元亀ですかーっ。元亀元亀元亀の包囲網(小栗旬)
下剋上とは・・・下のものが上のものに打ち勝つことである。
つまり・・・実力主義である。
これに応ずるのが年功序列主義なのか血統主義なのか・・・適当な言葉がないような気がする。
それは・・・現代が殺人を否定的に考える時代であることが原因だろう。
戦国時代の下剋上は殺し合いが前提なのである。
殺して殺して殺しまくったあげくに殺される。
信長は・・・まさに下剋上の時代を生きた英雄なんだなあ。
だから・・・基本的によい子は真似をしてはいけないのである。
そういう意味で・・・このスイーツ戦国絵巻を楽しいと感じる人は幸いなんだと思う。
日本の景気がいいのかどうか・・・難しい問題である。
しかし・・・少なくとも日本の景気がよくなることを韓国や中国は喜ばない。
下剋上の世が終焉しているのかどうか・・・時々疑わしいことはあります。
で、『信長協奏曲・第8回』(フジテレビ20141201PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・宇山佳祐、岡田道尚、演出・品田俊介を見た。お市(水原希子)が茶々を出産したことによって第5回から少なくとも一年ぐらいたっていることが分かる超時空空間である。永禄十年(1567年)に嫁いだとすれば天正元年(1573年)の小谷城落城まで・・・お市の浅井長政(高橋一生)との結婚期間はおよそ六年。二年に一人のペースで産まないと茶々・初・江の三点セットが完成しないので・・・励むしかないわけである。この三人の姫がたどる運命こそが・・・歴史のドラマチックさ恐るべし・・・と感じさせるわけですから・・・。
で・・・超時空元亀元年(1570年)・・・六月・・・姉川の合戦で浅井・朝倉連合軍を撃破した織田信長は・・・再び天下に名を知らしめる。
「強いものと手を組む」のが生き残りの鉄則の一つである。
そのために・・・松永弾正久秀(古田新太)はサブロー(小栗旬)の傘下に入ることを申し出る。
久秀は五分の杯(軍事同盟)が欲しいわけだが・・・信長の動員兵力はこの時点で尾張・美濃・伊勢・三河・遠江・南近江・山城・摂津におよび五万人を遥かに超えている。
久秀は大和半国で三千人ほどの動員力である。
子分になるしかないのだった。
ちなみに・・・エロ本大好きな徳川家康(濱田岳)は一応・・・永禄十年に嫡男の信康と・・・信長の娘・五徳が結婚しているので・・・信長とは舅同志の関係にある。
しかし・・・力関係から言えば弟分ということになる。
家康が姉川の合戦で合力したのは・・・信長あっての家康だからなのである。
手抜きをしたら滅ぼされる・・・ギスギスしてなきゃ戦国時代じゃないのだ。
だから・・・久秀もとりあえず下手に出て・・・サブローの顔色を窺うしかないのだった。
楽市・楽座は・・・信長の基本政略であるが・・・要するに既得権益を許さない下剋上の精神の発露である。家老格の家である織田家は・・・執事として経営力が磨かれており、信長自身が有能な商人なのである。拡大再生産の基本に乗っ取り粛々と国力を向上させる・・・そのために経済基盤を整備するのは当然の施策だった。
たとえば・・・家康は三河から遠江を侵攻中である。遠江は戦場となるために・・・当然、生産力は下がる。しかし、三河国が統治されていれば・・・戦費が捻出できる。
信長は尾張・美濃・伊勢三国の統治によって・・・近江・山城・摂津での戦が可能となるのである。
「ノブナガノミクスということか・・・」
「は?」
「いや・・・なんでもない」
