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2015年2月27日 (金)

ピシッ!(高畑充希)ピシッ!(二階堂ふみ)ピョショッ!(松岡茉優)

にゃにしろ・・・真木よう子、臼田あさ美、高畑充希、二階堂ふみ、松岡茉優が働くレストランである。

ある意味・・・天国じゃないか。

食材業者が色目使うのも仕方ないのである。

もう・・・これは男の性にゃんだから。

猫系でごまかしてもセクハラはセクハラですよ。

その・・・ある意味・・・普通のリアクションなのに・・・そこはかとなくいやらしさを漂わせる螢雪次朗。

さすがは悪の帝王である。

誰が「美少女仮面ポワトリン」の話をしろと。

で、『問題のあるレストラン・第7回』(フジテレビ20150226PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。ワルツもしくは序破急の構成なので三回目の一拍目である。あらゆるセクシャル・ハラスメントに満ちた世界に叛旗を翻したドラマなので常軌を逸した感じを感じるお茶の間も多いだろうが・・・そういう人は知らず知らずのうちにセクハラを擁護している人格の烙印を押されます。最高裁で「セクハラ」と言われてから後悔しても遅いのです。なぜなら、この国は「男女同権」のカタチを目指していて、そのために男女雇用機会均等法などの仕組みを実現させている。つまり「セクハラのない国家」をデザインしているのですから。はみ出す時にはそれなりの覚悟が求められるということです。Eテレかっ。

防具なしで対峙する剣道場の田中たま子(真木よう子)と傲慢なシェフ・門司(東出昌大)・・・。背後には竜虎相撃つの大看板がかかっている。

傲慢なシェフの一撃をすりあげて撃ち落とし胴蹴りをぶっこむたま子。

SPな悪夢から目覚めた門司は思わず窓際ハゲの西脇(田山涼成)に包丁で斬り込むのだった。

「包丁握ったまま寝ないでください」

ハゲなので怪我なかった西脇だった。

売上の下降するビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」はメニュー改善の指示が本社から送られるほどに追い詰められていた。

傲慢なシェフは憮然とする。

一方、ビストロ・フー社員寮には・・・早朝引っ越しの量産型巻髪クルクルガール・川奈藍里(高畑充希)が来襲する。

ハイテンションの秋田生まれの二十六歳、五月五日が誕生日の女の子、同性に嫌われやすい性格だが同性と仲良くしたい、好きな食べ物は甘エビと島ラッキョウ、好きな家電はドライヤー、行ったことがある海外はグァムで到着した直後にインフルエンザを発症した自称広報部長に・・・寝起きを襲われる一同だった。

早起きが苦手なたま子、無視される寝起きのおっさんパティシェ・ハイジ(安田顕)だが・・・東大出身の秀才・新田結実(二階堂ふみ)は辛うじて「苦手なことは朝から要らない情報が入ってくることです」と一矢報いる。

省略された三千院鏡子(臼田あさ美)は可憐にずっこけるのだった。

かわいいぞ、三千院かわいいぞ。地味にかわいいぞ。

厨房のシェフ・雨木千佳(松岡茉優)は「お姉ちゃん」と呼ぶことを強要されるのだった。

歯ブラシを洗面所に備えれば儀式は終了である。

聖なるウエイトレスは抜群の接客力で雪の結晶ネイルアートの女性から赤ちゃんやフード軍団までそつなく対応。

厨房では「浮気の基準は他の女の子を下の名前で呼ぶことです。彼氏の浮気は芽から摘まなきゃ駄目です。葉っぱが出たらそれはもう浮気の花が咲いたも同然」と恋愛指南も余裕でこなす。

ついには「集客のためのおしゃれなダイレクトメール」のノルマを従業員一同に課すのだった。

躁状態のキラキラちゃんを「緊張しているんだ」とクールに分析するたま子。

しかし・・・親友の藤村五月(菊池亜希子)にダイレクトメールで「私は今レストランをやってます」と近況を知らせるたま子だった。

大量端末・充電中の夜の女たち。

ゼネラル・プロデューサー兼皿洗いの喪服ちゃんは「一週間、黒字です・・・業績は確実に改善されています」と発表する。

「チャンスの神様って前髪しかないので確実に掴んでいきましょう」と決意するたま子だった。

一人暮らしの女を襲う「ピシ」から逃れて城の中の城に籠った厨房のシェフにママからメールが届くのだった。

北海道に引っ越すことになりました。

話があります。

会ってくれませんか?

