口は災いの元だからなんとなく金ヶ崎(夏帆)
さて・・・高校生のサプローが戦国時代にタイムスリップしたのが天文二十年(1551年)なのである。
史実では織田信長が金ヶ崎城で浅井長政に裏切られ、朝倉・浅井連合軍の挟撃によって・・・絶対絶命の窮地に陥るのは永禄十三年(1570年)である。
あれから・・・二十年近くの歳月が過ぎて・・・サブローもアラフォーに・・・なってませんな。
一体・・・今は何年なんだろう。
史実の合戦では織田は徳川との連合軍である。
しかし・・・こちらでは信長は一種のお忍び旅行中で・・・見た感じ百人くらいの手勢。
この少人数を一万を越える大軍で攻めてどうする・・・とか言い出してはいけません。
だって・・・これは戦国スイーツな物語なんですもの。
で、『信長協奏曲・第6回』(フジテレビ20141117PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・宇山佳祐、演出・松山博昭を見た。史実では織田信長の上洛戦は永禄十一年(1568年)に開始される。同盟を組んだ北近江の浅井長政が先鋒となり、南近江を支配する六角義賢の軍勢を駆逐するのが第一段階である。信長の戦力はおよそ三万にまで膨張し、南近江の拠点に籠る六角勢は次々と降伏。六角家の主城である観音寺城もあっという間に落城・・・義賢は忍びの一族であるために・・・里のある甲賀へ脱出する。この後は甲賀忍びと信長の忍び軍団・・・森、明智、木下などが・・・ゲリラ戦とゲリラ追討戦を展開することになる。山城国に入った信長は京の都を占拠するとともに周辺諸国に武威を示す。大和の松永久秀、摂津の三好義継らは信長に臣従する。残った抵抗勢力は四国へ逃亡する。冬が来る前に上洛戦は信長の圧勝で幕を閉じ、第15代室町幕府将軍の座に足利義昭が着くのである。
この時・・・越前国の守護大名・朝倉義景は事態を静観していた。
ここで・・・越前守護の朝倉氏と尾張守護の織田氏の因縁というものに触れなければならないだろう。
室町時代、越前も尾張も守護は足利氏の一門・斯波氏であった。
織田氏も朝倉氏もその家来である。
およそ、百年を遡上する応仁元年(1467年)に発生する応仁の乱において合戦のドサクサにまぎれて下剋上が発生し・・・斯波氏は守護代の朝倉氏に越前国を乗っ取られてしまうのである。仕方なく、斯波家は尾張国の守護代・織田家の元へ避難するのだった。
尾張においてはしばらくは斯波氏と織田氏の主従関係が続くのである。
つまり・・・織田氏にとって朝倉氏は憎き主人の仇なのである。
だが・・・百年の間に尾張国でもゆっくりと下剋上が進行し、信長の代でついに織田氏も斯波家を下してしまう。
つまり・・・朝倉氏としては「なんだかんだ言ってもやること同じだよねえ・・・そんで俺んとこはもう何代も続いて守護だけど・・・おたくなんか・・・完全に成り上がり守護じゃん」という気分なのである。
ところが・・・尾張の守護代から尾張守護になった信長はたちまち美濃守護となり、三河国の守護・徳川家と同盟し、朝倉氏がなんだかんだ面倒見ている浅井家とも同盟した上で、直前まで朝倉氏が保護していた義昭を奉じて電撃上洛を敢行である。
「なんだ・・・てめえはよお・・・」とこめかみに血管浮き出る事態なのである。
で・・・信長が・・・「将軍のところに挨拶に来るがよかろうず」と誘っても・・・「誰が行きますかっての」ということになるわけである。
そのために・・・幕府代行として・・・朝倉成敗に向かう信長を・・・因縁によって浅井長政が裏切るのが・・・史上有名な金ヶ崎の戦いなのであった。
