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2015年1月28日 (水)

チヤホヤとかして欲しかっただけのナースじゃナイチンゲール(堀北真希)

平等の旗の一つに「苦痛の前の人間平等」というものがある。

もちろん・・・痛覚にも差異はあって敏感とか鈍感とかいろいろあるわけである。

快感と不快感は紙一重であって・・・感じやすかったりそうでなかったりもするのだ。

そういう・・・細部はともかく・・・「痛い」ということで人間は共通点を見出すわけである。

それを我慢できるタイプと我慢できないタイプはこの際、二の次としておく。

救急看護の基本は・・・この苦痛の緩和にある。

痛みを和らげてくれる人は・・・神様みたいなものですからな。

もちろん・・・医療の現場ではドクターが麻酔してくれるのが直接的だが・・・ナースが処置をして痛みを緩和してくれる場合もある。

破裂せんばかりにたまった尿を排出させてくれたりね・・・。

もちろん・・・そういう能力にも差異はある。

格差社会とは・・・経済力によって・・・苦痛の前の人間平等が崩壊することなのである。

で、『まっしろ・第3回』(TBSテレビ20150127PM10~)脚本・井上由美子、演出・伊藤雄介を見た。理想の病院も世界観によって変容することは言うまでもない。経済力を無視して理想の病院を考えれば「金に糸目をつけないシステム」が構築できる。多くの場合、それは現実的ではない・・・ということになる。コストダウンを重視して・・・経済効率を考える必要があるからである。しかし、格差社会においては差別化によって・・・不平等な理想の病院は構築可能なのである。誤解を恐れずに言えば・・・自由診療制度下では高額料金・高度サービスの自由な理想の病院と低料金・低サービスの平等なそれなりの病院が誕生するわけである。できれば・・・このドラマではそういううらやましい病院の姿を描き、貧乏人に絶望を感じさせてもらいたいと願うのだが・・・やはり・・・お茶の間向けの着地点を狙うわけである。ま・・・ドラマ制作もビジネスだから・・・しょうがないよね。

人間の能力には差異がある。同じ日本人でありながら、世界一を狙えるテニスプレーヤーもいれば、そうでない人もいるわけである。

同じ看護師でも頭脳明晰、体力抜群、明朗活発、容姿端麗の人もそうでない人もいるわけだ。

本来、超高級病院では超高額報酬で超優秀な人材を揃えるわけである。

そこでは・・・人間関係の摩擦は起きない。なにしろ、超優秀な管理者が制御するからである。

しかし・・・ドラマなので・・・人間はみんな下衆という要素を混入する必要がある。

優秀すぎて問題が起きなくては・・・面白くないという下種なお茶の間の希望を叶える必要があるからだ。

そのために・・・優秀な警察が犯罪者集団になりがちな今日この頃なのである。

超優秀な病院に問題を引き起こすのは・・・ふたつの要素である。

一つは「嫉妬」や「怠惰」といった心理的な問題。

一つは「無知」や「経験不足」といった物理的問題。

前者を代表するのが・・・愛人ニャース・明日香(菜々緒)や体(ボディ)採用枠のさくら(MEGUMI)、プライベートも充実させたいとし恵(西尾まり)などの三ツ星ナースの看護師長の田野島心(木村多江)への不平不満である。

完璧な患者様への看護とお客様への献身的なサービス・・・時には矛盾する両者を両立させるスーパー・ナースである看護師長に・・・そうでない人は水準の引き下げを要求する。

しかし・・・不満分子はそれなりに優秀なので・・・それを直接ぶつけたりはしないのである。

後者を代表する主人公・無印ナースの有村朱里(堀北真希)を焚きつけるのだった。

朱里は良く言えば純情可憐、悪く言えば操縦可能なのである。

同様に・・・留学帰りの若手外科医・仲野孝太郎(柳楽優弥)も経験不作と傲慢な性格による青二才な言動をするために・・・二人は「ロマンチックなコンビ」となっているのだ。

今回は・・・充分に語られてきた問題ある患者・小説家・大江淳平(眞島秀和)がゲスト扱いであったために時間配分が理想的となり・・・ついに大奥的ナースステーションのお局的看護師長のスーパーナースぶりが遺憾なく発揮されて・・・決まりましたね。その分、主人公朱里のフーテンの寅さん展開控えめである。