超時空ではサブローの居城がどこにあるかも定かではないが・・・北近江の浅井氏を湖北に封じ込め、南近江の六角を伊賀に追いやった信長は・・・京への回廊を確保し・・・摂津攻略にとりかかるために・・・美濃国岐阜城で「動員命令」を下す。
八月・・・三万の兵を引き連れ・・・信長は近江・山城経由で・・・淀川を下り摂津国に布陣するのだった。
目指す敵は石山の本願寺顕如である。
しかし・・・一向一揆の黒幕は信長を窮地に追い込むのだった。
顕如は門徒衆に・・・「本願寺に味方するものは極楽往生、信長に味方するものは無限地獄」と告げて・・・決起を図る。乱世に絶望して後生を願う門徒衆は命知らずの戦闘力を発揮する。前衛となるのは京を追われた三好三人衆を中心とした無頼の徒であった。信長の傀儡であることに甘んじられず陰謀をめぐらす将軍・足利義昭(堀部圭亮)は信長に伴われ摂津へと出陣する。浅井・朝倉を裏で操る形ばかりの将軍に塩漬けした兜首一千を送り届け恫喝した信長だった。しかし・・・陰謀好きの将軍は懲りもせず・・・今度は本願寺と気脈を通じている。将軍の出馬に細川藤孝(市川知宏)、和田惟政ら幕臣、松永久秀と同様に寝返った三好政勝など・・・本願寺方の前衛・野田城に迫る信長軍は五万に膨れ上がっていた。しかし・・・本願寺には雑賀孫一率いる三千人の鉄砲衆が潜んでいたのである。織田軍の佐々内蔵助成政の鉄砲衆と根来鉄砲衆は九月中旬、伏兵の雑賀党に急襲され・・・大損害を出すのだった。サブローは直後にあふれ出す門徒衆の姿に声を上げる。
「うわあ・・・ホームレスの集団がこっちへくるよ」
「乞食同然の姿なれど・・・あれが恐るべき敵でございます」
「だって・・・ろくに武器ももってないじゃん」
「鋤や鍬で襲いかかってきますが・・・あやつらは・・・死をおそれません」
「なんだか・・・ゾンビみたい・・・」
殺されて極楽往生するためにやってくる門徒衆を殺しまくる信長軍団。
しかし・・・ゾンビは後から後から現れる。
その頃・・・近江国の各地では将軍と本願寺の共作による同時多発テロが進行していた。
南近江には六角勢が来襲し、浅井に供えていた横山城の羽柴秀吉(山田孝之)に襲いかかる。佐保山城に布陣していた丹羽長秀(阪田マサノブ)が合流して辛うじて撃退に成功。
尾張・伊勢国境の長島城では下間頼旦率いる一揆勢が尾張に乱入し、信長の弟(信秀の七男)織田信興が討ち死に・・・。
北近江では浅井長政と朝倉義景(小市慢太郎)が合流し・・・京を目指して南下を開始する。
琵琶湖周辺の忍びから連絡を受けた京に近接する近江国宇佐山城の森可成(森下能幸)は迎撃のために出陣を決意する。
その数・・・およそ・・・一千。
しかし・・・南下する浅井・朝倉連合軍は万を超す大軍だった・・・。
「殿・・・篭城なさるがよかろうず」
侍大将の各務元正が意見を述べる。
「素通りされて・・・京に乱入されてはことだがや・・・」
「京の都からは信長様のご舎弟・信治様が二千を率いて討って出た由・・・」
老臣の林新右衛門通安が告げる。
新右衛門は可成の正室・えいの父親である。
えいは長可、蘭丸らを生んでいる可成の愛妻だった。
「舅殿・・・留守をお頼み申す」
「御意」
一門衆の信治(信秀の五男)が出たのに・・・家臣が出ないわけにはいかないのである。
信治勢と合流するためにあわただしく城を出た森三左衛門左可成だった。
目指すは京に通ずる街道の要所・坂本である。
周囲の樹木は色づきはじめている。
ふと景色に心を奪われる三左・・・その顔には死相が浮かんでいた。
すでに斥候からは信治が街道筋の林間に布陣したと急報が入っている。
