熱がさがった後には夢への扉があるのです。(綾瀬はるか)
二人がいつも傷つけあって暮らす愛のかたち・・・それが同棲時代である。
いつの話だよっ。
同棲時代は二つの意味を含んでいる。
男女が一緒に暮らす時に結婚という形式よりも同棲という形式の方がなんとなく流行した年代。
そして・・・今は結婚していたり別れていたりするが・・・同棲していた頃。
まあ・・・無責任で自由で少し後ろめたいふしだらな暮らしぶりである。
もちろん・・・慎み深い人やもてない人たちからは白眼視されるわけだが・・・やりたい盛りのカップルは浮かれまくっているわけである。
だから・・・生まれ変わっても・・・同棲してイチャイチャしたいと思います。
リスク重視の時代には流行しないと思われるが・・・どうせ離婚するならとりあえず同棲の方がセーフティーという考え方もある。
しかし・・・だらだらやっているうちにできちゃった結婚という場合もあります。
まあ・・・愛のかたちは人それぞれってことで・・・。
で、『きょうは会社休みます。・第7回』(日本テレビ20141126PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・狩山俊輔を見た。巷では・・・「女房と畳は新しい方がいい」なんて言うかと思えば「姉女房は身代の薬」などとも申します。まあ・・・年上の女性の方が経験値が上で・・・なにかと遣り繰りが巧いので家庭円満にはいいだろうという希望的観測ですな。・・・落語かよっ。まあ・・・そういう発想は今に始ったことではないわけですが・・・最近ではコミック「めぞん一刻/高橋留美子」(1980~1987年)という先行系があります。大学生が・・・二歳年上の未亡人に恋をする話・・・どちらかと言えば・・・男性の心理を中心に描かれますが・・・作者が女性なので女心もそれなりに滲み出るという展開です。その発展系と言えるこのドラマ。年齢差が広がったり・・・女性が処女だったりしていますが・・・未亡人には亡き夫の惣一郎の名を冠した飼い犬があり・・・処女にはマモルという名の飼い犬があって名残を感じさせます。また・・・脇役の大川瞳(仲里依紗)と加々見(千葉雄大)の関係性もより原点に近い年上の女性カップルになっています。そうなると・・・CEO朝尾(玉木宏)はテニスクラブのコーチ・三鷹瞬の転生ということになるわけですが・・・かなり甘い感じのライバルに仕上がっています。しかし・・・コーチとしての役割は進化しているのでございます。大人ですからな・・・。
九歳年下の大学生でバイトくんの悠斗(福士蒼汰)と結婚を前提としているようなしていないような感じで交際中の帝江物産横浜支社食品部デザート原料課勤務・青石花笑(綾瀬はるか)は恋仇の歯科衛生士の鳴前ひろ乃(古畑星夏)を無抵抗主義で撃破し・・・二人の仲は少し深まる。
しかし・・・悠斗の目には明らかに・・・理想の男に映る元CEOが復活して現れると・・・悠斗は動揺する。
三年前には高校生だった悠斗は・・・花笑への独占欲から・・・「一緒に暮らすこと」を提案するのだった。
都会生まれで都会育ちの花笑は・・・一人暮らしの必要に迫られず・・・三十年間の実家暮らしである。
彼と一緒に暮らすことにときめきつつも巣立つ心の準備が出来ていないのである。
乱れる心を沈めつつ同棲のための物件探しに出かける二人なのだった。
一方、もう一人の花笑である加々見は・・・意中の人、瞳の意中の人・朝尾の復活に尻に火がつく。
何を考えているかわからない後輩以上に何を考えているかわからない先輩・大城(田口淳之介)は加々見を励ます。
「元気出せよ・・・こういう時はカレーだよ。知ってるか、カレーはお釈迦さまが貧しい病人のために精をつけさせようと考案した薬膳なんだぜ。インド人もびっくりの豆知識だろう」
