劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILLの流血と献花と私(堀北真希)
「劇場版ATARU」で良かったんじゃないのか。
まあ・・・いろいろとつけたしたかったんだよな。
「最初の恋と最後の殺人」ってなんだかなあ・・・って感じはあるよね。
腑に落ちない感じはするよね。
消化不良なんだよねえ。
「すべての命は大切」と「殺してもいい人はいる」の激しいバトルが薄いんだよな。
もっと・・・入念に「マドカの殺意」を描かないとな。
まあ・・・凡人向けに作らないと・・・ビジネスにならないからな。
お含みおきくださいだよな。
ブログじゃないんだからな。
だからこそだという考え方もあります。
まあ・・・およそ・・・二年ぶりに・・・決着がついてよかったよ。
で、『劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL(2013年劇場公開作品)』脚本・櫻井武晴、監督・木村ひさしを見た。ドラマ版の「ATARU」の実質的な主人公である美人刑事・蛯名舞子(栗山千明)が少し後退し・・・片足の管理官・星秋穂(松雪泰子)と天才犯罪者・アレッサンドロ・カロリナ・マドカ(堀北真希)のチョコザイことATARU(中居正広)争奪戦が展開する劇場版である。人類は時々、おそろしいものを生み出す。たとえば、ヒトラー・・・、たとえば原子爆弾である。マドカもまたそういうモンスターなのである。
現在、世界経済は電子化されている。
もちろん・・・電子の中枢はそれなりに・・・防御されているわけだが・・・それが人工的なものである以上・・・超人が出現すればたちまち無防備となるのである。
フィクションの世界では・・・そういう超人を度々・・・構築することができる。
幻想のスーパーハッカーであるマドカには不可能はない。
国籍も国境も国際法もマドカを拘束することはできない。
マドカを縛るものはマドカのみなのである。
しかし・・・ただ一人・・・マドカのかってのパートナーであるチョコザイだけが・・・マドカに匹敵する能力を持つのだった。
「天才」を規定することは困難だが、ここでは戦略的天才の側面からマドカを分析する。
孤児として修道院で育ったマドカは事故による脳の損傷によって一般人の限界を越えた超情報処理力を獲得する。
FBIのラリー井上(村上弘明)はマドカの才能に注目し、チョコザイのパートナーとして育成する。
超能力を使った犯罪摘発が二人の任務だった。
生得的な超能力者であるチョコザイと違い、普通人の記憶と超能力者の記憶を混在させるマドカは・・・世界の矛盾に対し、真摯に向き合うのだった。
「犯罪者の摘発」について手段を選ばないという決断が・・・チョコザイとマドカを切り離す。
そもそも・・・戦略的天才とは・・・目的達成のためには手段を選ばないのが基本なのである。
殺人を被害者の立場から考えれば結果はゼロである。
それに対し、法律は必ずしも「死刑」で対応しない。「死刑」の結果であるゼロに対し・・・いくらかのプラスが生じる。
マドカの幼い感覚では・・・それは許されない誤差だったのだ。
こうして・・・「目には目を・・・歯には歯を」という刑罰の原則に従い・・・マドカは犯罪者の独断による死刑執行を開始するのだった。
マドカの暴走を阻止しようとした通常人たちは・・・怪物を見失う。
FBIの保護を失ったマドカは自由になり・・・その能力を開花させる。
あらゆる電子の世界を支配するマドカは・・・地球の支配者となっていた。
もちろん・・・「犯罪者を撲滅すること」のためには・・・大量虐殺発生地域に核爆弾をうちこむことも、独裁者を王宮ごと吹き飛ばすことも可能になったマドカだが・・・そのターゲットはあくまで法的な犯罪者に限定される。
そのように洗脳されているのだから仕方がない。
天才的犯罪美少女を演じる堀北真希のせつなさ果てしなく・・・なのだった。
やがて・・・個人としての活動に限界を感じたマドカは・・・かってのパートナー・チョコザイのとりこみを画策するのだった。
日米でハッキングによる凶悪犯罪が続発し・・・マドカが日本に潜伏している可能性が高まる。
日米合同捜査本部の星管理官はチョコザイの能力を知って・・・マドカとチョコザイの共犯を疑い始める。
やがて・・・マドカの焼死体が発見され・・・チョコザイは単独の容疑者として拘束されてしまうのだった。
情報を操作するマドカはたやすく警視庁に潜入し、チョコザイとコンタクトをとる。
「あなたも犯罪者になりなさい」
「・・・」
愛する家族がいるチョコザイには・・・無理な相談なのである。
マドカとチョコザイの接触の事実を知り、沢刑事(北村一輝)さえもがチョコザイを疑い始める。
ラリーも「マイコのコレステロール」の可能性に不安を感じるのだった。
「マインド・コントロールだ」
しかし・・・鑑識課の渥見(田中哲司)、美人鑑識の石川唯(光宗薫)、美魔女鑑識・水野流美(島崎遥香)のトリオは・・・すべてがマドカの擬装であることを看破するのだった。
「すべては魔法陣のトリックなのね」
「チョコザイはアンチ魔法陣を開発している」
「チョコザイは無罪」
チョコザイによる電子戦の介入で難を逃れた星管理官は凡人を代表して天才に謝罪するのだった。
チョコザイの犯罪者化に失敗したマドカは孤独を感じる。
「犯罪者の処刑」という戦略目標を点検するうちに内在する矛盾に気がつくマドカ。
世界有数の富豪であり、世界の主な企業の経営者であるマドカ自身が「犯罪者」だったのだ。
「犯罪者は処刑しなければならない」
マドカは立会人として・・・チョコザイを選択し・・・その生涯を終えるのだった。
死体となったマドカにラリー井上は凡人として謝罪する。
ルート66には・・・マドカの赤い花が咲く。
チョコザイは・・・恋人としての家族・・・マドカを失った喪失感を埋めるために・・・白い花で路上を埋める。
その行為は終わることを知らないのである。
チョコザイは一生・・・それを繰り返す・・・なぜなら・・・彼は彼女に永遠の愛を捧げたのだから。
ロミオとジュリエットは結ばれないのが運命なのだ・・・。
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