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2015年1月31日 (土)

イントロあけでは歌わない女(成海璃子)

青山ワンセグ開発の「ねんりき! 北石器山高校超能力研究部」は落選してしまったわけだが・・・原作の「シティライツ/大橋裕之」は「超能力研究部の3人」で映画化されている。映画版の育子は生田絵梨花である。

橋本愛版といえる「ねんりき」は第三話で「シティライツ」を連呼するバンド・BAMBOLAが登場する。

好きな人の好きな音楽を好きになるという甘酸っぱい展開だ。

失恋した育子は「UFO」を呼び、曲げそこなったスプーンを投げつけるのだった。

コンッて音がします。

このくそげぼやろうが!!・・・。

北石器山高校超能力研究部の三人のその後も気になるところだが・・・アラフォーなのに青春を追いかける三人はある意味、阿鼻叫喚の地獄と紙一重なのだった。

で、『・第3回~』(テレビ東京201501240012~)脚本・演出・ケラリーノ・サンドロヴィッチを見た。去年の成海璃子といえば・・・「地獄先生ぬ~べ~」のナレーションである。もっと見たいぞ。と思っているとこんなところでゲストなのだった。なにやってんだ・・・。

消崎夏美(麻生久美子)がファンのバンド「モンド・ムー」のボーカル・タバサ(成海璃子)が入院する。

タバサはさぼりたい病で色気ムンムン症候群なのである。

のうみそふるい

からだもふるい

おとなにわかるはずがない

としよりにわかるはずがない

あたい

はじけるわかさがはじけてる

ヤングオーオー

ヤングひゃくまんボルト 

ビっビ

・・・まあ・・・なんじゃこりゃですな。

しかし・・・夏美はタバサのおっかけなのだった。

・・・まあ・・・なにやってんのじゃですな。

夏美は「三千歳病院」に入院中の秋子(坂井真紀)の同室の患者・ミドリ(中山絵梨奈)がタバサの親友と知り・・・ライブのチケット入手を依頼する・・・。

しかし・・・三千歳病院は妖怪「年食い」の巣窟だったのだ。

実は妖怪である女医シゲコ(毬谷友子)は夜な夜な女子トイレに若い患者を呼び出し、若さのエキスを吸い上げる。ミドリも若さを奪われて老女(銀粉蝶)になってしまう。

老女は認知症を発症し、チケットの入手は困難になる。

プンスカして病院を出た夏美は三階堂(仲村トオル)とタクシーに乗り込む。

しかし、運転手は華本冬(緒川たまき)だった。

「タバサなら今、入院したわよ」

あわてて引き返す夏美だった。

実は秋子は担当医の峰(萩原聖人)に一目惚れしていた。

その峰医師にたちまち色目を使うタバサである。

秋子もプンスカになるのだった。

「私、仮病です」

「重いんですね」

「はい」

タバサの常軌を逸したわがままぶりにマネージャー・水沼(入江雅人)はお手上げ状態だった。

「あさってライブなんだぞ」

「いいのよ・・・客なんて待たせておけば・・・それにバンドはもうやめるわ」

「何言ってんだ」

「私、ソロでそろそろ売れたいの」

「だじゃれか」

しかし・・・タバサは年食いの餌食となってしまう。

コネでのチケット入手にこだわる夏美はミドリの記憶をとりもどそうとあがく。

一方、客として年食いを乗せた冬はタクシーもろとも谷底に落下。

年食いに若さを奪われそうになるが逆襲して九死に一生を得る。

冬・・・化け物じみてきたぞ。

川流れしているところを運命の再会をした黴田(水澤紳吾)に救われ、キスしようとするが・・・再び、シゲコが現れるのだった。

シゲコと峰医師の仲を疑う秋子とチケット獲得に執念を燃やす夏美は・・・妖怪年食いを追い詰めるのだった。

三人は年食いを追いかけて地下五階の霊安室へ。

そこは老化した患者の保管室だった。

年食いは・・・三人から若さを奪うが・・・食べすぎで破裂してしまう。

拡散する若さはそれぞれの肉体に戻っていく。

「これで・・・峰先生は私のもの」と喜ぶ秋子だったが・・・もちろん、峰は雄の年食いだったのである。

「男を見る目がないわね」

秋子を蔑む冬だった。

夏美は三階堂と「モンド・ムー」の解散ライブを楽しむのだった。

若さをとりもどしたタバサはわがままさに磨きがかかる。

「あんたら・・・最悪よ」とバンドのメンバーを説教するタバサ。「演奏最低・・・高級食材・・・学校法人・・・演奏最低」

とにかく四文字熟語かっ。

「でも・・・イントロあけで歌ってくれないと」と反論するメンバー。

「何、言ってんの・・・私はイントロあけで歌ったりしないわよ」

「なんじゃそりゃ・・・」とマネージャーは泣きながら街を彷徨うのだった。

まあ・・・成海璃子を堪能できたから・・・よしとするしかないドラマなのだ。

若いって素晴らしいなあ。

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2015年1月30日 (金)

パパとママに伝えてまだ好きだよと涙の炊飯器(松岡茉優)

「ねんりき」(橋本愛)が苦戦しているというのにリーダー主役回である。

しかも・・・これは「mother」の変奏曲・・・。

ポエム全開である。

ひどい父親とひどい母親に放置されて天才シェフが誕生するってひどい話じゃないか・・・。

一瞬で・・・「Nのために」・・・を越えて行ったぞ・・・。

そして・・・冴え渡るねぎの人の演技力。

そして・・・ようやくこの人だったのか・・・と萌えるお茶の間・・・。

中東のから騒ぎをつかのま忘れることができてよかったよ・・・。

で、『問題のあるレストラン・第3回』(フジテレビ20150122PM10~)脚本・坂元裕二、演出・加藤裕将を見た。世界観戦争では認識力の差が孤立を招く。意味もなく殺人を否定した方が強力だったりもするわけである。人質の無事を祈る人々はイスラームの歴史にそれほど興味があるわけではないしイラクとシリアとトルコとヨルダンがどのように国境を接しているかという地理にも興味がない。アッラーの神がどんな神かも知らない。人質交換の舞台になるのではないかと噂のトルコ・シリア国境の街・シャンルウルファの古都・アクチャカレの八千年の歴史も知らないだろう。アフラマツダとアーリマンが雌雄を決した決戦の地。戦い敗れたアーリマンはインドに逃れ宇宙神となる。しかし、アフラマツダもまた太陽神アッラーと明星ルシファーに分離し堕天使戦争に突入するのである。故郷を追われたユダの民はアクチャカレを通り約束の地へと導かれて行くのだ・・・悪魔の昔話はもういいんじゃないか。

謎のパーカーちゃんことビストロ「fou」のシェフ(予定)雨木千佳(曽我夏美→本川みのり→松岡茉優)はフォークを握りしめ、ビストロ「シンフォニック表参道」を経営する「ライクダイニングサービス」の社長・雨木太郎(杉本哲太)の元へと向う。

太郎は美女(夏月)と会食中だったが・・・娘を見出すと性欲をおさめ・・・手招きをする。

父親への愛と憎しみのカオスの中で千佳は殺意を躊躇するのだった。

千佳の中に眠る物語が今、語られ始めるのだ。

森村鏡子(臼田あさ美)の作る「お母さんの味」を飲みこむことができないのには理由があるのである。

田中たま子(真木よう子)が惚れこんだ料理の腕はともかく・・・千佳のことを何も知らないたま子は・・・「シェフをやめる」と言い出した千佳にうろたえる。

「どうして・・・」

「嫌だから・・・料理なんて面倒くさい」

「人生なんて面倒くさいものよ」と宥める女装好きのゲイのパティシエ・几(おしまずき)ハイジ(安田顕)・・・。

「人間も面倒くさい・・・地球が面倒くさい・・・」

言いたいことが上手く言えない千佳だった。

「嫌だということをやれとは言えないけど・・・もう一晩考えて・・・」

たま子は千佳のために用意したコックコートを贈るのだった。

しかし・・・翌朝・・・千佳はコックコートを切り裂いて消えていた。

開店二週間前のことである。

千佳は塒(ねぐら)にしていた漫画喫茶に戻る。そこには漫喫仲間の半田未子(ハマカワフミエ)がいるのだった。

「おかえり」

「ただいま」

千佳ははにかんで微笑む。

千佳は素晴らしいインターネットの世界にログインするとオンラインゲーム「R.O.H.A.N」の世界で野良兎となる。

《カナブンさんを見かけませんでしたか》

《最近、見ないね》

千佳はカナブンを訪ねて三千里の旅に出るのだった。

一方、「シンフォニック表参道」にはテレビ番組の取材で女子アナ(新井恵理那)が来店し、窓際痴漢・西脇(田山涼成)は太ももを堪能する。

「愚民ども」に見切りをつけて退社した東大出身の秀才・ゼネラルプロデューサー新田結実(二階堂ふみ)は闘争心に着火する。

食材の仕入れに出かけた市場の回転寿司で「シンフォニック表参道」のウエイトレス・川奈藍里(高畑充希)でイクラ争奪戦を繰り広げるのだった。

ここまでスルーしてきたイスラム風男尊女卑集団の中では人畜無害な軽さの星野大智(菅田将暉)は東大ちゃんを口説きだす。実は悪魔くんなんだろう・・・。

傲慢なシェフ・門司(東出昌大)は藤村五月レシピのフォン(出汁)を捨てオリジナルのフォンに取り組む。

「俺には俺のフォンがある」と叫ぶ門司は性格は悪いがシェフとしては一流なのである。

開店一週間前・・・。

「トュラトュラトュラトュラトュラトュラリャアラートュラトュラトュラトュラトュラトュリャリャートュラトュラトュラトュラトュラララ・・・」と歌いながらメニューを決めるチーム「アホ」のメンバー。

しかし・・・ソムリエ・烏森奈々美(YOU)とパティシェの他はほとんど素人のメンバーである。

明らかに大惨事の予兆が漂うのだった。

それでも・・・たま子は「静かな開店」を目指すのだった。

長い旅路の末・・・野良兎は・・・カナブンと巡り合う。

《ママ》

《あなた・・・千佳なの・・・》

千佳は・・・母親(堀内敬子)から親子三人の会食を提案される。

千佳は未子に嬉しそうに告げる。

「パパとママと食事をするんだ・・・親と・・・また一緒に住むことになるかもしれない」

「よかったね」

千佳は母親に会うために金髪を黒く染めるのだった。

ビストロ「fou(アホ)」の静かな開店日。

千佳は「シンフォニック表参道」で母親と再会した。

「美人になったわね」

「ママこそ・・・綺麗だよ」

「・・・」

最後に父親の太郎がやってくる。

しかし・・・太郎は株式市況のチェックに忙しい。

「今は別々に暮らしているそうだな・・・」

「・・・」

「千佳はひきこもりちゃんになったって言うじゃないか」

「・・・」

「母親が甘やかしすぎたんだろう・・・ウチの息子も用心しないとな」

千佳は知らなかった・・・父親が新しい家庭を持っていることを・・・。

「どうだ・・・金を出すから・・・今から大学を目指してみないか・・・千佳は料理が上手だそうだし・・・」

「・・・」

「二人で一緒に住めばいい・・・金は俺が出すぞ」

「・・・」

「なんだ・・・無口だな・・・千佳は昔はおしゃべりだったのに・・・オムライスが大好きで」

「幼稚園に入る前の話でしょう」

「お前たちを捨てたのは悪かったが・・・金は出してるんだ・・・愛がないことくらい我慢しろ」

「千佳はひきこもりなんかしてません」

「え」

「あなたに捨てられてひきこもったのは・・・私です。千佳は学校が大好きな子だったのです。私はネトゲにはまって・・・千佳が義務教育の間の九年間・・・一歩も部屋から出ませんでした」

「・・・」

「千佳は料理が上手になりました。義務教育の間・・・ずっと家で私のために料理を作っていたのです。私が死にたいと言い続けるのが心配で学校に行けなかったのです。私は目の離せない母親だったのです。そんなものを母親と呼ぶのかどうかは知りません。私は娘に毎日毎日死にたい死にたいと言いました。あなたに何人女がいたのか知らないけれどその女たちを毎日毎日殺したい殺したいと言いました。千佳が中学を卒業する年になった時・・・この子は私と一緒に死んでくれると言いました。だから・・・私は家を出たのです。この子を殺したくなかったから・・・この子を捨てたのです。あなたもひどい父親だったけど・・・私もひどい母親でした」

「いいじゃないか・・・こうして元気なんだから・・・二人でまた暮らせばいい」

「それはできません・・・私は妊娠して再婚しますから・・・」

千佳は凍りつき・・・そして微笑んだ。

「おめでとう・・・お母さん・・・よかったね」

母親は席を立った。

父親も席を立った。

千佳は未子にメールを送信した。

《私の孤独は完成しました》

門司のフォンも完成していた。

門司はオリジナルのフォンで作ったポトフを千佳のテーブルに運ぶ。

千佳はその味を感じた。

その時・・・ビストロ「fou」は初めての客を迎えていた。

通りすがりの団体さんは総勢17人・・・。

はりきってサービスを始めた一同。

しかし・・・ゼネラルプロデューサーが皿を割ったのをきっかけにミルクはこぼれソースは焦げ惨憺たる厨房となったのだった。

「もう・・・お客さんに謝るしかない」とソムリエ。

そこに・・・千佳がやってきた。

「助けて・・・シェフ」とたま子。

しかし・・・千佳は。

「嫌よ・・・料理なんか作ったっていいことなんかない。東大さん・・・どうしたの・・・私はこんなもんじゃない・・・って・・・あなたはそんなもんなのよ・・・私の友達、一日16時間働いて、立派に生きている・・・あなたなんか・・・それ以下よ・・・文句ある」

「その通りです・・・私は微生物以下の人間です」

泣きながら厨房を出るゼネラルプロデューサーだった。

かわいいよ、ゼネラルプロデューサーかわいいよである。

「死ねっ、人類死ね、地球死ね、宇宙死ね、みんな死ねばいい・・・こんなお友達ごっこのレストランなんてつぶれてしまえ」

「確かに・・・あなたの言う通りかもしれない・・・でも・・・ここは・・・レストランなの・・・お客様が料理を待っているんです・・・呪ってもいい・・・なんでもいいから・・・なんか作って・・・ここは厨房ですよ」

「・・・」

「・・・」

たま子の根拠なきガッツが勝ったらしい。

「オーダーは」

注文伝票を差し出すたま子。

「五分後にタラを出すよ」

「はいっ」

「でもミルクが・・・」

「そんなものどうとでもなる」

天才シェフは肉と魚を同時に焼き始めるのだった。

千佳の脳裏に揺らめく「チューボーですよ!」(1994年~)のイメージ。

巨匠がいるならアシスタントとゲストがいるのである。

「ハイジさんはサラダを・・・三千院さんはマリネを」

「はい・・・」

天才シェフは九年間の修業の成果を見せるのだった。

お米はいっぱいいっぱいお水を吸います

お水を捨てます

とぎます

お水を捨てます

とぎます

3回したらお水が半分透明になります

炊飯器にお米を入れます

ボタンを押して待ちましょう

はいよし

肉や魚はお友達です

仲良くしましょう

ご機嫌いかが?

熱くないですか?

冷たくないですか?

大事に大事に話しかけましょう

千佳は泣きながら料理を続ける。

テレビの料理教室を見て必死で覚えたレシピ。

大好きな母親のために・・・。

生きるために・・・。

千佳は泣きながら皿を洗った。

帰宅するまでが遠足である。

客がそれなりに満足して帰った後・・・千佳以外のメンバーは精根尽き果てる。

ハイジはおっさん化した・・・。

翌日・・・ビストロ「アホ」は暫時休業に突入した。

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2015年1月29日 (木)

2015年内的宇宙の旅(井川遥)

不安定な水曜日だな。

記憶が曖昧になるんだよねえ。

順番としては「流星ワゴン」から見るわけだ。

いろいろあるが・・・粗暴な父親に馴染めない繊細な子供が臆病なまま成人して粗暴な現実に対応できないという話だ。

で・・・「○○妻」は最悪な父親に育てられた子供が完璧な妻に出会うが結局、不安定な自分をさらけ出して最悪な夫になりかける話。

そして「残念な夫。」は人間なんて基本たいしたことないからなんとなく適当にやっていくしかないという話に・・・。

どんどん・・・混ぜられていくよね。

そして・・・殺したいから殺す女子大生出現である。

犯罪集団の本拠地に潜入して捕獲されたジャーナリストの件は伝えれば伝えるほどマスメディアがテロリスト化していくという悪夢である。

まあ・・・結局、理念なき報道機関の脆弱性が暴露されているんだよな。

所詮・・・お茶の間ビジネスだからな。

それを言っちゃあおしめえよ。

で、『流星ワゴン・第2回』(TBSテレビ20160118PM9~)原作・重松清、脚本・八津弘幸(他)、演出・福澤克雄を見た。世界観戦争を構成する基本は内的宇宙である。世界というものが認識上の存在である以上、世界は人の誕生から開始され、人の臨終によって終焉するわけである。人の生前や人の死後に世界が存在するのは幻想にすぎないわけだ。たとえば、今、これを読んでいる人にとって世界はあなたが死ぬまでしか存在しないのである。しかし、その短さに恐怖を感じるタイプの人は死後の世界をあれこれと妄想したりする。生命保険はその幻想につけこんだビジネスである。家族を残して不慮の死を遂げた人がそれなりの遺産を残せば遺族は感謝するかもしれないが・・・本人には無関係なのである。保険をかけているという事実によって生前の家族との関係がある程度保障されるだけである。認識が世界の維持に不可欠である以上・・・認知症を発症した人間はすでにゾンビと言える。それでも面影が愛しさを醸しだすことがある。しかし、本人にとって世界はすでに滅亡寸前なのだ。流星ワゴンの旅はフィクションである以上、作り手の幻想にすぎないのだが、語られる内容も幻想なのである。

永田一雄(佐藤詩音→西島秀俊)は過去へ時間旅行しているように見えるが・・・実は回想しているだけなのである。

恐ろしい記憶力で・・・過去の自分の人生をリアルに想起し・・・自分自身の体験を追体験しているわけである。

しかし・・・回想でありながら現在の記憶がフィードバックし、過去は変容していく。

つまり・・・これは夢なのである。

長年・・・不仲だった父親・忠雄(香川照之)は分裂した人格として若き日の姿で夢に現れる。

案内役として登場するドライバーの橋本義明(吉岡秀隆)と息子の健太(高木星来)は新聞記事から派生した架空のキャラクターである。

永田一雄は不遇だった自分の人生の記憶を都合のいい解釈で美化し続ける。

嫌な父親は実は好人物だったのではないか・・・死んだと思っていた犬は実は生きていたのではないか・・・愛されていない自分は実は愛されていたのではないか。

不毛だった自分を癒すための偽りの記憶を一雄は捏造し続けるのだった。

すべては・・・内的宇宙の出来事である。

中学受験に失敗した息子の広樹(横山幸汰)を幸せに導けなかった父親として。

怪しい男につきまとわれ結婚記念日に離婚届を送付する妻の美代子(井川遥)に裏切られた夫として。

不毛だった人生を修復しようとあがき続ける一雄・・・。

たとえ・・・存在しなかった黒ひげ危機一髪が物質化したように見えても・・・それは幻想に過ぎないのである。

しかし・・・ひょっとして・・・自分の気持ちが変われば世界もまた変革されるのではないか・・・虚しく願いながら・・・一雄の超回想は続いて行く。

息子の犬を飼いたいという希望を叶えていれば・・・。

気に食わない上司に土下座したり捨てゼリフを吐いたりしていれば・・・。

懊悩しながら・・・。

乳幼児を抱えた若い夫婦が・・・なにやら諍いながら通りすぎて行く。

彼らはそれぞれに不満を抱えているだろう。

しかし・・・一雄から見れば幸せそうなカップルだ。

荒れ果てた家で孤独を感じながら一雄はテレビをつけた。

「こんばんわ・・・久保田正純です。今夜はISISの人質関連のニュースからお伝えします。凶悪なテロリスト集団に対してイスラム国という誤解を招くような名称を使うことは実に愚かしいことです。使い続けるニュースキャスターは全員、テロリストです。五人に一人が認知症という我が国において人質の母親が少し電波をまき散らしたといって騒ぐのは少し可哀想です。息子に向ってどちら様ですかという母親でなかっただけでも幸いだったのです。テロに屈しないという立場である以上、犯罪者には断固たる態度で接し、その改心を促すのが正論ですが人命尊重の立場からは水面下でいろいろあってしかるべきです。とにかくテレビ局の正社員はけして危険な現場には立ち入りません。非正規雇用者が死地に赴き、運が良ければ米を買う。ただそれだけのことです。積雪で年間百人が死に、女子高生や女子大生が発狂して殺人をする国の国民が死地で死に直面する。それをそんなに大騒ぎするのはおかしいなどと言えば良識を疑われるわけですが私は虐待された児童だった過去があるためにある程度は何を言っても許されるでしょう。願わくば世界が平和でありますように・・・おやすみにゃあ」

犬も飼いたかったけれど猫でもよかったかな。

一雄は黒猫が足元にうずくまるのを感じる。

幻の黒猫は幻のぬくもりを感じさせる。

幻の声がにゃあと囁く。

ボートでボーッとしたいのか。

一雄は夢の中で眠りに落ちる。

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2015年1月28日 (水)

チヤホヤとかして欲しかっただけのナースじゃナイチンゲール(堀北真希)

平等の旗の一つに「苦痛の前の人間平等」というものがある。

もちろん・・・痛覚にも差異はあって敏感とか鈍感とかいろいろあるわけである。

快感と不快感は紙一重であって・・・感じやすかったりそうでなかったりもするのだ。

そういう・・・細部はともかく・・・「痛い」ということで人間は共通点を見出すわけである。

それを我慢できるタイプと我慢できないタイプはこの際、二の次としておく。

救急看護の基本は・・・この苦痛の緩和にある。

痛みを和らげてくれる人は・・・神様みたいなものですからな。

もちろん・・・医療の現場ではドクターが麻酔してくれるのが直接的だが・・・ナースが処置をして痛みを緩和してくれる場合もある。

破裂せんばかりにたまった尿を排出させてくれたりね・・・。

もちろん・・・そういう能力にも差異はある。

格差社会とは・・・経済力によって・・・苦痛の前の人間平等が崩壊することなのである。

で、『まっしろ・第3回』(TBSテレビ20150127PM10~)脚本・井上由美子、演出・伊藤雄介を見た。理想の病院も世界観によって変容することは言うまでもない。経済力を無視して理想の病院を考えれば「金に糸目をつけないシステム」が構築できる。多くの場合、それは現実的ではない・・・ということになる。コストダウンを重視して・・・経済効率を考える必要があるからである。しかし、格差社会においては差別化によって・・・不平等な理想の病院は構築可能なのである。誤解を恐れずに言えば・・・自由診療制度下では高額料金・高度サービスの自由な理想の病院と低料金・低サービスの平等なそれなりの病院が誕生するわけである。できれば・・・このドラマではそういううらやましい病院の姿を描き、貧乏人に絶望を感じさせてもらいたいと願うのだが・・・やはり・・・お茶の間向けの着地点を狙うわけである。ま・・・ドラマ制作もビジネスだから・・・しょうがないよね。

人間の能力には差異がある。同じ日本人でありながら、世界一を狙えるテニスプレーヤーもいれば、そうでない人もいるわけである。

同じ看護師でも頭脳明晰、体力抜群、明朗活発、容姿端麗の人もそうでない人もいるわけだ。

本来、超高級病院では超高額報酬で超優秀な人材を揃えるわけである。

そこでは・・・人間関係の摩擦は起きない。なにしろ、超優秀な管理者が制御するからである。

しかし・・・ドラマなので・・・人間はみんな下衆という要素を混入する必要がある。

優秀すぎて問題が起きなくては・・・面白くないという下種なお茶の間の希望を叶える必要があるからだ。

そのために・・・優秀な警察が犯罪者集団になりがちな今日この頃なのである。

超優秀な病院に問題を引き起こすのは・・・ふたつの要素である。

一つは「嫉妬」や「怠惰」といった心理的な問題。

一つは「無知」や「経験不足」といった物理的問題。

前者を代表するのが・・・愛人ニャース・明日香(菜々緒)や体(ボディ)採用枠のさくら(MEGUMI)、プライベートも充実させたいとし恵(西尾まり)などの三ツ星ナースの看護師長の田野島心(木村多江)への不平不満である。

完璧な患者様への看護とお客様への献身的なサービス・・・時には矛盾する両者を両立させるスーパー・ナースである看護師長に・・・そうでない人は水準の引き下げを要求する。

しかし・・・不満分子はそれなりに優秀なので・・・それを直接ぶつけたりはしないのである。

後者を代表する主人公・無印ナースの有村朱里(堀北真希)を焚きつけるのだった。

朱里は良く言えば純情可憐、悪く言えば操縦可能なのである。

同様に・・・留学帰りの若手外科医・仲野孝太郎(柳楽優弥)も経験不作と傲慢な性格による青二才な言動をするために・・・二人は「ロマンチックなコンビ」となっているのだ。

今回は・・・充分に語られてきた問題ある患者・小説家・大江淳平(眞島秀和)がゲスト扱いであったために時間配分が理想的となり・・・ついに大奥的ナースステーションのお局的看護師長のスーパーナースぶりが遺憾なく発揮されて・・・決まりましたね。その分、主人公朱里のフーテンの寅さん展開控えめである。

寅さん展開をするためには・・・もう少し研究が必要なんだな。

まず・・・男はつらいよ・・・ってことなんだから。

ついでに・・・この理想の病院の男女差別について言及しておきたい。

つまり・・・これまでのところ・・・男性看護師がキャスティングされていない問題である。

これには母性的育児の問題が深く関わっていると思われる。

性差的役割において・・・圧倒的に女性が育児に関わって来た流れから男女を問わずに「女性」に「看護されたい」という志向があると推定されるわけである。

これがシステム設計に考慮されているのであろう。

もちろん・・・何事にも例外はあるので男女を問わず、女性恐怖症の患者も存在するはずである。

だから・・・省略されているが・・・この病院には超優秀な男性看護師も存在するのだろう。

「あなただって・・・看護師長に言いたいことがあるでしょう」

「え」

三人の奥女中・・・大奥ドラマではもう少しコミカルなキャスティングです・・・看護師・明日香・さくら・とし恵にネジを巻かれる朱里だった。

「看護とサービスのバランスの問題とか」

「緊張感のありすぎる職場とか」

「勤務体制の見直しとか」

「はあ・・・」

「それを・・・看護師長にぶつけなさいよ」

「え・・・でも・・・私はまだ仮採用だし」

「だからこそ・・・言えることがあるでしょう」

「・・・」

「私たちの意見を無視すると・・・いろいろと・・・ねえ」

「はい」

仕方なく・・・看護師長に対面する朱里。

しかし・・・看護師長のニュータイプとしての圧倒的な迫力に言葉を失う朱里だった。

そこへやってくる孝太郎。

「どうした・・・」

「そんなに私が気になるの」

「おいおい・・・」

「ま・・・いいわ・・・これからシャアに戦いを挑む私を励ましなさい」

「俺は・・・ミライさんか」

「ブライト艦長で」

「弾幕薄いぞ・・・ガンダムをさっさと出せ」

「アムロ行きまーす」

ガンダム禁止だ。

しかし・・・三倍の速度を持つ看護師長に朱里は太刀打ちできないのだった。

「改善の余地があると思います」

「考えておきます」

「言ってきました」

「簡単にかわされてんじゃねえか」

一方で担当患者である小説家・大江が自分より看護師長に信頼を寄せていることにいろいろな意味で嫉妬する無印ナース・木綿子(高梨臨)である。

雪の舞う屋上で自殺しそうになった大江を先に発見したのは木綿子だったのに・・・助けたのは看護師長なのである。

ロマンチックなゲスト入院患者がいないために・・・惚れやすい朱里は・・・大江に触手を伸ばすのだった。

このキャラクター設定ももう少し・・・説明が必要である。

基本的に動物には発情期が存在するが・・・人間はいろいろな意味でそれを秘匿しているために発情期の存在そのものを語ることが隠匿されているわけである。それを性的興奮と言い換えても良い。とにかく惚れやすいということは発情しやすいということである。すぐに惚れすぎるという意見もあるだろうが・・・さかりのついた雌なんてみんなこんなもんだろう・・・おいっ。

大江に惚れている朱里は・・・木綿子の複雑な感情も・・・すべては「木綿子が大江に惚れているから」と判断するのだった。

「友達の好きな人に手を出すのは問題があるから・・・大江さんのこと諦める」という朱里を・・・。

理性の鎧で超武装した医療おタクの菜々(志田未来)は朱里を「かわいそうな子犬」を見る目で蔑むのだった。

「あんたからは・・・いまだに未発見の人間の性フェロモンが抽出できるかもしれねえな」

「え」

急患として子宮外妊娠した19歳のアイドル・三國麻綾(SUPER☆GiRLS志村理佳=ドラマデビュー)が搬送されてきた。

「痛い・・・ああん・・・いたあい」

「子宮外妊娠だな」

「アイドルなのに」

「一番妊娠しやすい年頃ですから」

「発情期か」

「おいっ」

診断を下した孝太郎は看護師長がベッド数不足を理由に入院を認めなかったことで不満を感じる。

大江とともに外出した看護師長を尾行した朱里と木綿子は看護師長が大江の手を握る現場を目撃して誤解を深める。

「患者との不適切な交際」の噂が広まる中・・・反乱分子の集まる無礼講の席に現れた看護師長は「私は患者様と交際いたしません」宣言をするのだった。

ついに・・・孝太郎は「検査をしないのなら・・・退院してください」と大江に直言する。

これを受けた大江は渋っていた自作の映画化を受諾し、契約金の一億円を・・・最高級セレブ病院 「東王病院」に寄付して・・・病室を買いたいと佐藤センター長 (石黒賢)に申し出る。

「病院は単なる宿泊施設ではない・・・病人でなければ退院するべきだ」と主張する孝太郎。

「看護師長のご意見は」とセンター長は問う。

「治療の意志のない方には退院していただくしかないのかもしれません」

「そうですか・・・」

看護師長に告げられて肩を落す大江。

そして大江は退院することになった。

「これでよかったのですか」と看護師長に問う木綿子。

「あなたは何のために看護師になったのです」と問い返す看護師長。

「・・・」

「たとえ・・・優秀な芸術家であっても・・・深刻な病気と向き合うのが恐ろしいと感じる方はいらっしゃいます」

「え」

「大江様は・・・肺腫瘍の疑いがあります」

「どうして・・・検査もしてないのに・・・」

「指先にしこりがありました」

「肺がん患者の所見ですね」と孝太郎。

「担当看護師の為すべき仕事はなんですか」

「患者様に・・・病気の治療に専念していただくことです」

「それならば・・・役割を果たしなさい」

「はい・・・」

すべては・・・看護師長の目論みなのであった。

木綿子を誘導し、朱里と孝太郎を誘導し、患者を追い込んだのである。

死の待っている院外への扉の前で躊躇する大江・・・。

「大江様・・・検査を受けてください」

「君に・・・何がわかる」

言葉につまった木綿子に・・・ついに主人公が決める時がきた。

「入院患者に病気を治してもらって・・・元気に退院してもらう・・・それが私たちの喜びなのです」

「・・・」

「一生懸命・・・お世話いたしますから」と木綿子。

白衣の天使のダブルパンチに・・・撃破される大江の恐怖心なのである。

こうして・・・東王病院は一億円の寄付金を獲得するのだった。

恐ろしいことに・・・木綿子は・・・本当に大江に気があるらしかった。

東王病院の看護師は・・・発情率高しである。

時と共になんだかんだでなんとなく仲良くなる無印トリオ・・・一方、反逆ナースさくらはオペナースの恵(水野美紀)に接近するのだった。

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2015年1月27日 (火)

