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2015年2月28日 (土)

西日だけが入る狭い部屋で(亀梨和也)二人だけが幸せだったのだ(深田恭子)

舞台芸術を見て感動したことのない人に「コンテンポラリーダンス」を説明するのは難しい。

「歌舞伎」や「バレエ」、「シェイクススピア」でも「小劇場」でもいい。

とにかく、目の前で「凄いこと」が起きているという衝撃を受けたことのない人にはわからないことがある。

キッドの場合は寺山修司の舞台で目の前でむきだしの男性器を躍動させる男優さんの舞踏を見て「うわあ」と思った瞬間があった。

一言で言うと「ちんちんがぴょんぴょん」である。

その一瞬に・・・生きていることのどうしようもなさ、何者かを恋慕するということ、未知の世界、遥かな歴史、虚しい人生のようなものが激しく胸に迫ってきたのである。

このドラマを見ていて・・・意味がわからないという人は・・・まだ人生の意味を知らないのだろうと思う。

ひょっとすると一生わからないかもしれないが・・・気にすることはない。

大衆というものはそういうものだからである。

ダンサーと振付師と演出家と舞台監督と興行主の関係なんか知らなくても生きていけますし。

で、『セカンド・ラブ・第4回』(テレビ朝日201502272315~)脚本・大石静、演出・塚原あゆ子を見た。何が幸せってやつなのか。これが幸せってやつなのか。教えてほしい人とそうでない人はいる。日本に生まれたことが幸せなのはあったかいごはんを食べればわかるのか、川崎にはなるべく近付かない方が幸せなのか、どうしても献金は幸せなのか、原発稼働が幸せなのか・・・幸せではないニュースだけが幸せなのか・・・いろいろと大変なんだなあ。そして・・・今年も春が近付いています。この恋が終る時・・・愛が始るのか。それともただ桜が咲くだけなのか。白い季節はゆっくりと流れて行くのです。

不倫は文化でもあり罪でもある。

不倫をいけないことと決めつけるのは息苦しいが・・・正々堂々とされても困惑するのである。

第一、愛人と外食した後で家族と家ごはんするのは肥満の原因になる。

平慶(亀梨和也)と恋に落ちた西原結唯(深田恭子)は同僚教師・高柳太郎(生瀬勝久)との不倫関係を解消する。

飛行機事故も離陸や着陸の時に起きやすいと言われるが、不倫も終焉に発覚しやすいのである。

終わらせたい方は無防備に急ぐし、終わらせたくない方は焦りで失策する。

安定期には完璧だった隠匿工作が破綻し・・・周囲にあらぬ疑いの目を生じさせる結唯と高柳だった。

県立山王女子高校は進学校であるために生徒にはある程度の鬱屈がある。

弱みを見出した生徒たちは鬱憤晴らしの機会を見逃さない。

「不倫」と騒がれて戸惑う結唯。

(今は)してません・・・と反駁できないのである。

もちろん・・・結唯には罪の自覚や・・・自分が加害者であるという自覚もあまり感じられない。

何しろ・・・死んでいる気分だったのである。

事態の鎮静化を図ろうと・・・内藤教頭(永田耕一)と木田校長(越村公一)は密室での事情聴取を通達する。

しかし、自分は狡猾であると信じる高柳は職員室での偽証に踏み切るのだった。

「私と西原先生には不適切な交際はありません」

「しかし・・・火のないところに煙は立たないと申します」

「何が問題なのでしょうか」

「高柳先生と西原先生がファミレスとデートしていた・・・高柳先生と西原先生がドライブをしていた・・・高柳先生と西原先生が通学路で痴話喧嘩をしていたという噂があります」

同僚の上田波瑠子(秋山菜津子)はくのいちだった。

「それは・・・生徒のことについて相談を受けたからです。時間が長引いたので西原先生をお宅まで車でお送りしたことがありました。その時は西原先生のご母堂にもご挨拶申し上げています。通学路の口論は指導方針の意見交換です」

「私が・・・もう少し時間をいただけないかとお願いしていたのです」

慣れ合いで口裏をあわせる二人だった。

一種の阿吽の呼吸である。

なにしろ五年間も秘密を共有していた二人なのである。

隠蔽の素材として使われた竹内そら(小芝風花)は高柳もしくは西原に特別な感情を抱いているようで・・・同級生の噂話に「先生はそんな人じゃない」と釘をさす。

まあ・・・そんな人だったわけだが・・・。

「不倫相手にナギナキはないと思う」という意見に反対なら・・・ナギナギに好意を抱いていることになるが・・・よくわからんな。

まあ・・・人殺しとだって恋をすることができるのが青春だからな。

「やってるやってるって・・・やってるとこみたのかよ」と机をドンするそらだった。

廊下で囃したてる女生徒たちについに爆発する恋の力。

「私が一緒に暮らしているのは年下の独身男性です」

居合わせたナギナギは複雑な気持ちになるのだった。

「ここは勉強をする場所ですよ・・・わきまえなさい」と胸を張る結唯である。

何しろ・・・忌まわしき過去は清算されたのである。

しかし・・・それが結唯の一方的な思いであることは確実で・・・犯した罪は消えたりはしないのである。

ヒロインの幸せを願うお茶の間はハラハラドキドキするのだった。

二人の恋のもう一つの障害である結唯の心を病んだ母親・真理子(麻生祐未)・・・。

真理子は慶の職場を急襲するのだった。

「結唯は本当に私の可愛い子供なんです・・・私に返してください」

「それはできません」ときっぱり断る慶だった。

「経済的問題はどうするんです・・・まともな仕事もしていないのに・・・私や結唯を養っていけるんですか」

「養っていく気はありません」

「そんな・・・私は誰を頼ればいいんですか」

通りがかりの仕事仲間の田島(寺島進)はつぶやく。

「この間は若い子だったのに・・・今度は熟女かよ」

「なんですって・・・うちの結唯は若いとは言えないから・・・別に女がいるのね・・・そういうことね」

「いません」

「嘘・・・娘を騙す気なのね」

「騙しません」

「じゃ・・・結婚する気なの」

「結婚はまだ考えてません」

「なんですって・・・結婚する気もないのに・・・一緒に暮らすなんて・・・許せない」

慶を鉄拳制裁する真理子だった。

とにかく、自分の幸せは願っても娘の幸せは願わない真理子だった。

「お母さんに会ったよ」

「え」

「仕事場に来た」

「ひどいこと言われなかった?」

「平気だよ・・・面白い人だった・・・どんなに反対されても俺の気持ちは変わらないから」

見つめ合う二人はさっそく身体も合わせるのだった。

身体能力に自信があり、性的遊戯に興味がある慶は・・・結唯に様々なプレーを仕掛けるのだった。

「こんなの・・・はじめて」と喜びで満たされる結唯なのである。

恋する男のためにお弁当をつくる女。

しかし・・・いつも母親にお弁当を作ってもらっていた結唯はあまり上手にはできないのだった。

「お母さんはすごいなあ・・・こんなの毎日」と感心する結唯。

レッスン場で寄り弁と化した結唯のはじめての弁当に微笑む慶だった。

今は・・・すべてが輝いている時なのである。

一方・・・不倫の噂を消火した高柳は・・・受験のために息子をホテル宿泊させるという妻(片岡礼子)の発する不穏な空気に気がつかない。

失われた愛人を惜しむ気持ちで心が満たされていたからである。

愛人との離別が引き金になって配偶者と離婚はよくあるパターンだ。

つまり・・・二兎を追うものは一兎も得ずなのである。

お茶の間の皆さんもご注意ください。

最愛の寄生相手を失った真理子は堕落し、卵かけご飯三昧の日々を送る。

娘の仕送り待ちである。

一之瀬佑都(大貫勇輔)の主演する「美しい悲劇」の日本公演で通訳を務める慶。

ドイツ人演出家の意図を的確に伝えて行く慶。

そして・・・一之瀬佑都の演技を見た慶。

慶は・・・自分のダンサーとしての夢が終焉したことを悟るのだった。

一之瀬の美しいダンスが自分を越えていることを認める慶。

圧倒的な芸術に感動すると同時に打ちのめされる慶。

涙を泣かさずにはいられない慶だった。

帰宅した慶の微妙な変化を感じる結唯だった。

「通訳の仕事・・・私のために無理をしているんじゃ・・・」

「そんなことはない。確かに結唯に出会わなければ通訳の仕事は引き受けなかったかもしれない」

「・・・」

「しかし・・・わかったこともある・・・俺は・・・主役の座を奪われるべくして奪われたんだ」

「それって・・・」

言い淀む慶。

彼を傷つけたと感じる結唯。

「一之瀬佑都は素晴らしいダンサーだった・・・今は演出家の気持ちが分かる・・・誰もが最高の表現を求めているからだ」

「でもその人があなたを・・・」

「クビにしたのさ・・・しかし・・・彼は俺の恩人だ」

「よくわからない・・・」

「舞台を見てみないか・・・」

「でも」と言葉を荒げる慶に怯える結唯は迷う。

「俺のこと・・・知りたいんだろう・・・そのために・・・本物のコンテンポラリーダンスを見て欲しい」

「わかったよ・・・」

「じゃあ・・・夜のストレッチだ」

「え~」

「さあ・・・もっと股を開いて」

「ああん・・・無理無理・・・痛い痛い」

「フフフ」

冬なのに汗ばむ二人だった。

舞台の初日に招待された結唯。

先に出た慶とは楽屋の出口で待ち合わせである。

ありふれたドラマでは見なければいけないドラマを結唯が見ることができないというお約束であるが・・・二人の心の結びつきを深めるために「舞台」を避けては通れない。

虚しく妨害の電話をかける真理子。

「痛い痛い・・・結唯ちゃん・・・お母さんお腹が痛いの」

「仮病でしょう」

「あら・・・わかる・・・やはり母子ねえ・・・ねえ、結唯ちゃん、帰って来てよ」

「もう・・・私を解放して」

「あんな男、結唯ちゃんと結婚する気はないと言ったのよ」

「嘘つき・・・」

電話を着る結唯だった。

「嘘じゃないのに・・・少し悪意を込めただけなのに・・・」

真理子はあくまで自己中心的な母親だった。

娘の結唯が愛おしくないわけではなかったがそれ以上に自分が愛おしいのである。

一方、舞台ではアクシデントが発生していた。

一之瀬が負傷してしまったのだ。

「腕が動かないので演じることができない」

主演が踊らなければ幕が上がらない。

演出家も公演の中止に傾く。

困惑する主催者たち。

「慶・・・代役をするか」

演出家は譲歩した提案をする。

ありふれた展開では主人公が脚光を浴びるお約束だが・・・深みを目指してお茶の間の期待を裏切るのだった。

「振付を変えれば大丈夫だ」と意見を述べる慶。

「しかし・・・完璧なパフォーマンスでなければキャリアに傷がつく」と一之瀬。

「君には与えられた舞台がある・・・そこで踊らない方が罪深い・・・大丈夫・・・君は美しい」

一度は主役を務めた慶である。

誰よりも演出家の意図を掴み、理解を深めていた慶。

踊りは一之瀬が上でも・・・表現には自信があった。

慶の提案する振付に目を輝かす踊り子と演出家。

「素晴らしい解釈だ」

「これなら・・・負傷をカバーできる」

慶は一之瀬の負傷と腕の固定さえもダンスに取り込み昇華させるのだった。

一之瀬の表情に蘇る自身。

上京した結唯は用意された席に着く。

幕は上がった。

慶の指示により訂正された照明が舞台に光を与える。

この世に生まれ落ちたダンサーはすでに手負いだった。

苦難を暗示し、もがくようなアクロバティブを展開する一之瀬。

結唯は最初から舞台に魅了される。

高みを目指す若者はこの世の不条理に耐え天上世界を目指す。

美しさと悲しみが交錯し終幕する世界。

観客たちは惜しみない拍手を贈るのだった。

舞台の成功に祝福される慶。

「君がいなければ・・・この成功はなかった」

「素晴らしい舞台でした」

喧騒を抜け、闇へと続くバックステージ。

楽屋口の扉の向こうは雪だった。

雪の中に佇む結唯。

微笑む慶。

結唯は小さく賞賛の拍手を贈るのだった。

「凄かったよ・・・」

二人は「美しい悲劇」に高揚するのだった。

芸術を愛する文化的な人々から好評を得た舞台。

成功の立役者として慶は好意的に紹介される。

振付師・慶の誕生だった。

やがて・・・興行主の紹介により、CMの振付の仕事が舞い込む。

「エビエビカニカニ~」

開花する振付師の才能。

慶は脚光を浴びるのだった。

「凄いね・・・」

「他にも振付の仕事が来ているんだ・・・俺が踊る仕事も・・・」

「やったね」とエビエビカニカニでいろいろとする二人だった。

受験シーズンに突入した高校。

職員室には東大合格者の報告が入る。

高柳の息子も東大に合格するのだった。

しかし・・・祝いのステーキを購入した高柳は・・・妻からの離婚の申し立てに度肝を抜かれるのだった。

「なぜだ・・・」

「自分の胸にお聞きください」

部屋からは家具が消えていた。

高柳は家も家族も失う運命なのである。

「なんという・・・仕打ちだ」

上田波留子からお茶に誘われる結唯。

実は上田は二十歳年下の男と交際していた。

「年下の男と付き合ってるもの同志なのよ」

「まあ」

「仲良くしましょう」

「はい」

「若い子はいいでしょう・・・身体が」

「美しいです」

「私の相手はずんぐりむっくりだけどね」

「あら」

「そういう話がしたかったの・・・不安だもの」

「どうしてですか」

「だって・・・絶対に先に老いていくのよ・・・」

「・・・」

結唯の心に一瞬・・・不安がよぎるのだった。

その夜・・・慶はシャンパン・ドンペリオンを買って帰る。

結唯はハンバーグを焼いた。

「ギャラが出たんだ」

「ドンペリなんて・・・乾杯」

「何に」

「ギャラに」

「本当に・・・結唯は僕の女神様だ」

「いつまでも・・・慶の女神でいられるといいけど」

「もっと・・・いい部屋に引っ越さないと」

「私・・・この部屋が好きよ・・・レッスン場も学校も近いし・・・下は銭湯だし」

「後で・・・お風呂に行こうね」

しかし・・・結唯を求める慶。

「お風呂に行ってからじゃないの」

「お風呂に行ってから・・・またすればいいよ」

慶は結唯の髪に顔を埋め・・・女神の香りを楽しむのだった。

「私たち・・・しすぎじゃない」

「嫌なの」

「嫌じゃない」

とにかく・・・世界にどんなに不幸が満ちていても慶と結唯は幸せだった。

幸福の絶頂がここにあるのだ。

慶は結唯に突き刺した。

結唯は慶を飲みこんだ。

二人は高みを目指していく。

関連するキッドのブログ→第3話のレビュー

Sl004ごっこガーデン。幸せの雪の降る町セット。エリムフフ・・・幸せ一杯の二人・・・幸せすぎてこわいくらいってこういう時に言うセリフですかあ・・・お互いのぬくもりがあれば他には何にもいらないのでス~。このまま・・・いつまでも幸せでいたいけど・・・そうはいかないドラマの世界~。でもずっとずっと幸せでいてもらいたいのでス~・・・さあ、デミグラスソースを作りますよ~カレーもいいけどハヤシもね~なのでス~・・・不思議なプレイは練習中でス~

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2015年2月27日 (金)

ピシッ!(高畑充希)ピシッ!(二階堂ふみ)ピョショッ!(松岡茉優)

にゃにしろ・・・真木よう子、臼田あさ美、高畑充希、二階堂ふみ、松岡茉優が働くレストランである。

ある意味・・・天国じゃないか。

食材業者が色目使うのも仕方ないのである。

もう・・・これは男の性にゃんだから。

猫系でごまかしてもセクハラはセクハラですよ。

その・・・ある意味・・・普通のリアクションなのに・・・そこはかとなくいやらしさを漂わせる螢雪次朗。

さすがは悪の帝王である。

誰が「美少女仮面ポワトリン」の話をしろと。

で、『問題のあるレストラン・第7回』(フジテレビ20150226PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。ワルツもしくは序破急の構成なので三回目の一拍目である。あらゆるセクシャル・ハラスメントに満ちた世界に叛旗を翻したドラマなので常軌を逸した感じを感じるお茶の間も多いだろうが・・・そういう人は知らず知らずのうちにセクハラを擁護している人格の烙印を押されます。最高裁で「セクハラ」と言われてから後悔しても遅いのです。なぜなら、この国は「男女同権」のカタチを目指していて、そのために男女雇用機会均等法などの仕組みを実現させている。つまり「セクハラのない国家」をデザインしているのですから。はみ出す時にはそれなりの覚悟が求められるということです。Eテレかっ。

防具なしで対峙する剣道場の田中たま子(真木よう子)と傲慢なシェフ・門司(東出昌大)・・・。背後には竜虎相撃つの大看板がかかっている。

傲慢なシェフの一撃をすりあげて撃ち落とし胴蹴りをぶっこむたま子。

SPな悪夢から目覚めた門司は思わず窓際ハゲの西脇(田山涼成)に包丁で斬り込むのだった。

「包丁握ったまま寝ないでください」

ハゲなので怪我なかった西脇だった。

売上の下降するビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」はメニュー改善の指示が本社から送られるほどに追い詰められていた。

傲慢なシェフは憮然とする。

一方、ビストロ・フー社員寮には・・・早朝引っ越しの量産型巻髪クルクルガール・川奈藍里(高畑充希)が来襲する。

ハイテンションの秋田生まれの二十六歳、五月五日が誕生日の女の子、同性に嫌われやすい性格だが同性と仲良くしたい、好きな食べ物は甘エビと島ラッキョウ、好きな家電はドライヤー、行ったことがある海外はグァムで到着した直後にインフルエンザを発症した自称広報部長に・・・寝起きを襲われる一同だった。

早起きが苦手なたま子、無視される寝起きのおっさんパティシェ・ハイジ(安田顕)だが・・・東大出身の秀才・新田結実(二階堂ふみ)は辛うじて「苦手なことは朝から要らない情報が入ってくることです」と一矢報いる。

省略された三千院鏡子(臼田あさ美)は可憐にずっこけるのだった。

かわいいぞ、三千院かわいいぞ。地味にかわいいぞ。

厨房のシェフ・雨木千佳(松岡茉優)は「お姉ちゃん」と呼ぶことを強要されるのだった。

歯ブラシを洗面所に備えれば儀式は終了である。

聖なるウエイトレスは抜群の接客力で雪の結晶ネイルアートの女性から赤ちゃんやフード軍団までそつなく対応。

厨房では「浮気の基準は他の女の子を下の名前で呼ぶことです。彼氏の浮気は芽から摘まなきゃ駄目です。葉っぱが出たらそれはもう浮気の花が咲いたも同然」と恋愛指南も余裕でこなす。

ついには「集客のためのおしゃれなダイレクトメール」のノルマを従業員一同に課すのだった。

躁状態のキラキラちゃんを「緊張しているんだ」とクールに分析するたま子。

しかし・・・親友の藤村五月(菊池亜希子)にダイレクトメールで「私は今レストランをやってます」と近況を知らせるたま子だった。

大量端末・充電中の夜の女たち。

ゼネラル・プロデューサー兼皿洗いの喪服ちゃんは「一週間、黒字です・・・業績は確実に改善されています」と発表する。

「チャンスの神様って前髪しかないので確実に掴んでいきましょう」と決意するたま子だった。

一人暮らしの女を襲う「ピシ」から逃れて城の中の城に籠った厨房のシェフにママからメールが届くのだった。

北海道に引っ越すことになりました。

話があります。

会ってくれませんか?

これ以上なく最悪のママ・奏子(堀内敬子)だが・・・厨房のシェフにとっては掛け替えのないママなのである。

キラキラちゃんは「ジャガイモとキャベツタマネギとニンジンとセロリと厚切りベーコンのポトフができるまで縄跳び30分とフラフープ20分で待つ動画」を自分撮り専用棒で収録するのだった。

たま子はフラフープで熱狂する。

「ビストロ・フー」には風が吹いていた。吹きっさらしだからな。

一方、営業成績が下降しまくるビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」・・・。

お尻を触らずにはいられない土田(吹越満)は「週末女子会」などの女性向けのイベントを企画する。

「本社からのメニュー」を傲慢なシェフに押しつける。

しかし、傲慢なシェフは「こんなのフレンチじゃねえから」と拒否するのだった。

左遷されたストーカーの後継者はどんくさい道明寺。

「名前負けしているよな・・・松潤とは程遠い」

キラキラちゃんの後継機・巻髪二型・舞香(村上友梨)は巡航速度に問題があるのだった。

「くそ・・・改良されて性能が落ちるなんて・・・どんな量産型だよ」

「グラビア特性は確実にアップしてるんですけどね」とセクハラ度は高い窓際ハゲだった。

「レストランじゃなくてキャバクラだったらなあ・・・」

閑古鳥の鳴くビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」とは対照的に上々のランチ・タイムを終えた「ビストロ・フー」・・・。

厨房のシェフは母との待ち合わせの場所へ向かう。

そこには母親の再婚相手の地球と書いてテラさんが待っていた。

寺川草輔(菅原大吉)だぞ。

気不味い空気に水を飲み干す三人。

息が合ってるらしい。

「結婚の報告をさせていただきたく・・・私から奏子さんにお願いいたしました」

この世界では珍しい普通の男性である。

もちろん・・・寺川が言い出すまで奏子は娘のことは二の次だったわけで・・・義父に強姦される展開もあるわけだが・・・時間的制限から地球さんは「セクハラ特性が極めて低いキャラクター」に設定されているようだ。

「テラさんは・・・ミサイルを作るお仕事をしていて」

「ロケットです」

「寺さんには全部話したの・・・私がどれだけクズだっか・・・それで寺さん・・・今度、北海道に転勤になるんだけど・・・ロケットのなんかを作る工場がね・・・移転して」

「秋にはあなたの妹か弟が生まれます。女の子ならデコちゃんです。だから・・・北海道で家族四人で暮らしませんか」

「千佳・・・ママに償いをさせてください」

厨房のシェフは飲み干した水を求めてコップを口から外すことができない。

渇いている。喉が渇いている。ママの微笑を求めて心はカラカラなんだ。

ママと一緒に暮らす憧れの日々。

願っても願っても与えられなかったもの。

その頃、ハイジは渾身で神業のラテアートを完成させていた。

休憩から帰ってくる三千院、キラキラ、喪服の三人。

キラキラの狐憑き話を聞き流す二人は・・・ラテアートを速攻で撹拌するのだった。

「あ・・・スライムのプチプチってどこへ行けばつぶせるのかしら」

帰って来た厨房のシェフも心ここにあらずで撹拌する。

「どっか・・・駅の地下道じゃなかったでしょうか」

ハイジの無念を気遣うたま子である。

休憩中に情報収集したキラキラちゃんは大ブレーク中の「大月さんのベーコン」を紹介する。

「田中義剛越えなのかしら」

「南アルプスの特選銘柄の魔法のベーコンなんですよ」

「ブームに乗ってシナジー(相乗)効果でウハウハですね」とゼネPも賛意を示す。

ブラック&ホワイトが揃って戦力大幅アップである。

たま子は厨房のシェフに問う。

「どうかな」

「いいっすよ」

しかし・・・厨房のシェフでは幼い魂が揺れていたのである。

ハイジだけが・・・時代から取り残される気分を味わうのだった。

しかし、そんなことで傷ついていたら男は女になれないのである。

遠路はるばる南アルプスへ出張するたま子と喪服ちゃんと厨房のシェフ。

しかし・・・痛い思い出の残る営業車に乗ってビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」も現地に到着する。

傲慢なシェフ、窓際ハゲ、そして悪魔くんである星野大智(菅田将暉)。

ふたつのチームはベーコン求めて走りだす。

たちまち転倒する喪服ちゃんだった。

「大丈夫?」

「・・・」

悪魔くんは手を差し伸べるが喪服ちゃんは自力で立ち上がる。

「ごめんなさい」

「・・・」

「ごめんなさい」

雲泥の学歴差を乗り越えて関係した二人だったが暗くて深い河があるのだった。

きつい豚舎の匂いを越えて魔法のベーコンを試食した一同。

生産者(螢雪次朗)は「お越しいただいて恐縮なんですがうちの商品は私自身が何人かの社員と手作りで作っておりまして地元のお店に卸すだけで手いっぱいなんですが最近廃業されたお店がございまして一枠のみ空きがございます・・・よりおいしいお店と契約したい」と述べ第一回ビストロ料理対決の開催が決定する。

「レストランものならではの展開ですね」

「勝てる気しかしねえんだけど」

「うちも勝てる気しかしません」

「じゃあ負けたらお前のこと諦めるわ」

微妙な火花を散らすたま子と傲慢なシェフ。

悪魔くんは喪服ちゃんに縋るのだった。

「俺、彼女と別れた」

「で?」

「・・・ごめん・・・もう1回ちゃんと話 したくて・・・」

「何回も謝らなくていいです。話さなくてもいいです。怒ってません。・・・どうでもよくなっただけです」

「え」

帰陣した厨房のシェフはサンプル提供されたベーコンと向き合う。

「何か・・・手伝うことある」

「大丈夫っす」

「あんまり無理しないでね」とハイジ。

「勝つ負けとか気にしないで」と三千院。

「・・・負けたら店辞めるぐらいな的な感じでいるんで」

「たかがベーコンだよ」とキラキラちゃんは危険な匂いを感じて慌てるのだった。

「すいません・・・でも・・・門司さんのポトフは本物なんで。凄いんで。私がここにいるのもそれを食べたからなんで」

「千佳ちゃんのポトフはおいしいよ」とたま子。

「私は素人だし・・・私のはなんかあばれてる・・・」

「それが千佳ちゃんの料理の個性だよ」

「辞めるとか・・・なしだよ」とキラキラちゃん。

「千佳ちゃんの料理を・・・楽しんで作ればいいのよ」とハイジ。

「私・・・料理・・・楽しくないです・・・料理・・・楽しかったことなんかないっす」

「そんな・・・つらいこと」と三千院。

「つらくていいんです・・・つらい方がいい料理・・・できるんです・・・辞めたいわけじゃないっすよ・・・たかがベーコンなんですけど・・・やっぱり勝ちたいんで・・・そういうふうでいるんで・・・一人でいればいるほど私たぶんいいシェフになれます・・・簡単にいうと・・・放っておいてください・・・頑張ります・・・お願いします」

苦悩する厨房のシェフの気迫に沈黙する一同だった。

生きるために料理をしてきた少女。

すべての根源は・・・奏子を捨て別の家族を築いたライクダイニングサービス」の社長・雨木太郎(杉本哲太)にある。

ビジネスがすべての雨木社長は・・・「シンフォニック六本木店」の開店が進捗せず、その要因である「表参道店」の売り上げ不振に激怒していた・・・。

雨木社長に辱しめられた藤村五月の件で訴訟を考える弁護士でソムリエの烏森奈々美(YOU)はたま子に説く。

「藤村五月さんにお会いしたこともないし藤村さんが今幸せに暮らしてるならこのままでいいと思う・・・誰だって過去の忌まわしい出来事から逃げてることはあるし・・・逃げていいと思うんだよ。・・・一生逃げ切れるなら。だけど時々、過去に追い付かれることがある。それは明日かもしれないし十年先かもしれない。だったら立ち向かう手もある」

「少なくとも五月は悔しいっていう 気持ちを残して東京を去りました・・・」

「藤村さんにその意思さえあれば訴訟は起こせる・・・それだけ、覚えといて・・・」

ママからの電話を無視して勝負料理に打ち込む厨房のシェフ。

たま子はその背中を見守る。

三千院はプチママとして夜食を作る。

ストーブに点火すれば・・・暖かい炎が灯る。

夜明けがくれば死力を尽くした厨房のシェフはお腹が減るのだった。

そして・・・そこには誰かが作ってくれた料理があるのだった。

厨房のシェフとママの娘は揺れる。

生産者は・・・軍配を「ビストロ・フー」にあげる。

無言で立ち去る傲慢なシェフ。

「やったね」

「・・・すごい・・・」

厨房のシェフは喜びを感じる。

しかし・・・「まっ、正直言ってシンフォニックさんのポトフの方が若干上かなと思ったんですがね。・・・お二人とも美人だし。・・・女性に使っていただく方がこっちも張り合いってもんがありますから。 フフフ」

生産者の一言が希望を打ち砕くのだった。

「負けたんだ」

「でも・・・」とたま子。

「門司さんに申し訳ないでしょ?・・・料理に申し訳ないでしょ?・・・こんなの絶対嫌だ!」

子供の理屈に・・・大人の理屈は通用しないのだった。

たま子は・・・厨房のシェフの心に同意した。

店に戻った門司は・・・敵に塩を送られた屈辱を噛みしめるのだった。

ドライブインでたこ焼きとお好み焼きを買うたま子。

厨房のシェフにはママからの着信がある。

この家であなたと一緒に暮らしたい。

北海道の素敵な新居の画像・・・。

「千佳ちゃん・・・悔しいときが上達するときだよ。苦しいときが成長するときだよ。・・・辞めないで」

たま子もさすがに厨房のシェフの葛藤を読み切れないのだった。

「ご・・・ごめんなさい・・・違います・・・負けたら辞めるって言ったの嘘です・・・辞めたいのは諦めが足りないからです・・・諦めたのに期待しちゃってるからです・・・私の諦める気持ちがんばれ・・・私の絶望がんばれ・・・って・・・思っても期待するの止められない・・・それが苦しいだけです」

「千佳ちゃん・・・」

ママに逢いたい・・・大好きなママに逢いたい・・・だって私はママの娘だもの。

ママの娘は厨房のシェフを駆逐する。

「ごめんなさい・・・今日は厨房に立てないです」

大入り満員の店内から逃げ出すママの娘・千佳。

「何いってるんですか・・・」と喪服ちゃんは問う。

「大丈夫・・・信じよう」とたま子。

セカンドの三千院は厨房を死守するのだった。

「ママ・・・うん・・・もう出るところ・・・一時くらいに着けると思う・・・昼ごはん・・・じゃあ・・・食べようかな・・・また・・・駅に着いたら電話する」

行かなくちゃ・・・ママに逢いに行かなくちゃ・・・ママのご飯を食べなくちゃ・・・何も問題はない・・・今日は晴だから。

ベーコンを入手した傲慢なシェフ。

しかし・・・客はいないのだった。

「どうしてだ・・・なんで客が来ない」と土田。

「部長がお客さんのベビーカー蹴ったりするから・・・」と窓際ハゲ。

「ちっ」

何故だ。何故客が来ない。どうして俺の料理を食べに来ない。

傲慢なシェフは無表情だが・・・苦悩していた。

見上げればはためく「アホ」の旗・・・。

傲慢なシェフは敗北を確信するために「ビストロ・フー」に向かう。

階段でママの娘とすれ違う。

「おい・・・今日、休みか」

首をふるママの娘。

「じゃあ・・・なんで・・・コックコート着てねえんだよ」

「や・・・辞めるんで」

「へっ」と傲慢なシェフは無表情に侮蔑する。

蘇る厨房のシェフ。

「どうしたら・・・あんな料理作れるんすか」

「別に・・・普通だろ」

「えっ」

「真面目に作ってるだけだけど」

ママの娘は死んだ。

階段を昇る傲慢なシェフの姿を厨房のシェフは追いかけた。

「ありがとうございます・・・ごゆっくりとお召し上がりくださいませ」

聖なるウエイトレスは傲慢なシェフをキャッチする。

「一名様でしょうか」とたま子。

「ああ」

「カウンターでよろしければ・・・ご案内できますが」

「何したんだ・・・何をしたら・・・こうなったんだ」

「え」

「ポトフでいいっすか」

厨房のシェフは傲慢なシェフに挑戦状をたたきつける。

「ああ」

たま子は戸惑い・・・歓喜する。

「わがままなシェフだな」

「シェフはどこでも・・・そうみたいです」

厨房のシェフは厨房に戻った。

三千院はシェフの場所を明け渡した。

傲慢なシェフはポトフを完食した。

たま子は空の器を厨房のシェフに示す。

微笑みあう二人。

「洗い場・・・向こうです」

「はい・・・失礼しました・・・シェフ」

ビストロ・フーは活況を呈した。

傲慢なシェフはメールを送信する。

ごめんなさい・・・行けなくなった

傲慢なシェフは自陣に戻った。

「うちの店に原因があるんだよ」

「なに」と土田。

「客・・・取られてんだよ。・・・面白え。・・・客は取るより取り返す方が難しいんだから」

傲慢なシェフは無表情に微笑んだ。

ゼネラル・プロデューサーは反省会をリードする。

「昼間ばたついたので段取りの確認をしましょう」

スタッフの動線の改善を指導する皿洗い担当だった。伊達に皿を洗っているわけではないのだ。

的確な東大ちゃんの指摘に素直に従うメンバーたち。

改善され、磨きがかかって行くスタッフ一同。

店はますます商売繁盛するのだった。

「マリネとサーロインと白身魚のポワレが入りました」

「ナスのマリネ。 サーロイン。白身魚のポワレ。お願いします」

「オーダー、ナスのマリネ、サーロイン、ポワレ、以上です」

「リンゴのタルト2つ追加でお願いします」

来なかった娘を案じて奏子が「ビストロ・フー」にやってきた。

「シェフ・・・お母様がいらっしゃってます」

「席は空いてますか?

「カウンターが」

「それでお願いします。あっ。おなかに赤ちゃんいるんですよ。・・・毛布・・・お願いします」

「はい」

「お母さんにご飯作ってあげられるなんて最高じゃない・・・最高の親孝行だよ」と三千院。

「そうすかね」

しかし・・・オーダーの代わりにたま子は奏子の差し入れた弁当の包みを運んでくる。

「千佳ちゃんと皆さんで食べてくださいってお弁当作ってきてくれたそうなんですけど」

厨房のシェフは母親と対峙するのだった。

「ごめんね。 急に」

「ううん・・・ごめんね・・・行けなくて」

「ううん。 大丈夫」

「あと北海道もやっぱり行けない。・・・私はここを 離れられない・・・ここには私の厨房があるから・・・当てにしてくれてる人たちも いるし・・・だいたい北海道・・・寒いし」

頷きながら苦悶する奏子。

「ママのこと信じられない気持ちは分かる。許してもらえるとは思わない。でも、あのころ千佳にあげられなかった愛情を今からでもって。ママ、 本当に」

厨房のシェフは奏子の両手をとる。

「ごめんね。 ママ。千佳はもう子供じゃなくなったの。本当はママにわがまま言って甘えたりしたい。・・・洋服を選んでもらったり。・・・髪の毛を三つ編みに してもらったり。・・・ニンジンすりおろしたカレー作ってもらったり。・・・そういうのしたい。でも・・・もういいの。・・・それはもういらないの。千佳には・・・それはなかったの。だけど・・・大丈夫。・・・ママ。・・・もうこんなに大きくなったし。千佳には料理があるから。・・・料理があるから・・・さみしくないよ」

厨房のシェフは弁当の重箱を開いた。

「うわあ・・・おいしそうだね・・・みんなでいただきます」

涙にくれる母親の時を失った奏子だった。

この世にとりかえしのつくことは何ひとつないのである。

「まあ・・・なんかよかったよ」

「え」

「やっぱり・・・諦めたらダメなんだよね・・・期待した方がいいことあるんだ」

「・・・」

「テラさん・・・面白い人だね」

「・・・」

「私もテラさんみたいに人の心を打ち抜くミサイルのような料理作るよ」

「テラさんが作っているのはミサイルじゃないわよ・・・ロケットパンチよ」

「そっかあ・・・」

誰がマジンガーZの話をしろと。

母とその再婚相手は北海道へ旅立った。

厨房のシェフはたま子の腕の中で泣いた。

一同はシェフの母の手料理を味わった。

「ここでご飯を食べているとあの日のことを思い出すわ・・・たまちゃんがお店を始めませんかって言った時のこと」とハイジ。

「そうですねえ」とキラキラちゃん。

「あなたはいなかった」

「そうでしたあ」

「官道しましたよね」と三千院。

「あなたは断ってた」

「いろいろありましたね」

「私も・・・こんなにたくさんお客さんが来るなんて信じられなかった」とハイジ。

「私は信じてましたよ・・・だってここで食べるご飯・・・絶対おいしいに決まってますから・・・続けましょうね・・・続けるっていうことを信じましょう」とたま子。

しかし・・・雨は降りだす。

あわてて・・・テーブルにブルーシートをかけるたま子。

開店中だったらどうするつもりだとは・・・けして想像しないでください。

厨房のシェフはたま子を手伝う。

「私も思い出しました」

「ん」

「シェフにならないかって・・・言われて・・・いい仕事がしたいって・・・いい仕事をして・・・ドキドキしたいって・・・」

「人生ってきっと地位や名誉やお金じゃない・・・人生はどれだけ心が震えたかで決まると思います」

「あのね・・・私・・・ドキドキしています・・・いい仕事がしたいっす」

「いい仕事してますねって言われたいよねえ・・・いい仕事しようね」

そして・・・いい仕事は客を呼び込むのだった。

空席だらけのビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」に土田は誕生日の娘と妻を招待していた。

バースデーケーキを運ぶ窓際ハゲを娘に接触させない土田。

そこへ・・・雨木社長が抜き打ちでやってくる。

「今日は休みか」

「娘の誕生日なものですから・・・女性と子供に好かれるお店のリサーチもかねまして」

雨木社長は蝋燭の火を吹き消した。

「こんなんで二号店出して恥ずかしくないかな・・・どう思う」

雨木は土田に誕生祝いのデコレーションを咥えさせる。

「申し訳ございません・・・二人とも・・・外で待っていて・・・くれないかな」

妻と娘の前で屈辱的なポーズを晒す土田だった。

雨木社長は冷酷な笑みを浮かべた。

無惨だった。

ソムリエ弁護士はたま子におねだりをしていた。

二人のいるカウンターの窓には「アホ」の旗が翻る。

「儲かってんだから奢りなさいよ」

「私はただ・・・やりたいことをやってるだけですから」

「あなたはだんだん私に奢りたくなる」

「なりません」

たま子は来客の気配に振り返る。

「すみません・・・今・・・準備・・・」

「田中たま子」

「五月・・・」

朗らかに笑いあう二人・・・。

しかし・・・五月の背後から現れた謎の男(風間俊介)に一部お茶の間からは悲鳴があがるのだった。

ある意味・・・螢雪次朗より凶悪だからな。

土田の娘殺したり、立て籠もって従業員強姦したりしないといいな。

まっさかさまだな。

ピシッ・・・。

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2015年2月26日 (木)

太鼓持ちの達人とか私の部下は50歳とか真夜中の木南晴夏

谷間である。

マッサン」のエマ役を優希美青から引き継ぎ大人時代を演じる予定の木南晴夏嬢である。

二十代最後の一年もいよいよ後半戦なんだな。

「おやじの背中」の第10話「北別府さん、どうぞ」でも・・・酒井若菜と看護師役で共演していた。この回は脚本・三谷幸喜だけに吉田羊、堀内敬子、秋元才加と曲者揃いだったな。

とにかく・・・まだまだ・・・かしこさんは健在なり・・・なのである。

で、『青山ワンセグ開発・私の部下は50歳』(NHKEテレ201404101955~)脚本・演出・有働佳史を見た。橋本愛の「ねんりき」が突破できなかった壁をあっさり突破の「ワタブカ」である。このマイナー・リーグにおける破壊力はさすがなんだな。最近、おまとめ放送をしていたのだった。このドラマではスッピンぽい化粧で入社六年目となる営業二課のOL・岩井ハナ(木南晴夏)を演じている。初めての部下として配置された新入社員が・・・阿倍ヤスオ(緋田康人)である。

基本、木南晴夏の「なんじゃこりゃあ」的状況を楽しむコントだ。

正体不明のおっさんである部下は・・・恐ろしいほどに使えない社員で・・・ハナの足を引っ張り続けるのである。

おっさんは取引先との待ち合わせの喫茶店でランチを頼んだりします。

部長のコネ入社らしく・・・部長はおっさんの高校時代の野球部の後輩・・・部下が上司の上司というややこしさを醸しだしたり・・・キャバクラに入り浸って寝不足のため、ハナが叱責中に居眠りします。

まあ・・・Mとしての木南晴夏を堪能できるシステムです。

披露困憊して・・・日記でぼやくかわいいよ、ハナ、かわいいよなのである。

こういうポジションでは・・・抜群なんだな。

で、『太鼓持ちの達人〜正しい××のほめ方〜・第1回~』(テレビ東京201501122358~)原案・トキオ・ナレッジ、構成・伊藤正宏、脚本・新井友香(他)、演出・小中和哉(他)を見た。主演が手塚とおるというさいはて感がございます。パソコンオンラインゲーム「世渡りWARS」という交渉術育成コンテンツに指南役として参加するスタローン大佐という仮想人格・・・現実世界ではスーパーの店長・岡部浩太郎・・・という設定。ゲストは毎回、交渉力を向上するためにアクセスしてくるユーザーなのである。

