結婚してくれませんかって本当ですか。(綾瀬はるか)
シンデレラなので・・・12時になったら帰宅である。
物語的には今、ここです。
「待ってください」
「待てません」
でもガラスの靴は置いていきますね・・・ということである。
なにしろ・・・お互いの親も了解の仲である。
来ようと思えばいつでも来れるでしょう・・・なのである。
自分をよく見せるためには・・・相手をどんなに傷つけても許される。
シンデレラのわがままにのけぞる人もいるかもしれないが・・・。
シンデレラというのは・・・そういうものなのです。
で、『きょうは会社休みます。・第9回』(日本テレビ20141210PM10~)原作・藤村真理、脚本・金子茂樹、演出・中島悟を見た。なにしろ・・・ウジウジするのが大好きな脚本家なので・・・今回はノリノリで書いていた気がする。障害がまったくない一本道で歩きながらバナナを食べて、バナナの皮を前方に投げ捨て、おりゃあっと踏みに行き、すってんころりんである。どんなコントなんだよ・・・。そういう人に「大丈夫ですか」と手を差し伸べるのはかなり勇気がいるよね。でも、それをするのが綾瀬はるかなんだから・・・納得するしかないよねえ。一般人は真似しちゃだめだよお・・・。
ドラマとしては・・・微妙なところである。
なにしろ・・・王子様は別に元CEO朝尾(玉木宏)でもいいよねえ・・・という人も多いだろうから。
しかし・・・舞踏会で踊ったのが悠斗(福士蒼汰)である以上・・・ハッピーエンドは悠斗でなければいけない宿命なのである。
そうでなければ・・・シンデレラの物語は愛されないのだ。
だから・・・今回は最終回じゃないんだな。
ちなみに恋愛物語は二つしかない。
「ロミオとジュリエット」のように結ばれないか・・・「シンデレラ」のように結ばれるかだ。
たとえば脚本家の出世作「プロポーズ大作戦」の原型である映画「卒業」は・・・王子様が・・・ヒロインの母親のセックスフレンドだったことで・・・「ロミオとジュリエット」を装いながら・・・最後は結婚式に殴りこみで結局、「シンデレラ」になってしまうのである。
「白夜行」はヒロインは「シンデレラ」の路を歩みながら・・・親殺しの恋人同志が・・・「ロミオとジュリエット」になる悲恋物語である。
この物語は・・・「シンデレラ」でないと・・・ものすごくやりきれない感じになるよね。
三十路に踏み入れた瞬間から・・・魔法にかかった帝江物産横浜支社食品部デザート原料課勤務・青石花笑(綾瀬はるか)は・・・初めてのセックス、初めての痴話喧嘩、初めての同棲生活、初めての三角関係清算、初めての両親紹介などを経て・・・ついに初めてのプロポーズにこぎつけたのだった。
夢のような舞踏会は続く・・・。
料理研究家の悠斗の母親・田之倉時子(鈴木杏樹)は・・・大学生の息子と九歳年上のOLとの結婚話に・・・かなりの確率で難色を示すと思われるが・・・。
「花笑さんがよかったら・・・よろしくお願いします」
・・・なのである。
それどころか・・・。
「温泉の高級旅館の招待券をどうぞ」
・・・なのである。
なんらかの詐偽を疑いたくなるところだ。
で・・・実質的に・・・結婚の段取りが・・・悠斗の大学卒業、就職が前提になっているのに・・・一度は断った帝江物産横浜支社食品部デザート原料課への正社員の話を蒸し返す前に・・・とりあえず・・・会社を休んで温泉旅行に行く二人だった。
とにかく・・・綾瀬はるかも入浴しなければならんだろうし。
悠斗もそれなりに肉体をアピールしなければならないのである。
昼間の光の中で・・・部屋付きの露天風呂に入るのは・・・それなりに美しさに自信がないとできないからねえ。
性欲のピークの二十代前半男性(個人差があります)と性欲のピークの三十代前半の女性(個人差があります)は欲望のおもむくままにやりまくったはずだが・・・ドラマなので省略である。
そして後戯として若さ漲る悠斗に・・・労りのマッサージを受ける花笑だった。
幸せの絶頂・・・幸せすぎてなんだかこわい・・・いつか・・・恋の魔法は解けるもの・・・。
自然の成り行きを受け入れることができない幼い花笑はたちまち・・・悪夢を見るのであった。
すべては・・・さやか博士(平澤宏々路)が悠斗ロボを使って仕掛けたどっきりカメラだったのである。
「どうして・・・そんなことを・・・」
「だって・・・花笑ちゃんだけが幸せなんてずるいもの」
「ハナエサンダケガシアワセナノデス・・・」
花笑の中で・・・自分との結婚を優先させるために・・・悠斗の大学院進学を断念させた・・・罪悪感が急速に育っていたのであった。
そんな花笑に痛恨の一撃を加えるために・・・やってくる悠斗の昔の恋人で・・・大学の助手である戸崎啓子(香椎由宇)・・・。
「悠斗はあなたと結婚するより・・・大学院に進んだ方が幸福な人生が約束されるのです」