愛と青春の旅立たないテーマパーク(長谷川博己)

私はかってあのような悲惨なプロポーズを見たことがない・・・。

そりゃそうだ・・・それは・・・「赤い羽根募金にご協力ください」と告白しているようなものだからな。

「愛は私を救う」って言われてもな。

第一、「愛」がないんだぜ。

でもさ・・・「もしもあなたのため何の得もなくても」・・・言えるのが「愛」なんじゃないのか。

だから・・・「愛」がないんだよ。

「愛」には形がないからな・・・みんなメリットを考えて愛し合うんだよ。

つまり・・・愛なんてないんだな。

そうだ・・・みんな・・・自分を幸せにするために・・・愛を語るのだから。

これって・・・専業主婦を完全に否定しているんだよな。

まあ・・・家事をしなさそうな専業主婦ってことではな。

でもさ・・・「ハセヒロ」が家にいるだけなら・・・いいって言う人はいるんじゃないか。

そうだよな・・・「猫」や「犬」なら・・・いるだけで三食昼寝つきで許されるんだもん。

はたして・・・「高等遊民」という名のペットを飼う気があるかどうかなんだよな。

後は・・・世間体だけだよな。

ヒモだって最初は「愛」で騙すんだからな・・・「愛」はないけど飼ってくれって潔いよな。

仕方のない人ね・・・って気分にさせたら勝ちだよな。

で、『デート〜とはどんなものかしら〜・第2回』(フジテレビ20150126PM9~)脚本・古沢良太、演出・武内英樹を見た。世界観戦争の中には恋愛観戦争や結婚観戦争も含まれる。朝日系のメディアは現在の与党と内戦中であるために・・・物凄い情報戦を繰り広げている。もちろん・・・朝日系寄りのお茶の間にとってはそれが世界観に沿ったものであるのでそれほどの違和感を感じない。しかし・・・「イスラム国」が「日本人を人質にとったこと」が「政府の外交政策」が「イスラム圏」に「反感」をもたらした「結果」であるとか・・・「テロリスト」に「共感」しすぎて「意味不明」になってくると・・・おいおい・・・と思うのである。「人命尊重」と「テロに屈しない」という二律背反の状況の中で難着陸を試みる「人々」の努力を明らかに「土足」で踏みにじっているよねえ・・・。しかし・・・世界観の異なるものが戦争をしているということは・・・そういう理不尽なものなのである。「愛」に包まれた「一夫一婦制度」の「正義」を嘲笑するこのドラマもまた・・・世界観戦争の火種であることは間違いない。

世界観の重要な成分である固定観念は・・・「常識」と呼ばれるものに支配されている。

「愛のある結婚」が前提である不特定多数の人々にとって・・・「愛のない結婚」はすきやきにネギが入っていないくらいに受け入れ難いことなのだった。

「お父さん・・・どうしても・・・愛のない結婚は・・・理解できないな」

父親の藪下俊雄(松重豊)に告げられて藪下依子(杏)の決意は揺らぐ。

しかし・・・反論はするのだった。

「結婚とはお互いが有益な共同生活を送るための契約であるという考え方を私たちは採用しているのだから好きかどうかは問題ではないのよ」

「相手の人は・・・お前のこと好きなんだよな?」

「いいえだって彼の理想の女性像はキャサリンあるいはオードリー・ヘプバーンと原節子とルパン三世の峰不二子と銀河鉄道999のメーテルを足して4で割った人で私はどのタイプにも当てはまらないから」

「そんなんじゃ・・・結婚なんて・・・できるわけないだろ」

「結婚はできます」

部外者だが恋のキューピッドである鷲尾(中島裕翔)は「常識的な判断」を述べる。

「恋愛結婚が全てじゃないとは自分も思います・・・でもデートをして苦痛な相手と暮らしていけるわけないんじゃ・・・」

「そうだよ・・・せめて一緒にいて楽しいと思える相手じゃないと・・・お父さんはお前にそういう人生の伴侶を見つけてほししいんだよ」

「お父さん泣かないでよ確かにお父さんと鷲尾さんの主張にも一理ある苦痛な相手と結婚生活を共にするのは苦難を伴うでしょうでも前回のデートではお互いが自分を より良く見せようと偽っていたことが苦痛の主な原因ではないかと私は分析しているのもしもっと自然体でデートを行えば若干は楽しめる可能性があるはず次の日曜日もう一度谷口さんとデートを行い楽しむということに挑戦してみるその辺の頭の悪い凡庸なカップルたちと同様にデートをして はしゃげばお父さんは満足なんでしょう」

「・・・」

こうして・・・依子は谷口巧(長谷川博己)に二度目のデートを提案するのだった。

巧は母親の留美(風吹ジュン)に寄生先の変更を宣言中である。

「根本的なことを聞くけどあちらは知ってるわけ?・・・あなたが筋金入りのニートだってこと」

「僕の口からは言ってない。ニートじゃなくて高等遊民だけどね」

巧は出版社勤務を詐称していたが・・・いざとなったら友人の島田宗太郎(松尾諭)が勝手にやったことだと言い逃れるつもりだ。

そんな虫のいい話が通るかとどうかは問題ではない・・・なにしろ・・・自分の都合のいいことだけを考えて・・・こうなっている男なのである。

「僕の生き方をちゃんと説明すれば理解してくれる」

「結婚してくれるわけないじゃない・・・わざわざ無職の男と結婚する女がどこにいるのよ」

「女に養ってもらった芸術家はたくさんいるだろ・・・モディリアニとか」

「モディリアニは天才だもの・・・あんたに何があるのよ」

「これだから庶民と話すのは嫌なんだよ!・・・僕のお母さんとは思えないよ」

母子そろってまぎれもなく庶民である。

絵画教室を主宰している母親の方が庶民の上であることは言うまでもない。

巧は客観的には庶民以下の下等生物なのだ。

しかし・・・巧の主観では・・・類まれなる高等貴族としての世界観があるのである。

しかし・・・その世界観を打ち砕く・・・依子からのデートの申し込みである。

「父としては極力一般的な男女と同じような行程を経て結婚してほしいのだと思います結婚を急がなければならない理由もありませんしここはデートを積み重ねながらお互いのことをよく知り合い一緒にいて楽しいと思えるかどうかを確かめてから結婚に踏み切った方がよいのではないかと」

巧は貴族としての新たな領地が危機に瀕していることを悟った。

巧にとって・・・唯一の味方は・・・島田兄妹だけなのだ。

「彼女が・・・普通っぽいこと言いだした・・・それじゃ困る・・・せっかく奇跡的に僕と結婚しようと思ってるのに」

「奇跡的って分かってんだ」と実は立場が不鮮明な島田佳織(国仲涼子)・・・。

島田夫妻ではなく・・・島田兄妹という設定は・・・一応・・・佳織も巧の相手候補の可能性を含んでいるわけだ。

もちろん・・・巧が「こうなってしまった」過去に・・・佳織は関わっている可能性はある。

しかし・・・こうなってしまったことに理由などない場合もある。

それにしても・・・巧・・・この世代にしては・・・「ゲーム」の匂いがあまりしないな。

「素晴らしいインターネットの世界の匂い」もしない。

「絵画」や「音楽」ではなくて「文学」や「映画」という趣味の範囲も特徴的である。

そこにも「こうなってしまった」原因のヒントが含まれている可能性はある。

だが・・・こうなってしまったことに理由などないかもしれないしなあ。

「普通のカップルみたいなデートを繰り返していたらいずれわれに返る・・・全然楽しくないって気付いてしまう・・・そうなったらおしまいだ・・・この機を逃したら僕は永遠に今の生活から抜け出せない・・・どうしたらいいんだ?」

「プロポーズしかないな・・・」

「プロポーズって・・・」

「感動的なプロポーズで女心をがっちり掴め」

「彼女の頭の中は数式と理論で出来上がってるんだ・・・恋愛なんか興味はないしプロポーズごときで感動するような低次元の女じゃない」

「お前は女ってものがまったく分かってない・・・恋愛に興味がない女はいない・・・プロポーズがうれしくない女もいない。最高のプロポーズで深みにはめろ」

「僕にできるかな」

「できるか・・・できないかじゃねえ・・・やるんだよ」

こうして・・・島田兄妹プロデュースによる劇的プロポーズ付・・・「テーマパークでデート大作戦」決行なのである。

その前夜・・・亡き母・小夜子(和久井映見)が依子に意見をする。

「意地になってるわね」

「なんのことかしら」

「好きでもない女と結婚しようなんて男は何かしら 裏にたくらみがあるに決まってるじゃない」

「偏見ね根拠を示してよ統計結果でもあるわけ?」

「あなたは昔からそう自分が導きだした 理論や計算が間違ってるのをなかなか認められないもしあなたが間違いの指摘を素直に受け入れられる性格だったら数学者としてもっと上に行けていたはず」

「しっ」

近親者の死は精神的病理と密接な関係がある・・・依子の特異的な精神構造にもおそらく影響しているだろう・・・母親の死・・・もちろん・・・そこには依子が頑なに否定する・・・「愛」が秘められているのだろう。

「遊園地やテーマパークでのデートについて調べたところ一日中屋外にいて歩き回ることになるため防寒対策と歩きやすさに留意するべきという情報を得た一方でデートである以上おしゃれも欠かしてはならない基本的には防寒と歩きやすさを重視した服装でありながらポイントポイントでおしゃれを施す」というスタイルの依子。

「八甲田山へでも行く気か?」と思う巧だった。

こうして・・・八景島シーパラダイスは二度目のデートの戦場となるのだった。

父親に報告するために楽しいデートのポートレートを定期的に送信する依子。

「デートでは男性が女性に奢る」という固定観念に固執する巧は母親から調達した金銭でなんとか全額支払いをクリアしようとする。

もちろん・・・巧はたちまち人ごみに酔うのだった。

楽しい雰囲気のためにアレンジされた園内アトラクションマップの地図情報のノイズが大きくて解読不能になる依子。

「大の大人が来てホントに楽しいんでしょうか」

「デート・楽しい場所で検索すると高い確率で上位に来ます人々が楽しむために造られた施設なのですから楽しめるはずです」

「老若男女誰もが楽しめなければ娯楽ではない」とウオルト・ディズニーも言っているのであるが・・・巧にとってそこは「地獄絵図」のような場所なのである。

巧にとって自分以外の一般大衆は・・・下品で民度の低そうで人生を浪費している人々らしい。

何様なんだ・・・高等遊民様だ・・・なのである。

しかし・・・最後に「プロポーズ」というイベントを控える巧は・・・耐えがたきを耐えるのだった。

実は・・・目的のために努力している巧はすでに・・・信条に反しているのだ。

「もう少し難易度を下げましょうか・・・映画館とか」

一方・・・巧の心情を考慮して申し出る依子は・・・対人関係において実は改善が見られるのである。

知らず知らずのうちに・・・デートは二人を高めているのだ。

もちろん・・・見方によっては支配的な世界観に迎合していることになります。

「苦難も通り過ぎてしまえば甘美なもの・・・バイ・ゲーテ・・・このテーマパークを楽しむことができたらもう怖いものはありません・・・」

決死の覚悟で臨む巧。

一方、学習について一定の見解を持つ依子はバカップルのエリナ(秋月三佳)とケンヤ(柳喬之)を師匠と仰ぎ、キャッツ・メイクを模倣して難局に挑むのだった。

アトラクションにも果敢に挑戦する依子と巧。

しかし・・・阿鼻叫喚の巧に対し・・・依子は無表情だった。

「谷口さんもう少しお互いについて話しませんか?」

「はい・・・」

「 私の代表的な日常をお話しします朝は通常 6時に起床します軽く運動をして朝食は簡単に済ませスクーターで出勤し仕事は9時から17時45分までですが実際はかなり激務で 残業が多いです夜は23時半には就寝します休日の息抜きは数式を解くことと家電量販店巡りです」

「僕は・・・起きる時間はそこまで早くないけど・・・トレーニングで汗を流して簡単な朝食を取って・・・それからひたすら 本と向き合って・・・・今は漫画にも力を入れてて・・・休みの日は母が自宅で子供たちに美術教室を開いてるんで・・・その手伝いをしたり・・・」

自堕落な日常を包み隠して話す巧だった。

しかし・・・その頃・・・独善を匂わせる善意を秘めて・・・鷲尾は巧の実態を暴くために嘘の勤務先である出版社や巧の自宅を訪ねているのだった。

そんなこととは露知らず・・・プロポーズの時を待ち・・・テーマパークに耐える巧である。

そして・・・夕暮れである。

エリナとケンヤは・・・巧と依子のツーショットを撮影する。

「ありがとうございました本日はお二人のおかげで大変有意義なデートとなりました」

「何かちょっとさみしいね。・・・これも縁だからさ・・・メアド交換しようよ!」

「お断りしますそういう関係ではないので」

「・・・」

プロポーズの刻限は6時半ジャスト。

「楽しめたとは決して言えませんが少なくとも苦痛ではなかったと思います」

「もう少しお時間いいですか?」

「?」

黄昏迫るテーマパークを彩るネオンライト・・・。

「奇麗ですね・・・」

「はい色とりどりのネオンサインは電球の中にネオンガスを封入するとともに別の物質を混入することで可能になりましたヘリウムは黄色アルゴンは青色」

「大事な話があります」

「何でしょう?」

「僕の生き方についてなんですが」

そこへ・・・鷲尾の乱入である。

「谷口さんのことを調べました!」

「私は頼んでませんよ」

「創文堂出版という会社に谷口巧という社員はいなかった!・・・ご近所の人もあなたは働いていないと思うと言ってました!・・・依子さんをだましてたんですか!」

「説明しようとしたところに・・・時間がないのに」

「時間なんかたっぷり あるだろ!・・・まだ6時27分だ!」

「うわあ・・・三分前か・・・そうだよ! 僕は無職だよ・・・藪下さん・・・ぼ僕は無職なんです。出版社にいたことはないんです・・・だから仕事はしてないんです・・・ずっと生まれてこの方・・・僕は高等遊民なんだ・・・明治から昭和初期にかけて高等教育を受けながらも職に就かず読書などをして過ごす人のことで漱石の『それから』の長井代助や『こころ』における 先生などがその代表例・・・収入はありません。衣食住は実家にいるので困らない。ほとんど外出もしないので遊興費も掛からない。金が必要なときは母に出してもらっている」

「それって・・・ニート・・・!」

「高等遊民だ」

「あらためて聞きますが健康なんですよね?」

「健康です」

「病気や障害があるわけでは」

「ありません」

「それでも働かないんですか?」

「働かないんです」

「将来の夢があるんですね?」

「ありません。家で読書や映画・音楽鑑賞をして教養を深めています」

「つまり自ら進んで高等遊民という生き方を選択しているということですか?」

「さすが藪下さん。そのとおりです」

「依子さん!・・・こいつ予想以上の危ないやつですよ」

「お前は関係ないんだから黙ってろよ!」

ミュージック・スタートである。

島田兄妹とダンサーズが登場し・・・ミュージカル風のプロポーズタイムがスタートするのだった。

BGMは「大スキ!/広末涼子」・・・。

「藪下さん・・・時間がないんで聞いててください・・・嘘を書いてしまったことは悪かったと思っています・・・あれは友達が勝手に書いて出しちゃったものなんです・・・ただ・・・すぐに訂正しなかったことは謝ります・・・でも・・・高等遊民というのは高尚な生き方なんです。藪下さんなら 僕の生き方をちゃんと理解してくれると思うんです・・・僕の生活は母が自宅で開いている美術教室のわずかな収入から成り立っています・・・家や土地はもう抵当に入っていて僕が将来相続できる資産はゼロに等しい・・・つまり母にもしものことがあったらその時点で僕の生活は破綻を迎えてしまう・・・そして母は原因不明の体調不良で・・・もうそのカウントダウンは始まっているんです・・・僕はどうしたらいいのか途方に暮れました・・・母に代わって寄生する相手を手に入れるしかない。それは妻という存在であろうと・・・藪下さん僕はあなたの資料を見たときビビっときた。この人だって思った。結婚後も働くことを望んでいて国家公務員だから福利厚生も しっかりしてるしリストラも倒産もない。給料も安定してる。・・・寄生するならもうこの人しかいないと思ったんだ!」

絶句する・・・鷲尾。

「藪下さん・・・僕と結婚してください」

「つまり谷口さんは今私に求婚されているということですね?」

「藪下さん・・・お願いです。僕と結婚して僕を養ってください。お願いします」

「お断りしますあなたの考え方は根本的に間違っています社会のシステムからすればエラーです直ちに修正しなければならないのにあなたにはその意思すらない人生は目標に向かって努力することに価値があるはずですでもあなたにはそのような向上心もない進んで人生の敗北者になっていますあなたは自分本位の価値観の中でのみ生きていて社会の一員であるという概念がない人はすべからく社会に貢献するべきです私が結婚を望むのは父に親孝行したいという動機もありますがあなたにはそれもないそれどころか病気のお母さまをさっさと見捨てようとしている私はあなたを軽蔑します」

「軽蔑してもいいです・・・それと結婚は無関係だ・・・結婚は契約だから軽蔑してても契約ぐらい結べるはず」

「あなたには契約を結ぶ資格がありません本日をもって交際は終わりです」

仕方なく口を挟む島田兄妹。

「そんな言い方ないんじゃないかな?・・・こいつなりに一生懸命」

「お母さんのことも一番心配してたのは・・・巧君で」

だが鷲尾も反論する。

「だったら・・・ニートをやめて働けばいいじゃないか」

「ですね」

「です」

巧の世界観は孤立無援で風前の灯である。

「そのとおりだよ。君たちの言ってることは何もかも正論だよ。僕は確かに負け犬で駄目人間・・・かもしれない。でも・・・負け犬で何がいけないっていうんだ?・・・社会に貢献しなくたって親孝行しなくたって別にいいじゃないか・・・僕に言わせれば君たちこそ現代の貧相な価値観に凝り固まった哀れな人種だよ。人間にはいろんな生き方があったっていいんだ。明治から昭和初期にかけて・・・働かずに教養を磨く高等遊民という生き方が認められていたんだよ・・・かって女性が結婚して家庭に入ることを永久就職と言った・・・永久就職が決まった女性はみんな祝福して送り出しただろ・・・女には外で働かないという選択肢が立派に与えられてる・・・なんで男には与えられないんだ。男が永久就職したっていいじゃないか。 妻が外で働き夫が専業主夫となって家庭を守る・・・そういう形態の夫婦はたくさんいるぞ」

「妻を支えるために家庭を守るのと初めから寄生するために結婚するのとは根本的に違うだろ!」

「どう違うんだよ・・・説明しろよ・・・汗水垂らして働いて金を稼ぐことも確かに立派だろう。だがな金儲けをせず・・・世俗を離れて生きることもまた尊いはずだ・・・人の生き方にエラーなんてものはないんだ・・・幸せは人の基準で決めるもんじゃないんだ・・・君たちが善だの正義だのと言ってることは世間がつくった倫理観の受け売りにすぎない・・・・善とは家畜の群れのような人間と去就を同じうする道にすぎない・・・バイ・森 鴎外・・・反論があるなら言ってみろ」

「指輪はどうやって購入したんですか?」

「母に出してもらったんだ」

「お母様に婚約指輪を買ってもらって恥ずかしくないんですか?」

「恥ずかしくない!」

「お昼のお店でもう払っておきましたみたいなカッコイイ感じで支払ったのも全部お母さまのお金なんでしょ」

「そうだ」

「やっぱり半額支払います4280円の半分で2140円本日はありがとうございました」

解散する一同・・・。

しかし・・・巧は依子に縋り付く。

「さっきは感情的になってしまいました・・・もう一度、日を改めて冷静に話し合うっていうのは・・・」

「もう十分だと思います」

「僕は結婚できなかったら死んじゃうんだよ」

「死んじゃえばいいと思います」

「君だって結婚したいでしょ」

「あなた以外と」

「僕なら君の仕事を全力で応援する・・・家事や育児は任してくれ・・・家庭はがっちりと守る・・・毎月ほんの少しの小遣いをもらえればそれでいい・・・ほんの少しだ。酒はあまり飲めないしギャンブルもやらない・・・キャバクラも行かないしそもそも外を出歩かない・・・本当に金が掛からないんだ・・・月に1回の散髪と本とDVDが買えればそれでいい・・・あと・・・たまにフィギュアも」

バイクにまたがる依子・・・。

「発進します」

「お願いだ・・・お願いだ・・・僕を助けて・・・助けてよ」

「人間は色々な生き方があっていいあなたの言うとおりかもしれませんあなたの生き方を認めてくれる女性もきっといるでしょうでも私には無理です」

「なぜ・・・」

「父がまた泣くから」

依子は去った。

島田兄妹は・・・巧を慰めた。

「死にたい」

「死ぬほどのことじゃないよ」

「あんな無残なプロポーズは初めて見たけどな」

「携帯で撮ってる人いたね」

「動画サイトにアップされるかもな」

「・・・死にたい」

「ロミオとジュリエット」ならまだまだ助走・・・「シンデレラ」なら・・・灰をかぶっているのはどっちだ・・・。

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2015年1月26日 (月)

死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし(伊勢谷友介)

文政十三年(1830年)八月生まれの吉田松陰は嘉永七年(1854年)三月には数えで二十五歳、満23歳である。

この時点で松陰の思想がどの程度、完成していたのかは定かではない。

知的天才という側面で考えれば・・・すでに「死に至る道程の中で自分の果たす役割」を認知していたと考えることもできるし・・・「若さゆえの過ち」を示していたと考えることもできる。

吉田松陰の「世界観」は基本的に観念的であったと言える。

教養人として儒教への造詣を深めた松陰は・・・同時に流入する新知識に恐怖を感じたらしい。

歴史を紐解けば「徳川幕府」による「幕藩体制」が「天下」の一つの形式に過ぎないことは松陰の「理」となっている。

幕府と藩という二重の支配が定めた身分が仮初のものであることを知った松陰はその先にある「天朝」への傾斜を深めて行く。

松陰は「忠」の対象として「天皇」を求め・・・それゆえの「日の本」という国家に至る。

欧米列国のアジア侵略が進捗する時代を感じた松陰は・・・驚くべき想像力で・・・「回天」を志向するのである。

すべては・・・自分が特別な存在であるという思いこみ。

特別な存在であることは「日の本」の「天皇」を守護するべく一命を投げうつ覚悟があるゆえである。

この激烈な意志に動かされ・・・松陰の密航失敗からわずか14年後には・・・大日本帝国が誕生してしまうのである。

恐ろしいことだが・・・この結果があるゆえに・・・吉田松陰は・・・神になってしまうのだった。

で、『花燃ゆ・第4回』(NHK総合20140125PM8~)脚本・宮村優子、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに主人公のお父さん・杉百合之助描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。吉田松陰の密航失敗から捕縛までの流れを丁寧に描いているので・・・本当に・・・主人公は子役でいいですよねえ。身分は低いが教養人の父親が・・・「国禁」とは何かとか・・・「国禁を犯す」とは何かとかを訊ねてくる好奇心の強い娘に教え諭す・・・という展開の方がわかりやすかった。アホな息子をもってしまったために凡庸な身でありながら・・・切腹も覚悟する下級武士の辛さを描いた場合・・・まあ・・・あまりにもある事象とリンクしすぎなのかもしれません・・・予告編がなかったのは・・・なんか・・・もっとすごいリンクがあって・・・急遽再編集だったのでは・・・と邪推します。なにしろ・・・あれは火曜日の話でしたからな。

Hanam004嘉永七年四月、京の御所で出火があり、全焼。市街地にも飛び火し大火となる。幕府は下田・函館の開港を布告する。七月、日の丸が公式に商船旗(日本総船印)となる。米国で米兵とインディアンの激突が発生しナバホ戦争。アパッチ戦争など明治維新後も続くインディアン戦争の幕開けとなる。英仏軍はロシアのカムチャッカを急襲する。英国スターリング艦隊が長崎に入港。八月、日英和親条約締結。ロシア黒海艦隊が立て籠もるセヴァストポリを英仏トルコ連合軍が攻撃開始。戦いは一年続き死傷者二十万人。ナイチンゲールが従軍看護婦となる。十一月、安政東海地震、安政南海地震、豊予海峡地震が相次いで発生。黒船来航、内裏炎上、地震と異常事態が続いたために嘉永七年十一月二十七日、安政に改元。しかし・・・安政二年には江戸大地震が発生することになる。江戸幕府が吉田松陰の身柄を長州藩に移し、藩命により吉田松陰は萩城東方の野山獄(武士用の牢獄)に収監される。

須佐のたたらの里は隠れ里である。入り組んだ入り江から高山への傾斜の中に洞窟があり・・・そこにはスサのミコトが祀られている。

杉一族や児玉一族はスサのミコトを信奉するタタラ忍びであった。

もちろん、上古の時代には鉄器をヤマトにもたらした一族である。魏志倭人伝に「イ」と伝えられる日本海沿岸王国・・・半島南岸と九州、長州の北岸を囲む海洋王国の末裔でもある。

忍びの源流はここから・・・出雲の忍者、大和の忍者、山城の忍者を経て、伊賀・甲賀・飛騨・甲斐・風魔と全国に伝播していくのである。

その一族に二人の異端児が生まれた。

一人は未来予知力に優れた吉田寅次郎・・・そして他心通の才能を持つ杉文である。

杉一族と児玉一族の血の配合がついに・・・先祖帰りの異能力者を生みだしたのである。

凡庸な父と母は・・・息子と娘の異才に驚愕した。

タタラ忍びの上忍である毛利敬親は報告を受け・・・好機の到来を感じる。

関ヶ原以来の宿願である倒幕の機運を感じたのである。

しかし・・・寅次郎と文の才能は・・・敬親の期待とは異なる方向に開花していくのだった。

未来を知る男・・・寅次郎は・・・すでに確定された己の死を感じている。

文は母親の顔色を読んだ。

察相は・・・文にとって児戯に等しい。

「なぜ・・・隠していたのです」

母は文を詰る。

「兄上が・・・告げてはならぬと申すけえ」

「せわない・・・」

「いかがした」

「寅次郎が・・・幕府に囚われたそうでございます」

「そうか・・・」

「明日を知るものが・・・どうしてかような憂き目に・・・」

「仕方あるまい・・・寅にとって・・・幕府に囚われることは・・・すでに決まっておったことなのじゃ」

「・・・」

「兄上は・・・じきに萩に戻るけ・・・まっちょけえと・・・」

「無事に戻ってくるのですか」

「寅がそう言うなら・・・そうなるのじゃ・・・すべては決まっておるのじゃけ・・・」

「難儀なことです・・・」

文は・・・兄が野山の獄につながれることは・・・伏せた。

兄がそう心に囁いたからである。

江戸の小伝馬町の牢獄にいる寅次郎と・・・萩の城下の文の心は今・・・通じ合っている。

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2015年1月25日 (日)

バカはバカは気高く咲いてバカはバカは美しく散る(広瀬すず)

革命の嵐が吹き荒れる2015年。

人命尊重の我が国では人の命を換金してはいけないことになっている。

しかし、地獄の沙汰も金次第なのである。

革命というものはきれいごとではすまないのである。

今年の大河ドラマは幕末で・・・明治維新の物語である。

革命にも様々な定義があるが・・・広い意味では倒幕から王政復古の激動は革命の名に値する。

そこには流血がつきものなのだ。

そして人命は失われるべくして失われるのである。

薔薇の運命に生まれたものが断頭台の露と消えるのもまた革命である。

高校生活という基本三年間で学園に革命の嵐を吹かせるのはなかなかに難事業だが・・・。

少なくとも・・・風は吹いている気がする。

なにしろ・・・主人公が抜群の可愛さですからああああああああっ。

で、『学校のカイダン・第3回』(日本テレビ20150124PM9~)脚本・吉田智子、演出・鈴木勇馬を見た。草叢に名も知れず咲く一般生徒ならただなんとなく生きていればいいけれど生徒会長ともなれば薔薇の運命を受け入れて激しく生きなければならないのである。そうなると・・・明蘭学園の女王である麻生南(石橋杏奈)もまた「パンがなければケーキを食べればいいのよ」的なことを言ってほしいよね。王様なのかオスカルなのかは不明だが・・・女王の首を狙う生徒会長・ツバメ(広瀬すず)が・・・夏樹(間宮祥太朗)をお慕いしているわけである。石橋杏奈はキッドのブログでも永遠の美少女枠だが・・・広瀬すずと多重人格人気投票をするとさすがに旗色が悪いのだった。悲しいかな・・・アイドルと畳は新しい方がいいのである。・・・本音すぎるだろう・・・。とにかく・・・広瀬すずの今を堪能するしかないドラマだからな。

生徒会室のテーブルに集いし革命戦士となった生徒会役員たち。

「学校を変えよう」の議題で・・・ツバメの発言を待つが・・・。

もちろん・・・ツバメに名案などないのだった。

「まあ・・・みんなで意見を出し合おう」と油森(須賀健太)がフォローする。

「みんなの意見を聞くために目安箱を作ったらどうかしら」と玉子(清水くるみ)・・・。

全員賛成で漫画家志望の治(柾木玲弥)はピンクの目安箱を作成するのだった。

「いいでしょう」と車椅子の怪人の館で自慢するツバメ。

彗(神木隆之介)は「お前たちの設置した目安箱なんかに投稿する奴がいるはずはない・・・なぜなら・・・お前たちは神に逆らったアリだぞ・・・そんなものに関わったらろくなことにならないと・・・みんなわかってるからな」

