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2015年1月29日 (木)

2015年内的宇宙の旅(井川遥)

不安定な水曜日だな。

記憶が曖昧になるんだよねえ。

順番としては「流星ワゴン」から見るわけだ。

いろいろあるが・・・粗暴な父親に馴染めない繊細な子供が臆病なまま成人して粗暴な現実に対応できないという話だ。

で・・・「○○妻」は最悪な父親に育てられた子供が完璧な妻に出会うが結局、不安定な自分をさらけ出して最悪な夫になりかける話。

そして「残念な夫。」は人間なんて基本たいしたことないからなんとなく適当にやっていくしかないという話に・・・。

どんどん・・・混ぜられていくよね。

そして・・・殺したいから殺す女子大生出現である。

犯罪集団の本拠地に潜入して捕獲されたジャーナリストの件は伝えれば伝えるほどマスメディアがテロリスト化していくという悪夢である。

まあ・・・結局、理念なき報道機関の脆弱性が暴露されているんだよな。

所詮・・・お茶の間ビジネスだからな。

それを言っちゃあおしめえよ。

で、『流星ワゴン・第2回』(TBSテレビ20160118PM9~)原作・重松清、脚本・八津弘幸(他)、演出・福澤克雄を見た。世界観戦争を構成する基本は内的宇宙である。世界というものが認識上の存在である以上、世界は人の誕生から開始され、人の臨終によって終焉するわけである。人の生前や人の死後に世界が存在するのは幻想にすぎないわけだ。たとえば、今、これを読んでいる人にとって世界はあなたが死ぬまでしか存在しないのである。しかし、その短さに恐怖を感じるタイプの人は死後の世界をあれこれと妄想したりする。生命保険はその幻想につけこんだビジネスである。家族を残して不慮の死を遂げた人がそれなりの遺産を残せば遺族は感謝するかもしれないが・・・本人には無関係なのである。保険をかけているという事実によって生前の家族との関係がある程度保障されるだけである。認識が世界の維持に不可欠である以上・・・認知症を発症した人間はすでにゾンビと言える。それでも面影が愛しさを醸しだすことがある。しかし、本人にとって世界はすでに滅亡寸前なのだ。流星ワゴンの旅はフィクションである以上、作り手の幻想にすぎないのだが、語られる内容も幻想なのである。

永田一雄(佐藤詩音→西島秀俊)は過去へ時間旅行しているように見えるが・・・実は回想しているだけなのである。

恐ろしい記憶力で・・・過去の自分の人生をリアルに想起し・・・自分自身の体験を追体験しているわけである。

しかし・・・回想でありながら現在の記憶がフィードバックし、過去は変容していく。

つまり・・・これは夢なのである。

長年・・・不仲だった父親・忠雄(香川照之)は分裂した人格として若き日の姿で夢に現れる。

案内役として登場するドライバーの橋本義明(吉岡秀隆)と息子の健太(高木星来)は新聞記事から派生した架空のキャラクターである。

永田一雄は不遇だった自分の人生の記憶を都合のいい解釈で美化し続ける。

嫌な父親は実は好人物だったのではないか・・・死んだと思っていた犬は実は生きていたのではないか・・・愛されていない自分は実は愛されていたのではないか。

不毛だった自分を癒すための偽りの記憶を一雄は捏造し続けるのだった。

すべては・・・内的宇宙の出来事である。

中学受験に失敗した息子の広樹(横山幸汰)を幸せに導けなかった父親として。

怪しい男につきまとわれ結婚記念日に離婚届を送付する妻の美代子(井川遥)に裏切られた夫として。

不毛だった人生を修復しようとあがき続ける一雄・・・。

たとえ・・・存在しなかった黒ひげ危機一髪が物質化したように見えても・・・それは幻想に過ぎないのである。

しかし・・・ひょっとして・・・自分の気持ちが変われば世界もまた変革されるのではないか・・・虚しく願いながら・・・一雄の超回想は続いて行く。

息子の犬を飼いたいという希望を叶えていれば・・・。

気に食わない上司に土下座したり捨てゼリフを吐いたりしていれば・・・。

懊悩しながら・・・。

乳幼児を抱えた若い夫婦が・・・なにやら諍いながら通りすぎて行く。

彼らはそれぞれに不満を抱えているだろう。

しかし・・・一雄から見れば幸せそうなカップルだ。

荒れ果てた家で孤独を感じながら一雄はテレビをつけた。

「こんばんわ・・・久保田正純です。今夜はISISの人質関連のニュースからお伝えします。凶悪なテロリスト集団に対してイスラム国という誤解を招くような名称を使うことは実に愚かしいことです。使い続けるニュースキャスターは全員、テロリストです。五人に一人が認知症という我が国において人質の母親が少し電波をまき散らしたといって騒ぐのは少し可哀想です。息子に向ってどちら様ですかという母親でなかっただけでも幸いだったのです。テロに屈しないという立場である以上、犯罪者には断固たる態度で接し、その改心を促すのが正論ですが人命尊重の立場からは水面下でいろいろあってしかるべきです。とにかくテレビ局の正社員はけして危険な現場には立ち入りません。非正規雇用者が死地に赴き、運が良ければ米を買う。ただそれだけのことです。積雪で年間百人が死に、女子高生や女子大生が発狂して殺人をする国の国民が死地で死に直面する。それをそんなに大騒ぎするのはおかしいなどと言えば良識を疑われるわけですが私は虐待された児童だった過去があるためにある程度は何を言っても許されるでしょう。願わくば世界が平和でありますように・・・おやすみにゃあ」

犬も飼いたかったけれど猫でもよかったかな。

一雄は黒猫が足元にうずくまるのを感じる。

幻の黒猫は幻のぬくもりを感じさせる。

幻の声がにゃあと囁く。

ボートでボーッとしたいのか。

一雄は夢の中で眠りに落ちる。

関連するキッドのブログ→第1話のレビュー

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コメント

年末から年明けにかけてたまたま原作を読んだのですが……なんというアンチSF、なんというファンタジーキャンセラー(笑)。これがドラマになると聞いてもあまりピンと来なかったのですが、やはり人が演じる、ロケ地がある……と違いますね。番宣でそう思って、昼間の再放送で第一話を見てみてわずか数分で「これは観なきゃ」と思ったのでした。しかし井川遥がああしてこうしてというシーンは日曜夜9時だし無いのでしょう(笑)。

第一話が終わってみると原作の半分くらいを消化しつつ過去パートもオリジナルで足されていたりで、良い意味でびっくり。第二話で原作の三分の二以上来ているような感じですが、オデッセイの親子が「幽霊です」ってナレーションで自己紹介してしまうのは、それ意外の解釈を排除してしまうという意味で蛇足だったですなぁ……。

投稿: 幻灯機 | 2015年2月 1日 (日) 20時04分

✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪

原作は例によって
ノスタルジーによる
野蛮と軟弱の交差点なのでしょうが
脚本家はなかなかに
ベタな見せ場を作るのが得意な
「半沢」的な腕前。
アレンジの腕が
冴え渡る模様ですな。

井川遥のいかにも裏がありそうで
なまめかしい感じが
妄想をそそりますな。

もう・・・俺に優しくしてくれる人なんか
いない・・・どっこい見守ってます的な・・・。

まあ・・・なんていうか
加齢臭の漂うキャスティングが
ちょっと難儀ですが・・・。

金曜日にお嬢様向けレビューがあるので
水曜日は妄想半分の
谷間になってもいいや・・・と考えております。
流星ワゴンそのものが
妄想っぽいですからにゃ~

投稿: キッド | 2015年2月 1日 (日) 22時38分

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