啓子と悠斗がどんな恋愛をしたのかは明らかにされないが・・・明らかに独善的で・・・余計なお世話な言動だが・・・恋愛的に幼い花笑の心は打ち砕かれるのだった。
迷った時のアドバイザー朝尾は・・・。
「彼の背中を押してやるのも・・・時には大切だ」などと・・・偶然を装って悪意のない罠を仕掛けるのだった。
本末転倒という言葉を知らない花笑は・・・悠斗の幸せのために・・・身を退く決意をするのだった。
なんでそうなるの・・・と誰もが思うわけだが・・・ドラマですから。
美しいイルミネーションを見ながら・・・一方的に別れを切りだす花笑である。
もちろん・・・その根本にはふられる前にふりたいとか・・・そういうネガティブなウジウジ感が満ちています。
まったく潔くないわけです。
「どうして・・・」
「それがあなたのためだから・・・」
「僕の幸せはあなたと生きて行くことです」
「私は・・・もうあなたが好きではないのです・・・朝尾さんとつきあってます」
それは・・・絶対についてはいけない嘘だが・・・ドラマですからっ。
そうなるしかない心情を描き切っていたかどうか・・・微妙なところだよねえ。
なにしろ・・・人間はそういうウジウジしたものだ・・・が・・・この脚本家の前提なので。
自分で穴を掘って自分を埋めて・・・さめざめと泣く花笑・・・。
花笑の両親は真相を知ったら・・・一同爆笑するだろうが・・・てっきり、娘がふられたと思いオロオロするのだった。
花笑は自分についた嘘をとりつくろうために・・・朝尾に「つきあっていることにして」とお願いするのだった。
花笑は初心という設定なので・・・ギリギリクリアだが・・・鈍感にも程があるお願いである。
早速、真相を確かめに来た悠斗に・・・本当のことを言う朝尾だった。
「もちろん・・・彼女とつきあってはいないさ・・・」
「・・・」
「でも・・・言ったはずだよね・・・君には彼女が見えているのかと・・・」
「最初から・・・見えていなかったのかも」
「好きな人が耳をかきたいと言ったらかかせてやればよかったんだよ」
「そこですかっ」
若さゆえの自信を失う悠斗だった。
恋は所詮、幻・・・それでいいと思うには・・・もう少し経験が必要なのである。
好きな人のために頑張ることは自然なことだ。
頑張りすぎて疲れてしまうのも自然なことだ。
疲れたらちょっと手抜きをすればいい。
おなべを焦がす度に全焼させてはいけないのである。
朝尾は・・・誠実な態度で接しているが・・・実は悠斗を崖から突き落としているのだ。
悠斗は直接の要因をブッシー(田口浩正)から聞きだし、啓子を詰る。
「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて信じまえ」
「あなたの心より・・・他の女の言葉を信じる女・・・所詮、ろくなもんじゃないわよ。それに・・・あなたは大学院に進むべきだと・・・私は信じていますから」
「・・・」
花笑ではなく・・・啓子に会いに行ってる時点で・・・悠斗はわかげのいたりなのだった。
主導権を握っている花笑が頑なになっている以上、為す術もない悠斗は・・・再び・・・大学院に戻る流れに乗るのだった。
なにしろ・・・花笑と結婚しないのなら就職する意味はないのである。
本質から目をそむけ・・・瀬戸内寂聴に逃避する花笑だった。
「恋に破れて尼さんになった人の言葉に溺れてどうするの」
「だって・・・この本には私がいるから」
「ま・・・いいか・・・じゃ、彼の名は・・・削除しときなさいよ」
厳しい親友の一華(平岩紙)は甘えを許さないのだった。
もちろん・・・削除はできない花笑である。
だって・・・それはガラスの靴ですから・・・。
そして・・・最終回を前に・・・俺にだって胸キュンさせることはできるとばかりに・・・新装開店前のレストランに花笑を招待する朝尾だった。
「最初の客は・・・君にすると最初から決めてた」
「・・・」
「君はそのままでいい。好きなこと言って。好きなことして。ただ・・・笑って、傍にいてくれるだけで」
「はい?」
「だから・・・俺と結婚してくれませんか?」
ものすごく愛して愛されている相手を一方的にふっておいて・・・すぐさま別の男性にプロポーズされる。
そんなことを言うのは野暮ですが・・・あくまでドラマですからっ。
さあ・・・王子様は・・・シンデレラを求めて・・・街を彷徨ってくれるかな・・・。
基本的に主軸の三人以外のエピソードはいらないですよねえ。
特に主軸とからまない二人の出番・・・かわいそうな感じがするぞ・・・。
これは群像劇じゃないんだから・・・。
主人公あっての脇役にしていかないと・・・。
せめて・・・クリスマスを瞳(仲里依紗)一緒に過ごせることになったと加々見(千葉雄大)が花笑に報告するとかで関連付けないとねえ。
まあ・・・ウジウジにノリノリだからしょうがないか。
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