「そんな・・・」

「予言しよう・・・やつらは・・・生徒会をつぶしにくる」

「えええええ」

やつら・・・学園を牛耳るプラチナ8は・・・運動部を使って生徒会室を襲撃してくるのだった。

プラチナ8のリーダー格である夏樹はバスケットボール部を仕切っている。

「お前たちが職務怠慢で・・・予算が執行されなくてみんな迷惑している・・・とにかく・・・部室が不足しているので・・・生徒会室を使わせてもらう・・・」

たちまち・・・剣道部や卓球部が生徒会室を占拠してしまうのだった。

追い出された生徒会役員は・・・北風が吹く校舎裏で会議である。

「みんなひどい・・・」

「でも・・・卓球部たちもかわいそうなんだ・・・」

「どこがよ」

「この学校ではバスケットボール部や・・・乗馬部など人気のある部と・・・卓球部や剣道部など人気のない部に分れている」

「人気って・・・」

「結局・・・生徒を入学させる餌としてのクラブ活動を・・・学校経営者が望んでいるんだ」

「変なの・・・」

「だから・・・人気のない部の肩身はせまいんだ・・・結局、人気のある部のお情けで細々と活動しているんだよ・・・」

「なんだかなあ・・・」

ツバメはクラスメートで卓球部員の草介(奥村秀人)に真意を問う。

「そんなんで・・・いいの」

「この学校は・・・特に強い競技がないから・・・結局、かっこいい人たちの部が人気なのさ・・・俺たちもてない奴は・・・何したってだめなのさ」

「えええ・・・運動部の存在意義が・・・」

「しょうがないよ・・・草介は・・・」

草介はバスケットボール部のエース・タクト(白洲迅)のとりまきの一人、リコ(高嶋菜七)に恋をしているのだった。

「タクトくんがうらやましいよ」

「もてる人はいいよねえ」

「もてたいよねえ」

「なんじゃそりゃあああああ」と呆れるツバメだった。

「女の子にもてたいからするもんなの・・・スポーツって」と怪人に愚痴るツバメ。

「あたりまえじゃないか・・・青春の原動力だろう・・・お前だってモテモテになりたいだろうが」

「・・・」

「とにかく・・・まず・・・生徒会室から・・・目安箱を回収してこい」

「え・・・なんで」

「小さな目安箱一つをとりかえせないようじゃ・・・部室をとりかえすなんて無理だろう」

夜の生徒会室に忍びこむツバメ・・・しかし・・・目安箱には一枚の紙片が投稿されていた。

≪本気で部活がやりたい≫

誰かの声なき声が・・・ツバメに届いたのだった。

(一体・・・投稿したのは誰なのか)

ツバメはそれが知りたかった。

すると・・・怪人は・・・早朝の体育館の視察をツバメに命じる。

早朝の体育館には卓球部や剣道部がいて早朝練習をしている。

バスケ部の補欠である油森もいた。

「油森くん・・・」

「僕たちは・・・朝練するしかないんだ」

「もてる人たちは・・・」

「彼らは朝まで練習しないよ・・・」

「強い部がないのが一目瞭然ね」

「バスケ部のタクトくんなんか・・・中学の時は全国レベルだったんだけどね」

「ええ・・・それなのに・・・」

「一生懸命やるのは・・・かっこ悪いから・・・」

「恰好悪いのか・・・」

ツバメはタクトを尾行してみるのだった。

タクトは親の命令で塾に通っていた。

スポーツ選手にならないのならスポーツなんか・・・将来の役に立たないという教育方針だったのである。

思わずタクトに意見するツバメ。

「親に言われたから・・・ですか」

「自分で決めたんだよ」

「・・・」

「余計なお世話なんだよ」

翌日・・・プラチナ8は・・・弱小クラブをつぶすために・・・女子生徒の下着が生徒会室から発見されるというスキャンダルをでっちあげるのだった。

「どうしよう・・・私が余計なこと言ったから・・・」

「いいや・・・これこそ・・・チャンスだよ」

怪人はツバメに暴力のシンボルとしての剣を示すのだった。

「決闘を申し込むんだ」

「決闘・・・」

「生徒会役員が・・・生徒のために戦うところを見せてやれ」

「武器は・・・この剣・・・」

「馬鹿だな・・・スポーツだよ・・・バスケットボール同好会を発足するんだ」

「えええええ」

「そして・・・バスケ部に勝負を挑むんだ」

「勝てません」

「いいか・・・勝負はやってみなくちゃわからないのさ」

学園のキング・夏樹はツバメの挑発にのり・・・同好会が一点でも取れたら・・・廃部のとりけし・弱小部の解放・生徒会室の返還・・・そうでなければ役員会全員剃髪の試合に応じる。

こうして・・・バスケ部VS同好会の試合が開始される。

前半・・・試合は一方的に進み・・・同好会は無得点。

ハーフタイム・・・ツバメはカバのコスチュームを身に着ける。

祖父の徳次郎(泉谷しげる)は「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」とアドバイスしてくれたのだ。

「一生懸命やって負けたら恰好悪いですか・・・負けるのが嫌なので戦わないのですか・・・予防線を張ることだけに一生懸命ですか・・・それって恰好悪くないですか・・・今、汗を流しても・・・一銭にもならないかもしれません。でも・・・この貴重な一時こそが・・・宝物じゃないんですか。バカになりましょう。私と一緒にバカをやってください」

「・・・」

「私は・・・夏樹さんが好きでした・・・うざがられても・・・あきらめることができなかった・・・生徒会長になって・・・はじめて・・・本当に相手にされていないと思い知るまで・・・でも・・・それでよかった・・・バカだから好きになって・・・バカだから嫌われて・・・それが私の青春だもの・・・バカはバカなりにガチ100パーセント上等じゃん・・・青春なんて恰好悪くてなんぼのものじゃあないですか」

同志たちは・・・バカのユニホームに身を包むのだった。

しかし・・・基本文化系メンバーである。

だが・・・ツバメが「チェンジ」と叫んだ時。

弱小運動部が手を挙げるのだった。

試合終了間際・・・卓球部の草介のロングシュート。

アナタは私のほんのイチブしか知らない

勝ち誇るように笑われてもそれほどイヤじゃないよ

ゴール・・・。

元気が出る得点だった。

逆転勝利。

弱小部は廃部を免れ・・・生徒会役員は生徒会室を取り戻した。

そして・・・革命勢力は少し支持層を広げたのだった。

「あの生徒・・・誰かに似ているわね」と誉田蜜子理事長(浅野温子)・・・。

広瀬アリスですか・・・」と金時教頭(生瀬勝久)・・・。

「ああ・・・ゾンビとりがゾンビになるという」と2年1組担任の壷井先生(金子ノブアキ)・・・。

「何の話ですか!」とスクールカウンセラーすみれ(野波麻帆)・・・。

怪人の館にて・・・。

「結局・・・投書したのは・・・誰だったのかしら」

「馬鹿だなあ・・・俺が書いたんだよ」

ライアーゲーム ですか!」

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2015年1月24日 (土)

博士の愛情の異常~怪奇恋愛作戦(麻生久美子)

Eテレの濃い番組「岩井俊二のMOVIEラボ」は「ラブストーリー」篇で花(鈴木杏)とアリス(蒼井優)がゲストで登場である。

同窓会かっ。

「私・・・ラブ・ストーリーっていうか・・・他人の恋愛に興味がないので・・・ロッキーっすかね」(蒼井優)

「エイドリアンか」

「私は・・・レオンですかね・・・ナタリー・ポートマンが色っぽいから」(鈴木杏)

「12歳の頃なら君にもできたよねえ」

その後、行定勲監督登場。

「Love Letterは酒井美紀の相手役が大人になった時のキャスティングいらないってずっと言いました」

「・・・」

「ラブストーリーの原点は機動戦士ガンダムだと思う」(岩井)

「すべてのおじさんは乙女です」(蒼井優)

深夜にものすごく恥ずかしい展開が密かに繰り広げられている我が国。

素敵だな。もう一人のパネラーはエレキテルの元ネタだと毎回思う。

で、『・第1回~』(テレビ東京201501100012~)脚本・演出・ケラリーノ・サンドロヴィッチを見た。ホラーでラブなオペレーションである。どうせなら・・・怪奇恋愛大作戦にしてもらいたかった。どうして?・・・なんとなく清々しい。よくわからんな。大が好きなんだよ。・・・真面目に書く気ないんだな。犬も好きだ。・・・もう、いいか。

主人公・消崎夏美(麻生久美子)はカフェのオーナーになるのが夢で貯金で物件を購入したが・・・詐偽に遭い、恋人にも逃げられすべてを失う。物件は見ず知らずの女(犬山イヌ子)が「喫茶面影」を営業する店舗だった。

夏美の友人・揺木秋子(坂井真紀)はどんまい先生である。

夏美と秋子の友人・華本冬(緒川たまき)は自称女優のOLだったが欠勤が多過ぎるので解雇され謎の物体を意中の人である黴田(水澤紳吾)に贈ろうとして冷たく拒絶される。

この美しいがアラフォーのトリオは飲んでくだをまくのだった。

男なんて 男なんて 男なんて ポイポイ・・・である。

ピンタラポンタラ ピンタラポンタラ・・・である。

気持ちは分かるが意味不明だ。

そうした事情を物語るのは謎の女(池谷のぶえ)である。

一方・・・街では怪事件が発生し・・・刑事の三階堂(仲村トオル)と悲別(大倉孝二)が捜査を開始していた。

三階堂は夏美の幼馴染で冷蔵庫で靴下を冷やす男。

喫茶面影の看板娘・萌香(今野鮎莉)と交際中である。

刑事たちが捜査するのは宝石店襲撃事件。店主は船長(原金太郎)だ。

しかし、犯人は死刑執行された男(赤堀雅秋)だった。

かもめんたるな二人の巡査が発砲するが・・・犯人は平気だった。

情報屋(マギー)によれば「フランケンシュタインのモンスターに関係がある」事件なのだが。

三階堂は「フランケンシュタインのモンスター」を知らなかった。

赤堀雅秋と言えば「週刊真木よう子」の名作「中野の友人」の脚本家である。

馬鹿馬鹿しいドラマだがモンスターは哀愁漂わせるのだった。

妖しい洋館に住む怪人・廻博士(小澤征悦)は脳の移植手術の権威だった。

死刑囚の身体に・・・別の男の脳を移植したのだった。

廻博士はモンスターに喫茶面影の看板娘・萌香の誘拐を命じる。

性格のいい女(星野園美)の脳を萌香の身体に移植し・・・理想のお嫁さんを作るつもりなのだ。

しかし・・・モンスターは間違って夏美を誘拐してしまうのだった。

囚われの身となった夏美は電話で「(助けに)きて~」と叫ぶのだが・・・友人たちはエロい誤解をするだけだった。

やがて・・・夏美は・・・モンスターが冬の関係者だと気がつく。

モンスターの脳の持ち主は多くの記憶を失っていたが・・・冬のストーカーだった。

モンスターの記憶に蘇る女子高生だった冬(本人)・・・恐ろしい美貌だな。

一方・・・廻博士は自分で萌香を拉致するために喫茶面影に現れ・・・三階堂と対決する。

一度は逃がすがついに・・・洋館を突きとめる三階堂。

やってきた三階堂に「おそい~」と抱きつく夏美だった。

二人は・・・実は相思相愛らしい。

やがて・・・モンスターたちを巻き込んだ大乱闘が発生。

ついに・・・モンスターと博士は相撃ちとなる。

ゴゴゴ・・・と崩れ落ちる洋館。

「お約束だ」

「お約束なのね・・・」

すべては夢の彼方に消えて行く。

モンスターの冬への思いもはかなく失せるのだった。

何一つ報われることのない愛である。

とにかく・・・なんだかんだ話は続いて行くらしい。

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デッドリー・フレンド

泣くな、はらちゃん

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2015年1月23日 (金)

世界観戦争勃発中、超絶消化学の怠惰渇望欺瞞絶望と殺人美談、アホの火の旗を掲げよ(真木よう子)

世の中というものは清濁が入り混じり、循環しているものである。

人は皆、荒波に漂うサーファーなのだ。

サーフィン・ボードを小脇に抱え、砂浜をウロチョロしている分には波はそれほど恐ろしいものではない。

しかし、時には津波、大津波が押し寄せてくる。

そこそこの波の上で波に乗れる人さえ・・・それほど多くない。

なんとか、波に乗っている人は・・・波間に沈む人につぶやく。

「緩やかな男尊女卑くらい我慢しろ」と・・・。

「イスラム国が男を殺したり、女を奴隷にしたり、少年を兵士にしたり、少女を人間爆弾にしたりしても・・・それは遠い世界の彼方のこと・・・何が何でも人質の命は大切だ」と・・・。

「黙って働け、黙って人に尽くせ、黙って子供を育てろ、黙ってこの世を愛せ」と・・・。

「ゴルゴ13は殺し屋ではなくて狙撃手です」と・・・。

「結局、殺すけどな・・・」と・・・。

「大人げないこというなよ・・・みんな折り合いつけてなんとかやってんだよ」と・・・。

「(前略)命を助けてください(後略)」と・・・。

しかし・・・巨大津波は達者なサーファーさえ飲みこんでいくのである。

あああああああああああああああああああああ。

で、『問題のあるレストラン・第2回』(フジテレビ20150122PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。喧嘩上等というドラマである。女たちは理不尽な仕打ちを受けて叛旗を翻すのだ。もちろん・・・理不尽さというものには個人差がある。何が「理」かという尺度に個人差があるからだ。妻を愛し、夫を愛し、親を愛し、子供を愛している一家に武装した無法者が現れて、夫を殺し、妻を犯し、子供たちを攫って行く・・・それを理不尽と思う人もあれば・・・原理であると思う人もいるのが現実だ。たとえば相当な予算をかけて過去の歴史を描くドラマが・・・人に優しい戦国時代を描いていれば・・・「今、シリア周辺は戦国時代に突入しています」と言ってもお茶の間にはピンと来ない。今、そこでは聖なる武将マホメットを理想とした群雄が割拠し、恐るべき下剋上を繰り広げているのである。無政府状態が生み出した軍事的空白地帯で・・・「暴力こそが正義」の風が吹きまくっているのだ。男が女に理想を求め、女が男に理想を求める先進国の夢想は今・・・破られようとしている。「女が男を殺そうとするなら女が男を殺すしかない」と決意した主人公。「まあまあ・・・そこまで憤怒しなくても」と宥める人々は・・・「敵」なのである。「サービス」で戦うならいいけどね。男側は陰湿な嫌がらせをしてくるよね。そうしたら最後は放火するしかないよね。でも「火(feu)」じゃなくて「アホ(fou)」を放つんだよね・・・きっと。「理不尽」には「アホらしい」と言うしかない時があるからね。

時代錯誤とも・・・現実直視とも言える男尊女卑の企業「ライクダイニングサービス」の女性社員に対する差別待遇に激怒した田中たま子(真木よう子)は「ライクダイニングサービス」の直営店ビストロ「シンフォニック表参道」をぶっつぶすために・・・近隣のビルの屋上にライバル店を出店することを決意する。

そのために・・・女装好きのゲイのパティシエ・几(おしまずき)ハイジ(安田顕)を含める無職の女たちに共闘を呼び掛ける。

しかし・・・残ったのはハイジと「ライクダイニングサービス」の社長・雨木太郎(杉本哲太)の娘で対人恐怖症によるコミュニケーション障害のある天才シェフ・雨木千佳(松岡茉優)だった。

「あまちゃん」の駅長と・・・「あまちゃん」のリーダーが父と娘でこれ以上なく殺伐としています。

それでも・・・たま子の「復讐の炎」は消えることなく燃えあがる。

自己資金はたま子の退職金。廃墟とした屋上の改装に着手すると同時に・・・条例により定められている食品衛生責任者養成講習を受講して食品衛生責任者の資格を獲得するのだった。

一方、「ライクダイニングサービス」の社風と折り合えず、「愚民ども」に見切りをつけて退社した東大出身の秀才・新田結実(二階堂ふみ)は自己評価と評価に落差があるために再就職先が決まらず・・・結局、臨時のゼネラルプロデューサーとして志願するのだった。

「ゼネラルプロデューサー・・・釘とって」とハイジ。

「はい・・・」

「それじゃなくて・・・もっと長い奴」

「はい・・・」

「ゼネラルプロデューサー・・・板あげて」

「はい・・・」

下っ端としてキッチンの天井作りをするゼネラルプロデューサー。

「まっしろ」にはない・・・。

二階堂ふみ、かわいいよ二階堂ふみがここにはあります。

一方、男尊女卑の世界で賢く生きて行く「順応する狐」としての「ライクダイニングサービス」の社員で「シンフォニック表参道」のウエイトレス・川奈藍里(高畑充希)は上司にたま子の動向をご注進。

早速、嫌がらせにやってくるセクハラ部長・土田(吹越満)、窓際痴漢・西脇(田山涼成)、傲慢なシェフ・門司(東出昌大)・・・。

「なにしてんの」とセクハラ部長。

「ビストロの開店準備です」

「メイドカフェにすればいいのに」

「おばさんカフェになっちゃいますよう」と窓際ハゲ。

「なんだ・・・俺に怒ってんの」とゴーマン門司。

「なんで・・・」

「三十過ぎた女に手を出したら一回寝ただけで恋人気どりになるから気をつけろと姉ちゃんが言ってた」

「寝てません・・・」

「寝たかったくせに・・・」

「どいてください」

「龍馬伝」の龍馬の恋人・お龍と「花燃ゆ」の龍馬の盟友・久坂玄瑞が激突である。

「ごちそうさん」的兄妹近親相姦な・・・現在の傲慢シェフの恋人きどりの藍里はふと不安を感じる。

「門司さんにとって恋愛って何ですか」

「独占欲のある性欲だろう」

「え」

傲慢シェフ門司はつまり・・・女の惚れた弱みに付け込む性悪ホストの人格を持つ一般人です。乙女の皆さん、基本、イケメンはそういう側面を持っています。ご注意ください。

それでも・・・そういう男に尽くしてこそ女という人は多いですよね~。

「○○妻」は才能があると思っている男(脚本家自身を含む)の理想の女ですし~。

だからといって男性アイドル文化を否定するつもりはありません。

芸の道は所詮、邪道ですからな。

一方、内装仕事が終わった頃を見計らい登場するソムリエ・烏森奈々美(YOU)・・・。

「ユーはなにしに屋上へ・・・」

「まあ・・・ワインでもいかが」

「売上原価率30%。人件費対売上高比率35%。諸経費対売上高比率25%。開業資金返済費10%として・・・ひと月に売り上げが222万円必要です。このお店、開店して88日目に潰れますね」と電卓を叩く東大卒才女(差別用語)・・・。

そして・・・アートとしてのガストロノミーを披露する天才ひきこもりシェフ・千佳。

「芸術ですか・・・」

「怠惰、渇望、欺瞞、そして絶望を示すアントレ、スープ、ポワソン、ヴィアンド・・・」

「この肉料理・・・砂の中に虫があああああああああ」

「これって・・・二億ドルくらいのものかしら・・・」

「ビストロですから・・・美術館じゃないですから」

ビストロは高級レストラン(オートキュイジーヌ)に対峙する概念としての大衆的な食堂である。

しかし・・・フランス料理を出す以上、ターゲットは貧困層にはできない。

良質な料理とサービスを求める富裕層でなければならない。

たま子の復讐は「男女差別」に捧げられるもので「貧富の差」には頓着しないと予想する。

「ライクダイニングサービス」および「シンフォニック表参道」をぎゃふんと言わせればいいのである。

はたして・・・正攻法でそれができるのか・・・いろいろな意味で楽しみだ。

ちなみに天才女シェフの料理は・・・怠惰(マネージャー)、渇望(たま子)、欺瞞(ゲイ)、絶望(シェフ)を表現していると推定される。

もちろん、自己表現として怠惰(読書)、渇望(殺意)、欺瞞(折り合い)、絶望(衝動)を示しているという解釈も可能だ。

なにしろ・・・アートなんだから・・・。

さて・・・たま子店長、秀才マネージャー、ゲイのパティシェ、お気楽ソムリエ、ひきこもり芸術家シェフで五人。

七人の侍であるためには・・・あと二人である。

六人目にたま子が目をつけているのが・・・。

セクハラ犠牲者のシンボル・藤村五月(菊池亜希子)と同じくたま子の高校時代の同級生・森村鏡子(臼田あさ美)である。

専業主婦だった鏡子は愛人を家に引き込んだ夫の森村真三(丸山智己)によって家を追われ、息子の幼い洋武(庵原匠悟)と二人暮らし。

「一緒にやらないか」と誘われても「私なんかには無理」と断る。

「そんなことないよ」

「上の人から言われても困る」

「え」

支配的な夫・真三によって箱入り娘だった鏡子は家畜として飼育され・・・ダメな人間として洗脳され・・・とにかく謝罪する人間と化していた。

しかし・・・ついに息子を夫に奪われて・・・たま子の元へ漂泊するのだった。

「生まれてからのおいしかった記憶が全て消え去ってしまうまずさだ」と夫から告げられ、すべての自信を喪失した女である。

「お前は女として不良品だ」と夫に決めつけられ、卑下することが人格にこびりついてしまったのだった。

「義母の介護中に居眠りして怪我させるなんて人間として最悪だ」と夫に裁かれて家を追い出されたのである。

たま子は鏡子に付き添って良妻賢母に育てられた男女雇用機会均等法を嘲笑する優秀な男性に対峙する。

「専業主婦は・・・家政婦、ベビーシッター、老人介護を無料であなたにサービスしているんですよ」

「それが・・・当り前だろう・・・」

「トイレはきれいでしたか」

「なんの話だ」

「トイレを誰が・・・清潔にしていたか・・・聞いてるんです」

「・・・」

「誰かが掃除しなければ便器なんてたちまちクソまみれですよ。そういう想像力があなたには欠如している。あなたは人間として欠陥品です」

「馬鹿を言うな。俺の母親は頑固な父親を文句ひとつ言わずに支えていた・・・父が寝たきりになっても寝る間も惜しんで面倒見た・・・そして僕を育ててくれた・・・妻として母として無償の愛を捧げてくれたんだ・・・そんな素晴らしい母に・・・この女は怪我させたんだぞ」

「ごめんなさい」

「あなたもお母さんの面倒を」

「俺には仕事がある」

「すべてを妻に押し付けた上で・・・責任を問うなんて・・・呆れる・・・美しい話は基本的に恐ろしい話なんですよ」

「とにかく・・・息子の養育権を渡すつもりはない・・・なんだって、俺の息子を育てる権利があると思うんだ・・・その根拠はなんなんだよ」

「あなたのような人間に育てたくないからです」とついに本音をもらす鏡子だった。

「何を言ってる・・・じゃ・・・俺と争う気か」

「洋武をあなたには渡せません」

交渉決裂だった。

もちろん・・・鏡子の料理は・・・そこそこ家庭的で美味しいのだった。

父親に拉致された洋武から着信がある。

たま子は親友の息子に問う。

「あなたの好きな食べ物は何?」

「おかあさんのごはん」

消化器(ガストロス)のつなぐマザー・コンプレックスの連鎖こそが人間の歴史なのだった。

三千院(旧姓)鏡子が仲間になった!

しかし・・・鏡子のそこそこ美味しい料理を口にしたひきこもり天才女シェフ(差別用語)はそれを吐き出す。

その暗黒の脳細胞を刺激する・・・何らかのトラウマ。

劇画「ゴルゴ13/さいとうたかお」全巻を読み終えた天才女シェフは・・・営業を開始した「シンフォニック表参道」へ・・・。

「千佳ちゃんがいない・・・」

「どうしたの・・・」

「初めて会った時・・・あの子は・・・父親を殺そうとしてたんです」

「え」

「文明の衝突」と囁かれた前世紀・・・しかし、今や「世界観戦争」の時代であると考える。

個人はそれぞれの世界観によって分断され・・・時に狂信者や狂信的団体によって簡単に迫害されるのである。

異性が異教徒がいかに平和共存を望んでも得られない時代がすぐそこまで来ているのだ。

杞憂だといいですね。

このドラマはある意味、人生観戦争の物語です。

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2015年1月22日 (木)

三年契約夫(東山紀之)リアル子育て充実妻(倉科カナ)VS流星ワゴンの男(西島秀俊)

おい・・・なにやってんだ。

・・・おびにみじかしたすきにながし。

そういう問題じゃないだろう。

一応・・・時間旅行ものなので・・・。

捨てきれないのか・・・。

「半沢直樹」関係に少し冷淡過ぎたかな・・・と思いまして・・・。

この脚本家・・・アレンジ上手だよな。

コミック原作者だからかな・・・。

で・・・。

おそらく・・・(水)「流星ワゴン」で・・・。

水曜日のドラマ・・・スルーか・・・なんか・・・新鮮だな。

去年の春ドラマも谷間だ・・・「花咲舞が黙ってない」と「SMOKING GUN〜決定的証拠〜」で・・・杏はともかく倉科カナはかわいいのにな・・・ヒロインとしては申し分ないよね。

でも・・・話がどうでもいいんだな。

そうなんだな。

で、『○○妻・第2回』(日本テレビ20150121PM10~)を見た。どうやら、正純(東山紀之)とひかり(柴咲コウ)は夜の生活ありの契約のようだ。つまり、売春である。流れとしては「結婚すると男性が支配的になること」にひかりは恐怖を感じているらしい。しかし、契約相手を全面的に支援しているようである。百パーセントの避妊はないので妊娠したら堕胎が前提の条項が契約にあるのかどうか。どちらにしろ・・・一夫一婦制度の婉曲な否定である。人生なんてろくなものではないという脚本家の主張が全開されると予想。

で、『残念な夫。・第2回』(フジテレビ20150121PM10~)を見た。榛野陽一(玉木宏)は初めてのべビーシッターを体験し、ヘトヘトになる。そんな陽一を上司の娘・美香(生田絵梨花)が偶然、ピアノで寝かしつける。近所に引っ越してきた顧客の妻(高橋メアリージュン)が偶然、後輩という設定。「純と愛」関係者じゃないか。ありのままなら女王蟻である。友人の結婚式に出席した榛野知里(倉科カナ)は搾乳するのだった。素晴らしい育児の世界は続いて行くのだった。なんだかんだ・・・幸せそう・・・夫や子供や父親が中東で人質になっているわけではないからな。自己責任云々という言葉があるが・・・何事にも限度があるのである。国家も国家元首も万能ではないのだった。責任を問うなら自分でなんとかしてみろ・・・テレビで子供みたいなことを言うなよ。

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で、『流星ワゴン・第1回』(TBSテレビ20160118PM9~)原作・重松清、脚本・八津弘幸、演出・福澤克雄を見た。幻想のタイムトラベルものである。主人公は確かに時間軸を遡上しているように見えるのだが・・・それは内面宇宙の旅に過ぎないのだった。タイムトラベルものとしては古典的で・・・「浦島太郎」もこの一種である。つまり・・・主観的な時間と客観的な時間との間に齟齬が生じ、一瞬が永遠に・・・永遠が一瞬になるのだ。ありえないものをあると感じるのが精神的な障害なら・・・主人公は発狂しているわけである。この手の作品では・・・外的世界と内的世界の境界線の描き方が肝心となるが・・・バランスよく描かれていると感じる。過去の記憶を実感できるかどうかは・・・個人差があるが・・・いつでもリアルな回想ができれば・・・それは過去に旅していることと同じなのだ。

永田一雄(佐藤詩音→西島秀俊)は絶望の淵にいた。

長年・・・不仲だった父親・忠雄(香川照之)は末期がんで病床にある。

広島県福山市の病院を訪ねた一雄は「お車代」と書かれた封筒を母の澄江(渡辺真起子→倍賞美津子)から受け取る。

妹の智子(梅垣日向子→市川実和子)には見栄をはっていたが・・・一雄は旅費にもことかく暮らしぶりなのである。

福山市では知られた父親の会社を継がず、東京で就職した一雄は・・・上司の失策を背負わされた形でリストラに追い込まれていた。

妻の美代子(井川遥)は家出中で離婚届入りの速達が送りつけられてくる。

中学受験に失敗した息子の広樹(横山幸汰)は荒れて暴力をふるう。

裏社会ギリギリのビジネスを展開していた粗暴な父親を嫌い・・・いい夫、いい父であろうとした自分の何がいけなかったのか・・・どうして・・・こんなことになってしまったのか・・・一雄は懊悩していた。

「もう・・・嫌だ・・・」

夜の街角でため息をついた一雄の目の前に・・・一台のワゴン車が止まっている。

誘われるままに車に乗り込んだ一雄はドライバーの橋本義明(吉岡秀隆)と息子の健太(高木星来)が幽霊であることを知る。

そして・・・ワゴン車は・・・一雄を一年前のある場所へと導くのだった。

一年前・・・まだ・・・仕事は順調で、妻とも子とも円満だったその日。

しかし・・・妻は・・・妖しげな男と一緒に街を歩いていた。

一雄は妻を問いつめる勇気がなく・・・それを見過ごしたのだった。

「何をしてるんじゃ」

「え」

突然・・・現れたのは・・・若き日の父親だった。

「自分の女房が・・・他の男と歩いているのに声もかけられんとは・・・どんだけ意気地がない男なんじゃ・・・」

「父さん・・・なんでここに・・・」

「わからんわ」

二人は浅草の旨くて申し訳ないレストラン・ヨシカミでランチをとる。

一雄は幼い記憶に翻弄される。

金融業を営み、愚連隊のような朋輩を率いて・・・街の嫌われ者だった父親。

そのためにいじめられた一雄は・・・無性に父親が憎かった。

一雄が家出をした時にも父親はパチンコに熱中していたのだ。

その頃の父親は・・・今の自分と同じ年頃だったのだ。

何故か・・・妻の居所を知っている父親が案内したのは・・・。

裏社会の男たちの事務所だった。

「ここにお前の女房がいる」

「え」

「いくぞっ」

「いくって・・・」

事務所からは物騒な男たちが現れる。

怯える一雄。しかし、父親は男たちを相手に乱闘を開始するのだ。

気がつくと・・・ワゴンの中に戻っていた。

「父さん・・・」

「同じ年の男に父さんと呼ばれるのは気色悪い・・・俺のことはチュウさんと呼べ」

ワゴン車は・・・再び・・・時を越えた。

仕事の躓きの原因となった商談の準備をしていた社内・・・仕事を奪っていったライバル社の企画を・・・一雄は記憶の中から抜きだした。

チュウさんが「勝ち馬を知っていれば負けない」と言ったからである。

ワゴン車は・・・再び・・・時を越える。

観覧車のある屋上遊園地・・・そこで・・・受験前の息子は・・・「受験をやめたい」と漏らしたことがあった。

チュウさんと観覧車に乗った一雄は・・・父親が高所恐怖症であることを初めて知る。

一雄は息子に「受験をやめていい」と言うが・・・息子は拒否するのだった。

結局・・・運命は変えられないのか・・・。

しかし・・・チュウさんは言う。

「お前は・・・女房のために・・・身体を張った・・・息子も抱きしめた・・・その気持ちは伝わったんじゃないか」

息子を抱きしめた夜・・・妻は帰宅した。

妻の作る鍋を食べながら・・・涙がとまらない一雄。

しかし・・・母親から電話が入る。

「お父さん・・・長くないみたい」

昔話のうちに家出の話になり・・・実は・・・父親が自分を懸命に探していたと知る一雄。

「どうして・・・声をかけてくれなかったんだ」

「なんて言っていいか・・・わからんかったんじゃ・・・」

若き日の父が胸に沁み込む・・・。

息子の乱心が・・・妻の裏切りが・・・仕事の失敗が・・・父親との関係が訂正されたような気分になった時。

部下から連絡が入る。

「あの仕事・・・不味いようです」

「何故だ・・・俺の企画は絶対なのに・・・」

「俺の企画って・・・企画は部長の企画じゃないですか」

「なに・・・」

過去は修復されてはいなかった。

すべては・・・一雄の心の中の出来事だったかのようである。

しかし・・・それにしては・・・あまりにも生々しい新しい記憶に・・・一雄は愕然とする。

これは・・・現実なのか・・・それとも夢・・・。

「なぜなんだ・・・」

「そりゃ・・・お前がいつでも・・・逃げ腰じゃからなんじゃ・・・」

「だって・・・向き合うのって・・・こわいじゃないか・・・」

そして・・・故郷では・・・一雄の父親が生死の境界線にあった。

ここから・・・ワンクールか・・・アレンジ力の見せ所だな・・・。

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SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜

13歳のハローワーク

JIN~仁~

七瀬ふたたび

プロポーズ大作戦

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戦国自衛隊1549

がきんちょ~リターン・キッズ~

みんな!エスパーだよ!

