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2015年1月26日 (月)

死して不朽の見込みあらばいつでも死ぬべし(伊勢谷友介)

文政十三年(1830年)八月生まれの吉田松陰は嘉永七年(1854年)三月には数えで二十五歳、満23歳である。

この時点で松陰の思想がどの程度、完成していたのかは定かではない。

知的天才という側面で考えれば・・・すでに「死に至る道程の中で自分の果たす役割」を認知していたと考えることもできるし・・・「若さゆえの過ち」を示していたと考えることもできる。

吉田松陰の「世界観」は基本的に観念的であったと言える。

教養人として儒教への造詣を深めた松陰は・・・同時に流入する新知識に恐怖を感じたらしい。

歴史を紐解けば「徳川幕府」による「幕藩体制」が「天下」の一つの形式に過ぎないことは松陰の「理」となっている。

幕府と藩という二重の支配が定めた身分が仮初のものであることを知った松陰はその先にある「天朝」への傾斜を深めて行く。

松陰は「忠」の対象として「天皇」を求め・・・それゆえの「日の本」という国家に至る。

欧米列国のアジア侵略が進捗する時代を感じた松陰は・・・驚くべき想像力で・・・「回天」を志向するのである。

すべては・・・自分が特別な存在であるという思いこみ。

特別な存在であることは「日の本」の「天皇」を守護するべく一命を投げうつ覚悟があるゆえである。

この激烈な意志に動かされ・・・松陰の密航失敗からわずか14年後には・・・大日本帝国が誕生してしまうのである。

恐ろしいことだが・・・この結果があるゆえに・・・吉田松陰は・・・神になってしまうのだった。

で、『花燃ゆ・第4回』(NHK総合20140125PM8~)脚本・宮村優子、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回はついに主人公のお父さん・杉百合之助描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。吉田松陰の密航失敗から捕縛までの流れを丁寧に描いているので・・・本当に・・・主人公は子役でいいですよねえ。身分は低いが教養人の父親が・・・「国禁」とは何かとか・・・「国禁を犯す」とは何かとかを訊ねてくる好奇心の強い娘に教え諭す・・・という展開の方がわかりやすかった。アホな息子をもってしまったために凡庸な身でありながら・・・切腹も覚悟する下級武士の辛さを描いた場合・・・まあ・・・あまりにもある事象とリンクしすぎなのかもしれません・・・予告編がなかったのは・・・なんか・・・もっとすごいリンクがあって・・・急遽再編集だったのでは・・・と邪推します。なにしろ・・・あれは火曜日の話でしたからな。

Hanam004嘉永七年四月、京の御所で出火があり、全焼。市街地にも飛び火し大火となる。幕府は下田・函館の開港を布告する。七月、日の丸が公式に商船旗(日本総船印)となる。米国で米兵とインディアンの激突が発生しナバホ戦争。アパッチ戦争など明治維新後も続くインディアン戦争の幕開けとなる。英仏軍はロシアのカムチャッカを急襲する。英国スターリング艦隊が長崎に入港。八月、日英和親条約締結。ロシア黒海艦隊が立て籠もるセヴァストポリを英仏トルコ連合軍が攻撃開始。戦いは一年続き死傷者二十万人。ナイチンゲールが従軍看護婦となる。十一月、安政東海地震、安政南海地震、豊予海峡地震が相次いで発生。黒船来航、内裏炎上、地震と異常事態が続いたために嘉永七年十一月二十七日、安政に改元。しかし・・・安政二年には江戸大地震が発生することになる。江戸幕府が吉田松陰の身柄を長州藩に移し、藩命により吉田松陰は萩城東方の野山獄(武士用の牢獄)に収監される。

須佐のたたらの里は隠れ里である。入り組んだ入り江から高山への傾斜の中に洞窟があり・・・そこにはスサのミコトが祀られている。

杉一族や児玉一族はスサのミコトを信奉するタタラ忍びであった。

もちろん、上古の時代には鉄器をヤマトにもたらした一族である。魏志倭人伝に「イ」と伝えられる日本海沿岸王国・・・半島南岸と九州、長州の北岸を囲む海洋王国の末裔でもある。

忍びの源流はここから・・・出雲の忍者、大和の忍者、山城の忍者を経て、伊賀・甲賀・飛騨・甲斐・風魔と全国に伝播していくのである。

その一族に二人の異端児が生まれた。

一人は未来予知力に優れた吉田寅次郎・・・そして他心通の才能を持つ杉文である。

杉一族と児玉一族の血の配合がついに・・・先祖帰りの異能力者を生みだしたのである。

凡庸な父と母は・・・息子と娘の異才に驚愕した。

タタラ忍びの上忍である毛利敬親は報告を受け・・・好機の到来を感じる。

関ヶ原以来の宿願である倒幕の機運を感じたのである。

しかし・・・寅次郎と文の才能は・・・敬親の期待とは異なる方向に開花していくのだった。

未来を知る男・・・寅次郎は・・・すでに確定された己の死を感じている。

文は母親の顔色を読んだ。

察相は・・・文にとって児戯に等しい。

「なぜ・・・隠していたのです」

母は文を詰る。

「兄上が・・・告げてはならぬと申すけえ」

「せわない・・・」

「いかがした」

「寅次郎が・・・幕府に囚われたそうでございます」

「そうか・・・」

「明日を知るものが・・・どうしてかような憂き目に・・・」

「仕方あるまい・・・寅にとって・・・幕府に囚われることは・・・すでに決まっておったことなのじゃ」

「・・・」

「兄上は・・・じきに萩に戻るけ・・・まっちょけえと・・・」

「無事に戻ってくるのですか」

「寅がそう言うなら・・・そうなるのじゃ・・・すべては決まっておるのじゃけ・・・」

「難儀なことです・・・」

文は・・・兄が野山の獄につながれることは・・・伏せた。

兄がそう心に囁いたからである。

江戸の小伝馬町の牢獄にいる寅次郎と・・・萩の城下の文の心は今・・・通じ合っている。

関連するキッドのブログ→第三話のレビュー

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