寅さん展開をするためには・・・もう少し研究が必要なんだな。

まず・・・男はつらいよ・・・ってことなんだから。

ついでに・・・この理想の病院の男女差別について言及しておきたい。

つまり・・・これまでのところ・・・男性看護師がキャスティングされていない問題である。

これには母性的育児の問題が深く関わっていると思われる。

性差的役割において・・・圧倒的に女性が育児に関わって来た流れから男女を問わずに「女性」に「看護されたい」という志向があると推定されるわけである。

これがシステム設計に考慮されているのであろう。

もちろん・・・何事にも例外はあるので男女を問わず、女性恐怖症の患者も存在するはずである。

だから・・・省略されているが・・・この病院には超優秀な男性看護師も存在するのだろう。

「あなただって・・・看護師長に言いたいことがあるでしょう」

「え」

三人の奥女中・・・大奥ドラマではもう少しコミカルなキャスティングです・・・看護師・明日香・さくら・とし恵にネジを巻かれる朱里だった。

「看護とサービスのバランスの問題とか」

「緊張感のありすぎる職場とか」

「勤務体制の見直しとか」

「はあ・・・」

「それを・・・看護師長にぶつけなさいよ」

「え・・・でも・・・私はまだ仮採用だし」

「だからこそ・・・言えることがあるでしょう」

「・・・」

「私たちの意見を無視すると・・・いろいろと・・・ねえ」

「はい」

仕方なく・・・看護師長に対面する朱里。

しかし・・・看護師長のニュータイプとしての圧倒的な迫力に言葉を失う朱里だった。

そこへやってくる孝太郎。

「どうした・・・」

「そんなに私が気になるの」

「おいおい・・・」

「ま・・・いいわ・・・これからシャアに戦いを挑む私を励ましなさい」

「俺は・・・ミライさんか」

「ブライト艦長で」

「弾幕薄いぞ・・・ガンダムをさっさと出せ」

「アムロ行きまーす」

ガンダム禁止だ。

しかし・・・三倍の速度を持つ看護師長に朱里は太刀打ちできないのだった。

「改善の余地があると思います」

「考えておきます」

「言ってきました」

「簡単にかわされてんじゃねえか」

一方で担当患者である小説家・大江が自分より看護師長に信頼を寄せていることにいろいろな意味で嫉妬する無印ナース・木綿子(高梨臨)である。

雪の舞う屋上で自殺しそうになった大江を先に発見したのは木綿子だったのに・・・助けたのは看護師長なのである。

ロマンチックなゲスト入院患者がいないために・・・惚れやすい朱里は・・・大江に触手を伸ばすのだった。

このキャラクター設定ももう少し・・・説明が必要である。

基本的に動物には発情期が存在するが・・・人間はいろいろな意味でそれを秘匿しているために発情期の存在そのものを語ることが隠匿されているわけである。それを性的興奮と言い換えても良い。とにかく惚れやすいということは発情しやすいということである。すぐに惚れすぎるという意見もあるだろうが・・・さかりのついた雌なんてみんなこんなもんだろう・・・おいっ。

大江に惚れている朱里は・・・木綿子の複雑な感情も・・・すべては「木綿子が大江に惚れているから」と判断するのだった。

「友達の好きな人に手を出すのは問題があるから・・・大江さんのこと諦める」という朱里を・・・。

理性の鎧で超武装した医療おタクの菜々(志田未来)は朱里を「かわいそうな子犬」を見る目で蔑むのだった。

「あんたからは・・・いまだに未発見の人間の性フェロモンが抽出できるかもしれねえな」

「え」

急患として子宮外妊娠した19歳のアイドル・三國麻綾(SUPER☆GiRLS志村理佳=ドラマデビュー)が搬送されてきた。

「痛い・・・ああん・・・いたあい」

「子宮外妊娠だな」

「アイドルなのに」

「一番妊娠しやすい年頃ですから」

「発情期か」

「おいっ」

診断を下した孝太郎は看護師長がベッド数不足を理由に入院を認めなかったことで不満を感じる。

大江とともに外出した看護師長を尾行した朱里と木綿子は看護師長が大江の手を握る現場を目撃して誤解を深める。

「患者との不適切な交際」の噂が広まる中・・・反乱分子の集まる無礼講の席に現れた看護師長は「私は患者様と交際いたしません」宣言をするのだった。

ついに・・・孝太郎は「検査をしないのなら・・・退院してください」と大江に直言する。

これを受けた大江は渋っていた自作の映画化を受諾し、契約金の一億円を・・・最高級セレブ病院 「東王病院」に寄付して・・・病室を買いたいと佐藤センター長 (石黒賢)に申し出る。

「病院は単なる宿泊施設ではない・・・病人でなければ退院するべきだ」と主張する孝太郎。

「看護師長のご意見は」とセンター長は問う。

「治療の意志のない方には退院していただくしかないのかもしれません」

「そうですか・・・」

看護師長に告げられて肩を落す大江。

そして大江は退院することになった。

「これでよかったのですか」と看護師長に問う木綿子。

「あなたは何のために看護師になったのです」と問い返す看護師長。

「・・・」

「たとえ・・・優秀な芸術家であっても・・・深刻な病気と向き合うのが恐ろしいと感じる方はいらっしゃいます」

「え」

「大江様は・・・肺腫瘍の疑いがあります」

「どうして・・・検査もしてないのに・・・」

「指先にしこりがありました」

「肺がん患者の所見ですね」と孝太郎。

「担当看護師の為すべき仕事はなんですか」

「患者様に・・・病気の治療に専念していただくことです」

「それならば・・・役割を果たしなさい」

「はい・・・」

すべては・・・看護師長の目論みなのであった。

木綿子を誘導し、朱里と孝太郎を誘導し、患者を追い込んだのである。

死の待っている院外への扉の前で躊躇する大江・・・。

「大江様・・・検査を受けてください」

「君に・・・何がわかる」

言葉につまった木綿子に・・・ついに主人公が決める時がきた。

「入院患者に病気を治してもらって・・・元気に退院してもらう・・・それが私たちの喜びなのです」

「・・・」

「一生懸命・・・お世話いたしますから」と木綿子。

白衣の天使のダブルパンチに・・・撃破される大江の恐怖心なのである。

こうして・・・東王病院は一億円の寄付金を獲得するのだった。

恐ろしいことに・・・木綿子は・・・本当に大江に気があるらしかった。

東王病院の看護師は・・・発情率高しである。

時と共になんだかんだでなんとなく仲良くなる無印トリオ・・・一方、反逆ナースさくらはオペナースの恵(水野美紀)に接近するのだった。

関連するキッドのブログ→第2話のレビュー

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