悪夢ちゃん

未来講師めぐる

モップガール

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2015年1月21日 (水)

黄色いバラのナース(堀北真希)花言葉は献身とジェラシーと友情(志田未来)ニャース(菜々緒)

人命を軽視することはできないがテロリズムに屈することはできない。

なぜならテロリズムに屈するのは人命を無視することだからである。

イスラム国(IS)は奴隷制度を運用していると言われる。

運用の根拠は軍事力による支配である。イスラム国によって軍事的に支配されたものは奴隷とされるのである。奴隷である以上、生命の与奪は所有者に権利があり、売買も可能となる。

このような法に支配された犯罪集団とまともな交渉などできるわけがない。

忘れやすいジャーナリストやニュースキャスターなどは「前代未聞の事件」などと迂闊な発言をしているが・・・2004年には「イラクの聖戦アルカイダ組織」が「48時間以内のイラクからの自衛隊撤退」を要求する「日本人人質事件」を起こし、小泉純一郎首相は「撤退しない」ことを明言し、人質は首を切断され殺害されたことがある。

すでに答えはでているのである。

こんなものにいちいち真摯に対応していたら日本人は誘拐され放題になってしまうからな。

水面下の交渉で人質が無事解放された例もあり、人事を尽くして天命を待つことが必要なのだ。

で、『まっしろ・第2回』(TBSテレビ20150120PM10~)脚本・井上由美子、演出・坪井敏雄を見た。フローレンス・ナイチンゲール(1820 - 1910年)は英国の看護師である。イギリス・フランス・トルコVSロシアによるクリミア戦争(1853-1856年)で負傷兵の看護を通じて医療衛生に改革をもたらしたことで名を残すことになったナイチンゲールは看護師という職業の生みの親とも言える。それまで看護するものは召使い、あるいは女中としての立場だったのである。近未来の自由診療制度の元で高額の報酬のために高度な医療と高級な看護を実践する最高級セレブ病院 「東王病院」での看護婦は侍女の役割を兼ねており先祖帰りをしているとも言えるのだった。

高級ナースそれは・・・看護奴隷とも言える存在なのである。

少子化担当大臣・玉垣れい子 (真飛聖) が緊急入院する。

院内には緘口令が敷かれ、担当医師と担当看護師以外は玉垣大臣への接触を禁じられる。

担当チームは佐藤副院長(石黒賢)、小村医師(水上剣星)、そして田野島看護師長(木村多江)であった。

緊急アセンブリ(情報共有のためのミーティング)で看護師長は追加要員として無印(ナースキャップに階級を示す真珠なし)の有村朱里(堀北真希)を指名する。

「患者様の情報は一切もらしてはなりません」

「家族にも話しません」

「今回は同僚にも他言無用です」

「え」

看護師としてはそこそこ優秀らしい朱里だが・・・玉の輿願望が強いために・・・惚れやすいのが玉にキズなのである。

玉垣大臣のイケメン秘書・井坂 (竹財輝之助) にたちまち心ときめいてしまうのだった。

どうやら・・・そんな朱里に心ひかれているらしいお坊ちゃまドクター・仲野孝太郎(柳楽優弥)はなんだかんだちょっかいかけてくる。その理由は定かではないが・・・もはや、堀北真希だからというしかないな。

「うかれてんじゃないよ」

「余計なお世話です~」

玉の輿だったら、へたれドクターでもいいと思うのだが・・・もはや、アオイホノオの人だからというしかないな。

病院外にはマスコミが押し掛ける・・・警備上の問題があるから高圧電流でも流せばいいのにな。

マザコンのために年上の女性に甘い孝太郎はうっかり・・・敷地内で転倒したジャーナリストの種田松子 (三鴨絵里子) を急患として扱い、病院内への侵入を許してしまう。

女中根性の発達したナースたちは・・・噂話に花を咲かせる。

「玉垣大臣と言えば・・・娘が問題児で傷害事件を起こしたのよね」

「少子化担当としては立場ないよね」

「心労がたたって狭心症の発作とか」

「自殺未遂じゃないの」

「未遂じゃないんじゃないの」

「じゃ・・・死んでんじゃないの」

「病室に寝ているのは・・・死体か」

「そこんところ・・・どうなのよ」

川本副師長(竹内都子)に問いつめられる朱里。

「お答えできません」

たちまち・・・「看護師長の犬」として目をつけられる朱里だった。

白衣の天使たちは基本、性悪設定です。

無印仲間として・・・朱里に探りを入れることを命じられる菜々(志田未来)と木綿子(高梨臨)である。

「友達でしょう・・・私たちにだけいいなさい」

「言えません」

口が堅い・・・秘書のために・・・朱里である。

何故か・・・黄色い薔薇であふれる玉垣大臣の病室。

そこに・・・もちろん・・・患者はいないのだった。

二人きりになった朱里と秘書。

「有村さん・・・お世話をかけます」

「名前を覚えてくださったんですか」

「黄色いバラの花言葉をご存じですか」

「あなたを恋します・・・ですか」

「それもありますが・・・大臣は献身という言葉を選んでいます。政治家としての決意として・・・国民に身を捧げる覚悟のシンボルとしての黄色いバラなのです」

「鮮やかな黄色い薔薇には希望という意味もあるんですよ」

「鮮やかな黄色い薔薇は何をしてもかわいらしいという花言葉があります・・・まるであなたのように・・・」

「まあ・・・」

もはや・・・秘書は自分の虜と確信する朱里だった。

その頃・・・よくわからないポジションの佐藤副院長は愛人ニャース・明日香(菜々緒)と密会中である。

そこへ・・・実は草の者であるナース菜々から定時報告が着信する。

「何か漏らしたかな」

「いいえ・・・何も」

「そうか・・・またよろしく」

菜々は佐藤の密偵なのだ。

まだ・・・かわいいぞ、未来かわいいぞと叫ぶ機会が全くないんですけど。

一種のじらしプレーなのか。

病室から一輪の薔薇を持ちかえった朱里は潜入記者・種田にうっかり一言。

「薔薇も見てもらえないと可哀想だから」と漏らしてしまう。

玉垣大臣の病状の説明記者会見の席上。

「病室に大臣はいないのでしょう」と突っ込む種田。

口ごもる医師たちだが・・・看護師長が・・・。

「プライバシーを守るために別室に移っていただいたのです」とフォローするのだった。

結局・・・玉垣大臣は自殺未遂を図った後・・・病院を抜け出し・・・我が子と密会していたのだった。

「娘を抱きしめた時・・・私は一からやり直す気持ちになりました・・・病院には迷惑をかけて申し訳ありません」

「いいえ・・・自殺は・・・死に至る病です・・・患者様の心を癒すことも看護の仕事でございます」

看護師長は胸を張るのだった。

退院していく玉垣を見送る朱里・・・。

「あなたには大変感謝しています・・・」

「看護師として当然のことをしただけです」

「私は決めました・・・彼女を一生支えて行くことを」

「え」

ラブラブだった大臣と秘書である。

ある意味、スキャンダルだ。

一方・・・かぶと蛤の炊き込みごはん、菜の花のすまし汁、イチゴ葛餅をそえた牛の朴葉焼き御膳にも手をつけないほど・・・原稿がかけずに追い詰められた患者様の小説家・大江淳平(眞島秀和)は病室を抜けだし屋上へ。

残念鍋パーティーを終えた無印トリオ。

木綿子は不倫相手と投げやりな会話。

菜々は耳をすます。

そして・・・朱里は泣き寝入りである。

「オペのシーンないのかよ」とオペ看の岩渕恵(水野美紀)はふてくされるのだった。

いろいろ盛り込んでいるのにスカスカ・・・井上由美子・・・その目立ちたがり屋のプロデューサーに踊らされるとろくなことにならないぞと思う。

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2015年1月20日 (火)

超痛い男と超痛い女の超痛いデート~恋とはどんなものかしら~縁は異なもの味なもの(杏)

恋愛ドラマの基本は「変な男と変な女が出会って恋に落ちること」である。

「変」という字が「恋」に似ているのはけして偶然ではない。

「亦」とは腋の下のことである。「夊」は足を引きずる意味で・・・左右対称であるべき腋の下の位置が崩れ「変」になる。足を引きずるのは下半身が勃起したり濡れそぼったりするからだ。

「亦」の下に「心」が生じると「恋」になる。一つであるべき心が左右に分れる状態である。

とにかく腋の下に心臓があったらおかしいのだ。まさに心臓が飛び出ている状態だ。

それは「変」であり・・・それが「恋」なのだ。

本来、変な人の話なので喜劇の要素は強い。

つまり・・・恋愛ドラマは基本・・・ラブ・コメディーなのである。

「ふつうの恋がしてみたい」などというが・・・「普通な恋」などない。

「あなたに変をしました」というのが王道の「恋文」というものだ。

恋は変なものなのだから・・・。

で、『デート〜とはどんなものかしら〜・第1回』(フジテレビ20150119PM9~)脚本・古沢良太、演出・武内英樹を見た。主人公の藪下依子を演じるがバラエティー・ショーで目を真っ赤にして「どうすればセリフが憶えやすくなるか」という問いを発していたのをつい思い出してしまうドラマである。もう・・・発狂しそうだったんですね・・・解ります。大柄な美女であるために萌え要素の少ない女優だけに素っ頓狂な役柄は大歓迎なのだが・・・ついに超素っ頓狂の役柄を獲得して・・・幽かな萌えさえ感じたこのドラマ。ついに・・・可愛い作品に巡り合えた感じでございますねえ。よかったねえ。

【藪下家】藪下俊雄(松重豊)は板橋区役所の職員である。妻の小夜子(和久井映見)はすでに他界している。以来・・・娘の依子と二人暮らしをしてきたが・・・現在、娘は内閣府経済総合研究所から出向先の横浜研究所に職場が変わり神奈川県横浜市で一人暮らしをしている。

俊雄の悩みは・・・母親に似て優秀な娘は東京大学大学院数理科学研究科を経て公務員となったが・・・優秀すぎて・・・些少ながら変わったところがあり・・・このままでは結婚できないのではないかという危惧によるものである。

そのために・・・それとなく・・・縁談を持ちかけるものの・・・ことごとく・・・先方にお断りされているのだった。

例・・・最初のデートで・・・寿司屋に入り・・・シャリとガリしか食べなかった。

理由は依子は・・・「火曜日」は「野菜」しか食べないからである。

依子は・・・生活に厳密なルールを課しており、第一月曜日の夕食はビーフカレー、第三月曜日の夕食はチキンカレーでなければならないのだ。

もちろん・・・カテゴリー的にはドラマ「僕の歩く道」(2006年)の「カレーはやっぱりチキンカレー」でおなじみ大竹輝明(草彅剛)やドラマ「ATARU」(2012年)の「アップデートしました」でおなじみのチョコザイ(中居正広)と同様な発達障害を連想させる人格だが・・・知能は人並み外れて優れているので日常生活に支障はない。他者とのコミュニケーション不足が生じる原因は・・・周囲が愚鈍でついてこれないだけである。

しかし・・・配偶者を獲得するためには・・・相手探しが困難であることは言うまでもないのである。

優秀すぎる依子は・・・同時性多重人格としての幻影の母親を相談相手として脳内に構築しているが・・・それも凡人から見ると危険な感じがしないわけでもないわけである。

ある日、母親の命日に実家を訪れた依子は・・・仏壇の亡き妻に「娘に幸せな結婚をしてもらいたいが・・・無理かもしれない・・・約束を守れなくてすまん」と侘びる父親の言葉を立ち聞きしてしまうのだった。

父親の希望を叶えるために情報を高速度で処理した依子は・・・結婚相談所に登録することを決断したのだった。藪下依子(29)・・・東大卒・・・公務員。

【谷口家】谷口留美(風吹ジュン)は自宅で美術教室を営み、一人息子の巧(長谷川博己)と暮らしている。どうやら母子家庭のようだが・・・巧の父親の消息は不明である。巧は・・・成人してからずっと無職で基本的に引き籠っている。世間的にはニートと呼ばれる存在だが・・・本人は「高等遊民」と自称しているのだった。小説を読みふけり、映画を鑑賞し、現実からは完全に逃避している。母親の留美はそのような息子がいることを半ば絶望しつつ・・・我が子の将来を案じている六十一歳の女である。

芸術に囲まれて生きる人生に巧は充足しているが・・・社会的にはクズなのだった。

少女時代に留美の生徒だった島田佳織(国仲涼子)は巧の幼馴染で同級生の島田宗太郎(松尾諭)に「兄貴、谷口家をなんとかしてやれよ」と相談する。

宗太郎は「町内会長だからって家庭のことはなあ・・・」

「幼馴染だろう・・・冷たいじゃねえか」

「うちで働けって・・・何度も誘ってるよ・・・あいつときたら・・・肉体労働なんか僕にはむかない・・・とさ・・・なんかってなんだよ」

「だからって見捨てんのか・・・小さい男だね」

「小さいだと・・・」

仕方なく宗太郎は・・・巧を無理矢理、結婚相談所に入会させるのだった。

「女ができれば・・・人生変わるから」

「興味がないね」

しかし・・・ある夜・・・母が老いていることを目撃する巧。

「私が死んだら・・・あなたの優雅な生活も終わりね・・・遺産とかないし・・・」

母の言葉に・・・思わず、結婚相談所の資料を熟読する巧だった。

目にとまったのは・・・「藪下依子(29)・・・東大卒・・・公務員」のプロフィール。

谷口巧(長谷川博己 )・・・出版社勤務(詐称)は・・・ターゲットにメールを送信するのだった。

【鷲尾豊(26)】藪下俊雄が通う趣味で通う剣道場で知り合ったスポーツ用品関連の会社員・鷲尾豊(中島裕翔)を娘に紹介する。

中学の数学教師・大塚を紹介したが「小学校で円周率を3と教えるべきか3.14と教えるべきか真剣に話しているのがバカみたい・・・円周率はπに決まっている」と破談になったので・・・次の候補に鷲尾があがったのである。

しかし・・・「私・・・もう交際している人がいます」と宣言する依子だった。

「え」

「一目惚れです」

「会ったのか」

「会ってません」

「ええ」

「プロフィールでときめきました」

「えええ」

「今度、デートするのです」

「・・・」

「ですから・・・鷲尾さん・・・私のことはあきらめてください」

「すまんね・・・鷲尾君気を悪くしないでくれ」

「いや・・・気を悪くはしてません。展開についていけないだけです」

【亡き母・小夜子】小夜子は娘にアドバイスするのだった。

「デートなんて大丈夫?」

「大きなお世話よ」

「男はね・・・理数系の女ってだけでちょっと引くんだからね」

「お母さんだって・・・理数系じゃない」

「私はテクニシャンだったもの」

「・・・」

「キスまでは持っていきなさい。バクテリアの交換は健康にもいいのよ」

「最初のデートよ。 性急・・・過ぎるわ」

「どうせあなたには無理でしょうけどね」

「大丈夫・・・アヒル口の練習したもの・・・」

【島田兄妹】うろたえて島田家を訪ねる巧だった・・・。

「メールしてみたんだ・・・最悪だよ・・・デートすることになった」

「ちゃんと・・・デートできるのか」

「蓬莱軒でタンタン麺食べようと思ってウェブで探したけど出てこないんだ」

「十二年前につぶれたよ」

「吉村のじいさんのコーヒー屋も出てこない」

「じいさん・・・とっくに死んだよ」

「巧君さあ・・・中心部に・・・何年行ってないの」

「十年以上かな・・・」

「東大出の国家公務員・・・しかも美人じゃねえかよ」

「ずっと勉強ばかりやってきた堅物できっと恋愛経験もそれほど豊富じゃないかもって」

「甘いね。理系の女ってモテんのよ。周り・・・野郎ばっかりなんだから」

「チェンジしようかな」

「いまさら手遅れだ・・・とにかく話題をたくさん用意しとけ」

「アニメ系は避けといた方がいいね」

「寺山修司の海の詩を披露しようかな。・・・悲しくなったときは海を見にゆく・・・独りぼっちの夜も海を見にゆく」

「いいんじゃない」

「リチャード・ギアのアメリカン・ジゴロの決め台詞で・・・君だったんだ・・・僕がずっと探し続けてきたのは・・・とか」

「いいじゃんか・・・キスまで持ってっちまえ」

「最初のデートだよ・・・巧君、無理しないで普通にデートすればいいの。・・・食事して観光船に乗るくらいにして・・・次に会う約束してさくっと別れる・・・それができれば大成功」

「あわよくばキスだ」

「やめなさいって」

【デート当日】巧は母から二万円を借りて地味なブルーのジャケットを着込んだ。

依子は体内時計によって定刻通りに目が覚める。

頭に目印の花を乗せて真っ赤な勝負服で公園の噴水前に立つ依子。

巧は依子を発見して怖気づく。

「谷口さんでいらっしゃいますか?」

「・・・はい」

「先ほどから谷口さんではないかと推察していましたが噴水から3mの場所にいらっしゃったので躊躇しましたですがこの時間にこの場所に来て写真と顔がよく似た人物ならば谷口さんだと断定して構わないと判断し声を掛けました・・・」

「・・・そうですか」

「本日第1回目のデートよろしくお願いいたします」

「こっ・・・こちらこそ」

「・・・」

「悲しくなったときは海を見にゆく・・・独りぼっちの夜も海を見にゆく」

「はい?」

「寺山修司の詩の一編です・・・」

「それで?」

「好きな詩なんです・・・」

「それで?」

「海を見ると・・・思い出します」

「それで?」

「・・・それだけです」

「そうですか本日の予定は谷口さんに全面的にお任せしたいと考えています理由は三点です①通常デートは男性がリードするのが一般的であること②谷口さんは生まれも育ちも横浜でいらっしゃること③私も横浜で勤務してはいますが赴任して半年ほどで地域情報にはまだ疎いこと以上ですいかがでしょうか?」

「はい・・・一応・・・昼食を済ましてから・・・大桟橋で・・・船にでも乗ろうかな・・・と思ってたんですけれど」

「昼食の後に観光船ですね分かりました」

「食べたいものとか・・・苦手なものとかありますか?」

「日曜日の昼食は蕎麦となっています」

「え」

「ですが本日はデートですのでフレキシブルに対応する所存です」

「・・・ピザとかお好きですか?」

「はい」

二人はピザ屋のテーブルにたどり着く。

「現在は地方自治体の公共施設における民間型不動産価値から見た公民連携手法に関する数理モデルの応用を研究しています」

「何かよく分かんないけどすごいですね・・・ばりばりのリケジョですね」

「リケジョという言葉は嫌いです差別用語です理系の男子をリケダンとは言わないでしょう女性警官女流作家女教師女医なぜ女性であることを強調したがるんでしょう職業には男性も女性もないはずです」

「でも・・・リケジョは親しみを込めた・・・愛称というか」

「いいえからかっているんです理系の女子は特殊な生態であるかのようにレッテルを貼って勉強ばかりしていて理屈っぽく融通の利かない変わり者全て間違った先入観です」

先入観が正解なのではと・・・テーブルの上の調味料を一列に整頓している依子を見て巧は直感するのだった。もう・・・呼吸困難になりそうだった。

「健康状態についてですがことしも健康診断はオールAでした過去に大きな病気をしたこともありませんが強いて言えば肩凝りくらいです」

「まあ・・・僕も・・・健康」

「生殖能力は正常ですか」

「え」

「若干 先走ったことを質問しているのは自覚していますがやはり 大事なことだと思うので仮に勃起力に難があったとしても現在の医学は進歩していますから健康な精子さえお持ちであれば問題ありません」

「け・・・健康だと思います」

「よかったです健康な精子をお持ちで」

店員がピッツァを運んできた。

依子は食べて巧は呼吸をした。

母からもらった軍資金で支払いをすませようとする巧を制し割り勘にする依子。

「日曜の昼なのにピザを食べるなんて新鮮でした」

「そ・・・そ・・・そうですか」

巧の限界が訪れようとしている・・・。

この女・・・変なんじゃないのか・・・変だよな・・・変と断定して間違いないよな・・・。

「中華街でも見に行きましょうか?」

「中華街を見に行くんですね?」

「はい」

中華街でも女はオードリー・ヘプバーンにはならなかった。化粧をしなければ美人なんじゃないか。ふりかえれば・・・ドナルド・ダックが立っていそうだ。峰不二子でもメーテルでもデジタルリマスターで見るカトリーヌ・ドヌーブでもない。我が青春に悔いなしと呟く原節子でもない。紅い花の少女でもない。見ている。俺を見ている。その視線の下にある唇は・・・ジャック・ニコルソンが演じる「バットマン」のジョーカーじゃないか。

「中華街まだ見ますか?」

「ちょっと・・・トイレに」

巧は逃走した。

「やった・・・まいたぞ・・・」

しかし、依子はホーミング魚雷のように追尾していた。

「あっいたいた谷口さんトイレはそちらではありません私も行きましょう」

「 ハハハ・・・そっか・・・あっちか」

【男子トイレにて】巧は・・・島田兄妹に電話した。

「厳しいよ・・・現実は苛酷すぎる・・・」

「がんばれよ!」

「想定をこえてるんだ」

「それが現実だろ!」

「頭に花をつけてる」

「かわいいじゃん!」

「そういう感じのやつじゃないんだよ・・・突然腕を組んできたり・・・思い返してみれば・・・メールの文面も何か変だったんだ・・・絵文字も意味不明だし・・・とにかく・・・あれはただ者じゃない」

「じゃあ・・・何者だよ!」

「あれは痛い女だ」

「・・・!」

「急に口をとがらして恐ろしい目でにらみ付けてくるんだよ・・・すげえ怖い・・・このまま・・・あの女をまいて・・・帰る」

「逃げるなんて人としてあり得ない・・・巧君は長いこと現実の女を知らないからそんなふうに感じるんだよ。痛いのはあんた。あんたが痛い男なの!」

「だけど・・・もう限界だよ」

「とにかく今日は最後までやり遂げなさい!」

「楽しいふりをすればいいのか・・・」

巧は気持ちを立て直し・・・戦いに復帰する。

しかし・・・個室にはすべてを聞いている男がいた。

【女子トイレにて】他人からは独り言をつぶやき続ける不気味な人に見えている依子。

しかし・・・そこにはもう一人冷静な青いドレスの女が立っているのだ。

「もう帰りたいんでしょ?・・・苦痛で仕方なくて」

「そんなことない・・・楽しんでる」

「あれは絶対に痛い男よ」

「考えてみなさいあれだけの好条件のくせにいまだ独身で結婚相談所で相手を探してるのはなぜか」

「縁がなかっただけよ」

「同性愛者かもしれないひょっとしたら ど変態で異常性癖の持ち主かも私が思ってることはあなたが思ってることそうでしょこのまま逃げちゃえ」

「そんなことできるわけないでしょどうせあと観光船に乗るだけ九十分の辛抱よ」

「やっぱり苦痛なんじゃないの」

「 しっ」

通りすがりの女子は震えた。

【エンターテイメント・レストラン船・ロイヤルウイング・ティークルーズ】二人は船上の人となった。

「潮風は・・・いつも心を和ませます」

「潮風はプランクトンから発生する硫黄化合物が含まれているからでしょうね」

「ベイブリッジは・・・夕暮れ時は悲しくなるほど叙情的だし夜になると艶やかで色っぽい」

「ベイブリッジは斜張橋として重心の設定も合理的だし多柱式基礎を採用することで工費を安く抑えたことが素晴らしいです」

「・・・」

「谷口さん実は気になっている点があるので質問してもよろしいでしょうか同性愛者ですか?そうならそうとはっきり おっしゃってください私偏見はありません」

「ち・・・違います」

「では ど変態ですか何か特殊な性的嗜好がおありなら例えばサディズムマゾヒズム露出狂スワッピングはっきりおっしゃってください偏見はありません私にできる範囲で要望にお応えする所存です」

「ぼ・・・僕はそんなふうに見えるってことですか」

「谷口さんのような方がなぜ今まで独身でしかも結婚相談所で相手を探しているのかその点が気になっているんです何か特殊な事情がおありなんでしょうか」

「・・・君だったんだ・・・ずっと探し続けてきたのは」

「谷口さんが探し続けていた理想の女性像が私であるという意味でしょうか」

「そ・・・そうです」

「恐縮ですキスしますか」

「キ・・・」

「もしお嫌でなければ」

「キス」

突然・・・キスにチャレンジする二人だった。

そこへ・・・割って入る鷲尾だった。

「金輪際、依子さんに手を出すな!」

「え」

問答無用で巧を突き飛ばす鷲尾。

巧は船上から消える。

「え」

「死ぬ」

手すりにつかまり必死に落下をこらえる巧。

「おい! つかまれ! 早く!」

「メーデー! メーデー!メーデー!」(メメくらげに刺されたデ~の略ではない)

【船室にて】救助された巧とともに船長(原金太郎)から注意を受ける依子と鷲尾だった。

「お父さんがあまりにも心配されてたので。変な男にだまされてるんじゃないかって」

「ずっと私たちをつけていたんですか」

「僕がいったい何をしたっていうんだ」

「痛い女だ。 デートがこんなにも苦痛だとは思わなかった。 このままあの女をまいて帰る・・・って言ったよな・・・それなのに気があるふりをしてキスをしようとした。理由は1つ! 体目当てだろ!」

「まあ・・・何はともあれ大きな事故につながらなくてよかった。今後は気を付けてください」と船長。

「待ってください。僕は体目当てなんかじゃなくて・・・真剣に付き合いたくて」

「常習犯なんだろ」

「僕を買いかぶるなよ・・・そんなことできるわけないだろ・・・普通に付き合ったこともないのに」

「え」

「僕は生まれてこの方・・・三十五年・・・女性と付き合ったことなんかありません」

「見え透いた嘘を」

「僕は小説や映画や漫画やアニメの世界が好きで現実の女性にあんまり興味がないんです。・・・人と接するのも 苦手なんです」

「じゃあ・・・何でデートなんか・・・」

「友人に女性と付き合えば人生が変わるって言われて・・・でも やっぱり 駄目でした・・・デートが苦痛で苦痛でしかたがない・・・本当に痛いのは僕なんです・・・僕が痛い男なんです」

「まあ色々あるでしょうがこれもいい経験になることでしょう。本日はご乗船誠に ありがとうございました」と船長。

「谷口さん謝る必要はありません私も同じだからです」

「え」

「私も あなたのことを好きではないのです最初は好きだと思いました数ある男性の資料の中から谷口さんの資料を見たときなぜだか無性に胸がときめいたんです一目ぼれとはこういうものかと思いましたですがこうしてお会いしてみるとまったくときめかないはっきり分かりました私はあなたのデータにときめいていたんだと1979年7月23日生まれ181cm 67kg好きな数字ばっかり全部素数なんですこんなに素数が並ぶなんて奇跡ですよ宇宙の真理が潜んでいるようでわくわくしますいつもこうなんです生身の人間には興味が持てないんです私も痛い女なんです楽しいふりをしてはしゃいでいましたがやはり 駄目でしたデートなんて何が楽しいのかさっぱり分からない」

「本当ですよね。・・・みんなよくこんなこと普通にやれてると思いますよ」

共感しあう巧と依子に・・・呆然とする鷲尾だった。

「はいご乗船ありがとうございました。そろそろ時間がね。次の出航の準備をね」と船長。

「恋をしたいなんて全然思わない」

「僕も・・・そうだな」

「でも・・・恋愛をすることは大事なことで人間的にも成長できるし・・・」

「恋愛なんかしたって何の成長もしませんよ。むしろ恋愛にうつつを抜かしてる連中ほど精神的次元が低いと僕は思います」

「同感ですやれ合コンでどうした元カレがどうしたと他に語り合うことはないのかと思います」

「え」

「くそのような連中だな人生にはもっと大事なことがたくさんあります教養のないバカ女なんかと付き合う暇があったら本の一冊でも読んでる方がはるかに有意義だ」

「幼稚なバカ男と付き合う時間なんて貴重な人生の浪費でしかないもっと価値の高いことに使うべきだわ」

「ええ」

「本当に痛いのは僕らじゃない彼のような人種ですよレベルの低いテレビドラマやがき相手の映画ばかり見て育ったんだ現代の幼稚な文化に毒されるとこういうのが出来上がるという典型例だ」

「えええ」

「本来恋愛と結婚は別物だ昔は家と家が勝手に決めるのが普通だった結婚式当日に初めて顔を見たなんてケースも珍しくなかった」

「そのころは 今よりはるかに離婚率は低かったはず恋愛結婚が増えるに従い未婚率と離婚率が増え出生率が低下している」

「すいませんがもう次の出航のですね」と船長。

「船長・・・あなた・・・御結婚は・・・」と救いを求める鷲尾・・・。

「うちは大恋愛の末に結ばれたよ・・・でも二年前に離婚した・・・」

「くそ・・・」

「フランスの哲学者モンテーニュはこう言っている・・・美貌や愛欲によって結ばれた結婚ほど 失敗をする・・・沸き立つような歓喜は何の役にも立たない」

「共感します私かねがね結婚とはお互いが有益な共同生活を送るための契約にすぎないのではないかと考えていました」

「真理ですね・・・恋愛なんてくその役にも立たない・・・結婚は契約です」

「契約という明確なルールを遂行することは誰よりも得意だという自負があります」

「素晴らしいむしろくだらない恋愛感情に左右されないあなたや僕は本来最も結婚に向いてるといえますね」

「ちょっと待った・・・お互いに好きじゃないんですよね」と藁にもすがる思いの鷲尾。

「好きじゃないわ身長や体重は変動するから必ず素数になるとは限らないそう考えると何一つ魅力のない人物にしか見えない」

「僕の理想のタイプはヘプバーンと原節子と峰不二子とメーテルを足して4で割った女性なんだけどどこにもかすってない・・・明らかに好きじゃない」

「でも結婚ならできそう」

「できるね」

「愛は・・・」

「愛などという数値化できない不確定要素を基盤に人生を設計するなんて非合理的私と谷口さんなら感情を排除して割り切った契約を結ぶことができる」

「ベストマッチかもしれませんね」

「試しに結んでみます? 契約」

「やぶさかではありません」

「いやいやいや・・・それはおかしいって」と嘆く鷲尾。

「問題は双方が納得できる契約内容が作成できるかということですが」

「何とかなるんじゃないですかね」

「では今後は結婚に向けての協議を積み重ねるということで」

「おかしいですよね・・・船長・・・」

「お前ら・・・早く帰れよ・・・頼むから~」と船長。

【埠頭にて】別れの挨拶を交わす二人。

「今後は自分を偽ったりするのはやめましょう」

「できるだけ本音でいきましょう」

「じゃあ早速頭の花すごく変です・・・たぶん胸に着けるやつじゃないかと思います」

「そうじゃないかと思っていました」

「人をにらみ付ける癖直した方がいいですよ」

「谷口さんこそ人と話すときは相手の目を もっと見た方がいいと思いますそれから念のため言っておきますが人間を足して4で割ることはおそらく不可能です」

「分かってます」

「 今後はそういったお互いの意向も契約内容に反映させましょう・・・」

「もう少しどこかで話していきますか?」

「入浴時間が迫っているので帰ります」

取り残された鷲尾は超痛い人々の展開についていけない男だった。

それは・・・ある意味・・・幸福と言えるかもしれない。

【最初のデートその後で】「残念だったね」と慰めようとした谷口家では・・・「結婚することになった」の一言で瞬間冷凍される人々。

「母さん・・・安心して死んでいいよ・・・新しい寄生相手が見つかったんだから」

「好きな人に出会えたのか」と喜ぶ父親に「好きじゃないけど結婚するの」と冷水を浴びせかける依子。

説明を求める父親は無視される。

なにしろ・・・依子は就寝時間なのである。

母の亡霊はフェイスパックをしながら問う。

「うまくいくかしら」

「まあ見ていなさいよ私だって結婚くらいできるってこと証明してみせるわ」

「信じられない」

「ところでお母さん私人をにらむ癖なんてあるかしらないわよね」

「にらむって・・・現実を直視しすぎるってことかもよ」

「・・・」

依子はすでに眠りに落ちていた。

定刻なので。

世界は闇に落ちる。

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2015年1月19日 (月)