これ以上なく最悪のママ・奏子(堀内敬子)だが・・・厨房のシェフにとっては掛け替えのないママなのである。

キラキラちゃんは「ジャガイモとキャベツタマネギとニンジンとセロリと厚切りベーコンのポトフができるまで縄跳び30分とフラフープ20分で待つ動画」を自分撮り専用棒で収録するのだった。

たま子はフラフープで熱狂する。

「ビストロ・フー」には風が吹いていた。吹きっさらしだからな。

一方、営業成績が下降しまくるビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」・・・。

お尻を触らずにはいられない土田(吹越満)は「週末女子会」などの女性向けのイベントを企画する。

「本社からのメニュー」を傲慢なシェフに押しつける。

しかし、傲慢なシェフは「こんなのフレンチじゃねえから」と拒否するのだった。

左遷されたストーカーの後継者はどんくさい道明寺。

「名前負けしているよな・・・松潤とは程遠い」

キラキラちゃんの後継機・巻髪二型・舞香(村上友梨)は巡航速度に問題があるのだった。

「くそ・・・改良されて性能が落ちるなんて・・・どんな量産型だよ」

「グラビア特性は確実にアップしてるんですけどね」とセクハラ度は高い窓際ハゲだった。

「レストランじゃなくてキャバクラだったらなあ・・・」

閑古鳥の鳴くビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」とは対照的に上々のランチ・タイムを終えた「ビストロ・フー」・・・。

厨房のシェフは母との待ち合わせの場所へ向かう。

そこには母親の再婚相手の地球と書いてテラさんが待っていた。

寺川草輔(菅原大吉)だぞ。

気不味い空気に水を飲み干す三人。

息が合ってるらしい。

「結婚の報告をさせていただきたく・・・私から奏子さんにお願いいたしました」

この世界では珍しい普通の男性である。

もちろん・・・寺川が言い出すまで奏子は娘のことは二の次だったわけで・・・義父に強姦される展開もあるわけだが・・・時間的制限から地球さんは「セクハラ特性が極めて低いキャラクター」に設定されているようだ。

「テラさんは・・・ミサイルを作るお仕事をしていて」

「ロケットです」

「寺さんには全部話したの・・・私がどれだけクズだっか・・・それで寺さん・・・今度、北海道に転勤になるんだけど・・・ロケットのなんかを作る工場がね・・・移転して」

「秋にはあなたの妹か弟が生まれます。女の子ならデコちゃんです。だから・・・北海道で家族四人で暮らしませんか」

「千佳・・・ママに償いをさせてください」

厨房のシェフは飲み干した水を求めてコップを口から外すことができない。

渇いている。喉が渇いている。ママの微笑を求めて心はカラカラなんだ。

ママと一緒に暮らす憧れの日々。

願っても願っても与えられなかったもの。

その頃、ハイジは渾身で神業のラテアートを完成させていた。

休憩から帰ってくる三千院、キラキラ、喪服の三人。

キラキラの狐憑き話を聞き流す二人は・・・ラテアートを速攻で撹拌するのだった。

「あ・・・スライムのプチプチってどこへ行けばつぶせるのかしら」

帰って来た厨房のシェフも心ここにあらずで撹拌する。

「どっか・・・駅の地下道じゃなかったでしょうか」

ハイジの無念を気遣うたま子である。

休憩中に情報収集したキラキラちゃんは大ブレーク中の「大月さんのベーコン」を紹介する。

「田中義剛越えなのかしら」

「南アルプスの特選銘柄の魔法のベーコンなんですよ」

「ブームに乗ってシナジー(相乗)効果でウハウハですね」とゼネPも賛意を示す。

ブラック&ホワイトが揃って戦力大幅アップである。

たま子は厨房のシェフに問う。

「どうかな」

「いいっすよ」

しかし・・・厨房のシェフでは幼い魂が揺れていたのである。

ハイジだけが・・・時代から取り残される気分を味わうのだった。

しかし、そんなことで傷ついていたら男は女になれないのである。

遠路はるばる南アルプスへ出張するたま子と喪服ちゃんと厨房のシェフ。

しかし・・・痛い思い出の残る営業車に乗ってビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」も現地に到着する。

