死にたいと言う人に死ねと言う優しさもありますか?(竹野内豊)
世界の中に国があり、国の中に人がいる。
国のことを思う前に世界のことを思う前に人は人を思うのが普通である。
テレビの前で話す人が自由に話し、スタッフがインタビュー内容を自由に編集し、首相が報道内容を自由に批判する。
そういう自由を世界の人々が謳歌しているかどうか・・・この国の人はたまには思いをはせるといいだろう。
景気が悪いくらいなんだ・・・我慢しろと言いたい人もいるだろう。
しかし、選挙特番でお気に入りの番組が飛んだりするのは我慢できないのだ。
選挙結果なんて・・・翌朝のニュースで充分なんじゃないのかっ・・・おいっ。
・・・皆さんも素敵な選択ができるといいですね。
で、『素敵な選TAXI・第6回』(フジテレビ20141118PM10~)脚本・バカリズム、オークラ、演出・筧昌也を見た。ついに脚本協力が共同脚本形式に・・・まあ、一種のオムニバスだし、辻褄合わせのチェックが重要な展開だからな。それこそ・・・こういうドラマこそ、集団体制でやってもいい感じである。金さえあればやりなおしの機会が得られる選TAXIというアイディアで話はいろいろと作れるわけである。このジャンルにはそれなりに歴史があるからねえ。それに加えて・・・選TAXIの運転手である枝分(竹野内豊)の真面目で子供っぽいキャラクターがどんどん魅力的になっていくので・・・楽しいよね。ワンクールが滞りなく終われば・・・セカンド・シーズンも充分にあるパターンだよね。
枝分(えだわかれ)が常連客となっている「cafe choice」・・・。
枝分はウエイトレスの宇佐見夏希(南沢奈央)にお気に入りの漫画をお薦めしているのである。
「これ・・・面白いから・・・読んでください」
「読んだけど・・・どこが面白いの」
「え」
人間の心が一つではないのは明らかなのである。
一方、ウエイトレスの関カンナ(清野菜名)は常連客の一人、標道雄(升毅)が落ち込んでいる風なのが気になる。
「声をかけた方がいいですかね」
「いや」
「どうしてですか」
「面倒くさいから」
神のように冷淡なマスターの迫田(バカリズム)だった。
枝分が夢中になっている漫画は「おひとよしトレジャー」・・・「週刊少年ストロング」に連載中の人気漫画だった。
しかし・・・作者が(心の)病気になって三週連続休載中なのだった。
作者の虫海暗(三宅弘城)担当の・・・編集者・柴山美空(栗山千明)は四週連続の休載を絶対に避けることを編集長(八十田勇一)から厳命されている。
印刷所は・・・「先生の原稿待ち」で徹夜で待機中なのである。
ところが・・・最後の一コマを残し・・・仕事を放棄しようとする先生なのである。
「先生・・・犯罪刑事とか・・・見ている場合じゃないですよ」
「だってさあ・・・この魔女がさあ・・・強すぎて・・・勝てる気がしないんだよ・・・もう、一年も戦ってるんだぜ」
「主人公が圧倒的な力の魔女に戦っても戦っても勝てない・・・でもあきらめないのが・・・大人気なのでそれでいいんです」
「俺だって・・・たまには主人公に勝たせたいんだよう」
「とにかく・・・もう、残り一コマ、ペン入れするだけなんだから・・・今週はやっちゃいましょうよ」
「やだやだ・・・そしたらすぐ・・・来週のネーム入れないといけなくなるし」
「・・・」
困り果てる柴山だった。
テレビでは戦争で孤児となり運命で来日し外国人タレントとなったサヘル・ローズが演じる滝川クリステルもどきのニュースキャスター・澤口ヘルローズがニュースを伝えている。
地獄の薔薇か・・・。
「じゃあさ・・・おっぱい見せてくれ」
「お断りします」
しかし・・・編集長は・・・「おっぱいくらい見せてやれ」と電話で告げる。
なにしろ・・・人気漫画「おひとよしトレジャー」は雑誌の売り上げに貢献しているのだ。休載によって売上は確実に落ちているのだった。
「雑誌がつぶれたら・・・見せるだけじゃすまなくなるかもしれないんだから」
思わず・・・覚悟を決めかけた柴山。
その時、虫海が・・・「やる気が出た・・・なんかジュース買ってきて」と言い出す。
柴山は喜んで買い出しに出るのだった・・・柴山は・・・お人好しだったのである。
柴山が買い物から帰ると・・・虫海はドロンしていたのだった。
事態を報告するために・・・虫海の豪邸から出版社に戻る虫海は枝分と出会うのだった。