指南役でユーザーに神トリオと呼ばれる三人がレギュラーである。

一人はマイク情報分析官・・・現実世界ではひきこもりの越野銀二(柄本時生)、そして・・・コードネーム・リサ作戦参謀・・・現実世界ではキャバクラ嬢の浦原里沙を演じるのが木南晴夏である。

一種の戦略ゲームなので神トリオは軍服姿で登場。

里沙は迷彩アポロキャップでジャケットを脱ぐと真っ赤なタンクトップでスラリとのびた長い脚である。

攻略中盤の勝負どころでタンクトップとなったリサがナイスなプロポーションを披露するのが見所と言っていい。

教官ポジションなのでSとしての木南晴夏を堪能できるシステムです。

まあ・・・早い話がヨイショ技術のトレーニング・コンテンツである。

たとえば第一話ではシステム会社の社員・佐藤直哉(大東駿介)が取引先の担当者の磯貝(山本浩司)にヨイショするための殺し文句について神トリオがアドバイスするのである。

相手の特徴分析フェイズではマイク分析官がカテゴリーを示す。

磯貝は「忙しくもないのに忙しいフリをする男」だった。

佐藤は指示に従ってヨイショ攻撃を繰り出して行く。

相手の心理を読み間違えると「不満」「失望」「落胆」などの爆弾が炸裂する展開もお約束。

「あのドヤ顔を見逃すなんて」などと佐藤はリサに叱咤されたりもします。

対応ミスを繰り返しながら攻略を進める佐藤をリサが激励する。

「さあ、あなたの褒めをみせてやりなさい」

そして・・・太鼓砲から繰り出される褒めフレーズ。

「そんなに忙しくて・・・いつ寝ているんですか」

ヒット。

「睡眠時間三時間なんて・・・御社のナポレオンじゃないですか」

ヒット。

「ヴァイタリティーがまるで・・・二十代じゃないですか」

ヒット。

「休んでもらいたいけれど・・・磯貝さんに休まれたら・・・御社はまわらなくなっちゃいますよね」

ホームラン・・・である。

攻めどころを狙われた磯貝は・・・褒め殺されて昇天するのである。

「やった・・・勝ちました」

「さあ、実戦だ」

佐藤は神トリオに感謝して素晴らしいインターネットの世界から帰還するのだった。

まあ・・・本当にどうでもいい感じですが・・・毎週、月曜の夜にリサに逢えなくなったら・・・きっと淋しいぞ。

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スターマン・この星の恋

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2015年2月25日 (水)

あなたはもうすぐ死ぬと告げるべきかどうかです(堀北真希)

「死」というものの存在を意識した時、人は漠然とした不安を感じる。

人生に「苦痛」を感じた時、人は逃れる方法を模索する。

「生命喪失」の危機に際して、人は概ね恐怖する。

偶然のように生まれたものは必然的に死ぬ。

人それぞれの「生死」についての考えがある。

このような意識に基づき医療現場には様々な劇的要素がある。

だから・・・「ベン・ケーシー」やら「赤ひげ」やら「ER」やら医療ドラマは量産されるのである。

このドラマは「自由診療制度によるセレブ御用達病院」「看護師たちの群像劇」「ヒロインの仕事と恋愛」という要素で新機軸の医療ものを目指した気配がある。

しかし、試みは悉く失敗し、残骸のような感じになっているようだ。

まあ・・・そういうことはあるよね。

で、『まっしろ・第7回』(TBSテレビ20150224PM10~)脚本・井上由美子、演出・今井夏木を見た。人間は矛盾した存在だ。たとえば戦争反対を叫ぶあまり兵士に爆弾を投げつけたりする。このちぐはぐさを愚かと言ってしまうのは簡単だが・・・ドラマではそういうことになった原因や結果をある程度、わかりやすく描く必要がある。面白い番組を作ろうとしてオウム真理教に弁護士一家を殺害させた実績のあるこの局ではそのあたりのことはよくわかっているはずである。あり得ないことが起きるのがこの世の中なのである。そういう前提で「なげやりに断片」を見せることは娯楽番組向きじゃないんだな。

たとえば・・・看護師長(木村多江)と長期滞在のお客様患者である大江様(眞島秀和)の信頼を得ることを競う木綿子(高梨臨)は私生活では東都大学の医師・裃一郎(山口馬木也)と不倫している。

この不倫関係が大江様と看護師長の関係に対する木綿子の認識を歪ませるらしい。

かなり・・・難解な心理の問題である。

相当に説明しないと・・・木綿子の心理的葛藤はお茶の間に伝わらない。

ドラマでは・・・木綿子は裃と不倫関係にありながら・・・大江様にも恋をし・・・木綿子にとって相思相愛に見える大江様と看護師長の関係に激しく嫉妬しているように見える。

お茶の間には木綿子が「頭のおかしな人」に見えるのではないだろうかと危惧するのだった。

一方で・・・「看護師でありながら薬品を盗み、医師の指示もないまま、自らに投薬する」という犯罪を犯した看護師・さくら(MEGUMI)をヒロインの朱里(堀北真希)、正体不明のセンター長(石黒賢)、新看護師長となったオペナースの岩渕(水野美紀)は看過する。

さくらの「頭がおかしい」のはいいとして・・・全員の「頭がおかしい」のはどうしたものか。

このドラマの世界ではそれが「モラル」というのならば・・・相当な説明が必要なのである。

そういう必要な処置をしないで・・・とりあえず話を進めるので・・・もう・・・なんだかな~と歌うしかない今日この頃なのだった。

これはスタッフの頭が相当におかしいね。・・・プロデューサー、お前か。

クズ男に失恋し、セレブ患者との出会いを求めて東王病院にやって来た朱里。

そんな朱里に米国帰りの医師・孝太郎(柳楽優弥)は特別な関心を抱き、ついには抱きしめる。

玉の輿ということでは・・・朱里には何の問題もないはずである。

しかし・・・菜々(志田未来)が孝太郎に思いを寄せていると感じている朱里は「ヤブ医者なんか」と孝太郎の求愛を拒絶するのだった。

つまり・・・「女の仁義」に反するわけである。

だったら・・・仲良くするなということになり・・・朱里は孝太郎をことさらに避けるようになるのだった。

まあ・・・小中学生なら許せるのかな。

一方で・・・センター長は人事を発表する。

さくらの薬物盗用事件の責任をとって看護師長はオペナースに降格、岩渕が新看護師長に抜擢されるのだった。

そして・・・さくらの行為は不問となる。

つまり・・・事件をもみ消したんだな。

なんだかな~。

さくらは「してやったり」の顔をするが・・・新看護師長は「再犯防止」のためにさくらに精神科への通院を命じ、朱里にさくらの監視を命ずる。

「わるいことをした」という自覚のない二人は唖然とするのだった。

「二度目はない」と釘を指す新看護師長。

いや・・・一度目でアウトだろうというお茶の間の常識は通用しない世界なのだった。

「同級生を公園で殺しちゃいました」

「今度は誰かを殺さないようにしましょうね」

「は~い」

・・・という話なのである。

なんとなく・・・永遠のライバルである旧看護師長と新看護師長。

「ホスピタリティー重視」の旧看護師長と「医療技術重視」の新看護師長という対立軸があるらしいが・・・非常にわかりにくい。

常識なのかどうか明言できないが・・・「ガン告知」のインフォームド・コンセントの日本における歴史的流れが前提なのである。つまり、一昔前は患者本人には告知せずに家族に告知し、本人に対して告知するかどうかは家族に判断させるというのが一般的であり・・・現在は医療行為の正しい情報を患者に説明して治療に合意してもらうために本人に告知するのが主流という話なのである。

旧看護師長は大江様に自殺の恐れがあるとして、「治癒の見込みがあるガン」という希望的観測を伝えた。

新看護師長は適切な治療のために・・・「治癒の見込みが望めないガン」であることを患者に伝えるべきだと考える。

旧看護師長は・・・大江様担当の木綿子に意見を求める。

「あなたはどう思いますか」

「本当のことを言うべきです・・・私たちはあくまで看護師で・・・患者の家族ではないので」

「失望しました・・・あなたは公私混同しています」

「公私混同しているのはあなたの方です・・・まるで大江様の恋人気どりじゃないですか」

「私には公私はありません。私にとってお客様はすべて最愛の人です」

「それが公私混同というものじゃないですか」

「いいえ・・・私にはプライベートはありません。看護が私のすべてですから」

旧看護師長の信念が理解できない木綿子だった。

センター長は結局、告知を容認するのだった。

告知の責任者は主治医の孝太郎である。

セレブな急患である製薬会社の社長夫人 (高林由紀子) が搬送されてくる。

朱里と菜々が対応すると・・・夫人の息子で東都大学の医師の嫁としてひろみ (福田彩乃)が現れる。

旧看護師長から「暇」を申し渡されたひろみは東都大学の看護師となり、玉の輿にのったらしい。

ひろみはセレブ患者のセレブ家族として看護師たちを見下す。

しかし、朱里は「看護は一生を捧げる価値のある仕事だ」と胸を張るのだった。

病気で気弱になった夫人は「嫁が看護師でよかった」とひろみを頼る。

夫人の胆のう結石の胸腔鏡手術は無事に終了し、旧看護師長はオペナースとしても際立った実力を示すのだった。

ここで東都大医師の母親がなぜ東王病院に入院したのかが本来、重要なポイントになるはずであるが・・・スルーである。

「白い巨塔」の脚本家が現状の大学病院の権威主義を知らないわけがないのである。

保険診療制度の権威たる大学病院(東都病院)と自由診療の新勢力であるセレブ病院(東王病院)には明らかに確執が生じているはずなのだった。

やがて・・・かなり無理矢理な感じで・・・東都病院の医師と東王病院の看護師が不倫しているという噂がひろみの口からナースステーションに伝わるのだった。

夜勤体制は別チームがいるという説明もないまま・・・例によって高級レストランに全員集合するナースたち。・・・ここは病院内という設定なのかな。

「お客様はセレブでも・・・私たちは庶民」

番組のコンセプトを根底から覆す発言で始る無礼講。

結局、新旧を問わず看護師長は厳しいという意見に傾く一同である。

だから・・・セレブドクターでセレブナースでなければどうやってセレブ病院が運営できるんだ・・・。

階級闘争なのか。

そして・・・下世話の話題から・・・看護師の不倫問題が取り沙汰される。

耐えられずに飛び出す木綿子。

朱里と菜々は追従である。

「私なのよ」

「何が」と朱里。

「不倫してるの」

「この淫乱どもが」と菜々。

「別れなきゃダメよ」と正論の朱里。

「わかった」と裃に別れを告げる木綿子。

しかし・・・裃は「月五十万円でどうだ」と問題のある駅長化するのであった。

男女同権に目覚めた朱里は乱入である。

朱里が裃に突き飛ばされると・・・木綿子は裃の顔面にビンタを炸裂させるのだった。

恐ろしいことに・・・この問題は来週・・・さらに進展するらしい。

ある意味・・・支離滅裂の辻褄あわせと言う状態なんだな。

手術が終わった夫人は豹変し、嫁を「看護師あがり」と見下すのだった。

まあ・・・お客様である以上、接客従業員は下僕なんだな。

つまり・・・セレブたる品格は問われない世界らしい。

半島国家なのか。

まあ・・・日本における真のセレブ病院は天皇陛下の入院なさる病院だけなんだけどな。

医師も看護師も緊張で寿命が縮む世界だぞ。

旧看護師長の危惧した通り・・・告知された大江様は・・・治療を拒否するのだった。

蒼ざめる新看護師長、孝太郎、そして・・・木綿子である。

所詮、木綿子はプライベート(自分の恋愛)のことで頭がいっぱいだったのである。

孝太郎は・・・なんだかんだで看護師としての朱里を賞賛する。

しかし・・・朱里の心は仕事と恋愛の間で再び揺れ始めるのだった。

鼻もちならないセレブ夫人が退院すると・・・入れ替わりに孝太郎の父親で外科学会の会長を務める帝都大学の仲野幸助 (宅麻伸) がやってくるのだった。

あれ・・・この世界の東京大学は・・・帝都大学なのか・・・東都大学かと思っていたよ。

東王病院と差別化するために・・・帝都大学に名称変更したんじゃないだろうな。

まあ・・・いいか。

とにかく・・・来週は急展開するらしい。

まあ・・・何がメイン・ストーリーなのか・・・誰か教えてくださいと言いたくなるよね。

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Anpms001ごっこガーデン特設セット。まこあんぱんち様をさがせ~・・・前回はあまちゃんでじいやが間違ったので今度は正解しましゅ~エリ「冬はK先輩、春はP先輩と忙しいのでス~アンナ春はダーリンでダーリンでダーリンだぴょんくうモユルの父親がダンジョーということにちょっとときめきながら・・・あんぱんち様、見つけたみのむしごめん・・・銭の戦争見てましたあんぱんちせーかーいっ。小野寺ちゃんの健康回復を祈りますの

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2015年2月24日 (火)

世界に戦争がなくなりますように(長谷川博己)世界中の人がなかよく平和にくらせますように(杏)

つきつめて考えると彼女は彼の愛する「サイボーグ009/石ノ森章太郎」を読破し、「地下帝国ヨミ編」の屈指のエピローグ・・・流れ星となったジョーに願いをかける乙女に自分を重ねているわけである。

つまり・・・彼の願いを彼女の願いとしているわけだ。

そうとも限らんぞ。

まあ・・・とにかく・・・彼女が彼に好意を寄せていることは間違いないんだな。

一方で彼は・・・微妙ということになっている。

そもそも・・・男は恋なんてしない・・・というのが前提なんだな。

しないのかよ。

しないさ・・・・女みたいには。

一方、彼のラスト・シーンで背後にならぶのは「めぞん一刻」だ。

「めぞん一刻」といえばなかなかに歳月が流れて行くのだが・・・だからこそ「初詣」イベントは定番だ。

他のメンバーが帰省して五代くんと管理人さんが二人きりになるという大晦日の妄想とあわせてな。

こずえちゃんと行ったりもするがな。

そういうシーンと同じようなことをした現実の自分を彼はあれやこれや思い巡らせるのだった。

男の中に女心があり、女の中に男心があるのだ。

で、『デート〜とはどんなものかしら〜・第6回』(フジテレビ20150223PM9~)脚本・古沢良太、演出・洞功二を見た。藪下依子(杏)のファーストキスは鷲尾豊(中島裕翔)に谷口巧(長谷川博己)のファーストキスは島田佳織(国仲涼子)に奪われてしまう。もちろん、そんなことで結婚に支障は出ないのである。ファーストキスを交わし合った夫婦なんて・・・ある意味、可哀想だもんな。きっと希少価値は高いよね。

「ハッピーニューイヤー」と鷲尾。

「ハッピーニューイヤー」と依子。

「ニューイヤーキスもいいもんでしょう」と佳織。

「・・・」と守り続けた純潔を奪われたショックが一番大きい巧だった・・・。

佳織は「依子さんとも」と取り繕う。

だが・・・ショックから立ち直れない巧(35)だった。

そこで・・・依子は「おせちの準備があるので」と事態を収拾するのである。「今年もよろしくお願いします」

「こちらこそ・・・」と返すのが精一杯の巧だった。

巧・・・DTというより・・・SJなんだな。

そんな巧に・・・鷲尾は宣戦布告する。

「もう・・・手加減はしない・・・あなたから依子さんを奪って見せる」

そんな熱さに「馴染めない」巧だった。

実家で新年を迎えた依子は父・俊雄(松重豊)とおせち料理を食べて新年を祝す。

おせち料理は美味しいことは美味しいが例によって・・・依子は亡き母・小夜子(和久井映見)には負けているのである。

今回は「母の残した料理のレシピ」を巡って依子の心が語られるのだった。

「私が死んで最初の年は美味しくできたのにね」と幻影の小夜子・・・。

「レシピ通りに作っているわ」

「じゃ・・・真心不足かもね」

「誰か・・・いるのか」

「独り言よ」

「どうだろう・・・三日の新年会に・・・彼を家に呼んだら・・・父さん、あらためて挨拶したいし」

「そうね」

しかし・・・東京にある依子の実家は巧にとってさいはての地である。まして・・・依子の親戚という見ず知らずの人と接するのは巧にとって拷問なのである。

「遠慮するよ」と依子の誘いを断る巧だった。

正月早々・・・谷口留美(風吹ジュン)の家に入り浸る宗太郎(松尾諭)と佳織の怪しい(兄妹)は巧を叱咤するのだった。

「結婚するつもりなら・・・親戚付合いも大切よ」と(妹)・・・。

「関係ないじゃないか・・・大人同志の付き合いだ」と巧。

「それでは交際は終了ということでよろしいですね」と彼の家に乗り込んでくる彼女だった。

「いや・・・まってください・・・僕なんか言ったら図々しいでしょう」

「誘いを断る方が図々しい」と(妹)・・・。

「交際終了ですね」

「僕なんか・・・場違いですし」

「交際終了ということで」

「どうすればいいんですか」

「がんばって気に入られるしかないよ・・・依子さんに教えてもらって」と(妹)・・・。

「・・・お願いします」

「それでは事前対策会議を始めます」

「じぜんたいさくかいぎ・・・」

巧は恐怖するのだった。

依子は巧が無事に年始の挨拶が出来るように懇切丁寧に指導する。

もう・・・愛と言っても良いよ。

実の母にさえ受け止められないありのままの巧を受けとめてるものな。

そして・・・一月三日がやってきた。まあ・・・翌日だがな。

巧は横浜から渋谷へ・・・渋谷から・・・新宿へ。

心神喪失状態で痴漢に間違われ、事情聴取の後で二回嘔吐して板橋方面にたどり着いたのだった。

「遅かったですね・・・」

「いろいろあって・・・」

藪下家新年会

出席者

藪下俊雄・依子(父娘)

富田初枝(田島令子)・・・俊雄の姉。

富田康行(田口主将)・・・初枝の夫。

富田太郎(蛇)・・・富田家のペット。

巧・・・依子の交際相手。

式次第

一、年頭の挨拶

藪下家は公務員の一族らしい。

昨年の総括と今年の抱負を述べるのだった。

「今年は仕事はもとより、私生活も充実させ、父を安心させたい」と述べる依子。

ある意味・・・愛の告白である。

一方・・・巧は・・・。

「去年は『24』を完全視聴したので今年は『LOST』にチャレンジしたい」

高等遊民の矜持をまもるのだった。

「お父さんも映画は見るわよね」と助け舟を出す依子である。

「うん・・・私はスティーブ・マックイーンのファンでね・・・『大脱走』とか『荒野の七人』とか最高だったな」

「スティーブ・マックイーンといえば『ブリット』でしょう。それから地味だけど『民衆の敵』とかダスティ・ホフマンと共演した『パピヨン』とか唯一のアカデミー男優賞ノミネートの『砲艦サンパウロ』とか・・・そして『ゲッタウェイ』なんかもサム・ペキンパー監督だし」

「ブリット・・・」

「見てないんですか・・・それでマックイーンを語るなんて・・・おこがましい・・・あ」

「・・・」

匿名なら語っていいことも直接言ったらとりかえしのつかないことになります。

ここでタロー(蛇)が紹介され・・・一同が「かわいい」を連発する中・・・一人蒼ざめる巧。

そこへ・・・鷲尾が新年のご挨拶にやってくる。

鷲尾も爬虫類を可愛いと感じるタイプだった。

一、座興「百人一首」

小倉百人一首をすべて暗記している巧だったが・・・所詮、素人なのであり・・・玄人のメンバーには太刀打ちできないのだった。

「獲得枚数ゼロってどういうことです」と巧を責める依子。

「だって・・・」と弁解する巧。

すでに・・・チームである。

常識人である依子の伯母・初枝は・・・当然、依子に相応しい相手として鷲尾を俊雄に推奨する。

なんとか・・・挽回しようとする巧は土産のシャンパンを抜くが・・・コルクが俊雄の自慢のトロフィーを直撃するのだった。

「そんな・・・『ミート・ザ・ペアレンツ』(2000年)みたいなことが」

「ドラマじゃあるまいし・・・」

巧は度重なる失態に気を揉む依子である。

チームなんだな。

「お付き合いするんなら・・・ニートじゃなくて・・・まともな社会人でしょう」と言い出す初枝。

「お言葉ですが・・・」と巧は依子から授けられたシナリオを展開する。

「女性が専業主婦になるように・・・男が専業主夫になったっていいでしょう。僕は専業主夫として依子さんを支えます」

「じゃ・・・腕前を見せてもらいましょうか」

「台所を貸してもらえば・・・お雑煮でも」

実は味音痴だった留美のレシピではなく・・・依子のレシピで特訓を受けた巧だった。

しかし・・・手元はおぼつかない。

鷲尾も参戦し、手早く、それなりに美味い雑煮を仕上げる。

好評である。

あせる・・・巧・・・そこへ・・・タローが大脱走し・・・巧はタローを煮え立つ鍋の中にタワーリング・インフェルノするのだった。

「うわ」

「タローはウナギじゃありません」

「心臓マッサージを」

「そこに心臓が」

「救急車を」

「人工呼吸を」

「できるか」

「タクシーで動物病院に」

鷲尾は伯母夫妻と去るのだった。

残された父と娘と娘の交際相手。

木刀を取り出す俊雄に・・・巧は恐怖を感じ逃走するのだった。

ゾンビから逃れるヒロインのように疾走する巧。

任侠映画の出入りに向かう侠客のようにひた走る俊雄。

追い詰められた巧は土手から転落する。

「殺せ・・・殺るなら殺れ・・・人を馬鹿にしやがって・・・新年会なんて茶番だ・・・どうせ人生は地獄よりも地獄的であると『侏儒の言葉』で芥川龍之介も述べている・・・この世よりあの世の方が楽かもしれないんだ」

もはや新年会出席の緊張に耐えられなくなった巧である。

しかし・・・その狂態を受け流し素振りを始める俊雄。

「私はただ・・・君と一緒に汗をかいてみたかったんだ」

「え」

俊雄は巧に素振りをレクチャーするのだった。

実は筋がいい感じの巧・・・ちょっとうれしそうに素振りをするのだった。

「この土手には思い出がある・・・」とさりげなく回想に入る俊雄だった。

「私の妻は・・・数学者だった・・・ミレニアム問題っていう数学の難題の一つに取り組んでいてね・・・研究に没頭しているうちに死病にとりつかれた・・・娘は・・・妻の研究を続けると言った・・・しかし・・・妻は娘に料理のレシピを残したんだ・・・娘にノーベル賞を受賞する偉人ではなく普通の女性として幸せになってほしいと願ったのかもしれない・・・娘が十二歳の時に妻は死にました。私は喪失感で胸がふさがれてしまった。この土手で悲しみにくれていたのです。すると娘がこういうのです。お母さんは消えたりしていない。物質はすべて素粒子で出来ているのだから・・・お母さんは素粒子となって私たちの周囲をとりまいているだけだって・・・私はいつでも妻が傍にいることを娘に教えてもらったんですよ・・・優しい娘なんです・・・娘は数学の研究に没頭した・・・しかし、母親の研究は娘の能力を越えていたらしい・・・ある日、娘は国家公務員になると宣言し・・・一族で初めてのキャリアになった。努力に努力を重ねた子なんだ。私の誇りだ・・・。だから・・・君が娘を騙して不幸せにするような男なら絶対許さない。娘を好きではないというのなら・・・消えてくれ」

巧は依子の美点を知っている。

だが自分が・・・それにふさわしい美点を持っているのか・・・信じることはできないのだった。

「僕は依子さんを騙すつもりはありません。しかし・・・依子さんを好きとは言えない・・・だから・・・消えます」

しかし・・・立ちふさがる依子。

「帰るのは・・・料理を完成させてからにしてください・・・私は努力を無駄にすることをよしとしません」

依子は巧と交際を続けることに努力を惜しまないのである。

巧は依子に教わった通りに雑煮を作った。

「どうぞ・・・」

「これは・・・」

「不味かったですか・・・すみません」

「美味しい・・・しかも・・・これは小夜子の味だ・・・なぜ・・・」

「依子さんに教わった通りに・・・」

しかし・・・依子は雑煮を食べながら嗚咽をもらしていたのだった。

小夜子が死んで初めての正月。

レシピ通りに雑煮を作った依子は母の不在の淋しさに耐えきれず泣いたのだった。

俊雄は母のレシピを改竄した。

娘を泣かせたくなかったからだ。

もちろん・・・娘は一度見た数字を忘れない女である。

依子は父に騙されたフリをして母よりちょっと不味い料理を作り続けてきたのだった。

そして・・・巧のために封印を解いたのである。

巧を父親に気に入ってもらいたかったから・・・。

父は理解した。

娘は・・・彼を気に入っているのだと。

鷲尾もまた気配を察して身を引くのだった。

何故か、新婚なのに一人カラオケをする(兄)・・・鷲尾は合流するのである。

「あきらめるな・・・勝負はまだついていない」

何故か、鷲尾を煽る(兄)だった。

鷲尾は調子はずれの「大スキ!/広末涼子」を熱唱するのだった。

留美は(妹)と映画「卒業」を鑑賞する。

ラストシーンについて・・・意見を交わし合う女たち。

「今日、幸せだからって・・・明日も幸せとは限らないのよね」

「ですね」

「あなたも・・・変な男には気をつけなさいよ」

意味深である。

まあ・・・バスの二人が笑っていたかどうかは別として・・・花嫁に逃げられた男は確実に涙目なのである。

そして花嫁の父は間男に娘を奪われた憤りに震えるのだった。

花嫁の母は軽く舌打ちである。

なにしろヘレン・ケラーを教えた女だからな。それは違う映画だろう。

ちなみに映画「卒業」の主演女優はエレーン(キャサリン・ロス)ではなくミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)だ。

とにかく・・・依子と巧はじめての初詣に出かける。

二人は絵馬に祈願する。

秘された二人の願い・・・。

巧・・・依子と結婚できますように・・・。

依子・・・世界平和・・・・・・・・・・・・・・。

タローは奇跡的に一命をとりとめた。包帯でめでたい白蛇と化したのだった。

まあ・・・全身火傷でも脱皮できるからな。

二人を見下ろしたククリヒメは何かを告げる。

コトサカノオノミコトは頷いた。

縁が結ばれたのかどうかは神のみぞ知るのである。

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2015年2月23日 (月)

弘安の役の如く夷荻斬るべし(東出昌大)

長州尊王攘夷過激派の教祖ともいうべき吉田松陰はその危険思想を松下村塾という巣窟で熟成させる。

下級武士や藩医や儒官などの非武士の知識階級、そして町人など階級制度に困窮する若者たちはその「正義」に魅了されるのである。

その根本精神は「死に物狂い」であった。

松陰は久坂玄瑞との書簡のやりとりでそれを明らかにしている。

モンゴル人・漢人・高麗人の連合軍による日本侵略に対して、時の政権・鎌倉幕府が防衛に成功したのは文永の役で先制攻撃を受けた後、弘安の役に先立つ元のクビライ皇帝よりの降伏勧告を伝える使者をことごとく斬首したことによる。

文永の役では対馬、壱岐、肥前などの武士が皆殺しの憂き目にあっていながら、これをまったく顧みなかったのである。

全滅しても戦う。

この闘志こそが必勝の原理なのである。

「勝ち目のない戦を最後まで戦う」と久坂玄瑞が断言した時。

「我が意を得たり」と吉田松陰は入門を許したのだった。

恐ろしいことである。

で、『花燃ゆ・第8回』(NHK総合20150222PM8~)脚本・大島里美、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は松下村塾の軍神・吉田松陰とその最も忠実な弟子・久坂玄瑞の最狂師弟の二大描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。この師匠にしてこの弟子あり。やはり、幕末は長州が一番熱狂的でございますね。何と言っても黒船にはぶっぱなす、幕府にもとにかくぶっぱなすで狂いに狂ってついには大日本帝国を生み出していく。その原動力でございますからね。勝てる戦しかしない薩摩やなるべく穏便に済ませようとした土佐では明治維新はなかったと申せましょう。そういう意味でやはり・・・吉田松陰は凄いのですな。まあ・・・師匠を初め、弟子たちも死んで死んで死にまくるわけですが。まさに万歳突撃ですな。さすがに全員が長州人ではなかったのでこの国は最後は一億玉砕はせずに敗北する・・・それが良かったのかどうかは謎でございますが。本土決戦をして21世紀になっても戦い続けている帝国もないわけではないのですな。世界が唖然とするほどに。それが靖国神社問題なのかもしれません。

Hanam008安政二年(1855年)十二月、野山獄から生家である杉家預かりの身となった吉田松陰。風雲急を告げる国際情勢、長州藩における保守派と改革派の対立など様々な政治の波から遠ざかり松陰は教育によって草莽の志を洗脳し始める。その根本思想は天皇による天下の実現により、万民を平等に志士とし、その総力をもって侵略者と対峙するというもの。「この国は元々天皇のものである。そのことをよく勉強しているね。偉いね。君が差別されているのは藩だとか幕府とか余計なものがあるからなんだね。そんなものはぶっつぶしかないよね。そうでないとこの国はダメになってしまうからね。口先だけで憂国してもしょうがないよ。憂いなんか吹き飛ばして斬って斬って斬りまくるしかないんだよ」と信念を吹き込まれ安政四年(1857年)春、久坂玄瑞は吉田松陰に心服するのだった。出獄から一年で吉田松陰は幕府を崩壊に追い込む人材を育ててしまったのである。これを天才と呼ばずには・・・いられないんだなあ。まあ・・・一部の人民にとっては長い悪夢の始りとも言えます。

「江戸からのお指図で・・・吉田寅次郎なる罪人を探らねばならん」

「野山獄から解き放たれたものですな」

「うむ・・・動静を報告するだけでよい」

「下忍を潜り込ませます」

「うむ・・・」

長州に草として潜入する公儀隠密の頭は指示を下すと城下に消える。

やがて・・・吉田松陰の謹慎する杉家に魚の行商人である亀太郎が足繁く通うようになっていた。

亀太郎は画才があった。水軍忍び松羅党の血を引いているからである。斥候(うかみ)の忍びには画力が要求されるからである。

亀太郎は草のものであった。

松陰の家には若者たちが集まっていた。

松陰の従弟である玉木彦介、足軽の家の子・吉田稔麿、藩医の久坂玄瑞など身分の低いものたちであった。

罪人とはいえ、長州藩一の秀才と言われた吉田松陰に教えを受けることは若者たちにとって誇らしいことであった。

草として探索の任務を務める亀太郎さえ、その誇らしさに心が揺れることがあった。

「亀太郎くん」

「へ」

「この紙に神州(日本)の地図を描いてくれ」

「へえ」

亀太郎は松陰の示す小さな絵図を指示に従い、大写ししていく。

「そうだ・・・このあたりに朝鮮がある・・・その横が清国だ・・・うん、上手いぞ・・・さすがだなあ」

名士に褒められて悪い気はしないのである。

「元寇の時は・・・まず・・・こう・・・高麗から対馬、肥前と攻めて来たわけだ」

「文永の役ですな」と縁側に正座した久坂玄瑞が応じる。

「鎌倉の幕府はすでに大宰府から朝鮮に斥候を送り込んでいるから九州の武士に動員令を出している。何しろ、それまでに何度も元の使節が九州に来ているのです」

「なるほど」

「元の軍勢が極悪非道であることは対馬から脱した忍びによって急報されている」

「死にもの狂いになるのですな」

「そうよ・・・なにしろ・・・まだ集団戦と言うものを知らない一騎当千のもののふたちだ・・・各個撃破されるが・・・それなりに元に出血を強いる・・・なにしろ、渡海してきた元軍は孤軍だ・・・次から次へと現れる御家人たちに手を焼くようになる」

「殺しても殺しても・・・ですね」

「ふむ・・・戦果をあげたことで撤退ということになる。何百という奴隷も得たことだし・・・というわけだ。これは一種の偵察戦だったとも言える」

「これで恐れ入るだろう・・・というわけですな」

「そうだ・・・ところが・・・ここから幕府は死に物狂いになるわけだ」

「使者を殺し始めるのですね」

「そうだ・・・そして・・・今度は上陸阻止の準備を始める」

「次は大軍がくるわけですからな」

「南宗を滅ぼした元は南の漢軍と東の高麗軍を動員して本格的な占領軍となってやってくるのだ」

「長門や筑前にも上陸してくるのです・・・しかし」

「そう・・・前よりも防御が固くなっていることに驚くわけだ」

「そして・・・死を畏れぬもののふに圧倒されるのですな」

「そうです・・・神風などは吹かなかったのです・・・やまとのもののふは屍をのりこえて戦をする」

「そして勝つのですね」

「勝つ」

滅ぶまで戦う覚悟だけが滅びを避けるのである。

若者たちは・・・いにしえのもののふたちを思いうっとりとするのだった。

亀太郎も夢見心地になるのである。

一方、幕府は着々と土下座外交を展開していた。

臥薪嘗胆は徳川家の本領だからである。

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2015年2月22日 (日)

バカだけど可愛い子(広瀬すず)美人で賢い子(石橋杏奈)その和解(杉咲花)

民衆が愚かなのか賢いのか・・・それは難問である。

同じように蓑虫が間違っているのか正しいのかも難問である。

ジャンヌ・ダルクが聖女なのか魔女なのかも難問だ。

様々な難問が世界にはあふれている。

こうした難問に平気で答える人が賢いのか愚かなのかも難問なんだな。

一つだけ言えるのは正解を知るものなどいないということだ。

正解を知っているからと他人の意見を否定する人は不正解なのである。

「人種差別」が間違いなら「人それぞれに個性があること」も間違いだ。

相容れぬ人々と相容れぬ人は相容れていないのである。

そういう人が群れになると恐ろしいことになります。

隔離して監視するべきでしょう。

なるべく穏便に。

で、『校のカイダン・第7回』(日本テレビ20150221PM9~)脚本・吉田智子、演出・南雲聖一を見た。鮮やかに掌を返すその他大勢の登場人物たち。そんな馬鹿なという人たちは現実を知らない馬鹿なのである。数年前、政権交代があった時、新政権は期待されたが期待は裏切られたのである。たちまち政権交代である。新政権はまたしても期待されるわけである。とにかく・・・同じ国民が掌を返しているのである。それでいいのである。次々と総理大臣が交代するのも政治。長期安定政権もまた政治なのである。多くの国民はあまり深く考えず、その時に期待できる誰かを期待する。このドラマではそれがデフォルメされて描かれているだけで・・・世の中というものはそういうものなのである。

明蘭学園高等学校の生徒会長・ツバメ(広瀬すず)の演説(スピーチ)には演説台本があり、別人のスピーチ・ライターがいた。

ツバメの言葉に感動していたと信じていた人々はそれが見知らぬ誰かの言葉だったことにショックを感じる。

オレオレ詐偽の被害者が感じる嫌悪感である。

息子だと思っていたら赤の他人だったのだ。

騙された自分にも騙した相手にも嫌悪感を感じるのだ。

民衆の動揺に付け込む学園の女王・麻生南(石橋杏奈)は演説台本を証拠としてツバメに突きつけるのだった。

ツバメは事実を否定できないのだ。

革命家は一瞬にして詐欺師に転落したのだった。

あわてたツバメは丘の上の洋館に潜む車椅子の怪人・雫井彗(神木隆之介)に面会する。

「これは・・・どういうこと・・・」

「鍵を閉め忘れちゃった」

「え」

「原稿を盗まれた以上・・・すべては終わりだ」

「どういうこと・・・」

「革命は失敗・・・謀反人は死刑」

「そんな」

「残念だったな」

「でも・・・せっかく・・・ここまで」

「ここまできたのにって・・・どこまできたのさ・・・生徒会役員を味方につけ、クラスメートを仲間につけ、ついにはプラチナエイトも切り崩した・・・残るは女王ただ一人・・・学校のっとりは目前だ・・・それでお前はのっとった学校をどうするつもりだったんだ」

「私は・・・」

「ほら見ろ・・・お前は何一つ成し遂げていない・・・自分が何をしたいのか・・・そんなこともわからないバカなんだ」

「・・・」

「だから・・・革命ごっこは終わりだよ・・・御帰りはあちら」

翌朝・・・布団の中に引き籠るツバメ。

ツバメの祖父の徳次郎(泉谷しげる)は声をかける。

「学校にいきなさい」

「いきたくてもいけないんだよ」

「それは・・・ある程度経験をつまないとな」

「何の話」

「あの男と付き合いだして・・・お前は変わった・・・やることやってんだろう」

「やってません」

「一度くらい失敗しても・・・またトライすればいいんだよ」

「・・・」

「習うより慣れろだぜ」

仕方なく登校するツバメだった。

ツバメに対する敵意は半端ないのだった。

一般生徒はもちろん・・・プラチナエイトや生徒会役員たちもツバメに冷たい。

副会長油森(須賀健太)や会計玉子(清水くるみ)までがツバメから目をそらす。

ツバメに対する失望は期待していた自分自身への失望に他ならないからである。

権威を回復した学園の女王はすべてを王政復古するのだった。

バスも娯楽室も特権階級の手に戻って行く・・・。

切羽詰まったツバメは車椅子の怪人と出会ったベンチへ向かう。

しかし・・・怪人は女王のロールスロイスに乗り込むのだった。

「えええええ」

女王は謝礼金を取り出す。

「はい、百万円」

「ふふふ」

「あなたのことは調べさせてもらったわ」

「・・・」

「本名は・・・イセザキ・トオルなのね・・・」

「俺のことはどうでもいい・・・」

「手を組みたいの・・・あんな子に私の学園を渡せないもの」

「これはもらっておくよ」

怪人は謝礼金を受け取るのだった。

外部の人間によって混乱をもたらした件でスクールカウンセラーすみれ(野波麻帆)に事情聴取を受けるツバメ。

「知らない人に・・・ついていったの」

「・・・はい」

「そして・・・いろいろされたのね」

「されてません」

ツバメは洋館を訪ねる。

しかし・・・扉は閉ざされていた。

「屋敷の持ち主は海外にいるそうだ・・・そこには誰も住んでいないんだよ」

生徒会顧問教師(金山一彦)の出番は確保されたのだった。

だが・・・革命家として目覚めたツバメはレンガによる実力行使で窓ガラスを叩き割るのだった。

「おいおい・・・器物損壊に不法侵入で完全に犯罪だぞ」

「どうして・・・」

「だから言ったろう・・・遊びは終わったんだよ」

「私は・・・あなたのことを・・・」

言葉を飲み込むツバメだった。

信じていた・・・なのか。それとも・・・好き!・・・なのか。

学園ではツバメ追放のための署名活動が始っていた。

生徒の総意としてツバメの退学が歎願される勢いである。

しかし・・・キングの夏樹(間宮祥太朗)とみもりんこと美森(杉咲花)はツバメの身を案じる。

「このままでいいのか」

「本当に私たちを騙していたの」

「言葉は教えてもらったけど・・・言ったことは・・・私の本心・・・心からの気持ちだった」

「・・・」

副会長油森(須賀健太)や会計玉子(清水くるみ)はついに追放反対の署名活動を始める。

しかし、「お前たちまで洗脳されたのか」と仲間に罵られる始末である。

金時教頭(生瀬勝久)はツバメに自主退学届の提出を命じるのだった。

「もう・・・この学校に君の居場所はないだろう」

その頃、女王と怪人は密会していた。

「あなたの本当の狙いはなんなの」

「・・・」

「何故、あんな子を唆したの」

「学校をぶっつぶすためさ」

「何よ・・・それ」

「君こそ・・・どうしてあんな子のことを気にするんだ」

「・・・」

「君は何でも持っている・・・ひとつのことを除いては」

「私が何を持っていないって言うのよ」

「愛されていない」

「何ですって」

「美しく賢い君が愛されていないのにそうでないものが愛されるなんておかしいよな。あの子が愛されるのはバカだからだもの。でも・・・それが君を傷つけた。君はうらやましくてひがんであの子をいじめたわけだ」

「・・・」

「だって君は・・・愛されたくて愛されたくてリストカットしちゃうかまってちゃんだもの」

女王は隠していた傷跡を怪人に目敏く指摘され蒼ざめる。

「これは違うよ・・・」

ツバメに同情するキングとミモリンが集う。

「追放反対の署名・・・集まりが悪いみたい・・・」

「仕方ないよ」

キングもミモリンも追放反対に署名していた。

そのことを知った女王は唇をかみしめる。

ツバメの元へ怪人からの着信がある。

「なによ・・・」

「女王を捜せ・・・大変なことになるかもしれない」

「大変なことって・・・」

「あそこかもしれない」

女王の側近だったミモリンは最悪の状況を察するのだった。

夜の校舎の屋上に佇む女王。

かけつける反乱トリオ。

「何しに来たの・・・まさか私が飛び降りるとでも」

「よかった」

「近付かないで飛び降りるわよ」

「え」

「私たちはあなたを心配しているのよ」とミモリン。

「裏切り者のくせに・・・私はただ・・・自分のテリトリーを確かめていただけ」

「テリトリー」

「そうよ・・・私の支配する学園・・・あなたが追放されるこの地よ」

女王はプラチナエイトの指輪を投げつけると・・・立ち去る。

「女王の家には大きな鏡があるの・・・女王の親は音楽家で世界中を飛び回っている・・・彼女にあるのは大きな鏡だけ・・・だから心がからっぽになってしまたのかも」とミモリン。

