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2014年11月30日 (日)

誤解とは正解の裏の顔である(丸山隆平)

学生時代に急性アルコール中毒で救急車のお世話になったことがある。

その時、飲み屋の裏の学生寮にいた友人が路上に倒れていたおバカな泥酔者をしばらく介抱してくれたのだが・・・その学生寮はとある宗教組織の巣窟だったのである。

一宿一飯の恩義があるので・・・その後、なんとなく折伏のお誘いに付き合った。

しかし・・・悪魔なので当然・・・相容れないわけである。

すでに十代前半で・・・オルグにやってきた赤い組織の女子大生を論破し泣かせた経験がある。

おバカなりに友人とは仲良くしたいので・・・宗派を超えた宗教談義の方向に持って行くしかないのだなあ。

そういう時に思うのは「正解」を知っている人々の・・・底の浅さである。

正解は・・・ひとつの法則に基づいた結果に過ぎない。

つまり・・・けして・・・この世の真相などではないのである。

正解を知ったというのは明らかな誤解にすぎない。

誤解が生じた瞬間、真相を探求する心は失われてしまう。

真相の探究者にとって・・・正解を知っていると信じるものは実に不気味なものである。

しかし・・・あらゆる場所にそういう人は潜んでいて・・・うっかり誤解を指摘しようものなら怨まれる懼れがあるわけである。

もちろん・・・そう言いつつ・・・このレビューがある種の思想の押し売りをしていることは間違いないのだが。

だから・・・念には念を入れて申し上げる・・・これは悪魔の妄想でございます。

で、『地獄先生ぬ〜べ〜・第8回』(日本テレビ20141129PM9~)原作・真倉翔・岡野剛、脚本・マギー、演出・明石広人を見た。今回は明らかにヘイトスピーチ批判である。他人を口汚くののしるのはお上品とは言えないが・・・言論の自由を愛する立場から言えばヘイトスピーチも擁護しなければならない。そんなことをすれば人格が疑われるわけであるが・・・悪魔なので平気だ。基本的に他人の悪口なんて言うものは信用しなけばいいわけである。他人の陰口を言う人間は余所では私の悪口を吹聴しているに違いないのである。しかし、中傷という攻撃は・・・継続されれば誤解を生じさせる厄介な戦術である。孤立化を避けるためには反撃しなければならず泥仕合となる。まあ・・・ドロドロになるのはそれなりに面白いという他はないのだなあ。