「お客さん・・・なんか・・・ありましたか」
「・・・」
そこへ編集長から電話が入る。
「逃げられました」
「馬鹿野郎・・・お前はクビだ」
失意の柴山を慰める枝分。
「話すと気が楽になるっていうけど・・・どうなんでしょう」
「聞いてくれますか」
事情を聞いた枝分。
「え・・・四週連続休載なんですか・・・そんな」
「そこですかっ」
「じゃ・・・戻りますか」
気分を出して時空修正対閃光風ゴーグルを装着してニュースが始る時間に戻る柴山。
「おひとよしトレジャーにもあるでしょう・・・優しくない優しさだってある・・・ですよ」
枝分は引用したいタイプだった。
第一のハンティング。
漫画家にジュースを買ってあげない柴山である。
「今さ・・・交際している女の子から呼びだされたんだよ」
「それが・・・なんですか」
「今夜こそ・・・やれそうなのに・・・ふられちゃったらどうするんだ」
「あと一コマ描けばいいだけの話でしょ」
その時、柴山に女友達の佐山佑香(臼田あさ美)から電話が入る。
「どうしよう・・・彼氏が浮気してるみたいなの」
「え」
「あたし・・・もう死にたい」
「とにかく・・・今、仕事中なので・・・またあとでね」
にらみ合う柴山と虫海。
しばらくすると・・・再び電話が鳴り・・・警察から佐山が自殺未遂をしたと連絡が入る。
「どうしたの・・・」
「私・・・病院に行かないと・・・」
その頃・・・「cafe choice」に帰還した枝分は・・・標道雄の事情を知る。
交際していた女性に金を貸したまま、ドロンされたというのだ。
「こんな・・・31歳風の女子・・・58歳風の標さんには無理に決まってるじゃないですか」
「だって・・・みんな凄く年下の女性と付き合ってるじゃないか」
「あの人たちはスターですから・・・それに二十歳差は越えてませんから・・・標さんはほとんどダブルスコアじゃないですか」
「そんなあ・・・」
そこへ・・・柴山から枝分に連絡がある。
個人タクシーのお得意様営業的なこともしている枝分だった。
第二のハンティング。
とりあえず・・・佑香のいるバーに直行する柴山。
「え・・・どうして」
「何があったの・・・」
「彼氏の形態見たら・・・知らない女の写メがあって」
「彼には聞いてみた」
「そんなの言えないよ・・・彼氏の形態見た上に・・・写メを勝手に転送したなんて」
「でも聞くしかないでしょ」
「今・・・彼氏・・・仕事中だし」
「私もなんですけど」
「ああ・・・もう死にたい」
「ふざけんなっ・・・あなたが死んだら・・・どけだけの人が傷つくと思ってるの・・・死んでもいいけど・・・死んだら私は絶対に許さないからね」
「ごめん・・・」
「きついこと言ってごめん」
「ううん・・・私が甘えすぎだったよ」
佑香を落ちつかせることに成功した柴山だったが虫海はドロンしてしまったのだった。
「くそっ・・・漫画家め」
枝分の元へ戻る柴山。
「どうでしたか」
「逃げられました・・・」
「え・・・じゃあ・・・四週連続休載ですかあ」
「そこかいっ」
「もう一度やりなおしましょう」
「え・・・でも・・・お金ないし・・・」
「今回は連載再開がかかってるんです・・・おまけします」
「はあ・・・でも・・・友情と仕事の両立は難しいみたい・・・」
「大丈夫・・・奥の手があります」
「奥の手」
「お友達の方はキープすればいいんですよ」
「キープって・・・」
つまり・・・佑香を同乗させてやりなおす作戦である。
そうすれば・・・佑香は柴山と記憶を共有できるのである。
「どういうことなの」と佑香。
「後で説明する」と柴山。
第三のハンティング・・・。
「この人たち・・・誰・・・」
「先生・・・私・・・大ファンです」
「おいおい・・・ファンを仕事場に入れるなんて・・・編集者失格だろう」
「締め切り守らないなんて漫画家失格でしょうが」
「え」
「先生の作品をどれだけの人が待っていると思ってるんです」
「彼女だって俺を待っているんだよ」
しかし・・・虫海の彼女の画像を見た佑香は叫ぶ・・・。
「ああ・・・この女・・・彼氏の浮気相手だ」
「えええええええええ」
驚いた虫海は・・・「女」を電話で問いつめる・・・。
しかし・・・女は電話を切ってドロンするのだった。
枝分は・・・「写メの女」が・・・標の「女」とも同一人物だと気がつく・・・。