傲慢なシェフ、窓際ハゲ、そして悪魔くんである星野大智(菅田将暉)。

ふたつのチームはベーコン求めて走りだす。

たちまち転倒する喪服ちゃんだった。

「大丈夫?」

「・・・」

悪魔くんは手を差し伸べるが喪服ちゃんは自力で立ち上がる。

「ごめんなさい」

「・・・」

「ごめんなさい」

雲泥の学歴差を乗り越えて関係した二人だったが暗くて深い河があるのだった。

きつい豚舎の匂いを越えて魔法のベーコンを試食した一同。

生産者(螢雪次朗)は「お越しいただいて恐縮なんですがうちの商品は私自身が何人かの社員と手作りで作っておりまして地元のお店に卸すだけで手いっぱいなんですが最近廃業されたお店がございまして一枠のみ空きがございます・・・よりおいしいお店と契約したい」と述べ第一回ビストロ料理対決の開催が決定する。

「レストランものならではの展開ですね」

「勝てる気しかしねえんだけど」

「うちも勝てる気しかしません」

「じゃあ負けたらお前のこと諦めるわ」

微妙な火花を散らすたま子と傲慢なシェフ。

悪魔くんは喪服ちゃんに縋るのだった。

「俺、彼女と別れた」

「で?」

「・・・ごめん・・・もう1回ちゃんと話 したくて・・・」

「何回も謝らなくていいです。話さなくてもいいです。怒ってません。・・・どうでもよくなっただけです」

「え」

帰陣した厨房のシェフはサンプル提供されたベーコンと向き合う。

「何か・・・手伝うことある」

「大丈夫っす」

「あんまり無理しないでね」とハイジ。

「勝つ負けとか気にしないで」と三千院。

「・・・負けたら店辞めるぐらいな的な感じでいるんで」

「たかがベーコンだよ」とキラキラちゃんは危険な匂いを感じて慌てるのだった。

「すいません・・・でも・・・門司さんのポトフは本物なんで。凄いんで。私がここにいるのもそれを食べたからなんで」

「千佳ちゃんのポトフはおいしいよ」とたま子。

「私は素人だし・・・私のはなんかあばれてる・・・」

「それが千佳ちゃんの料理の個性だよ」

「辞めるとか・・・なしだよ」とキラキラちゃん。

「千佳ちゃんの料理を・・・楽しんで作ればいいのよ」とハイジ。

「私・・・料理・・・楽しくないです・・・料理・・・楽しかったことなんかないっす」

「そんな・・・つらいこと」と三千院。

「つらくていいんです・・・つらい方がいい料理・・・できるんです・・・辞めたいわけじゃないっすよ・・・たかがベーコンなんですけど・・・やっぱり勝ちたいんで・・・そういうふうでいるんで・・・一人でいればいるほど私たぶんいいシェフになれます・・・簡単にいうと・・・放っておいてください・・・頑張ります・・・お願いします」

苦悩する厨房のシェフの気迫に沈黙する一同だった。

生きるために料理をしてきた少女。

すべての根源は・・・奏子を捨て別の家族を築いたライクダイニングサービス」の社長・雨木太郎(杉本哲太)にある。

ビジネスがすべての雨木社長は・・・「シンフォニック六本木店」の開店が進捗せず、その要因である「表参道店」の売り上げ不振に激怒していた・・・。

雨木社長に辱しめられた藤村五月の件で訴訟を考える弁護士でソムリエの烏森奈々美(YOU)はたま子に説く。

「藤村五月さんにお会いしたこともないし藤村さんが今幸せに暮らしてるならこのままでいいと思う・・・誰だって過去の忌まわしい出来事から逃げてることはあるし・・・逃げていいと思うんだよ。・・・一生逃げ切れるなら。だけど時々、過去に追い付かれることがある。それは明日かもしれないし十年先かもしれない。だったら立ち向かう手もある」

「少なくとも五月は悔しいっていう 気持ちを残して東京を去りました・・・」

「藤村さんにその意思さえあれば訴訟は起こせる・・・それだけ、覚えといて・・・」

ママからの電話を無視して勝負料理に打ち込む厨房のシェフ。

たま子はその背中を見守る。

三千院はプチママとして夜食を作る。

ストーブに点火すれば・・・暖かい炎が灯る。

夜明けがくれば死力を尽くした厨房のシェフはお腹が減るのだった。

そして・・・そこには誰かが作ってくれた料理があるのだった。

厨房のシェフとママの娘は揺れる。

生産者は・・・軍配を「ビストロ・フー」にあげる。

無言で立ち去る傲慢なシェフ。

「やったね」

「・・・すごい・・・」

厨房のシェフは喜びを感じる。

しかし・・・「まっ、正直言ってシンフォニックさんのポトフの方が若干上かなと思ったんですがね。・・・お二人とも美人だし。・・・女性に使っていただく方がこっちも張り合いってもんがありますから。 フフフ」