夕暮れが迫る中、前方で銃声が木魂する。
「遅れたか」
信治の鉄砲隊は伏せた状態で浅井の前衛に痛撃を与えたが押し寄せる多勢に押し包まれる。乱戦の中で孤立した武者はたちまち包囲され致命傷を負い首をかかれる。
その光景が視界に入ると攻めの三左の血は沸騰した。
「衝き入れえ」
三左は叫ぶと騎馬を猛進させる。
騎馬隊の突入に浅井勢に動揺が走る。
三左の槍は両鎌の十文字槍である。突くと同時にひねりあげ敵の首を切り落とす兜切りの熟練者である三左は馬を突進させ、左右の敵の首を宙に舞わせながら、風のように戦塵を過ぎてゆく。
返り血を浴びて赤く染まった織田信治は疾駆する三左の姿を見る。
そこへ朝倉景鏡の槍衆が群がる。
鮮やかな信治の軍装から大将首と悟った雑兵たちはそれぞれの武器を繰り出し、信治を追い詰める。郎党を討たれ、背後を奪われた信治は剛腕で太刀を振るい、押し寄せる敵を打ち払うが、ついに力尽き、動きを止める。その呼吸を読んだ古強者は手柄を求めて獲物を繰り出す。
腿を槍で突かれた信治はもんどりうって倒れ伏す。
そこへ足軽たちがのしかかり、馬乗りになった力士が信治の首に首切り包丁を押し当てると体重をかけて一気に切断する。
信治の落命の気配を背後に感じつつ、三左の騎馬隊は街道の彼方に見える浅井長政の旗印を目がけて阿修羅の如く突き進む。
浅井の親衛隊は姉川で多くの勇将を失い、手薄である。
三左の勢いに気押されて左右に退いて道が開く。
みるみる・・・突出した浅井長政と三左の距離がつまって行く。
その時、西側から本願寺勢が現れ、僧兵の大筒が火を噴いた。
集中射撃を受け、馬上から三左の姿が血しぶきとともに消える。
三左の五体は砕け散っていた。
摂津で攻城を続けるサブローの元へ浅井・朝倉勢の南下が伝えられる。
「もりりん・・・」
「信長様・・・浅井・朝倉に京に入られては挟撃の畏れがありますぞ」
松永弾正が具申する。
「殿・・・ここは引き返すのが得策ですぞ」
明智光秀が囁く。
「よし・・・京都に引き返そう・・・」
サブローの決断に伝令が動き出す。
明智光秀が先発し、淀川を遡上する。
柴田勝家、前田利家(藤ヶ谷太輔)、佐々成政(阿部進之介)らが信長を護衛しつつ陣払いの守備を固める。
三万の信長勢が接近すると・・・宇佐山城を包囲していた浅井朝倉勢は僧兵とともに比叡山に撤退する。
「あやつら・・・叡山に籠りおったかや・・・」
京周辺に放火する浅井方の野武士を追い散らしながら明智光秀は織田軍が苦境に陥ったことを知る。
殺傷禁断の地に篭城されてはうかつに攻められないからである。
京に戻った織田軍は比叡山を包囲するが・・・動きを封じられてしまったのだ。
摂津、近江では一揆勢が力を盛り返していた。
京で弟や森らの死を知ったサブローは茫然とするのだった。
尾張・美濃との通路は遮断され・・・織田信長はまたしても袋の鼠になろうとしていた。
「将軍を使って和議を結ぶ他ありませぬ」と光秀(小栗旬)・・・。
「やってくれる?」
京の明智屋敷のサブローの元へ続々、届けられる敵の首級・・・。
山となって積み上げる首は死臭を漂わせていた。
サブローは立体加工のマスクの下で鼻をひくつかせた。
森家の相続願いのため・・・宇佐山城を守り切った各務元正と林通安に伴われ森勝蔵(込江海翔)が上洛した。
「このたびはご愁傷さまでした・・・」
サブローは生前の森可成を思い出し目頭を熱くする。
サブローは頭を下げた。
勝三は信長と父の名にちなみ長可と命名される。
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