瞬きもせず・・・知行合一やけー・・・あなたしか見えん(小島藤子)

非常にざっくりした言い方で言うと兄・杉梅太郎(原田泰造)と弟・吉田寅次郎(伊勢谷友介)の意見の違いは朱子学と陽明学の対立と言える。

朱子学においては「行動」は「正しい認識」によって生じる。ある意味で慎重論である。

しかし、陽明学では「正しい認識」は「行動」を伴うのである。つまり・・・正しい認識をしている時にはすでに行動している・・・これが「知行合一」である。

たとえば・・・「黒船」を見て・・・それがどういうものかをじっくりと観察し、知識を深め、あらゆる関係性を見極めた上でどのような行動をするべきか考える・・・つまり何もしない可能性が高いのが朱子学。

「黒船だ。好きだ。愛してる。黒船に乗る」・・・これが陽明学である。

基本、吉田松陰は恋する乙女そのものなのでございます。

「恋とは何か・・・よく考えろ・・・」なんて言っても乙女心は止まらない。

だから・・・乙女チックな吉田松陰は・・・ある意味、少女マンガ的に知行合一です。

で、『花燃ゆ・第3回』(NHK総合20140118PM8~)脚本・大島里美、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに主人公のお兄ちゃん・吉田寅次郎描き下ろしイラスト、ガチャッと大公開でお得でございます。混乱を極める幕末において・・・フィクションとノンフィクションに立ちはだかる元号と・・・数え年問題・・・これに・・・寅次郎の黒船密航問題が絡むと・・・いろいろとアレなんですな。まず、ペリーの黒船来航は嘉永六年六月(1853年7月)のこと。浦賀奉行が久里浜でペリーから国書を受け取る。ここから・・・幕府は対応に苦慮します。結局、和親条約を締結は嘉永七年(1854年)となり、三月にペリー艦隊下田に移動。ここで寅次郎密航事件が起こります。事件発覚から間もなく寅次郎は捕縛されるわけです。で、久坂玄瑞の兄、久坂玄機の病没が嘉永七年ニ月なのでございます。つまり、時系列で言うと二月に玄瑞の兄死亡、三月に寅次郎密航失敗ということになります。玄瑞は天保十一年(1840年)生まれとされているので嘉永七年(1854年)には数え年で十五歳(五月誕生なので満13歳)となります。数え年と満年齢の記述によっていろいろと誤解が生じるのですな。ちなみに嘉永七年は十一月に安政に改元されますが西暦では1855年1月になっています。つまり・・・嘉永七年は1854年~1855年にまたがっている。そして安政元年(1855年)はすぐに安政二年(1855年)になります。ここで混乱するのは初歩でございます。

Hanam003嘉永六年(1853年)六月、ペリー艦隊が浦賀に入港する。ミシシッピ号は江戸湾に侵入し、徳川幕府に対し武力で威嚇。七月、ロシア帝国のプチャーチン艦隊が長崎に入港。九月、ロシア帝国とオスマン帝国によるクリミア戦争が開始される。十月、シノープの海戦でロシアの黒海艦隊がオスマン艦隊を殲滅するとフランス、イギリスはオスマン帝国と同盟し、宣戦を布告する準備に着手する。十一月、吉田寅次郎はロシア船見物のために長崎に到着するが、プチャーチン艦隊は上海に向けて出港していた。フランス、イギリス、ロシアが戦争中に米国のペリー艦隊は・・・日本への外交交渉を独占する幸運に恵まれたのである。十二月、プチャーチン艦隊は再び長崎に入港。嘉永七年(1854年)一月、本土防衛のためにプチャーチン艦隊は樺太へ向かう。ペリー艦隊は再び江戸湾に侵入。二月、徳川幕府が異国船見物禁止令を布告する。三月上旬、日米和親条約が締結される。下旬、吉田松陰は下田のペリー艦隊への密航に失敗。二十八日、自首をした松陰は幕府の役人に捕縛される。つまり・・・「幕命に背いて密航しようとして失敗した」と名乗り出たのである。まさに・・・発狂していると思われても仕方ない男なのであった。

「アホか・・・」と松陰の師として責任を問われ、伝馬町に入獄した佐久間象山はぼやいた。

弟子の一人である幕臣・勝麟太郎が見舞いに来て事情を話す。

「やむにやまれぬ行動だったということを公に明らかにしたかったんでしょうな」

「アホだ・・・」

「まあ・・・若さゆえの過ちということで・・・老中の阿部様は穏便にすませるらしいです。下級武士とはいえ・・・長州藩士を幕府が裁くのはいろいろと・・・差障りがございますんで」

「アホにつける薬はないからのう・・・」

「まあ・・・アホはアホなりに一石を投じたということになりましょう・・・実際・・・異国の進出は現実の脅威でさ・・・お偉方にはまだピンときてないみてえですがね」

松陰は助命され・・・長州に送り返された。

足軽の吉田家、入江家の娘であるおふさとおすみはくのいちとして・・・お文の下忍となっていた。

「お文さまの・・・兄上様が・・・何かしでかしたやけ・・・今日の修行は中止じゃろうか」

「ばーかゆーなよ・・・稽古はかかせんやろうが」

「なら・・・何をする」

「手裏剣じゃ・・・」

「おふさは・・・手裏剣が得意じゃもんね」

「まっちょけ、腕を見せちゃるけ」

おふさは棒手裏剣を取り出した。

「きええええ」

手裏剣に串刺しになった小鳥が落ちる。

「どうじゃ・・・」

「焼き鳥にしようかね・・・今、火を起こしよるけ」

「おすみは食い気じゃの」

そう言いながらおふさは二羽目をしとめていた。

嘉永七年の春のことである。これ・・・深夜アニメじゃないよね。

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2015年1月18日 (日)

がんばれ!生徒会役員諸君!叛旗を翻せ!シカタナイ星に・・・(広瀬すず)

雅なお方は父に告げた。

「革命分子は粛清するべきではないか」と。

雅なお方の父は告げた。

「粛清は粛清を呼ぶ。和をもって貴しを貫くのだ」と。

この国のぬるま湯のような暮らしが世界から羨望される由縁である。

あまりの豊かさにとんでもない無頼漢さえ許されるこの国。

天変地異さえも力に変えるこの国。

この国で革命を叫ぶことは愚かだが・・・たまには愚か者たちに光があたってもいいのではないか。

もちろん・・・あくまでそれがコップの中の革命だったとしても・・・。

で、『学校のカイダン・第2回』(日本テレビ20150117PM9~)脚本・吉田智子、演出・南雲聖一を見た。階級闘争において下位者の上位者へのアプローチは二つである。一つは肯定で一つは否定だ。たとえばスポーツにおいて上位者を肯定することは基本である。上位者の力量を肯定することは実力の向上において不可欠である。同時に勝負の世界では上位者の弱点を研究し、上位者の存在を否定しなければ下剋上は果たせない。弱肉強食のルールではこのバランスが大切になる。肯定だけの追従者はいつまでたっても奴隷であり、暴走する反逆者は抹殺される。革命とは天使のように大胆に悪魔のように細心に平和共存の世界を転覆させるものなのだ。

私立明蘭学園高等学校という幻想空間は・・・ある意味で落ちこぼれの吹き溜まりである。

学園を牛耳るプラチナ8は・・・言うならば上流階級からの脱落者なのである。

なぜなら本当に有能な上流階級の子弟は・・・この学園には入学しないのだ。

学園を援助する経済的に豊かなプラチナ8の親たちは不憫な我が子のための揺り籠を構築しているわけである。

社会に出れば喰われるしかない弱者に・・・せめて学園の中だけでも貴族的な気分に浸らせてあげたいという親心である。

誉田蜜子理事長(浅野温子)はそのお目付け役なのである。

だから・・・学園で問題を起こせば・・・自分自身の名誉に傷がつくという基本さえできないおバカなお坊ちゃん、お嬢ちゃんを管理しなければならないのである。

プラチナ8が自分自身が落ちこぼれであることから目をそらすために・・・玩具として与えられたのが・・・落ちこぼれの中の落ちこぼれである七人の生徒会役員なのである。

このドラマは特権階級の八人と・・・大多数の平民・・・そして七人の貧民で構成されている。

実は貧民の八人目は・・・学外にいて・・・明らかに異常者なのである。

カイダンの怪人・・・雫井彗(神木隆之介)が本当に車イスが必要な身体障害者なのかどうかは明らかではないが・・・貧民に特権階級への反逆を唆すのは・・・どうやら、傷だらけの制服に込められた怨念があるらしい。

実際の世界ではこうした怨みがましい知識階級が・・・民衆を巻き込んで不幸をまき散らすことは珍しいことではない。

だが・・・ここでは虐げられたものの逆転勝利を楽しむのが一興なのである。

奴隷が自由を求める気持ちも社会の原動力に他ならないからだ。

それがなくては・・・社会はより良いものにならないんだもんね。

もちろん・・・本当のゲリラなら・・・特権階級に表だって勝負を挑んだりしない。

陰湿に大衆を扇動して血の雨降らさないとね・・・。

生徒会長・春菜ツバメ(広瀬すず)は窮地に陥った生徒会副会長の油森哲夫(須賀健太)を救うためにプラチナ8の悪事を暴く弾劾スピーチを敢行する。このために油森は強制された自主退学を免れ・・・ツバメの最初の革命同志となるのだった。

しかし・・・このことはプラチナ8の女王・麻生南(石橋杏奈)の逆鱗に触れ、策士である香田美森(杉咲花)にツバメ抹殺を指示するのだった。

何故か通学バスが故障し・・・代替車両のレンタルが必要となる。

物凄く自主運営しているらしい生徒会はレンタル料金を預かることになる。

生徒会会計の脇谷玉子(清水くるみ)は学校から支出された十万円をツバメに放課後まで保管するように頼むのだった。

十万円は・・・金庫に入れるよね・・・普通などといってはファンタジーは楽しめません。

いつもは弁当持参のツバメだったが食堂で「特別ステーキセット」(五百円)を食べようとして制止される。

限定八食は・・・プラチナ8専用だったのである。

この学校は・・・プラチナ8が学園生活を楽しむために・・・運営されていると玉子はツバメに説明する。

すべての生徒会予算はプラチナ8のために使われているのだった。

「なんじゃ・・・そりゃ・・・」と転校してきたばかりのツバメは驚くのだった。

「だって・・・この学校はあのおバカな八人の裕福な親の方々の寄付で運営され・・・私たちはそのおこぼれでただで勉強できるのよ」

「どんだけ・・・親バカなんだ・・・」

もちろん・・・放課後までに・・・十万円は消えてしまうのだった。

「責任をとれ・・・」と何故か・・・生徒会役員たちに追及されるツバメ。

役員による賛成多数のリコールで会長職を解任されてしまうのである。

「まんまと・・・敵にしてやられるなんて・・・本当にアホだな」とカイダンの怪人。

「敵に・・・」

「パンツ見えてるぞ」

「・・・」

お茶の間には見せてくれないのか。

「まずは・・・身の回りの観察をしろ」

怪人に命じられ生徒会役員を尾行したツバメは・・・紛失した金が玉子から美森に渡されるのを見て衝撃を受ける。

生徒会役員たちは美森から命令して共謀して紛失事件を仕組んだのだった。

やがて・・・ツバメは役員たちの私生活を覗き見て・・・追い詰められた彼らを知る。

会計の玉子は・・・幼い弟たちの塾費用を稼ぐために学校では禁止されたアルバイトをしていた。

中華料理屋の息子の御手洗いるまは放課後、店の手伝いをしている。無事に高校を卒業して親孝行がしたいのだ。

書記のハタロウ(藤原薫)はトランペッターであり・・・学園内での演奏活動を続けるためにはプラチナ8の許しが必要だった。無能な彼らは才能あるものを憎むのである。

同じように広報の轟メガネ(柾木玲弥)は校内でマンガ家修行をするために・・・チョロリことちひろ(加藤諒)はロボット研究のために・・・プラチナ8の嫉妬から逃れる必要があったのだ。

「だからって・・・私を裏切るなんて・・・」

気持ちを確かめるために玉子の家を訪れたツバメは開き直った玉子の言葉を聞く。

「自分を守るためには・・・他人のことを庇う余裕なんてないの」

公園のブランコに揺られて玉子は告げる。

ブランコは時計の振子。

ブランコはタイムマシーン。

しかし・・・幼い頃の自由さを取り戻すことはできない。

ツバメはそれ以上、玉子を責めることはできなかった。

翌日、事態はさらに悪化する。

お金を持った玉子の弟妹の写真が素晴らしいインターネットの世界に流れ・・・窃盗犯として玉子が警察に通報されたのだった。

国家権力を導入したのは美森である。

事情を知りすぎた生徒会役員を一掃する陰謀ごっこのためである。

そんなことをしても学校の名誉が傷つき・・・自分たちが損するだけだ・・・という計算はおバカさんたちにはないのだった。

事が公になれば・・・おバカさんたちのバカ親に責任を追及されるのは必至の学校側は対応に苦慮する。

玉子は・・・このままでは犯罪者になってしまう・・・とツバメは告げる。

「ごめんなさい。すべては私の悪戯です。お金が紛失したことになれば・・・生徒会長を辞めることができると思ったのです」

この言葉に乗った蜜子理事長兼校長は警官に対処して・・・事態を穏便にすませる。

なかったことにしてもらったのである。

「なんであんなこと言った・・・」と怪人。

「玉子ちゃんを助けたかったから・・・」とツバメ。

「しかし・・・このままでは同じことが繰り返されるぞ」

「どうすれば・・・」

「ゲリラの村を作るんだよ」

「村を・・・」

深夜の生徒会室に召集された役員たち。

「シカタナイ星人の皆さん・・・こんにちは・・・私がシカタナイ教の教祖です」

「・・・」

「ここには・・・みんなの夢があります。復活したトランペット。ロボットの試作品。両親に食べさせたい御馳走のレシピ。書きかけの漫画原稿・・・」

「うわあ・・・返せ」

「私には夢があります。それはみんなの夢を叶えること・・・」

「・・・」

「一人の小さな手・・・何もできないけど・・・」

「いつの時代だよ」

「それでもみんなが手と手を合わせれば何かできる」

「え・・・君と握手を・・・」

男子生徒会役員は全員・・・魔女の軍門に下ったのである。

「この平和な国では・・・団結して・・・法を犯さなければ何でもできるのです。サリンを撒いたりしなければいいのです」

「一体・・・何を・・・」

「さあ・・・自由を求めるこの旗の元へ集いなさい」

流れで集う七人だった。

ツバメが救った生徒会副会長と会計。そして・・・四人のツバメの手を握りたい男子である。

「一体何を・・・」

「ステーキナイフをステーキに刺すのです」

「刺すのは・・・フォークなんじゃ・・・」

翌日・・・団結した生徒会役員一同は・・・プラチナ8よりも早く・・・ステーキセットの食券を購入するのだった。

デブのいるまは二人前食べた。

革命の狼煙はあがったのだ。

赤信号、みんなで渡ればこわくないは革命の基本なのである。

束の間の勝利に湧く七人の革命戦士たち・・・。

しかし・・・彼らはまだ知らない。

食いものの怨みの恐ろしさを・・・。

とにかく・・・8VS7+1の対立構造が構築されたのだった。

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2015年1月17日 (土)

ウロボロス〜この愛こそ、正義。なーんちゃって(上野樹里)

毎度おなじみの幻想の特権階級ものである。

たとえば、政権与党か巨悪だとすると・・・日本の過半数以上は悪にくみしているわけである。

悪を抹殺するためには国民の半分を虐殺しなければならない。

そのためには国民の半分が決起しなければならないのだ。

それは無理だと小学生でもわかるために・・・この国では革命が起こらない。

さらに・・・革命が起こったとして・・・革命に参加した全員が支配階級になることはシステム上できない。

そうなると権力闘争が起きて新たなる支配階級が出来上がる。

その闘争に勝利する自信が多くの人にないので革命は起こらない。

中学生くらいになるとわかる話である。

そうなれば・・・一部の成績優秀者は・・・地道な努力で官僚となる。

そうでない人は・・・なんとなく不満を抱えながら・・・こういうドラマを見るのかもしれない。

多くの人間は悪にまみれて生まれ悪にまみれて生きて行くしかないのだから。

で、『ウロボロス〜この愛こそ、正義。・第1回』(TBSテレビ20150116PM10~)原作・神崎裕也、脚本・古家和尚、演出・石井康晴を見た。ウロボロスは「尻尾食い」の意味である。古代から伝承される紋章で様々な分岐があるが・・・基本は蛇が口で尾を咥えた円である。つまり、○を蛇の首尾であらわしている。これは世界が一つであることを意味している。次に蛇が竜となっている場合がある。竜は雌雄一対となり雌竜が雄竜を雄竜が雌竜の尾を咥え○になっている場合と、∞の両輪を形成する場合がある。前者はこの世の二極化を示す。勾玉二つの陰陽の文様などはこのバリエーションである。後者は世界の永遠性を示す。ここまでくるとその意味するところは善と悪の永遠の葛藤や・・・男女の営みを示すようになる。どちらにしろ・・・それは不完全なものが抱える完全なるものへの憧憬を含んでいる。なにしろ・・・滅びぬものなどこの世にはないからである。

児童養護施設・まほろばの施設職員・柏葉結子(広末涼子)が何者かに殺害された。

柏葉結子を慕っていた二人の少年は金時計を持つ男が事件を闇に葬ったのを知りつつ、なす術なく時を過ごす。

しかし・・・二人はウロボロスのペンダントに復讐を誓っていた。

二人の少年は・・・事件の背景に・・・警察権力と闇社会の癒着があることを感じていた。

金時計を持つ男を追い詰めるために二人は・・・光と闇に別れて潜伏する。

やがて、嗅覚に優れた龍崎イクオ(南出凌嘉→生田斗真)は新宿第二警察署刑事課の警察官に・・・。画力に優れた段野竜哉(小林喜日→小栗旬)は裏社会の下部組織・松江組の若頭となっていた。

イクオは警察情報を竜哉に流し、竜哉はイクオに暴力団情報を流し、お互いの手柄にして出世街道を昇っている。

すべては・・・社会の上流に潜んでいる金時計の男を捜し出し、柏葉結子の仇を討つためなのである。

竜哉とイクオにとってはそれだけが正義・・・その他のことは悪なのだ。

しかし・・・金時計の男の正体はまだ謎に包まれている。

犯人検挙率第一位のイクオの相棒となったキャリア組の日比野美月刑事(上野樹里)は検挙率とイクオの能力の落差に不審を感じる。

しかし・・・妙に鼻が利くイクオに食生活を見抜かれ・・・思わず「嗅ぐな」と命じるのだった。

美月の父親の日比野圀彦(光石研)もキャリア組で警視庁勤務だが・・・何故か、娘とは疎遠らしい。

しかし・・・イクオの周辺に何故か姿を見せる。

偶然なのかどうかはまだ不明である。

イクオと美月の上司である三島刑事課長(吉田鋼太郎)は好人物らしいが油断はできない。

隣接する新宿第一警察署刑事課の蝶野刑事(滝藤賢一)はイクオの成果に不審を感じている。油断はできないが殉職もしそうである。

新宿で男性の転落死体が発見される。

美月は「自殺」と見なすが・・・死体の口臭を嗅いだイクオは「自殺する前に餃子なんか食べるでしょうか」と疑問に思うのだった。

餃子好きなら食うだろうとお茶の間の半分は突っ込んだことだろう。

転落死した西田の遺族を訪問したコンビは・・・傷心の母娘と出会う。

娘の由紀菜(山田望叶)は「父親は誕生日のプレゼントを買ってくれる約束をしていた・・・自殺なんかしない・・・誰かに殺されたんだ・・・想像の翼をひろげたから分かる」と主張する。

イクオの中に幼い日の悪夢が蘇る。

「生きていたかったら・・・この件は忘れろ」と告げた金時計の男。

美月は「買えなくなったから自殺したのかもしれない」とは言わなかった。

一方、転落現場近くで車上荒らしが発生し、防犯カメラの映像から常習犯の沢渡(中村蒼)が容疑者として浮上する。

しかも・・・映像の中の沢渡は・・・転落の瞬間を目撃しているかのようだった。

沢渡の捜索を開始するイクオと美月。

一方、竜哉は手下の深町(ムロツヨシ)から対立組織の坂田組の情報を入手する。

転落死した西田は坂田組が黒幕の坂東運輸の社員だった。

坂田組は銃の密輸に手を染めており・・・西田の死はそれに絡んでいる。

西田は何らかの企業秘密を知ったために殺されたのだった。

口封じの魔の手は残された母娘にも及ぶ。

母娘は埠頭の水中から発見されるが・・・情に溺れた坂田組員の失策で・・・由紀菜は息を吹き返す。

「お母さんも死んだんでしょ・・・犯人を殺して」

「警察は人殺しはできないんだ」

「じゃ・・・あたしはどうすればいいの」

唇をかみしめるイクオと美月。

しかし・・・坂田組の西田殺しの犯人は殺害され・・・麻薬がらみのトラブルで沢渡が捜査線上に浮かぶ。

だが・・・イクオは・・・沢渡が犯人とは思えなかった。

イクオに公衆電話から電話する沢渡。

「俺やってないっす」

「俺もそう思う」

「俺見ちゃったんす」

「何を見た・・・」

「・・・」

「沢渡」

沢渡は死体となって発見される。

死体からは麻薬が発見され・・・走り書きの遺書も残されていた。

しかし・・・麻薬の匂いを嗅いだイクオは・・・真犯人を直感する。

捜査にあたった警視庁四谷北署の石森警部(嶋田久作)が同じ匂いをさせていたのだった。

坂田組と癒着していた石森警部は・・・西田殺しに手を貸し・・・顔を沢渡に見られていたのだった。

「犯人はあなたですよね」と深夜の人気のない路上で石森警部を問いつめるイクオ。

「ゲストの被害者が中村蒼で真犯人が俺って・・・結構、豪華だろう」

「ですね」

「警察ってのは・・・犯罪するにはもってこいの組織なんだ・・・一緒に甘い汁・・・吸おう」

「お断りします」

「じゃ・・・死んでもらうぜ」

だが・・・竜哉がバイクで駆けつけ・・・石森は捕獲される。

「聞きたいことがあるんだ」

「なんで・・・お前が・・・こいつと・・・」

「質問しているのは俺だ・・・まず指を一本切り落とす」

「え」

「こいつと違って・・・ヤクザは何でもやれるんだ」

「何が聞きたい・・・」

「金時計のこと・・・知らないか」

「金時計組か・・・噂には聞いたことあるな」

「金時計組」

「風もないのにぶらぶらしてるんだ・・・すごいエリート集団だから・・・」

「なんじゃそりゃ」

「それ以上のことは知らない」

「そうか・・・じゃ・・・さよなら」

「質問に答えただろう・・・」

「反省してても死ね・・・後悔してても死ね・・・償いたくても死ね・・・ 選択肢なんて他にねえんだよ・・・腐った警察官は殺す」

「えええええ」

石森の頭蓋は自分の拳銃の銃弾で粉砕された。

由紀菜は親戚の家に引き取られることになった。

その耳元に囁くイクオ。

「犯人ぶっ殺したよ・・・これは二人だけの秘密だよ」

「刑事さん・・・ありがとう」

由紀菜は微笑んだ。

「あの子に何を言ったの・・・」

「それは秘密です」

「油断できないわね・・・」

美月はイクオに疑いを持つ。

美月の耳元で蝶野刑事が囁いた。

「あいつの目・・・あれは刑事の目じゃないよね・・・あれは犯罪者の目だ」

「つまり・・・犯罪刑事ってこと」

「それは・・・テレビドラマの話だろう」

「でも・・・刑事が善人とは限らないし・・・犯罪者が悪人とは限らないのよね」

「警官がそれを言っちゃダメですよ」

「でも・・・そういうドラマみたいデス」

これって・・・谷間発生か?

とにかく・・・路上で尋問はやめてほしいよね。

ありえない話がありえない感じになるから・・・。

百舌鳥が枯れ木で桜吹雪の果てだけに・・・。

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2015年1月16日 (金)

女に生まれてとがりながらふるえている問題のあるレストラン(菊池亜希子)

菊池亜希子といえば映画「森崎書店の日々」(2010年)で鬼畜男子に失恋して傷心を神田の古本屋街で癒す三浦貴子を演じて鮮烈な印象を残している。

そんな菊池亜希子だから・・・男尊女卑の自覚なき男社会で凌辱され泣き寝入りする女性という困難な役柄を見事に演じるわけである。

メッカの男・マホメットの説くイスラム(神の奴隷)教は千年の時を越え、それなりに変質しているが、預言者自身が多妻主義者であったために男女の不平等を根本に宿している。

結果として、男女不平等の歪みを顕在させ・・・異端で過激な男尊女卑を実現させているのだった。

「女に教育が必要ではない」という信念は「女の学徒」を迫害し、「女が男の所有物である」という曲解は「女生徒」を誘拐し、「人間爆弾化」することを辞さない男たちを生みだす。

そういう「宗教」に対して寛容であることは・・・男女平等社会にとっては危険極まりないことである。

「宗教を風刺すること」を「表現の自由に属さないこと」と土下座してしのごうとする日本の大新聞の姿勢は・・・このドラマで描かれる超ブラックな男尊女卑の姿勢を持つ企業と瓜二つなのである。

「その人について語ることがタブー」という流れがどんな歪な社会を作りだしたか・・・日本人ほど身に沁みて知っているものはないはずだろうに・・・。

で、『問題のあるレストラン・第1回』(フジテレビ20150115PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。もちろん、日本社会においては良識が支配し、ゆっくりとだが・・・男女平等社会は実現の方向に向かって進んでいるように見える。しかし、男女比に対して、政治でも経済でも支配的なのは明らかに男性である。日本ではまだ女性総理大臣が誕生しておらず、東大生の五人に四人までは男性なのである。男性と女性の学力に大きな開きがない以上・・・それが男尊女卑の結果であることは火を見るより明らかだ。そうした歪みは局所では信じられないような現象を引き起こすのである。

問題意識からはかけ離れた前向きで仕事好きな三十二歳の女性・田中たま子(真木よう子)は逆さに読んだらこまたかなたである。小股が切れあがって彼方にまで波及しているいい女なのだ。もちろん、下ネタである。

雨木太郎(杉本哲太)が一代で築きあげた大手飲食会社「ライクダイニングサービス」に勤務していた仕出し会社が吸収合併され、たま子は社員となる。

「働いて食べて寝る」だけで満足できるたま子は「ライクダイニングサービス」が企画する「シンフォニック表参道」というビストロの出店のために全力を注ぐ。

しかし・・・「ライクダイニングサービス」は時代に逆行し、女性に対するセクハラを一切禁止しないことで業績を伸ばしてきた恐ろしい会社だったのである。男尊女卑でいいと言われただけで実力が発揮できる恐ろしい男性社員の吹き溜まり・・・それが「ライクダイニングサービス」の実態だった。

直属の上司である土田数雄(吹越満)は「三十過ぎた女性社員は不要、子供を生まずに働く女は負け組、痴漢に遭うのは女が馬鹿だから」という精神構造で・・・女性社員を奴隷のように使役するのだった。

そういう社風が許されるのは窓際族である西脇太一(田山涼成)までが男尊女卑を貫徹し、女性に権利を主張させない陰湿な空気を醸しだすからである。

「ライクダイニングサービス」の女性は男性社員に体を触られても感謝しなければならないのである。

しかし・・・従順な神経の持ち主であるキラキラ巻き髪量産型女子・川奈藍里(高畑充希)は「女の敵は女」理論で男に阿り、この会社に順応する。つまり・・・女さえもが男尊女卑に融合するのである。

しかし、東大出身の新田結実(二階堂ふみ)は優秀な頭脳で・・・「これはちょっとおかしいんじゃないか」と気がつくのである。

ウエイトレスの制服会議で「ストッキングを脱いで生足を見せろ」と言われた時・・・結実は愚民たちに「愚民どもめ」と吐き捨てて退社を決意するのだった。

しかし・・・自分が女だと自覚しない風のたま子は・・・仕事に専念する。

やがて・・・たま子は高校時代の剣道部仲間の藤村五月(菊池亜希子)が同僚であることを知る。

実家がレストランである五月はたま子と同様に情熱を持って働いていたが・・・男尊女卑の社風に押しつぶされて廃人のようになっていた。

何があったかは知らぬままにたま子は「秘伝のレシピ」の提供を呼びかけ、五月の事業部参加を約束させる。

ビストロ「シンフォニック表参道」出店のために・・・恋人の国際コンクールに入賞した天才料理人・門司誠人(東出昌大)をシェフとしてスカウトし、ゲイのパティシェである几(おしまづき)ハイジ(安田顕)の雇用も決めたたま子だったが・・・気がつくと手柄はすべて土田部長に奪われ、ゲイであるハイジは社風に沿わないという理由で排除され、五月の復帰も叶わず、恋人のシェフは藍里に寝とられるという結果となる。

その結果さえ、笑って受け入れたたま子。

しかし・・・五月が受けた仕打ちを知った時・・・堪忍袋の緒が切れるのだった。

五月は不細工な同僚からストーカー行為をされたあげくに人事による裁断で子会社に飛ばされ、本社の尻拭いのために見捨てられそうになった子会社の窮地を救うために重役会議で全裸で土下座させられていたのである。

会社を訴えようと決意した五月は男尊女卑社会における女の敵である女だった母親に「恥ずかしいからやめてくれ」ととどめを刺されて廃人になっていたのだった。

「みんなをぶっ殺してやりたかった」と去っていく五月のために・・・五月を辱しめた男たちに冷や水を浴びせるたま子。

社長を目前にして警備員に捕獲され・・・警察に引き渡されるのだった。

たまたま・・・その場に居合わせたのが・・・もう一人の天才シェフで・・・雨木太郎の娘と生まれ・・・極度の人間嫌いになってしまった雨木千佳(松岡茉優)だった・・・。

ここまで・・・朝ドラマの関係者である「あまちゃん」の駅長、「あまちゃん」の観光協会長、「ごちそうさん」の夫、「ごちそうさん」の義妹・・・すべてが極悪のろくでなしだったが・・・どうやら埼玉出身のリーダーだけは善玉側にとりこめるらしい。まあ・・・基本、誰だかわからないスタイルですがああああああああっ。