ツバメは女王の孤独を感じるのだった。

ツバメは様々な気持ちのこもったビンタを怪人に炸裂させる。

「ひどいじゃないの」

「なにがだよ・・・まあ・・・白雪姫風の女王様は毎日毎日・・・世界で一番愛されているのは誰と問いかけていたんだろうさ・・・おとぎ話とちがって鏡は答えてくれないんだ」

「・・・」

「前にも言っただろう・・・男はみんな動機が不純なもてたいためのロックンローラー」

「百恵ちゃん・・・」

「女はみんないっそいきなり消えたらどのくらい私を探してくれるかなチヤホヤしてよチヤホヤしてよねえチヤホヤぐらいできるでしょうなんだって」

「ソニンちゃん・・・って誰が昔の歌手の話をしろと」

「答えはでたのかい」

「答え・・・」

「それを明日スピーチするんだ」

「そんな・・・今さら・・・私の話なんてみんな聞いてくれないし」

「ジャンヌダルクは百年戦争で農民の娘なのにフランスを救うために戦った・・・ところが王様は彼女を裏切って魔女として火炙りにしたんだ・・・でも火炙りにされたその潔い姿を見て民衆はまた立ち上がる」

「ええと・・・私に死ねって言うの」

「いいや・・・最終兵器はこの僕さ」

「えええ」

「黒幕の登場はなんてったって盛り上がるもの」

ツバメは指示用イヤホンを受け取るのだった。

教頭は理事長兼校長の誉田蜜子(浅野温子)が取材のために外出中のタイミングを狙ってツバメの自主退学届を受理しようと目論む。

ツバメの最後を見届けようと集まる生徒たち。

ツバメの後援者たちは無力だった。

「さっさと退学しなさいよ」と女王。

「・・・」

「あの男の正体を教えてあげる・・・あの男はね」

「ここにいます」

「え」

塔の上に現れる車椅子の怪人。

「愚かな奴らよ・・・みんなバーカだなあ。貴族たちに虐げられた時は黙ってうつむき・・・革命者が現れれば追従し、革命が失敗したら裏切られたと嘆き・・・自分ってものがないのかよ。クルクルクルクル風見鶏か。ノータリンか。烏合の衆か。いや・・・蓑虫か。風に揺られてブーラブーラか。知ってるか。蓑虫はガになるんだぜ。しかもガになるのは雄だけなんだ。雌は大人になっても羽根も足もない。ずっとずっと蓑の中。蓑の中で一生を過ごし最後は蓑から落ちて死んでいくんだ。自分で何もしない奴はみんなメスの蓑虫だ。裏切られた。騙された。誰にだよ。バカの言葉に踊らされたのは自分じゃないか。だけど・・・踊ったのはそれが正しいと思ったからだろう。正しいと思ったのは自分自身なんだろう。だったら騙されたなんて怒るのはおかしいじゃないか。それは自分自身を裏切ったのと同じだ。影でこそこそ言ってる奴らが矢面にたっている奴をアレコレ言うのはおかしいだろう。騙されたことで自分を責めるな。人を信じることができたと自分を褒めてあげればいい。本当のことなんか誰にも分からない。車椅子に座ってたら足が不自由に決まってるとか・・・どうしてそう思う」

怪人は立ち上がる。

「クララも立つし、俺も立つ。さあ・・・驚いたついでにバカの話も聞いてやってくれ・・・たった五行の辛抱だ」

唖然とする一同。

ツバメは語りだす。

私の夢は学園をみんなが笑いあえる場所にすること

そのためにどうすればいいかをみんなで一緒に考えること

一人残らずみんなが愛されること

そのために自分を愛したい

自分を愛せない人に他人を愛することはできないと思うから

見つめ合う女王と生徒会長。

女王はツバメの追放嘆願書を破り捨てる。

みもりんは指輪を女王の掌に戻す。

「こんなものに意味はない・・・こんなものなくても私はあなたと一緒にいるから」

女王は微笑んだ。

「お前たち・・・何をしている」

教頭が登場である。

「私・・・退学しません」

「何」

ツバメは退学届を破り捨てる。

「私がポイッと捨てたんじゃありません・・・風が攫っていったのです」

「ゴミは屑籠にね・・・」

生徒たちはまたもや一致団結したのだった。

教頭は歯ぎしりである。

校長はツバメの担任教師(金子ノブアキ)に教頭の動向を探らせていた。

「そう・・・あの子が返り咲いたの・・・」

校長は特別採用枠の成果をマスメディアに売り込みにかかるのだった。

校長もまだ正体を明かしていないのだった。

丘の上の洋館で怪人に感謝するツバメ。

「ありがとう」

「いや・・・御蔭で俺も起つことができたよ」

「・・・」

何が勃ったのか・・・想像して赤面するツバメ。

なにしろ・・・ツバメは怪人に恋をしているのだから。

一人になった怪人は剣を抜く。突き刺したのは第一期トクサの記念写真。

そこに写るのは若き日の怪人の姿だった。

「これで・・・学校を消滅させる手筈は整った」

つづくのである。

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今回はみのむし様を思わず思い出しましてございます(じいや談)

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2015年2月21日 (土)

きつく抱きしめあえばそれから(亀梨和也)身体が柔らかいのだ(深田恭子)

「アイ・ラブ・ユー」と「アイ・ラブ・ユー」が出会う時・・・人と人はイチャイチャするしかないわけである。

それが人類百万年の歴史なのだ。

しかし・・・その一瞬はなんと儚いのだろう。

キッドの経験では長くて一年くらいである。

もちろん・・・「恋」が終って「愛」が始るという美しい「嘘」もあるが・・・もしも、新しい「恋」が始ると「愛」など何の役にもたたないのである。

しかし・・・「恋」の「波」はゆっくりと通りすぎ・・・もう「愛」しかなくなるのが人生だ。

「ラブロマンス」はつまり・・・「恋の夢」だ。

もちろん・・・人によっては・・・「本当の恋」を知らずに人生を過ごすものもいる。

そういう人はせめて・・・この「恋の夢」に身を委ねてもらいたい。

ここには「恋」があります。

で、『セカンド・ラブ・第3回』(テレビ朝日201502202315~)脚本・大石静、演出・片山修を見た。「金曜ナイトドラマ」の枠では久しぶりに本格的なドラマの気配が漂っている。「死神くん」以来である。なにしろ・・・主人公とヒロインがスターなのである。スターとスターが恋に落ちる錯覚を感じさせるほど、リアルなラブロマンスはないのだ。お茶の間にお届けできる場面はさておき・・・これだけの美男美女があれだけ触れあってただではすまないだろうという妄想が炸裂するわけである。実に悩ましい。そして・・・二人には終わった恋の相手がそれぞれにいて・・・相手の方はまだ恋が終わっていない気配を漂わせている。その息苦しさがたまりませんな。これに加えて・・・二人はあまり家族に恵まれているとは言えない状況がある。主人公の家族は「冷たい父親」という影の存在だが・・・ヒロインの母親は「非常識の人」であり・・・その理不尽さがひたひたと押し寄せる。主な登場人物では何故かヒロインの不倫に異常な関心を寄せる女生徒だけが謎のポジションである。ひょっとすると「恋」に対して距離を置こうとする若者の象徴なのかもしれないな・・・。そういうわけで・・・分かる人にはこの物語が醸しだす「純文学」の香りがそろそろ届いているのではないかと考える。

一目見た瞬間に恋に落ちたコンテンポラリー・ダンサーの平慶(亀梨和也)と求められて恋に落ちた西原結唯(深田恭子)・・・。

「付き合っている人がいるなら・・・別れて欲しい」

そう言われて頷く結唯である。

「一緒に暮らそう」

たたみかける慶だった。

抱きしめられた瞬間に・・・身体が反応する結唯だった。

結唯の男性遍歴は明らかではないが・・・不倫中の同僚教師・高柳太郎(生瀬勝久)との逢瀬は五年目である。もはや「恋」のときめきをもたらすものではなかっただろう。まして・・・愛へと昇華するものでもない。それは倦怠と・・・惰性の・・・肉体関係にすぎない。

しかし・・・慶のひたむきな情熱は・・・結唯の眠っていた「恋の本能」に確実に点火している。

結唯は自分でも驚くほど濡れるのである。

慶という男性を受け入れる準備が素早く整うのだ。そして思いがけない痙攣が結唯の心を痺れさせるのだった。

倒れたペットボトルからこぼれる水のように溢れ出す情欲。

すべてを忘れさせる夜が来るのである。

ダンサーのしなやかな身体が・・・三十半ばの女教師に・・・この世に性のあることを思い知らせるのだった。

彼に抱かれるために生まれて来たと彼女に錯覚させるような快楽の波が打ち寄せるのだ。

だから・・・二人は今日も寝不足である。

「お前・・・疲れてるんじゃないか」

港湾荷役の飯場で仕事仲間の田島(寺島進)が心配するほどだった。

「・・・」

「お前、何か、別の仕事をしているのか」

「ダンサーです」

「ストリッパーか」

「ストリッパーじゃありません」

しかし・・・睡眠不足の慶は注意不足で足を負傷してしまうのだった。

多くのお茶の間がそうであるように「コンテンポラリー・ダンス」の認知度は恐ろしいほどに低いので・・・説明を避ける慶だった。

一方、今日も朝帰りの娘・結唯を待ち受ける・・・明らかに精神を病んでいる母・真理子(麻生祐未)・・・。

「親を舐めるのもいい加減にしなさいよ」

「そんな・・・」

「あなた・・・まさか・・・汚らわしい・・・不倫をしているんじゃないでしょうね」

「何を言ってるの」

「高柳先生も心配してくださっているのよ」

「高柳先生って・・・」

「私、あなたのことを相談しにうかがったのよ」

もちろん・・・三十半ばの娘が・・・外泊を続けてたくらいで職場の同僚に相談に出かける母親はあまり尋常とは言えない。所謂、過干渉である。

もちろん・・・子離れできない親は世の中に普遍的にいるのである。

そういう親は自分を異常とは思わない。親と子の絆を盲信しているのだ。

だが・・・そのようにしか生きていけない人を責める気はない。物悲しいがそれも人生の在り方だ。母一人子一人で寄り添って生きたっていい。しかし・・・年老いた母が先立つ時、年老いた子供は多くの場合・・・孤独の寂寥感だけを味わうことになるのである。

そのことに思いいたれない人間は侘しいのである。

結唯の母親・真理子はその象徴なのだ。

「今夜、話すから」

「逃げる気」

「教職を休むわけにはいかないの・・・お母さんだって・・・私がお給料をもらわないと生きていけないでしょう」

「・・・」

真理子は・・・専業主婦として娘に寄生している無職の女なのだった。

夫婦生活という「愛の営み」を破綻させた真理子は現実から逃避し続け、娘を呪縛し続けているのである。

恐ろしいことだ。結唯にとってこの家はこの世の地獄である。

家族と朝食を摂る高柳太郎(生瀬勝久)は結唯からの着信に慄く。

浮気相手として最高の獲物である結唯を失う予感があるからである。

厭らしい中年男の直感は・・・自分にとって都合の悪い事態には敏感なのである。

「別れ話」を切りだそうとしている結唯との接触を避けたい気持ちで一杯になる。

便器に排出された腹黒さが匂い立つ。

夫の不審な行動に妻(片岡礼子)は心の警鐘を打ち鳴らすのだった。

浮気は別れに際して愁嘆場を発生しやすい。

浮気が順調な間は綻ばなかったものが・・・別れ際に破綻して・・・発覚を招くことが多いのである。

別れから逃れようと結唯を遠ざけることが、結唯の焦りによる積極さを招き、事態を悪化させるのだった。

「どうしてもお話したいことがあるのです」

「無理なものは無理なんだよ」

登校中の生徒たちを唖然とさせる二人の教師だった。

「なんだ・・・あれ・・・」

「できているんじゃないの・・・あの二人」

「不倫かよ・・・」

「あんなジジイ相手にかよ」

「憐れ・・・」

丸山かなえ(宮武美桜・・・松山メアリや高月彩良そして桜庭ななみたちと一緒のメンバーである)も混じっている県立山王女子高校の生徒たちは囁く。

何故か、生徒の一人、竹内そら(小芝風花)は一線を画している。何らかの重要な役割を持っているのか。まさか・・・高柳太郎に恋をしているわけじゃないだろうし・・・。

同僚教師の上田波留子(秋山菜津子)もなにかと高柳太郎に絡んでくる。存在感があるだけにどのようなポジションなのか読みにくいんだな。

まあ・・・「恋の果て」を脚本家がどう描いてくるのか・・・御手並み拝見だ。

慶のレッスン場に現れる昔の恋人・野口綾子(早見あかり)・・・。

「怪我したの・・・」

「たいしたことはない・・・捻挫だよ」

「私・・・やはり・・・あの女が好きになれない」

「・・・」

「もう・・・来ないけど・・・身体に気をつけて・・・バイバイ」

ついに・・・愁嘆場を迎えることになった高柳である。

ラブホテルでの現地集合を拒絶され・・・ファミレスでの話し合いに意気消沈なのだった。

「別れてほしいのです」

「あの男か・・・いつから」

「あの日です」

「どんな男なんだ」

「よくわからないど・・・好きなのです」

先が見えない関係を続けて来た男はその時が来たことに抗うのだった。

「そんな・・・男で大丈夫なの」

お前がそれを言うかというセリフだが・・・言わずにはいられないんだなあ。

なにしろ・・・十五歳年下で美しい巨乳の持ち主をもう抱くことができなくなると思ったら目の前が真っ暗になるのだ。

「嘘ぴょ~ん」と言ってくれないかと虚しく視線が彷徨うのである。

「六歳も年下の男なんて・・・」

いろいろな言葉を飲み込む高柳。なにしろ・・・勝ち目がないのである。

しかし・・・澱んだ関係でも・・・そこには五年の歳月が横たわっている。

「高柳先生には感謝しています・・・今までありがとうございました」

優しい死刑宣告が下されるのだった。

夜の街をはじめて肩をならべて歩く二人。

高柳の未練が用心深さを上回ったのだった。

お約束でヤクザにからまれそうになり、脱兎の如く逃げ出す高柳。

その先にティッシュ配り中の慶が待っていた。

思わず見つめ合う二人。

「ダンサーが・・・なぜティッシュ配りを・・・」

「食べるためです」

「彼は国際的な賞を受賞しているんです」

「でも・・・食えないんだろう・・・」

「・・・」

「上司として・・・そんな相手との交際は反対だなあ」

「反対されても・・・別れるつもりはありません」

慶と結唯は寄り添う。

虚しく佇むもはや単なる上司である。

二人は立ち去る。

「待ってくれ」

ふりかえる二人。

「彼女を・・・頼んだぞ」

慶は幽かに頷くが・・・余計なお世話なのだった。

高柳の脳裏に渦巻く・・・結唯との痴態の数々。

あんなことをしておけばよかった。

こんなこともしておけばよかった。

悔やんでももうできないのだった。

もちろん・・・リベンジポルノをばらまく手はあるが・・・自殺行為である。

もはや・・・虚しく夜風に吹かれる他はなく、夫のそういう姿は確実に妻に何かを感じさせる。

「今日は大人しく寝ないと・・・」

「足を使えなくてもできるよ・・・結唯さんががんばれば」

「今日は・・・母と話をしないと」

しかし、キッチンに立つ結唯を背後から抱きしめる慶。

「結唯さんを見ていると・・・触りたくなる」

身体を入れ替えて慶を背後から抱きしめる結唯。

「私もだよ」

イチャイチャが止まらない二人だった。

「けいくん・・・けい」

「ゆいさん・・・ゆい・・・」

家路についた結唯の前に綾子が現れる。

「彼の昔の恋人です」

「・・・」

「慶をだめにしないで」

「だめにしません」

「ダンサーのことなんか・・・何もしらないくせに・・・やりまくって睡眠不足だから怪我だってするんだよ。あんなに狭いベッドに二人で寝たら身体が回復しないんだよ」

「気をつけます」

「慶をダメにしたら殺すからね」

「彼をダメにしないし・・・あなたにも殺されません」

「・・・」

年上の女の優しい対応に・・・虚脱する綾子だった。

帰宅した結唯は癒着する母親の真理子と対峙する。

「不倫はしてません」

「清いお付き合いなのね」

「彼と暮らそうと思います」

「なんですって・・・家を出るってこと」

「・・・」

「ママを捨てるの・・・ママより男が大事なの・・・ママの子じゃないみたい・・・ママがどんな思いで結唯ちゃんを育てたと思うの」

「お母さん・・・私はもう三十半ばよ・・・これまで一度だって・・・私の将来のことを考えてくれたことあった・・・この年まで一度だって・・・恋人がいないことの心配をしてくれたことなかったじゃない・・・このまま・・・一生、お母さんの面倒を見てはいられないよ」

「なんてことでしょう・・・私に飢え死にしろっていうの」

「私は私の人生を生きていきます・・・お母さんも自分の人生を生きてください」

荷造りをして家を出る結唯。

「じゃ・・・こうしましょう・・・彼を家に連れて来て・・・一緒に住めばいいじゃない」

真理子の不気味なお願いを振り切る結唯だった。

子供は自分のものと信じて疑わない真理子の信念は少し揺らぐのだった。

慶にドレスデンのカンパニー代表から連絡が入る。

二月十七日。

来日したライバルの一之瀬佑都(大貫勇輔)と再会する慶。

演出家の仕事の依頼は・・・。

「三月に日本で・・・かって君が主演した舞台『美しい悲劇』を一之瀬で再演したい・・・君にはスタッフに演出意図を伝える通訳を務めてもらいたい・・・」

「通訳・・・」

事情を聞いた結唯は慶の心情を思いやる。

ダンサーというものの認知度に問題がある日本社会。

父親にドイツでサッカーをしていると語られていた慶の心の傷・・・。

しかし、慶は胸を張る。

「君が現れて・・・止まっていた時間が動き出した・・・通訳の話も以前なら断っていたはずだ・・・だけど・・・今は違う・・・何かをやってみようと思えるんだ」

結唯は慶のために布団を買うのだった。

その夜・・・二人はようやく一息ついたのである。

性の営み抜きで幸せな時を過ごす二人。

「二週間・・・休みます」

仕事仲間に伝える慶。

「ストリップの巡業か・・・」

ついに踊りだす慶だった。

辛い潜伏の時から・・・女神と出会い・・・躍動する舞踏家。

その身体能力を示すアクロバットなパフォーマンスに無教養な男たちもも心を奪われる。

「なんだか・・・有難い感じだな・・・」

踊りきった慶の前に真理子が現れる。

「結唯を私に返してください」

困惑する慶だった。

一方、結唯には清算したはずの不倫関係が何故かのしかかってくるのだった。

女生徒たちは無邪気に「不倫」を責め立てるのだった。

ドラマが「美しい悲劇」となるのかどうかは・・・まだ不明である。

ただ・・・美しい物語になることは確かだろう。

しかし・・・恋は・・・本質的には悲劇なのだ。

だって必ず終わるものだもの。

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Sl003ごっこガーデン。愛と青春の部屋(第三夜・・・寝具追加)

エリK先輩の身体を気遣ってマットレスを購入するのでスー。フカフカであったかいのでスー。特別な寝具なのですよ~ムフフ・・・悲しい悲劇はこわいけど・・・喜劇になっても困るのです・・・あくまでラブロマンスでお願いしまス~

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2015年2月20日 (金)

神宮の森でシューベルトの最後のピアノソナタを私たちは分かち合いました(松岡茉優)

黒沢明監督の映画「七人の侍」は娯楽大作である。

その面白さを一言で語るのは難しいが「七人」揃えばなんとかなるという風潮はある。

「七人の刑事」もあれば「七人のおたく」もあるわけである。

「問題のあるレストラン」に「アホ」の旗が翻るのはオマージュと言っていいだろう。

「七人の侍」の守るべき相手は農民たちで、敵は野武士たちだった。

このドラマでは守るべき相手は「女が女として生きる権利」であり、敵は「それを認めない全人類」である。

つまり・・・男と女の戦いではないところが・・・ミソなのである。

妥協点を探り、現実的対応をしている女性も「敵」なのだ。

「戦争反対」を叫びつつ「政治的混乱による紛争」を辞さない人々の言動は実に危ういものだ。

だが・・・このドラマの「侍」たちの儚さは別次元にある。

それが結実する三人の幼さを残す「侍」による陽だまりのひととき・・・。

その美しさにうっとりである。

「巨悪」に戦いを挑む時、罵詈雑言をもってするのは愚の骨頂である。

美しい剣だけがその価値を持つのだ。

それが世界観戦争の最終兵器なのである。

で、『問題のあるレストラン・第6回』(フジテレビ20150219PM10~)脚本・坂元裕二、演出・加藤裕将を見た。人類の歴史が生み出した怪物である「ライクダイニングサービス」の社長・雨木太郎(杉本哲太)に親友の藤村五月(志田彩良→菊池亜希子)を凌辱された田中たま子(真木よう子)は復讐を誓うのだった。五月は都落ちした後に消息不明である。自殺してしまった疑いも捨てきれない。生きて再登場してもらいたいものだ。たま子は「LIKEDINING SERVICE」社の経営するビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」を見下ろすビルの屋上に「ビストロ・フー」をオープンする。雨木太郎は既成事実としての「男性上位」からあくまで自然体で「女性」を見下しているのである。レストラン経営能力以外に何の武器ももたないたま子にとって・・・たとえ北風吹き抜く極寒の環境でも何が何でも物理的に「敵」を見下ろしたかったのだろう。そんなことでしか敵意を示すことができなかったのだ。そして・・・傲岸不遜の雨木にとって頭上に翻る旗は確実に目障りだったのである。しかし・・・敵は男尊女卑を肯定する全世界である。果たして・・・たま子に勝機はあるのだろうか・・・とお茶の間は危ぶむのだった。

東大出身の秀才・新田結実(二階堂ふみ)は初めての性交渉を伴う恋に我を忘れ、男尊女卑社会の底辺に蠢く悪魔くんこと星野大智(菅田将暉)に人生を賭ける決意をする。自称・恋愛依存症の量産型巻髪クルクルガール・川奈藍里(高畑充希)は「彼には同棲中の彼女がいる」と結実に忠告するが、心神喪失中の結実は聞く耳を持たないのだった。

悪魔くんは・・・高層ビルにある地下社会に結実を案内し、超法規の性的快楽を求める富裕層の大人の性の社交場に置き去りにするのだった。

支配人(遠藤要)に「融資のプレゼンテーションをしてもよろしいでしょうか」と質問する結実。

「ここには一秒で一億円稼ぐお客様が来るからね・・・君の夢が叶うかどうかは君次第だよ」

「一分で六十億円ですか」

「え」

悪魔くんは明らかに売春のための魔窟と察しながら、魔窟スタッフの米田(加藤慶祐)から十万円を受け取り退場する。

「すごいんだよ・・・物件の仲介料が十万円なんだ・・・焼き肉行こうぜ」

同棲中の恋人に連絡する鬼畜・悪魔くんなのである。

一方、藍里は同僚でストーカーの池辺(川口覚)に顔面を殴打され、部屋に引きこもるのだった。

「どうしてるかなと思って・・・ええ・・・私は大丈夫・・・店にいるのはみんないい人だし・・・え・・・やたらと電話してくるって・・・してないよ・・・してるか」

藍里の精神も破綻寸前なのであった。

ブラック結実とホワイト藍里の絶望的状況から一転・・・たま子は傲慢なシェフ・門司(東出昌大)に突然の愛の告白を受ける。

これまで・・・傲慢なシェフがたま子に冷たい態度で接していたのは・・・料理を否定されたからで・・・たま子に前言を撤回させるために・・・「心のこもった料理」を完成させるために全力を傾けていたからだと告げるシェフ。

「私がどんだけ心が痛んだと思ってるの・・・」

「俺にとっては料理がすべてだ」

傲慢なシェフに胸の内を明かされて揺れるたま子の乙女心。

「態度が悪かったのは謝る」

「わかった」

「また・・・来てもいいかな」

「いいよ・・・」

すべてをなしくずしにする・・・男と女のラブ・ゲームなのである。

ブラックとホワイトのいない世界は・・・束の間の偽りの平和を形成する。

まさに・・・三日で破られる停戦協定の世界である。

「ビストロ・フー」には元サッカー選手・前園真聖(前園真聖)が友人のロビン(ジョナサン ・シガー)とともに来店する。三千院鏡子(臼田あさ美)はパティシェ・ハイジ(安田顕)がロビンに恋したことを察知する。

周辺ではネズミ駆除が開始される。

ネズミに対して無防備な「ビストロ・フー」では実写版「レミーのおいしいレストラン」展開を避けるために店内のネズミ探索に夢中になるのだった。

すると店内から魑魅魍魎を封印した魔の箱が発掘される。

ソムリエの烏森奈々美(YOU)は独断で封印を破り、魔を解放するのだった。

ホワイトとブラックのその後を秘匿したまま・・・ドタバタでじらすテクニックなのである。

たちまち・・・世界に暗雲がたちこめる。

ヴィンテージ・ワインは1957年と1956年の間で時空を揺らがせ、客の指輪は消失し、夫婦喧嘩で予約はキャンセルされ、社員寮の湯沸かし器は故障し、社員の足は匂いだし、前園とロビンがソムリエの元カレだったためにハイジの恋心は減衰するのである。

まあ・・・そういう問題のあるレストランもありえた世界なのだった。

そして・・・捨てられる呪いの杓文字だった。

すると・・・ブラックちゃんが出戻ってくるのだった。

まったりタイム終了である。

「東大出身なので接待とか大変だったのですが・・・このお店は初めてゼネラル・プロデューサーを務めた店なので・・・経営が軌道に乗るまで見守りたいと思いまして」

厨房のシェフ・雨木千佳(松岡茉優)は生温かく洗い物をブラックちゃんに渡す。

「お帰り・・・ゼネラル・プロデューサー」

しかし・・・そこに魔窟の住人たちが現れる。

悪魔たちは辱しめたブラックちゃんをさらにいたぶるためにやってきたのだ。

「結実ちゃんは最高だよねえ。バニーガールの衣装で融資のためのプレゼンテーションをするなんて抱腹絶倒だったよ。せっかく買い手がついたのに衣装を脱がないなんてもったいなかったよ。顔面ストッキングの刑だけじゃものたりない。今度は最後まで売りきって欲しいよね。また来るでしょう・・・そうそう悪魔くんから少しは分け前もらったの・・・早く回収しないと全部使われちゃうよ・・・彼女に借金している奴だからね」

メンバーたちはたちまち事態を把握するのだった。

「ちょっと貸して」と悪魔から携帯電話を取り上げブラックちゃんの恥ずかしい写真を消去するソムリエ。

「なにするんだよ」

「ぶっこわす、水に落とす、消去するの中から一番、優しい対応をしたまでよ」

「お帰り下さい」とたま子。

「なんだよ・・・しらけるな」

「お代は結構です」・・・つぶれるぞ。

たま子はブラックちゃんを社員寮で慰める。

「田中さん・・・初めて男性とお付き合いしたのはいつですか」

「え」

「言いたくなかったら・・・いいです」

「槍投げの選手よ」

「その人とどうなったんですか」

「他の女の人の方にいっちゃった」

「ふふ・・・私、人生で今、一番盛り上がってます。はじめて女同士の恋の話をしているから」

「・・・」

「今まで会いたくて会いたくて震えるって気持ちなんか全然わからなかったから。でも今はわかります」

「西野カナかな」

「これからは恋のダウンロードしまくります・・・一度も好きになってもらえないまま十万円で売られた子がテーマのラブソングってありますかね?」

「中島みゆきで検索すると・・・もしかしたらあるかも」

「・・・」

「私にできること・・・あるかな」

「彼に・・・本当にお金を受け取ったのか・・・確かめてくれますか」

「わかった」

「ひどい・・・」座り聞きをする従業員一同。

「もっとひどい話だってありますよ・・・でも・・・くそ」とシェフちゃん。

たま子はビストロ「シンフォニック表参道」に乗り込むのだった。

対応するのはお尻を触らずにはいられない土田(吹越満)だった。

「従業員の星野さんを呼んでいただけますか」

「お話があるなら私が伺いましょう」

「星野さんに聞きたいことがあるのです」

「当社では徹底した社員教育をしていますので何も問題はないと思いますが」

「土田さん・・・私とあなたが共に働いた時間はそれほど長くありませんでしたが・・・疑問に思っていたことがあります・・・何故、私を憎むのですか」

「それは誤解ですよ」

「誤解していたのは私ではなくあなたなのでは・・・」

「わーっ、わーっ・・・なんなんだよ。わあわあ、やれセクハラだパワハラだ・・・わあわあ傷ついた傷つけられた・・・お前たちはどんだけ傷つけられ世代なんだよ」

「何の話ですか」

颯爽と現れた眼帯姿のホワイトちゃんだった。

「お前・・・欠勤するんじゃなかったのか」

「私もお話があるんです」

「何だよ」

「私、眼科に行かなければならないんです」

眼帯の下の腫れあがった眼窩。

「池辺さんに殴られました・・・これも傷つけられたことにならないんですか」

「転んだんだろう」と土田。

「俺のことをいやらしい目で見てたから」と池辺。

「お前は黙れ」と土田。

「恋愛体質だものね」と窓際ハゲの西脇(田山涼成)・・・。

「いくらケーキが好きだからってまずいケーキが好きなわけないじゃないですか・・・好きな男は好きですけど嫌いな男は嫌いですよ・・・当然」

「とにかく・・・奥で話そう」

「こわ~い」

「くそ・・・星野」

「なんですか」

「お金を受け取りましたか」

「なんだ・・・金のことすか・・・ありますよ・・・最初から一人占めする気なんかなかったし・・・」

「伝言があります・・・プラマイ・ゼロだそうです。別れる時に涙が出るのは出会った時に笑顔になれたから・・・ありがとう・・・楽しかった・・・嬉しかった・・・好きでした・・・さようなら」

「ポエムか」

「誤解ですよ・・・私は仲良く仕事がしたかっただけです」とたま子。

「憎いんですよ。仕事ができる女を男は憎むことしかできないのです」とホワイトちゃんはレッドと化すのだった。

社員寮で・・・ブラックちゃんとレッドちゃんは合流する。

「一緒にアイス食べる?」

ピンクとグリーンのアイスクリームを差し出すレッドちゃん。

ブラックちゃんはピンクを選択するのだった。

微笑み合う二人のセーラー・ジュピターだった。稲妻パワーが炸裂し、東京大停電の発生である。

「ネズミが電線かじったのね」とハイジ。

停電時の対応ができない傲慢なシェフのビストロ。

「ビストロ・フー」は臨機応変である。

客が流出するのを察知したレッドちゃんは・・・客を「ビストロ・フー」に誘導するのだった。

「責任とって手伝って・・・」とたま子は真っ赤なスカーフをレッドちゃんに渡すのだった。

「ビストロ・フー」は強力なウエイトレスを手に入れた。

ついに集いし七人の戦士たち・・・。

オーナー・たま子。

シェフちゃん。

副シェフの三千院。

パティシェ・ハイジ。

ソムリエ・烏森。

皿洗い・喪服ちゃん。

そして、きらきらウエイトレスである。

ここで・・・傲慢なシェフの残念タイムである。

「弟が夜のお菓子を土産に買えっていうからさ」

「今日は休みだったのかと思いました」とたま子。

「休めないよ・・・シェフは俺一人だ」

「・・・」

「今度・・・海に行こう」

「今日、そちらの店に伺ったんですよ」

「ああ・・・なんかもめてたな」

「それを知ってて・・・出てきてくれなかったんですか」

「なんで・・・俺とは関係ないだろう」

「関係・・・ない」

「星野と新田とか、池辺と川奈とか、お前と土田とかの揉め事だろう」

「ポエム入ります」

傘立てにね・・・ビニール傘が並んでるの

最初に傘泥棒が来てそのうちの1本を盗んで帰っていくの

その後別の人が来て傘を差して帰っていくの

でもそれはその人の傘じゃない

その人の傘は盗まれた後だから

その次の人も気付かずに別の傘を差して帰る

その次の人もその次の人も別の傘を差して帰る

そうして最後の人はもう1本も 傘が残ってないの

傘を持ってきたのに雨にぬれて家に帰るの

私・・・思うの

2番目3番目に来た人たちはわざとじゃないけど

でもやっぱり傘泥棒だと思う

責任があるとは言わない

謝れとは言わない

でもその傘がホントに自分のものかどうか確認すべきだったと思う

濡れて帰った人のことを想像すべきだったと思う

「自転車泥棒って言う映画があってさ・・・自転車を盗まれた男が自転車を盗もうとして失敗してひどい目に遭うんだ・・・それが人生なんじゃないのか・・・それでも馬鹿を見る正直者になれってか」

「自転車を盗まれても自転車を盗まない人間だけが傘泥棒にならないのよ」

「とにかく・・・言いたいことは世界観戦争をしているってことなんだろう・・・人のこと心配しないの俺は・・・お前のことを好きでも敵なのか」

「味方なんて一人もいないのよ」

「もっとシンプルでいいじゃないか。俺とお前以外はその他ってことで」

「私はもう・・・誰の自転車も盗みたくないの・・・だって私の大切な友達は・・・自転車盗まれちゃったんだもん・・・」

「ちぇ・・・面倒くさい女だな」

神は孤独な人間に盗まれるための自転車を与えたのだ。

すべての面倒はそこから生まれたのである。

だから戦争なんてなくなればいいのにと言ってもなくならないのだ。

きらきらちゃんは寿退社で池辺は事件もみ消しのために熊本もしくは大分に左遷である。

熊本県民、大分県民涙目だな。

そして、最強の若手女優トリオは買い出しに出かけた。

ここからは今年度屈指の美しいシークエンスと言えるだろう。

最初から仲の良い幼馴染だったように集うシェフちゃん、喪服ちゃん、きらきらちゃん。

「何聞いてるの・・・」

「シューベルトのピアノソナタ第21番変ロ長調D960」

「シューベルトは死にかけていたのよね」

「何も食べれなかったのよね」

「小さい頃、少し習ってた」

「私も」

「私も」

三人はお嬢様だったのだ。

外苑で三人はシューベルトを聞いた。

イヤホンは二つ。

余ったシェフちゃんは・・・死線を乗り越えた二人に聴こえない声で囁く。

「生きていて・・・よかったね・・・生きようね」と。

ソムリエは正体をたま子に明かす。

「ちょっと待って・・・牛乳を口に含むから」

「マジ歌選手権か」

「弁護士って・・・マジですか」

「昔ね・・・依頼人の恥ずかしい事件を担当して・・・依頼人に恥だけかかせて敗訴したのよ・・・そして私はバッチを外したの・・・でも・・・もう一度・・・十年ぶりに・・・弁護士に戻ることにしたの・・・あの子たちを好きになったから」

「・・・」

「レストランは楽しい場所・・・裁判所は悲しい場所よ・・・あなたは人を楽しませて・・・怒るのは私にまかせて・・・」

「・・・」

「雨木太郎の罪を明らかにし罰を受けてもらうわ・・・藤村五月さんを紹介してください」

「・・・はい」

涙のとまらないたま子。

そうなのだ・・・本当は・・・法的に制裁してもらいたかったのだ。

罪を犯したものに謝罪してもらいたかったのだ。

ただそれだけだったのだ。

そして、物語は第三楽章へ。

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2015年2月19日 (木)

父はマッサン母はエリー私は15歳!(優希美青)とにかくぶっとばす!(黒島結菜)

さて・・・物語の方は鴨啼く鱶も啼く淡々と進行していくだけのドラマだが・・・。

それは面白くないんじゃ・・・。

まあ・・・そういうタイプの脚本家なんだよな。

そもそも日本語の不自由な人がヒロインという無理のある話なのである。

それはそれとして・・・キャスティングはそそるよね。

序盤のマッサンの妹が早見あかり、社主の決めた許嫁が相武紗季だ。

理容師の妻が酒井若菜である。なんでモー子が温水洋一の妻なんだ。

そして・・・現在のエマ(優希美青)は25歳になるとかしこさん(木南晴夏)になるという・・・。

つまらないのにチェックしないではいられないという・・・。

このキャストに対抗できるのは「ひかりTV」の「24時間女優 -待つ女-」のゲスト女優くらいじゃないのか。

なんじゃそりゃ・・・。

第一回・夏帆、第二回・波瑠、第三回・北乃きい、第四回・逢沢りな、第五回・夏菜、第六回・有村架純、第七回・橋本奈々未、第八回・橋本愛・・・。

そそるなっ!

