友よ静かに眠れ・・・(小栗旬)
これまで・・・どれだけの兵を殺してきたことか。
尾張統一戦。
桶狭間の戦い。
美濃攻略戦。
上洛戦。
姉川の戦い。
比叡山焼き討ち。
武田信玄上洛戦。
将軍追放戦。
それなのに・・・今さら、「戦いは憎しみを生み出すだけで・・・よくない」とか言ってんじゃねえよと誰もが言いたいスイーツ戦国絵巻もついに終結である。
ああ・・・ホッとするよね。
で、『信長協奏曲・最終回(全11話)』(フジテレビ20141222PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・宇山佳祐(他)、演出・松山博昭を見た。高校生のサブロー(小栗旬)がタイムスリップして織田信長になりすましたのは天文二十年(1551年)だった。そして超時空天正元年である・・・正史の天正元年はほぼ西暦1573年である。サブローが戦国入りしてから22年経過していることになる。サブローももうすぐ四十歳ぐらい・・・そこのところだけが・・・ものすごく謎なんだよねえ。まあ・・・スイーツになんだかんだ言っても野暮だけどね。もちろん、わかってますけどねええええええええええええええっ。
ついでに・・・サブローと帰蝶(柴咲コウ)の夜の生活も謎である。
諸説あるが信長と濃姫の婚姻は天文十七年から十八年とされるので織田信長/明智光秀(小栗旬・二役)はすでに初夜の床入りを済ませている。帰蝶は生没年が定かではないが・・・信長とほぼ同年齢と考えられている。だから・・・帰蝶ももうすぐ四十歳くらいなんだな・・・。で、三年くらい過ごした信長本人よりも・・・ずっと一緒にいるサブローの方が愛しいという話である。
ものすごくモヤモヤしますな。
とにかく・・・この世界の信長は・・・家督争いのために身の危険を感じ・・・尾張国を脱出する。お伴は・・・このドラマには登場しない信長の老臣・平手政秀が教育係として起用した臨済宗大宝寺の僧侶・沢彦(でんでん)である。史実では「岐阜」の命名者で「天下布武」の発案者とされている。
そして・・・何故か・・・明智光秀となって・・・永禄十一年(1568年)頃に岐阜城に現れるのである。
不在の期間は17年である。
その間、放置していた帰蝶がサブローと仲睦まじくやっているのを見守って五年くらい・・・。
そういう時系列だと・・・いろいろと感情移入しにくいわけである。
だから・・・信長は・・・一年くらいで・・・ここまで大事業をやった。その間に浅井長政(高橋一生)に嫁いだ市(水原希子)は超時空出産で茶々・初・江の三姉妹を儲けたというわけだ・・・どんなわけだよ。
いやあ・・・じゃないと・・・自分の嫁さんが・・・そっくりさんの方が好きって言うんで・・・ちょっと妬ましいらしい信長の気持ちが分からないからあ・・・。
まあねえ・・・歴史云々というよりもドラマとして破綻してるよねえ・・・。
だから・・・スイーツなんだから・・・深く考えたら負けなんだよっ。
・・・であるか。
さて・・・超時空天正元年でも武田信玄は病死し、東からの危機の去ったサブローは秀吉の計略で足利将軍追放にも成功する。
これによって摂津、山城、大和、伊勢、尾張、美濃、さらに同盟中の徳川家康(濱田岳)の三河・遠江を合わせ・・・戦国最大勢力となった織田家である。
信長に敵対してきた越前国の朝倉義景(小市慢太郎)と近江国の浅井長政(高橋一生)の命は風前の灯なのである。
信長に対して裏切りを重ねて来た大和国の松永弾正久秀(古田新太)はたちまち降参するのだった。
しかし・・・絶対に秘密であったサブローが偽信長であることを察知する者が現れる。
一人は・・・信長に復讐を誓う秀吉(山田孝之)・・・そして、もう一人は信長の乳兄弟・池田恒興(向井理)である。信長の父・信秀の愛妾の一人と前夫との間に生まれた恒興は生粋の家臣なのである。
サブローが信長でないという事実は・・・自我が崩壊するほどの衝撃なのだった。
命の恩人であるサブローと信長/光秀の間で右往左往する恒興の心は・・・結局、血筋絶対の主従関係に傾く。
そこへ・・・浅井・朝倉の挙兵の報が伝わる。
「この戦の始末だけは・・・やらせてほしい」とサブロー。
「わかりました・・・」と恒興・・・。
サブローは帰蝶に真実を話そうとするが・・・帰蝶は話題をすりかえるのだった。
もちろん・・・サブローが信長でないことは夜の生活で・・・とっくに気付いていた帰蝶なのである。
つまり・・・きっと・・・信長より・・・サブローの方が「よかった・・・」のだろう。
「しかし・・・裏切ったのは浅井ですぞ」と柴田勝家(高嶋政宏)・・・。
「今は織田は浅井の十倍の勢力です・・・絶対に勝てます」と丹羽長秀(阪田マサノブ)・・・。
「でも・・・長政くんとはトモダチだし・・・きっと話せばわかると思う」
それはまずい・・・と思う秀吉だった。
なにしろ・・・浅井久政とは裏で通じているのだ・・・それが発覚したら物凄い裏切り者になってしまうのである。
