかし・・・高野が島へ戻ればそこにはもの言わぬ妻・夏恵(原日出子)が待っている。

たちまち・・・不信が高野の胸を焦がすのだった。

【2004年・冬】新年が訪れ・・・希美に母親から結婚の報告が届く。相手は高野が紹介してくれた民生委員であった。高野も若者たちのために精一杯のフォローをしているのだった。希美は母親から解放され・・・心が少し軽くなった。

安藤は希美を初詣に誘う。

この年、小泉首相も元旦に靖国神社へ参拝していた。

自衛隊のイラク派遣が開始された年である。

初詣の混雑に押し流された希美は安藤に手を伸ばす。

その手をとる安藤。

希美の中で・・・慎司は過去の中に消え・・・安藤の温もりが存在感を増していく。

野バラ荘の大家・野原老人は言う。

「苦労したことなんか・・・忘れちゃった方がいい」

父親の暴走によって始った希美の長い冬が終ろうとしているようだった。

西崎は・・・安藤と希美という若者たちに・・・新しい美しさを見出していた。

安藤は・・・清掃会社のバイトの最終日に・・・希美の憧れだったゴンドラによる窓清掃をプレゼントする。

「でも・・・私・・・体重不足で」

「ウエイトを装着すれば大丈夫」

「なんで・・・こんなことしてくれるの」

「お世話になった御礼さ・・・」

「私・・・何もしてない」

「スキューバダイビングに誘ってくれたし・・・将棋も教えてくれたじゃないか」

「・・・」

高層ビルの外側から眺める・・・東京の景色。

「すごいね・・・島から見える景色と全然違う」

「世界の果てとつながっていることがわかったかい」

「うん・・・でも・・・少しこわい」

「こわくなんかないさ・・・世界の果てに何が待っているか・・・楽しみじゃないか」

「安藤・・・かっこいい」

「君だって・・・もうすぐ・・・世界に向かって旅立つのさ」

「私に・・・できるのかな」

「できるに決まってる」

「ありがとう・・・安藤」

そして・・・安藤は一足早く・・・野バラ荘を旅立つ。

「落ちついたら彼女を迎えにくるつもりです」

「そうか・・・」

「何を話しているの・・・」

「落ちついたら君を・・・」

「わーわー・・・何言ってるんですか」

「え・・・何なのよ」

年末に起こる出来事を知っていると胸をしめつける青春の一幕なのだった。

【2004年・春】野口の勤務する会社に就職した安藤は希望通り、野口と同じプロジェクト課に配属され・・・相変わらず将棋の相手を務めていた。実は・・・希美は密かに野口に将棋を指南していたのだった。負けず嫌いの野口は安藤の将棋の師匠である希美に・・・必勝法を伝授されていたのだった。