まあ・・・内容はそこそこなんだけどね。

で、『マッサン・第1回~』(NHK総合20140929AM8~)脚本・羽原大介、演出・尾崎裕和(他)を見た。造り酒屋の早苗(泉ピン子)の息子のマッサン(玉山鉄二)は「ウイスキーが作りたい」と英国に留学し、スコットランドでエリー(シャーロット・ケイト・フォックス)と結婚し帰国。とあるウイスキーをモデルにした実話風でとにかくウイスキーを作りまくるのだった。エリーが不妊だったために養女エマを迎えて家庭を営むマッサン。しかし、太平洋戦争が勃発、マッサンは戦時需要の高まったウイスキーの増産に励むのだった。大日本帝国万歳である。しかし・・・米英が敵国となった今、英国女性を妻とするマッサンは非国民寸前なのである。

まあ・・・今なら、イスラム教徒の日本人妻がシリア在住だったりしたら大変だなという話である。

あるいは半島在住の日本人妻とか、大陸在住の日本人妻とか・・・。

時代は国際化の時代じゃないか。

国家あっての国際だけどな。

地球連邦が成立してもスペースコロニーと戦争するしな。

母親が英国人女性であるために・・・女学校で迫害されるエマだった。

母親がユダヤ人でドイツならアウシュビッツに・・・。

もう・・・やめとけ。

子供の立場で言うと国際結婚なんて親の勝手だよな。

しかし、四年辛抱すれば立場逆転するんだぜ。

とにかく・・・そんなこんなで心労するエマお嬢様の元に・・・夫が戦死した女(堀内敬子)の娘・デコこと中村秀子(黒島結菜)が現れる。ウイスキー工場の女工でエマとはたちまち仲良くなるのだった。

さすがは生徒会長である。

ちなみに担任教師の父・森野熊虎(風間杜夫)も転生しています。

デコはエマが「鬼畜(米英)の娘」と後ろ指を指されていることを知ると・・・。

「そんな奴はぶっとばす」と宣言するのだった。

「暴力は・・・だめよ」とエマが宥めると・・・。

「やるときはやらないと・・・自分の身は守れねえ」なのである。

さすがは生徒会長である。

非国民に石を投げる愚民どもを生徒会長が皆殺し・・・そういう展開はないことだけは断言しておきたい。

「何故、人を殺してはいけないのか」という設問には杉下右京も及第点をもらえないのだった。

今週は堂本兄弟と橋本愛がトマト鍋を作ったり、嵐と二階堂ふみがトランポリンしたりいろいろ楽しかったなあ。「花嫁のれん」には悪夢ちゃんも出ていたな。

まあ・・・その程度には朝ドラマも楽しいということなんだな。

ここで今季・・・2015年冬ドラマのレビューについて雑感を述べておきたい。

(水)の谷間は別として・・・実は傾向があるわけである。

(月)は高等遊民と国民の下僕たる公務員という不思議な組み合わせで綴られているが実はオーソドックスな恋愛物語である。

(火)はいろいろと盛り込みすぎて座礁しかかっているが医師と看護婦の恋愛物語と言えないこともない。

(木)は男尊女卑というこの世の常態を皮肉っているものの結局は男たちと女たちの恋愛物語なのである。

(金)は明らかに恋愛物語である。

(土)は女子高校生と車椅子の怪人の恋愛物語なのだ。

(日)は幕末の女と志士達の恋愛物語である。

つまり・・・すべてラブロマンスなんだな。

これに加えて・・・様々な「意識革命」が絡められている。

恋愛が男と女のラブゲームである以上、それは世界観戦争の一種である。

(月)は専業主婦の存在しない世界で・・・無職の男が恋をする話である。(火)は失敗しているが新時代の職場恋愛。(木)は男と女が自由と平等を求めてどこで妥協するべきかを歌っている。ちなみに・・・(水)は結婚と恋愛の関係についてVSしていたりするのである。(金)は未来永劫変わらない欲望というものについて突き詰める気満々だ。(土)は分かち合うべきか奪うべきかというピュアな男女関係を探っている。(日)は結果が見えている恋愛をどう楽しむかという話である。

どうしたんだ・・・みんな・・・やはり・・・恋愛を避けては通れないのか。

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2015年2月18日 (水)

たこやきあ~んしてあげますよ(堀北真希)ステーキいただきます(志田未来)

地獄の(火)10で最悪のチャンネル枠である。同枠前番組の「女はそれを許さない」が平均視聴率*6.2%だ。

しかし、堀北真希、志田未来、柳楽優弥を揃えて

*7.9%↘*7.8%↘*5.7%↘*5.1%↗*5.4%

は流石に厳しいな。

初回が前ドラマ最終回より2ポイント以上あげているので・・・その後で3ポイントダウンしているのは番組内容がお茶の間の期待を裏切っているということになる。

今回、看護師長に副師長が反逆するシーンで明るい曲調のBGMがつくのだが・・・そういう流れでいいのかと疑問に思う。

子を持つ看護師がプライベートの事情と職務に板挟みになるという展開である。

普通のドラマなら・・・「子供が熱を出した時の母親の心情」に寄り添うのは何の問題もないが・・・ここはセレブ御用達の上流病院なのである。当然、従業員の福祉も上流が前提でないとな。

育児する母親である職業人をバックアップする体制抜きでは上流病院は成立しないのである。

厳格過ぎて管理能力を問われるリーダーという話なら普通の病院でよかったのだなあ。

そういう全体をまとめるリーダーシップがこのドラマが欠けていると脚本家はなんとなく言いたいのか。

プロデューサー、お前か。

で、『まっしろ・第6回』(TBSテレビ20150217PM10~)脚本・井上由美子、演出・東仲恵吾を見た。ついに演出が新人デビューの人である。もう・・・しょうがない感じだが・・・困惑の折り返し地点をなんとか乗り切ったな。「上流病院」「大奥的女の職場」「まっしろなヒロインの青春」「医療現場の群像劇」欲張りすぎたこのドラマの・・・ヒロインの人間性はなんとか描き切った。良い人過ぎず腹黒過ぎずちょうどいい感じのヒロインである。そういう感じで良かったんだよなあ・・・。まあ・・・クズ過ぎる患者・麗(松山メアリ)、クズ過ぎる患者の家族・誠吾(細田善彦)、そしてクズすぎる看護師・さくら(MEGUMI)もナイス・アシストだったけどな。

勤務のストレスから精神を病んでいるさくらはナースセンターから抗不安剤を盗みだし常用しているという異常者であり一種の薬物依存症患者なのだが・・・事が発覚しそうになるとすべては厳しすぎる看護師長(木村多江)に問題があると責任を転嫁しようとする。

看護師の技術向上に特化したオペナースの岩渕(水野美紀)は看護師長に締め付けを緩めるように進言するのだが・・・そもそも・・・犯罪者であるさくらの罪を看過しようとする姿勢が一種の身内贔屓であり・・・危ういのである。

まず・・・警察に通報しろよと誰もが思うのだった。

しかし・・・ここは・・・法治国家ではなく・・・薬事法に違反した看護師がそのまま何事もなく勤務に就くという緩いファンタジー空間なのだった。

さくらは盗人猛々しく「全部、悪いのは看護師長です」と主張するのであった。

さらに・・・岩渕を看護師長に推奨するさくら・・・何様なんだ。

だが・・・正体不明のセンター長(石黒賢)は明らかに妙である平坦なトーンを崩さない。

「なかなかに・・・興味深い時間だった・・・新任看護師はどう思うのかな。看護師は看護に徹するべきなのか・・・それとも限りなくドクターに近付くために技能を磨くべきなのか」

「わかりません」と答えるしかない朱里(堀北真希)だった。

「じゃ・・・宿題ね」

センター長は人事についても保留にする。まずはさくらを解雇して警察に通報だろう。それからマス・メディア対策だ。そうでない場合は黒服の男たちが登場してさくらを闇の世界に連行していくか・・・。

とにかく・・・おかしいよ。

しかし・・・おかしな展開はさらに続くのだった。

朱里の元の交際相手である誠吾が病院の正面ゲートで待ち伏せである。

守衛は不審者として警察に通報するべきだろう。

あるいは黒服の男たちが・・・もういいか。

二股交際をした揚句、朱里を捨て、麗と結婚した男である。

しかし、妻が妊娠中に病気になり、一般病院では胎児が助からないと言われ、上流病院である東王病院に勤務している朱里を頼って来たのだった。

「無理よ・・・入院するためには上流社会の紹介状が必要なの。入院に対しての寄付金がいくらだか知ってるの」

ここで金額を明示しないのがドラマとしてダメなんだな。

おそらく・・・初診料一千万円~じゃないのか。

「従業員割引でなんとかしてくれ」

「できるか」

しかし・・・車の中で急変する麗の病状。

居合わせた菜々(志田未来)と木綿子(高梨臨)は朱里の心情は無視して患者を緊急入院させるのだった。

ダメなドラマだからな。

とりあえず初診してしまう孝太郎(柳楽優弥)である。

「母子ともに危険な状態です・・・とりあえず・・・朱里ちゃんの知り合いなのでセンター長に掛け合ってみます」

「私とは無関係です」

「知り合いなんだろう」

「保証書に印鑑は押しませんから」

「支払い能力に問題のある患者なのか」

「初診料も払えませんよ」

「うわあ・・・底辺の人たちなのか」

しかし・・・病状を聞いたセンター長は患者受け入れを承諾するのだった。

「よろしいのですか」

「この症状の患者は珍しい・・・久しぶりにオペしてみたくなった」

「ああ・・・トレーニングということですか」

「お客様のために腕を鈍らせるわけにはいかないからね」

こうして・・・本当は入院できない身分の麗は手術も受けられることになったのだった。

本来、この病院に勤務する医者は基本的に全員ブラックジャックなみの特殊技能者なのである。

ただ・・・サービスがいいだけでは上流とはいえないからな。

ここは高級ホテルではなく高級病院なのだから。

一方、長期滞在のお客様患者である大江様(眞島秀和)は検査結果を待つ間・・・珍しく院内を散策する。

朱里は声をかけられるのだった。

「死刑宣告を待つ気分だよ」

「大江様はきっと大丈夫ですよ」

「看護師の大丈夫は信用できない」

大江様に執着する木綿子は二人を発見して割り込むのだった。

「大江様・・・採血の時間ですよ」

「また・・・採るの・・・検査の結果待ちなのに・・・吸血鬼なの」

木綿子には不倫中の東都大学の医師・裃一郎(山口馬木也)がいるわけであり・・・恋多き女と言えば聞こえはいいが無節操であるし・・・それだけ出演時間を割けないだろう。

まるで時間無制限のような盛り込み方なんだな。

一方、センター長のスパイとして看護師の動向を探っていた菜々は謝礼のはした金(二十万円前後)を受け取り、テンダーロインステーキを御馳走になるのだった。

菜々は麗の病状が・・・とある人物の病状に似ていることに気が付き・・・センター長が同じ病状の手術をした過去があることに・・・なんらかの反応を示す。

センター長は母親の仇なのか・・・「小公女セイラ」の刺でも始めるのか。

だから・・・盛り込み過ぎなんだよ。

さらに・・・サブリーダー保坂(西尾まり)の回として・・・麗担当を命じられた保坂の娘が保育園で発熱展開である。

早退を求めた保坂に「発熱した娘さんのことは公私の私・・・お客様を優先すべきです」と許可を与えない看護師長。

ここで・・・リーダー川本(竹内都子)が命令系統を無視して保坂の早退を認めるという謀反が発生する。

「助けあうのが職場じゃないですか」

「そういうことは普通の病院でおやりください」なのだった。

これで・・・看護師長が降格されたら・・・企画が根底からアホだったことになるよな。

っていうか・・・さくらが解雇されないのは完全にタレント行政問題だろう・・・。

腹腔内に腫瘍細胞が散在している麗は放射線治療や抗がん剤治療を併用することになり胎児は絶望的状況と思えるが・・・突然なんとなくブラックジャック化したセンター長は100%成功しない手術をなんとなく成功させるのだ。

その前にだだをこね始める麗。

「なんで私なの・・・幸せになりたいだけなのに」

「他人を不幸にした罰でしょ」と言いたいのを堪えて「赤ちゃんは生きようと必死になってるの・・・お母さんが必死にならないでどうするの・・・」

「私も赤ちゃんも死ねばいいってこと」

「馬鹿にしないで・・・まっしろな制服を着ている看護師は・・・患者が無事であることしか考えないの・・・そういう生き物なのよ」

「すげえ」

とにかく・・・ありえない感じでなんとなく手術は成功する。

「リベンジできたな」と平坦なトーンで意味深な発言をするセンター長。

ギラッと光る菜々の瞳。

すると・・・突然、朱里に絡み始めるクズ男だった。

「見せてやるよ・・・最高のクズがどんなものかを」なのか。

「俺ができちゃった結婚したと思ったら大間違いだぜ。お前より麗の方がいい女だから麗を選んだんだ。だってお前より麗の方がずっと俺のこと本気で愛してくれたもん」

「ひでぶ」

立ち聞きしていた孝太郎は颯爽とひとこけしてから割って入るのだった。

「朱里ちゃんと別れてくれてありがとうございました。おかげでこの病院は最高の看護師を一人手に入れることができたのですから」

「・・・」

思わずたこやきを孝太郎に買ってあげる朱里だった。

「あっちち・・・」

一本の楊枝で間接キスである。

「私のこと・・・褒めてくれたお礼」

「答えは出たのかい」

「私は看護師として精一杯看護をすることにしたの」

「じゃ・・・俺にもあなたは大丈夫って励ましてくれ」

「だめよ・・・あなたは患者じゃないもん」

激しく腕をクロスして×を作る朱里。

かわいいよ、朱里かわいいよなのである。

これだ。これでいいのだ。

「ちぇ・・・俺だっていろいろ悩んでいるのに・・・」

「しょうがないなあ・・・だ・い・じょ・う・ぶ」

朱里の尋常でない可愛さに思わずハグをする孝太郎だった。

「えええ」

ナイチンゲールのご褒美らしい。

ちなみに・・・クズ男とその妻は費用回収のために黒服の男に連れ去られるのは言うまでもない。

本当は告知したかったドクターを差し置き大江様の希望で告知権を与えられた看護師長。

「小説では死を受け止められた男をハードボイルドに書いたけどさ・・・俺は・・・死ぬのがこわいのです」

「大丈夫ですよ・・・大江様は完治しますから」

ステージⅢAでギリギリですけどね。

大体・・・ドクターは手術前に統計的なことは必ず言いますよね。

「ええ・・・脳腫瘍ですが・・・切除して千人に一人くらい後遺症が出る場合があります。それから切除に失敗するのは一万人に一人くらい。まあ・・・結局、成功するか失敗するかふたつにひとつです。クオリティー・オブ・ライフを考えるとしないのも選択肢の一つとしてあります・・・その場合の五年後生存率は統計的に三割程度ですが・・・どうなさいますか」みたいな・・・。

そこで・・・選択できるのが大人の患者というものなんだな。なんだなんだな。

さて・・・人事はどうなるんだ。まあ・・・主人公の運命とは関係ないからどうでもいいけどね。

関係あったら・・・本当にだめなドラマと言える。

看護師長を解任してもいいけど・・・それは管理責任を問われたからで・・・さくらの解雇だけは譲れない一線だもの。そうなれば犯罪を秘匿していた朱里も連座するのか・・・。

しかし・・・もはや上流病院のコンセプトは崩壊確実なんだな。

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2015年2月17日 (火)

踊っている君の方が好きだ(長谷川博己)・・・待って(杏)

夢の実写版だったな。

最後まで行かないところがミソなんだよな。

夢は夢のままで・・・が基本だからな。

ところで・・・(兄妹)の件なんだが・・・なんか仕掛けが隠されているような気がして仕方ない。

妄想膨らむよねえ。

まず・・・(兄)と(妹)が似てないので血がつながってない気がする。

どちらかが養子か養女なんじゃないのか。

義兄妹でも似たものヤンキー兄妹なことは問題ないんだよな。

ずっと一緒に暮らしてきたわけだから。

一時期離れたけどな。

で・・・(兄)が結婚しているが(嫁)の気配がないんだよな。

そして(兄妹)は夫婦のように一緒にいるんだ。

巧が(兄は手近な相手と結婚)っていってるよな。

(妹)は巧が初恋の相手なんだよな。

そのあたりのことに(兄)は鬱屈した思いを抱いているニュアンスがある。

つまり・・・昔の(兄妹)は今は(夫婦)なんじゃないのか。

じゃ・・・今・・・(妹)嫁は・・・浮気しているのかっ。

それを(兄)夫がけしかけてるのか。

変態かっ。

ま、あくまで妄想ですけどね。

新婚妻(プライベート)が略奪したりされたりしているわけだしねえ・・・。

おいっ・・・中の人などいないぞ。

で、『デート〜とはどんなものかしら〜・第5回』(フジテレビ20150216PM9~)脚本・古沢良太、演出・武内英樹を見た。「サイボーグ009/石ノ森章太郎」の連載が開始されたのは昭和三十九年(1964年)である。昭和五十五年(1980年)に生まれた(35)の谷口巧にはマッチしないのではないか・・・と考えるのは高等遊民でない証である。太宰に遡れる以上、真の傑作にはまることは何の問題もないのである。もちろん、1980年にはアニメの第2シリーズがあるし、2001年にはアニメの第3シリーズがあり、入口はどこにでもある。そもそもルーツに遡上しない人間なんてクソだ。・・・おタク的にはな。

2014年12月26日(金)

ついこの間のことなのに・・・振り返れば遠い昔のようだ。世の中の多くの人がシリア・イラク国境で何が起きているのか・・・ほとんど関心がなかったんだなあ。年末の留美(風吹ジュン)の美術教室には子供たちが美を学んでいる。そこへ「カウントダウンパーティー」のお知らせを持って島田兄妹がやってくる。

佳織(国仲涼子)はパーティーの主催者から手伝いを頼まれたらしい。普段は港湾で働いているような主催者(寺島進)である。

「参加条件はコスチューム・プレイをすること。横浜は日本のマンハッタンということでニュー・イヤー・キスのイベントもあるのよ。ラブ&ピース的に・・・彼女を誘ってみたら」

宗太郎(松尾諭)は「チャンスじゃないか・・・ついでにラブホに連れ込んで初日の出を見ればいい」と唆す。

「まだ・・・そういう時期じゃない」

「もう最初の出会いから一ヶ月じゃないか・・・やるには充分の時期だよ」

「婚前交渉なんて・・・彼女が応じるはずないだろう・・・」と急にフーテンの寅さんになる谷口巧(長谷川博己)である。

子供たち「コンゼンコーショーって何?」

「彼女の貞操観念がそんなこと許すわけないだろう」

子供たち「テーソーカンネンって何?」

「汚らわしいねえ・・・嘆かわしい・・・世も末だねえ」

捨てゼリフを残して奥の間へ消える寅さん。

子供たち「童貞かっ?」

その頃・・・藪下依子(杏)が出向している横浜研究所は忘年会中だった。

同僚の「恋愛談義」に耳をすまし情報を収集する003だった。

フランソワーズ・アルヌールは四キロメートル四方の索敵ができる聴覚を持つサイボーグなのだ。

「五回目のデートでキスをしてお互いの性癖を確認し合うのがトレンディー」と認識した依子は目標に向かって努力を開始するのだった。恐ろしいことである。

亡き母の擬似人格・小夜子(和久井映見)は「四回もデートしているのにキスもしてないなんてあなたの性的魅力に問題があるんじゃないの」と嘲笑する。

「あなたとお父さんはどうだったの」

しかし・・・依子が知らないことには答えられない小夜子だった。

幻覚だからな。

同時性多重人格なので顔面ストレッチをする依子と年賀状のあて名書きをする小夜子は・・・分裂されて意識されるが意識下では統合されているのである。

客観的に見れば依子は年賀状を書きながら顔面ストレッチをしていたのである。

2014年12月27日(土)

大掃除中の実家の父・俊雄(松重豊)を訪ねリサーチする依子だった。

「お父さんはお母さんといつキスしたのかしら」

「そんなの忘れたよ」

依子は小夜子の遺影を振りかざす・・・。

「お母さんのことを忘れたとおっしゃるの」

「五回目のデートです」

「性交渉はいつかしら」

「え」

「お母さんのことを」

「その日です」

「キスから性交渉まで一気に・・・」

「父さんがグズグズしていたので・・・母さんが・・・」

「奥手の男性を相手にする時は積極的になるしかないのよ」と小夜子が囁く。

情報が保管され、より強固となった小夜子コンプレックスだった。

「お父さんは真面目なのよ」

「いいえ・・・性交渉は男に責任を生じさせるという社会的慣習があるの」

「責任」

「私は五回目で責任というハードルをお父さんに乗り越えさせたのよ」

「私も次が五回目よ」

「あなたにできるかしら」

「スタイルには自信があるわ」

「スタイルと性的魅力は無関係よ」

「じゃあ・・・何が」

「あはん」

「私にだってできる」

五回目で一気に・・・目標を確定させた依子だった。

2014年12月28日(日)

依子は巧に計画を通達した。

「確認事項ですが私たちはお付き合いしているんですよね」

「はい」

「結婚の意志がおありなんですよね」

「はい」

「それではそろそろ重要な点についてお互いをチェックする必要があります」

「は」

「お察し・・・くださいますね」

「はあ」

「その時が来たので実地要項についてはすべてこちらが手配いたします明日決行ということでよろしいですね特に予定はありませんね身一つで来ていただければ結構ですただし帰宅は翌日になるという覚悟だけはお願いします」

「・・・はっ」

巧は察した。

「やばい・・・」

困った時の島田工務店だった。

「だめダベ、女に言わせちゃ・・・」と(妹)・・・。

「良かったじゃねえか」と(兄)・・・。

「でも・・・」

「お前・・・DTか」

「そりゃ、DTダべ」

「いや・・・その高校生の時に似たようなことは」

「やったのか」

「やったも同然のところまではいったけど」

「結局、DTだべ」

「D大事にT取っておいたんだよ・・・お前みたいに手近ですませられないし」

(兄)はちょっと顔色を変えるのだった。

「でも巧くんの理想ってヘプバーンと原節子と峰不二子と浅倉南なんでしよ」

「朝倉南は違う・・・朝倉南は恐ろしい魔性の女だ」

「長澤まさみのレオタード見たかったべ」

「とにかく・・・理想の女は俺には手が届かないとわかったから彼女と付き合うことにしたんだ」

「DTとSJか」

「彼女がSJとは・・・まあ・・・S仕方なくJ純潔だろうな・・・SJか」

巧にのしかかる「責任」の重圧・・・はあまりないようだった。

高等遊民だからな。

処女のサイボーグはデートプランを立案するとプール付のラブホテルに業務連絡するのだった。

「何故ホテルなのに予約できないのです」

「ラブホなので」

いきなり挫折した依子だったが決行場所を自宅に切り替えることで準備を進める。

巧のために男性用シャンプー、歯ブラシ、パジャマ、まむしドリンクなどを購入し、自分のために勝負下着を「ひとつ」求めるのだった。

健気だ・・・。

有能さとセクシーさは必ずも一致しないのが残念である。

しかし、確実にかわいいよ、依子かわいいよである。

まあ・・・勝負下着より普通の下着の方がセクシーだったりするけどな。

誰がお前の個人的趣味を言えと。

一方、(兄)は本番前の本番を推奨するのだった。

「いきなりはアレだからな」

「プロはいやだ」

「俺の飲み友達だ・・・話を聞いて一肌脱いでくれるんだ」

「どんだけ顔広いんだよ」

「美人じゃないが巨乳だぜ」

そこへ豆腐屋の女将がやってくる。

「嫌だ・・・豆腐屋のおじさんが可哀想だ」

「おい・・・違う・・・この人じゃない」

通りすがりの豆腐屋の女将だった。

しかし、巧は逃走していた。

母一人子一人の夜。

「いきなり本番だけどがんばるよ」

「何の話」

「みみずだっておけらだってみんなやってるんだ」

「やってる?」

「てのひらをたいようにすかしてみれば」

「いずみたくもやなせたかしも故人なのねえ」

「みんな死んでいる・・・」

一方、誤解で合鍵を入手した鷲尾(中島裕翔)は確認の電話を依子に。

たまたまお歳暮で電動歯ブラシを鷲尾に発送していた依子。

すれ違う二人の会話。

「これ・・・もらっていいんですか」

「もちろんです」

「本当に使っていいんですか」

「毎日使ってください」

「毎日・・・」

「今日からでも」

「今日はあれなんで明日」

「はい・・・どうぞお使いください」

2014年12月29日(月)

18時00分。すっぽん料理店に現地集合する二人。

あひる口&上目使いですっぽんの生き血をすすり、なまなましくすっぽんのコースを巧に与える依子だった。

もうお笑いとホラーが混然一体の境地である。

その頃・・・鷲尾は依子の部屋へ・・・。

まむしドリンクや夜のお菓子うなぎパイのセッテイングにドキドキである。

イエスノー枕はイエスイエスなのだ。

だが・・・帰宅した依子が巧と一緒だったことに驚き、クローゼットに隠れる鷲尾だった。

そして・・・積極的に巧に迫る依子とひきまくる巧の姿を覗き見るのだった。

「ABCはご存じですねAからBそしてCと今夜すべてを実行しますまずはAをしましょう」

「まだ気持ちの準備が」

「私は性欲があります」

「あるんですか」

「性欲は強い方かもしれません」

「強いんですか」

「お風呂を用意します」

淡々と手順をすすめているように見える依子だが・・・実は極度の緊張でストレスは高まっているのだ。

そのために風呂場で一人きりになると多重人格を発症する。

しかし、その不気味な独り言が巧に強烈なダメージを与えるのだ。

人間って哀しい・・・しかし笑わずにはいられない。

消極的な巧を母が父にしたように積極的に求めようとする依子。

しかし、すべては裏目に・・・。

壁ドンも虚しく響く。

「あの時・・・キスしようとしたではないですか」

「あの時は・・・お互いをよく知らなかったから・・・でも今は中途半端に知ってしまったから」

「どうしてできないのです・・・準備万端整ってるのに」

「人間ドッグに来てるんじゃないんだ・・・君は人の気持ちがわからないんだ!」

「・・・」

例によって人としての未熟をさらけ出す巧。

もちろん・・・すぐに気が咎めるのである。

「あ・・・ごめん・・・泣いてるのか」

「泣いてません」

「じゃ・・・誰が・・・」

クローゼットから泣きながら飛び出す鷲尾だった。

「うわあ」

「何故だ・・・何故なんだ・・・何故、依子さんにキスしてあげない・・・人の気持ちがわからないのはお前じゃないか」

二週連続鉄拳制裁を受ける巧だった。

昔の人は言いました。据え膳食わぬは男の恥と。

「なぜ・・・家宅不法侵入者が・・・正論を・・・」

こういうことなのか・・・。

鷲尾は去り二人になった巧と依子。

とりかえしのつかないことをしてしまったムードが漂う。

「お帰り下さい」

「・・・帰ります」

依子は巧のために用意したすべての品を一人侘しく処理するのだった。

巧は帰宅し・・・引き籠り・・・自己嫌悪するのだった。

DTとSJだからしょうがないべ。

十代ならねえ。自然になんとかなるのにねえ。

2014年12月30日(火)

鷲尾は依子に謝罪し、誤解だったことを知る。

そして・・・巧にも謝罪しようとするが面会謝絶だった。

そこで島田兄妹と遭遇。

思わずウインク的熱帯魚と化す(兄妹ハローウェーイ)だった。

前夜の阿鼻叫喚を知った二人。

(兄)は鷲尾に共感し励ます。

「もう・・・巧から彼女を奪っちゃえ」

「それはできません」

「なんでよ」

「僕は彼女を愛しているから」

「愛されるものなら愛されたいよね」と(妹)・・・。

「愛しているならふりむかせろよ」と(兄)・・・。

「どっちの味方してんのよ」

「愛は神聖なものだ・・・フェアにいきたいんだよ・・・それがロックだろ」

ここで・・・ついに実は巧がずっと好きだった(妹)のスイッチが入ったらしい。

引き籠りの部屋の前に立つ妹。

「やっぱり・・・パーティーにおいでよ。もし・・・彼女がきてくれなかったらさ・・・巧くんが嫌でなかったら」

私が・・・と言おうとした(妹)なのか。

しかし・・・巧は復活していた。

「巧君が一番萌える衣装を彼女に着てもらうっていうのはどうよ?」

「・・・」

「何がもえる?・・・セイラ?・・・ メーテル?」

「もしも・・・島村ジョーになれるなら・・・そして彼女がフランソワになるのなら・・・キスできるような気がする」

フィギュアを熱い眼差しで見つめる高等遊民・・・結構なお小遣いの浪費である。

「サイボーグ009と003か・・・」

そりゃ・・・萌えるな。

「石ノ森章太郎こそ本当の天才だから」

「・・・」

「だけどコスチューム売ってるのか」

しかし・・・息子に甘すぎる母登場である。

「あれくらいだったら一晩で作れるわよ」

やはり最後に頼るものは母の愛・・・。

留美・・・商売できるクオリテイーである。

「何か悪いね。さすがに恥ずかしいよ。 この年になって・・・お母さんにサイボーグ009の衣装を作ってもらってるなんて」

「こんなの どうってことないわよ。息子がいい年してニートで引きこもりなんてそっちの方がよっぽど恥ずかしいわよ。 おまけにDTなんてね」

「・・・」

母の愛と嘆きである。

2014年12月31日(水)

「すげえ・・・」

このまま実写化したい出来栄えだった。

そして・・・もはや、毎回最終回レベルの展開である。

巧は依子を訪ねるが・・・依子は父と大晦日を過ごすために実家に戻っていた。

仕方なく、巧は玄関に衣装を包んだ風呂敷包みを置き・・・依子に電話をかける。

しかし・・・留守電だった。

「あの・・・もう一度あってくれませんか・・・あって話をして・・・あなたにあやま」

依子の録音設定は短めだった。

依子は実家で父のためにおせちを作り、年越しそばを打つのだった。

「お父さん・・・私・・・ずっとお父さんと年を越すことになるかもしれない」

「いいさ・・・お前と年を越せたら・・・お父さん・・・うれしいよ」

紅白歌合戦である。

「母さんの好きな五木ひろしが出るぞ」

しかし・・・漸く携帯電話を忘れたことに気付く依子だった。

ヒロインが端末を忘れるのが流行の気配である。

年越しメッセージをメールする習慣を破れない依子は官舎に帰還するのだった。

日本のマンハッタンではラムやハルヒが舞い踊っていた。

しかし・・・009のパートナーは現れない。

(妹)は峰不二子風キャットウーマン・コスで巧を見守るのだった。

かわいいよ(妹)かわいいよである。

帰宅した依子は巧のメッセージを聞く。

「あなたを傷つけてすみませんでした。あなたに会えてよかった。十三年ぶりに街に出たり、思い出に残る一年になりました。あなたのおかけで最高の一年になったと思います。もしもあなたがきてくれたらあまちゃんのミズタクよりもきっと・・・今ならき・・・留守電短い」

カウントダウンは迫る。

ラムに誘惑される巧。

「僕は・・・誰でもいいなんて・・・嫌なのです・・・ラムにはあたるがいるし」

一部お茶の間の胸は躍る・・・マフラーをなびかせて003がバイクを飛ばしているからである。

新年がやってくる。

日本のマンハッタンの夜空に花火が散る。

そして・・・あまりにも完成度の高い眼鏡っ子のフランソワがやってきた。

ジュデイ・オングを越えたね。・・・一部限定すぎるだろう。

「遅くなりました・・・003には加速装置がないので」

「キスは重く難しいものですが・・・今はあなたにキスがしたくてたまらない」

「どうぞ」

しかし・・・突然やってくる妖怪人間ベムのような鷲尾。

奪われる003の唇。

「あ」

そしてヤドリギの下でもないのにキャットウーマン風峰不二子は009にキスをするのだった。

「ごめんね・・・ルパン」・・・流れから言えば峰不二子か・・・。

「じょじょじょ~」

たなびく二本の黄色いマフラー。

波乱の2015年の幕開けである。

孤島における黒い幽霊団のサイボーグたちとの死闘を終えたサイボーグ戦士たち。

ゼロゼロナンバー・サイボーグたちは人知れず世界に散って行った。

新たなる危機の到来にジョーはパリでバレリーナになったフランソワを勧誘する。

「私は嫌よ・・・せっかく舞台に・・・」

「僕だって戦場にいるより君より・・・舞台にいる君の方が・・・」

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2015年2月16日 (月)

二十一回猛士のことは嫌いでも野山獄のことは嫌いにならないでください(井上真央)

吉田松陰は野山獄で「幽囚録」を認めたと言われている。

そこで松陰は日本国のとるべき基本戦略を示している。

「急ぎ武力を整え、軍艦の運用を可能たらしめ、まず蝦夷(北海道)に諸侯(有志藩主)を配置し、カムチャッカ、オホーツク(北方領土)を奪取せよ。次に琉球(沖縄県)を服属させ藩とし、朝鮮(半島)も服属させ属国とする。これより北は満州、南は台湾、呂宋(フィリピン)を征服し領土とする」

清国がアヘン戦争において西洋列強の侵略を許したことが松陰の心に重くのしかかっていたのである。

長州藩野山獄の囚人は神州を守護するためには絶対防衛圏を構築しなければならないと夢想したのである。

恐ろしいことには・・・この松陰の夢想は・・・弟子たちの手によって一世紀足らずでほぼ現実のものとなる。

しかし、松陰の想起した満州の支配、そしてフィリピンの占領に達した時、帝国が奈落へと転落することになったとしても松陰を責めないであげてください。

で、『花燃ゆ・第7回』(NHK総合20140215PM8~)脚本・宮村優子、演出・渡邊良雄を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は野山獄の長老・大深虎之丞の描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。やっぱりキターッ!でございました。しかし品川徹さんさんがこれでクランクアップなのかどうかは謎でございますな。さて・・・寅次郎が野山獄で著したものは確かに「福堂策」もあるわけで「吉田松陰全集・第二巻」に収められていていますがあくまで雑著の一つ・・・。しかし・・・獄舎論が・・・桂小五郎ひいては水戸のご老侯の胸を熱くした・・・わけはないので・・・「密航のその理由から大言壮語の大戦略」に至る国防論的「幽囚録」こそが全集第一巻収録の重要文書です。ここを避けて通るのでよく考えるとおかしな流れのストーリー展開でしたが・・・まあ・・・上手く凌いだかなあ・・・敗戦国のお茶の間ビジネスは大変だなあと遠くを見つめましたよ。天皇陛下をお守りするためには周辺諸国の侵略もやむなしという主人公の兄は大問題なのでございましょうとも。

Hanam007安政二年(1855年)の暮れ、吉田松陰は野山獄から杉家蟄居の身の上となる。保護観察とも仮釈放とも言える罪人身分である。「幽囚録」で寅次郎が開陳した構想は松陰死後に現実化していく。蝦夷地(北海道)は函館戦争を経て、明治四年(1871年)に開拓使の治める直轄地となった。明治十二年(1879年)に琉球王府は廃され沖縄県となる。明治二十八年(1895年)、日清戦争に勝利した大日本帝国は清国より台湾を割譲されこれを統治する。明治三十八年(1905年)には日露戦争の勝利により南樺太がロシアから割譲され、大日本帝国が満州に進出したことにより明治四十三年(1910年)には大韓帝国を併合、オホーツク、カムチヤッカに対しては大正七年(1918年)にシベリア出兵も行われる。第二次世界大戦中に米国と開戦した大日本帝国は昭和十七年(1942年)にフィリピン全土を占領するに至る。吉田松陰が野山獄で妄想した神州日本国の防衛的領土はまさにこの時ほぼ完成したのである。そのことを大きな声で言えない現代なのだが・・・吉田松陰が獄中で願った大いなる夢は一瞬、叶いました。もちろん・・・大河ドラマでは本当のことなんか言えないのがお約束なのである。御時勢だからな。正しい歴史認識とは何かなんだな。万歳。

野山獄の虜囚となった寅次郎は夢見がちな日々を送っていた。

この時期、寅次郎は千里眼能力による未来予知夢を彷徨っている。

目を閉じれば寅次郎の未来が・・・長州藩の未来が・・・神州の未来が見えてくるのである。

しかし・・・寅次郎の見る未来は・・・幕末の兵学者の認識力を遥かに凌駕するのであった。

寅次郎は見た。松下村塾に集う若者たちを教え諭し導く自分の姿を。

寅次郎は見た。再び野山獄に戻る自分の姿を。

寅次郎は見た。江戸で斬首され小塚原回向院に葬られる自分の姿を。

寅次郎は見た。黒船を勇ましく砲撃する長州藩の砲台を。

寅次郎は見た。奇兵隊が幕府軍を打ち破る姿を。

寅次郎は見た。帝都に輝く文明開化の灯を。

寅次郎は見た。大日本帝国の連合艦隊がロシア艦隊に突進する雄姿を。

寅次郎は見た。機体に輝く金色の鷲を。

寅次郎は見た。安芸国広島の街に立ち上る地獄の雲を・・・。

以心伝心により寅次郎の見る夢を覗く文は心躍り・・・悲しみに涙する。

夢のような一年が過ぎ去っていった。

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2015年2月15日 (日)

これが私の素敵なひとしく教育を受ける権利アハハン(神木隆之介)

このドラマの捉えどころのなさは厄介だよな。

階級闘争という「競争原理」と千年王国という「平和願望」が混然一体となっているんだよな。

「格差社会」をどうしたいんだろう。

「是正」したいんじゃないかな。

それは困難だよなあ。

未成熟な人間へのメッセージと割り切れば・・・「あきらめないで戦え」ということになるんだけどな。

「生産性」ということに限定すれば「未成年の権利」の話なんだよな。

とにかく・・・作者の「理想社会」の話なので・・・辻褄が合わなくても強引に展開していくんだよねえ。

きっと・・・作者には・・・「正義」が見えているんだな。

ある意味、(月)の東大さんや、(木)の東大ちゃんのカテゴリーとは無縁の若者向けとも言える。

危ういよねえ。

たとえば・・・「人質殺害事件で政府の責任を追及する」論調で語っていた人たちが・・・「殺害者たちの発言に自分たちの論調が組み込まれている」のを知った途端・・・ヤバイと思って口を噤むみたいな感じ。

発言している時にそのことを予想できない頭の悪い感じがするもんなあ。

匿名で語っている分には世話ないけど・・・マスメディアで語っちゃうとダメージ大きいもんねえ。

まあ・・・バカな子ほど可愛いという時代もあるからな。

それはそれできっといいんだよ。

それにしてもフィギュア・スケート・・・女子は男性しか男子は女性しか見ていないような気がして仕方ないよ。

トランス・ジェンダーの人もいるぞ。

で、『校のカイダン・第6回』(日本テレビ20150214PM9~)脚本・吉田智子、演出・鈴木勇馬を見た。水晶の舟をうかべてちょっとだけふれる感じの口づけをかわしたいロックンローラーがいたわけだが・・・そういう少女趣味がすでに性差別である。このドラマの背景には経済的格差の問題が横たわっている。イスラームの世界では四人までの妻帯が認められているわけだが男女比で考えると四人の男がいれば三人は独身を強いられる可能性があるわけである。貧富の差が子孫繁栄に直結しているわけである。その点、一夫一婦制には平等感があるわけだが・・・結局、富める夫婦と貧しい夫婦の発生という問題が残る。その結果として生じるのが裕福な子供と貧乏な子供の発生である。これを解消するためには社会による子供の集団養育という展開があるがそうなると親子は断絶する。教育の機会の平等を求める日本国憲法の微妙な言い回しが苦労を偲ばせるのだな。「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」わけである。能力抜群であればひとしくなくてよろしいというニュアンスがある。普通教育と言えば狭義には小中九年間の義務教育を指すわけだが・・・実際には高等学校は中等教育後期にあたるのである。そのために公立高校の無償化の流れが生じている。実は明蘭学園高等学校の特別採用枠はこの流れに乗っているのである。私立高校には支援金として補助があるからだ。富裕層による寄付金と政府からの支援金を集約することで私立高校における無償化枠が生じているわけだ。それを高額寄付者がどういう気持ちで施すかという話だ。

「右や左の旦那様憐れな乞食にお恵みを」くださっているのか、あくまで善意なのかである。

貧富の差によって抜群の美少女でありながら・・・プラチナ8のキング・夏樹(間宮祥太朗)の恋愛対象になれなかったツバメ(広瀬すず)は車椅子の男・雫井彗(神木隆之介)の導きによって学園の身分制度の崩壊を目指すのである。

ツバメはシンデレラであり、車椅子の男は魔法使い。そしてトラメガはガラスの靴なのである。

暖かい魔法のシチューによって生徒会役員、クラスメート、そしてプラチナ8の美森(杉咲花)までを同志としたツバメに・・・車椅子の男は「いよいよ革命の時が来た」と唆す。

反プラチナ8の団結力により・・・プラチナ8の特権を奪う実力行使が可能となったのだ。

「準備はできたのか」

「整いました」

ツバメ軍団は通学バスの座席を占拠し・・・プラチナ8を立たせることに成功する。

「どきなさいよ」

「どきません」

「馬鹿馬鹿しい・・・私はタクシーでいくわ」

学園の女王・麻生南(石橋杏奈)は気品あふれる撤退である。

「バスがなければタクシーにのればいいのよ」

ここは「ベルサイユのばら」なんだな。

しかし、特権阻止を目指すツバメ団は特権エレベーターを占拠し、特権娯楽室を一般生徒に解放するのだった。

プラチナ8の特権は剥奪されたのだった。

しかし・・・それは第三の権力の怒りを誘うのである。

ツバメの第一の敵はプラチナ8。第二の敵はプラチナ8に阿る教職員。そして第三の敵は・・・高額寄付をしているプラチナ8の親たちである。

伊吹玲奈(飯豊まりえ)のブランド志向の母親は「特別採用枠(トクサ)」の生徒が風紀を乱していると夏樹の父親のPTA会長(小木茂光)に泣きつく。

PTA会長は誉田校長(浅野温子)にトクサ制度の廃止を求めるのだった。

「富めるものと貧しいものが寄り添って新世界を切り開くことが肝心なのです」

「それは理想論ですよ」と金時教頭(生瀬勝久)は誉田校長に決断を迫るのだった。

「どうしよう・・・このままでは学校にいられなくなる」とツバメは車椅子の男に相談する。

「弱点をつけばいいのさ」

「弱点」

「いいか・・・プラチナ8の親たちは誰のために金を出しているんだ」

「プラチナ8」

「つまり・・・プラチナ8を味方につければ問題は解決する」

「無理よ・・・本末転倒じゃないの」

「無理を通せば道理は引っ込むんだ・・・いいか・・・シンデレラは一般庶民のくせに魔法で王宮の舞踏会にもぐりこんで王子を色仕掛けでたらしこむんだぜ」

「メルヘンがぶちこわしだわ」

「革命はきれいごとじゃすまないんだよ」

車椅子の男に言いくるめられて・・・キングの暮らすタワー・マンションに潜入するツバメだった。

「お前・・・どうやって入った」

「あなたの後ろをついてきただけよ」

「なんじゃあそりゃあ」

「ここって凄いわね・・・夜景が一望できて・・・まるでお城みたい」

「・・・」

「こんなに・・・素敵な暮らしをしながら・・・どうして人を苛めるの」

「お前たちが・・・むかつくからだよ」

「私たちの何が悪いの」

「何もかもさ」

「わけがわからない」

「そりゃそうだろう・・・お前と俺とでは生まれも育ちも違うんだから」

「だから・・・私とあなたが仲良くできないなんて・・・おかしいよ」

「仲良くするのか」

「帰ります」

貞操の危機を感じて下界に降りるツバメだった。

ツバメの身を案じて待っていたらしい車椅子の男。

「何か感じたか・・・」

「何もかも持っているのに・・・あの人・・・淋しそうだった」

「そこだ」

車椅子の男は「ものさし」を授与するのだった。

ツバメは同志たちによる「トクサ撤廃反対」の嘆願書をプラチナ8に示す。

「今さら何だよ・・・」とプラチナ8。

しかし・・・キングは「いいよ・・・その代わり・・・土下座しろ」と命ずる。

ツバメたちは土下座するのだった。

キングは不品行なスクールカウンセラー響すみれ(野波麻帆)たちのスキャンダルで教頭を揺さぶるが・・・効果はないのだった。

プラチナ8は所詮・・・親の愛玩物だったことを自覚する。

教育委員会に提出するトクサ廃止についての書類を整えるPTA役員会。

ツバメの祖父の徳次郎(泉谷しげる)はトクサ枠の親たちと殴り込みを計画する。

しかし・・・ツバメは先手を打って役員会に乗り込むのだった。

「君が・・・噂の生徒会長か」

「馬鹿な真似はやめなさい」

「これだから下賤の人間は・・・」

高圧的なプラチナ8の親たち。

しかし・・・ツバメと仲間たちはそれぞれがものさしを掲げるのだった。

「結局・・・あなたたち大人が子供に与えるのものさしです」

「なんだって・・・」

「もつものが奢り高ぶり、もたざるものをあざけり見下す・・・そんなつまらないものさしにどんな価値があるでしょう。私の祖父が私にくれたものさしは三つだけ。一つ、嘘をついてはいけない。一つ、他人に迷惑をかけない。一つ、他人に優しくする。私はこの教えを守り、これからも生きていきます。そうすれば素晴らしい未来が待っていると信じることができるからです」