生産者の一言が希望を打ち砕くのだった。

「負けたんだ」

「でも・・・」とたま子。

「門司さんに申し訳ないでしょ?・・・料理に申し訳ないでしょ?・・・こんなの絶対嫌だ!」

子供の理屈に・・・大人の理屈は通用しないのだった。

たま子は・・・厨房のシェフの心に同意した。

店に戻った門司は・・・敵に塩を送られた屈辱を噛みしめるのだった。

ドライブインでたこ焼きとお好み焼きを買うたま子。

厨房のシェフにはママからの着信がある。

この家であなたと一緒に暮らしたい。

北海道の素敵な新居の画像・・・。

「千佳ちゃん・・・悔しいときが上達するときだよ。苦しいときが成長するときだよ。・・・辞めないで」

たま子もさすがに厨房のシェフの葛藤を読み切れないのだった。

「ご・・・ごめんなさい・・・違います・・・負けたら辞めるって言ったの嘘です・・・辞めたいのは諦めが足りないからです・・・諦めたのに期待しちゃってるからです・・・私の諦める気持ちがんばれ・・・私の絶望がんばれ・・・って・・・思っても期待するの止められない・・・それが苦しいだけです」

「千佳ちゃん・・・」

ママに逢いたい・・・大好きなママに逢いたい・・・だって私はママの娘だもの。

ママの娘は厨房のシェフを駆逐する。

「ごめんなさい・・・今日は厨房に立てないです」

大入り満員の店内から逃げ出すママの娘・千佳。

「何いってるんですか・・・」と喪服ちゃんは問う。

「大丈夫・・・信じよう」とたま子。

セカンドの三千院は厨房を死守するのだった。

「ママ・・・うん・・・もう出るところ・・・一時くらいに着けると思う・・・昼ごはん・・・じゃあ・・・食べようかな・・・また・・・駅に着いたら電話する」

行かなくちゃ・・・ママに逢いに行かなくちゃ・・・ママのご飯を食べなくちゃ・・・何も問題はない・・・今日は晴だから。

ベーコンを入手した傲慢なシェフ。

しかし・・・客はいないのだった。

「どうしてだ・・・なんで客が来ない」と土田。

「部長がお客さんのベビーカー蹴ったりするから・・・」と窓際ハゲ。

「ちっ」

何故だ。何故客が来ない。どうして俺の料理を食べに来ない。

傲慢なシェフは無表情だが・・・苦悩していた。

見上げればはためく「アホ」の旗・・・。

傲慢なシェフは敗北を確信するために「ビストロ・フー」に向かう。

階段でママの娘とすれ違う。

「おい・・・今日、休みか」

首をふるママの娘。

「じゃあ・・・なんで・・・コックコート着てねえんだよ」

「や・・・辞めるんで」

「へっ」と傲慢なシェフは無表情に侮蔑する。

蘇る厨房のシェフ。

「どうしたら・・・あんな料理作れるんすか」

「別に・・・普通だろ」

「えっ」

「真面目に作ってるだけだけど」

ママの娘は死んだ。

階段を昇る傲慢なシェフの姿を厨房のシェフは追いかけた。

「ありがとうございます・・・ごゆっくりとお召し上がりくださいませ」

聖なるウエイトレスは傲慢なシェフをキャッチする。

「一名様でしょうか」とたま子。

「ああ」

「カウンターでよろしければ・・・ご案内できますが」

「何したんだ・・・何をしたら・・・こうなったんだ」

「え」

「ポトフでいいっすか」