はたして・・・ふたりの関係がそれだけのものなのかどうかは・・・希美の表情から窺い知ることはできない。

営団地下鉄は東京メトロになった。政治家たちはみんな年金を未納していた。

イラクでは日本人人質事件が発生する。

女子高生コンクリート殺人事件の犯人が監禁致傷事件を起こす。

小泉首相は二度目の北朝鮮訪問で・・・拉致被害者の家族の一部帰国を果たす。

希美は就職活動に励み・・・留守がちだった。

希美を訪ねた野口夫人は西崎と急速に接近する。

「あなたは・・・虐待され・・・それを愛と感じた」

「あんなものは・・・愛じゃない・・・ただの暴力だ」

「私も・・・あなたと同じ・・・」

野口夫人は肌をさらし・・・生々しい傷痕を西崎に見せる。

その姿に魅了される西崎。

野口夫人は西崎の傷に舌を這わせる。

「あなたを・・・傷つけたのは・・・だれなの」

「母親・・・」

「・・・」

二人は激しくお互いの傷を舐めあうのだった。

就職氷河期の中・・・苦闘する希美。

面接官の中に・・・後のパートナーとなる桐野繭子(伊藤裕子)の姿があった。

「四年間・・・ずっと清掃会社でアルバイトしていたのね・・・一番、清掃しやすかった建物はどこでしたか」

「はい・・・」

そんな折・・・野口の薦める石油採掘プロジェクトに問題が発生する。

採掘量が予想を下回り、プロジェクトが破綻したのであった。

「大丈夫なの」と安藤を案ずる希美。

「僕はペーペーだから・・・野口さんも奥さんが重役の娘だし・・・大丈夫だと思うけど・・・」

しかし・・・混乱した社内には送信者不明の不審なメールが送られてくる。

「野口夫人は白昼堂々不倫をしている・・・」

野口夫人と西崎はスカイローズガーデンを望むホテルの一室で愛を交わしていた。

野口家を訪れた希美と安藤は外側に装備されたチェーン・ロックに驚く。

野口夫人は体調を崩し・・・将棋を指す音にも慄く精神的な失調を示す。

「気にしないで・・・また訪問してくれ・・・二人には妻の話し相手になってほしいんだ」

「・・・」

クリスマスの事件の輪郭がうっすらと見え始めるのだった。

あの夜・・・誰が・・・外からチェーンをロックしたのか・・・それは・・・。

【2014年】十年間胸に秘めた思いを安藤は希美に伝える。

「あの夜・・・君に渡そうと思っていた」

それは指輪だった。

「これからは・・・僕とずっと一緒にいて欲しい・・・」

「・・・」

時は無情に流れていく。

希美は高野を呼び出した。

「君に招かれるとは思わなかったよ・・・」

「信じられないかもしれませんが・・・私は胃癌の手術をしました」

「え」

「会社を辞めたのは身辺整理をするためです」

「えええ」

「再発して余命一年と宣告されたのです」

「えええええええええええ」

時間は無常に過ぎていく。

素晴らしい深みへ誘われるこの回廊の美しさは筆舌に尽くしがたい。

幸せになりそこなう登場人物の奥行きを感じられない人には退屈なんだろうなあ。

可哀想になあ・・・。

ジングルベルが暗転の中に鳴り響く・・・。

ああ・・・2014年ももうすぐ終わりだなあ・・・。

ジングルベルジングルベルバカボンボン。

関連するキッドのブログ→第5話のレビュー

シナリオに沿ったレビューをお望みの方はコチラへ→くう様のNのために

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コメント

こんばんは、毎日おつかれさまです

So it's silly…耽溺していたんですが、バカボンですかーっ これからは緊迫シーンでぷぷっと吹き出してしまうかもしれません(^^)//

なると…なるほどっ すでに共演していましたね、あれ、かわいかったですね~~

エンディングプランナーの刑事役、好きでした
腕っぷしの強さ

しかしラストの胃がんで余命一年展開に驚愕です
ヒロインに幸せになってほしいのですが
何が幸せってイロイロでしょうが、平凡で穏やかな幸せをと願ってしまいます
高野相手の嘘だと信じたいです
このままだとヒロインは純愛のままただちに昇華してしまいそうで、やっぱりSo it's sillyです(><)

投稿: mi-mi | 2014年11月24日 (月) 00時42分

aDayinOurLife~ mi-mi様、いらっしゃいませ~アタラシイナニカヲミツケルネェ

冬の気配がたちこめてきました・・・ご自愛くださいませ。

直訳すれば・・・
「ああ・・・なんて・・・愚かな・・・」
という主題歌です。
しかし・・・そこには「愛しいほどに愚か」という
ニュアンスがありますな。

そうなると・・・これはバカボンとバカボンパパの歌と言えないこともない。

すでに三十路を越えたヒロインと老いた狩人の
シーンはまさに・・・なのでございます。

ああ・・・もっと幸せになってもいいのに・・・
と思わずにはいられない・・・。
しかし・・・体の傷なら癒せるけれど
時に・・・心の痛手は癒せやしないなのですな。

あの父親があんな風にならなければ
あの母親がもう少し大人なら
あの時オイルなんて買わなければ
あんな嘘をつくこともなかった・・・。

ヒロインの心からは
いつまでもいつまでも
血が流れ続ける・・・。

ヒロインが愛しているのが
慎司なのか安藤なのか西崎なのかも謎のままなので
何のために嘘をついているのかもわからない。

しかし・・・モザイクのかかった画面の向こう側で
愛しいほどに愚かな出来事があったのは
間違いないと思える・・・。

脚本も演出も見事な美しい迷宮を作り上げていますなあ。

「夜行観覧車」も素晴らしかったが・・・
さらに「迷宮職人」の腕が上がっている・・・。

救いを求め満たされたくて
許されるなら
あれは嘘でした・・・と
ヒロインには笑ってほしい。

そう・・・それが・・・バ~カボンボン・・・。

投稿: キッド | 2014年11月24日 (月) 04時49分

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