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2014年11月26日 (水)

姉川、ラズベリーに染めて(小栗旬)

正史では織田信長が朝倉征伐に出陣したのが永禄十三年四月二十日である。

そして四月二十三日、正親町天皇は将軍・足利義昭の奏上する改元を許した。

信長はかねてからこの改元には反対だったという。

「将軍就職記念的改元」だったからである。

しかし・・・おそらく・・・信長が二度と帰還しないという前提で・・・義昭は改元を強行したのである。

そのために・・・信長が金ヶ崎城周辺で浅井・朝倉の挟撃に遭い進退窮ったのは元亀元年四月二十六日になっている。

信長は脱出し四月三十日に京に戻るが・・・敗戦処理のドサクサで・・・改元云々どころの騒ぎではなかったのである。

信長の腸は煮えくりかえっただろうと妄想できる。

元亀四年七月、信長は足利義昭を追放し、室町幕府を滅亡させると・・・即座に天正に改元するのだった。

で、『信長協奏曲・第7回』(フジテレビ20141124PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・徳永友一、宇山佳祐、演出・林徹を見た。スイーツな時空間では一体、サブローが戦国時代に漂着してから・・・どのくらいの時が流れたかは曖昧である。そして・・・足利将軍義昭が・・・一体、どういう軍事力を背景として・・・京に君臨しているかも不明なのである。なにしろ・・・京のある山城国のお隣、大和国には・・・義昭の兄・義輝を斬殺した松永弾正久秀が健在なのである。まして・・・この世界の久秀は・・・21世紀のヤクザですからあああああああっ。

正史では・・・松永久秀も徳川家康も・・・この朝倉征伐に参加しているわけだが・・・ここではサブロー(小栗旬)は朝倉義景の説得のための外交交渉団として越前入りするので・・・少人数である。

そもそも・・・この少人数の家臣団を・・・浅井軍団、朝倉軍団が総兵力で襲撃するというのが・・・スイーツの極みだよね。

城内に招き入れて謀殺で充分だよね。

しかし・・・甘いものにそんなこと言うのは野暮なのである。

とにかく朝倉一万、浅井五千の大軍に挟まれた織田勢百人くらいは死に物狂いで脱走するのだった。

まさに・・・ミラクルである。一同大爆笑だ。

殿(しんがり=退却部隊の最後尾)を買って出た木下藤吉郎(山田孝之)は浅井久政とつながっていて・・・後方から信長を追撃する予定だったが・・・正史では組下の竹中半兵衛(藤木直人)が共同作戦を提案したために・・・本当に殿をする羽目になるのだった。

なにしろ・・・竹中半兵衛には飛騨忍軍がついているので・・・うかつな真似はできないのである。

野武士の頭・蜂須賀小六(勝矢)率いる川波衆、藤吉郎の猿飛軍団も加わって朝倉軍団を見事喰いとめてしまうのだった。

「ちっくしょおおおおお」なのである。

史実では京に逃げかえり、五月になって美濃国に戻る信長だが・・・この世界では・・・清州城だか岐阜城だかよくわからない帰蝶(柴咲コウ)の待つ城に直帰である。

さて・・・信長は・・・元亀元年、天正七年、天正九年の三度に渡って鉄砲忍びに狙撃されている。

元亀元年は甲賀の鉄砲忍びの杉谷善住坊が六角義賢の要請で・・・京から岐阜に戻る信長を近江・伊勢国境上で狙撃している。

信長は防弾鎧を着用していたために無傷である。

しかし・・・こちらのサブローを狙撃するのは朝倉義景に雇われたくのいち・ゆき(夏帆)だった。

無防備のサブローは重傷を負うのだった。

当時の金創医(外科医)は坊主で・・・基本、麻酔なしである。

おそらく、骨にくいこんだ弾丸をペンチで取り出し、針と糸で皮膚を縫い合わせ、血止めの膏薬を塗った布をあてるのが治療。くりかえすが麻酔なしである。抗菌剤もないし、鎮痛剤もなし。