厨房のシェフは傲慢なシェフに挑戦状をたたきつける。

「ああ」

たま子は戸惑い・・・歓喜する。

「わがままなシェフだな」

「シェフはどこでも・・・そうみたいです」

厨房のシェフは厨房に戻った。

三千院はシェフの場所を明け渡した。

傲慢なシェフはポトフを完食した。

たま子は空の器を厨房のシェフに示す。

微笑みあう二人。

「洗い場・・・向こうです」

「はい・・・失礼しました・・・シェフ」

ビストロ・フーは活況を呈した。

傲慢なシェフはメールを送信する。

ごめんなさい・・・行けなくなった

傲慢なシェフは自陣に戻った。

「うちの店に原因があるんだよ」

「なに」と土田。

「客・・・取られてんだよ。・・・面白え。・・・客は取るより取り返す方が難しいんだから」

傲慢なシェフは無表情に微笑んだ。

ゼネラル・プロデューサーは反省会をリードする。

「昼間ばたついたので段取りの確認をしましょう」

スタッフの動線の改善を指導する皿洗い担当だった。伊達に皿を洗っているわけではないのだ。

的確な東大ちゃんの指摘に素直に従うメンバーたち。

改善され、磨きがかかって行くスタッフ一同。

店はますます商売繁盛するのだった。

「マリネとサーロインと白身魚のポワレが入りました」

「ナスのマリネ。 サーロイン。白身魚のポワレ。お願いします」

「オーダー、ナスのマリネ、サーロイン、ポワレ、以上です」

「リンゴのタルト2つ追加でお願いします」

来なかった娘を案じて奏子が「ビストロ・フー」にやってきた。

「シェフ・・・お母様がいらっしゃってます」

「席は空いてますか?

「カウンターが」

「それでお願いします。あっ。おなかに赤ちゃんいるんですよ。・・・毛布・・・お願いします」

「はい」

「お母さんにご飯作ってあげられるなんて最高じゃない・・・最高の親孝行だよ」と三千院。

「そうすかね」

しかし・・・オーダーの代わりにたま子は奏子の差し入れた弁当の包みを運んでくる。

「千佳ちゃんと皆さんで食べてくださいってお弁当作ってきてくれたそうなんですけど」

厨房のシェフは母親と対峙するのだった。

「ごめんね。 急に」

「ううん・・・ごめんね・・・行けなくて」

「ううん。 大丈夫」

「あと北海道もやっぱり行けない。・・・私はここを 離れられない・・・ここには私の厨房があるから・・・当てにしてくれてる人たちも いるし・・・だいたい北海道・・・寒いし」

頷きながら苦悶する奏子。

「ママのこと信じられない気持ちは分かる。許してもらえるとは思わない。でも、あのころ千佳にあげられなかった愛情を今からでもって。ママ、 本当に」

厨房のシェフは奏子の両手をとる。

「ごめんね。 ママ。千佳はもう子供じゃなくなったの。本当はママにわがまま言って甘えたりしたい。・・・洋服を選んでもらったり。・・・髪の毛を三つ編みに してもらったり。・・・ニンジンすりおろしたカレー作ってもらったり。・・・そういうのしたい。でも・・・もういいの。・・・それはもういらないの。千佳には・・・それはなかったの。だけど・・・大丈夫。・・・ママ。・・・もうこんなに大きくなったし。千佳には料理があるから。・・・料理があるから・・・さみしくないよ」