実は・・・その女は枝分も見たことがある女なのだが・・・枝分は気がつかなかったらしい。
駆けつけた標は情報を交換する。
「私は五十万円貢ぎました・・・あなたは」
「私は百万円です」
「まさか・・・私の彼氏も・・・」
愕然とする一同。
「許せない」と佑香は叫ぶが・・・。
「もうきっと・・・ドロンされてる」と標。
「いいえ・・・大丈夫・・・一人じゃないからきっとできる」
編集者として・・・「おひとよしトレジャー」を引用する柴山だった。
第四のハンティング。
関係者一同・・・相乗りである。
「ええと・・・料金の請求はどなたに・・・」と枝分。
「・・・ワリカンで」と柴山。
待ち合わせの店にいたのは・・・第五話に登場した自称・看護師の永島知美(浅見れいな)だった。
誰かと電話する知美・・・。
「ああ・・・区役所は切った・・・だってちっとも金を落さないんだもの・・・今は・・・漫画家から搾りとるだけ搾りとってるから」
「はいはい・・・果汁たっぷりの男が来ましたよ」と虫海。
「え・・・」
「友達も連れてきました」
「・・・」
「さあ・・・一緒に警察に行きましょう・・・女詐欺師さん」
第五のハンティング・・・。
ついに・・・最後の一コマを描く漫画家だった。
安堵する柴山。
そして・・・枝分はサインを貰った。
「cafe choice」のウエイトレス宇佐見夏希は連載再開された「おひとよしハンター」のファンになっていた。
人間の心は時にはひとつになることがある。
「面白いですねえ・・・特に絶望的に魔女が強いところがいいですね」
「でしょ、でしょ」
そこへ・・・柴山から連絡が入る。
「先生が・・・一年前に戻って魔女の弱点を描きたいと言ってるんですけど」
「そんなあ・・・だめですよ・・・だってそんなことしたら・・・漫画がおかしなことになりますよ・・・神様には神様の苦しみがあるものなんですから・・・我慢しなさいって言ってください」
作者の幸不幸に関わらずどうしても続きが読みたい・・・それが読者というものなのである。
関連するキッドのブログ→第5話のレビュー
ごっこガーデン。どこか懐かしい終着駅セット。まこ「漫画の続きが読みたくて読みたくて読みたくてたまらない・・・枝分しゃまが可愛くて可愛くて可愛くてたまらないのでしゅ~。年の差カップルの皆さんは・・・毒物の誤飲に注意した方がいいでしゅね~・・・この場を借りて謹んで大先輩のご冥福をお祈りシマス」シャブリ「次回は・・・キミ犯の豪華共演が再現されるのでありました~。見苦しい男とかけて草野球のキャッチャーととく・・・そのこころは・・・ミットもないちゅうてな・・・合掌」くう「落すなら早く落さないと・・・関係者にも予定というものがありますから~・・・締め切り守ってナンボでございます・・・守れない人は死ねばいいのにと言われますよ~・・・黙祷」
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コメント
あれ? この詐欺師の女・浅見れいなを最近どこかで見たよなぁモゲ? と思ったら一週間前でしたね(笑)。
1時間の連ドラを30分ずつしか見られないような生活をしているので、今週分もまだこれからだしそうこうしているあいだにムフとか録画してるし……。
ていうか標さんってすべて知っている人なんですね。これまた全て知っていそうなマスターとともに最終回とかで何か起こしてくれるんでしょうかねぇ……。
投稿: 幻灯機 | 2014年11月26日 (水) 22時44分
一話完結でありながら
連続した部分を織り交ぜる
レギュラーではありがちですが
ゲストでやってくるところが
軽いひねりなのでございますねえ。
そういう姑息なところがかわいい感じです。
ある意味、浅見れいなは
様々なドラマの常連さんみたいなものですからねえ。
ゲストとして!
キッドも一瞬、NだったかFだったか
あ・・・ナースかっと眩暈を感じたのでございます。
きっと・・・そういう狙いなんでしょうなっ。
一日遅れ体制だと
うっかり・・・忘れそうになる今日この頃でございます。
そうですな。
標さんは・・・神々の一人なんでしょうな。
マスターはどうでもいいですが
南沢奈央の回があるといいなと願っております・・・
投稿: キッド | 2014年11月27日 (木) 05時52分