あとは・・・運を天にまかせるのみ。

「殺してくれ」と叫ぶか、気絶するほど痛いのだった。

「そうか・・・信長め・・・撃たれおったか・・・ははは」と高笑いする足利義昭(堀部圭亮)だったが・・・だから・・・後ろ盾を殺して・・・どうするのだ。

生死の境を彷徨う信長・・・。

帰還した家臣たちは・・・事態を憂慮するのだった。

ちなみに・・・主だったメンバーは無事なのである。

不死身かっ・・・と言いたいところだが・・・歴史上の名のあるものたちは・・・こうして生き残ったから名前があるとも言える。

尾張統一戦で・・・桶狭間で・・・美濃攻略戦で・・・死んだ武将たちは名もない武将で終わっただけなのである。

ゆきは・・・信長に止めを刺せと指令を受けるが・・・帰蝶に情を移していたために・・・帰蝶の看病する信長を殺すことができないのだった。

くのいち失格である。

本来、忍びには金で雇われるものと・・・人質をとられて働くものがある。

どちらにしろ・・・裏切った場合は・・・追手がかかります。

任務を放棄しただけで・・・どれだけ恐ろしいことになるのかは「カムイ外伝/白土三平」を御照覧あれ。

しかし・・・スイーツなので・・・懺悔して追放され「涙で綴り終えたお別れの手紙」を読んだ帰蝶が前田利家(藤ヶ谷太輔)を派遣して呼び戻され・・・あらたに織田家の一員となるという・・・マロングラッセです。

Nobuoo6さて・・・とにかく・・・九死に一生を得た信長は・・・復讐戦に挑むことになるわけである。っていうか・・・浅井・朝倉連合軍と戦うことになるのなら・・・浅井・織田・徳川連合軍で・・・朝倉攻めていればよかったよね・・・。そんなことモンブランに言っても仕方ないよね。

ちなみに正史では南近江の諸城には織田の武将が配置されています。ゲリラ的戦闘を仕掛ける六角氏との攻防戦が展開するわけですが・・・この世界にはどうやら六角氏はいないみたいだ・・・。

だから柴田勝家(高嶋政宏)が甕を割れないっ。

そのため・・・姉川の戦い前哨戦である野洲河原の戦いもないのだった。

軍師・竹中半兵衛の戦略で・・・小谷城から浅井勢を釣りだすために・・・姉川の南にある浅井方の横山城を包囲する織田軍である。

ここは丹羽長秀(阪田マサノブ)と安藤守就(半兵衛の舅)などの美濃衆が担当します。

ちなみに明智光秀は山城国方面に派遣されていていたりいなかったりします。

ここでは・・・実は信長なので参戦しています。

史実では森可成(森下能幸)や木下藤吉郎が放火して小谷城下を焼き払いますがパンプキンパイでは民百姓が泣くのでしません。

横山城には小野木秀俊という浅井一族の将や三田村や野村といった姉川周辺の小豪族が籠城中。

仕方なく・・・決戦の場に引きずり出される浅井長政と・・・応援にきた朝倉勢である。

ちなみに朝倉勢の総大将は朝倉義景ではなく・・・義景の伯父・景職の孫・朝倉景健である。この他には義景の伯父の一人、朝倉景紀が先鋒として参戦している。基本・・・義景は戦場が嫌いです。

織田軍が・・・浅井勢と・・・徳川軍が朝倉勢と姉川を挟んで相対し・・・六月二十八日早朝・・・決戦の火ぶたが切られるのだった。

両軍合譲らぬ激闘である。

しかし・・・援軍の差が勝敗を決したのだった。

浅井の援軍の朝倉勢は親戚衆の指揮だが・・・織田の援軍の徳川勢は大名である家康(濱田岳)自身が率いるのである。

猛将・榊原康政が側面を突いて・・・朝倉勢は総崩れとなり・・・豪勇を誇る真柄兄弟も防戦の果てに全滅する。

朝倉勢が敗走すると徳川勢は織田軍と二方面から浅井勢を挟撃・・・これにより・・・浅井も崩れる。

すでに姉川は血で染まっている。

どこまでも続く赤い河・・・。

浅井長政は・・・嫁の市(水原希子)と父の久政(村井國夫)の籠る小谷城へと逃げ込んだ。

この戦で長政は傅役(育ての親)である遠藤直経や弟の浅井政之など多数の臣下を失っている。

敗戦を受け・・・横山城は降伏した。

これにより・・・浅井家は北近江での勢力を大きく後退させるのだった。

血まみれの夫を市は出迎える。

「まだ・・・兄上と戦うんですか」

「こっちは弟殺されてんだ・・・もう・・・きれいごとじゃすまないんだよ・・・」

しかし・・・勝利を得たサブローも浮かぬ顔である。

「結局・・・戦をして・・・たくさん死んじゃった」

「それが嫌なら・・・妾と二人・・・どこかへ逃げて百姓でもしますか」

「お百姓さんか・・・それもちょっと嫌だな」

今夜も月が見てるわ

野良猫は夢見るの

どうか勇気をください

星よりも高くとべるほど

信長を仇と狙う藤吉郎は・・・明智光秀が信長と瓜二つの素顔を持っていることを知った。

関連するキッドのブログ→第6話

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