系図というものは不思議なものである。先祖代々の関係が印されたものなのだが・・・その子孫がそれぞれに系図を作るためにいろいろと矛盾が生じていく。たとえば信長の父が織田信秀であることは間違いなく・・・信秀の父が信定なのもほぼ間違いないのだが・・・信定の父が誰かということになるといろいろあれなのである。ある系図には織田大和守家(清州城)の家老家である織田弾正忠家の者であると書かれ、別の家系図では大和守家の分家と書かれているし、別の家系図では織田伊勢守家(岩倉城)の分家と書かれていたりもするわけなのである。こうした間違いは先祖が生前にいくつかの名前を変えたり、襲名で父子が同じ名前を名乗ったり、その時代その時代で登録抹消したり、すべてが嘘八百だったりという様々な理由で生じる。しかし、まあ・・・織田信秀が織田信安の娘を室にしているので織田信賢は信長の従兄弟と言えないこともないとか・・・織田信清の父親は信秀と兄弟なので・・・信長の明確な従兄弟だとか・・・いろいろと妄想するのは楽しいわけである。信長の嫡男として有名な信忠は弘治三年(1557年)に生まれているのにどうしたんだろうとか・・・実母と言われる生駒吉乃はひょっとして本物の方にくっついているのかしらとか・・・とにかく永禄十三年には信雄も五徳姫も信孝も生まれているし、池田恒興の娘と結婚する勝長や秀吉の養子となる秀勝は生まれたて、蒲生氏郷の妻となる冬姫も生まれているはずである。それぞれに母親がいるわけである。まあ・・・帰蝶との子はないわけだが・・・サブローはやることはやってんのかなあ・・・。まあ・・・戦国スイーツにとやかく言ってもしょうがないんだけどなあ。
まあ・・・このドラマはどうなるのか・・・全く分からないところが面白いわけなのだが。
・・・というわけで・・・実はリアル信長である偽りの結核患者・明智光秀(小栗旬)によって越前・朝倉家から将軍継承権を持つ足利義昭(堀部圭亮)を入手したサブローだった。
この世界には六角家は存在しないのか・・・浅井と同盟すれば近江国はフリーパスらしく山城国の京の都まではひとっとびである。
近畿に割拠する三好衆も完全沈黙で・・・サブローは無血で義昭を将軍職に就けることに成功する。
史実では正親町天皇が任じたわけだが・・・このアホドラマでやんごとのない方面に差しさわりがあってはなんだろう的に御簾越しの方として登場である。
式次第は・・・リアル信長が務めたわけだが・・・サブローが義昭とご対面すると・・・たちまち・・・暴言失言を連発するのである。
なにしろ・・・就任早々の将軍を前にして「俺が天下を取ります」・・・「足利幕府でなく・・・民のための天下にしたいと思います」なのである。
傍若無人なリアル信長様も・・・そこまでは言わなかったと思います。
なにしろ・・・本人の前で「謀反宣言」ですからあああああああああああっ。
史実では一年くらいかけて段々と自分が傀儡であることを自覚する将軍も・・・即行で信長追放の陰謀をスタートするしかないのだった。
京の都で買い物を楽しんだサブローは土産としてビードロ(ガラス玉)を購入する。
帰国の途中、サブローは近江でビードロの一つをお市(水原希子)へ。
お市の夫・浅井長政(高橋一生)と夢について語り合う。
美濃国岐阜城に戻ったサブローはセンスの悪い装束購入の件で帰蝶(柴咲コウ)の機嫌を損ね、ビロードで宥める。
・・・っていうか、信長・・・何のために上洛したんだ・・・。
この時点で・・・伊勢国への侵攻を開始し、南近江を含めると山城、近江、美濃、尾張、三河の実質的支配者となっているからこその・・・信長包囲網なわけだが・・・。
実際、将軍を京の都に届けただけだぞ・・・。
そこへ・・・大和国の支配者で・・・義昭の兄で前将軍の足利義輝を殺害した男・・・松永久秀(古田新太)が尾張を訪問する。
「おまわりさ~ん、将軍暗殺犯人がここにいま~す」とは言わないサブロー。
「俺は鬼だ」と刺青を誇示する久秀に・・・。
「あなた・・・ヤクザさんですか」と問う。
顔色が変わる久秀は・・・2005年からやってきた未来人だった。
「おまえはいつごろからきたんや」
「2014年です」
「ここへきてどれくらいたつん」
「さあ・・・なんだか・・・ここ・・・時間の流れが曖昧で」
「そうやねんな・・・そうか・・・九年もたつといろいろあったやろうな」
「九年前、俺、小学生なんで・・・よくおぼえてないけど」
「若いのお・・・」