完全に朝ドラをおちょくってるよね。

もちろん・・・たま子の中に復讐の炎は赤く燃えるのだった。

憎き仇の「ライクダイニングサービス」が出店するビストロ「シンフォニック表参道」の向いにある雑居ビルの屋上に・・・集合をかけるたま子。

そのメンバーは・・・仕出し屋時代の同僚のソムリエ・烏森奈々美(YOU)、覆面の天才シェフ・雨木千佳(家出中)、東大出身の新田結実、一流の腕を持つパティシエ・ハイジ、そして、たま子と五月の高校時代の友人で・・・夫の森村真三(丸山智己)と息子の洋武(庵原匠悟)の親権をめぐり離婚調停中の専業主婦・鏡子(臼田あさ美)だった。

「一体・・・何をする気なの・・・」

「ここでビストロをします」

「屋根もないのに・・・」

「ちんちんついてないのは女性の欠陥ですか」

「下ネタかよっ」

「やりますよ・・・シンフォニック表参道を・・・ぶっつぶしてやりますよ」

「・・・」

「悔しさを握りしめすぎたこぶしの中で爪が突き刺さってますから」

こうして・・・たま子の復讐劇は幕をあげるのだった。

とにかく・・・たき火好きな男でなくても・・・火の気がないと・・・インフルエンザに・・・。

どうやら・・・坂元裕二の素晴らしい世界がまたひとつ増えるようだ。

ここには気持ちのいい表現があるから。

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2015年1月15日 (木)

〇〇妻(柴咲コウ)VS残念な夫。(玉木宏)・・・狂気と驚喜の交差点

・・・おい。

「ママ妻(倉科カナ)VS残念な夫の父。(平泉成)」でもよかったけどな。

・・・そういう問題じゃないぞ。

「○○(まるまる)妻なのか〇〇(ゼロゼロ)妻なのかVS残念な夫なのか夫の残念な気持ちなのか。」とかね。

・・・マジでVSするのか。

選べないんだよ。灰色の脳細胞が劣化して選択力も決断力も低下してんだよ。えっえっえ。

・・・泣くなよ。

とにかく・・・時間をください。

・・・まあ、いいか。

で、『残念な夫。・第1回』(フジテレビ20150114PM10~)脚本・山崎宇子、演出・西坂瑞城を見た。表面上は・・・専業主婦ドラマ対決なんだよな。で、こちらは・・・共働き主婦から見れば何贅沢言ってんだと言われかねない乳幼児を抱えた専業主婦の話と言えないこともないのである。おい・・・まぜるなよ。

で、『○○妻・第1回』(日本テレビ20150114PM10~)脚本・遊川和彦、演出・猪股隆一を見た。たが、こちらは子供のいない専業主婦ではなく・・・出産以外の主婦業務を営む高級家政婦の話である。つまり・・・売春妻なのである。いや・・・妊娠の可能性あるから・・・肉体交渉はないかもしれない。その場合は「自慰夫」だ。

まぜるのか。

もう・・・頭の中でまざってしまいました。

つまり・・・ひかり(柴咲コウ)は久保田正純(東山紀之)の住み込みの女中さんなので・・・単に妻風なのである。肉体関係がなければ「内縁の妻」でもないのだ。それが作者の理想なら・・・ドラえもん妻と言っても良い。なにしろ・・・困った時は必ず助けてくれるのだ。

だから・・・クボタ家に比べれば・・・榛野陽一(玉木宏)が大人になれないダメ夫で・・・榛野知里がちょっぴり甘えん坊のダメ妻でも・・・まともな夫婦のハルノ家なのである。もちろん・・・男女雇用機会均等法にのっとった理想の共稼ぎ夫婦なら・・・夫が育児はもちろん家事を分担するのは当然と言える。

もちろん・・・陽一はまだ・・・自立していない大人なので・・・子供に対して無関心すぎると言う視点はある。

だが「俺様」にそんなこといってもムダだと言う気がする。

もちろん・・・バスケットボールのファンであるという趣味は所詮、趣味である。

バスケットボールのスタープレーヤーと同じ待遇を家庭内に求めるのは馬鹿げているのだ。

しかし・・・子供に「大人になれ」というのは無理なのである。

じっくり・・・時間をかけて仕立てていかないとねえ。

別に迷う事はないです

僕に決めた方が絶対いいと思う

子供好きだし

夜遊びしないし

「妻が出産後の育児ノイローゼで夫が無関心・・・夫婦仲が冷え込み、離婚に至るケースも珍しくないという現代。子育てにあって・・・夫や妻であることを越えて人間らしくあるとはどういうことなのか。一度じっくりと話し合ってみることが大切だと私は思う」

○○妻ひかりの雇用者である正純がメインキャスターを務めるニュース番組「ニュースライフ」を見ればいいのに・・・陽一は暇があれば・・・「NBA」の「スポーツ中継」に熱中する。

自分では高級な趣味だと思っているが・・・単なる自堕落である。バスケットボールチームをサポートする前に自分の妻をサポートしろよという話である。

しかし・・・一家の夫である前に素晴らしい社会人であることを条件付けられたらしい陽一は「大切な家庭行事」よりも「顧客に対するフレントドリーな時間外サービス」や「見ず知らずのお年寄りへの奉仕活動」を楽しく感じるダメ人間なのである。

それが「ダメ」だと感じないあなたもダメ人間の可能性があります。

そんなダメじゃない人間ばかりだと社会が殺伐としてこないか。

社会なんて基本的に殺伐としてんだよ。気をつけろっ。

陽一の両親は未登場だが・・・知里の父親・牧田仁輔(石倉三郎)は登場する。立派な漁師らしい・・・頼りない娘の夫を明らかに案じているのだった。

実家近くで出産した知里の出産に一応、立ち会った陽一だったが・・・出産という修羅場に耐えきれず失神するという不甲斐なさである。

そういう繊細な人間は・・・我が子といえども・・・排泄物という不衛生なものに対する嫌悪感から逃れることができないのだった。

まあ・・・ウンチまみれになっても平気だというのも困るけどな。

しかし・・・掌で吐瀉物を受けとめたり・・・信じられないほど便のつまった便器を開通させたりするのはある意味「男の仕事」である。

だが・・・母親の排泄物を洗濯し、汚れた布団を干す人間に美しい詩が書けるのか・・・それは何をもって美しいと感じるかという話だ。

一方で・・・すでに子育てが一段落したホソイ家。

住宅会社「ルフタホーム」で陽一の上司である細井茂(岸谷五朗)は先輩として陽一にアドバイスするが・・・子供グッズの店「キュリアス」でパートとして働いている妻の美和子(大塚寧々)や一人娘の高校生・美香(生田絵梨花)からは空気として扱われている。

美和子は美香と友達母娘のつもりであるが・・・美香からはそろそろ妖しい空気が立ち始めているらしい。

乳腺炎を発症し・・・交差点で身動きできなくなる知里を美和子は救助する。

悪気はないのだが・・・緊急連絡をスルーする陽一だった。

知里は・・・笑顔で離婚届を準備するのだった。

ピアスはとても素敵

外は白い雪

バスタブに敷きつめた

赤いバラの花

「おじいちゃん・・・このお線香いい香り」

お線香の会社がスポンサーのニュース番組って大丈夫なのかと番組プロデューサーの板垣(城田優)は危機感を感じつつ、正純に相談を持ちかける。

ひかりに出会ってからの六年間で・・・貧乏なジャーナリストからメインキャスターにまで登りつめた正純だが・・・実は危ういフリーランスである。

そんな正純を影からコントロールしているのも・・・ひかりなのだった。

ひかりの的確なアドバイスが正純を成功に導いているのである。

なにしろ・・・ひかりは・・・出演を渋る文豪を尾行、盗撮して・・・脅迫までやってのけるのだ。

「お前は忍者か」と叫ぶ正純だった。

正純の両親は・・・作太郎(平泉成)と仁美(岩本多代)の夫婦。

家族の前で「俺は女運がない」と罵る作太郎は・・・脚本家の大好きなダメな父親である・・・投資に失敗して自暴自棄になった挙句に脳梗塞で入院。意識不明の重篤な状況である。

仁美を引きとることになった長女の美登利(渡辺真起子)は小学校お受験中を控える成美(平澤宏々路)と中学校受験に失敗した大輝(浦上晟周)を抱え迷惑顔。

続いて引きとった次女の実結(奥貫薫)は不安定な性格で宗教がらみのマルチ商法を母親に手伝わせる外道である。

ひかりは土下座して・・・「ウチで・・・お母さまの世話をさせてください」と嘆願するのだった。

夢にまで見たマイホーム

エプロン姿のおねだりワイフ

趣味のスペースを削られ、教育資金積み立てのためのお小遣い制度導入に抗って家出した陽一は小学生なみの感覚で町内を一周して帰宅。

義父の置き土産である・・・出産ビデオを一人見る知里と・・・生みの苦しみに・・・心を打たれ改心する。

しかし・・・娘のウンチの世話はどうしてもできないのだった。

知里はそんな夫を残念に思う。

日なたぼっこはバルコニー

悪魔のプレゼント

一方で・・・非のうちどころのない妻には重大な秘密があった。

正純の取り出したのは婚姻届。 

正純とひかりは未婚だったのである。

ひかりは三年ごとの契約更新を求める。

「ずっと一緒にいたいんだ」

「あなたには変わらずにいてほしいのです」

「じゃ、結婚しよう」

「お断りします」

「じゃ・・・出ていけ・・・」

出て行くひかりだった。

ひかりを待ち受ける謎の女・千春(黒木瞳)・・・。

知ったことではないが・・・もちろん・・・ひかりには想像を絶する過去があるんですね。

ビビリバブーノ

バビレバブルー

ぶたはぶた だから

ぶた語が わかる

一方・・・「出産後の妻と喧嘩しても・・・勝ち目はないですよ」と陽一にアドバイスをする謎の男(温水洋一)・・・。

謎の女と謎の男が夫婦である確率は・・・異次元境界線的に低いと言える。

どういう結論なんだよ。

とにかく・・・たくさんのたくさんの家族から目が離せない水曜十時なのです。

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信長協奏曲

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2015年1月14日 (水)

まっしろってか・・・てぃひ(志田未来)フーテンのナースですよお(堀北真希)

カピラヴァストゥの男・シッダールタは鬱を発症し、「生と死の間には老いと病しかない」と思い詰めた。

そのあげくに「思いのままにならないまでも好きにやりたい」と家出をするのだった。

楽しいことが考えられないというのはつらいものだ。

しかし・・・老いていく不安、病による苦しみを楽しめるのは変態だけなのである。

老いて病む人々は悩み苦しむ心をもてあまし癒しを求める。

たどりつく場所が病院である。

そこが癒してくれなかったらどうしよう・・・という話である。

もちろん・・・病院は永遠に楽にしてくれたりもします。

そういう意味では病院の門には「一切の望みを捨てよ」と見えない文字で書かれている場合があるのです。

で、『まっしろ・第1回』(TBSテレビ20150113PM10~)脚本・井上由美子、演出・今井夏木を見た。「野ブタ。をプロデュース」の木皿泉を別にすれば・・・あまり脚本家に恵まれているとは言えない主人公である。逆に言えば女優として得体のしれない美しさだけでここまで生き抜いてきたのだった。だから・・・今回は相当にまともな脚本家なので・・・かなり期待しているのである。「クロサギ」の篠﨑絵里子、「イノセント・ラヴ」の浅野妙子、「梅ちゃん先生」の尾崎将也を越える堀北真希を見せてもらいたい。

得体のしれない看護師の有村朱里(堀北真希)は・・・老人病棟で人気の看護師だったが・・・別の女(松山メアリ)と結婚する恋人・春日誠吾(細田善彦)から手編みのマフラーを返却され・・・新天地を求めて旅立つのだった。

求めるものを得られず、愛する者に別れを告げられ、憎き恋仇に見送られ、この世は思いのままにならないことだらけだが・・・前向きに生きるフーテンの寅さんのように・・・朱里がたどり着いたのは・・・自由診療制度が実施される近未来の病院・東王病院である。

そこでは「貧乏人は死ね、金持ちは長生きしろ」という誠に理にかなったシステムで病院が運営されているのだった。

なにしろ・・・高度医療というのは金がかかるものなのである。

経済的に恵まれていない上に健康でない人は早死にした方が楽だよね。

・・・そのくらいにしておけよ。

苦痛に喘ぐ貧乏人には・・・安価で安楽死させてくれるシステムも導入するべきだし。

おいっ。

高級ホテルのような店構えの東王病院にとってもちろん。患者はお客様なのであった。

そのある意味、地獄の門で・・・朱里は・・・留学帰りの若手外科医・仲野孝太郎(柳楽優弥)と運命的・・・かもしれない出会いを果たす。

精一杯のおしゃれをしていた朱里には目もくれず、孝太郎は悪態をつくのだった。

「こちらは完全紹介制ですよ・・・」

「高級クラブかっ」

「病院です」

「最悪だな・・・」

「そこまで・・・言わなくても・・・能力に見合うお給金をいただくために・・・相応しい職場があってもいいじゃないですか」

「君は医者か」

「看護師です」

「なあんだ」

「なあんだって・・・なんですか」

「別に・・・ははは・・・なあんだ・・・ははは」

「お前は・・・アオイホノオの人かよ」

看護師相手に熱くなっても時間の無駄だそんなことよりも世界中の患者のために俺が俺であることを貫き通し天才として神の手を磨くことこそが宇宙で最も正しい行為なのであるという暴走オーラをまき散らしながら一旦退場する孝太郎だった。

気を取り直して東王病院に出撃する朱里。

その心に踊る野望は・・・。

「政治家やお金持ちや芸能人がいっぱい入院してるセレブ病院で超セレブと恋に落ちて玉の輿に乗ってやる・・・ナイチンゲール様、ごめんなさい」

・・・なのである。

その身を包む白衣と時代遅れのナースキャップは幸せになりたい夢みたいな恋がしたい女の戦闘服であり戦闘帽なのであった。

まさに・・・コスプレ風俗店と紙一重の精神なのだった。

しかし・・・芸は売っても身は売らぬ朱里のスカートの裾は膝小僧ギリギリである。

そんな・・・朱里を待ち受けるのは・・・東王病院の看護師軍団。

ナースキャップに階級を示す真珠を散りばめている三ツ星ナースの看護師長の田野島心(木村多江)を頂点とする白き大奥のメンバーたちである。

顔採用枠の明日香(菜々緒)、体採用枠のさくら(MEGUMI)もいれば・・・腕の達者な慶子(竹内都子)や美玖(伊藤麻実子)、プライベートも充実しているとし恵(西尾まり)など様々である。

別格で・・・看護師長であるしずか御前に敵意を燃やす手術(オペ)看護師の赤い看護服の恵(水野美紀)もいるのだった。シャアか・・・シャアなのか。

そして・・・朱里と同じくナースキャップが無印の・・・新人看護師が二人。

どちらかといえば・・・ビジュアル系でスカートは膝上二十センチの木綿子(高梨臨)・・・そして・・・正体不明の方言ちびっ子医療おタクでスカートは膝上十センチの菜々(志田未来)である。志田未来は・・・どんどん人間離れしていくな。

そうなんだな・・・ついに・・・堀北真希と・・・志田未来が雌雄を決する時が来たのである。

そういう話じゃないぞ・・・そうなのかっ。

しかし・・・仮採用のトリオたちはなんだかんだ助けあうらしい。

「ホスピタリティー」のなんたるかを知らない朱里に・・・「おもてなしの心のことよ」とアドバイスする四ヶ月先輩の菜々だった。

アセンブリ(情報共有のためのミーティング)で野々村ひろみ(福田彩乃)は「顧客情報の流出」の罪で裁かれ解雇されるのだった。

「本日も清らかな笑顔でお客様のお世話をいたしましょう」

こうして・・・新世界での朱里の仕事と恋のバトルが始るのだった。

しかし・・・なにやら理由ありな影のある木綿子は・・・「玉の輿に乗った前例はない」とか「医者だけはやめておけ」とかいろいろと朱里に釘を指すのだった。

ここまでで・・・かなり盛り過ぎである。

新しい医療制度の職場。

歓迎会でお酌の順番もままならぬ複雑な女たちの人間関係。

そして・・・ヒロインの恋の野望。

さらには堀北真希VS志田未来・・・そこはお前だけな。

まあ・・・様々な要素が絡み合い・・・いい味だしてくれるといいよね。

さて・・・レギュラー患者としては・・・「原稿用紙の色にうるさい」・・・病気でもないのに入院している直木賞作家の大江淳平(眞島秀和)もいます。

ようやく・・・ドクターである。外科医・小村(水上剣星)、主任外科医・辰見(津田英佑)、総合外科センター長・佐藤(石黒賢)がいて・・・当然の如く新人・孝太郎がこれに加わるのだった。

そして・・・「神の手」を持つ外科医の北松敬三(鹿賀丈史)が・・・脳腫瘍患者として入院中である。

ゴッドハンド北松は「後遺症」を恐れ手術を拒否するのだった。

弁護士をしている一人息子の亮太(渡辺大)に連絡することも拒否している状態だった。

そんな厄介な患者の・・・担当になる朱里。しかも・・・担当医は孝太郎である。

人材不足してるのか・・・それとも・・・ゴッドハンド北松は・・・ここではそれほど上客じゃないのか・・・。

息子が弁護士と聞いて邪な闘志を燃やす朱里。

患者のプライベート情報にアクセスして・・・亮太の連絡先を突きとめる。

「お客様のご意向に反することですよ」と指摘するスカートはひざ下の看護師長。

「担当ナースの責任として・・・万一に備え・・・ご家族の連絡先を・・・」

「担当ナースの責任で行うことは尊重しましょう」

「え・・・」

「問題があったら責任をとってもらいますから」

「えええ」

そして・・・ゴッドハンド北松の容体は急変・・・患者が意識不明のまま・・・緊急手術の必要に迫られる事態となった。

父親の意志に反し・・・医者にならずに弁護士になった息子の亮太は逡巡する。

「手術によって・・・父がゴッドハンドを失ったら・・・また親不孝になるのでは・・・」

「生きていてほしいと・・・言ったでしょう・・・お父様の命がすべてです」

下心丸出しで・・・患者の息子に天使をアピールする朱里なのである。

「わかりました・・・」

同意書にサインをする亮太だった。

「看護師長・・・こうなるのを予測していたのですね」

「安心するのは早いわ・・・責任とるのはあなただし」

「えええええええええ」

手術室では・・・帝都大教授のジュニアで・・・アメリカのマクローリン医科大学を飛び級で卒業・・・ジョセフ・ハント大学病院にて数々の難しいオペを経験してきた脳外科医・孝太郎は・・・冷や汗たらたらで立ちすくむのであった。

俺にとって簡単な手術だが簡単な手術だけにもし失敗したら俺は簡単な手術を失敗したという大きなダメージを受けるわけでそれを考えると絶対に失敗できないわけでしかし手術に絶対は禁物なわけで・・・的に硬直した模様である。

しかし・・・赤い彗星オペ看・恵は二十年選手として新人パイロットを誘導するのだった。

「大丈夫・・・あなたはできるよ・・・深呼吸して・・・メスをしっかりもって・・・切るべきところを切るだけだから・・・」

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

「十年後には・・・きっとゴッドハンドになれるから・・・」

「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」

「さあ・・・やってみせて」

「孝太郎、いきまあす」

シャアじゃなくて・・・アルテイシアだったのか・・・。

結局・・・後遺症が残る結果に・・・。

「俺は終わりだ・・・」

「手術ができなくたって医者でしょう・・・何より・・・息子さんはあなたに生きていてほしかったのよ」

「・・・・・・」

「神はあなただけじゃない・・・執刀医もあなたを助けたいと真剣にオペをしたし・・・息子さんはあなたの無事を心から祈っていた・・・私には二人とも神様に見えました」

「ふん・・・言うじゃないか・・・できれば俺の息子の嫁にしたいくらいだったぞ」

「え・・・」

そこへ・・・美人妻と乳児を伴って登場する亮太。

「父さん・・・孫だよ・・・抱いてってくれないか」

「おかしいな・・・手には感覚がないのに・・・暖かい」

「えええええええええええええええええ」

ヒューマンドラマが展開する横で・・・失意のどん底に落ちる朱里だった。

「指輪してなかったのに」

「指輪をしない既婚者なんていくらでもいるよねえ」と菜々。

「あんたって・・・マフラーとか編んじゃうタイプよね」と木綿子。

「だって・・・私は・・・みんなから羨ましがられる素敵な人と恋がしたいんだ・・・」

果たして・・・毎週失恋するためにどれだけイケメンがキャスティングできるか・・・。

妖しい薬をさくらが注射したり・・・センター長と明日香が肉体関係があったり・・・忍びのナースがいたり・・・いろいろとあったとしても・・・。

寅さんものとしては・・・そこが肝心だよねえ。

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海の上の診療所

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2015年1月13日 (火)

オリエント急行殺人事件と忠臣蔵まぜちゃいました(小林星蘭)

古典に親しむのはいいことだと思う。

「オリエント急行の殺人/アガサ・クリスティー」を未読の人は意外と多いわけで、映画「オリエント急行殺人事件」(1974年)を未鑑賞の人も今や多いと思える。

たくさんの人が犯人とか、列車内ミステリーとか・・・そういうなんとなく知っているコレのコトをお手軽に全編体験できるのもお得である。

もちろん・・・すごく面白いわけではないが・・・そこそこ楽しめるように贅沢に出来ている。

名探偵ポワロが変な人だというのも確認できる。

だから・・・前後篇あわせて六時間くらい我慢しろ・・・という話である。

なにしろ・・・後半は真犯人の語りだけで三時間である。

聞かない主義の名探偵なら後半は見なくてもいいわけである。

で、『オリエント急行殺人事件・第一夜~二夜』(フジテレビ20150111PM9~)原作・アガサ・クリスティー、脚本・三谷幸喜、演出・河野圭太を見た。原作のイスタンブールからフランスのカレーに向かう「オリエント急行」を下関から東京へ向かう「特別急行東洋」(フィクション)に翻案して豪華乗客を詰め込んだおせちミステリーである。

舞台となるのは昭和ヒトケタの日本。平和な時代の終焉を前に人々は戦前を生きていたわけである。

「オリエント急行」を味わうためには・・・「昭和初頭」も味わう必要がある。

それが面倒くさいといえば面倒くさいが・・・好きな人は好きなのであろう。

明治維新、日清日露、第一次世界大戦を経て、大日本帝国はそれなりに反映していたが・・・貧富の差はおろか・・・華族という特権階級や、違憲ではない職業軍人が繁栄を謳歌していた時代である。

極貧から身を起こした闇の企業家・藤堂修(佐藤浩市)は資金繰りのために身代金目的の誘拐を実行する。被害にあったのは陸軍軍人の剛力大佐(石丸幹二)の令嬢・聖子(小林星蘭)で藤堂は身代金を入手した後、聖子を殺害して遺棄する。おそらく顔を見られてしまったのだろう。

極悪非道の藤堂だったが証拠不十分で無罪となってしまうのだった。

「何の苦労も知らずにおいしい生活したんだから死んでも悔いはないだろう」と嘯く藤堂だった。

愛娘の死を知った剛力夫人で妊娠中だった曽根子(吉瀬美智子)は胎児とともにショック死。

絶望した剛力大佐は自殺。

濡れ衣を着た剛力家の小間使い・小百合(黒木華)は取調中に自殺する。

こうして・・・剛力大佐の一族の悲劇は幕を閉じたのである。

一方で藤堂は身代金で得た大金によって実業家として大成功していたのである。

しかし・・・藤堂を犯人として疑わない曽根子の母親で大女優の羽鳥典子(富司純子)をはじめとする剛力家の関係者たちは・・・五年の月日をかけて復讐の機会を待っていたのだった。

そして・・・昭和八年の二月・・・。

事業の視察に出かけた藤堂は帰京のために・・・下関発東京行きの豪華寝台列車「特急東洋」の乗客となる。

たまたま・・・乗り合わせた名探偵・勝呂武尊(野村萬斎)は隣の客室で・・・殺された藤堂の事件解決を鉄道省の重役(高橋克実)に依頼される。

現場に残された焼却されたメモから・・・「剛力聖子」の文字をあぶり出した名探偵はたちまち事件の真相を掴むのだった。

一号車から十二号車まで・・・乗り合わせた十三人の乗客は・・・すべて・・・剛力誘拐事件の関係者だったのである。

聖子の祖母である女優、演技の自信のない女子アナ(八木亜希子)、自殺した小間使いの恋人(池松壮亮)、銀河鉄道999の車掌もできそうな小間使いの父親(西田敏行)、聖子の伯母である伯爵夫人()とその夫(玉木宏)、家政婦もできる家庭教師(松嶋菜々子)、曽根子のストーカーで藤堂の秘書(二宮和也)、チンピラ上がりの運転手(藤本隆宏)、昼出川なら夜ダチョウ倶楽部のメイド(青木さやか)、傷痍軍人の能登大佐(沢村一樹)、どこでも執事(小林隆)、ゴッドマザー侯爵夫人(草笛光子)・・・。

「あなたもあなたもあなたもあなたもあなたもあなたもあなたもあなたもあなたもあなたもあなたもあなたも犯人です」

名探偵の抜群の推理力に・・・「神か・・・」「魔法使いか・・・」「いや、名探偵だ」と恐れ入る犯人たちだった。

「しかし・・・被害者は殺されても仕方ない極悪人だったようだ・・・私は見なかったことにしておきます」

「やったあ」とはしゃぐ殺人者たちである。

昔はよかったなあ・・・犯罪も復讐もやった者勝ちで・・・表現の自由とかも・・・デモをしたりしなくちゃならない面倒くささから自由だったわけで。

そもそも・・・表現の苦手な人は・・・表現する自由にピンとこないどこころか・・・潜在的に反感持ってたりするんだよなあ。

日本の表現者の鈍い反応がそれを象徴してるんだよなあ。

まあ・・・金持ち殺して何が悪いって言ったら金持ちに殺されるという話なんだな。

もちろん・・・神は復讐を許したりはしないけどね。

だから・・・この後・・・日本は・・・ぎゃふんと言います。

そして・・・しばらくの間、忠臣蔵は禁止になるのです。

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2015年1月12日 (月)

至誠にして動かざる者、未だこれあらざるなり・・・だといいのにね(井上真央)

2014年12月に他界した小説家・宮尾登美子の作品「蔵」を原作とするドラマ(1995年)で松たか子演じるヒロインの少女時代を演じた井上真央はちょうど8~9歳であった。

この時、松たか子は18歳である。

松たか子が演じるのが不自然だったから・・・子役の井上真央が演じたのだ。

最近の大河ドラマは・・・そういうリアリティーを完全に無視していて天晴れである。

制作者の頭のネジがバッチリ狂っていると言っても過言ではない。

井上真央(27歳)にランドセルを背負わせて「ピカピカの一年生」と言わせてみるといい。

ものすごく萌えるのだ・・・おいっ。

もちろん・・・舞台では・・・棺桶に片足つっこんだ人がセーラー服を着ていることはままある。

遠目なら許されるってことはあるもんね。しかし・・・ハイビジョンなのである。

もう少し・・・「至誠而不動者、未之有也」(孟子・離婁章句上)という誠心誠意があってもいいのではないか。

孟子曰く・・・大衆の心を掴みたければ、偉い人の心を掴め。偉い人の心を掴みたければ友人の心を掴め。友人の心を掴みたければ家族の心を掴め。家族の心を掴みたければ自分の真心を掴め・・・なのである。

そういう、誠の心があれば・・・井上真央(27歳)が杉文(8歳)に見えてくる・・・とでも言うのか。

そういう真心で・・・動かないものは皆無であると・・・。

いや・・・誠意が足りないので納得できない人だらけなのでは・・・。

いい加減にしてよね~。ざけんなよっ。

で、『花燃ゆ・第2回』(NHK総合20140111PM8~)脚本・大島里美、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は一年で見違えるように成長した吉田寅次郎の妹・杉文の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。とにかく・・・バトンタッチしてしまったものは仕方ないということで・・・幼女が少女の縁談を成立させて・・・思わず失恋という展開に萌えるしかないのでございますな。吉田松陰が江戸に出てやむにやまれず脱藩し、吉田家は家禄没収という憂き目に遭っていると言うのに怖い叔父さんに叱られる方が怖かった展開・・・これは・・・まさに・・・吉本新喜劇の匂いがいたします・・・。まあ・・・とにかく・・・伊之助の父・松島瑞蟠のエピソードにより・・・杉家にも松島家にも狂気の血が流れ・・・それをなんだかんだ受け入れる長州藩全体の頭のおかしさが滲みでるという・・・そういう面白さはございますよねえ。松島(兄)だって甲子殉難十一烈士だから~。あったかいんだから~。

Hanam002長州藩士・吉田松陰と熊本藩士・宮部鼎蔵が東北諸藩視察旅行に出発したのは嘉永三年から五年(1852年)のいずれかによるが・・・日程調整が間に合わず、宮部のスケジュールに合わせた松陰は通行手形なしで出発し、これが脱藩行為とみなされ咎めを受けるわけである。士籍剥奪・世禄没収の処分はけして軽くないわけだが・・・なにしろ杉家の二十六石に対し、大組・吉田家は五十石ほどの録を失ったのだ。その上、せっかく養子で放出した寅次郎を引き取って養う破目になった杉家の財政は苦しかったのである。杉家長女の寿の小田村家との縁組は口減らしの効果があったと考えられる。寿の破談相手として登場する内藤家は杉氏と同じ没落大内氏の家臣の系譜だが内藤興盛の娘が毛利輝元の母となったために重臣の道を歩んだわけである。小田村伊之助はすでに大番役として家禄を得ている。また、実家の松島家を継いだ兄・剛蔵は世子である毛利元徳の侍医であり、後に初代長州藩海軍総督となる人物である。また松陰の脱藩に際しては大組藩士の来原良蔵も責任を問われている。この年、桂小五郎は練兵館(斎藤弥九郎)に入門している。そしてペリーはこの年の暮れ、ノーフォークの港からフリゲート艦ミシシッピ号で出港し・・・東インド艦隊司令官として日本に向かうのだった。

