比叡山焼き討ちと三方ヶ原の戦いの間にクリパをおきました(柴咲コウ)
人間は集うのが好きな生き物だ。
もちろん・・・一人でいることも好きだ。
一人でいると集いたくなり、集っていると一人になりたくなったりもする。
しかし・・・一人でしかできないこともある。
たとえば読書。
読書が好きということになると・・・集うのはなかなかに骨が折れるのである。
人恋しい夜というのもあるだろう。
無人島に一人ぼっちならかなり恋しいはずである。
クリスマスの宴が・・・信仰心とは別に存在するのは不思議なことだが・・・実に自然なのである。
街に光があふれ・・・サンタクロースは玩具のつまった袋を下げる。
イブに恋人たちはキスをして子供たちはクリスマスの朝を待つ。
この馬鹿馬鹿しい集いに群れる人々に幸あれと願うばかりである。
で、『信長協奏曲・第9回』(フジテレビ20141208PM9~)原作・石井あゆみ、脚本・徳永友一、演出・金井紘を見た。毎度馬鹿馬鹿しい戦国スイーツである。こたつで食べるアイスクリームのようなものと考える。信長崇拝者にとっては毎週が苦行のようなものであるが・・・もうおバカな歴史好きの女子中学生の妄想と考えれば可愛い感じもしてきます。とにかく・・・超時空のなんでもあり感も極まってまいりました~。少なくとも・・・サブロー(小栗旬)の生きている世界は・・・現世とは何の関係もないと思う他ないのでありますっ。
さて・・・今回の最大のとんでもなさは・・・正史における元亀三年(1573年)十二月二十二日の「三方ヶ原の戦い」が元亀二年(1571年)九月十二日の「比叡山焼き討ち」よりも早く起きるということである。
結果として元亀四年(1573年)四月十二日の「武田信玄の死」も「比叡山焼き討ち」以前ということになってしまう。
ちなみに元亀三年の十二月二十二日は西暦では1573年1月25日になる。
だから・・・1573年なのに元亀三年だったり、四年だったりします・・・念のため。
とにかく・・・比叡山焼き討ち→三方ヶ原の戦い→武田信玄の死という・・・流れが逆流すると・・・いろいろとアレなのである。
比叡山延暦寺には天台座主という存在がある。
ちなみに・・・最澄の開創した延暦寺は日本における仏教の総本山的な立ち位置にある。
「ごめんね青春!」でおなじみの曹洞宗の開祖道元、臨済宗の開祖栄西、浄土真宗の開祖親鸞、日蓮宗の開祖日蓮など・・・そうそうたる顔ぶれがみんな・・・比叡山の修行僧なのである。
そして・・・天台座主は日本で一番偉いお坊さんということになる。
比叡山焼き討ちの時の天台座主は第166世覚恕法親王で正親町天皇の弟である。
京にいた覚恕は皆殺しと言われる焼き打ちから逃れ・・・脱出する。
脱出先が・・・武田信玄の元なのである。
「信玄が死んでいるとなると・・・どこに逃げたらいいんだ」と叫ぶ覚恕なのだった。
永禄十二年(1569年)に信長と対面しているポルトガルの宣教師であるルイス・フロイスもびっくりである。
自鳴鐘(時計)はすでにザビエルによって輸入されており・・・自鳴琴(オルゴール)が存在するのはギリギリ・・・クリアと考える。作ろうと思えば作れるからな。
とにかく・・・オルゴールに目が眩み・・・キリスト教の布教を許可するサブローなのである。
妄想レビューとしてはドラマの超時空史と正史の間を彷徨うしかないのだな。
「兄上との戦はもう・・・おやめください」と小谷城主の浅井長政(高橋一生)の正室となったお市(水原希子)は夫に頼みこむ。
「そんなこと言ったって・・・信長様は許してくれぬ・・・浅井方の横山城には羽柴秀吉が・・・佐和山城には丹羽長秀が入城して・・・ここは風前の灯なんだもん」
「しかし・・・いざとなったら・・・比叡山に逃げ込めばいいではありませんか」
「いや・・・最近、比叡山も本当に柄が悪くなっちゃってさ・・・物騒でそうもいかないんだよ」
信長は・・・秀吉(山田孝之)、長秀(阪田マサノブ)、池田恒興(向井理)、柴田勝家(高嶋政宏)らに命じて、延暦寺の僧兵に討ち取られた森可成(森下能幸)の仇討ちをするために畜生坊主どもを焼き殺す・・・ことはしないで・・・なんとなくクリスマス・パーティー開催に情熱を傾けるのだった。
すべては・・・三方ヶ原の戦いの日付からのスイーツな展開なのである。
十二月二十二日といえば・・・クリスマスイブの前々日じゃあないですかあ・・・ということである。