「そうだ・・・2011年に凄い地震があって・・・津波でたくさん人が亡くなって・・・原子力発電所が爆発しました」
「ほんまかい」
「ええ」
「阪神淡路大震災より凄かったんか・・・」
「ああ・・・その時、俺、生まれてないんですよねえ」
「若いのお・・・」
ヤクザの久秀がここに来て・・・どのくらいたつのか・・・何をしてきたのかは一切明かされない。
しかし、久秀は下剋上の時代が性に合ったらしい・・・。
まあ・・・大名が単身、尾張に乗り込んでくるわけだからな。
ただ・・・久秀は信長に恩を売りに来たという。
「こないなもんが・・・各地の大名に配られてるで~」
「なに・・・これ」
それは・・・将軍による・・・信長追討令だった。
驚く家臣一同である。
だって・・・みんな・・・信長の将軍に対する暴言聞いてただろうがっ。
とにかく・・・何の権限もない将軍が・・・全国に回したこの命令は・・・かなり・・・効果的だったらしい。
近江国からは浅井長政が飛んでくるのだった。
みんな・・・自由気まますぎるぞ。
「それ・・・うちにも来てます」
竹中半兵衛も頭を抱える。
「こうなったら・・・朝倉と同盟するのも手だと思います」
「そうなの」
「朝倉は将軍とは仲良しなので・・・私が先に行って面会を申し込んできます」
「長政ちゃん・・・ありがとう」
竹中半兵衛(藤木直人)も・・・全国の大名に同盟を申し込むお手紙を出すのだった。
しかし・・・いきなり二ヶ国の太守となった織田家には当然、風当たりは強い。
同盟に応じる国はない。
リアル信長である明智光秀は将軍の配下である幕臣・細川藤孝(市川知宏)に頭を下げとりなしを頼む。
「しかし・・・あんなこと言われて許せますか」ともっともな答えである。
長政から・・・朝倉義景(小市慢太郎)が会見に応じる報せがあり・・・同盟締結の説得に行くことになるサブロー。
帰蝶は無事を祈ってお守りを着物に縫い込む。
そして・・・やはり・・・くのいちだった帰蝶の侍女ゆき(夏帆)・・・。
雇い主は・・・朝倉義景である。
「この信長の兵法書・・・解読できなかった」
「え・・・でも・・・日本語ですよ」
「一般的現代人が・・・昔の書を読めないので・・・戦国時代の人間にも未来の書が読めないと考えるバカがいるのだな。現代人でも教養があれば古書を読める人がいるように・・・戦国時代のちょっと教養のある人なら・・・未来用語や用法の完全な翻訳は無理でも大意くらいはつかめる・・・という発想がないのであろう。昔も今も織田信長は織田信長って書くのにねえ。そういう意味で・・・この日本史とやらは・・・読めないという話じゃ」
「ああ・・・」
「さて・・・報せとはなんじゃ」
「信長が・・・こちらに参ります」
「ふふふ・・・その件はお前が案じずとも大丈夫じゃ」
「では・・・尾張にもどります」
「うむ」
一方、復讐鬼・木下藤吉郎(山田孝之)は浅井家で暗躍する。
信長使節団が近江国を過ぎ、越前入りした頃・・・浅井長政は朝倉義景と密約を交わした隠居の父親・久政(村井國夫)に迫られる。
「父を取るか、嫁の兄をとるか」
「嫁の兄を・・・」
「さすれば嫁の腹の子は生きてはおれぬぞ」
「そんな~」
朝倉の居城・越前国一乗谷城までの中間地点である金ヶ崎城で休憩中のサブローたちに急報が届く。
「朝倉氏が挙兵・・・こちらに向かっております」
「浅井氏が挙兵・・・こちらに向かっています」
「どういうこと・・・」
「これは罠だったのでございます・・・我々は袋の鼠です」と池田恒興(向井理)・・・。
「どうしよう・・・」
「逃げるしかありません」
「殿(しんがり)は私めにおまかせくだされ」と藤吉郎。
しかし・・・復讐の鬼は背後から襲う気である。
そもそも・・・信長たちは合戦支度をしていないので・・・退却戦も無理なんじゃないか。
逃げて逃げて逃げまくるしか・・・生き残る術はないのだ・・・。
これは・・・ダメかもしれないね・・・。
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