このミステリーがすごい! ベストセラー作家からの挑戦状が届いています(川口春奈)すごいのね(川島海荷)挑戦ですから(小池里奈)
さて・・・2014年の最後の記事である。
ミステリの裾野は広がってなんでもありのようでもあり・・・いつものように本格とそれ以外だったりする。
人は罪が好きだし、罰も好きである。
罪と罰のバランスも大切だ。
罪というものにこだわれば・・・罪を畏れぬ犯人に突き当たり、罰というものにこだわれば手段を選ばぬ犯人に突き当たる。
結局、ミステリは犯人探しに尽きるのである。
「犯人探しなんて虚しいからやめようじゃないか」などと・・・消失した給食費の謎を放棄してはいけないんだな。
残念なことに誰かが地球を滅ぼした時に・・・犯人探しが出来ない可能性はある。
そういう時のために・・・ミステリは片足をオカルトに突っ込んだりするのだった。
で、『このミステリーがすごい! ベストセラー作家からの挑戦状』(TBSテレビ20141229PM9~)を見た。2002年の第一回から2014年の第十三回まで続く『このミステリーがすごい!』大賞の受賞作家四人の競作によるオムニバスドラマである。間奏のコントを小説家(ピース又吉)と編集者(樹木希林)が埋めて行く。アンソロジーというより、ミステリ雑誌を読んで行くような構成になっている。つまり・・・テーマ性よりもバラエティー色が強いわけである。それでもかぶる時はかぶるので・・・ある意味、意外な犯人という主題を見出すこともできるのが妙である。
「ダイヤモンドダスト」・・・原作は『生存者ゼロ』で第11回の大賞を受賞した安生正。脚本・髙橋麻紀、演出・古澤健である。何と言っても「雪山遭難」ジャンルである。「雪山」じゃないだろう。いや・・・雪で遭難しそうになったらそこは山なのだ。東京のど真ん中でもか。でもだ。「ウルトラQ」なんてペギラが飛んできたら「東京氷河期」だからな。・・・もういいや。とにかく・・・異常気象で東京が大寒波に襲われ・・・凍りつくスペクタクルが展開され・・・それだけでもう・・・うっとりします。ミステリ抜きでうっとりしていたいくらいである。
中心となる登場人物は・・・都内で新店舗を出す会社員たち。やりてのタクミ(AKIRA)とグズの明神(山本耕史)は同期ながら・・・上司と部下になっている。二人は友人の体裁を繕っているが・・・明らかにタクミは明神を見下しているのだった。
明日は開店ということで・・・店舗で準備に入った二人だが・・・寒波の襲来でスケジュールは大きく狂って行く。
本社では二人の帰りを待って明神の交際相手の坂下睦美(高橋ユウ)が待機しているが・・・実は睦美は・・・密かにタクミに乗り換えているのだった。
やがて・・・東京は雪の中に埋もれ・・・新店舗の暖房装置の故障・・・さらに停電と危機的状況に発展していく。
「まったく・・・お前がノロノロしているせいで・・・とんでもないことになってきた」
「ごめん・・・でも・・・」
明神は「気象情報ツール」を見せて・・・まもなく「天候回復」が見込めることをタクミに伝えるのだった。
そして・・・二人はブリザードの吹き荒れる東京の街を・・・本社に向かって出発するのだった。
もちろん・・・本社にたどり着くのは一人だけである。
それが誰かはもう・・・おわかりですよね。
気象を凶器に使った殺人というアイディアなのだった。
もちろん・・・犯人を罰する法律はありません。
とにかく・・・年末にゴージャスな雪山遭難が見れて満足である。
凍死はしびれるからなあ。
「残されたセンリツ」・・・原作は『さよならドビュッシー』で第8回大賞受賞の中山七里。脚本・髙橋麻紀(他)、演出・金子修介である。天才ピアニストである多岐川玲(とよた真帆)がリサイタルのアンコール直前に毒殺されてしまう。容疑者として浮上するのは・・・前の恋人の安住鷹久(佐藤二朗)と現在の交際相手でスポンサーの美能忠邦(長谷川初範)・・・そして・・・玲の実の娘でピアニストである多岐川真由(川口春奈)である。
捜査にあたるのは河原崎刑事(イッセー尾形)で・・・微妙に古畑任三郎風である。
ピアノしか頭にない母親の不倫関係の果てに生まれ、虐待されて育った真由には母親を殺す動機があった。
しかし・・・事件は・・・美能忠邦の経営する公害企業が絡んで意外な方向に発展して行くのだった。
そのすべてが・・・ほぼリサイタル会場だけで展開して行くという無謀な展開である。
まあ・・・川口春奈をうっとり見ていればなんとなく・・・被害者が加害者という・・・無理矢理な結末まで見ることができる。
ちなみに・・・自殺するわけではありません。
「カシオペアのエンドロール」の原作は『チーム・バチスタの栄光』で第4回受賞の海堂尊。脚本・永田優子、演出・大谷健太郎である。こちらは列車「カシオペア」が舞台の密室殺人劇。前作と微妙にかぶっているが・・・脚本がベテランの分だけ・・・少し面白くなっている。殺されたのは女にだらしない映画監督(田中要次)で・・・大女優の望月ゆかり(藤原紀香)と新人女優の樫村愛菜(川島海荷)が容疑者である。他にも容疑者(いしのようこ、矢吹春奈)がいるがキャスティング上から・・・この二人のどちらかである。
探偵役は・・・加納警視正(吉田栄作)と玉村刑事(浜野謙太)で・・・またまた古畑風なのである。
まあ・・・「エーサーク」の髪型が「アメトーク大賞」的に気になるわけである。
久しぶりに川島海荷を見たが・・・藤原紀香と同様にいつもの感じでしたな。
二人とも貫禄なんだな。紀香はいいとしても海荷はそれでいいのか。
結局・・・愛菜の復讐劇なのだが・・・やはり裁かれることのない真犯人がいる展開である。
完全にかぶってしまったぞ・・・。
「黒いパンテル」・・・原作は『完全なる首長竜の日』で第9回受賞の乾緑郎。脚本・監督・星護である・・・絶対にかぶらないように・・・もはやミステリではないところまできた面白いけれどある意味意味不明な作品を持ってきたわけである。
三十年前・・・特撮ヒーロー「ブラックパンテル」の主役(兼原良太郎)だった・・・須藤(勝村政信)は現在では建築関係の現場監督として地道に働いている。妻の栄子(高橋ひとみ)は昔はアイドル(柳ゆり菜)だった。
夫婦には娘の千明(小池里奈)がいて・・・最近、戸倉(山本裕典)という男と交際を始めたのである。
ある日、ブラックパンテルの衣装を妻が発見し・・・須藤は忌まわしい記憶を蘇らせる。
「ブラックパンテル」の最終回撮影現場で・・・火災事故が発生し・・・須藤は・・・友人の二ノ宮(城田優)と栄子のどちらかを助け、どちらかを見捨てる究極の選択を迫られるのである。
まあ・・・三角関係ということでは一本目とかぶってしまったな・・・。
しかし・・・やがて・・・二ノ宮そっくりの男が現れ・・・娘の千明は誘拐され・・・ついには巨大隕石が地球に衝突することが明らかになる。
お茶の間のなんじゃあこりゃあ・・・という叫びとともに・・・須藤は・・・ブラックパンテルに変身するのだった・・・。
まあ・・・面白ければなんでもいいんだよね・・・テレビなんて・・・。
ああ・・・今年も終わったな。
皆様、よいお年をお迎えください。
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