杉家の秘伝によればそのルーツは六世紀の百済王家、聖明王にまで遡る。杉家の主家である大内家が聖明王の末裔である多々良氏を名乗っているからだ。

聖徳太子の時代から、半島と列島をつなぐ忍びの一族として闇の系譜を形成してきたのである。

杉一族は・・・百済王家の草のものであると同時に、大和王家の忍びであった。

戦国時代に中国・九州地方の派遣を争った大内・大友・毛利のそれぞれに・・・杉の忍び軍団は深く関与している。

吉田寅次郎の実家である・・・杉家は・・・毛利における多々良忍びの末裔である。

たたらは鉄器にまつわる一族であり・・・半島の進んだ文化の翻訳者でもあった。

杉本家は下士でありながら・・・大組の兵法家である吉田家や儒家である玉木家と密接に結びついている。

毛利家にとって杉家こそが影の御用を勤める隠密同心の一族なのである。

そして・・・杉家の血脈の中には異能を持ったものが度々現れていた。

毛利輝元の側室となった清泰院の父・児玉元良の系譜に連なる児玉家も毛利の重臣の一族である。

吉田松陰や杉文の母は・・・その児玉の一族であった。

杉の血と児玉の血が混じり・・・その異能が覚醒したのである。

松陰寅次郎は狂気の天才として開花し・・・杉文は・・・幼児より他心通の才能を見せていた。

「お前と・・・私は・・・心が通じ合うようじゃ・・・」

寅次郎は・・・文の才能を見出していた。

「心が通じ合う・・・」

幼い妹に・・・寅次郎はくのいちとしての修行を命じる。

「以心伝心の法は・・・戦にとって恐ろしき術である」

「何故ですか」

「狼煙など無用のものとなすからじゃ・・・」

「のろし・・・」

「よいか・・・私は江戸に出る・・・お前は私の心をどこまで追えるか・・・試してみよ」

文は・・・寅次郎の心を追いかけた。

どこまでも追いかけた。

寅次郎が江戸を出て・・・陸奥への旅に出ても・・・文には兄の心を見出すことができた。

兄と妹の両親は・・・杉の忍びが復活したことを悟った。

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2015年1月11日 (日)

学校のカイダン昇り言葉のマシンガンぶっぱなせば君はもう生徒会長さ(神木隆之介)

言葉の力は偉大である。

「死ね」と言われて死ぬものがいるくらいである。

誰もが自分の意志を伝える自由がある。

しかし、意志を伝えるのは言葉とは限らない。

蔑みの視線もあれば、心臓を貫く白刃もある。

空気を読むことに特化した薄い評論家たちはコメントする。

「表現の自由を暴力で粉砕することはいけないことです。しかし、宗教的な問題では言葉を慎むことも考慮すべきです」

だって殺されるのは嫌だから。

そんな覚悟で守る表現の自由は絶対に守れない。

殺される覚悟で守ってこその自由である。

なぜなら自由を守るために殺すことだってあるんだから。

おちょくることを許されない言葉なんて・・・もはや言葉とは言えないのだから。

容赦なくテロリストを沈黙させる弾丸に学べ。

口が災いの元であることを。

で、『お兄ちゃん、ガチャ』(脚本・野島伸司)を見た。雫石ミコ(鈴木梨央)は理想のお兄ちゃんを求めて今日もガチャに五百円コインを投入する・・・おいっ。

失礼しました。・・・のんびりメルヘンの世界に逃避したい気持ちはわかるぞ・・・。しかし、お兄ちゃんの入浴シーンじゃな。

で、『学校のカイダン・第1回』(日本テレビ20150110PM9~)脚本・吉田智子、演出・南雲聖一を見た。学校は社会の縮図である。社会にカースト制度があるなら学校にあってもおかしくないわけである。平等主義者は機会の平等にも敏感である。東大生の親が東大生である割合の変化が大きくなれば直ちに不平等の蔓延を憂うものだ。富の偏在が進行し、一日百円で暮らす人々の数が増えれば嘆くのである。しかし・・・地域や国家の枠組みによって・・・ほぼ全員が一日千円以上で暮らし、一日十万円生活の暮らしを羨むような場所で・・・貧富の差を呪うのは・・・飢え死に寸前の人々からは神を畏れぬ行為になる。人間は贅沢な生き物だ。それでいいのだ。何故ならキッドが愛するのは平等ではなく、自由だから。

日本には有能な司会者は多いが・・・有能な演説家と言うと「今でしょ」とか「公明党と創価学会は無関係ではないんですね」という教師的なポジションの人が思い浮かぶ。

ヒトラーのように大衆を揺り動かし、破滅に導くようなスターが不在なのである。

なにしろ・・・出る杭は打たれるお国柄なのである。

そんな国で・・・言葉で大衆を扇動する女子高校生の話が成立するのかどうか・・・まさに見物なのである。

この世のどこかにある私立明蘭学園高等学校は・・・名門高校である。

生徒たちはカースト上位の家庭に属するものが多い。

この場合のカーストとは経済的階級のことらしい。

つまり、裕福な家庭の子女が通う高校なのである。

当然、貧乏人の通う学校よりまともなのが一般的だが・・・ドラマなので・・・裕福な家庭の子供たちにはふさわしくない品性の下劣さが満ちている。

有能な理事長兼校長である誉田蜜子(浅野温子)は学園の地位と名声の向上のために・・・革新的な制度を導入し・・・名門の中の名門を試行中らしい。

特別採用制度による編入枠(特サ枠)もその一つで・・・なんらかの事情のある生徒を無償で受け入れるプロジェクトによって・・・単なるお嬢様・お坊様学校でないことをアピールしているわけである。

もちろん、経済的に裕福な家庭の子供が必ずしも優秀とは限らないので・・・学業やスポーツなどで特別待遇することは生徒の質を向上させるよくある手口だ。

私立明蘭学園高等学校の場合はその手口を普通の子女にも広げているだけである。

青果店を営む祖父・徳次郎(泉谷しげる)と二人暮らしの春菜ツバメ(広瀬すず)もこれといった特徴はないが特別採用枠によって転校してきた生徒である。

転校して二か月・・・。二年一組の生徒として・・・無難にふるまってきた。

学校カーストの頂点に位置するプラチナ8と呼ばれる生徒たちにも何故か可愛がられている。

プラチナ8にはどうみても社会人のなんちゃって高校生・麻生南(石橋杏奈)や、ベテランなんちゃって高校生の須堂夏樹(間宮祥太朗)、そして現役バリバリの香田美森(杉咲花)などのおなじみのメンバーが揃っている。

しかし・・・それはもちろん・・・上辺の話である。

何故か・・・不在となった生徒会長の再選挙の結果・・・突然、新生徒会長に選ばれた日から・・・ツバメは学園に潜んでいる悪意の標的となるのであった。

プラチナ8の生徒たちにとって特サ枠のツバメは混入した異物。蔑みの対象でしかない愛玩物もしくはいつでも殺せる奴隷に過ぎなかったのだ。

所信表明演説で緊張のあまり気絶したツバメは彼らの嘲笑を浴びるのだった。

校名を高めるためにボランティア活動に出かけたツバメはついに・・・クイーン南の逆鱗に触れ・・・いじめの対象になりかかる。

その危機を・・・クラスメイトで生徒会の副会長・アブラムシこと油森哲夫(須賀健太)が救う。

たちまち・・・標的となったアブラムシは・・・キング須堂によって不謹慎な悪戯動画を素晴らしいインターネットの世界に投稿されてしまう。

キングやクイーンたちの親は高額寄付によって学園の財源を支えていた。

拝金的な考えによって学園を運営する金時教頭(生瀬勝久)は首謀者をキングと知りつつ、責任回避のためにアブラムシに自主退学を促すのだった。

ツバメは・・・「悪いのはあなたではない」とアブラムシを慰める。

しかし・・・アブラムシは「そう言えば・・・気持ちが軽くなるのかい」と揶揄するのだった。

立ちすくむ・・・ツバメ。

そこへ・・・車椅子の怪人・雫井彗(神木隆之介)が現れる。

「大切なものを捧げれば願い事を叶えてくれる」という噂の人物だった。

「バカはバカらしく・・・バカをやってればいいじゃないか」

「バカって言葉しか知らないんですか」

「どうする・・・アブラムシを救うのか・・・救わないのか」

「言うことを聞けば・・・彼を救えるのですか」

「それが君の願いならば・・・」

怪人の屋敷に連れ込まれたツバメが大切なものを奪われたのかどうかは謎である。

「私は何をすればいいんですか」

「君は・・・この世で最も強力な武器はなんだと思う」

「機関銃・・・爆弾かしら」

「それは・・・言葉さ」

「え」

「ネルソン・ホリシャシャ・マンデラは人生における様々な悲劇を言葉で乗り越えたし、マハトマ・ガンディーは言葉でインドを独立に導いた。ヒトラーは言葉でヨーロッパを破滅させたし、マンデルは言葉で学生を唆し、五月革命で愛車を燃やされた。それほどに言葉には力があるのだよ」

「・・・」

「バカには少し難しかったかな・・・大丈夫、バカにもできるようにしてあげるから・・・」

「私にできるのかしら」

「やるのは・・・君だ・・・どうする・・・逃げたっていいぞ」

「逃げ場なんてない・・・逃げられないから・・・こっそりしていたのに・・・」

「もはや・・・目をつけられてしまったのだから・・・やるしかないよね」

「やるしかない・・・」

「そう・・・やられる前にやる。そしてやるからにはトップを目指すしかない」

「トップって・・・」

「安心しろ・・・君はもうトップだ・・・なにしろ・・・生徒会長なんだから」

「でも・・・それはあの人たちが・・・お膳立てしただけで・・・仕組まれた悪戯・・・」

「やつらは・・・間違ったのさ・・・御膳があったら・・・喰うしかないんだから」

「そんな・・・」

「君は・・・とにかく・・・明日、学校を休まなければいい」

「それだけ・・・」

「朝一番で・・・生徒会室に行け・・・それでアブラムシは救うことができる」

「・・・」

「覚悟が決まったら退学届を書け」

「え」

「アブラムシを救うのか・・・救わないのか」

「書きます」

その日・・・密室では・・・教頭がアブラムシに引導を渡そうとしていた。

その時・・・響き渡る「生徒総会」の集合指示。

生徒会室でツバメは怪人の指示を受けるためのイヤホンと・・・武器を収納したリュックサックそしてスピーチ原稿を手に入れる。

「誰が生徒総会なんて・・・」

「あなたの指示にしたがったの」と生徒会の会計を務める脇谷玉子(清水くるみ)が告げる。

怪人はお膳立てを整えていた。

演壇に立つツバメ。

聴衆たちは野次を飛ばす。

(まだだ・・・)

ツバメは怪人の指示に従う。

(よし・・・マイクを倒せ)

マイクを倒すツバメ。

一瞬の静寂。

(武器をとれ)

リュックに格納されていたのはトラメガだった。

スピーチ原稿にはアブラムシの悪口を言うことが指示されていた。

「そんな・・・できないよ」

(やるしかない・・・俺を信じろ)

「私は・・・アブラムシが嫌いです・・・人の顔色を窺って・・・空気を呼んで・・・コソコソして・・・」

「一体・・・何の話だ」と訝る教頭。

その目に退学届を突きつけるツバメ。

「面白いじゃない」と不敵に笑う校長。

自主退学は良くても退学者は学校の面目を傷つけるのである。

その時・・・照明が消え・・・スクリーンに真実を暴露する盗撮映像が映される。

「何の真似だ」と激昂するキング。

そして・・・白紙のスピーチ原稿。

(正直な自分の気持ちを語れ)

「でも・・・それは私でした・・・人の顔色を窺って・・・空気を呼んで・・・コソコソして・・・いじめられないように・・・いじめる側にまわってた・・・いじめたいならいじめればいい・・・でもいじめたくもないのにいじめるなんて・・・間違ってる・・・我慢していじめにつきあうなんて・・・もう・・・嫌だ・・・私は・・・自分を変えたい・・・この学校を変えたい・・・このへんてこな世界を変えたい」

スピーチの最後の一枚。

(これが私の所信表明です)

「これが・・・私の所信表明です・・・」

「ふざけんな」

騒然とする会場。

しかし・・・アブラムシだけは・・・瞳に輝きを取り戻す。

「僕は自主退学を辞めます」

「なに・・・」

学園革命のための一歩を踏み出したツバメ。

同志・アブラムシを獲得したのだった。

成果を見つめる怪人。

「ふふふ・・・ははは・・・いいぞ・・・これが大逆転のスタートだ」

その頭上で紙吹雪となったツバメの退学届・・・革命の終着点は・・・新世界か・・・それとも世界の終焉なのか。

滅びへと向う素晴らしいスピーチを期待したい。

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2015年1月10日 (土)

悪は滅びずそして善は死なず~映画・妖怪人間ベム(亀梨和也)

人類の歴史は血塗られている。

今もパリは血にまみれている最中である。

愚かな行為こそが人間の生業と言えるだろう。

正義は悪の一種であるので振りかざせば悪を呼ぶわけである。

人間の正義という悪に立ち向かい善を為し得るのは・・・不死身の妖怪人間だけなのだ・・・。

なにしろ・・・彼らは正義の剣を抜かないのである。

悪を封じるのは無抵抗の犠牲だけなのである。

悲しい話です。

で、『映画 妖怪人間ベム(2012年劇場公開作品)』(日本テレビ20150109PM9~)原作・アサツー ディ・ケイ、脚本・西田征史、監督・狩山俊輔を見た。キッドのブログ休眠中の連続ドラマの劇場版である。語れなくて残念だったドラマだったので劇場版のオンエアを待ちかねていた。(金)は「怪奇恋愛作戦」と「山田孝之の東京都北区赤羽」のテレビ東京の深夜二本立てが快調にスタートで・・・どちらも一同爆笑の完成度なのだが・・・特に緒川たまきのミニスカートでスキップ・・・殺す気満々の金曜日なのでもう少し様子見である。各曜日が出そろった所で谷間が発生するかどうか・・・でございます。

古代のバビロン帝国の地では・・・この世のはじまりは原始の水によるものとされている。

ティアマット(苦い水)とアプス(甘い水)が交わり世界が生まれたのである。

人間はティアマットから生まれたとするものとアプスから生まれたとするものはそれぞれの正しさを争ったという。

それぞれが・・・両者の交わりという考えを想いつかないのが人間の愚かさを物語る。

生物学者・緒方晋作(柄本明)は「生命を生み出す水」の研究中に絶命する。

完成寸前だった緑色の液体から分離したティアマット(悪の成分)は緒方博士の死体と融合することで人間として蘇生する。

名前のない男の誕生である。

残されたアプス(善の成分)は分裂を繰り返し・・・純粋な善の結晶として三体の妖怪人間となる。

名前のない男は緒方博士の体内に残ったアプスを取り入れているために純粋な悪とは言えないが極悪の超人となっていた。

一方でアプスのみの妖怪人間は・・・心の美しさとは裏腹に醜悪な容貌を獲得する。

人間になるためには・・ティアマットを体内に取り入れる必要があるが・・・悪に染まることをためらうのが善なるものの性質なのである。

妖怪人間となったベム(亀梨和也)、ベラ(杏)、ベロ(鈴木福)の三人は・・・ティアマットを放出し、人間を悪に染める名前のない男との軋轢の果てに・・・人間を守る存在となることを決意したのだった。

しかし・・・異種に排他的な人間たちと距離を置くために孤独な旅を続けるのである。

妖怪人間であることを人間に知られると「モンスター」として排除される宿命である。

妖怪人間の個性としてベムは男性的に、ベラは女性的に・・・そしてベロは少年として成長している。

個性的ではあるが・・・三人は「人間に憧れ、悪に染まることを恐れる亜人間」であることにおいては同種の存在である。

三人は懐かしい街にやってくる。

二十世紀の後半にしばらく過ごした海辺の街・・・。

そこで三人は名前のない男に悪に染められた人間の魔手から・・・一人の少年を救っていた。

そのために正体が晒され・・・警官に追われて街を去ったのである。

歳月は流れ・・・怪異の記憶は遠くに去っていた。

ベロは足が不自由な少女・上野みちる(畠山彩奈)と出会い、恋心を抱く。

交通事故で足に障害を残したみちる・・・事故はみちるから母親の小百合(観月ありさ)を奪っていた。

亡き母を想い・・・嘘の日記を綴るみちる。

日記の中で母はみちるを優しく見守るのだ。

街には大手の製薬会社の本社があり・・・奇怪な現象により社員が命を落していた。

やがて・・・ベムたちは・・・森に潜むモンスターの存在に気がつく。

モンスターは死んだはずの小百合だった。

小百合の夫であり・・・みちるの父である上野達彦(筒井道隆)はかって・・・ベムたちが救った少年だった。

彼は事件の現場で緑色の液体を浴びた植物の葉をお守りとして持っていた。

それはけして枯れない葉だったのだ。

製薬会社の不正行為を暴き、告発しようとした達彦は社長の加賀美(中村橋之助)によって口封じのために殺されかかったのである。

そのために・・・小百合は死んだのだが・・・葉によって蘇生したのである。

しかし・・・ティアマットをとりいれた小百合は・・・憎悪を制御できずに怪物化してしまうのである。

娘を傷つけることを恐れた小百合は森に身を隠したのであった。

怪事件の捜査にやってきた妖怪人間と旧知の間柄である夏目章規刑事(北村一輝)は事情を知ると・・・妻の菜穂子(堀ちえみ)や娘の優以(杉咲花)、緒方小春(石橋杏奈)らの緒方博士所縁の人々を招集する。

障害を持つ娘が運動会の徒競走で・・・健常者と一緒に走る姿を応援しようと小百合に呼び掛けるのだった。

健気なみちるの姿に涙する小百合。

小さな幸せの一時は・・・しかし・・・保身に走る加賀美社長によって壊される。

上野一家を殲滅しようとした加賀美社長。

小百合は家族を守るために完全なるモンスターと化す。

加賀美社長の命を狙うモンスター小百合。

しかし・・・それを制止するベムだった。

「化け物・・・」と命を救われても感謝しない社長。

「そんな奴、捨てておけばいいじゃないか」と反発するベラ。

「俺は悪くない・・・少しの犠牲で・・・多くの人が助かるのだ」と社長。

「犠牲になる人の痛みを想ってください」と告げるベム。

そして・・・三人は・・・モンスターを葬るのだった。

あの日と同じように警察がやってくる。

「悪を見過ごせば・・・人間である意味はない・・・」

悪の力に怯えてすくんでいた達彦は勇気を取り戻すのだった。

三人の妖怪人間は・・・何も知らない警官たちを飛び越えて闇に消えるのだった。

悪(ティアマット)と善(アプス)の戦いは・・・世界の終焉まで続くからである。

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理想の男子

Yknb001ごっこガーデン。闇に生きる宿命の希望の光セット。

くう様の映画妖怪人間ベム

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2015年1月 9日 (金)

おねだり娘(吉田里琴)と泥棒猫(田中麗奈)と美しき罠~残花繚乱~と美人妻(若村麻由美)

同じような人間関係でも・・・全く違うドラマになるという・・・話でございます。

正妻と愛人と娘といえば・・・「Nのために」の主人公の家庭と一緒である。

あれは・・・婿養子が正妻と娘を家から追い出し愛人を引きこむところから邪道としてスタートするわけだが・・・こちらは・・・愛人がヒロインで正統派としてドロドロします。

しかも・・・正妻が・・・有能で・・・愛人を完全にノックアウト・・・。

しかし・・・そこから愛人が逆襲に転じるという・・・本当にどうでもいい話だぞ・・・。

まあ・・・お好きな人にはたまらないジャンルでございますよねえ。

で、『美しき罠〜残繚乱〜・第1回』(TBSテレビ20150108PM9~)原作・岡部えつ、脚本・浅野妙子、演出・光野道夫を見た。今季はおなじみの女流脚本家が顔を揃えている。「銭の戦争」の後藤法子、「ゴーストライター」の橋部敦子、「まっしろ」の井上由美子は火曜日に集合して選択肢を提示である。金曜日には「セカンド・ラブ」の大石静も控えている。木曜日には「問題のあるレストラン」が控えているので・・・おそらくこれきりになるこのドラマ。まあ・・・初回で充分お腹いっぱいになります。っていうか・・・これは昼メロですよね。

オーガニックカフェチェーン「アレグロ」の店長を務める西田りか(田中麗奈)はおそらく二十代の終わりに「アレグロ」の親会社・流通グループであるショウズホールディングスの常務で、社長の娘婿である柏木荘太(村上弘明)の愛人となり・・・三年である。

本人はあまり現実を直視せずに・・・荘太が自分を一番愛していると思いこんでいる。

もちろん・・・荘太が愛しているのは荘太自身であり、おそらく次は一人娘の柏木美羽(吉田里琴)、次は会社における自分の立場、次にそれを支える社長令嬢で才色兼備の妻・美津子(若村麻由美)である。りかは単なる火遊びの相手に過ぎない。

荘太は仕事ができる男であり、妻の父である社長の信任も厚い。火遊びに関しても秘密厳守で立ちまわる。

しかし・・・有能で財力を持つ妻の美津子は一枚も二枚も上手である。

探偵事務所を使う財源があれば・・・夫のプライバシーなどないのである。

美津子には夫の知人である若手実業家・落合圭一(青柳翔)という愛人もいるのだった。

一年前のグループのファミリーデイのパーティー会場で美津子に目をつけられたりかは一年くらい泳がされるのだった。

りかは・・・「手作りおでん」さえあれば荘太は心のやすらぎを得られると信じていた。

りかには日曜日の書道仲間である主婦・滝本泉(高橋かおり)がいる。

主婦相手に自分が不倫の恋をしていることを相談するなどという鈍さを示すのだった。

社長の孫娘・美羽は・・・スポイルされた典型的なお嬢様である。

吉田里琴には目をつぶっても演じられる他愛ない役柄である。

女流作家がどうやって使ってくるかはお楽しみだな。

オレンジ色のマフラーに合うバッグを求めて母親のクローゼットを捜索した美羽は鍵のかかったバッグを発見するのだった。

美羽がそれをどうしたかは謎である。

美津子はそろそろ・・・潮時と考え、りかの排除にとりかかる。

愛人の圭一をお似合いの相手として・・・りかに差し向けるのである。

映画館で偶然を装い近付いた圭一にりかは一瞬、心が揺れるのだった。

「社内報で見た」という口実で・・・りかを自宅に招いた美津子。

圭一をりかの交際相手として紹介する美津子。

動揺しまくるりかである。

しかし・・・美津子と圭一の仲が怪しいことは女の勘で見抜くのだった。

ある意味、エスパーである。

妻の気配に危険なものを感じた荘太はりかに別れを告げるのだった。

「そんな・・・私たちのことは・・・永遠だと思っていたのに」

(なわけないだろう)と思うお茶の間一同。

美津子は・・・愛人の部屋の合鍵が消えた夫のキーホルダーをチェックしてにんまりである。

鍵のかかったバッグには・・・リカと夫の浮気現場写真が調査書類とともに収まっているのだった。

傷心のりかに勝者の貫禄を見せにくる美津子。

「圭一さんとのこと・・・どうかしら・・・」

すべてを悟ったりかは・・・逆襲に転じるのだった。

「その話・・・お受けします」

小生意気な娘の逆襲に・・・少したじろぐ正妻だった。

妻の愛人と夫の愛人の結婚を前提とした交際が始るのだった。

もう・・・どちらかが死ぬまで続くドロドロの戦いの幕開けなんだな・・・。

関連するキッドのブログ→変身インタビュアーの憂鬱

Hcrc201501CLUB Rico開催中。前回の開催。

まこりこタンのお色気おそるべし!」

シャブリ吉田里琴ちゃんの登場に一瞬でDOCTORSよ、さらばと叫んだのでありました~!」

くう里琴ちゃんはますます綺麗に・・・そしておでんはどんだけ味がしみて・・・

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2015年1月 8日 (木)

私の出番はまだですか?~全力離婚相談(竹富聖花)

全日本高校女子サッカー選手権大会の季節である。

決勝は1月11日(日)だが・・・王者・日ノ本学園高校(兵庫)の相手を決める・・・準決勝は藤枝純心高校(静岡)VS常盤木学園高校(宮城)である。

毎年・・・劇的な・・・この戦い。

なにしろ・・・U-17W杯優勝(2014年)のメンバーである杉田妃和、児野楓香、市瀬奈々、小林里歌子らが激突なのである。

しかし・・・もちろん・・・キッドの関心は・・・藤枝順心(静岡)の15番・山下史華(3年)と常盤木学園(宮城)の10番・白木星(3年)の美少女対決である。

どちらがより・・・抜かれるかの勝負だ・・・去年は山下史華の圧勝だったのだが・・・今年は白木星も頑張ったし・・・終了間際の同点ゴールも決めたのだった。

どちらかといえばイケメンの白木星・・・二人が結婚すればまさに美男美女のカップルだ・・・二人とも女子だよっ。

試合は・・・同点の果てのPK戦で・・・常盤木学園の決勝進出である。

今年も見せてくれたな・・・。

今年の敗者に贈る監督のメッセージは富岡高校(福島)・・・一回戦敗退・・・の松本監督が抜群だった。

泣きじゃくる選手たち・・・。

「試合に負けて泣く奴がいると・・・いつも思う・・・本当に泣く権利があるのかって・・・泣くだけのことをしたのかって・・・だけど・・・今、俺もお前たちと泣きたい気分だ」

これは泣ける。

お正月も終わりだなあ・・・。

で、『ドラマ10 全力離婚相談・第1回』(NHK総合20150106PM10~)脚本・小松與志子、演出・柴田岳志を見た。NHK名古屋の制作である・・・少し、脚本が甘いのだが・・・何よりも竹富聖花目当てで見てるのにほとんど出番なしってどういうことなんだよ・・・と言いたい。

よくある・・・主人公の有能さを示す企業買収を成功させたシーンからスタートである。

水野豊彦(舘ひろし)弁護士事務所の企業法務担当弁護士・竹内美晴(真矢みき)は優秀だが・・・私生活では離婚歴がある。

妻と死別している水野はそんな美晴に下心丸出しの上司である。

それはともかく・・・取引企業の離婚案件の処理を名指しで任された美晴。

自身が離婚歴があり・・・娘の佳苗(竹富聖花)の親権を獲得できなかった過去から乗り気ではない美晴である。

これから・・・少しずつ真相が明らかにされる展開とはいえ・・・脚本家はもう少し、娘の出番を作るべきである。

これは構成力の甘さと言える。

その証拠に・・・最初の離婚案件も・・・描き切れていない感じが漂うのである。

離婚案件担当の杉浦千賀子(関めぐみ)弁護士は・・・「がんばってください」と冷たく対応するのだった。

取引企業の会長である郷原泰造(石橋蓮司)は精神に問題のある感じのワンマンぶりで・・・息子である社長夫婦の離婚問題に介入し・・・とにかく、妻とは離婚を成立させ、長男の親権も渡さないの一点張りである。

当事者である郷原直樹社長(吉沢悠)は父親の言いなりで自分の意見を述べない。

妻は元バレーボールの花形選手の栗田信枝(近衛はな)である。

それを・・・本人の口から言わせるあたりも・・・脚本的には難がある。

美晴が非常識でも・・・交渉相手のプロフィールくらいは下調べするよねえ・・・。

「離婚には応じるが一人息子の親権は渡さない」と主張する信枝。

かって・・・親権を放棄したことのある美晴の心は揺れるのだった。

離婚理由の一つが・・・夫の暴力であることを告白する信枝・・・。

「それを主張すれば・・・親権獲得は可能だ」とクライアントの不利になるアドバイスを始める美晴だった。

しかし・・・「その件」を持ちだして裁判沙汰になることは避けたいという信枝だった。

「両親が争っている姿を子供に見せたくないのです」

「・・・」

殴り合いのケンカのような離婚裁判をした美晴は茫然とするのだった。

条件が折り合わぬ中・・・信枝は息子を連れ去るという行動に出るのだった。

「とんでもない女だ・・・なんとかしろ・・・」と激怒する会長。

「息子さんとだけで話させてください」

「何・・・」

「いいでしょう・・・」と社長。

「奥様は・・・離婚には応じ、親権も渡すが・・・面会の権利は行使する意向です」

「そうですか・・・実は・・・息子と僕には血縁関係がないのです」

「え」

「DNA鑑定の結果です・・・しかし・・・僕は息子が可愛いのです・・・あの子はいい子です」

「はあ・・・」

「あなたは・・・いい条件を出してくれました・・・なんとか父を説得してみます」

「暴力は・・・ひょっとして・・・それを知った時に・・・」

「彼女には謝罪したいと考えます」

一体・・・信枝は誰の子を生んだのかは謎のままに・・・血縁関係のない父親が親権を獲得するという展開である。

それで・・・いいのか・・・本当に謎だ。

結局、会長は事務所との法務契約を切った。

責任をとって辞表を提出する美晴。

「なにも・・・辞めることはないだろう」

「私・・・全力で離婚問題に取り組みたくなったの」

「ええ?」

お茶の間にもよくわからないので・・・少し鈍い上司には全くわからないのだった。

まあ・・・なんていうか・・・中学生日記クオリティー・・・。

とにかく・・・火曜日は着々とまっしろになる準備が整いつつあるな・・・。

銭よりナース、弁護士より看護師さんだ~。

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2015年1月 7日 (水)

僕とマネーの生きる道~銭の戦争(草彅剛)

お金という道具との付き合い方に悩む人がいる。

お金の所有量を基準に格差社会などと叫ぶ人もいる。

道具をたくさん持っていることが幸せだという前提で持ちすぎている人を攻撃することにあまり意味はないと思うが・・・まあ、持っている人はそう言うねという話でもある。

欲しいものが買えないのはつらいものね。

まして・・・食べ物とか着るものとか住む所が買えないのは死活問題だしねえ。

素晴らしいインターネットの世界に棲むためにも最低限の経済力が必要だという説もある。

説かよっ。

まあ・・・「金、金、金」と叫んでも天から金が降って来ないので・・・お金争奪戦はいつの時代にもそこそこ面白いんだな。

で、『銭の戦争・第1回』(フジテレビ20140106PM9~)原作・パク・イングォン、脚本・後藤法子、演出・三宅喜重を見た。何故、韓国ドラマの焼き直しをする必要があるのかは謎だが・・・韓国的なものを愛することができるという姿勢は保持してもいいと考える。韓国人も日本人も底辺では同じようなものという共通認識もできるしね。人間そのものの普遍性だって謳いあげることができるわけだ。そして敵を知ることはとても大切なことなのである。オリジナルに負けないように面白さを追求してもらいたいと考える。

白石富生(草彅剛)は東京大学卒業、外資系大手証券会社勤務で・・・一度聞いた数字は忘れないという超能力者である。資産家の青池早和子(ジュディ・オング)の孫娘・青池梢(木村文乃)との婚約も整い・・・順風満帆の人生を歩んでいた。

しかし・・・町工場を経営する父親・孝夫(志賀廣太郎)が「失踪しちゃった」と母親・三保子(木野花)からの電話があり・・・人生一寸先は闇という言葉を胸に刻むことになる。

光太郎は様々な金融機関から多額の借金を重ねており・・・その一部は富生が連帯保証人として返済を求められるものだった。

「恥ずかしくない男」として富生は全力で借金返済に取り組むが・・・三千万円ほどが返済不能となってしまう。

大学院生で・・・工場を継がなかった兄の存在を憎悪している弟の光太郎(玉森裕太)はまったくの役立たずで・・・兄に対する不平不満だけの男である。しかし、兄のフィアンセとは何かと連絡を取るので・・・最終的には兄のフィアンセを寝とる役回りと思われる。

資産家の後輩に吐瀉物を食べたら一千万円貸すと言われ食べかけるほど追いつめられる富生。

恩師である紺野(大杉漣)の娘・未央(大島優子)の落した「五百円硬貨」をネコババしてしまう富生。

富生を「五百円男」と呼ぶ未央がヒロインなんだろうねえ・・・何も悪いことしてないのに・・・金持ちの娘ってだけで梢は選ばれないんだろうねえ・・・。

金策に走る富生・・・しかし・・・母親は倒れ・・・意識不明となる。

そして・・・父親は自殺する。

遺書は「借金はするな・・・」だった。

「アホか」と叫ぶ富生。

「お父さんのことをアホなんてひどい」と少し、鈍い感じの弟である。

富生は毎年母親が初詣に出かける神社に賽銭の返済を請求する。

「母は結婚以来ここに毎朝おさい銭を1日5円、 365日で1825円、40年分で7万3000円。初詣の1万円掛ける40年分を合計して47万3000円・・・返してください」