「言っていることがわからん」

「それはお前たちが愚かだからだ」

ツバメはものさしをへし折った。

「帰りましょう」と伊吹の母は娘を促す。

しかし、伊吹はその手を振り払う。

「え」

「あなたの事を想うとすごく胸があつくなるのです。私の夢をあなたの夢に変えたい。あなたの悩みを私も一緒に悩みたい。友達になってレモンを好きなだけたっぷりと紅茶にしぼってあなたとレモンティーを飲みたいのです」

「くだらん」とPTA会長。

「くだらなくないんだよ」とキングが進み出る。

「すまなかった・・・頑固な大人たちに・・・つまらない口出しをさせて」

キングと仲間たちは土下座するのだった。

「我が家の家訓に反するぞ」

「こんなことでゴタゴタする名門校じゃ・・・経歴に傷がつくじゃないか」

「・・・」

「だから・・・ゴタゴタなんて・・・最初からなかったことにするんだよ」

トクサ廃止の提出書類を破り捨てるキングだった。

「ゴタゴタしてごめんなさいでした」

一件落着である。

美森の仲立ちで握手を交わすツバメとキング。

好きな人と握手が出来て有頂天になったツバメは車椅子の男に感謝を述べる。

しかし・・・。

「私を忘れんな」と学園の女王・麻生南は生徒たちに一斉送信するのだった。

《ツバメのスピーチにはゴーストライターがいる。ツバメの言葉は借りもの。ツバメはうそつきだ》

誰かに言わされていた言葉で・・・踊らされていた大衆の・・・理由なき嫌悪が湧きあがる・・・らしい。

まあ・・・少なくとも作者の脳内では・・・。

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2015年2月14日 (土)

改札口で君のこと待った(亀梨和也)私鉄沿線ではまるのだ(深田恭子)

「セカンド・ラブ/中森明菜」は1982年だが、「私鉄沿線/野口五郎」は1975年である。

昭和の香りがします。

「改札口で君のこといつも待ったものでした。電車の中から降りて来る君を探すのが好きでした」・・・こういう場面がありましたな。

携帯電話が普及してラブ・ロマンスは死んだと言われますので思いきって・・・忘れちゃうという展開もおしゃれでございました。

スマホがないだけでハラハラドキドキするという21世紀の物語なんだな。

フィクションなので東京近県というアバウトな背景。

走っている電車はいかにも神奈川県方面の京浜急行風ですが、県立山王女子高校は千葉県にある東洋学園大学流山キャンパス風である。

ここは京急ということにしておきたい。

なんとなく哀愁があるんだな。東京側は赤穂浪士の墓でおなじみ泉岳寺が起点である。

品川を経て大森からは羽田空港に至る空港線もある。

多摩川を渡れば神奈川県だ。川崎駅があり、まもなく横浜駅。

イメージとしては横浜から横須賀に至る沿線で物語が進行中である。

金沢八景駅あたりに学園があり、彼のアパートは逗子(ずし)、アルバイト先は汐入あたりで乗り換えて逗子線である。彼女の実家は追浜(おっぱま)駅あたりというところか。不倫相手とは金沢文庫あたりのファミレスで現地集合したりしているんだな。

ああ・・・ちまちましていて侘しくていいなあ。

で、『セカンド・ラブ・第2回』(テレビ朝日201502132315~)脚本・大石静、演出・塚原あゆ子を見た。タイトルは意味深だが・・・素直に考えるとコンテンポラリー・ダンサーの平慶(亀梨和也)はバレエを通じて知り合った年下のバレリーナ・野口綾子(早見あかり)とファースト・ラブ。県立山王女子高校の化学教師の西原結唯(深田恭子)は年上の同僚教師・高柳太郎(生瀬勝久)との不倫がファースト・ラブということになる。ただし・・・セリフに「若い男の子にふりまわされたくない」とあるので・・・以前にも年下の男との性交渉があったのかもしれない。

ダンサーとして行き詰っていた慶と不倫関係に未来を見失っていた結唯は・・・たちまち結ばれてしまうのだった。

激しい最初の夜を越えて・・・目覚めた慶は結唯をアパートに残しアルバイトに出かける。

満ち足りた夜を過ごした結唯は火の気のない部屋で寒さに震えて目を覚ます。

「鍵は郵便受けにあります」

慶の残したメモを見た結唯は我を取り戻す。

スマホで時間を確かめるとすでに出勤時間が迫っていた。

あわてて身支度を整えた結唯は慶の部屋にスマホを置き忘れてしまう。

「私は何をしているのだ」

会ったばかりの男と激しいセックスをしてコンビニで下着を購入し駅のトイレで着替えた結唯は自分に問いかける。

登校する女生徒たちと校門を通る結唯し不倫相手の高柳の視線を煩わしく感じるのだった。しかし・・・それを実感するまでには至らない結唯。

「あれは夢の中の出来事・・・」という気持ちが強い。

校舎に入れば灰色の日常が帰ってくるはずだった。

しかし・・・職員室の同僚たちの様子がおかしいことに結唯は気がつく。

木田校長(越村公一)が事情を諭す。

「プライベートについて申すことは憚られるのですが母上が学校や私の自宅にまで先生の安否を・・・」

「母が・・・」

三十半ばの娘が無断外泊したことで動転した結唯の母親・真理子(麻生祐未)なのである。

もちろん・・・心配性なので仕方ないと考えることもできるが・・・真理子には娘への異常な執着が匂い立つのだった。

仕方なく・・・結唯は学校の電話で家に連絡を入れる。

「ごめんね・・・友達と飲んで・・・昨日は友達の家に泊めてもらったの・・・誰って・・・高校の同級生の加藤さん・・・佐藤ルリ子さんの家にスマホを彼女の家に忘れてしまって」

佐藤家にスマホを取りに行くと言い出す母親に辟易する結唯だった。

慶も擬似ストーカーだったが・・・真理子もストーカーの香りがする。

そして・・・慶の幼馴染の綾子もまた・・・。

慶のアルバイト先である港湾現場の飯場に姿を見せる綾子。

「おい、彼女かよ」と仕事仲間の田島(寺島進)は冷やかす。

「元カノで~す」と屈託のない風を装う綾子。

しかし・・・綾子は慶と結唯の激しい性交を立ち聞きしていたのである。

ストーカー1号 慶

ストーカー2号 真理子

ストーカー3号 綾子

ストーカーだらけなのである。

「おかずなしなの」

「ただ飯だから・・・」

綾子は・・・慶の頑固な生き方に・・・ため息をつく。

慶は望みを託した最後のオーディションにも不合格だった。

「それじゃ・・・私はオーディションがあるから・・・」

「ミュージカルか・・・」

「そう・・・あなたの嫌いなミュージカルよ」

しかし・・・綾子はオーディションには行かないのだ。

仕事を終えて帰宅した慶は・・・結唯の忘れものに気がつく。

母親の真理子からの着信は64件に達していた。

友達の加藤あいじゃなくて・・・佐藤と口裏を合わせようと考えた結唯はスマホがないために連絡方法を欠くのだった。

仕方なく授業に向かう結唯は・・・渡り廊下で校外に立つ慶を発見する。

慶は忘れものを届けに来たのだった。

一度、教室で生徒に指示をする結唯。

「二股試験管を使って実験をします」

二股かよ・・・。

「先生、今日は綺麗じゃん」

「やったのか」

「やったね」

敏感な生徒たちだった。

結唯は裏庭の柵越しに慶と密会するのだった。

「学校に来るなんてやめてよ」

「でも・・・スマホがないと困ると思ったから」

「とにかく・・・困るのよ」

「今夜も会いたい」

「そんなの・・・無理よ」

「あの場所で待ってるから」

「無理だってば・・・」

そんな二人を校舎では・・・高柳が見ていた。

ストーカー4号 高柳

そして・・・もちろん・・・綾子も慶を尾行していたのだった。

学校のトイレでスマホにより偽装工作をする結唯。

高柳は現地集合をリクエストするが・・・結唯の心は揺れる。

もちろん・・・結唯の心はすでに慶に向かっているが・・・高柳と過ごした不毛の五年間も簡単には捨て去ることができない。

身体はそれなりに腐れ縁に馴染んでいるのだ。

トイレから出て来た結唯を謎の女生徒・竹内そら(小芝風花)が直撃する。

「昨日と同じ服ですね」

「・・・」

ストーカー5号 竹内そら

とにかく登場人物がみんな粘着質らしい。

結唯と結ばれた慶は情熱的に踊りだす。

だが・・・ラブホテルは断ったもののとりあえずファミレスで現地集合する結唯と高柳。

そして結唯を尾行して背中合わせにすわる綾子である。

「大丈夫かい」

「痛飲してしまって」とお茶を濁す結唯だった。

「風邪の具合は・・・」

慶の部屋の寒さに風邪を引いた結唯なのである。

「もう大丈夫です」

「私は君を大切に思っている。アムロがララアに会うのが遅すぎたように・・・先に出会ったものとの絆も大切にしたい。だが・・・君の幸せを祈っていることは・・・君の母親にも負けないつもりだ・・・君が誰かと出会ったなら・・・僕は潔く君の幸せを祈るつもりだ・・・今夜はどうしても現地集合できないのかな」

「今夜はちょっと・・・」

結唯は慶のことが気になっていた。

「今夜は車で君の家まで送って行くよ」

「え」

結唯の家では真理子が娘の帰りを表で待ち伏せしていた。

別れのキスを求める高柳の前にゾンビのように現れる真理子だった。

「どなた・・・」

「同僚の高柳先生です」

「あらあら・・・」

恐縮して走り去る高柳だった。

「良い先生ねえ」

「・・・」

待ち人来らずで肩を落して帰宅した慶を待ち伏せる綾子。

「冷蔵庫空っぽでしょう」

「・・・」

「あの女のどこがいいの」

「え」

「あの女・・・同僚の教師・・・下卑た中年親父と不倫してるわよ」

「なんで・・・そんなことを・・・」

「あなたのことが心配だから・・・変な女にひっかかけてほしくないだけ」

「・・・」

「私・・・帰るね」

綾子は慶の冷蔵庫に食糧を補充すると帰って行く。

どう考えても綾子は慶に未練たっぷりなのである。

真理子は結唯のために夕飯を用意していた。

「私・・・もう寝るから」

「こんなに早く・・・」

「昨日、寝てないから!」

部屋に戻った結唯は思わず慶に電話する。

慶は綾子の言葉によるものか応答を逡巡するのだった。

途切れる着信音。

しかし・・・慶は衝動を抑えることぱできない。

結唯は慶からの電話に出る。

「もしもし・・・」

「どこにいるの」

「家だけど」

「会いたい」

「ちょっと待って・・・今夜は無理よ・・・母に言いわけしないといけないし・・・パンツをコンビニで買ったりするのは嫌だし」

「会いたいよ」

「やめて・・・若い男の子に振り回されるのはごめんなの」

しかし・・・結局・・・深夜に家を出る結唯だった。

終電に揺られ改札口で待つ慶の元へたどり着く結唯。

「昔の月9みたい」とつぶやく結唯だった。

「あなたの言うことはよくわからなかった」

「・・・」

「でも・・・これで終わりにするというのなら・・・最後にやりたい」

「え」

拒否することはできない結唯だった。

電気ストーブの赤い光を求める結唯。

消灯しようとするが・・・慶は拒絶する。

「消して・・・」

「嫌だ・・・最後なら君の身体を全部見たい・・・君のすべてを目に焼き付けたい」

「・・・」

「君も僕のすべてを見て・・・」

結唯は屹立した慶から目をそらすことはできない。

高柳とは角度が違うのである。

結局、官能の嵐に飲み込まれ・・・すべてをさらけ出す結唯だった。

「有名なコンテストで優勝した・・・トップダンサーなんでしょう・・・どうして私なんかと・・・」

「才能はあるけど席がないと言われてバレエ団を首になったんだ。席がないってことは才能がないのと同じなんだ。もう・・・死んでしまいたいと思った。踊れないなら死んでいるのと同じだから」

「・・・」

「なぜ・・・ダンスを・・・」

「踊りたかったから・・・父親は反対したけどね・・・男がバレエなんてって・・・」

「コンテンポラリーじゃないの」

「まず・・・クラシックを踊るのさ。基本だから・・・それからいろいろなダンスを学んでコンテンポラリーにたどり着く・・・」

「・・・」

「だけど・・・もうダメだと思ったんだ・・・もう死んでしまいたいと・・・そこに君が現れた・・・僕には分かったんだ・・・君が僕を救ってくれると・・・君を愛することで・・・僕はもう一度生まれ変われるって」

「あなたの話もよくわからないわ・・・」

早朝・・・慶は結唯を駅まで送った。

二人は手をつないでいた。

その手が離された時、結唯は悟った。

「これで・・・終わりになんてできない・・・」と。

始発電車で帰った娘の気配を・・・真理子は窺っていた。

睡眠不足の一日が過ぎて行く。

真理子は高柳を呼びだしていた。

「相談があるんです」

「どうしました・・・」

「娘が無断外泊しているんです」

「え」

「昨日も・・・」

「昨日も」

「私・・・娘が不倫しているのではないかと・・・」

「ふ、不倫・・・」

一同爆笑である。

その頃・・・慶は結唯からの電話に出ていた。

「会いたいの」

「どこにいるの」

結唯は慶の部屋にやってきていた。

ストーカー6号 結唯

風邪をこじらせる勢いである。

しかし・・・ドアの中に招き入れない慶。

「どうして・・・」

「もし・・・付き合っている人がいるなら・・・別れてほしい」

どこまでもストレートな慶だった。

はたして・・・結唯は三夜連続官能の極みを達成することができるのかどうか・・・来週までお待ちください。

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Sl002ごっこガーデン。愛と青春の部屋(第二夜・・・照明明るめ)エリさらに刺激的な官能の世界にうっとりなのでスー。こんなにグイグイとK先輩に迫られて拒める女子がいるでしょうか・・・いやいないのでスー。もう・・・ムフフを通りこしてムッフッフになってしまうのでスー!・・・じいや・・・スタミナ餃子を追加してね~にんにくムフムフで~ikasam4鬼の棲家(1999年)ではあゆみ(16)を苛める贅水館の主・黒川(40)だったのに不倫カップルとは・・・もはや犯罪なのですなくう不審者だらけだわ~シャブリ今週は瞳のアドリブナース羊さん、来週はクドカン・・・そして風立ちぬ・・・金曜の夜は裏表大変なのでありました~まこぼぎゃああああん

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2015年2月13日 (金)

苦しんで死ねばいい泣き寝入り教習所の教官たちへ(真木よう子)

ろくでなしの人々にお似合いのろくでなしの世界があります。

ろくでなしの親にお似合いのろくでなしの子供がいます。

ろくでなしの夫にお似合いのろくでなしの妻がいます。

ろくでなしの働き手にお似合いのろくでなしの仕事があります。

ろくでなしの国民にお似合いのろくでなしの国家があります。

ろくでなしの平和にお似合いのろくでなしの戦争があります。

ろくでなしだとお思いでしょうがろくでなしほどまっすぐを欲しがるものでございます。

曲がりくねった心をすっきりさせてみたいから。

で、『問題のあるレストラン・第5回』(フジテレビ20150212PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。男女平等を目指す世界は男が自由であるように女が自由であるべきである。世の中の半分の自由さが解放される時、世の中の半分は自由の半分を奪われたように感じるかもしれない。世の中の半分は自由であることに不自由を感じるかもしれない。世界観戦争は果てしなく続く。たとえそれが不毛しか生まないとしても止めることはできないのである。そして世界はきっとなるようになっていくのだ。

カレーの美味しいレストランでランチでデートを楽しむ二組のカップル。

ソムリエ・烏森奈々美(YOU)は怪しいイタリア人に「ナポリタン」について語る。

お尻を触らずにはいられない土田(吹越満)は不倫中の秘書(松本若菜)に責められる。

「家族と仲がいいのね」

「接待だよ」

「アスレチック公園のわんぱく広場で」

「やめろよ」

「秘書課の女に手を出して左遷された人いたわ」

「おい」

ソムリエの注文したナンが誤配されて秘書は土田をナンで往復ビンタするのだった。

閑古鳥の鳴く「ビストロ・フー」に「街で見かけたろくでもないカップルの話」を報告するソムリエ。

しかし・・・たま子(真木よう子)やパテシェのハイジ(安田顕)は脱走した東大出身の秀才・ゼネラルプロデューサー新田結実(二階堂ふみ)の身の上を案じていた。

ソムリエは「東大ちゃんは・・・六本木ヒルズでコンテンポラリーな感じになっていた」と目撃情報を告げる。

一方、傲慢なシェフ・門司(東出昌大)が仕上げたポトフはテレビ番組などで紹介され、「ビストロ・シンフォニック表参道」は行列のできる繁盛ぶりである。

形勢逆転を目指しミーティングをするメンバーたち。

「ワンコインランチはどうかしら」という三千院鏡子(臼田あさ美)の提案を受けて「ランチボックスを販売しよう」とたま子は宣言する。

シェフ・雨木千佳(松岡茉優)も賛成するのだった。

そこへ・・・土田をお伴にシェフの実の親である雨木社長(杉本哲太)が現れる。

「娘がお世話になってるからね」

「いらっしゃいませ」

最初は客として二人に接するたま子だが・・・外道の極みを歩む雨木社長の言動に呆れかえるのだった。

「俺はもう何も気にしていないよ。君は裸になったなんとかって子のためになんかしたようだけどあの子もそういうことをエンジョイするべきだったんだよな。体育会系のノリなんだから。まあ、綺麗なおっぱいしてたけどね。そういうことは水に流して君のことは援助したいと思っている。こんな店なんかやめて俺の愛人にならないか。月三百万円でどうだ。なんなら一月おためししてもいいよ」

「お帰り下さい」

「この店は客を追い返すのか」と土田。

「害虫は駆除しないといけないので」

「なんだと」と土田。

「ナンだね」とソムリエ。

「この店にやってきたみんなは一人一人目的が違います。私は夢破れた友達のためにこの店を始めました。すべてはあなたに復讐するためです」

「年商三百億の我が社にか」と土田。

「あれ・・・携帯の充電が切れちゃった」とあくまで自己中心の雨木社長。

ハイジに料理を運ぶように薦められたシェフちゃんだったが・・・。

「おお、千佳じゃないか・・・パパと一緒に」

「この料理は豚の餌じゃない・・・藤村五月さんのごはんです」

席を立った雨木社長は笑みを浮かべる。

「次に裸になるのは君だな」

「一昨日きやがれ」と地中海の塩を撒くソムリエだった。

雨木社長は立派なカリスマ経営者で普通に悪の権化・・・素晴らしい演技である。

トレビアンと言いたい。

「ランチボックス作戦」を開始するたま子。

街頭売りは好評でついに完売の日を迎える。

噂を聞いた傲慢なシェフはピンクからホワイトになったウエイトレス・川奈藍里(高畑充希)に変装させて敵情視察をする。

「ビストロ・フー」をぶっつぶすためにより豪華でより安価なランチボックスを始める「ビストロ・シンフォニック表参道」だった。

たちまち・・・売れ行きは急降下である。

「つぶしにきたんだ・・・焼け死ね」と呪うシェフちゃんだった。

街角でいいインターネット風の東大ちゃんを発見するたま子。

駆け寄ろうとするがシェフちゃんは止める。

東大ちゃんはビジネスマンと待ち合わせをしていた。

東大ちゃんだけにいい就職が見つかったのだろうと推測するシェフちゃんだった。

しかし・・・東大ちゃんはよりどす黒くブラックちゃんになろうとしていたのである。

一方・・・小さなお子様お断りの「ビストロ・シンフォニック表参道」ではホワイトちゃんに対する池辺(川口覚)のストーカー行為がエスカレートしていた。

一度食事をしただけで恋人きどりの池辺は・・・勝手にホワイトちゃんのロッカーを整理し、連日自撮り画像を送りつけてくるのだった。

「キモイと思わない?」と女友達に相談するホワイトちゃん・・・。

しかし・・・ホワイトちゃんを本当は快く思っていない女たちは「自慢してるの?」と冷たく突き放す。

望まぬ「いい子いい子攻撃」に晒されるホワイトちゃん。

ブラックちゃんにけしかけた実は悪魔くんである星野大智(菅田将暉)も「六本木方面」に用事があるためにつれない。

「なによ・・・あんた最近・・・」

「実は俺、ベンチャーしようと思ってるんす」

「べ」

教えていない実家に勘違い男・池辺から電話があり・・・帰宅したホワイトちゃんを待ちうけるのは一人暮らしのドアの前に張り付くストーカー・池辺の不気味な姿だった。

逃げ場を失ったホワイトちゃんは傲慢なシェフがポトフ作りに燃える厨房に逃げ込む。

「またフォン作りですか。あんなに人気があるからもういいじゃないですか。あ、私、洗いもの手伝いますね」

「俺は客のために料理しているわけじゃない」

傲慢なシェフは単に傲慢なだけでこの異常な男尊女卑社会ではややまともな男である描写が展開し始める。

まあ・・・ろくでもないことには変わりはないんだがね。

傲慢なシェフは嫌な奴だがダメな奴ではない風に描かれてきた。

ただし・・・そうなると雨木社長もそうなってしまうし、土田もそうなってしまう。

この描写はまるで異次元境界線を飛び越えた唐突さを感じさせる。

しかし、そう思わないお茶の間もあるだろう。

それが世界観戦争の醍醐味なのである。

そしてホワイトちゃんの中で激しく懊悩する本音と建前の表出である。

洗いもの用手袋を投げた傲慢なシェフの気配り。

「あ・・・だめなんですよ。うちの方の田舎じゃ洗いものしている時に手袋なんかするとお高くとまっている風になって母親が蔭口たたかれるんです。そうすると母親に愚痴られるから手袋なんてできないんです。私はそんな閉塞感に満ちた田舎の女なんですよ」

「ふ」

「だからカラオケに行きましょうよ」

「いやだ」

「ち・・・今、打ち解けたきがしたのに。ごめんなさい・・・じゃ、趣味の話しましょう。シェフはバイク通勤ですよね。ツーリングとかいかれる人なんですか。サーフィンもしますよね。私、ブギ・ボードならしたことあるんですよ。あの人のことまだ好きなんですか。料理に心がないって言われて意地になってるんですか」

「・・・」

「ごめんなさい・・・だからカラオケに行きましょう・・・私、天城越えが歌いたいんです」

「いやだ」

「あの・・・私、二番目でいいですから」

「お前って・・・最低の女だな」

「・・・私、帰ります」

傲慢なシェフはホワイトちゃんの置かれた状況を把握している。把握して見て見ぬふりをしているのである。その優しさが最後の一言で漏れる。

「寝るなら仮眠室で・・・」

しかし・・・ホワイトちゃんはいたたまれない場から逃げ出した。

行くあてもなく街を彷徨うホワイトちゃんは道に倒れた男に声をかける。

男は「三万円でどうだ」と答える。

ホワイトちゃんは赤いロードコーンを振りあげるのだった。

殺さなければ殺されるからである。

それを制止する通りすがりのたま子だった。

「だめ」

女たちのアジトに保護されるホワイトちゃん。

「プロ野球選手と結婚した女子アナだけが勝ち組」と主張するホワイトちゃん。

「花形スポーツマンとチアリーダー的な」と受け流すソムリエ。

「私はみなさんが勝つ方法を知ってます」

「教えて」と三千院。

「水着になればいいんです」

「・・・」

「死ね」とシェフ。

「どうしてですか」

「苦しんで死ね」

「私なんかいつも水着になってますよ。私はどこでも水着になれる免許持ってるんです。お尻を触られたってスキンシップ教習所卒業してますから。痴漢されるのはスカートを履くからです。男に暴力をふるわれるのは女が至らないから講習済みですよ。私の財布は免許でいっばいですから。≒なんですよ。彼氏がプロ野球選手なら私は≒プロ野球選手です。彼氏が無職なら私がどんな仕事をしていようが≒無職なんですよ。しずかちゃんがどうしてダメな男と乱暴な男と金持ちの男としか遊ばないか知ってますか。女の子はどれだけおごってもらえるかがステータスなんです」

「ドラえもんは男の子向け漫画なんだな」

「だからお風呂を覗かれても笑って許すしかないんですよ。そういう女だけがこの世をエンジョイできるんです」

「お風呂に入るでしょ」

「帰り路・・・湯ざめするんで」

「泊って行くでしょう」

「泊りません」

「パジャマあるよ」

「しずかちゃんには女の子の友達なんていらないんですよ」

「だめよ・・・お尻を触らせちゃダメ。お尻にだってあなたの心があるの。好きな人にだけ触らせて・・・そんな風に心を殺したらいつか自殺することになる」

「なんで・・・上から目線なんですか・・・まだシェフのこと好きなんですか」

「女子力なんて・・・所詮、男のための力でしょ・・・意地をはらないで」とハイジ。

「誰が意地をはってるんですか」

「女の子の気持ちはわかるのよ・・・女ですもの」

「・・・」とお茶の間。

「女同士はみじめに慰め合って癒し合うんですか」

悔し涙があふれかかるホワイトちゃん。

憐れに思うしかないたま子。

「ニコラス・ケージのパジャマもあるわよ」

「私はカラオケに行きたいだけなんだ・・・あなたと越えたい天城越え・・・」

ホワイトちゃんは誇り高く帰宅した。

「あいつ・・・すごいな」と賞賛を惜しまないシェフだった。

たま子は「バレンタインデー・フェア」を思いつく。

ヴァイオリン生演奏付で恋人たちにディナーを楽しんでもらう企画である。

察知した傲慢シェフは弦楽四重奏付のバレンタイン・フェアを開催するのだった。

歯ぎしりするたま子・・・。

しかし・・・入店を拒否された子連れの夫婦たちが・・・ヴァイオリンの音に誘われて「ビストロ・フー」に流れてくるのだった。

湧きだすように現れる子連れのカップルたち。

ハイジの提案で託児サービスも開設される。

三千院は子供たちの相手に燃えるのだった。

シェフ自慢の料理、パティシェ自慢のスイーツが炸裂し、カップルたちは恋人たちの夜を楽しむ。

やや・・・髭の濃くなったハイジは客のリクエストで挨拶し、賞賛されて感涙する。

「ハッピーバレンタインデー」

シェフは切腹せずにハイジとハイタッチを交わすのだった。

そして・・・「ビストロ・フー」は開店以来初の黒字110円を達成する。

一人当たりの配当22円である。

つぶれるぞ。

その頃・・・池辺によって公園に呼び出されたホワイトちゃんは自己中心的で排他的なストーカーのイルミネーション・サプライズの嵐に襲われる。

「ごめんなさい・・・気持ち悪いです」

免許を更新せずに池辺の一方的な愛を拒絶したホワイトちゃんはストーカーの鉄拳制裁を受けて倒れ呻くのだった。

誰か通報してくださいという願いも虚しく夜の静寂が二人を包む。

死を招きかねないたま子の美しい言葉。

しかし、それが世界観戦争なのである。

語ることはそういう恐ろしい行為なのだ。

語るものには常に覚悟が必要なのである。

その頃・・・悪魔くんと待ち合わせをしたブラックちゃんは融資先を訪問する。

「普通の会社じゃないわね」

「どうする・・・やめる?」

「もう・・・他にあてがないから・・・」

しかし・・・怪しい高級マンションの一室からは偽タキシード仮面のような怪しい男(弓削智久)が現れる。

悪魔くんを残してブラックちゃんが踏み込んだ奥の部屋には・・・。

いかにも魂を抜かれたスクール水着やセーラー服着用の女の群れが・・・。

恐ろしい凌辱の予感がお茶の間を走り抜けるのだった。

久しぶりに絶叫マシン展開である。

わたしたちの教科書」を思い出す。

そして・・・「ビストロフー」に鍋を持って現れる傲慢シェフ。

「これを食って答えてくれ」

ポトフである。

「店なんかやめろ・・・」

「何、言ってんの」

気色ばむたま子。

「仕事なんてやめて・・・俺の嫁になれ」

「え」

なんじゃそりゃあと一部お茶の間は松田優作化するのだった。

信じられないことだがこんな場面でも胸キュンするホワイトちゃん予備軍は存在する。

それが世界観戦争の現実なのである。

そしてこの物語は「地獄の黙示録」だ・・・。

男尊女卑地獄めぐりの旅ですから。

男社会でそこそこ頑張って生きている女性さえ全否定なのである。凄いぞ。

なにしろ・・・そういう女性は裏切り者なんだからな。

次はアン・ドゥ・トロワのトロワです。

ワルツなので。

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2015年2月12日 (木)

綿を入れたら暖かい永遠の0(多部未華子)

・・・おいっ。

長い話なんだよな。

(株)は・・・。

半兵衛は「遠足」「不揃いの野菜」「サラダ丼」などで信長に「有機」を捨てない決心をさせた。

しかし、天下布武への道は遠い・・・。

だが限界集落に希望の灯が・・・。

こんな感じ。

だから・・・。

テレビ東京の戦争ものは侮れないんだよ。

多部ちゃん不足だしな。

妖しい建国記念日だし。

(水)は谷間のようなそうでないような感じなんだな。

もういいよ。

で、『テレビ東京開局50周年特別企画・永遠の0・第1回(全3回)』(テレビ東京201502112054~)原作・百田尚樹、脚本・櫻井武晴、演出・佐々木章光を見た。太平洋戦争の特攻を題材にしたフィクションである。現代と当時をいったりきたりするありふれた手法だが架空の人物である戦死者・宮部久蔵(向井理)について生き残った人々が語るという「藪の中/芥川龍之介」手法を加味してエンターティメント色を強めているのがミソである。

歴史的な実状を踏まえているし、大日本帝国は陸海軍合わせて特別攻撃による戦死者をおよそ一万四千人発生させているのでそれなりにリアリティーがある設定と言える。

戦争についての世界観戦争は複雑怪奇なので・・・是非は問わないで鑑賞すべきだと考える。

敗戦時、二十歳だった人間が九十歳になる戦後70年である。

基本的に・・・昔話だ。

戦争というものをいくら否定しようが・・・現実に中東でウクライナで日本近海で今もそれはあるのである。

戦争という現象について理解を深めるためのきっかけとしては問題ない作品に仕上がっている。

2004年。佐伯清子(高畑淳子)の母・松乃(多部未華子)が息を引き取る。慶子(広末涼子)と健太郎(桐谷健太)は祖父の大石賢一郎(伊東四朗)から実の祖父が宮部久蔵という男であったことを知らされる。

宮部久蔵は海軍軍人であり特攻で戦死していた。

新聞社の終戦記念プロジェクトにフリーライターとして関わる慶子はフリーターの健太郎とともに実の祖父・宮部久蔵の経歴を調査し、年老いた生き証人たちに話を聞くのだった。

元海軍少尉の長谷川梅男(中尾明慶→笹野高史)は語る。

「あいつは海軍航空隊一の臆病者で何よりも命を惜しむ男だった・・・戦後どのような人生を送ったのか知りたくて君たちに会うことにした」

「祖父は特攻で戦死しました」

「そんな馬鹿な・・・あいつが特攻するなんて」

空戦による負傷で片腕を失った長谷川は激昂するのだった。

宮部は空母「赤城」の艦載機の搭乗員として真珠湾攻撃やミッドウェー海戦にも参加していた。「赤城」が撃沈された後はラバウル海軍飛行隊に所属している。

ラバウル時代の部下だった井崎源次郎(近藤正臣→満島真之介)は語る。

「小隊長は慎重な人でした。航空機同志の戦いは軌道上の勝負です。未来位置を予測されれば敵機による一撃離脱の餌食になります。ですから軌道の変化が大切なのです。小隊長は敵を警戒しすぎると言われるほど慎重に軌道を変更していました。しかし、私は小隊長に命を救われたことがあります。乱戦の中、敵機に挟撃され追尾された私は死を覚悟しました。しかし、どこからともなく現れた小隊長が敵機を撃墜し私は命拾いをしたのです。小隊長はお元気なのでしょうか」

「祖父は特攻で戦死しました」

「まさか・・・部下に特攻を許さなかった小隊長が・・・特攻に志願するなんて」

「志願・・・命令されたのではないのですか」

「特攻は志願してするものです」

臆病者と言われた祖父が何故、特攻で戦死したのか・・・姉妹は疑問に感じるのだった。

整備兵だった永井清孝(賀来賢人→小林克也)は語った。

「戦争は人殺しです。人殺しが人殺しをするのです。撃墜した敵機のパイロットが脱出しパラシュート降下するところを銃撃するのは卑怯だとか武士の情けはないのかとか言いますが・・・帝国は敵地で撃墜された搭乗員を見捨てますが米国は生存者を潜水艦で救助したりするのです。熟練の搭乗員を育成するのは時間がかかりますから。消耗品扱いをして大福もちを食いたいと言ったらフラグをたてたことになってしまう帝国は決戦において熟練者を欠き勝機を逃がしました。総合戦という意味を指導部が理解していなかった悲劇ですな。まあ・・・そういうことも平和の時代に後から言えることですが。あの当時は上も下も必死だった。しかし・・・結局、帝国は負けるべくして負けたとも言えます。そうそう・・・宮部さんは・・・南洋でも寒冷地用の外套をいつも大事にしていました・・・宮部夫人が・・・特別に綿を入れてくれたのです」

「祖父は祖母とは一週間しか暮らさなかったそうですが」

「よくあることですよ・・・しかし・・・たとえ一週間だって・・・夫婦として契ったことは変わりないのです・・・妻と子のために必ず生きて帰る・・・宮部さんの口癖だった。そして・・・最初の任地が海が凍る土地だと言ったら・・・風邪をひかないようにと綿を入れてくれたと自慢するのです。任地を家族に話すなんて本当は軍規違反なんですけどね」

母が三歳の時に戦死した祖父。

その実像が掴めないもどかしさに・・・姉弟の証言者巡りは続いて行く・・・。

戦時にしか花開かない愛もある。

愛ゆえに散りゆく花もある。

その瞬間を求めて物語は紡がれるのだった。

望むと望まざるとに関わらず現代はその延長戦に過ぎないのだ。

ドラマとは人生の断片であるという考え方もあるが、人生は歴史の断片でもある。

特攻を語ることは太平洋戦争を語ることになる。

太平洋戦争を語ることは第二次世界大戦を語ることになる。

第二次世界大戦を語ることは二・二六事件を語ることになる。

二・二六事件を語ることは農村の疲弊を語ることになる。

つまり・・・永遠の0は限界集落株式会社と一対の物語なんだな。

そうなのか。

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なでしこ隊

命ある限り戦え、そして生き抜くんだ

映画版に興味のある方はコチラへ→くう様の映画「永遠の0」

まこ様の映画「永遠の0」

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2015年2月11日 (水)

ゴリ押しのゴリさんだからねゴリラじゃないんだからね(堀北真希)

25歳の看護師と75歳の患者が愛し合ったっていいじゃないか。

まあ・・・基本、財産目当てだけどな。

一万円でお尻を触らせてくれと言ったら殴られるかもしれないが百万円でお尻を触らせてくれと言ったら確実に「ちょっとだけよ」と言われると思う。

お金は大事だからな。

でもお嬢様は百万円でもノーと言えるぜ。

それは・・・お金に不自由してないからだろう。

まあ・・・そうか。

しかし・・・そういう問題を病院を舞台にして描かなくてもいいんじゃないかとは思うよね。

まあ・・・そうだな。

で、『まっしろ・第5回』(TBSテレビ20150210PM10~)脚本・井上由美子、演出・坪井敏雄を見た。もう五話なんだな。なんだなんだな。絶対、手遅れなんだな。なんだなんだな。しかし・・・まあ・・・言いたいことは分かるような気がしてきた。ヒロインは真面目で有能な看護師だけど結婚したいと思っているのに良縁に恵まれなくて不安を抱えているってことなんだな。なんだなんだな。だけど・・・ぶっこみすぎでわけがわからないことになっているんだな。なんだなんだな。セレブ病院って設定が邪魔なんだな。なんだなんだな。

近未来の日本・・・自由診療制度が前提となった医療界では病院格差が生じていた。東王病院は高額医療費を負担できる各界のセレブのための病院として金に糸目をつけない医療と看護が実施されている。

この大前提を次から次へと突き崩すエヒソードの連続なのである。

看護師長(木村多江)は有能で抜群の看護力と管理能力を持つのが前提であり・・・そうでなければ東王病院の看護師長にはなれないはずである。なぜならば・・・普通の看護師長の十倍くらいの給与をもらっているからだ。

そんな・・・看護師長に何故か叛旗を翻すさくら(MEGUMI)も東王病院に採用される以上、心身ともに優秀でなければならない。

しかし・・・どうやら・・・さくらは精神を病んでいるのだった。

その言動の不安定さは・・・優秀な看護師ならば不審に思うのが当然である。

ニャース明日香(菜々緒)やママさんナースとし恵(西尾まり)がさくらに追従するのは・・・あまりにも底辺な感じが漂うのだった。

さらに・・・階級社会では容姿も重要である。男性患者が容姿に恵まれない人好きの変態でない場合は容姿に恵まれない女性看護師は配置されないだろう。逆に容姿に恵まれた女性に敵意を持つ女性患者のための枠と考えるべきだろう。

当然のことながら高級娼婦である看護師が配属されているくらいで構わないのだ。

もちろん・・・ギャラは看護師長の十倍の他に特別手当がつくのだった。

ニャース明日香はそういうジャンルでいいじゃないか。

そして・・・看護師長である以上、看護師長も高級娼婦スキルは持っていて特別料金の時価になるのだ。

そして・・・木綿子(高梨臨)は高級娼婦系候補生でいい。

「あなたもまだまだニャン」

「勉強しますニャン」

もう・・・深夜アニメだな。

さくらはオペナースの岩渕(水野美紀)を担ぎあげて看護師長の対抗馬にしようと暗躍するのだが・・・岩渕はとりあわない。そもそも・・・看護師長の座に興味のない女医にもなれたがあくまで看護師系なのである。

東王病院の管理センターのコンピューターはハッキングを受けていた。

登録されたお客様情報に不正アクセスがあり・・・情報の一部が書き換えられたが・・・超ハッカーは極秘裏にそれを成し遂げる。

静岡県在住の実業家の勝呂 (竜雷太)が緊急入院することになった。

都内を旅行中に負傷し、緊急手術を受けることになったのである。

高齢者看護の実績のある朱里(堀北真希)は先輩のさくらと共に勝呂の担当になるのだった。

「下の世話も頼みたいのだが・・・」

「それは別料金になります」と受け流す朱里。

しかし・・・さくらはナースステーションで「あのクソ爺」と口汚く罵る。

それを聞き咎めた看護師長は「お客様に対しての暴言は慎むように」と注意する。

一方で朱里の手際の良さを賞賛するのだった。

実は・・・ストレスから精神を病んでいるさくらはナースセンターから抗不安剤を盗みだし常用しているという異常者であり一種の薬物依存症患者なのである。

もちろん・・・薬を盗み医師の処方もなく濫用することは法に触れる行為である。

だから・・・さくらは犯罪看護師なのである。

患者の生命を預かる仕事だけに発見したら処理するべき対象だが・・・この脚本では基本的に身内に甘い感じを醸しだしています。

まず・・・朱里は・・・仲間を売ることにためらいを感じている場合ではなく・・・即刻通報しないと・・・頭のおかしな犯罪者に患者を晒しているんだから・・・。

とにかく・・・脚本のおかしさはここで明らかなんだな。なんだなんだな。

とにかく・・・そんなことで「お暇をとらされる」可能性が出て来た・・・朱里だった。

一方・・・不倫相手に「子供が大学を卒業したら妻とは離婚する」と言われ「その時、私は三十九歳なんですけど」と言い澱む木綿子。「俺が信じられないのか」と囁く男・・・。信じられるかっ。