そのために・・・仕方なく・・・ある日、突然、遠江国・三河国・美濃国に同時侵攻を開始する武田信玄なのだった。
武田信玄は二万を率いて遠江に侵攻、二俣城を攻略すると・・・徳川家康の浜松城に迫る。山県昌景の別働隊五千は三河に進軍し、秋山信友の別働隊五千は美濃に進軍するという大作戦である。
信長は本願寺・浅井・朝倉などの包囲にあって対応が遅れ・・・五男の織田勝長の居城・岩村城を落され、勝長を奪われている。この時、降伏した父・信秀の妹・おつや(信長の叔母)を後に磔にする信長である。
しかし・・・サブローはキリスト生誕祭の準備以外には何もしていなかったのでとりあえず出陣するのだった。
一方、信長から賜ったエロ本を抱いて、風林火山のザザザシーンゴゴゴシーンを正面から受ける覚悟の徳川家康(濱田岳)は遠江・三方ヶ原に出陣・・・伝説の大惨敗を喫し「だっふんだ」と叫ぶのだった。
家康を破った信玄は怒涛の勢いで尾張に迫る。
武田騎馬軍団の来襲に備え・・・ゆき(夏帆)の行列ができる団子配りにヒントを得た鉄砲三段撃ちの特訓をする織田軍。
しかし・・・鉄砲の数が揃わずサブローの命は風前の灯である。
だが・・・前倒しで病死する信玄に救われるのだった。
こうして・・・クリスマスイブに凱旋するサブローはパーティーに間に合ったのである。
スイーツだからな。
そして・・・帰蝶(柴咲コウ)はサンタクロースからオルゴールをプレゼントされるのだった。
スイーツなんだもん。
だが・・・突然・・・比叡山の僧兵が決起したので一難去ってまた一難である。
まあ・・・僧兵四千人に対して、織田軍団十万人なので・・・基本、問題ないわけですが。
おそらく・・・サブローの実家はなんらかの宗教関係だったのだろう・・・坊さん殺しはイケナイと急に思い立ったらしい。
そこでなんとか和平に持ち込もうと・・・実は信長である明智光秀(小栗旬・二役)を替え玉として交渉役とする。
替え玉の替え玉なので本人である。
ここで・・・二人の仲を疑う・・・復讐の鬼・・・秀吉は・・・「自分もついていきます」と名乗りをあげるのだった。
ねね(綾瀬はるか)は・・・そんな秀吉に切り絵をしてもらう。
秀吉は日輪を切りぬくのだった。
「もう・・・復讐なんてやめたら・・・」
二人は信長に親を殺された孤児同士である。
「いやだ・・・」
ねねは悲しくなって秀吉の忍者刀を折るのだった。
「やったのは私だよ・・・」
・・・誰が白夜行ごっこをやれと・・・。ねねなんてキャスティングされてないだろう。
比叡山に到着した信長(本人)と秀吉。
秀吉は単独で延暦寺に乗り込む。
「これからはトイチで利息を払ってもらうぜ」
「なんじゃそりゃあ・・・おんどりゃあ・・・どこの組にケツもってもらっとんのじゃ・・・」
交渉決裂である。
「信長様・・・こうなったらやるしかありません」
「しかし・・・宗教界を敵に回すのは・・・後々面倒ではないか」
「後腐れのないように・・・追い込んで山に埋めちゃえばいいんですよ」
「・・・」
戦国時代の人である信長(本人)はそれも一理あると思うのだった。
比叡山焼き討ち決行である。
山には・・・僧侶の情婦(美女)や・・・僧侶の男色相手(美少年)もいたがすべて殺戮されるのだった。
「女子供にも手加減するな」と叫ぶ秀吉。
「・・・」
「これこそ・・・戦ですよね」
「・・・」
「ところで信長様は・・・初陣のことを・・・憶えていますか」
「ああ・・・あれは十三歳だった」
秀吉は・・・光秀が信長(本人)であることを確信するのだった。
凱旋した信長を・・・サブローはネチネチと責める。
「何も・・・女子供まで・・・殺さなくてもよかったじゃないか」
「何を言ってる・・・姉川ではお前も戦ったではないか・・・戦は所詮、殺し合いなのだぞ」
「だめなんですよ・・・軍人の犠牲は仕方ないけど民間人は安全じゃないと・・・」
「なぜだ・・・」
「だって・・・これはスイーツなんですからあああああああああああ」
囁かれる・・・信長の・・・意外な残虐性・・・。
「殿もやる時はやるのお」
「たいしたもんじゃな」
「うつけも・・・戦国武将のはしくれじゃったのじゃ」
「俺じゃない」とは言えないサブローだった・・・。
オルゴールは悲しい音色を奏でる・・・。
「で・・・愚僧は・・・何処に逃げればよいのかのう・・・」
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