「まずは・・・書状を送りましょう」と秀吉。
秀吉はその間に交渉決裂の陰謀を展開するのである。
ある意味・・・秀吉、無敵設定である。
秀吉の策略は・・・浅井の重臣である今井氏を暗殺・・・それを浅井内部の主戦論派に利用させるというものであった。
ちなみに・・・史実では浅井も朝倉も一門衆や重臣が次々と織田に寝返って・・・ある意味、殲滅されます。
とにかく・・・のこのこと織田家の城にやってきた長政は・・・。
「何が何でも戦います・・・友達なら・・・そこのところ・・・わかってください」
「えええええ」
ちなみに・・・友と言う言葉は・・・伴に通じている。生涯の伴侶といえば夫と妻のことである。
しかし・・・夫が主人を指す男尊女卑の世界では・・・妻と言う伴侶は従者なのである。
同様に弱肉強食の世界では・・・対等の友情も成立しない。
人間関係は敵か味方か・・・であり・・・味方の場合は主人とお伴なのである。
つまり・・・どちらかが支配し、どちらかが支配される関係しかないのだ。
そうでなくなれば謀反なのである。
つまり・・・友であることは降伏しないこと・・・つまり敵対である。
結局・・・浅井・朝倉連合軍と戦うことになるサブローだった。
「まずは・・・小谷城を包囲し、浅井を封じ込めた上で、援軍の朝倉勢を叩くがよろしかろう」
史実と違ってサブローの直臣となっている竹中半兵衛(藤木直人)の戦略は冴えまくり、史実通りに朝倉勢を崩壊させ・・・朝倉義景を自刃に追い込むのだった。
もはや・・・残るは小谷城のみである。
ここで秀吉が名乗りをあげる・・・。
「お市様を取りかえすために・・・敵を分断させる必要があります」
小谷城は中央に京極丸がある。浅井氏が傀儡としての主君・京極氏を飼っていた名残であった。京極丸を攻略することによって山王丸・小丸と本丸・中丸を分断し・・・久政・長政の父子を分断し・・・長政に降伏を促すという作戦である。
しかし・・・秀吉の目的は口封じのために久政(村井國夫)を殺害することだった。
秀吉の猛攻によって火に包まれる小谷の城。
「もはや・・・これまでじゃ・・・市よ・・・娘たちを連れて織田に戻れ」
「いけないのですか」
「まだ・・・ビグザムがある」
「殿・・・」
「行け・・・市、茶々とともに・・・」
市はサブローに対面する。
「ごめんね」
「兄上は・・・侘びる必要ありません・・・これが戦国の世の倣い・・・」
「でも・・・死んだら終わりじゃないか」
「殿・・・」
「僕は・・・長政くんを助けにいく」
「・・・お伴します・・・」
すでに・・・帰蝶の心を知った恒興は・・・サブローとともに織田を去る覚悟なのである。
なぜなら・・・恒興はサブローの虜なのだ。
燃えあがる小谷城・本丸。
「長政くん・・・もう充分だよ」
「やらせはせん・・・やらせはせんぞ・・・」
「長政くん・・・」
「信長様・・・介錯を頼みます」
見事に腹かっさばく浅井長政・・・。
「殿・・・」
「信長いきま~す」
見事に首すっとばすサブローだった。
浅井からの書面を黙読したり・・・一刀両断したり・・・サブローは・・・こっちにきてから・・・それなりに精進していたのだった。
偉いぞ、サブローと褒めてあげたい・・・。
こうして・・・織田家は第一次織田包囲網を突破する。
次は本願寺との戦いである。
しかし・・・それは先の話だった。
サブローは恒興との約束を守り・・・城を去る。
しかし・・・恒興は信長の命令でサブローを呼びもどす。
「ちょっと待って・・・今、帰蝶のおにぎり食べるから・・・」
「私や帰蝶様を一人にしてはなりませんぞ」
「うん・・・僕だって・・・一人になったら・・・すぐに殺されちゃうよね・・・」
その頃・・・秀吉の裏切りの事実を掴んだ半兵衛は・・・信長に報告。
しかし・・・信長はすでに・・・秀吉の手の内にあった。
「あなたは・・・殿ではなく・・・光秀・・・」
「違う・・・」
信長は半兵衛を切り捨てる。竹中半兵衛、史実より六年ぐらい早く死亡である。
「わしが・・・信長だ」
どうやら・・・信長は・・・サブローに天下を統一させ・・・それを奪うつもりなのだった。
そして・・・それを唆した秀吉は・・・光秀を・・・。
史実に向って流れ出した超時空世界・・・。
そんなことも知らず・・・サブローは・・・家康の陣中見舞いを楽しむのだった。
「この家康・・・三度の飯よりおもちが好きなのです」
「おもちも米だけどね・・・」
かわいいぞ、家康かわいいぞ。
やがて・・・京に進出する信長/サブロー・・・。
宿泊施設は・・・本能寺である。
王城の管理は光秀/信長・・・。
「これからも私は・・・明智光秀として信長を助ける・・・サブロー頼んだぞ」
「うん・・・頑張って・・・天下を統一するよ・・・ミッチー」
果たして・・・二人の運命や如何に・・・まあ・・・どうでも・・・いいけどね。
「目指せ将軍!家康くん」はちょっと見たい・・・。
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