木綿子はお気に入りの患者・大江様(眞島秀和)が看護師長を贔屓にするのが気になって仕方ないのだが・・・そもそも不倫をやめないと・・・なのである。

脚本は・・・そういう脈絡のなさをリアルと考えているらしい。

だが・・・それを描くためにはもっとスタイリッシュでないとねえ。

どうやら・・・心の闇を描きたいんだな・・・でも・・・全体的な作品の質がそれを妨げているんだなあ。

とにかく・・・勝呂様が「資産1000億円」で「高級クルーザー」も所有していると知り、幻想の地中海を彷徨う朱里。

年の差結婚でもいいか・・・と迷いだす。

そして・・・勝呂様は朱里にプロポーズするのだった。

反射的に指輪チェックをした朱里は「わ~い独身だ」と瞳をキラリと輝かせる。

ここ・・・ここはちょっと面白かった・・・。

しかし・・・勝呂様は資産家というのは真っ赤な偽り。

将棋が上手で凄腕のハッカーだったが・・・実は八百屋の耄碌爺だったのである。

妄想抜きだと金さえ出せば身分を問わない病院だったとしても・・・入院審査が甘すぎるだろう。

「惚け老人だったんだか」と菜々(志田未来)・・・。

「ううん・・・きっと淋しかったんだと思う・・・娘さん夫婦の弁当やの車も汚れていたし・・・きっと構ってもらえなくてしでかしたのね」

娘夫婦の村田弁当店が食中毒騒ぎを起こさないことを祈るしかない不潔さだった。

元彼・・・誠吾(細田善彦)の妊娠中の妻・麗(松山メアリ)が病気で絡んでくる気配だが・・・どう見ても庶民である。

誰もが救急車を呼べと思う事態の件を・・・ストーリーにしてくる辺り・・・脚本家、少し頭がおかしなことになっているのではないかと危惧するのだった。

ニャースと食事中に・・・緊急連絡を受ける佐藤センター長(石黒賢)・・・。

さくらから罪の告白を受けた岩渕は・・・「すべては看護師長の締め付けが悪い」というさくらの申し開きを何故か重く受け止め・・・看護師長に意見をすることになったらしい。

だから・・・まず警察に通報しろよ・・・それとも・・・病院警察が秘密裏に処理するのか。

薬物依存症ナースの発生は大問題だからな。

とにかく・・・看護師長に呼び出された「トイレでさくらが盗んだクスリを静脈注射しているのを目撃したけど黙秘している」朱里は・・・センター長、岩渕、さくらという顔ぶれに困惑するのである。

菜々は・・・なんとなく思いを寄せるドクター孝太郎(柳楽優弥)が「玉の輿狙いナースの朱里」に気があるのではないか・・・そして朱里もまんざらじゃないんじゃないかと悩む。そして菜々の身内には重病の患者がいるらしい。まさか・・・従業員特別枠の入院を狙っているのか。

しかし・・・孝太郎には実は「親への復讐」という青い情念の炎が燃えていたのである。

もう・・・なんのこっちゃなんだな。なんだなんだな。

プロデューサー・・・お前かっ。

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2015年2月10日 (火)

ああ、これが・・・恋の魔法というものかしら(内田愛)

「恋の魔法キターッ!」と叫ぶのか。

節分とバレンタテンデーの間にクリスマスイブを置くと言う姑息なカレンダーネタである。

クリスマスイブで誕生日まで三ヶ月を切るということは・・・ホワイトデーのあとの春爛漫かっ。

ウキウキしちゃうのかああああ。

まあ・・・いいけどね。

まあ・・・何度も言っていることですが・・・。

サンタクロースは実在します。

キッドは良い子なので毎年プレゼントをもらっています。

あなたがもらえないのは・・・あなたが良い子ではないからです。

ただ・・・それだけのこと。

お前は・・・悪魔だろうがっ。

そこだっ。

で、『デート〜とはどんなものかしら〜・第4回』(フジテレビ20150209PM9~)脚本・古沢良太、演出・石川淳一を見た。酔ったり、熱を出して顔が赤くなるのはのだめの上野樹理やリーガルハイの新垣結衣の得意技だが・・・一瞬、チャオの男もやってたな。もっと真っ赤でもよかったと思うが・・・ちょっと萌えたぞ・・・お前、男だろう。頬が赤けりゃなんでもいいのか。真っ赤なお鼻のサンタクロースよりもなによりも問題なのは処女懐胎だろう。マリアが処女ってどうなんだよ。究極のマザコンだろう。息子が初めての男っていう。もう、それ以上言うのはやめてくれ。お前が悪魔だったとしてもだ。愛着障害を治すクスリはあります・・・みたいなことにならないといいよねえ。

冒涜って最高だ。

史上最悪の「よしなよ、いやがってるじゃないか」展開の後で・・・。

藪下依子(内田愛・・・「リーガルハイ」で安藤貴和(小雪)の実の娘・徳永さつき役、「劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL」でアレッサンドロ・カロリナ・マドカ(堀北真希)の幼少期役→杏)は谷口巧(長谷川博己)に電話をかけるのだった。

「お電話したのは・・・怪我の程度が・・・気になったからです」

「・・・たいしたことないです」

「安心しましたついでにもう一件あなたに私とデートする機会をもう一度与えても構わないと考えています理由は二点です第一にその行動の是非はともかくとして私を助けようとしてくださった点を評価して第二にあなたが高等遊民と称する若年無業者となった事情を正確に把握しないまま怠け者と断じ批判したことはわれながら早計であったと考え直しているため以上です」

依子の・・・けして悪気はない暴言。

もちろん暴言には暴言で応じるナイープな巧だった。

「第三に・・・自分のような痛い女を相手にしてくれるのは僕みたいな痛い男ぐらいしかいないと思い知ったから・・・それが本音でしょ?・・・そっちがもう一度デートしてほしいと頼むなら考えてもいい」

何様なんだ高等遊民だが・・・お互い様である。

「こちらから頼むつもりはありませんあなたに好意を持っているわけではないので」

「僕だってそうですよ・・・話し合いは無駄のようですね」

交渉決裂だが・・・意地を張って譲れない時点で痴話喧嘩なのである。

だって・・・二人はもう恋に落ちていますから。

クリスマス直前の出来事である。

藪下俊雄(松重豊)は娘の帰宅を待ち伏せするのだった。

「ちょっと出張で近くに来たもんだから・・・」

「こんな所で立っていたら風邪ひくわよ」

「だって・・・中に入れないだろ・・・お前が合鍵くれないから」

「何度も言うけどここは官舎つまり国の施設で無関係な人に鍵を渡すわけにはいかないわ」

悪気はないが杓子定規な依子だった。

父は娘にクリスマスの予定を尋ねる。

「毎年しているようにお父さんとツリーを飾ってフライドチキンを食べましょう」

「無理に来なくていいんだぞ」

「うちは仏教徒だからクリスマスを祝う必然性はないと最初に主張したのは小学三年生の私よお母さんもその意見に賛成だったでもお父さんがだからといって何もしないのは寂し過ぎるせめてツリーを飾ってフライドチキンでも食べようと主張したから毎年そうしているんじゃない忘れたの?」

「いや・・・最近、婚活しているからデートにでも誘われているんじゃないかって・・・」

「そんな予定はないわクリスマスとは本来キリストの降誕を厳粛に祝う日であってデートをする日であるかのように認識しているのは日本人ぐらいのものよまったく恥ずかしい文化だわ」

実は・・・鷲尾(中島裕翔)から「依子が好きだ」と告白され・・・交際許可を求められた俊雄は様子を探りにきたのだった。

早速・・・鷲尾に報告する俊雄だった。

喜び勇んで「クリスマスイブにデートをしようと思います」と俊雄に宣言する鷲尾。

じっくり考えると・・・鷲尾も俊雄も充分、変なやつだ。

巧の母親の留美(風吹ジュン)は絵画教室の生徒たちのためにクリスマス会の準備中である。巧にはサンタクロース役を命じるのだった。

「いやだよ」

「どうせうちにいるんでしょ?どうせ約束なんかないんでしょ?どうせ『素晴らしき哉、人生!』とか見るだけなんでしょ?」

「フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』1946年公開にどうせって言うなよ。アメリカじゃクリスマスの定番映画・・・ヘンリー・トラヴァース演じる二級天使は石ノ森章太郎先生にもインスピレーションをだな・・・」

「佳織ちゃんたち・・・絵画教室の卒業生を呼んでにぎやかにやる計画なんだ」

「卒業生って…オカリナばっかり作ってるバカとか自由の女神になって一日中立ってるバカとか」

「みんな立派な芸術家よ」

「自称芸術家のくずだろ・・・」

その頃・・・依子は母の亡霊・小夜子(和久井映見)に絡まれていた。

《いい年して父親と二人でクリスマスを祝うなんてどうなのよ》

「お父さんが望んだことよ」

《お父さんが望んでいたのはあなたが子供のころの話もうすぐ三十歳になる娘と二人向かい合ってフライドチキンかじって楽しいわけないあ~あこの子はこのままこうやって年を取っていくんだろうかそう思うと絶望的な気持ちになるに決まってる今年はデートの約束があるからクリスマスは一緒に過ごせないわごめんなさいといつそう言ってくれるだろうかお父さんだって腹の中じゃそう思ってるそう思いながら毎年二人でフライドチキンかじって》

「しっ・・・」

巧は思った・・・仕方ない・・・あの女とデートするか。

依子は思った・・・もう一度チャンスをあげてもいい。

二人は同時に「クリスマスイブにデートしませんか?」と送信した。

二人は同時に「こっちから送るんじゃなかった!」と叫んだ。

依子は父に伝える。

「ごめんなさいお父さんそういうわけで今年は一緒に過ごせなくなったわクリスマスにデートなんてバカげてると私は思うけど向こうが望むので仕方ないの」

父は鷲尾に悲報を伝えるのだった。

鷲尾は・・・俊雄から依子が肩凝りで「これだ」というマッサージ器を捜していると聞いて安くて手軽な優れ物を用意していたのだが残念なことに・・・。

一方の巧は母に伝える。

「クリスマスにデートなんてバカらしいと思うけどさ・・・本当に女ってのはしょうがないね・・・というわけでクリスマス会には参加できない・・・ところでクリスマスデートといえばプレゼントを用意する必要が」

「お金ないわよ・・・この間の十万円ですっからかん・・・なのであしからず」

仕方なく・・・巧は・・・愛蔵の「定本・小林多喜二全集」を売却し安いネックレスを購入するのだった。

泣く子も黙るクリスマスイブである。

街はイルミネーションに彩られ恋人たちは輝くのだった。

恋人がサンタクロース

背の高いサンタクロース

身長には自信のある依子は研究を重ねた結果、サンタクローススタイル(不正解)で出現する。

「なんで・・・鼻が赤いんですか」

「知らないんですか・・・真っ赤なお鼻のトナ・・・あ」

「そうです・・・鼻が赤いのはサンタでなくてトナカイです」

しかし・・・鼻は取り外し自由だった。

だが・・・冬の夜の外気に触れたニートはたちまち風邪を引くのだった。

「顔色が悪いですね」

「だっ・・・大丈夫です」

「大変な熱です」

「・・・」

「お宅へお連れします」

「それは駄目です」

「このような状態ではクリスマスデートを楽しむなど不可能ですさあつかまってください」

「あ・・・今・・・家は・・・」

しかし、強制連行される巧だった。

ジングルベルが鳴り響き、サンタクロースの島田宗太郎(松尾諭)とミニスカサンタ(正解)の島田佳織(国仲涼子)の兄妹が盛り上げる絵画教室のクリスマス会。

そこへ・・・虚脱した巧を担いだ依子サンタが到着する。

「藪下依子と申します谷口さんが風邪をひかれたようなのでお連れしました」

「噂のリケジョだ」

「リケジョコール」で沸く一同。

「ハアハア・・・僕は・・・これから2階で気を失うことにします・・・ハアハア・・・あなたも早く逃げた方がいい」

しかし、依子は逃げられない。

クリスマス会は依子を捕まえた!

依子は着席した。

その頃・・・鷲尾は俊雄の家を訪問していた。

傷心の鷲尾を慰める俊雄。

「でも・・・あれの・・・どこがいいんだ」

「人を好きになるって理屈じゃないんですよ・・・お父さん!」

「うん・・・」

「せっかく・・・プレゼントするマッサージ器も買ったのに・・・」

「すまなかったね」

仕方なく酒に溺れる鷲尾と俊雄だった。

完全に変だぞ・・・二人とも。

その頃・・・依子は初めて交際中の男性の部屋に足を踏み入れていた。

しかし・・・パーティー参加者全員である。

「やめろ・・・ここは俺の聖域なんだ・・・出ていけ」

しかし、(妹)はお宝の「横尾忠則イラスト画集」を狙い、(兄)はお宝の吉田拓郎や泉谷しげるのCDを漁る。

子供たちはゴルゴ13とガンキャノンのフィギュアで異種格闘技戦争を開始するのだった。

「やめてくれ」

依子は乱雑に見える書庫の整理整頓を始めるのだった・・・。

【カテゴリー・ナンセンス】

「天才バカボン1」

「バガボンド1」

「天才バカボン2」

「バガボンド2」

「天才バカボン3」

「バガボンド3」・・・

「悪夢だ・・・クリスマスの悪夢だ」・・・熱にうなされる巧だった。

【カテゴリー・数学】

「NANA」

「らんま1/2」

「めぞん一刻」

「ヤマトナデシコ七変化」

「うああああああああああああああ」・・・巧は気が遠くなっていく。

【カテゴリー・植物】

「ベルサイユのばら」

「つるばらつるばら」

「紅い花」

「アマリリス」

「のたり松太郎」

「おそ松くん」

書庫の整理を終えた依子は料理の手伝いも申し出る。

留美は一瞬・・・人並みの幸福を味わう。

「じゃあ・・・塩こしょうお願い」

「塩と胡椒はそれぞれ何gずつでしょうか?」

「目分量で」

「目分量?・・・やってみます」

慎重に測りはじめた依子。

依子の姿に留美はさぞや肩が凝るだろうと推測するのだった。

キリスト生誕劇などの隠し芸披露があり、依子が指名される。

「私には皆さまにお見せできるような芸がありません」

「円周率をいっぱい言えるとか・・・」と地雷を踏む(妹)・・・。

「せいぜい二万三千桁くらいでしょうかそれでもよければ3.14159265358979323846264338327950288419716939937510582097494459230781640628620899 86280348253421170679821480865132823066470938446095505822317253594081284811174502 84102701938521105559644622948954930381964428810975665933446128475648233786783165 27120190914564856692346034861045432664821339360726024914127372458700660631558817 48815209209628292540917153643678925903600113305305488204665213841469519415116094
3305727036575959195309218611738193261179310511854807446237996274956735188575272489122793818301194912
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一同は困惑した。

クリスマス会は終わり、依子と(兄妹)そして留美を残し・・・来客たちは解散する。

「メリークリスクス・・・遅くまでごめんなさいね」と依子を労う留美。

「いえ大変貴重な体験でした私はこのようなクリスマス会というものを経験したことがなかったので」

「・・・厳しいご家庭だったのかしら」

「いえむしろ両親はクリスマス会を開きたがっていました実際父の勧めで何度かクラスメートを誘ったことはあったんですですが不運にも毎回誰一人として 都合がつかず」

口を挟もうとした(兄)を沈黙させる(妹)・・・。

「じゃあ・・・さみしかったわね」

「いえ私自身まったく興味がなかったので」

「どうせ・・・サンタクロースも信じてなかった口だろ」と今度は発言を許された(兄)・・・。

「その問題については両親と論争したことがあります父がサンタクロースに変装してプレゼントを渡そうとしたので非現実的な存在を偽装して子供をだますのは何のためかと父に問うと父は私にも夢を見させてあげたかった答え私はお父さんにとって夢とはありもしないものを子供に信じこませることなのかと問いつめましたがそこで母がサンタが存在しないと言い切る根拠は何かと問い返しプレゼントをくれたのがお父さんだったからといって世界のどこかにサンタが存在しないという理由にはならないと反論するので私は世界中の子供たちにたった1人で一晩のうちにプレゼントを配るなんて仮に世界の子供の数を20億人として配達できる時間を24時間とした場合子供1人にかけられる時間は0.00004秒しかないので物理的に困難だと反論すると母はサンタが一人であるという前提はないし世界の子供全てに配らなければならないという条件もないすなわち複数いるサンタが毎年選ばれた数人ずつだけに配っているとすれば可能であるゆえにサンタが存在しないとは言い切れないと反論したために私は本物のサンタからのみプレゼントを もらうことにすると宣言しクリスマスの夜は部屋のドアに鍵を取り付け父が入れないようにし窓の鍵だけを開けて寝るようにしています」

「今も・・・」

「長年の習慣なのでそうすると思いますが期待はできませんね」

「もうやめた方がいいんじゃないの」

「不用心だし・・・サンタ強盗とかよく聞くし」

依子の身を案じる(兄妹)だった。

「私はいいと思うけどな・・・サンタクロースが来るかもしれないじゃない」

高等遊民の母はメルヘンの人だった・・・。

「巧さんはどのようなお子さんだったのでしょうか」依子がそれを聞くのはもちろん・・・巧のことが気になるからである。「やはり私と同様クリスマスなんて興味がなかったんでしょうね」

「あの子は・・・大好きだったわよ・・・クリスマスが」と留美は昔を思い出す。「サンタさんだってずいぶん大きくなるまで信じてたわ。サンタがくれたよ~って毎年。フフフ・・まあきっとだまされてるふりしてくれてたのかも しれないけど」

「フリ・・・」

「親を喜ばせるためにね」

親を喜ばせるためにウソをつく・・・それは依子の思いもよらぬ発想だった。

「あの子・・・親にもクリスマスプレゼントをくれたのよ・・・子供がくれるものだからたわいのないものだけど。でも、今も大事に取ってあるの」

「優しいから女の子にもモテたのよね」と(妹)が昔を懐かしむ。

「もてたんですか」

「勉強も運動もできて文才もあって絵なんか私よりずっと上手だったし」

「いつからあのような屈折した人間に」

「中学の頃から凡人と一緒にするなオーラは出してたよな・・・自分は天才だから・・・みたいな」と(兄)・・・。

「作家か芸術家になるって決めてたのね。大学のころには授業にはほとんど出ないで部屋にこもって何か書いてたわ。ある日、部屋から出てきてげっそりした顔でこう言ったの。僕は 凡人だったよ・・・創作者になる才能はないって思い知った・・・漱石や鴎外のような文章も書けないしピカソのような絵も描けないモーツァルトのような音楽も作れないし黒沢のような映画も作れない・・・って」

「比較してはいけないものと比較しやがって・・・」

「私もそう言ったんだけど頂点を目指せないんだったらやる意味がないって」

「いきなり頂上にはいけないんだけどね」

「それで就職活動を始めたんだけど・・・ちっとも うまくいかなくて・・・面接で落とされるらしいのね」

「天才気質の凡人だからねえ」

「ある日・・・面接から真っ青な顔して帰ってきてね。もう就職しない・・・高等遊民になると言ってそれきり部屋にひきこもって・・・近所の人に何か言われるのが嫌で外にも出歩かなくなって」

「面接で何があったんでしょうか?」

「さあ・・・」

「なまじ挫折知らずでプライドが高い分・・・凡人にすらなれないという現実を受け入れられなかったんだろうな」と身も蓋もない(兄)だった。

「私の育て方が悪かったのね」と忸怩たる思いの母。「でも・・・まっ、何だっていいじゃない。私はね。もう何も聞かないことにしたの。考え方を改めることにした。これもあの子の個性なんだって。別に他人さまに迷惑掛けてるわけじゃないし。私にだけ迷惑掛けてんだも
ん。ああいう子に育てたのはこの私。製造元が責任取るのは当然でしょ。どうせ・・・私が死んじゃったらどうにかするでしょうし。世の中いろんな人がいていいしいろんな生き方があっていい」

障害を持つ子供の親は・・・結局最後は社会に託すしかないのが一般的なのである。

仕方なく「きよしこのよる」を歌い出す一同だった。

あらぬことを言い出して十字架にかけられる我が子を慈しむ聖母の産後まもなくの歌である。

そこへSilent nightだった巧が姿を見せるのだった。

「具合はいかがですか」

「だいぶ楽になりました・・・あのこれクリスマスプレゼント・・・安物だけど」

「お気遣い恐縮ですこちらつまらないものですがどうぞ」

プレゼント交換終了である。

依子から巧への贈り物は・・・「若年無業者社会復帰プログラム一覧」だった。

分厚い資料の表紙には「君は一人じゃない・・・社会とつながろう・・・働くことに、社会に踏み出せない若者を支える・・・とにかく働いてみよう・・・働くことに様々な不安を抱える若者たちのための支援プログラムを用意しています」などとある。

「私が調べた若年無業者社会復帰支援事業の参考資料です現在厚生労働省も力を入れており調べてみたところたくさんありました例えばこれは親子で参加するプログラムですお母さまも育て方を間違えたかもしれないとおっしゃいましたがまさにそのとおりで家族に問題があるケースが多いのですですからお母さまも一緒に更生されると」

「やっぱり!・・・君は何も分かってないよ!母は関係ないだろ!君は!人の心の機微というものが分からないのか!」

「私が何か間違ったことを言いましたか」

「間違ってないよ!君はいつだって正しいよ!だけど心がないんだ!君には心がないんだよ!」

だけど君には心がない

だけど君には心がない

だけど君には心がない

依子は無表情で帰宅した。

「これ・・・母さんにあげるよ」

母親のくれたお小遣い→小林多喜二全集→ネックレスである。

しかし・・・母はふと思いつき・・・箱の中身を換装するのであった。

(妹)は依子のプレゼントをチェックし・・・依子の「心」を知るのだった。

「これ・・・見てごらんよ・・・どのページにも手書きで色々書き込んであるんだよ。気に入らないかもしれないけどさ・・・巧君のためにこんなに一生懸命調べてくれたんだよ。そんな人いる?・・・こんなに手間のかかったクリスマスプレゼント・・・私知らないよ」

ここにこんなに心があるよ

ここにこんなに心があるよ

ここにこんなに心があるよ

(兄)は巧を促した。

「サンタクロースになれ。恋人がサンタクロースだ。つむじ風を追い越すんだ」

母はプレゼントの箱を返した。

その頃、鷲尾は酔い潰れていた。

俊雄は決意した・・・娘に・・・クリスマスプレゼントのマッサージ器を届けることを・・・。

依子は若年無業者さえ親にブレゼントしているのに自分がしていないことを反省していた。

そのために父親に合鍵を贈ることにした。「いつでもどうぞ」のメッセージを添えて。

依子は東京の実家に向かった。

サンタクロースとなった俊雄は横浜の官舎の二階にある依子の部屋へ窓から侵入する。

しかし・・・依子は不在だった。

サンタが家にやってくる。

「登れそうだな」と(兄)・・・。

「ふっ・・・不法侵入だろ」

「夜ばいだ」

「よ・・・よばい」

「もし窓が開いてたときは神様がこう言ってると思え。今夜・・・決めろってな」

「き」

それは絵本だけの話。

でもね大人になればきっとわかるはず。

俊雄サンタは依子を待つうちにベッドで寝入ってしまった。

その部屋に巧サンタがやってくる。

「藪下さん・・・思ったより・・・筋肉質なんですね・・・僕が・・・あっ、あなたのサンタクロースです」

あれからいくつか冬がめぐり来た。

お互いを不審者だと思った巧サンタと俊雄サンタは忘れられない思い出の大乱闘。

通報を受けたパトカーがつむじ風を追い越して寒い街から来た。

依子サンタは遠い東京の街に到着した。

酔い潰れた鷲尾を父親だと思い・・・プレゼントを置く。

そこへ・・・警察から連絡が入る。

「背の高いサンタクロースが私の家に・・・」

あわてて引き返す依子サンタ。

ふと目覚めた鷲尾は大いに勘違いをして神に感謝するのだった。

サンタ姿の二名の変質者は女性宅に窓から侵入して室内で乱闘していたところをかけつけた警察官により身柄を確保されたのだった。

「すると・・・」

「一人は父です」

「もう一人は・・・」

「交際中の恋人です」

「・・・ああ」

パトカーに乗せられた巧サンタと俊雄サンタ。

依子サンタの説明で誤解は解かれたのだった。

「お父さんこちら谷口さんです」

「あ・・・谷口です」

「谷口さんこちら父です」

「あ・・・父です」

「はじめまして」と口をそろえる二人のサンタだった。

父は二人を残して東京に帰って行った。

乱闘の痕跡も露わな依子の部屋で巧サンタと依子サンタが二人きりに・・・。

「先ほど警察官にあなたとの関係性を説明する際便宜上交際中の恋人であると言ってしまいましたすみません」

「いいです・・・そう言わないと事態がさらに悪化したと思われます」

「14人目です」

「え」

「私に心がないと言った人の数幼稚園から現在まであなたで14人目です関連性のない不特定多数の方がそう評価するということはおそらくそうなのでしょう私には心が」

「そんなことはない!心のない人間なんていませんよ!・・・いいかげんなことを言ってすいませんでした」

依子はマッサージ器を発見する。

「たぶん・・・お父さんのクリスマスプレゼントです」

依子は試してみて好感触を得た。

「僕のは・・・本当につまらないもので・・・」

「また・・・お母様のお金で買ったんですか」

「いえ・・・もらえなかったんで・・・本を売って・・・でもあまり高く売れなくて・・・安いネックレスしか・・・」

しかし箱の中身は幼い巧が母に贈った「いつでもどこでも期限なし回数むせいげんの肩たたき券」だった。

「今使えますか」

「もちろん・・・」

巧サンタは依子サンタを愛撫した。

「お・・・」

「あの・・・ずっとやってないので・・・加減が・・・」

「そういえば実家で寝ていたのは誰だったのかしら」

「え」

「いえこちらの話です」

「・・・」

「あ・・・」

「え」

「もう少し下」

「ここ」

「お・・・もう少し下」

「・・・」

「お・・・お・・・お・・・」

「・・・」

「これだ!」

「え」

「こちらの話です」

聖夜の果て・・・鮮やかな朝の光がサンタの衣装を着た恋人たちに差し込むのだった。

スタッフ一同、キャスト一同、お茶の間一同がナイスゴールと拳を突き上げる。

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2015年2月 9日 (月)

天は大任を降さんとする時ことごとくその志に反せしめる(川島海荷)

孟子・告子下篇は「若い時の苦労は買ってでもしろ」の原点である。

「天の将に大任を是の人に降さんとするや、必ず先づ其の心志を苦しめ、其の筋骨を労し、その体膚を餓やし、其の身を空乏し、行ひ其の為すところに払乱せしむ」

つまり・・・天が選んだ人は・・・物凄い試練を与えられるわけである。

この前段で孟子は過去の偉人の例をあげている。

古代の聖王舜は庶民出身で、殷の賢相傅説は人夫、殷の賢臣たる膠鬲は行商人、斉の賢相たる管仲は囚人、秦の賢相たる百里奚は奴隷・・・と卑しい身分から身を起こしたものは多い・・・だから、今はどんなに苦しくてもまわるまわるよ世界はまわるなのだと言うわけだ。

ここで・・・一生奴隷だったり、終身刑だったり、庶民の場合もあるのではないですか・・・などというのは無粋なのである。

辛い境遇の人への慰めにはならんからな。

絶望して刃物を振り回すバカが多いだけに。

で、『花燃ゆ・第6回』(NHK総合20140208PM8~)脚本・宮村優子、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は吉田松陰が萌えたと噂の淫乱未亡人・高須久子の描き下ろしイラスト大公開でかなりお得でございます。「流星ワゴン」と井川遥のはしごキターッですな。また尽心上篇の「孟子曰、萬物皆備於我矣、反身而誠、樂莫大焉、強恕而行、求仁莫近焉」の件もご確認できましてありがたいのでございます。とにかく孔子やら孟子やらで勉強嫌いな人は困惑の大河ドラマですからねえ。まあ・・・基本処世術ですから・・・参考になる人もいるのかもしれませんな。東に間違いを犯した人があれば悔い改めればよいと励まし、西に苦労している人があれば生きていればきっといいこともあるよと慰める。まさに聖人君子ここにありでございますねえ。そして・・・結局・・・こんな世の中ぶっこわせばいいと囁く。まさに天才と狂人は紙一重の見本でございます。ある意味・・・広島や長崎に原爆を落し東京を焼け野原にした張本人ですからな。吉田松陰は。尊敬する他ありません。そして画伯のレビューが去年より長めでうれしい今日この頃でございます。

Hanam006大河名物、停滞の巻である。安政二年(1855年)一月で停まりました。ドラマとしては行動主義だった吉田松陰が密航失敗、弟子の獄死と挫折を経験し、懊悩して再出発する件を野山獄の描写で描いて行くという趣向。あんなに脱獄しやすそうな牢獄からなぜ逃げないのかと疑問の向きもあると思うが・・・それが鎖国というものなのだ。生産される食糧が決まっていて供給のシステムが固定されているのである。この牢にいるから食えるのだ。出れば餓死が待っているのである。下手に脱走できません。高須杉原家の娘である久子は糸子という娘を出産し道具としての役割は果たしている。たとえ不義密通の罪を犯しても飼い殺しにされるぐらいの身分の高さがあるわけである。毛利興元の娘婿である杉原盛重の血族は幕末にあっても家格が高かったのだ。そうせい侯と仇名される藩主・毛利敬親は凡庸だったが周囲の人材は優秀だった。慢性的な借財に苦しんでいた長州藩は家老に出世した村田清風の改革により密貿易でたんまり儲けたのである。しかし・・・そうなると権力闘争が盛んになるわけである。この頃、藩政は坪井九右衛門、椋梨藤太、周布政之助らが激しい主導権争いを繰り広げている。椋梨藤太が失脚し村田清風が返り咲いたかと思えば椋梨藤太がまた復活というような案配だったのである。吉田松陰はそういう政争とは関わらず・・・もっと恐ろしいことを考えていたわけである。藩なんてそのうち消えてなくなるさと・・・。

幕藩制では人間の往来は激しく制限されている。

しかし、その中で掟に縛られないものもあった。たとえば海の男たちである。

漁師や廻船の水夫たちは容易に国境を越えることが可能だった。

その中にツナギと呼ばれる忍びが潜んでいる。

幕末といえども・・・公儀隠密はそれなりに機能している。

江戸には服部半蔵がいて・・・全国の草のものの探索の成果をツナギを通じて集積しているのだ。

草のものは・・・江戸幕府が開かれる頃より、各藩に潜伏し、あるものは藩の重役であったり、富裕な農民だったりもする。代々、密偵としての使命を果たしてきたのである。草のものたちは藩の実情をツナギに伝え、ツナギたちは服部半蔵に情報を届ける。二百年続く秘密の制度である。

代を重ねた服部半蔵は・・・その名を明らかにしているわけではない。影の軍団としてその首領は大奥を通じて歴代将軍に仕えてきたのだった。

勝海舟が半蔵の一人であることは言うまでもない。

江戸のツナギの一人、弦蔵から報告を受けた覆面の男は一通りの話の後で聞きだした。

「吉田寅次郎はどうしてる?」

「ペルリの船に密航を企てた男ですな」

「おう、そうよ」

「野山獄の座敷牢につながれております」

「ほう・・・」

「周布の一派に連なる男ではありますが・・・まあ、戦力外でございましょう」

「いいかい・・・寅次郎からは目を離さないように草に指図を頼むわ」

「承知・・・」

「おめえにはわかるまいが・・・あれは・・・なかなかに恐ろしい男なのよ」

「必ずつなぎます」

「頼んだぜ」

公儀隠密ツナギ者の疾風の弦蔵は姿を消した。

覆面の男は裏店から大川へ出る。

川船に乗り込むと船頭は漕ぎ出る。

船を降りた時、男は異国応接掛附蘭書翻訳御用・勝麟太郎義邦に戻っていた。

江戸には冷たい北風が吹いていた。

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2015年2月 8日 (日)

私たちの望むものは○○棒ではなく××棒なのだ(杉咲花)

どういう意味・・・?

特に意味はありません。

意味深かっ。

世界観戦争において・・・「棒」はひとつのカテゴリーだからな。

美しい棒もあれば醜い棒もあるからな。

そもそも審美眼のない奴に「棒を語る資格」なしだよな。

棒はいいよねえ。

棒を聞いてるとボーッとなるよね。

そこかいっ。

で、『校のカイダン・第5回』(日本テレビ20150207PM9~)脚本・吉田智子、演出・南雲聖一を見た。ちなみに「マルシェ」はフランス語で「市場」である。つまり・・・マーケットだ。市場というのは基本的に売り買いの場であるが・・・それは突き詰めて言えば「情報交換」の場ということになる。美味しい話があれば食いしん坊が殺到するのである。テレビで美少女が美味しいものを食べていれば幸せになれる人は幸せなんだな。なんだなんだな。・・・本当に洗脳されているな。民主主義の基本戦略は多数派工作である。少数派は一発逆転を狙って不安な空気を醸しだそうとするが多くの場合、大衆にそっぽを向かれる。笛を吹いても踊らない人が多いからである。だから・・・魔法の笛じゃないとね。みんなを泥沼に引きづり込むくらいの魔力があるやつじゃないと。

このドラマの狙いは「生きる苦しみではなく生きる喜びを求める人は戦うべきかどうか」という点にあると思う。

そのために用意された舞台がJBCテレビなら「美女か野獣」になり、明蘭学園だとこのドラマになるわけである。

登場人物は謎めいているが・・・学園の女王・麻生南(石橋杏奈)と車椅子の男・雫井彗(神木隆之介)は実は正体不明なのである。わかっているのは石橋の杏奈氏が1992年生まれのなんちゃって高校生で・・・神木くんが1993年生まれで一つ年下ということだけだ。

何の情報だよっ。

彗は自称・大人だが・・・ひょっとしたら・・・不登校の生徒かもしれないのだった。傷だらけの制服があったってOBとは限らず現役かもしれんからな。

さて・・・階級社会あるいは格差社会の制度的オマージュとして・・・スクールカーストの導入は基本である。

しかし・・・実際の学校はピンからキリまであるために・・・なかなか共感しにくいものなのである。

似たり寄ったりの社会はそこそこ典型的ではないものだからである。

合衆国のB級映画では・・・アメフト部のキャプテンとチア・リーダーによるキングとクイーンが学校の頂点にいるのがお約束である。これを忠実にあてはめたのが「仮面ライダーフォーゼ」であることは言うまでもない。

このドラマでは・・・アメフト部の代わりにバスケ部が採用されているが・・・どうしても貧乏くさいわけである。

それはさておきアメリカンで言えばキング(ジョック)に当たるのがバスケ部の夏樹(間宮祥太朗)である。なにしろ・・・主人公のツバメ(広瀬すず)の憧れの男だったのだ。

しかし、学園的な配偶者はクイーン・ビー(女王蜂)の南ということになる。二名のサイドキック(侍従)として玲奈(飯豊まりえ)とエミリー(吉倉あおい)が配置され、ワナビー(とりまき)の代表として美森(杉咲花)が・・・メッセンジャー(小間使い)としてツバメが抜擢されたわけである。それ以外の女生徒は庶民あつかいなのである。

こうした擬似支配構造に叛旗を翻したツバメのゲームが展開しているのである。

さて・・・学園にはもう一つの支配構造があることは言うまでもない。

それは教師と生徒の関係だ。

実はここでも謎の人物がいる。

理事長兼校長の誉田蜜子(浅野温子)である。序盤では寄付金目当てで裕福な家庭の子女であるプラチナ8を優遇する言動が目立っていたが・・・中盤に入って微妙な発言がある。

ツバメを評して「似た生徒を知っている」などと言い出す。

それが・・・彗を指すのか・・・あるいは校長自身を指すのかは伏せられているがつまり一筋縄ではいかない人物なのである。

ツバメ自身にも明確ではない・・・「変革の道」をたどって・・・ここまで学園の勢力図は塗りかえられてきた。

ここでは・・・校長は中立者となっている。

車椅子の男・彗

生徒会長ツバメ

副会長油森(須賀健太)

会計玉子(清水くるみ)など生徒会役員

2年1組のクラスメートたち

校長

担任教師(金子ノブアキ)

スクールカウンセラーすみれ(野波麻帆)

金時教頭(生瀬勝久)

生徒会顧問教師(金山一彦)

プラチナ8

このような構図になっている。

しかし、プラチナ8の中ではすでにタクト(白洲迅)とエミリーは心を揺さぶられている。

今回は・・・文化祭を軸に・・・ツバメは生徒会役員に続いてクラスメートを扇動しようとしている。

慧的には・・・文化祭役員は領地としての村、クラスメートは城(都市)と考えているらしい。

転任してきたツバメは初めての文化祭が楽しみで実行委員に名乗りを上げる。

「マルシェ(市場)」の名を冠するレストランの経営がクラスの企画である。

なぜか・・・協力的な美森。

クラスは一丸となって文化祭に参加する。

しかし・・・メイン料理であるシチューを煮るかまどが破壊されると空気は一変。

ブラチナ8の扇動によって・・・クラスメートたちは掌を返し・・・「ボイコット」を叫ぶのである。

すべては・・・人気急上昇中の生徒会長を貶めるために美森が仕組んだ罠だったのである。

「よくやったわね」と美森を褒める南。

車椅子の男の館でニンジンを貪り食いながら嘆くツバメだった・・・。

「所詮・・・クラスの生徒たちは・・・支配されることに慣れた家畜なんだよ」

「言いすぎです」

車椅子の男はニンジンで間接キッスを堪能しながらツバメを煽るのだった。

「それで・・・降参するのか」

「しません」

ツバメには生徒会役員という同志がいるのである。

ツバメと生徒会役員たちはあくまで「レストランマルシェ」開業を目指すのだった。

「ツメが甘いんだよ」と夏樹。

「大丈夫」と虚勢を張る美森だった。

美森は財力を使い他校の生徒を使って油森を襲撃させる。

美森としては脅す程度のつもりだったが・・・傭兵たちはやりすぎて油森を病院送りにするのだった。

しかも・・・美森は玉子に姿を目撃されてしまうのだった。

「これ以上犠牲を出すわけにはいかない・・・」

「じゃ・・・あきらめるのか」

「・・・」

「敵は暴力という最悪の手段を使った・・・世論を味方につけるチャンスなんだよ」

「世論」

「そうさ・・・世論なんて風向き次第でどうにでもなる・・・そして風向きを変えるためには敵の弱点をつくのが一番なのさ」

「弱点・・・」

「そのためには・・・敵の弱みを握ってこい」

ツバメは・・・傭兵たちから情報を収集する。

そして・・・美森が実は中学時代に無視による苛めを受けていたことを知るのだった。

文化祭前夜・・・教室で一人、篭城を続けるツバメ。

美森は・・・クラスメートを引き連れツバメを嘲笑しにやってくる。

しかし・・・文化祭の盛り上がる中・・・クラスメートの中には参加したい気持ちも芽生えていた。

ツバメは魔法のトラメガを取り出した。

「私は文化祭をやりたい。みんなで文化祭を楽しみたい。しかし、それを君たちに強要したりはしない。君たちの本心はどうなんだろう。楽しみたいのか。楽しみたくないのか。油森くんは私と楽しみたいと言ってくれた。しかし、彼は今、病院のベッドにいる。何故だ。やりたいものにやるなと言う誰かがいるからだ。暴力をふるってまで強要するものがいるからだ」

蒼ざめる美森。ツバメは魔法の棒を取り出した。

「この棒で・・・その人を打つことはできるかもしれない。やりたいものにやるなと言うなと強要することは可能かもしれない。けれど私は昔・・・自分がいじめられることを恐れ・・・いじめる側に参加したことがある。仲間はずれにした人を笑いもした。人に嫌なことをしている時ほど人は笑います。もっと昔・・・誰かを仲間はずれになんかしなかった頃・・・たとえばみんなで作って食べたカレーはなんて美味かっただろう。そして誰かを仲間はずれにして食べたものはなんて不味かっただろう。私は笑いながら泣いていた。でも・・・仲間はずれにされた人間はもっとつらかったのではないか。もっと泣いていたのではないか。その人の食べるものが美味しかったとはとても思えない。だから・・・私は決めたのだ。この棒でおいしいものを作ろうと。望むものは誰でも・・・みんなで食べることのできる美味しいものを・・・マルシェにはおいしいものがたくさんある。一人で食べるよりもおいしい料理がきっとできる。私が立つのはやりたいからやるだけの世界。境界線を越えて・・・やりたい人だけがやればいいのだ。私がやりたいことはただ一つ・・・みんなで飯ウマって言いたいだけ。心から笑いたいだけなのだ・・・だから・・・明日来るものをけして拒んだりはしないのだ」

翌日・・・ツバメはシェフのコスプレで同志たちと大きな鍋を囲む。

南は「まあ・・・淋しいこと」と嘲笑する。

しかし・・・クラスメートたちは次々と現れ・・・食材を鍋に投げ入れる。

ニンジンが。玉ねぎが。ジャガイモが。ミルクが。肉が。

ツバメは棒で鍋をかきまぜた。

おいしいシチューが出来上がっていく。

そして・・・美森もトリュフを持って現れた。

「ごめんなさいでした」

美森は油森に謝罪した。

油森は笑って「トリュフを切ってください」と促すのだった。

美森はプラチナ8の指輪を南に返上する。

「私は・・・一人ぼっちにされるのが嫌で作り笑いを浮かべていました・・・本当は笑うのが苦手な暗い子なんです・・・だから・・・指輪はいりません」

レストランマルシェは大繁盛するのだった。

「どうです」

「そこそこだな」

車椅子の男はシチューで間接キッスを楽しみながらツバメとそこそこイチャイチャするのだった。

「これで・・・生徒会役員という村、クラスメートという城壁都市を手に入れた。敵の一部の寝返りも達成した・・・」

「・・・」

「いよいよ・・・本陣に切りこむぞ」

そんな二人を南は見ていた。

革命はこのぐらいの時が一番楽しいよね・・・成功した時は阿鼻叫喚だからねえ。

私たちの望むものはあなたと生きることではなく

私たちの望むものはあなたを殺すことなのだ

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2015年2月 7日 (土)