しかし、カレー屋でオムライスを食べる大城。
加々見は何を考えているかわからないパワーで三杯食べたら無料をクリアである。
一方、立花課長(吹越満)はアルバイトの悠斗を正社員として採用しようと画策中である。
就職氷河期が去りつつあるとはいえ・・・この会社・・・人材的に大丈夫なのかっ。
大手商社という設定だったんじゃないのかっ。
復活した朝尾に激しくアプローチする瞳は・・・元CEOに軽くあしらわれるのだった。
元CEOの興味の対象はあくまで主人公なのである。
花笑の昼食時に・・・蕎麦屋に現れて・・・お代を払って華麗に去っていく元CEO・・・。
「この間は別れの危機だったのに・・・今度は同棲計画か・・・忙しいね」
「お、お構いなく・・・」
「しかし・・・花も恋愛も・・・いつか色褪せることをお忘れなく」
「ほっといてください」
まあ・・・この二人の方も・・・主役カップルとして申し分ないわけである。
しかし・・・ここでは主人公のお相手はあくまで悠斗である。
学生生活にアルバイトそして恋愛と・・・公私ともに多忙な悠斗はなんとなく体調を崩しつつあった。
花笑はなんだかんだ・・・元CEOのアドバイスは真摯に受け止める。
花笑の知る夫婦のサンプルは両親のみ・・・。
巌(浅野和之)と光代(高畑淳子)の夫婦の言葉少ない暮らしぶり・・・。
その静けさに・・・ふと不安を感じる花笑・・・。
その妄想は・・・プロ野球風ベンチからのサイン的夫婦の暮らしへと発展する。
送りバントのサインで思わずバントの仕草をする長島監督なんて・・・みんなもう知らないよ。
まあ・・・野球中継を晩酌しながら見る父親に寄り添う箱入り娘だからな。
女友達の感想は・・・。
「なんとなくどっちかの部屋に入り浸りなし崩し的になだれ込むのが同棲生活なのに・・・」
そこで・・・お試し同棲を提案する花笑だった。
超短期ステイである。
ここまで・・・理想の飲み屋の大将を演じて来たブッシーこと武士沢(田口浩正)は・・・。
「若い時にはホテル代にも苦労するから・・・同棲の方が経済的だよね」
ギリギリアウトの冷やかしを展開する。
性欲のピークにある二十代男性(個人差があります)の性欲を受け止める覚悟の花笑だったが・・・お試し一日目の夜に・・・合体はなしなのである。
悠斗の体調に異変が生じているのだった。
持ちこんだ愛犬マモル(ジェントル)の写真の視線も気になり・・・一睡もできない花笑。
父親と同じようないびきをかいたらどうしようとさらなるプレッシャーが花笑を襲う。
二日目で早くも実家に戻る花笑だった。
そんな花笑が・・・家を出ることを考えているのではないかと察知する光代である。
巌は来るべき時が来た衝撃に三途の川を渡りかけたらしい。
「許して下さい」
「許す」
親公認の同棲って・・・もう一つ・・・みだらじゃないよね。
元CEOにモーションかけつつ・・・加々見のデートの誘いも断らない瞳である。
「私のどこが好きなの」
「顔です」
「どうして・・・」
「初恋の人に似ているから・・・」
どこまでも痛々しい加々見であるが・・・ここまで痛々しいと・・・瞳も絆されるわけである。
まあ・・・顔が好きというポイントは大切だ。
とにかく・・・男はその気にならないと出来ないシステムだからである。
もちろん・・・穴があいてればなんでもいいというタイプもあります。
男に好みの顔があり・・・好みとは十人十色・・・だから人類は繁栄しているのである。
もちろん・・・穴があいていればなんでもいいというタイプもかなり貢献しています。
一方・・・悠斗は元CEOから・・・アドバイスを受ける。
「同棲するんだって」
「・・・」
「あせってるんじゃないの」
「・・・」
「彼女のことが・・・ちゃんと見えているのかな」
「・・・」