「誰か・・・警察に通報」と神主。

「アホなの」と兄だけは容赦なく責め立てる弟。

資産家の早和子は富生を呼び出す。

「手切れ金ありで孫と別れなさい」

「お断りします・・・金と愛は別の話ですから」

「まあ・・・」

しかし・・・直後に弟が電話してくるのだった。

「金があればお母さんは手術できるって・・・」

引き返す富生。

「別れます・・・お金ください」

しかし・・・その金は闇金の回収請負人に強奪されるのだった。

「金を盗るなら俺を殺せ」と叫ぶ富生。

「別料金でお願いします」と言われてしまうのだった。

家も工場もとられた富生・・・。

事情を聞いた梢が駆けつける。

しかし「男の意地」で梢の「情」を拒絶する富生だった。

「金は置いていってください・・・しかし・・・今となっては・・・金持ちは俺の敵だから・・・お前とはつきあえない」

「えええええええええええええ」

父親の葬式で・・・。

「俺は信長だ・・・父にかわって天下をとる」と宣言する兄の正気を疑う弟だった。

その頃・・・富生の父親を追い込んだ赤松金融の赤松大介(渡部篤郎)はうっとりと一万円札を愛撫する。

「いいよねえ・・・金の匂いは・・・血と汗と涙と愛液がしみこんで・・・」

「変態・・・」と思う従業員の円あかね(新川優愛)だった。

「この世は銭ズラ・・・」と叫ぶ富生の運命はいかに・・・という話である。

おそらく・・・来週は・・・まっしろな世界に・・・。

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2015年1月 6日 (火)

ネオンライトでは燃やせない・・・わが家(向井理)

中島みゆきの「ホームにて」が主題歌なのだが・・・歌っているのは高畑充希である。

みゆき嬢ほどの婀娜っぽさはないが清々しさが胸に沁みる。

「父帰る」風ファンタジー・ドラマなので・・・これはこれでいいわけである。

有無を言わさず「もてる男」を演じる長塚京三は六十九歳。

平均寿命百歳の時代なら・・・まあ、いいか。

で、『新春ドラマ特別企画 わが家』(TBSテレビ20150104PM9~)脚本・井沢満、演出・竹園元を見た。ドラマに脚本力が要求されるのは間違いないが・・・脚本力の中には作家の個性というものもある。これが希薄だと物足りないし、濃厚すぎると鬱陶しくもなる。もちろん・・・受け手の好みにもよるわけだ。キッドにとってこれはやや・・・濃すぎる感じだが・・・なんとか飲み込めた。

かなり手垢のついた代理家族業でスタートするので・・・うっとなるが・・・本筋は主人公の家族の話である。

向井理(32)の演じる桜木一歩は売れっ子の孫役である。

派遣の孫を利用する村越琴子(草村礼子)には「土地も財産もあげるから本当の孫になってほしい」と乞われるほどだった。

飄々と他人の家族を演じる一歩だったが・・・自身の家族には鬱屈した思いがある。

一歩が幼い頃・・・料理人だった父親の武士(長塚京三)が家出をしたまま帰ってこないからである。

東京から二時間の海辺の街で一人暮らす母親の鯛子(田中裕子)ともなんとなく疎遠になってしまっている。

他の女に負けた母親に同情を感じつつ不甲斐なくも思うのだろう。

失恋した門脇麗美(市川実日子)に別れた恋人役で雇われた一歩はなんとなく気に入られ・・・まんざらでもない仲になるが・・・いざ・・・交際となると・・・父親のことがひっかかり・・・前に踏み出すことができない。

なにしろ・・・父親が好きでたまらない気持ちと・・・捨てられた怨みが渦巻いているのである。

そんなある日・・・「代理家族」の依頼に来るのが実の妹のほの香(鎌田英怜奈→村川絵梨)であることに辟易するのだが・・・ファンタジーだからな。

ほの香は出来ちゃった結婚する予定なのだが・・・幸せな家庭の嘘をついてしまい・・・辻褄を合せようとしたのだった。

結局、実の兄、実の母に加えて代理業の父親役・倉田百合雄(きたろう)という布陣で新郎との会食に臨む桜木家の人々。

その席に・・・実の父・武士が帰って来たのである。

ちょっとしたドタバタの後で・・・父帰るの修羅場に突入である。

家を出て二十年・・・どうやら別の女と暮らしていたらしい武士を何故か・・・歓迎する鯛子。

妹のほの香は父親の思い出がほとんどないためにうっとりする。

いろいろと割り切れない一歩は拗ねるしかないのだった。

顧客の門脇についに相談する始末だった。

「いいんじゃない・・・ろくでもない父親なんか・・・どうだって」

「そういう言い方はないだろう・・・」

「ほら・・・それが本音」

ほの香の提案で・・・東京で一日家族旅行をすることになる桜木家だった。

その夜・・・二人きりとなった父と子。

「変な商売やめて・・・将来のこと・・・真剣に考えろ」

「あんたに言われたくない」

とっくみあいの喧嘩になるのだった。

そこへ・・・止めに入った鯛子は・・・子供たちに隠していた真実を打ち明けるのだった。

「ごめんなさい・・・私が浮気しました」

「ええええええええええええええええ」

鯛子の浮気はちょっとした出来心だったらしい。

つまり・・・妻に浮気された夫は・・・気持ちの整理がつくまで二十年間、家出していたのだった。

「なんだかなあ」と思う一歩だった。

両親は元の鞘に収まり・・・妹は結婚・・・なんとなく孤独になった一歩は・・・東京スカイツリーに登る。

幼い頃・・・父はいつも言っていた。

「晴れた日に・・・運が良ければ・・・UFOが見える」と。

「考えてみれば・・・アホな父親だった・・・」

一歩は青春漲る両親のために・・・失われた二十年をぼんやりとふりかえる。

その時・・・地球侵略のために来襲した宇宙船団が東京上空に現れる。

新たなる悲劇の幕開けだった。

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2015年1月 5日 (月)

学は則ち三代に之を共にす・・・花燃ゆ(山田萌々香)

「お天気お姉さん」で武井咲、「サイレント・プア」で深田恭子の幼少期を演じた山田萌々香が吉田松陰の妹・文(井上真央)の幼少期を演じる。

下級武士なれども教養にあふれる吉田松陰の実家・杉家の幼女である文は・・・七歳にして「孟子」を諳んじるのだった。

「夏に曰ふ校、殷に曰ふ序、周に曰ふ庠、学は則ち三代に之を共にす、皆な人倫を明らかにする所以なり。 人倫の上に明にして、小民の下に親しむ。王者の起る有り、必ず来たりて法を取る、是れ王者の師と為すなり・・・」

教養なきお茶の間を置き去りにする猛女である。

「夏王朝、殷王朝、周王朝という古代中国の王朝には校、序、そして庠とそれぞれに呼ばれるものがあった。それらは名は違えども、人の正しき道を説くものである。上に立つものがこれを明らかにすれば、民衆もまたこれに倣う。王となるものは必ずこの法を選ぶ・・・つまり、正しき道を示すものが王となる」

つまり、学ばざるものは王にはなれないという訓示である。

勉強するぞ、勉強するぞ、勉強するぞ・・・なのであった。

で、『花燃ゆ・第1回』(NHK総合20140104PM8~)脚本・大島里美、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。まあ・・・シャア(池田秀一)のナレーションで・・・松陰のことを文が「キャスバル兄さ~ん」と呼び出し、「アルテイシア・・・」とつぶやきかねない感じは漂ってましたな。冒頭の「感じ合う」シーンではシャキーンと電光が走る勢いでしたな。一同爆笑してしまいました。ニュータイプなので・・・帰宅する前から寅次郎(伊勢谷友介)は家で何が起こっているか察している展開で・・・もうワザとですな。とにかく・・・とある世代の心は鷲掴みの初回というところでしょうか。まあ・・・毎年、幼少期の部分はそこそこ面白いのがお約束になっているので・・・予断は許されませんが・・・なんとなく・・・去年よりはマシな感じがいたしましたな。かなり・・・大胆ではありましたが・・・とにかく・・・ドラマのセリフになってますからねえ。そこは買いたいと思う今日この頃でございます。文の未来の夫(二人目)小田村伊之助の描き下ろしイラスト大公開で万歳でございました・・・本年もよろしくお願いしますが・・・あくまでマイペースでお付き合いくださりませ。

Hanam001_2嘉永四年(1851年)に将軍は第12代徳川家慶の代である。天保十四年(1843年)生まれの杉文は数えで八歳、吉田松陰二十一歳、桂小五郎十八歳、高杉晋作十二歳、久坂玄瑞十一歳、伊藤博文十歳、ちなみに坂本龍馬は十五歳、新島八重は六歳。幕府禁制の書として登場する「海防臆測」は天保年間に儒者・古賀侗庵が著した。対ロシアに対する海防について記すことで幕府の諸策の遅れを指摘している。長州藩士・山田亦介(山田顕義陸軍中将の伯父)は嘉永五年(1852年)に「海防臆測」を出版した罪で隠居させられた。山田は長沼流兵学者で吉田松陰にこれを教授している。侗庵の長子・謹一郎は書院番として江戸幕府に出仕し、昌平坂学問所の儒者となっている。秋月悌次郎、河井継之助などの師である。安政二年(1855年)老中阿部正弘に洋学所頭取に任命される。山鹿流兵学が時代遅れになっていることの象徴として「海防臆測」が抽出されたわけである。江戸留学に燃える吉田松陰にそうせい候・毛利敬親三十二歳が「そうせい」というのは御愛嬌なのであった。杉家は下級藩士ながら当主・杉百合之助は呉服方、盗賊改方などを務めている。職歴から察するに忍びなのである。当然、杉百合之助の娘・文はくのいちなのである。

兵学者の兄を持つくのいち・・・文は・・・もう一人の八重なのである。

しかし・・・八重のように半ば陽忍にはならず・・・長州きってのテロリスト・久坂玄瑞の妻となる女である。

ちなみに悟ります。

そして、ちょっと意地悪なお姉さん・寿(香音)はいいとも青年隊とふつえ(坂上とし恵)のジュニアである。

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2015年1月 4日 (日)

独立と自由そしておいしいものほど尊いものはない(久家心)

2015年は三が日が終ると日曜日という流れである。

年末からお節料理を食べ続けるので三日ともなればラーメンとかカレーとかステーキを食べ始める。

茹蛸の残りでたこ焼きなんかも食べるしな。

おいしいものがあれば人は幸せなのである。

海の幸、山の幸なのである。

だから・・・軍事力ではなく食欲で戦うという発想は常にある。

腹が減っては戦はできないのである。

美人でなくても料理上手なら結婚しやすいのだ。

・・・なんの話だよ。

もちろん・・・橋本愛が作る豚汁はきっと美味しいのだ。

で、『新春ドラマスペシャル・大使閣下の料理人』(フジテレビ20140103PM9~)原作・西村ミツル/かわすみひろし、脚本・いずみ吉紘、演出・佐藤祐市を見た。マジ歌選手権で「世界の終わり」がパロディーされるところも見たしお正月も終わりなんだなあ。どの国家が理想って奴なのか、悩む人は少ないと思うが・・・世界の様々なおいしいものが集まってきてベトナム料理が好きな人もいるのだろう。世界を彷徨う日本人の中にはソウルフードを感じる人がいるかもしれない。ベトナムはファンタジーでありゲスなデジタルモグラの領域だ。そういう漠然としたお茶の間の知識をさらに混乱させるこのドラマ・・・まあ・・・日本の歴史も知らないのにベトナムの歴史なんて無理だよねえ。

まず、ベトナムといえば・・・ホー・チ・ミン(1890~1969)である。

偉大な革命家で初代ベトナム民主共和国主席なのだ。

ベトナムという地域は古くから大国の侵略を受けて来た・・・何と言っても中国帝国は繰り返し侵略してきたし、次にはフランスが、第二次世界大戦のドサクサで大日本帝国が、そして米国が・・・次々と植民地化を図って来た土地である。もちろん、今は中国共産党が目を光らせているわけだ。

その中で・・・ベトナムという国家が存在している上で英雄ホーおじさんは欠かせないわけである。

ホーおじさんは・・・ベトナム戦争終結を待たずに死去しているが・・・ベトナム最大の都市・サイゴンは・・・陥落後にホーチミン市と改名されたわけだ。

映画「地獄の黙示録」(1979年)はベトナム戦争の幻想譚である。

同盟国米国が・・・アジアの人民を爆撃するシーンにショックを感じる日本人は少なくなかったと思う。

ゲリラとして戦う幼い少女が血煙りの中で果てていく。

なんといっても・・・久家心が現在のベトナムのストリートチルドレンであるアインを演じることができるように・・・日本人もベトナム人も同じ顔をしているのだから。

そして、今、ベトナムは独立して自由な国家である。

もちろん、その自由は対外的なもので国民はそこそこ不自由である。

しかし・・・国家から自由な国民など実際は存在しないわけである。

そんなベトナムに対し・・・中国もフランスも米国も・・・そして日本もいろいろと利権がらみの外交を繰り広げて行く。

もちろん・・・ものを言うのは軍事力と経済力である。

国家間と言えども・・・最終的には人と人の付き合いなので・・・おいしいことが大切なのである。

たとえば・・・それは「金」の話なのだが・・・ここでは・・・裏があるけどおもてなしの精神で・・・公邸料理人による設宴が決め手となるファンタジーとして描かれて行く。

愛する妻(広末涼子)を日本に残し、在ベトナム日本国大使館の公邸料理人となった大沢公(櫻井翔)は・・・なぜか、公にぞっこん惚れているレイ・ティー・蘭(剛力彩芽)を現地アシスタントとして・・・駐ベトナム日本国全権大使である倉木和也(西田敏行)の外交を影で支えるのだった。

そして・・・現地の少女に御馳走したりして・・・モテモテである。

なにしろ、ババ抜きも負けないアイドルなので・・・いいねえと言う他ないのですな。

まあ・・・そういうドラマです。

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2015年1月 3日 (土)

劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILLの流血と献花と私(堀北真希)

「劇場版ATARU」で良かったんじゃないのか。

まあ・・・いろいろとつけたしたかったんだよな。

「最初の恋と最後の殺人」ってなんだかなあ・・・って感じはあるよね。

腑に落ちない感じはするよね。

消化不良なんだよねえ。

「すべての命は大切」と「殺してもいい人はいる」の激しいバトルが薄いんだよな。

もっと・・・入念に「マドカの殺意」を描かないとな。

まあ・・・凡人向けに作らないと・・・ビジネスにならないからな。

お含みおきくださいだよな。

ブログじゃないんだからな。

だからこそだという考え方もあります。

まあ・・・およそ・・・二年ぶりに・・・決着がついてよかったよ。

で、『劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL(2013年劇場公開作品)』脚本・櫻井武晴、監督・木村ひさしを見た。ドラマ版の「ATARU」の実質的な主人公である美人刑事・蛯名舞子(栗山千明)が少し後退し・・・片足の管理官・星秋穂(松雪泰子)と天才犯罪者・アレッサンドロ・カロリナ・マドカ(堀北真希)のチョコザイことATARU(中居正広)争奪戦が展開する劇場版である。人類は時々、おそろしいものを生み出す。たとえば、ヒトラー・・・、たとえば原子爆弾である。マドカもまたそういうモンスターなのである。

現在、世界経済は電子化されている。

もちろん・・・電子の中枢はそれなりに・・・防御されているわけだが・・・それが人工的なものである以上・・・超人が出現すればたちまち無防備となるのである。

フィクションの世界では・・・そういう超人を度々・・・構築することができる。

幻想のスーパーハッカーであるマドカには不可能はない。

国籍も国境も国際法もマドカを拘束することはできない。

マドカを縛るものはマドカのみなのである。

しかし・・・ただ一人・・・マドカのかってのパートナーであるチョコザイだけが・・・マドカに匹敵する能力を持つのだった。

「天才」を規定することは困難だが、ここでは戦略的天才の側面からマドカを分析する。

孤児として修道院で育ったマドカは事故による脳の損傷によって一般人の限界を越えた超情報処理力を獲得する。

FBIのラリー井上(村上弘明)はマドカの才能に注目し、チョコザイのパートナーとして育成する。

超能力を使った犯罪摘発が二人の任務だった。

生得的な超能力者であるチョコザイと違い、普通人の記憶と超能力者の記憶を混在させるマドカは・・・世界の矛盾に対し、真摯に向き合うのだった。

「犯罪者の摘発」について手段を選ばないという決断が・・・チョコザイとマドカを切り離す。

そもそも・・・戦略的天才とは・・・目的達成のためには手段を選ばないのが基本なのである。

殺人を被害者の立場から考えれば結果はゼロである。

それに対し、法律は必ずしも「死刑」で対応しない。「死刑」の結果であるゼロに対し・・・いくらかのプラスが生じる。

マドカの幼い感覚では・・・それは許されない誤差だったのだ。

こうして・・・「目には目を・・・歯には歯を」という刑罰の原則に従い・・・マドカは犯罪者の独断による死刑執行を開始するのだった。

マドカの暴走を阻止しようとした通常人たちは・・・怪物を見失う。

FBIの保護を失ったマドカは自由になり・・・その能力を開花させる。

あらゆる電子の世界を支配するマドカは・・・地球の支配者となっていた。

もちろん・・・「犯罪者を撲滅すること」のためには・・・大量虐殺発生地域に核爆弾をうちこむことも、独裁者を王宮ごと吹き飛ばすことも可能になったマドカだが・・・そのターゲットはあくまで法的な犯罪者に限定される。

そのように洗脳されているのだから仕方がない。

天才的犯罪美少女を演じる堀北真希のせつなさ果てしなく・・・なのだった。

やがて・・・個人としての活動に限界を感じたマドカは・・・かってのパートナー・チョコザイのとりこみを画策するのだった。

日米でハッキングによる凶悪犯罪が続発し・・・マドカが日本に潜伏している可能性が高まる。

日米合同捜査本部の星管理官はチョコザイの能力を知って・・・マドカとチョコザイの共犯を疑い始める。

やがて・・・マドカの焼死体が発見され・・・チョコザイは単独の容疑者として拘束されてしまうのだった。

情報を操作するマドカはたやすく警視庁に潜入し、チョコザイとコンタクトをとる。

「あなたも犯罪者になりなさい」

「・・・」

愛する家族がいるチョコザイには・・・無理な相談なのである。

マドカとチョコザイの接触の事実を知り、沢刑事(北村一輝)さえもがチョコザイを疑い始める。

ラリーも「マイコのコレステロール」の可能性に不安を感じるのだった。

「マインド・コントロールだ」

しかし・・・鑑識課の渥見(田中哲司)、美人鑑識の石川唯(光宗薫)、美魔女鑑識・水野流美(島崎遥香)のトリオは・・・すべてがマドカの擬装であることを看破するのだった。

「すべては魔法陣のトリックなのね」

「チョコザイはアンチ魔法陣を開発している」

「チョコザイは無罪」

チョコザイによる電子戦の介入で難を逃れた星管理官は凡人を代表して天才に謝罪するのだった。

チョコザイの犯罪者化に失敗したマドカは孤独を感じる。

「犯罪者の処刑」という戦略目標を点検するうちに内在する矛盾に気がつくマドカ。

世界有数の富豪であり、世界の主な企業の経営者であるマドカ自身が「犯罪者」だったのだ。

「犯罪者は処刑しなければならない」

マドカは立会人として・・・チョコザイを選択し・・・その生涯を終えるのだった。

死体となったマドカにラリー井上は凡人として謝罪する。

ルート66には・・・マドカの赤い花が咲く。

チョコザイは・・・恋人としての家族・・・マドカを失った喪失感を埋めるために・・・白い花で路上を埋める。

その行為は終わることを知らないのである。

チョコザイは一生・・・それを繰り返す・・・なぜなら・・・彼は彼女に永遠の愛を捧げたのだから。

ロミオとジュリエットは結ばれないのが運命なのだ・・・。

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2015年1月 2日 (金)

迷える子羊たちのお茶会にスナイパーの銃弾をお届けします(水谷豊)

「相棒season12」の第13話 「右京さんの友達」で杉下右京(水谷豊)の奇妙な紅茶友達・毒島幸一(尾美としのり)を登場させた脚本家が・・・蘊蓄を繰り広げる元旦スペシャルである。

まあ・・・繰り広げ過ぎて意味不明なところもあるが・・・なかなか教養あふれる展開なのである。

サブタイトルの「ストレイシープ」は「マタイによる福音書」の「18章11節~13節」からの引用として紹介される。

その直前にナザレの男・イエスは弟子たちに「自分の死と復活」を予言する。

弟子たちは恐怖を感じる。

動揺する弟子たちにイエスは告げる。

「天におられる我等の父は・・・迷わないものと迷えるものを隔てることなどしない。迷えるもの(ストレイシープ)があれば必ず捜し出す。迷わないものよりもむしろ迷えるものが見出されることを喜ばれる」

弟子たちはイエスとともに滅びることにためらいを感じる。

「私は迷える子羊を捜しに来た羊飼いである。だから・・・罪の誘惑が必ずあることを知っている。あなたの手が罪を犯すなら・・・あなたは手を切り捨てなさい。手がそろっていても地獄の火に投げ入れられたら何の役にも立たないのだから」

こうして弟子たちは自分たちを導くもの・・・イエスの恐ろしさにようやく気がつくのだった。

で、『相棒 season13 元日スペシャル』(テレピ朝日20150101PM9~)脚本・真野勝成、演出・和泉聖治を見た。ピカソが「二十世紀最後の巨匠」と讃えた画家バルテュスはダージリンとアールグレイのブレンドを好んだと言う。紅茶を愛している杉下右京はそんな言葉で・・・謎の女・西田悟巳(石田ひかり)とお近付になるのだった。プライベートタイムの杉下右京は隙だらけという話なのである。

しかし・・・西田悟巳は自殺し、知人を名乗る謎の男(平岳大)が西田悟巳の最後の手紙を右京に手渡すのだった。

そこには・・・杉下右京に恋をした悟巳が右京と月本幸子(鈴木杏樹)の関係を誤解し死を決意したことが認められていた。

「なんて誤解を・・・」

いや・・・愛人関係なんだろう・・・二人は・・・違うのかよっ。

その頃、霊能力者である中園参事官(小野了)の妻は「未曾有の危機とラッキーアイテムは眼鏡と紅茶」という神のお告げを聞く。

やりたい放題だな。

誘拐事件が発生し・・・カリスマ投資家の梶井素子(川上麻衣子)が用意した身代金1億2千万円は焼失する。

危機を感じた中園参事官は・・・眼鏡と紅茶といえば特命係の杉下右京ということで捜査の参加を認めるのだった。

右京と相棒の甲斐享(成宮寛貴)は梶井素子(川上麻衣子)と関わりのある伊藤という自殺者(泉晶子)の存在を探知する。

伊藤は富士の樹界で集団自殺をしており・・・そのうちの一人は右京と関わりのある人物だった。

右京が検挙した万引き犯・粕谷栄子(山本雅子)の恋人だったのである。

その後・・・万引き犯は自殺し・・・恋人が右京を怨んでいた可能性が浮上するのだった。

さらに・・・もう一人の女性が大物政治家の愛人だったことを突きとめた特命係。

その大物政治家を自殺に追い込んだ元東京地検特捜部のエース、議院議員の橘高誠一郎(三浦浩一)が「12月25日、必ず罪を犯す」という動画が素晴らしいインターネットの世界の議員のサイトに投稿されるのだった。

警視庁は一連の犯罪の裏に「犯罪の神様」と噂される新型犯罪組織のリーダー・飛城雄一の関与があることを疑うのだった。

やがて・・・橘高誠一郎の愛人で大物政治家のスキャンダルを密告した女が拉致され、脅迫に屈した橘高は銃を乱射するのだった。

右京は真犯人に誘導されて真実に近づく。

甲斐の恋人の悦子(真飛聖)の携帯端末によって謎の男に呼び出される右京。

自殺した西田悟巳の思い出の地・・・数十年に一度花が咲く山荘で右京は拘束されてしまう。

「あなたは誰ですか」

「飛城雄一です」

「それは嘘ですね・・・飛城雄一は自己顕示欲が欠落した犯罪者だが・・・あなたは・・・そうではない」

「・・・」

「富士の樹海で集団自殺をしようとしたのは六人だったのでしょう。一人はカリスマ投資家を怨んだ女、一人は橘高議員を怨んだ女、一人は私を怨んだ男・・・そして・・・もう一人が犯罪の神様・飛城雄一・・・しかし、あなたと西田悟巳は死にそこなったのですね」

「あなたは・・・神か」

「いいえ・・・警察官ですよ」

「そうです・・・私は・・・飛島雄一の悪の遺産を手に入れ・・・死んだ人々の怨みを晴らすことを思いついたのです・・・彼女は・・・それに手を貸してくれたのです」

「しかし・・・あの人は私に恋をして・・・あなたを裏切ったのですね」

「ちがう・・・何を言ってるんだ・・・」

「だから・・・あなたは・・・あの人を殺したのでしょう」

「黙れ」

しかし・・・右京の危機を察した甲斐亨は父親の甲斐峯秋警視監(石坂浩二)を動かし・・・警視庁最強の狙撃手・日野警部補(寺島進)を召喚していたのだった。

間一髪、逮捕される謎の男だった。

「彼女の本当の遺書があります・・・」

「君はあの人を愛してしまったのですね」

「あなたはどうだったんです」

「・・・」

答えないのかよ・・・とお茶の間を激昂させる右京だった。

一人・・・思い出の店で・・・手紙を開く右京。

「私は免疫系の病気で・・・処女のまま年を重ねてしまいました。闘病に疲れた私は迷いの森の中で・・・死にかけた子羊と巡り合ったのです。彼の命を救うことが使命だと感じました。そして・・・彼が始めた復讐を手伝うためにあなたに近付いたのです。しかし・・・思いがけないことに・・・私は生まれて初めて恋をしてしまったのです。しかし・・・そのことをあなたに打ち明ける勇気は私にはありませんでした。私は犯罪者であなたは警察官・・・叶わない恋だったからです・・・私にできるのは・・・この手紙ですべてを告白することだけなのです・・・ごめんなさい・・・そしてありがとう」

右京は雪の降りかかる夜の街を歩きだす。

さて・・・警視庁広報課長の社美彌子(仲間由紀恵)は事件の火消に暗躍する。

美彌子と言えば・・・小説「三四郎/夏目漱石」の登場人物で・・・その口癖は「迷羊(ストレイシープ)」なのである。

美彌子のモデルは・・・平塚らいてうとされる。女性の権利獲得に奔走した活動家であり・・・恋する女だった。

時は過ぎ・・・女の時代がやってきた。それはまた・・・迷える子羊たちの時代でもあるようだ。

バルテュスの絵の中で少女は大胆に股を開く。

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2015年1月 1日 (木)

2015年冬ドラマを待ちながら(キッド)

あけましておめでとうございます。

毎度おなじみの朝まで生テレビをBGMに日本の夜明けを待っている。

「仕事の充実」を望む人々が多数派であることは素晴らしいことだと思う。

しかし・・・それは与えられるものではないだろう。

内戦中の国家では女性兵士も立派な仕事だし・・・。

「自由」と「平等」の両立という・・・ありえないものを目指して政治家たちは苦悩する。

サザンは隣の国と仲が悪いのはなんだかなあと歌う。

だが・・・裸の王様がいるのは・・・こちらの国ではないように思う。

そこを濁して歌うのは少しずるいよね。

「みんなで豊かになろう」という人と「貧しさを分かち合おう」という人がいる。

前者は「貧しい人を救う」と言い、後者は「少しずつ豊かになれる」と言う。

言いわけ合戦が不毛を匂わせる。

戦いを否定しながら戦うから負けるのである。

戦いを否定するなら戦わないのが一番だ。

「世界から奪い、日本が豊かになる、そして世界に少し返す」という手法に対するには「世界の誰よりも貧しくなり、世界に恵みを乞う」しかない。

そのために全力を注ぐ政党こそが真の野党だ。

しかし・・・大衆はそんなものを絶対に支持しないような気がするんだよねえ。

困っちゃうよねえ。

与党が弱者を切り捨て、徴兵制を復活させ、増税に増税を重ねるとかだったら・・・分かりやすいのにねえ・・・。

地方では・・・鉄道のレールがさび、警察官は暴力団と酒を飲む。

そんなところに分権して・・・大丈夫なのかと危惧を感じるしねえ。

今年もどうか富士山が噴火しませんようにと願うしかありません。

チョッパーは海賊旗を掲げる。

熱い思いがあるから折れない国旗であってほしい。

ギレンは父に選民思想の愚を説かれ嘲笑する。

アムロは求めた新技術を入手し、エルメスの撃退に成功する。

そして・・・ももクロは緑の不在をカバーするのだった。

あれから・・・毎年「女々しくて」を聞いているので・・・まるで紅白の時間は三年前から止まっているような気がする。

だが・・・ゆっくりと時間は流れて行く。

このブログのスタートは2006年の4月・・・。

途中、休止はあるが・・・なんだかんだ・・・もうすぐ十年間という経過が成立する。

2015年冬ドラマはそういう節目にあるのだった。

今年の漢字は「節」なのだ。

そして・・・問題なのは・・・(日)だよな。

(日)の「花燃ゆ」・・・「花より男子」みたいな大河ドラマだったら・・・いっそ面白いのだが。「歴史のダイジェスト」をするつもりはないとスタッフが言っていた・・・それは「軍師官兵衛」のことなのか・・・とにかく・・・先行スタートなので初回を見て・・・決断するしかないのだった。「流星ワゴン」にはそそられないもんなあ・・・。

(月)「デート~恋とはどんなものかしら~」は古沢良太の脚本の月9である。キャストにはそれほどそそられないが・・・チャオと言うしかないよね。

(火)「全力離婚相談」の竹富聖花、「銭の戦争」の新川優愛、「ゴーストライター」の水川あさみにはそそられるが・・・「まっしろ」しかないよね。堀北真希と志田未来が白衣を着たら無敵だよね。

(水)「○○妻」VS「残念な夫。」・・・これは・・・柴咲コウが遊川和彦に酷い目にあうのか・・・それとも玉木宏が倉科カナに酷い目にあうのか・・・予断を許さないな・・・。

(木)「問題のあるレストラン」・・・坂元裕二脚本で・・・真木よう子、二階堂ふみ、高畑充希、松岡茉優、臼田あさ美というゴージャスな展開。連勝記録はどこまで続くんだ・・・。

(金)「ウロボロス ~この愛こそ、正義。」の上野樹里、「怪奇恋愛作戦」の麻生久美子、「セカンド・ラブ」の深田恭子、「山田孝之の東京都北区赤羽」の山田孝之・・・殺す気か・・・。

(土)「学校のカイダン」・・・ああああああああああああああああああ、た、谷間が・・・。

今年もよろしくお付き合いください。

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