厨房のシェフは弁当の重箱を開いた。

「うわあ・・・おいしそうだね・・・みんなでいただきます」

涙にくれる母親の時を失った奏子だった。

この世にとりかえしのつくことは何ひとつないのである。

「まあ・・・なんかよかったよ」

「え」

「やっぱり・・・諦めたらダメなんだよね・・・期待した方がいいことあるんだ」

「・・・」

「テラさん・・・面白い人だね」

「・・・」

「私もテラさんみたいに人の心を打ち抜くミサイルのような料理作るよ」

「テラさんが作っているのはミサイルじゃないわよ・・・ロケットパンチよ」

「そっかあ・・・」

誰がマジンガーZの話をしろと。

母とその再婚相手は北海道へ旅立った。

厨房のシェフはたま子の腕の中で泣いた。

一同はシェフの母の手料理を味わった。

「ここでご飯を食べているとあの日のことを思い出すわ・・・たまちゃんがお店を始めませんかって言った時のこと」とハイジ。

「そうですねえ」とキラキラちゃん。

「あなたはいなかった」

「そうでしたあ」

「官道しましたよね」と三千院。

「あなたは断ってた」

「いろいろありましたね」

「私も・・・こんなにたくさんお客さんが来るなんて信じられなかった」とハイジ。

「私は信じてましたよ・・・だってここで食べるご飯・・・絶対おいしいに決まってますから・・・続けましょうね・・・続けるっていうことを信じましょう」とたま子。

しかし・・・雨は降りだす。

あわてて・・・テーブルにブルーシートをかけるたま子。

開店中だったらどうするつもりだとは・・・けして想像しないでください。

厨房のシェフはたま子を手伝う。

「私も思い出しました」

「ん」

「シェフにならないかって・・・言われて・・・いい仕事がしたいって・・・いい仕事をして・・・ドキドキしたいって・・・」

「人生ってきっと地位や名誉やお金じゃない・・・人生はどれだけ心が震えたかで決まると思います」

「あのね・・・私・・・ドキドキしています・・・いい仕事がしたいっす」

「いい仕事してますねって言われたいよねえ・・・いい仕事しようね」

そして・・・いい仕事は客を呼び込むのだった。

空席だらけのビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」に土田は誕生日の娘と妻を招待していた。

バースデーケーキを運ぶ窓際ハゲを娘に接触させない土田。

そこへ・・・雨木社長が抜き打ちでやってくる。

「今日は休みか」

「娘の誕生日なものですから・・・女性と子供に好かれるお店のリサーチもかねまして」

雨木社長は蝋燭の火を吹き消した。

「こんなんで二号店出して恥ずかしくないかな・・・どう思う」

雨木は土田に誕生祝いのデコレーションを咥えさせる。

「申し訳ございません・・・二人とも・・・外で待っていて・・・くれないかな」

妻と娘の前で屈辱的なポーズを晒す土田だった。

雨木社長は冷酷な笑みを浮かべた。

無惨だった。

ソムリエ弁護士はたま子におねだりをしていた。

二人のいるカウンターの窓には「アホ」の旗が翻る。

「儲かってんだから奢りなさいよ」

「私はただ・・・やりたいことをやってるだけですから」

「あなたはだんだん私に奢りたくなる」

「なりません」

たま子は来客の気配に振り返る。

「すみません・・・今・・・準備・・・」

「田中たま子」

「五月・・・」

朗らかに笑いあう二人・・・。

しかし・・・五月の背後から現れた謎の男(風間俊介)に一部お茶の間からは悲鳴があがるのだった。

ある意味・・・螢雪次朗より凶悪だからな。

土田の娘殺したり、立て籠もって従業員強姦したりしないといいな。

まっさかさまだな。

ピシッ・・・。

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コメント

キッドさま

耳「好きな家電はー、ドライヤーです!」
一堂「ヌボー……ヌボー……」(ヌボー萌え※ただしハイジは覗く)

自分としてはこういうドラマが観たかったはずなんだよなー。

駐車場から両チームダッシュ!

自分としてはこういうドラマが観たかったはずなんだよなー。

でも現実?は「ああ、ケーキの蝋燭のフラグが立っちゃったよー」と思ったらその通りに。ゲスい。ゲスいよ、older駅長。younger駅長も歳とったらああるなるのか??? いや歳とらなくても、なんで門司がたま子みたいな女性を好きになるのか、果てはつきあっていたなんて信じられない、リア充爆発しろ(-_-#

というわけで、視聴者の望む通り100パーセントその通りにはしてくれない脚本家なのですよねー。

でも観てしまう。あんなレストランはないのかと上を向いて歩いてしまうのであります。シェフ可愛いよリーダー、さすが江戸時代にほっしゃん(後にパティシエ)のサポートしていただけはあるわー。

投稿: 幻灯機 | 2015年2月28日 (土) 19時13分

✪マジックランタン✪~幻灯機様、いらっしゃいませ~✪マジックランタン✪

女の園はある意味、ハーレムでございますからね。

ハイジは女装して観察している男そのものです。

一体感こそが萌えの根底にありますからな。

「なにいってるんだこいつ」感を
一緒に堪能したいのでございますよね。

男チームと女チームは三VS三で
腰をトントンするのが
窓際ハゲと喪服ちゃんだったりするのも
ご愛嬌でございます。

ブヒブヒ可愛いのでございますな。

男女同権には
弱肉強食の部分と平和共存の部分がありまして
闘争の部分では
どうしても尖る感じがいたします。

そうした殺伐から逃走することが
いかに自然にできるか・・・。
そこが着地点なんですな。

黒と白がシェフと溶け合う
神宮のシューベルトや

ちびシェフの壮烈幼少期

至福の時を目指して地獄めぐりは続く。

素晴らしきかな問題のある人生でございますねえ。

投稿: キッド | 2015年2月28日 (土) 23時32分

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