元CEOは・・・お人好しでお節介なおばさんなのかっ。
不動産屋はついに掘り出し物を売りこみにかかる。
お値段と物件内容は・・・都心からの距離である程度折り合うものである。
悠斗も花笑も気に入るが・・・価格的に・・・学生の悠斗の名義では・・・契約NGという流れになるのだった。
社会人である花笑の名義で・・・花笑の両親が保証人に・・・。
三年前まで高校生だった悠斗に・・・世間が牙を剥くのだった。
もちろん・・・悠斗には・・・それなりの自信があるわけだが・・・それが過剰と判定されたわけである。
花笑は愛するものを傷つけまいと・・・その条件を了解する。
しかし・・・それがショックな悠斗なのだった。
病は気から起こるので・・・悠斗は感染症に対する抵抗力を失い、高熱を発するのだった。
「今日は・・・会社休みます」
花笑は退社後・・・ただちに「彼の部屋」へかけつける。
寝込んでいる彼を見て・・・実家に引き返す花笑・・・看病セットを調達である。
ここでネーム入り水枕が登場するが・・・辻褄的にはフルネームではなくて「花笑」である方が自然である。
もちろん・・・夫婦別姓主義者への配慮もあるだろうが・・・。
「嫁入り道具」として・・・名前を入れるなら・・・ファーストネームだけの方が効くだろう。
そもそも・・・家から持ち出さないものに名前が入っているという話なのである。
まあ・・・気にならない人にはどうでもいいだろうが・・・画竜点睛を欠く一点である。
湯たんぽに氷枕。
ちなみに・・・氷は最初凸凹していて嫌な感じがするのだが・・・親のすることなので子供は我慢するのである。
そして・・・おばあちゃんの知恵袋的な焼きネギの喉まきである。
ネギの有機硫黄化合物(二硫化アリル)は抗菌作用のある刺激物で発汗作用を伴う。
また喉元の保温は・・・免疫力の向上を促すのである程度有効なのである。
ネギアレルギーの人は逆効果なのでご注意ください。
また・・・おかゆのゆるさはそれぞれの好みにもよるので・・・調整が必要である。
あまり・・・べちょべちょなのは嫌だな。おいっ。
花笑の献身的な介護に・・・愛されている自信を失いかけた悠斗の精神は再生を果たすのだった。
不安は熱とともに去りぬである。
「花笑さん・・・僕は少しあせっていたみたいです」
「はい」
「一緒に暮らしたい気持ちは変わらないけど・・・自分名義で部屋を借りれるようになるまで・・・待ってください」
「私も・・・少し・・・不安だったので・・・ホッとしました」
いつかは色あせる「愛の花」を・・・少しでも長持ちさせるのは・・・いろいろと工夫が必要なのである。
しかし・・・夫婦とは・・・色褪せていく時を・・・二人で眺めるもの・・・とも思う花笑だった。
なにしろ・・・すでに三十歳なのである。
かなり大人な花笑とついこの間まで子供だった悠斗・・・。
その間に流れる時は時々、洪水となって流れ出る。
しかし・・・回復した彼に思わずキスをしてしまう花笑だった。
性欲のピークにある三十代女性(個人差があります)の生々しさである。
ピーク同士(個人差があります)の二人はお互いをむさぼりつくすのだった・・・。
一夜明けて・・・上司に呼ばれる二人。
交際発覚を危惧する花笑だったが・・・。
悠斗は「正社員の誘いを断り・・・大学院進学」を明かし、花笑には「一般職から総合職」への打診がある。
早く社会人になりたいといいつつ・・・大学院に進む意向の悠斗・・・。
結婚しないなら・・・本格的にキャリアを積むことを求められる花笑・・・。
性欲とは別に世の中の時は流れていくのである。
そして、密会の現場は草の者の痕跡を残す大城によっておさえられるのだった。
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