セカンド・ラブ(亀梨和也)延長は絶対しないのだ(深田恭子)

表現の自由を制約するものに「性」がある。

「性」があることは多くの人が認めるところだが・・・絶対に認められない人がいるわけである。

「性」というものの世界観戦争は複雑怪奇なものである。

「性」がなければ人間もいないわけである。

「性」を表現することの不自由さは表現者なら誰もが感じることである。

なぜ・・・それを表現してはいけないのか。

明快な答えなどない。

人を殺してはいけないのと同じように・・・それはあからさまにしてはいけないものらしい。

人を殺してはいけない理由が「殺されたくない人がいるから」だとしたら・・・。

性を表現してはいけないのは・・・「表現されたくない人がいるから」なのだろう。

それは・・・どんな人なのだろう・・・考えると恐ろしくなるのだった。

で、『セカンド・ラブ・第1回』(テレビ朝日201502062315~)脚本・大石静、演出・塚原あゆ子を見た。「夜行観覧車」「Nのために」と地味にスタイリッシュな作品を仕上げて来た演出家が還暦を過ぎてもなかなかにチャレンジャーな脚本家を迎えて初回を見る限り深夜ドラマとしても際どいラインまで性を表現するらしい。男女ともに美しいスターを迎えてのラブ・ロマンスであり・・・物凄い傑作になるかもしれないが・・・そもそもお茶の間はそういうものに対して見る目がないのである。その見る目のなさは・・・そもそもそういう表現を見慣れていないことに原因があるわけだが・・・逆に言えばストレートに見過ぎてもいるわけである。そういう・・・極限の状況にあって・・・由緒正しいラブ・ロマンスをどこまで追求できるのか・・・これは・・・観察するしかないのだった。

ダンスの世界はなかなかに奥深い。

おそらく・・・その背景を借りて物語は展開していくのだろうが・・・一部お茶の間はバレエ漫画という独特のジャンルをこなしているかどうかでかなり・・・感情移入力が変わってくるだろうと予測する。

主人公の一人、平慶(亀梨和也)はコンテンポラリー・ダンサーという設定である。

コンテンポラリーは現代的な・・・という意味だから・・・現代のダンサーは全員コンテンポラリー・ダンサーということになる。

しかし・・・この場合のコンテンポラリーは・・・バレエのジャンルにおける・・・クラシック(古典)とコンテンポラリー(新作・新解釈・新アレンジ=現代的発展系)の意味合いが強い。

コミック「舞姫 テレプシコーラ/山岸凉子」の第二部ではローザンヌのバレエ・コンクールを舞台にクラシックとコンテンポラリーを基礎と応用の側面から捉え主題としている。バレエの基礎力を鍛えるだけでなく創作力が問われて行くという展開である。

つまり・・・バレリーナたちはコンテンポラリー(現代的であること)が要求されるのだった。

この辺りのことまで表現してくれるといいよねえ。

もう一人の主人公である西原結唯(深田恭子)は三十代の県立山王女子高校の化学教師である。女子大生時代にファッション誌の読者モデルになって・・・脚光を浴びた過去がある。しかし・・・読モ仲間のミオパン(テレ朝なのにな)は女子アナになっているのに・・・と独身の結唯は思わずにはいられない。

身の回りのティーンズたちがうらやましいのである。

「教職で生活は安定しているが・・・未来がない」と結唯は感じている。

まあ・・・深田恭子なのでそうは見えないのですがドラマですからっ。

大抵の女子高生は確実になぎ倒す恐るべき(32)なのである。

だが・・・ドラマの中の結唯は・・・妻子ある同僚教師・高柳太郎(生瀬勝久)と五年間も不倫を続けている残念な女なのだった。

二人はラブホで「現地集合」し、高柳にとっては完全なる火遊び、結唯にとってはできれば結婚を前提とした不倫だがどうしてもというわけでもない性欲の捌け口である。

高柳は「情熱の真っ赤な薔薇を胸に咲かせよう」などと事後に熱唱したりするが絶対に延長したりはしないのだった。

二人はラーメンを食べて、一皿の餃子を分けあって帰宅する。

高柳は愛妻の作る天然ブリの照り焼きを食べたりする。

結唯は母親の真理子(麻生祐未)が作るかやくご飯のおにぎりを持て余す。

侘しいのである。

真理子は夫に浮気され離婚。それ以来、二十年間・・・「浮気」と聞いただけで蕁麻疹を発症するのだった。

一同爆笑の侘しさなんだな。

テレビのクイズ番組に熱中する母親は明らかに娘に癒着していて重苦しい。

娘に死ねばいいのにと思われても仕方ない状態である。

そういう状況は・・・まるで死んでいるような自分を結唯に感じさせる。

だから・・・理科室から職員室に通じる渡り廊下で・・・冬の夕日を浴びて・・・結唯は深呼吸するしかない。

手を伸ばして大きく息を吸って・・・。

その姿を・・・アルバイト帰りの平慶は見た。

港湾で・・・荒くれ男の田島(寺島進)たちに混じり、荷物の積み下ろし作業で凌ぐ平慶は・・・バレエ団のオーティションを受け結果待ちをしていた。

二十代の終わりにさしかかり・・・突然、黄昏に包まれてしまった自分と折り合いがつかないのである。

幼馴染でダンサー仲間の野口綾子(早見あかり)はそんな平慶を案じるのだった。

チラシ配りのアルバイトもしている慶を手伝い・・・ラーメンにはニンニクを投下する。

バレエ教師の職をふったり、バックダンサーの募集に誘ったりもする。

「そろそろ・・・新しいステージのことを考えた方がいいよ」

「俺は・・・ソリストだ・・・」

いつまでも過去の栄光にすがっても・・・と綾子は言わない。

「今シーズンはベルリンのバレエ団が最後だね・・・合格するといいね」

しかし・・・平慶も気が付いている。

ダンサーとしての黄昏を・・・。

自分はもうソリストとして返り咲くことはできないのではないかと・・・。

ソリストとしての自信を失いつつあったのだった。

世界的には振付の巨匠・モーリス・ベジャール(1927-2007)も死去し、彼が名作「ボレロ」を振り付けたコンテンポラリー・ダンスの代名詞である現代バレエの女王・・・シルヴィ・ギエムも2015年にいよいよ引退するらしい。ギエムはまもなく五十歳である。

それに比べれば・・・平慶は早すぎる終焉を迎えつつあったのだ。

だが・・・天性の踊子である彼にとって・・・ダンスを失うことは・・・死を意味していた。

死にかけた二人が出会い・・・とにかく・・・平慶は天啓を受けたのだった。

・・・あの人に愛されたら・・・俺は自信を取り戻せる・・・。

とにかく・・・理屈の通じないタイプである平慶はやみくもに天使へのアプローチを開始する。

つまり・・・女子高の校門で待ち伏せである。

なにしろ・・・一般的な常識は通用しないのだ。

天才ダンサーなのである。

だが・・・上田波留子(秋山菜津子・・・「家族狩り」で狂った刑事の狂った妻を演じていた)たち常識の権化である教師軍団はダンサーを排除する。

しかし・・・懲りないダンサーは雨の日にまたもやってくる。

傘の花の開く中・・・ダンサーは化学教師に電話番号を渡すのだった。

高柳や上田は・・・疑わしい眼差しで結唯を見る。

仕方なく・・・結唯はポケットの中の飴玉で疑いを晴らすのだった。

けれど・・・天才ダンサーの持つ恐ろしいオーラに魅了され・・・とりあえず・・・素晴らしいインターネットの世界で検索してみる結唯。

平慶(たいらけい) (1987年4月6日~)

日本を代表するコンテンポラリー・ダンサーの一人。

2004年 ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝。

     ドレスデン(ドイツ)のフォルトナー・バレエ団に入団。

2009年 同団においてソリストとなる。

平慶はフリー百科事典に経歴が記されたそこそこの有名人だった・・・。

思わず・・・電話してしまう結唯なのである。

「あの・・・」

「今、どこにいるの・・・」

「え・・・」

「今、どこにいるの・・・」

「・・・」

「今、どこにいるの・・・」

一般人はけして真似しないでください。

しかし・・・呼び出しに応じる結唯だった。

何故なら・・・結唯もまた重苦しい現実から逃れたかったのだ。

噴水のある公園で落ちあう二人。

「あなたは・・・本物」

問われて踊りだす平慶だった。

コンテンポラリーダンスである以上・・・何らかの意味が表現されているわけだが・・・。

この場合は・・・。

好きだ・・・交際してくださいなのだろう・・・。

「つきあってください」

思わず後ずさる結唯。

「これ・・・新種の詐偽ですか・・・私・・・お金ないです」

逃走する結唯だった。

「なんだよ・・・」

お前がな・・・とぼやくお茶の間だった。

しかし・・・逃げた先に待つのは・・・色褪せた現地集合である。

「魔女の宅急便」のキキにそっくりな謎めいた女子生徒・竹内そら(小芝風花)から・・・「私も現地集合していいですか」とからかわれた結唯。

その夜・・・蘇るのは・・・平慶の熱い視線である。

もはや下半身が我慢できないらしい。

電話をしながら・・・家を飛び出す結唯・・・。

連絡はつかなかったが・・・件の公園でお約束の再会である。

「何で電話にでないのよ・・・」

しかし・・・思わず結唯を抱きしめ、キスをする平慶だった。

「それでおしまいなの・・・」

「・・・」

「私を愛しているなら・・・セックスしてください」

「はい」

二人は平慶の部屋で結ばれるのだった。

自分で脱衣し・・・騎乗位で激しく平慶を飲みこむ結唯。

限界に挑む濡れた摩擦音が深夜のお茶の間に鳴り響く・・・。

どうやら・・・イケイケらしい。

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妖怪人間ベム

Sl001ごっこガーデン。愛と青春の部屋。エリ高等遊民を遥かに超えて行くコンテンポラリー・ダンサー・・・女子高生にはハードすぎる展開なのでス~。しかし・・・あくまでごっこなのでムフッとチャレンジなのでス~。ムフフ・・・じいや、おやつはスタミナ回復のためにニンニクたっぷり味噌ラーメンにしてね~まこぎゃぼーんでしゅ~くう刺激強すぎて・・・笑っちゃってもいいですか~シャブリ序盤でたったひとつの恋を思い出した人は多いのでありました~・・・早見あかり様はセリフ回しが独特なのでありました~ikasama4これは・・・初回に出し切るパターン・・・それともエスカレート?・・・二夜連続ヅラ刑事先生ですな

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2015年2月 6日 (金)

生々しい夜を越えて(二階堂ふみ)尖ったオブジェの彼方に(高畑充希)

世界観戦争の戦いは孤立無援である。

それは個人と全世界の戦いだからである。

平和を信じることができる人は幸福だ。

幸福な人はたやすく降伏するのである。

命が大切だと言われれば降伏する。

自由が大切だと言われれば降伏する。

平等が大切だと言われれば降伏する。

愛が大切だと言われれば降伏する。

降伏し続けた人間が自分の世界観に気がつく時。

世界は恐怖する場合が多い。

で、『問題のあるレストラン・第4回』(フジテレビ20150205PM10~)脚本・坂元裕二、演出・加藤裕将を見た。世界観戦争において情報の果たす役割は大きい。個人精神と世界精神の情報の激突こそが宇宙の真の姿だからである。個人精神は常に世界精神の汚染にさらされる。愛の情報を注がれた精神は個々の認識力によって精神を愛の情報で汚染され時には愛の情報によって支配されてしまう。情報伝達という戦闘行為によって個人精神は常に危機に瀕するのである。共通認識という大量破壊情報伝達は時に個人精神を完全に破壊する。世界精神による支配から脱するために個人精神は情報を遮断したり情報を発信したりする。しかし・・・結局は圧倒的な世界精神に壊滅的打撃を受けるのが一般的だ。

アイドル戦国時代においてりんちゃんこと丸山夏鈴は実に個性的な存在だ。なにしろ、悪性の脳腫瘍摘出手術を7回受けているのである。現在は転移した肺がんも患っている。りんちゃんは語る。「私は泣かない。泣いてなんかいない。心がおれたって前を向く。成功の反対は失敗じゃない・・・何もやらないであきらめること」・・・りんちゃんのデビュー曲は「Eternal Summer」だ。この曲を聞いて・・・神様、もっといい曲はなかったのですかと思うのは悪魔だからである。なにしろ・・・熱唱したら呼吸困難になるアイドルなんだから。こうして世界観戦争は果てしなく続いて行くのです。

東大出身の秀才・ゼネラルプロデューサー新田結実(二階堂ふみ)は再就職のために面接を受けている。

学歴社会である以上、絶対のカードを持っている東大ちゃんだが・・・異常な男尊女卑社会において女性であるという不利なカードも併せ持つのだった。

この世界がそこまで男尊女卑かどうか・・・それは個々の世界観の相違ということである。

「卵子っていうのはどんどん老化してくんだよね。あなたも早く結婚しないと赤ちゃんできなくなっちゃうよ。少子高齢化の解消のためにもどんどん産まないと卵子が腐っちゃう前に」

いきなり・・・面接官が暴言で責め立て言葉を失う東大ちゃん。

「なんていうクライアントもいるからね。フレキシブルに対応しないと営業は務まりませんよ」

リクルートスーツに身を包む現役女子大生に囲まれ萎縮する東大ちゃん。

ふと目にした幼子たちの集団が・・・東大ちゃんの古い記憶を蘇生させる。

色とりどりのお遊戯のための装飾品。

「好きな色を選んでね」

幼稚園教諭は言うが・・・残されているのはグリーン。

緑は東大ちゃんを苦しめる色。

ちなみに・・・東大ちゃんがこの色から連想するのはアニメ「美少女戦士セーラームーン」の登場キャラクターの一人・セーラージュピターである。そのイメージ・カラーがグリーンなのである。そもそも・・・戦隊ものにおいてグリーンはイエローと並ぶ脇役色である。もちろん・・・全員がピンクというべき特殊な「セーラームーン」の世界ではそのままこの図式が当てはまるわけではない。しかし、セーラージュピターの男勝りの性格設定、惚れやすくもてない役回りは幼女たちの心をそれほど奪わないわけである。ちなみに実写版では安座間美優が演じている。主役のセーラームーン(沢井美優)やセーラーヴィーナス(小松彩夏)もいるが・・・男子ヒーロー色のレッドであるセーラーマーズ(北川景子)が一番の売れっ子スターになっているところが興味深い。

理想と現実のギャップに疲れた東大ちゃんは・・・反逆のレストラン・・・ビストロフーにたどり着く。

一度目の開店を失敗したメンバーたちは・・・シェフ・雨木千佳(松岡茉優)を獲得し再スタートのための準備に入っていた。

三千院鏡子(臼田あさ美)の作った豚の甘辛ソテーを「くそっす」と決めつける天才シェフだった。

田中たま子(真木よう子)はとりなそうとするが・・・。

「くそ店員がくそ食材をくそ調理してくそ飯出すくそ店っす」

「せめてファッキンって言いなさいよ」とお茶の間を気遣うハイジ(安田顕)だった。

「ファッキンなんてくそっす」

「理不尽だわ」

「ありとあらゆるものを殺して食っちまうのが理不尽なことっす」

「・・・」

出戻って来た東大ちゃんを生温かく迎えるメンバーたちだった。

「喪服ちゃん・・・おかえり・・・」

「ただいま・・・」

ここでお茶の間はたま子が寒がりだったということを知らされる。

じゃ・・・なんで・・・真冬に青空レストランなんてやる気になったんだよ。

一方・・・いかにも暖房の効いたビストロ「シンフォニック表参道」・・・。

原宿ファッション界のリーダーらしい伊達和美(銀粉蝶)も店内にいる。

勝者としての女性の登場である。先週まで妖怪年食いの餌食になっていたのだが・・・それは別人だ。

伊達は料理に満足してシェフに会いたいと告げるが・・・傲慢なシェフ・門司(東出昌大)は無視する。

ウエイトレス・川奈藍里(高畑充希)は「シェフは今、手が離せず・・・」とフォローする。

伊達はジャガイモとキャベツと厚切りベーコンのポトフを食してつぶやく。

「分かる人に分かればいい・・・客に媚びない料理よね。でも注文をつけるとすればもう少し・・・あったかいといいわね」

その言葉を藍里から伝えられ・・・顔色を変える門司だった。

「俺のスープはあったかいんだから~じゃないと・・・」

一方、再開店の特訓中のビストロフーでは千佳が悪口雑言でメンバーを叱咤激励するのだった。

義務教育を完全スルーの天才シェフと東大ちゃんは激しくバトルする。

「口の裏側やけどするがいい」

「目に蜜柑汁入れ」

「割り箸毎回変な風に折れるがいい」

「タッチパネルの反応一生鈍くなれ」

恐ろしい呪いである。

しかし・・・たま子のリーダーシップはCups(カップス・・・流行中のカップと机と手拍子を組みあわせたパフォーマンス)のリズムにのって女たちをまとめ上げるのだった。

かわいいよ、リーダー、かわいいよ。

かわいいよ、東大ちゃん、かわいいよ。

でかいよ、ハイジ、でかいよである。

ソムリエ・烏森奈々美(YOU)も忍びよるのだった。

準備が整いたま子は再オープンの景気づけに色違いのスカーフを用意する。

残されたのはレッドとグリーン。

残ったのはたま子と東大ちゃん。

東大ちゃんは・・・緑を選ぶのだった。

しかし・・・翌日からは雨天続きである。

ついには雪も降りだす。

集客のためのホームページが・・・創世記である。

ホームページを見下した東大ちゃんはビラ配りを命じられるのだった。

誰もがみることのできるサイトは誰もみないサイトだから。

しかし・・・それは新たなる世界観戦争の導火線となってしまう。

異常な男尊女卑社会を否定する女と・・・。

肯定する女が出会うからである。

まともな男が一人もいない世界を異常と感じる人は多いだろう。

しかし、それはまともな男を知っているからなのか・・・それともまともじゃないことをまともであると受け入れているからなのか。

そういう世界観戦争をお茶の間に問いかけるのだった。

質問は先制攻撃なのである。

ピンクの藍里はブラックの東大ちゃんに問いかける。

「何してるの」

逃走する東大ちゃん。逃走は拒絶的闘争である。

「何で逃げるの」

追跡するピンク。狙った獲物は逃がさないのだ。ピンクは異常な愛の勧誘員なのである。

カフェに逃げ込んだブラックを・・・ピンクは捕獲するのだった。

「今夜売れないイケメン俳優たちと飲み会があるの・・・」

「行きません」

「恋をした方がいいよ」

「あなたは恋をしているつもりでただ遊ばれてるだけじゃないんですか」

「男の子と寝るのが遊ばれてるとか・・・狂ってる」

ブラックはピンクの挑発に応じるのだった。

なにしろ・・・処女なのだ。

カラオケ・ルームのブラックはイケメンに迫られて我を忘れる。

なにしろ・・・未経験なのだ。

その頃・・・ブラックの投げ捨てたチラシを拾った伊達がビストロフーに来店する。

たま子は精一杯にもてなす。

「料理を讃える言葉はおいしいだけじゃなくて・・・もう一つあるのよね」

「・・・」

「あったかい・・・」

「ありがとうございます」

微笑み合う成功した女と挑戦する女。

伊達は友人の誕生会の会食をビストロ「シンフォニック表参道」からビストロ「fou」にチェンジするのだった。

たま子に差し込む希望の光・・・。

しかし・・・その頃・・・ピンクとブラックは火薬庫に火を放っていた。

ピンクは汚染されることを拒絶するブラックを凌辱するための罠を仕掛けている。

ジブリの森美術館で巨神兵のオブジェに殴り飛ばした男。

六本木でクモのオブジェに突き飛ばした男。

ピンクの頭に残る傷痕を・・・プラックにも分け与えたいのである。

ブラックをその気にさせた男は別の女を持ちかえった。

取り残されたブラックは酔い潰れる。

ピンクはブラックを・・・実は悪魔くんである星野大智(菅田将暉)に委ねるのだった。

ピンクには門司がいるのである。

しかし・・・門司は今・・・伊達を暖めるためのレシピの開発に没頭しているのである。

そして・・・ピンクに一方的に迫りはじめる同僚の池辺(川口覚)・・・。

ピンクが振りまくお愛想は・・・異常な男たちを勘違いさせるのだった。

しかし・・・優しげな池辺の態度は・・・いつしか虐げられることに慣れたピンクには鼻につくのだった。

朝までカラオケルームで寝入ってしまったブラックは悪魔くんの歌声で目覚める。

ブラックは悪魔くんの存在に・・・温もりを感じるのである。

逃れても逃れてもこの世界には男と女しかいないからである。

遅刻した悪魔くんが同僚から手荒な指導を受けるのを目撃したブラックは恋の罠に落ちるのだった。

窓際痴漢・西脇(田山涼成)とお尻を触らずにはいられない土田(吹越満)のセクハラを放任しながら・・・伊達のキャンセルを伝えるピンク。

肉の仕入れ先から情報を得た土田はビストロフーに圧力を加えるのだった。

肉の仕入れを断られたたま子は困惑する。

父親への愛と憎しみのカオスの中で鍛え上げられた千佳は・・・たちまち真相を見抜くのだった。

「嫌がらせなんて卑怯でしょう」とクレームをつけるたま子。

しかし、門司は・・・「食材の仕入れから勝負は始ってんだよ・・・俺は獲られた客は必ず取り返す男だ」と嘯く。

「魔空間に落ちればいい」と呪う千佳。

「帰らないとおっぱい触っちゃうよ」と窓際痴漢のノリノリの下衆っぷり披露である。

仕方なく退散するたま子と千佳だった。

「じゃ・・・俺、娘の発表会に行くから・・・」

恐ろしいことに土田は女子の父親なのだった。

それが・・・おかしな世界観というものなのだった。

肉を失ったたま子に千佳は食材を指定する。

「あんこうだ」

「季節的にね」

「東京にはないよ」

寒がりのたま子はブリザードの吹き荒れる北の港に派遣されるのだった。

ブラックは悪魔くんの運転する営業車で面接会場に向かう。

「高校どこっすか」

「普通の県立高校です」

「卒業したんすか」

「え・・・はい」

「すげ・・・頭いいんすね・・・」

ブラックはどんどん・・・深みにはまっていくのだった。

ブラックの纏った鎧は溶けて流れ出す。

「大学では全国展開する飲食チェーンのマーケティングに関して研究を重ねてきました。五千件以上の立地条件の データを集めることで比較検討を行い」

「転職前の会社ではどのような実績を」

「実績は・・・ありません」

「東大卒なのに」

「ノウハウとコネを手に入れたら退社して起業しようと思ってたんです。でも実際入ったらノウハウどころか頭でっかちの使えない勉強バカだったと気付きました」

「なるほど」

「私は緑なのです幼稚園のときにセーラームーンっていうアニメがありました園庭でよくそのごっこをしてたんですけどみんなはだいたいセーラームーンとかセーラーマーキュリーを選んで私はいつも最後まで残ったセーラージュピターで。セーラージュピターのイメージは緑でした色には順番があったんです女の子が赤とかピンクとか色分けされたものを分けるとき私はいつも緑を選ぶ係でした選ぶっていうか選んだふりで緑を取るんです素直に赤とかピンクを選べる人が不思議でしたあなた人生何回目って思いました私まだ1回目だから赤が欲しいって言えないアニメのセーラームーンは敵と戦ってたけど女の子たちのごっこのセーラームーンはセーラームーン同士で戦うんです大人になってそれを別の言葉で 知りました女の敵は女だよって私は 初めからそこで負けていたから他の子がファッションとか恋とか選ぶとき私は勉強を 選びました好きじゃなかったけど残ってたから勉強を選びました大学に受かって友達とか家族とかみんな褒めてくれましただけどそこにはいつも女の子なのに変わってるよねっていうニュアンスが付け加えられてました会社に入ってやりたいことを頑張ろうと思ってたらテプラ(ラベルプリンター)の研修があってどうしてか女子だけがテプラの研修があったんですけど同期の子が言いました男は勝てば女に愛されるけど女は勝ったら男に愛されなくなる女は勝ち負けとか放棄して男に選ばれて初めて勝利するんだあれ?じゃあ 私 一生勝てないじゃんって思いましただって緑だもんって思いました赤も ピンクも 緑も全部黒ければいいのに黒いセーラームーンがいたらよかったのにってそれで 私そういう自分をたぶん見たくなくていろんなものを人を見下したり見上げたりしていたんですけど最近レストランのバイトを 始めて」

その後・・・ブラックが何を語ったかは伏されるが・・・何故か・・・一次面接を突破するのだった。

おそらく・・・面接官が変人だったのだろう。

今季は一週間に二人も東大女子がいるんだぜ。

それが世界観戦争というものだからな。世界観がかぶりやすいのがか。

意外な成功にのぼせたブラックを待ちかまえる悪魔くん。

「え・・・どうして」

「なんとなく気になって・・・どうだったの」

「明日の最終面接に残りました」

「やったね」

ずっとそばにいる悪魔くんにブラックの心は染まっていくのだった。

もはや簡単な魔法で心を奪われるブラック。

「すごい」

「まあ・・・他にはなんにもできないけどね」

「私もなにもできないです」

「可愛い子は何もできなくてもいい゛ゃないですか」

「私・・・可愛くないし」

「何言ってんですか・・・すごく可愛いですよ」

「え・・・」

キスしようとする悪魔くんから逃れるブラック。

なにしろ・・・乙女である。

「俺じゃ・・・無理ですか・・・いい感じかなって思ったんですけど」

「いえ・・・びっくりしちゃって・・・」

その時・・・悪魔くんの端末に着信がある。

《発信者heart01りお コメントheart01洗濯ものだしっぱなしだったよ》

女子・・・同棲している女子がいる・・・ラブラブな恋人がいる。

一瞬で悟ったブラック。

しかし・・・悪魔くんはブラックを女の敵に仕立て上げるのだった。

「今の・・・いや・・・ちょっと・・・いや・・・待って・・・ちょっと・・・いや・・・あ」

とにかく・・・初体験を終えたブラックだった。

そして・・・すっかり恋人気どりのブラックなのである。

しかし・・・女の敵の女の敵の女から着信は続く。

面接の時間が迫っていた。

目覚めた悪魔くんはさりげなく切りだす。

「ちょっと・・・お願いがあるんだけど・・・」

借金を申し込む悪魔くん。簡単に応じるブラックだった。

「あの・・・私・・・すごくいいこと思いついたんだけど」

将来設計かっ。

「ごめん。今時間ないんだよね・・・お金絶対すぐ返すから・・・またすぐ連絡するから」

お金帰ってこないぞ。すぐに連絡こないぞ。来たとしても借金の申し込みだぞ。

叫ぶ心あるお茶の間の皆さん。

しかし・・・ブラックからレッドに変身する東大ちゃん・・・。

出血大サービスかっ。

「えっ」とレッドの変貌に驚く三千院。

「その急激にテンション上がるとこ気持ち悪いです」と冷静な千佳。

「着替えて手伝います」

「あら・・・珍しいわね」

「いよいよ・・・会社作る方向で考えようかなって・・・パートナーが見つかったんで」

うっひゃああああっと絶叫する一部お茶の間。

決戦の金曜日である。

土田はピンクを偵察のために敵地潜入させるのだった。

伊達が友人たちとともにやってくる。

たま子の待ちかねたお客様たち・・・。

シェフのお任せコース

あん肝のテリーヌ

皮のマリネ

煮こごりのジュレ寄せ

胃袋のトマトスープ

ベーコン巻きソテーオレンジソースがけ

ブイヤベース

ハイジのスイーツ バースデイケーキ

千佳は無慈悲にあんこうを捌いた。

順調にもてなされる伊達様ご一行・・・。

しかし・・・乱入したピンクはレッドに仕掛けた罠を仕上げるのだった。

「大丈夫ですか」

「何がですか」

「大丈夫ならいいんだけど・・・ちょっと心配で」

「何の話ですか」

「男に期待してもって話」

「・・・」

「でも私のこと嫌いな人にアドバイスしてもしょうがないか」

「私別にあなたがピンクだから嫌ってるんじゃないんですバカなふりしてるから嫌いなんです女はバカなふりをするのがベストっていうの実践してるから嫌いなんです信じてもないくせに得意料理は肉じゃがですって言わなきゃいけない宗教に入ってるから嫌いなんです浮気はバレなきゃいいって言わなきゃいけない宗教に入ってるから嫌いなんです彼氏に殴られても私の方が悪いって思う宗教に入ってるから嫌いなんです」

「あなただってこっちに来たいんでしょう・・・負けを認めればいいじゃない・・・こっちは男に力ずくで押さえ付けられたら・・・何もできないんだから」

「・・・」

レッドはカットされたケーキを託された。

大惨事の予感に息を飲むお茶の間。

「あいつ・・・一緒に住んでる子いるよ・・・その子にすごい借金してるし・・・付き合う前にしちゃったら付き合えないよ・・・あなた・・・それって遊ばれてんじゃん」

「シュープリーム・サンダー」

ピンクの顔面に炸裂する稲妻パワーだった。

そのまま・・・木星を守護にもつ保護の戦士は持って生まれたこの力で取っ組み合い・・・誕生パーティーは台無しになるのだった。

「あのお客さん二度と来ないね」とソムリエ。

「殺す」とシェフ。

「落ちついて」とパティシエ。

「出て行きます」と東大ちゃん。

耐えに耐えて来た世界観がすべてを破壊したのだった。

「出ていっちゃ駄目!・・・こんなんでほっぽり出して出ていっちゃ駄目!・・・頑張ろう!・・・もう一回頑張ろう!」

しかし・・・たま子の願いも虚しく東大ちゃんは出て行くのだった。

二週連続退場である。

二十年以上も火の用心していたのにマッチ一本で全焼だからな。

一方、顔を洗ったピンク。痛々しい偽物のピンクの正体が明らかとなる。

「孫に衣装買ってきてって言われてね」

恐ろしいことに窓際痴漢は女子の祖父なのだった。

「ああ・・・セーラームーン・・・新作公開したんですよね・・・ももクロが主題歌歌ってますね」

「月にかわっておしおきよ!」

「それは主人公です・・・私はたいていセーラージュピターでした」

「それって何色?」

「緑です」

ジュピターVSジュピター・・・女の敵は女・・・そして人間の敵は人間なのだ。

ピンクにストーカーと化した池辺が近付く。

「温泉どこにする」

「え」

「私と池辺さんが温泉に行くんですか?」

「遠慮しなくていいから・・・僕たち付き合ってるわけだし」

みんな問題がある。

答えれば全面戦争なのである。

ここはワルツだな。

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2015年2月 5日 (木)

ふるさとをとりもどせ!限界集落株式会社(松岡茉優)

あれはまだK氏が生きていた頃。

「はじめて彼女をラブホに連れ込もうとした時、思わず実況してしまった」というネタで笑わせてくれたF氏を思い出す。

猫撫で声であくまで冷静に中立の立場を保つ必要があると語るF氏に・・・本当に吐気がした。

現地に行って「なんということでしょう・・・人が人を燃やしています・・・まさに驚天動地!燃えるアラブの闘魂テロリズム。掟破りのISISにイスラムを名乗る資格なし。こんなものに配慮を願うコメンテーター、それに同調するお茶の間なんてウジ虫毛虫こん畜生だ」と実況してほしいとは言わないけどさ。

まあ・・・高額所得者として・・・格差解消について毎日語るうちに欺瞞に耐性つきすぎですかね。

「今、日本人が危ない」なんてテロリストの思惑通りに叫ぶことに・・・忸怩たる思いはないのかな。

心の底から残念だ。

心あるものは毅然とした態度で無法者たちと戦うしかないのである。

で、『土曜ドラマ・限界集落株式会社・第1回』(NHK総合20150131PM9~)原作・黒野伸一、脚本・櫻井剛、演出・岡田健を見た。おい・・・ここかよっ。これもまた世界観戦争だからな。なにしろ・・・農産物をつぶしちゃう国なのである。百年前には食えなくて餓死してたというのにな。富を目指してガンガンやっていけばそういうことにもなるのさ。都会にいればそれはマーケットの陳列台に並んでいる食材にすぎないからな。日本人が作っていようが中国人が作っていようが無関係だ。車のガソリンがテロリストの密売品だって車は走るからな。法治国家で死刑囚を死刑に処したことを報復と断言するなんて一同大爆笑だぞ。脅迫されて喋らされていることを鵜呑みにするレベル。命は大切だと思う子供も人を殺してみたい子供も育つのが現実。何もかもを受けとめて行こうぜ。だから水曜日は谷間です。・・・何言ってるんだよ・・・。

地方の名もなき短大を卒業する大内美穂(松岡茉優)は就職活動中の東京で・・・同郷の経営コンサルタント・多岐川優(谷原章介)に遭遇する。

「夢はないの」と面接官として美穂に問う多岐川。

「田舎に住んでいるとできることを捜すのが精一杯でやりたいこととか夢とか考えられません」

そう答えるのが精一杯の美穂だった。

どこにでもいる特別じゃない・・・でも一生懸命な女子を演じさせたら・・・今、松岡茉優は抜群じゃないか・・・。

実は多岐川は・・・会社まで闇金的なものに追い込みをかけられている男だった。

そんなこととは知らず・・・東京での就職に見切りをつけて・・・片道五時間かかる帰路につく美穂。

美穂の生まれた集落はかっては止村と呼ばれたが・・・市町村合併による弊害でますます過疎化が進んでいる。役場もなければ病院もない・・・人口五十人の・・・限界集落。

限界集落とは二十世紀の終わりに過疎化・高齢化の進行で集落の自治、生活道路の管理、冠婚葬祭など共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうとされている集落の概念である。

つまり・・・名実ともに滅びつつある村だ。

「東京での就職決まりそうか」と声をかけるのは美穂の次に若いという萩野家の跡取り息子・鉄平(加藤虎ノ介)だった。

つまり・・・短大を卒業する美穂が歳年少なのである。

村には子供がいないので・・・小学校も中学校もないのだった。

想像するだけで淋しい気持ちになる。

まさに後がないのだ。

「無理っぽい」

「そうか・・・」

安堵に似た表情を浮かべる鉄平だった。

美穂は幼い頃に母を失くし・・・父親の正登(反町隆史)が十三年前に出奔してしまったので祖父母の一男(井川比佐志)と弥生(長山藍子)に育てられた。

一男は正登の始めた有機栽培を受け継ぎ・・・農家を営んでいた。

周囲の農家は「農薬使用」を薦めるが・・・息子を想う一男は頑なに実入りの少ない有機農法を続けているのだった。

そもそも・・・正登は経営に失敗し、借金を作り、農協と喧嘩騒ぎを起こして村を出奔したのである。

「今年は祭りは中止だ」

「じゃあ・・・獅子舞はないの」

「なにしろ・・・人が集まらないからな」

夕餉の話題も淋しいまである。

美穂にとって獅子舞の記憶は・・・数少ない親の思い出だった。

子供の頃・・・獅子舞に驚いて泣きだした美穂。

しかし・・・獅子を演じていたのは父親だったのである。

獅子を持つ父と一緒に撮った写真が・・・美穂にとっての郷愁と言える。

ますます暮らしにくくなる村。

役場の職員・二ノ宮真治(鈴木浩介)は「バスの本数がさらに減る件」でつるしあげられるのだった。

真治の妻の麻理子(柴本幸)はコンビニ代わりの移動販売車を運営している。

麻里子は妊娠中で無事出産となれば美穂は歳年少ではなくなるが・・・生まれてくる子供の通う小学校はないのである。

美穂は祖父の好きな「さんまの缶詰」を購入するのだった。

「じいちゃん・・・さんま買ったよ」

「おお」

・・・泣ける。

そして・・・夕飯でさんまを食べることもなく・・・キャベツを農協へ運ぶトラックを運転中に・・・心臓発作で・・・一男は帰らぬ人となるのだった。

一男の葬儀に現れる正登だった。

遅れてやってきた信長は父の遺影に抹香を投げつけ・・・違うよ。

鉄平の父・定晴(平泉成)・・・今季「美しき罠〜残花繚乱〜」「○○妻」に続いて三本目だ・・・や長老の菅原(寺田農)に責め立てられる正登・・・。

「畑はどうするつもりだ」

「今さら・・・戻れない」

老人たちの顔に落胆が浮かぶ。

正登は東京でタクシーの運転手をしていた。

成瀬川瑞希(井上和香)という情婦と暮らしている。

都会で・・・生きるしかないと思い定めていたのだ。

しかし・・・父親が正登の思いを受け継いで培ってきた土の味が・・・正登を責める。

そして・・・美穂は上京し・・・父に「祖父の畑を継ぐ決意」を伝える。

だが・・・前途は多難が予想された。

そんな時、美穂は廃屋に隠れ潜む多岐川と再会する。

どうやら・・・多岐川は借金取りから逃れてここに来たらしい。

「百万円で・・・会社組織を立ち上げてみないか」と言う多岐川を詐欺師を見る目でスルーする美穂。

慣れない農作業に悪戦苦闘する美穂。

そこへ・・・正登が帰って来た。

「もう一度・・・やってみる」

美穂は父の帰還に・・・複雑な思いを抱くのだった。

しかし・・・その年・・・キャベツは豊作。

せっかく作ったキャベツは生産調整で出荷できずにつぶされるのだった。

「食べられるのに・・・」

「仕方ない・・・出荷しても経費が嵩んで赤字だ・・・つぶして肥料にするしかない」

父は美穂に告げる。

「じいちゃんが丹精込めて作ったキャベツなのに・・・」

「もったいないよね」

現れたのは多岐川・・・。

軍師半兵衛は信長に策を進言・・・違うよ。

「このキャベツで・・・俺が儲けを出したら・・・俺のこと、信用してくれるかな」

「・・・」

こうして・・・美穂たちは妖しい男の口車に乗るのだった。

やる人たちはやる。

やらない人たちはやらない。

それが世界を不公平なものにしていくとしても・・・自由万歳なのである。

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2015年2月 4日 (水)

拝啓、ナイチンゲール様、頭の中がまっしろなわけで(堀北真希)

本来、ドラマをレビューするのは・・・楽しさを分かち合いたいという意味合いがある。

もちろん・・・記録的な要素もある。

そして・・・おこがましいが・・・一種の文学的挑戦でもある。

なによりも妄想の表現の場だ。

だが・・・時にはネガティプな批評を展開したくもなる。

そういう意味で・・・これ以上ない作品になりつつあるな。

なにしろ・・・どこから修正するべきか・・・手遅れな感じにヤベエ作品になっているような気がする。

誰か・・・助けてください・・・という叫びが聴こえるよ。

で、『まっしろ・第4回』(TBSテレビ20150203PM10~)脚本・井上由美子、演出・今井夏木を見た。まず・・・脚本的には「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」がそこそこ視聴率的な成功をおさめているところがひっかかっている。恋愛というよりも・・・「人妻の性」という古典的な主題が・・・お茶の間ビジネスとして成立したわけである。プライベートでも人妻となった上戸彩と・・・ずっとよろめき続けているような吉瀬美智子のコンビネーションが抜群だった。その影響が・・・無印ナースの堀北真希と看護師長の木村多江のコンビに濃厚なのである。単純な換骨奪胎なら・・・「不倫の道」を「ナイチンゲールの道」に置き換えて師弟愛を描いて行くのが筋なのだ。

しかし・・・「人妻」から「ナース」に置き換えたのに恋愛要素を前面に押し出そうとしたためにおかしなことになっていると断言できる。

なにしろ・・・人妻と違ってナースは人命を預かっている聖職なのである。

恋なんかしてる場合かってなっちゃいますから・・・。

「ナースのお仕事」が前提にあれば・・・恋愛してもOKなのである。

しかも・・・基本線は・・・ドクターとナースが定番なのは言うまでもない。

ところが・・・ここで「男はつらいよ~フーテンの寅」的な路線の選択である。

はっきり言って・・・渥美清をなめんなよなのだ。

少なくとも・・・イケメンの弟は必要だろう。

つまり・・・ドクター孝太郎(柳楽優弥)は弟であるべきなのだ。

そして・・・病院は個人経営のこじんまりしたものでいいのである。

「お姉ちゃん・・・あの患者はやめといた方がいいよ・・・」とバカな姉ナースを心配して見守るポジション。

佐藤センター長(石黒賢)と看護師長(木村多江)はおいちゃんとおばちゃんで・・・できの悪い姪の朱里(堀北真希)に手を焼くのである。

「私がいたんじゃ名医になれない・・・わかっているのよ弟よ・・・」でなくちゃ・・・。

ま・・・それはそれとして・・・ここにナースセンターを大奥と見なす主題が付加される。

その場合は将軍が必要である。将軍は唯一無二の存在だ。それを「患者様」にするのはかなり無理があるのである。もしもそこにこだわるなら入院患者一人という超特殊な設定にしなければならない。