今回は・・・様々な要素を盛り込んで・・・ドタバタ感はそれなりに出ていたと思う。

しかし・・・同じネタ作家の紡ぐ物語としては・・・「素敵な選TAXI」の洗練された感じと対極にある気がする。なんとなく・・・ださいのである。

それは・・・ある種の底の浅さの反映ではないかと邪推する。

まあ・・・子供向けのコミック原作ドラマにそんなこと言うのも野暮ですが・・・。

とにかく、どこか・・・正解の押しつけの匂いが漂うのですな。

遅刻寸前の鵺野鳴介(丸山隆平)は木村克也(吉沢亮)と童守高校の校門というゴールを目指してデッドヒートを繰り広げる。

さて・・・おそらくそうだろうと思って言及を避けて来た赤いジャージの熱血体育教師・渡先生(山田親太朗)は幽霊だったわけである。

その「思い残し」が・・・薄さを感じさせる。いかにも暑苦しいキャラクターなのに「生前は影の薄い存在だった」という自嘲である。

こういうちぐはぐさが・・・全体のトーンを底の浅いものにするのだなあ。

寸劇と劇の作法の間にはそこそこ深くて暗い河が流れているわけである。

そういう矛盾を「そこが面白い」などと自己消化してしまうと・・・本筋を見失うわけである。

だから・・・「思い残していること」の別件を再構築するのが正解なのである。

この脚本家の脚本には至るところにそういう自己満足の跡があり・・・なんだかなあという感じを醸しだすのである。

まあ・・・それも味だという考え方もあります。

遅刻を免れた教師と生徒が健闘を讃えあっていると・・・校舎の屋上には2年III組の生徒たちが集まっている。

校舎裏の運動場には巨大なモナリザの微笑み風地上絵が描かれていた。

お調子者の克也が「これは妖怪人食いモナリザの仕業だ」と言い出して生徒たちの気を引く。

妖怪マニアのまこと(知念侑李)は自分のテリトリーを浸食され不機嫌になるのだった。

「そんな妖怪・・・聞いたことないよ」

「それは・・・お前の知識が不足してるだけだろう・・・人喰いモナリザは新しい学校の七不思議なんだぜ・・・」

克也には虚言癖があって・・・あることないこと言いふらして面白がるタイプなのである。

しかし・・・その話術は巧みで・・・生徒たちの心を掴むのだった。

美術準備室のダヴィンチのモナリザの複製画はたちまち・・・呪われたアイテムに昇格するのだった。

「この世に現れた妖怪は悪の限りを尽くすのだ」と克也。

「善良な妖怪だっているよ」とまこと。

その証拠として雪女のゆきめ(知英)や小豆洗い親子そしてザシキワラシなどを克也に対面させる。

「雪女さんはどこから来たの」

「雪と氷の世界から」

「在日本の童守町の妖怪としての夢はなんですか」

「この世を雪と氷の世界に変えたい」

無邪気に夢を語る雪女に克也は恐怖を感じるのだった。

「在日の妖怪・・・やっぱりなんだかこわいよ」

翌日・・・机と椅子が積み上げられ巨大なツインタワーが出現する。

「すべて・・・在日妖怪の仕業だ・・・あいつらは何をするかわからんからね」と主張する克也。

「そんなの偏見だよ・・・日の元で暮らす人間に悪人がいるように・・・暗闇の生き物にだって善人はいるんだ」とまこと。

「善人って・・・そもそも在日妖怪は人じゃないだろう」

その頃、在日妖狐である玉藻京介(速水もこみち)は篠崎愛(中村ゆりか)と菊池静(高月彩良)に連れ出され・・・イタコ見習い・葉月いずな(山本美月)に愛を告白されるのだった。

「いや・・・なんだか・・・ちがう・・・」

葉月いずなは「ラブ・ファイヤー」と言いながら人体発火現象という新しいステージに到達する。

美月、どこまでいくんだ美月である。

「俺は・・・人間たちを支配するために・・・やってきたのに・・・」

「だから・・・私は玉藻先生の虜です」

「だから・・・ちがうんだって・・・」

悩める在日妖狐だった。

ゆきめたちは誤解を解くために克也に抗議するが・・・在日妖怪の潜在的な能力に恐怖する克也はさらに誤解を深める。

「所詮・・・人間は誤解する生き物なんだよ」と覇鬼(坂上忍)・・・。

「美しい誤解だってあります」と美奈子先生(優香)・・・。

まあ・・・なんだかんだ・・・美奈子先生は覇鬼を拉致監禁しているわけですが。

三日目・・・鶏小屋から鶏が消えた。

「ひとくいモナリザが鳥を喰った」と第一発見者の克也が口にする。

「ちょっと待って」と最近、妖怪の実在を信じた高橋律子先生(桐谷美玲)と疑義を述べる。

「地上絵や・・・タワーは別として・・・これは・・・誰にでもできる犯行よ・・・小屋の鍵をあけるだけでいいんだから」

「まさか・・・お前がネタ作りのために・・・」とまこと。

「なんだよ・・・俺を犯人あつかいか・・・」と克也。

「いつも・・・遅刻する克也君が・・・なんで今日は第一発見者に」

「昨日・・・在日妖怪たちに脅されて・・・眠れなくなって朝一番で登校したんだ」

「また在日・・・妖怪のせいかよ・・・悪いのはみんな・・・在日・・・妖怪か」

「おまえこそ・・・人間より在日妖怪を信じるなんておかしいだろう」

その時・・・姿なき何者かが克也の手に血を塗りつける。

ぬ~べ~は一瞬・・・妖気を感じ取るのだった。

「おまえ・・・その手」

「あ」

「やはり・・・おまえが犯人か・・・」と掌を返す生徒たち。

「いや・・・ちがう」とぬ~べ~。

「え」

「誰かが・・・不和の種をまき散らしているのだ」

「こうなったら・・・真犯人を・・・待ち伏せしよう」

お約束で・・・夜の校舎に張り込む生徒たち・・・。

そして・・・ついに正体をみせる「ひとくいモナリザ」・・・。

律子先生は気絶しそうになるが成長の証を見せ踏みとどまるのだった。

おびえる生徒たちの前に立ちふさがる赤いジャージ。

「この子たちは私が守る」

生徒愛に燃える赤ジャージだが・・・その姿はぬ~べ~にしか見えないのだった。

「俺にまかせろ・・・強制成仏」

口裂け女のようなモナリザの怪は消滅した・・・。

克也は・・・妖怪退治に協力したゆきめたちに・・・謝罪する。

「在日妖怪のことを悪く言ってごめんなさい」

サトリ(矢部太郎)はニヤリと笑うのだった。

その頃・・・無限界時空(高橋英樹)は・・・封印された異次元扉の結界「天狗塚」が破られていることを知る。

「鬼が・・・この世に出てきたか・・・」

校舎の屋上からぬ~べ~たちを見下ろす・・・騒ぎの黒幕。

「ふふふ・・・俺の幻術も見ぬけぬとは・・・ぬ~べ~とやら・・・大したことないな」

封印された覇鬼の弟・絶鬼(山田涼介)が現世に降臨したのだった。

いよいよ・・・鬼の手と鬼本体のバトルが開始されるのである。

どう考えても本体が勝つよね。

関連するキッドのブログ→第7話のレビュー

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