あるいは病院長の寵愛を奪い合ってもいいが・・・なんじゃそりゃなドラマになるだろう。

しかし・・・そうでないと・・・イメージだけのスカスカドラマになってしまうのだ。

そこにさらに・・・近未来的な自由診療によるセレブ病院という要素が付加される。

当然、そこには理想の病院と格差社会の問題が横たわるわけである。

物凄く社会派ドラマにしないと成立しないことは言うまでもない。

もう・・・かなり破綻している感じが窺える。

ここに・・・朱里、菜々(志田未来)、木綿子(高梨臨)の青春模様の要素を・・・。

一体・・・どんだけの長編を作る気なんだ。

そして・・・今回は・・・セレブ病院も・・・ナイチンゲール物語も・・・無視して・・・看護師長の座のよくわからない争奪戦である。

まるで看護師長が看護婦による選挙で選ばれるかのような展開だ。

なぜ・・・そうなるかというと・・・このドラマには病院経営者や事務局が不在だからである。

なんじゃそりゃ・・・である。

もちろん・・・看護師国家試験に合格した看護師は自立性か高いわけだが・・・病院組織の管理職に対し造反するとなればかなりの問題意識が必要となる。

今回は・・・完ぺきな看護師長に対してそうでもない看護師たちがさくら(MEGUMI)の異常な扇動にのってサポタージュを展開するという流れである。

そうなれば・・・主軸は・・・看護師長とさくらであって・・・そんなドラマ誰が見たいんだということになるのである。

おいおい・・・とテレビに向かって呟き続ける感じのドラマになっています。

なぜか・・・看護師長に敵意を燃やすさくらは・・・オペナースの岩渕(水野美紀)を看護師長の対抗馬として担ぎあげることを画策する。

しかし・・・岩淵と看護師長は明らかに・・・何らかの絆で結ばれており・・・岩淵は簡単には誘いには乗らない。

おそらく病的な性格設定のさくらは「ちっ」と舌打ちをする。

エリートナースを集めた人事部のミスなのである。

一方で・・・なぜか・・・看護師長は・・・朱里に目をかける。

朱里は・・・お約束では・・・ふられた相手とはかかわらない主人公の常識を打ち破り・・・初回に登場して・・・できちゃった結婚をしたはずの元彼・・・誠吾(細田善彦)から謎めいた電話を受け困惑していた。

しかし・・・それはさておき・・・今回のゲスト患者が入院である。

看護師長が部下の不満を聞きだそうとしていた会食は中止になる。

緊急入院したのはプロサッカー選手の末長徹郎(蕨野友也)で選手生命に関わる手術が必要となる。

セレブ病院に入院してくるからには少なくとも代表選手ですでに欧州移籍が決まっているぐらいの大物であるはずだが・・・そういうムードはない。

そういう演出が出来ていないのである。

看護師たちは色めきたつが看護師長が担当に指名したのは朱里だった。

特に理由が説明されないために看護師たちの看護師長に対する不満の火種になるのだった。

例によって末長様に一目惚れした朱里は献身的な看護に努め・・・神社でお守りを取得したりする。

しかし・・・手術前に手術に対する不安を吐露した末長様は・・・オペナース岩淵に一喝され・・・心を奪われるのだった。

岩淵と感謝の記念写真を撮影した末長によって岩淵の名声は突然高まるのだった。

一方で菜々はオペナースを目指し、積極的に手術を見学する中でなんとなく孝太郎に好意を寄せ始める。

一方で長期入院患者の大江淳平(眞島秀和)に魅かれる木綿子は大江の心が看護師長にあることに嫉妬する。

一方でさくらは岩淵派閥を立ち上げるためにニャース明日香(菜々緒)やママさんナースとし恵(西尾まり)を巻きこんで「幸せなナースステーションの会」を看護師長主催の食事会の裏で決行するのだった。

もはやクーデターである。

とにかく・・・描き込みが足りないので・・・展開が空虚なのだなあ。

無印トリオは・・・両方の会から呼ばれ・・・どうしたものかと思案するのだった。

しかも・・・朱里と孝太郎のなんとなくうちとけた感じに嫉妬した菜々は・・・朱里に反発したりもする。

間に立った木綿子も・・・看護師長には不満を抱えている。

もはや・・・まっしろというより問題のあるナースステーションになったらしい。

しかし・・・それがちっとも面白くない感じなのは・・・問題のあるドラマになっているからだと考える。

風呂敷広げすぎなんだな。なんだなんだな。

お気に入りかっ。

もちろん・・・仕事に恋に一生懸命な朱里が何一つ報われず・・・失恋によって患者の健康の回復も喜べずやるせない思いを抱きろくでもない世界に埋もれて行くというアンニュイな物語を目指しているというのなら・・・それは成功の途上にあるのかもしれないが・・・。

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2015年2月 3日 (火)

チーンって音がしたよね(国仲涼子)まさか恋に落ちた音じゃ?(中島裕翔)

ご臨終なんじゃないか。

しっ・・・その言葉は今、いろいろとアレだぞ。

イスラム国より日本政府が悪いって言いたがるバカが多いからな。

バカって言う人がバカだって言われるぞ。

いいさ・・・バカだもの。

構成的には転だよな。

起承と来たからな。

お互いの存在に気がついてしまった男と女。

人はそれを恋と呼ぶんだぜ。

で、『デート〜とはどんなものかしら〜・第3回』(フジテレビ20150126PM9~)脚本・古沢良太、演出・石川淳一を見た。第二の演出家になったが「泣かないと決めた日」の人なのでそこそこ不気味さを醸しだしてくる。セリフにも登場するようにコミックの影響下にある脚本なので「手首と肘の中間にある関節」をどう表現するかは重要だからな。おそらく脚本上の同時性多重人格の描写は「のだめカンタービレ」ののだめの悪夢に近いものがあるはずだ。もう少しスタイリッシュでもいいのだが・・・日常的な幻影の方を強調して笑いをとりに来ている演出になっている。ここは・・・好みの分れるところ。もう少し・・・母に呪われている感じがあってもいいような気がするんだな。しかし、「ごめんね青春!」が同じネタで先行しているので控えめになっているのかもしれん。バランスだからな。とにかく面白いんだからいいんじゃないの。それもそうだな。

史上最悪のテーマパークデートの後で・・・。

藪下依子(杏)はラブレターを書いた。

それは・・・「交際打ち切り」の「お別れの手紙」である。

しかし・・・そういうものを情熱的に書くのは・・・谷口巧(長谷川博己)が彼女の機械のような心を動揺させたからに他ならない。

もちろん・・・それがラブレターであることを書いた本人も・・・受け取った相手も気がつかないのが人生の機微なのである。

「なんじゃ・・・こりゃ」とどうやら機微からは遠い島田宗太郎(松尾諭)は分厚い「訴状」のようなものを一瞥する。

しかし・・・明らかに・・・巧に女として関心を持っているらしい島田佳織(国仲涼子)は直感的に「何か」を感じるのだった。

「高等遊民という生き方に関する価値観の相違について・・・たとえ過去に教養を磨くと称して働かないという生き方が認められていたとしても・・・現在が平成の世だからと言うよりも社会人として高等遊民なる生き方を認めることは非常に困難であり、間違った生き方であると言って間違いない。それはエラーなので修正する必要があるにも関わらず不条理にも修正しないという主張を認めることは人生は目標に向かって努力することに価値があるという考え方を否定することになりかねない。社会の一員であるという認識もなく自己本位の価値観のみで生きて行くことは人間としての精神の欠如を示し、社会不適合者そのものである・・・(後略)・・・」

ヤンキーなのでむかつく佳織だった。

巧の母親の留美(風吹ジュン)の絵画教室の生徒であり、現在は自分の作品制作のアトリエとして間借りし、時々、生徒を指導することもある佳織は・・・留美のつぶやきを聞いてしまう。

「巧だって・・・教えることくらいできるのにねえ」

つまり・・・巧もまた・・・芸術家だった過去があるのだな。

そして・・・佳織は巧の輝いていた時代を知っているのだった。

その・・・記憶が・・・憤懣となって・・・佳織に依子を襲わせる。

「依子さん」

「はい」

「これ・・・読みました」

「・・・」

「わかってねえなあ・・・って思ったものですから」

依子は佳織を招き入れた。

ここまで・・・ラブコメには不可欠の女友達の気配を感じさせない依子である。

自分が飲む予定のお茶をきっちり二等分にして分け与えるその姿に・・・孤独な人間は涙を禁じえない。

友達もいないのかよ・・・である。

そりゃ・・・そうだ・・・なにしろ・・・依子には母の亡霊という親友がいるのである。

「何を理解してないと言うのでしょう」

「巧くんだって好きでニートしているわけじゃないと思うんだ。巧くん・・・頭はいいしかっこよかったし・・・私をいじめっ子から助けてくれたりもした・・・昔はね」

「・・・」

「だから・・・なんか理由があって今みたいになっちゃったけど・・・」

「だから・・・私に交際を続けろと」

「そうじゃなくてさ・・・巧くんだって・・・悪いとこばかりじゃないってこと」

「しかし・・・困難を乗り越えて生きて行くべきです」

「理屈はそうかもしれないけど・・・人間は理屈じゃ・・・どうにもならないことがあるでしょう。巧くんは・・・あれが精一杯だってこと」

「彼に・・・何があったのです」

「知らない・・・話してくれないし・・・今後も話さないと思う」

「・・・」

「とにかく・・・言いたいことはそれだけ・・・ごちそうさん」

帰りがけに佳織は・・・「ホテルでのお見合いパーティー」のパンフレットを見かけるのだった。

ごちそうさんのめ以子は・・・じゃなかったメイクの練習をする依子。

「無駄な努力なんじゃないの」と依子の分裂した人格である母の亡霊・小夜子(和久井映見)は告げる。

「そんなことはないわ・・・アイラインの引き方だって努力次第で上達するもの」

「私があなたの年には・・・もうあなたを生んでいたし、博士号も取得して自分の研究室と研究チームを持っていた。数学者としても女としても・・・あなたよりずっと上・・・」

「うるさい」

どうやら・・・依子は小夜子に呪われているらしい。

父親の藪下俊雄(松重豊)への愛という意味では典型的な母と娘の三角関係である。

ライバルに先立たれ・・・依子は恋の迷宮を彷徨っているのかもしれない。

時系列的には・・・同時進行で島田(兄)は巧を「ホテルでのお見合いパーティー」に誘う。

偶然なら・・・それは運命である。

しかし・・・島田(妹)の画策なら・・・(妹)の気持ちもそれなりに屈折しているのである。

ストレートに言えば・・・巧の母から絵画教室を受け継いで(妹)が巧を寄生させればいいのである。

しかし・・・それは「嫌」と思うのが乙女心なんだな。

一方・・・もう一人の三角関係候補である鷲尾(中島裕翔)は「ホテルでのお見合いパーティー」と聞いて剣道の稽古後の裸体をサービスしながら・・・心がざわめく。

しかし・・・その日は接待ゴルフの予定が入っているのだった。

「巨乳が好きでも娘に豊胸手術はされたくない・・・複雑な心境なんだ」

「わかります」

もう・・・依子の父と鷲尾が練馬方面で同棲すればいいと思うよ。

接待相手の社長の姪で2005年のミス東洋英和(田中えみ)にそれとなくアプローチされる鷲尾は本格的に・・・「僕には好きな人がいます・・・真面目な人で」と堂々たる三枚目宣言である。姪を送り届けた後でパーティー会場に急ぐのだった。

そして・・・本日のデートが幕を開ける。

アイラインをボールペンで引きそこなった依子は眼帯着用で早くも逆風である。

そこへ・・・巧と(兄)が現れ・・・思わず職業欄チェックを主催者に申し出る依子。

巧は職業(空欄)で玉砕戦法に出たのだった。

妻帯者である(兄)はパンクロッカーとでも書いたのか。

それより・・・妻はいつ登場するんだ。

「ホテルでのお見合いパーティー」・・・まずは・・・自己紹介タイムである。

依子は不吉な13番。

巧は苦しみに通じる9番。

縁起が悪い二人なんだな。

向いあった男女はチーンの間(五分程度)に情報を交換し、男性が左回りで相手をチェンジしていく。

男性の13番は「メーカーの役員」である。

「どんなお仕事を・・・」

「地方自治体の公共施設における民間型不動産価値的な公民連携手法における数理モデルの応用を研究しています」

「え」

「わかりやすく言いかえればPPPこれはパレスチナ人民党や真珠様陰茎小丘疹やポリプロピレンペーパーではなくて小さな政府を志向し民間にできることは民間に委ねるという方針により民間事業者の資金やノウハウを活用して社会資本を整備し公共サービスの充実を進めていくpublic–private partnershipすなわち官民パートナーシップつまり公民連携事業の法的根拠となるPFI法いわゆる公共サービスの提供に際して公共施設が必要な場合に従来のように公共が直接施設を整備せずに民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供をゆだねる手法の制度化によりモニタリングの仕方と支払のメカニズムを連動させた事業の枠組みを設定し民間事業者に具体的な民間資金調達手法施設整備手法サービスの提供手法リスク管理方法サービスのモニタリング手法などを提案させるにあたりパフォーマンスの最適値をどのように測定するかの数理的モデルの最適化について部分的なスキームの変動を数値化し・・・(以下略)」

「ええと・・・」

チーンと制限時間いっぱいである。

依子は男性13番を「理解力に欠ける上に無口」と査定した。

一方、男性9番の巧は正直に「寄生する相手募集中」を宣言するのだった。

「ご職業は・・・」

「働いていません。母に養ってもらっています。しかし、母が永遠に生きるわけではないので高等遊民として私を養い、本やDVD、時々フィギアを買うお小遣いをくれる結婚相手を探しています。パートナーとしてあなたの収入は申し分ありません」

「・・・」

巧は切実に結婚相手を求める女性たちを絶句させまくるのだった。

「残念ながら年収二百万円以下では厳しいと言わざるをえません」

「なんなのっ」

その頃、依子は「髪の毛の薄い男性」に「髪の毛を薄い」を連発し髪の毛の薄い男性の逆上を誘発していたが薄いというか禿なので怒髪天をつかないのだった。

そして・・・ついに交錯する男性9番と女性13番。

「ストーカーみたいなことはやめてください」

「なんですって!」

「結婚相談所の総数と利用可能な施設に登録する機会における統計データと人口動態などを考慮した上での交際解消した男女が二週間という限定された期間内に他社の主催するお見合いパーティーで再会する確率を計算するとおよそ0.005%ということになり偶然とは考えにくいということが推定されます」

「君みたいな女をストーカーするかっ!」

「年産300個の柿をおよそ70億人超の世界中の人に消費させたいという変わった人もいますから・・・」

それが不可能であることは小学生にも計算できると天使も囁くのだった。

「君をストーカーするのはどこにでもでてくるあの水球とかしていそうな熱血イケメンだけだろう!」

「あなたとの交際は正式な文書をもってお断りしたはずです何かご不明な点でもありましたか」

「僕は美しくない文章は読まない主義なんでっ!」

「あのような別れ方では禍根を残すと思ったので正式にお別れを申し入れたのですメールや電話では失礼でしょうし直接会いに行くのはなおさら失礼かもしれないそこで正式な文書を作成して送付したのです」

「それが一番失礼だっていうんですよっ!」

チーン。チーン。チーン。と交替を促すベルが鳴り響く。

自己紹介タイムでおそらく・・・男性9番と女性13番は全員から対象外の烙印を・・・。

参加者が自由に語り合えるフリータイムに突入し・・・依子にも巧にも接近するものはいない。

仕方なく裸エプロンが似合う警視庁豊島警察署刑事課の刑事・辻巡査(松下洸平)のような男・奥田に話しかける依子だった。

「奥田さんお話ししてもよろしいでしょうか私は奥田さんに大変好印象を抱いています男性の皆さまの諸情報を独自の基準で数値化し採点した結果奥田さんは98.5点という高得点でした1位は あちらの島袋さん188点です競争率が高いので回避しました2位は山口さんですこちらもやや倍率が高いので回避し意外と人気のない3位の奥田さんが最も確率が高いのではないかと判断しました3位といっても 2位との差はわずか5.5ポイントですし4位以下を大きく引き離しています自信を持って大丈夫です連絡先を交換したいと思っているのですがいかがでしょうか」

奥田は高速度で人ごみに身を隠すのだった。

巧はまるで杉本彩のようなエマニエル夫人にアプローチする。

「僕はあなたを養うことはできませんが養ってもらうことはできます!」

「私が望んでるのは老後を共に過ごす尊敬できるパートナー・・・ツバメを欲しがってるお金持ちのおばさまを紹介してあげましょうか」

「僕はラマンになりたいのではありません!」

「あなたの望む生き方は愛人生活でしょう」

「違います!・・・そんなの飽きられたらポイ捨てじゃないですか!・・・国家による婚姻制度に基づいた安定の見込める生活が保障されなくてはなりません!・・・妻には夫を扶養する義務が生じるはずです!」

「あなたの奴隷になれってことじゃないの」

「むしろ逆でしょう!」

「残念ね・・・私はSに見えるMなのよ」

「・・・!」

その頃、巧をサポートするはずの(兄)は赤い糸の女でおなじみの秀子(三倉茉奈)と意気投合していた。

「俺のイントロはGだぜ」

「私を狂わせてくれそうね」

「G~FGA~」

二人は妖しいバイブレーションでホテルの一室へ。

しかしSに見えた女はどSだった。

「ハードコアか」

「お茶の間ではカットよ」

緊縛的に「トクボウ」色強いのだった。

孤立無援の巧は同じように疎外されたエル・ドライバーを見出すのだった。

「日本の悪口言わなければダリル・ハンナ好きなのにな・・・」

誰がキルビルの話をしろと・・・。

口笛が欲しいところだ。

巧の中に眠る何かが依子にシャンパンを運ばせる。

「誰かにもらえばものもらいは治るっていう!」

「それは迷信です・・・それにものもらいではありません」

しかし・・・依子は巧の配慮を受け取る。

依子は(妹)の言葉を思い出す。

「巧くんは優しかった」

その優しさはなぜ封印されてしまたのか。

依子は疑問に感じていた。

「一つ・・・聞いてもよろしいでしょうか」

「え」

そこへ・・・外見的にはウナギイヌとも仲がよさそうに見える巧にチャレンジする女・榊原まゆ(吉谷彩子)が割り込んでくる。

「よろしいですか・・・趣味について話してみたいと思ったのですが・・・」

「・・・!!」

初めて声をかけられた巧は有頂天になるのだった。

取り残される依子。

「ごめんね!」と勝利をかみしめる巧だった。

男と女である。

「少女マンガはいかがですか」

「里中満智子、萩尾望都、いくえみ綾、そして羽海野チカとか・・・」

「私・・・羽海野チカ先生大好きです」

巧は絵画教室の指導者になれる程度の画力の持ち主であるおタクである。

たちまち、意気投合する家事手伝いとそれさえもしないニート。

「同人誌時代の作品をご存じですか」

「もちのろんです~」

「萩尾から大島とか山岸とか竹宮に行かないところが僕なりのこだわりです・・・ある意味、安易な流れですからね」

「竹宮の絵に馴染めないんですね、わかります」

「デッサンおかしいでしょう」

「ですよね」

「しかし・・・」

「私は今は家事手伝いですが・・・漫画家志望なんです~」

「え」

「私が羽海野チカ先生のような漫画家になったら・・・」

「養ってもらえますか・・・」

「もちのろんです~実は・・・私、作品を持参しているんです~」

「それは・・・見てみたいな」

「はずかしいけど・・・あなたになら・・・」

「見せてくれますか」

「・・・はい・・・私のすべてをお見せします」

しかし・・・第18回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞の羽海野チカの山は高すぎた。

「なんだこれは・・・これでプロを目指してるなんてぬけぬけと言える君はプロの表現者というものをバカにしてるんじゃないのか?・・・タイトルのあいつとわたしのラブゲーム!って昭和のムード歌謡かよ!ストーリーもひどい。・・・美人に向かって失礼ね~えっ美人? どこどこ?~ここよここ目の前よ!!~えっ目の前?いないよ。どこどこ?~私よ私!!~えっ? お前のどこが美人だよ~全部よ、全部!!ってこんなやりとりに何コマ使ってるんだよ!絵もデッサンの基本がまるでなってない!手首と肘の間にもう1つ関節がある!腕がコの字になるのは寄生獣などの変態した人間だけなんだよはぐちゃんの手がコの字に曲がったらぶち壊しだろうがっ!」

「なによ・・・編集さんでもないくせに・・・このくそげぼやろうがっ」

決裂するコミック作家志望の家事手伝いと寄生できるならアシスタントになってもいいニートだった。

そもそも無理ゲーである。

そんなこととは知らず・・・一人、ホテルの庭園のベンチにすわる依子。

小夜子が寄り添う。

「女の子はだれでも白馬の王子様が迎えに来るのを待っているっていうけれど・・・女になるってことは現実に折り合いをつけるってことなのよ。自分の相手がたいしたことのない相手なのは自分がたいしたことのない人間だからと認めること。あんたの相手として相応しいのはあの・・・ニートってこと・・・認めちゃえば」

「うっさい死ね馬鹿」

死んでいるのである。

依子が幻影に放ったパンチは・・・パーティーに紛れ込んだ妖しい紳士(岡田浩暉)の顔面を捉える。

紳士は妖しく依子をバーに誘うのだった。

「失礼しました」

「いいのです・・・あなたと知りあうきっかけです」

ドライマティーニを飲み干す依子。

「お強いのですね」

「アルコールで酩酊したことはありません」

「それは・・・私は日系フランス人のピケッティ藤間と申します」

「まあ」

「経営コンサルタントで心理カウンセラーです」

「多才なんですね・・・人はなぜニートを選択するのか・・・なにかご意見がありますか」

「それは大変、興味深い問題です。来日して小銭を稼いでいるおフランスの経済学者は21世紀の資本で格差社会の是正という問題に触れていますがそもそも経済的な格差には資本格差と所得格差があるざんす。ミーはこれを金魂巻/渡辺和博的な問題として再考しました。能力差による格差が所得差として生じることは競争社会の本質として受容できるのですが資産格差は個人的能力を越えて受け入れ難い。優秀な人間が親の遺産の資産力に敗北して好きな女を奪われたら今月今夜のこの月を僕の涙できっとくもらせてみせるという夜叉を招き相続増税ベストな選択秋葉で無差別殺人死刑判決イギリスで非合法化されにくいイスラム団の若者が殺人を合理化することに近所のおばさんが批判をしても聞く耳もたないオウム信者の地下鉄グローバル社会では富と貧困が鎖国しなければクロフネですので結果として2000000人のニートが生まれるザンス・・・シェーッ」

しかし・・・酔った記憶のない依子は・・・ただ酔うと記憶を失うだけだった。

前後不覚となった依子をホテルの一室に連れ込む紳士だった。

その姿を目撃した「才能ありすぎて孤独な男」である巧は激しく動揺するのだった。

「おい・・・この状況はなんだか・・・犯罪的なものなのか」

携帯電話で(兄)に問う巧。

しかし赤いムチの女によって亀甲縛り的な海老反り手荷物風にまとめられた(兄)には応答が困難だった。

状況を無視して帰宅しようとした巧だったが・・・底辺の底辺に眠る危機感が・・・英雄の心を覚醒させるのだった。

「何をしている」

ベッドに横たわる依子によって昏睡レイプ的なものを確信する巧。

「何もしてません」

「一服もったな」

「もりません」

むくりと起き上がり「第3月曜はチキンカレー」と叫び再び昏睡する依子。

「明らかに危険ドラッグ的ななにかじゃないか」

「誤解です・・・介抱していただけざんす・・・おなごをてごめなんてノンノンノン」

「じゃ・・・なんでマムシドリンクを二本も」

「疲労回復ざんす」

「まむしとか天狗印にそういう言い訳は通用しないんだよ」

鉄拳制裁からハンガーヌンチャクとヒーローをイメージする巧。

しかし・・・紳士のパンチでノックアウトである。

「日本の文化は難解ざんす」

警察を呼ばれるといろいろと困るらしい妖しい紳士は去っていくのだった。

ホテルの一室からは同志・袴田吉彦風の男もコトを終えて廊下に出て来た。

二人は妖しい微笑みを交わすのだった。

目覚めた巧は依子に介抱されていた。

「なぜ・・・助けに・・・」

「マンガのヒーローはそうするものだから・・・現実は僕をヒーローにしたりはしないけれど」

「・・・」

二人はロマンチックな横浜の夜をトボトボと歩く。

巧は目周りを内出血したことにより間接眼帯を体験するのだった。

「僕に聞いてみたいことって何ですか」

「なぜ高等遊民という生き方を選んだのですか」

「教えません」

「やはり」

「・・・」

「連絡先カードが残ってしまいました」

「個人情報が残っているので簡単には捨てられませんね」

「あなたの分を私が捨てておきましょうか」

「君の分は僕が捨てておこうか」

二人は連絡先カードを交換した。

その姿を・・・茫然と・・・鷲尾は見ていた。

流れるいにしえの月9ドラマ風な主題歌・・・。

ああ・・・恋が始っちゃったよお・・・。

来襲は最初の結末か。

由緒正しい起承転結なんだな。なんだなんだな。

(妹)は恥ずかしい(兄)を救助した。

「待ちうけにしてやろうか」

「や・・・やめてよね」

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2015年2月 2日 (月)

徳は孤ならず必ず隣あり(大沢たかお)

論語里仁篇に「子曰、徳不孤、必有鄰」がある。

君子たるもの有言実行であることが大切であると説いた孔子は・・・そこに「徳」を見出す。

つまり・・・「やるべきことをやるやつ」は孤立はしない。

かならず・・・それを支える者が現れると言うわけだ。

「殺す」と言ったからには「殺さない」と仲間に示しがつかないのは道理なのである。

そこに集うものが善であろうと・・・悪であろうと・・・組織というものはそういうものなのだと孔子は説くのだった。

性善説を唱える吉田松陰に性悪説をぶつける富永有隣の名はそういう淋しがり屋の気持ちを表現しているわけである。

強烈な自我を持ってしまったがゆえに・・・社会から浮き上がり・・・獄につながれた二人は出会い・・・激しくスパークするのだった。

イラクの捕虜収容所に過激派ばかり収容したのでものすごい組織が出来上がったというのと同じなのだ。

朱に交われば赤くなるのだった。

好むと好まざるとに関わらず歴史は繰り返すのである。

で、『花燃ゆ・第5回』(NHK総合20140201PM8~)脚本・宮村優子、演出・末永創を見た。例によってシナリオに沿ったレビューはikasama4様を推奨します。今回は主人公の萩野山獄仲間・富永有隣描き下ろしイラスト大公開でお得でございます。吉田松陰数えで二十六歳、有隣数えで三十五歳の出会い・・・変人同志馬があったわけですな。刑事もので言えば獄中で知り合った者同士が新たな悪事の仲間となる・・・という展開。しかし・・・野山獄の二人はもっと危険な意気投合をする。その結果・・・戊辰戦争勃発です。もちろん・・・この二人が意気投合しただけで明治維新が成立したわけではないでしょうが・・・結果としてそう見えるところが醍醐味なのでしょうねえ。二人が語りあうのは教養としての異国の聖典・・・。そして行きつくのが尊王攘夷。恐ろしいほどに現実とリンクしてくるのが歴史物語の妙ですな。オープニングで鹿が鷹になる描写が描かれますが・・・あれを海軍のゼロ戦と見るか・・・陸軍の隼と見るか。長州だけに。まあ・・・性善説だろうが性悪説だろうが・・・一度回りだした天は行きつくところまで止まらないのでございます。

Hanam005嘉永七年(1854年)五月、徳川幕府は浦賀造船所にて初の洋式軍艦「鳳凰丸」を竣工する。建造を推進したのは老中阿部正弘である。幕府の軍拡は急速に展開していた。安政二年(1855年)一月には薩摩藩の桜島瀬戸村造船所で竣工した洋式軍艦「昌平丸」が幕府に献上される。水戸藩では洋式軍艦「旭日丸」が建造中であり、徳川幕府も急ピッチで富国強兵を進めていたのである。島津斉彬や徳川斉昭ら雄藩の藩主は幕府と協力して防衛体制を整備しつつあったのだった。将軍家定に後継者を儲けさせるために薩摩藩・江戸藩邸には篤姫もスタンバイ中なのであった。しかし、攘夷派の水戸藩と開国派の彦根藩・井伊直弼の確執が動乱の火種として生じる。欧米列国の侵略から国防するために・・・開国して富国強兵か、鎖国のまま大和魂で防衛するか・・・目指すところが微妙に食い違うところが醍醐味なのである。やがて・・・国論をまとめるために尊王思想が持ちだされ・・・祖国防衛戦争はついに成功する。しかし・・・戦艦大和が誕生する頃・・・開国百年を待てず帝国は滅亡の危機に瀕するのだった。そして、そんなことは知らぬ安政二年一月十一日、商人・茂左衛門とつるの長男・金子重之輔は岩倉獄で病没する。吉田松陰の思想による死者第一号である。そんなことで歴史に名を残すのが・・・歴史の恐ろしいところなんだな。

文は獄中の兄から伝心を受け、父や兄に伝える。

「寅兄は・・・海国図志を差し入れろと申しちょるけえ」

「そうか・・・寅の奴にまっちょけと言うとけ」

「それはできんじゃろうが・・・文は寅の心を読めても寅は文の心が読めんけえ」

「なんじゃ、不便じゃの」

父も兄も呑気だった。

気楽で世話ないのが杉家の家風である。

「まあ、草餅でも差し入れちゃれ」

母親の滝が包みを渡す。

「かいこくずしてなんやろ」

「魏源たらいう清国の学者の書いた本じゃけ・・・毛唐から国を守るには毛唐から学ぶべしと言うとるらしいな」

「ほうけえ」

「敵を知り己を知れば百戦危うからずや」

「孫子けえ」

「まあ・・・真髄じゃけえ・・・結局、根は一つや」

「あほらし」

獄中の松陰は夢を見ていた。

獄中では寝る間はいくらでもあったからである。

予知夢であった。

やせ衰えた貞吉(金子重輔)は死の淵にいる。

「なんだ・・・君は逝くのか」

「先生、お先に参ります」

「君にも見せたかった・・・天子を頂くこの帝国の栄光を・・・」

「見とうございました」

「空にはひこうきなる空飛ぶのりものがとびかっているぞ」

「ひこうき・・・人間が鳥の如く飛ぶのですか」

「そうだ・・・武士と武士が空で雌雄を決するのだ・・・やまとのはやぶさは大陸の空を雄飛する」

「なんと・・・甘美な・・・」

「その名も加藤隼戦闘隊じゃ・・・」

「かとう・・・はやぶさ・・・せん・・・」

「貞吉・・・」

「・・・」

「さだきち・・・」

貞吉の時は果てた。

松陰の夢は百年の未来を往来し収斂する。

松陰は涙で濡れた瞳を開く。

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2015年2月 1日 (日)

やつらの顔に泥を塗れ(神木隆之介)顔はいろいろとアレなんでボデイで(広瀬すず)

私は戦争いたしませんと言ってても宣戦布告されたらお手上げである。

日本海やら太平洋をはさんでいても狂信者の入国ははばめない。

一刻も早く改憲して自称イスラム国という国際ヤクザを殲滅できる体制を整えなければいけないのだ。

同胞を殺された大和魂を思い知らせてやるべきだ。

どうして誰もテレビでそれを言わないのか・・・不思議だ。

まあな・・・所詮、他人事だからな。

「フリーランスの人ばかり犠牲にするわけにはいかない」と既成メディアのコメンテーターが言っていたが・・・大企業の社員が外務省の通告を無視するのを上司は許可しないんだろう。

なにしろ・・・社として責任問われちゃうからな。

結局、うしろめたふぁー報道だからな。

自らの意志で犠牲になった人は自分を怨めばいいと思うよ。

「イスラム過激派の暴力を許さない」という立場に立てば・・・テロリスト集団「イスラム国」は敵そのものですから。

自分だけは安全でいたいなんて無理難題ですぜ。

それが世界観戦争というものなのです。

で、『学校のカイダン・第4回』(日本テレビ20150131PM9~)脚本・吉田智子、演出・鈴木勇馬を見た。手榴弾を泥団子に変え、顔ではなく身体を狙い、傷害罪ではなく器物破損にとどめる。自主規制につぐ自主規制で表現されるか弱い者の精一杯の抵抗の描写。パイ投げ合戦もできなければ海辺で泥仕合、雪山雪合戦も物議を醸しだす今日この頃、中東でテロリストがジャーナリストを殺そうがどうしようが日本のドラマやアニメとは何の関係もないのに所詮、お茶の間ビジネスなのである。空気を読んで自粛したければするがいいなんだな。本当に迷惑だな。テロリストもジャーナリストも。情報乞食の皆さんも。

昨日は車の中で寝たばこ

引火して燃えちゃった

なんじゃ・・・それは。

世界や人生と同じで特に意味はありません。

孤立無援だった明蘭学園生徒会長・ツバメ(広瀬すず)は車椅子の怪人・彗(神木隆之介)の誘導で油森(須賀健太)や脇谷玉子(清水くるみ)などの生徒会役員や、日陰クラブの草介(奥村秀人)など反プラチナ8の同志を獲得する。

奪還した生徒会役員室に帰還した生徒会役員たち。

しかし・・・室内は落書きだらけになっていた。

犯人は隣室の貴族部屋の明蘭学園の女王である麻生南(石橋杏奈)とお高くとまった仲間たちである。

プラチナ8の親たちの寄付金で運営される明蘭学園では教師と言えどもプラチナ8の機嫌が大切なのだ。

2年1組担任の壷井先生(金子ノブアキ)は明らかに犯人の外交官の娘・葉月エミリー(吉倉あおい)を擁護するのだった。

「確たる証拠もないんだから・・・生徒会でなんとかしろ」

「先生あなたはかよわき大人たちの代弁者なのか」

「もういいだろ」

生徒会役員泣き寝入りである。

「でも・・・なんとかしろってことは・・・好きにやっていいってことだよな」

「じゃ・・・おしゃれに改造しちゃおうぜ」

「ついでに学校新聞も作ろう」

「今までなかったのかよ」

「今時、新聞部なんてなあ」

「しんぶんし、下から読んでもしんぶんし」

出来上がった学校新聞を怪人に自慢するツバメだった。

「生徒会室落書き犯を許さないキャンペーン中よ」

「アホか・・・」

「なんでよ」

「そんなことしたって犯人を追及できるわけないだろう」

「でも・・・」

「デモなんて無意味だ・・・暴動まで発展しないとな・・・報道するなら醜聞(スキャンダル)だ」

「スキャンダル・・・」

「そうだ・・・大衆の嫉妬心を煽り、権力者を失墜させる・・・それこそが新聞の使命だ」

「えええ」

翌日、何者かの情報提供により生徒会広報担当の轟治(柾木玲弥)は学校新聞に「禁断の関係、妻子ある教師と生徒が不純な交際」と壺井とエミリーのみだらな写真入りの記事を掲載する。

熱狂する生徒たち。

エミリーと壷井は新聞を切り裂くが・・・号外が配布され・・・全校生徒の知るところになるのだった。

たちまち父兄からの問い合わせが殺到である。

誉田蜜子理事長(浅野温子)や金時教頭(生瀬勝久)に事情聴取された壷井は・・・。

「生徒から一方的に好意を寄せられただけで自分に疚しいところはない」と自己弁護するのだった。

「こんなことで・・・私たちの愛は壊れない」と強気だったエミリーも・・・壷井に冷たくあしらわれ、意気消沈するのだった。

「あんたのせいでこんなことになった」と言われて困惑するツバメである。

結局、壷井はほとぼりが冷めるまで研修旅行に出され、事件はうやむやのまま葬られそうになる。

「こんなことしなくてもよかったのに」と怪人を責めるツバメ。

「何を言っている・・・敵に打撃を与えたじゃないか」

「でも・・・エミリーちゃんが可哀想だもの」

「革命に犠牲はつきものだ」

「私は・・・革命じゃなくて・・・学校をよくしたいだけなの」

「この修正主義者め・・・」

「だって・・・結局、先生は逃げちゃったし」

「だったら・・・責任を追及すればいい」

「どうやって・・・」

「生徒の2/3の署名があれば教師および職員を解任できると生徒手帳に書いてある」

「すごい規則を作ったわね・・・誰なの」

「知らん・・・しかし、ルールはルールだ」

たちまち・・・始る壷井解任署名運動。

大義名分があるために生徒たちは盛り上がるのだった。

エミリーは壷井の名誉を守ろうと立ち向かうのだった。

「そんなのやめなさいよ」

「なんだ、不倫教師を庇うのか」

「そんな・・・不倫なんて」

「だったら・・・お前も署名しろよ」

「そうだ・・・お前だって犠牲者なんだから」

「署名」

「署名」

「署名」

「やめてください・・・そんな・・・魔女裁判的なキリシタン弾圧的な踏み絵みたいなことは」

「なんだ・・・生徒会長・・・悪を許すのか・・・アウシュビッツなんてなかったのか・・・強制労働かガス室かに選別されて母親が強制労働、母親の母親と母親の乳児がガス室に送られていく姿を目撃した特別枠の強制収容所楽団の演奏者の気持ちを考えないのか」

「そんな・・・アーカイブ見たなみたいなこと言われても困ります」

問題が紛糾したために・・・学校側は・・・壷井の自主退職と、エミリーのパリ留学の方向で動き出す。

プラチナ8もエミリーを見はなすのだった。

「どうして・・・」

「だって・・・禁断の愛なんて・・・ばれたらただのさらしものじゃない」とプラチナ8の頭脳である香田美森(杉咲花)は宣告するのだった。

「大人ぶっても・・・結局、お子ちゃまじゃねえ・・・」と女王・南はプラチナ8の印章をエミリーから剥奪する。

孤立したエミリーを慰めようとするツバメ。

「よしてよ・・・全部、あんたのせいでしょ」

差し出したマフラーは泥まみれとなり・・・返す言葉のないツバメ。

やり場のない気持ちをツバメは怪人にぶつける。

「あんたの言う通りにしたら・・・私の胸が痛い」

「俺が信じられないなら・・・二度と来るな」

「なによ・・・暴走爺がっ」

「だれがジジイだ」

しかし・・・結局・・・お互いを必要とする二人だった。

「どうすればいいの・・・」

「子供を傷つけても平気な大人は間違いを繰り返す」

「・・・」

「痛い目に合わせて・・・反省を促すしかないんだよ」

「そんなことできるの」

「手榴弾と・・・スピーチ・・・すべては・・・戦うための手段なのさ」

「私・・・自爆はできません」

「手榴弾は敵に投げつけるに決まっている」

しかし、手榴弾を投げて職員室を粉砕するとドラマが打ち切りになるので用意されたのは泥団子だった。

転校届けを出しに来たエミリー。

しかし、書類は泥団子がヒットして泥だらけになるのだった。

怒りの泥団子が壷井をヒットする。

「成績が悪い生徒を救済するといいながら・・・乙女の純情を踏みにじる・・・成績E評価の女生徒の身体を狙うなんて最悪よ・・・優しいフリして近付かないで」

悲しみの泥団子が教頭をヒットする。

「世の中は汚いんだから・・・汚れること慣れろ・・・汚い人間になれと・・・それが大人になることだと言う大人たち・・・子供にそんなことを教えるのがあなたの仕事ですか」

祈りの泥団子が校長をヒットする。

「もしもあなたが・・・先生だと言うのなら・・・不器用で・・・上手く汚れることのできない私に・・・上手な汚れ方を指導してください」

ツバメはエミリーに泥団子を渡した。

「やっちまいな」

エミリーは涙の泥団子を壷井に投げる。

「あんたなんて・・・好きじゃない・・・でも・・・憧れだった・・・先生だけが・・・私に優しくしてくれたから・・・最後まで・・・味方してくれると思ったから・・・」

職員室を取り囲む生徒たちは・・・歓声をあげるのだった。

「どうするつもりです」と教頭。

「すべてをなかったことに・・・」と校長。

「今さら・・・遅いかもしれませんが・・・すべての責任は私にあります」と壷井。

「何もなかったんだから・・・責任はないの」と校長。

しかし・・・服を汚された教頭の気持ちは・・・収まらなかった。

「校長は甘い・・・誰が・・・この学校の本当の支配者なのか・・・思い知らせなければならないな」

教頭・・・そう言って思い知らせたことのある登場人物をみたことがないことを指摘しておく。

「なかなかやるわね」と女王はエミリーの帰還を許す。

エミリーはツバメを見下すのだった。

「恋のひとつやふたつ・・・どうってことないのよ・・・あなたとちがって私はなんでも持ってるんだから」

「え」

こうして・・・すべては振り出しに戻ります。

なにしろ・・・お茶の間は革命(はな)より恋愛(だんし)ですからな。

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