あなたはもうすぐ死ぬと告げるべきかどうかです(堀北真希)
「死」というものの存在を意識した時、人は漠然とした不安を感じる。
人生に「苦痛」を感じた時、人は逃れる方法を模索する。
「生命喪失」の危機に際して、人は概ね恐怖する。
偶然のように生まれたものは必然的に死ぬ。
人それぞれの「生死」についての考えがある。
このような意識に基づき医療現場には様々な劇的要素がある。
だから・・・「ベン・ケーシー」やら「赤ひげ」やら「ER」やら医療ドラマは量産されるのである。
このドラマは「自由診療制度によるセレブ御用達病院」「看護師たちの群像劇」「ヒロインの仕事と恋愛」という要素で新機軸の医療ものを目指した気配がある。
しかし、試みは悉く失敗し、残骸のような感じになっているようだ。
まあ・・・そういうことはあるよね。
で、『まっしろ・第7回』(TBSテレビ20150224PM10~)脚本・井上由美子、演出・今井夏木を見た。人間は矛盾した存在だ。たとえば戦争反対を叫ぶあまり兵士に爆弾を投げつけたりする。このちぐはぐさを愚かと言ってしまうのは簡単だが・・・ドラマではそういうことになった原因や結果をある程度、わかりやすく描く必要がある。面白い番組を作ろうとしてオウム真理教に弁護士一家を殺害させた実績のあるこの局ではそのあたりのことはよくわかっているはずである。あり得ないことが起きるのがこの世の中なのである。そういう前提で「なげやりに断片」を見せることは娯楽番組向きじゃないんだな。
たとえば・・・看護師長(木村多江)と長期滞在のお客様患者である大江様(眞島秀和)の信頼を得ることを競う木綿子(高梨臨)は私生活では東都大学の医師・裃一郎(山口馬木也)と不倫している。
この不倫関係が大江様と看護師長の関係に対する木綿子の認識を歪ませるらしい。
かなり・・・難解な心理の問題である。
相当に説明しないと・・・木綿子の心理的葛藤はお茶の間に伝わらない。
ドラマでは・・・木綿子は裃と不倫関係にありながら・・・大江様にも恋をし・・・木綿子にとって相思相愛に見える大江様と看護師長の関係に激しく嫉妬しているように見える。
お茶の間には木綿子が「頭のおかしな人」に見えるのではないだろうかと危惧するのだった。
一方で・・・「看護師でありながら薬品を盗み、医師の指示もないまま、自らに投薬する」という犯罪を犯した看護師・さくら(MEGUMI)をヒロインの朱里(堀北真希)、正体不明のセンター長(石黒賢)、新看護師長となったオペナースの岩渕(水野美紀)は看過する。
さくらの「頭がおかしい」のはいいとして・・・全員の「頭がおかしい」のはどうしたものか。
このドラマの世界ではそれが「モラル」というのならば・・・相当な説明が必要なのである。
そういう必要な処置をしないで・・・とりあえず話を進めるので・・・もう・・・なんだかな~と歌うしかない今日この頃なのだった。
これはスタッフの頭が相当におかしいね。・・・プロデューサー、お前か。
クズ男に失恋し、セレブ患者との出会いを求めて東王病院にやって来た朱里。
そんな朱里に米国帰りの医師・孝太郎(柳楽優弥)は特別な関心を抱き、ついには抱きしめる。
玉の輿ということでは・・・朱里には何の問題もないはずである。
しかし・・・菜々(志田未来)が孝太郎に思いを寄せていると感じている朱里は「ヤブ医者なんか」と孝太郎の求愛を拒絶するのだった。
つまり・・・「女の仁義」に反するわけである。
だったら・・・仲良くするなということになり・・・朱里は孝太郎をことさらに避けるようになるのだった。
まあ・・・小中学生なら許せるのかな。
一方で・・・センター長は人事を発表する。
さくらの薬物盗用事件の責任をとって看護師長はオペナースに降格、岩渕が新看護師長に抜擢されるのだった。
そして・・・さくらの行為は不問となる。
つまり・・・事件をもみ消したんだな。
なんだかな~。
さくらは「してやったり」の顔をするが・・・新看護師長は「再犯防止」のためにさくらに精神科への通院を命じ、朱里にさくらの監視を命ずる。
「わるいことをした」という自覚のない二人は唖然とするのだった。
「二度目はない」と釘を指す新看護師長。
いや・・・一度目でアウトだろうというお茶の間の常識は通用しない世界なのだった。
「同級生を公園で殺しちゃいました」
「今度は誰かを殺さないようにしましょうね」
「は~い」
・・・という話なのである。
なんとなく・・・永遠のライバルである旧看護師長と新看護師長。
「ホスピタリティー重視」の旧看護師長と「医療技術重視」の新看護師長という対立軸があるらしいが・・・非常にわかりにくい。
常識なのかどうか明言できないが・・・「ガン告知」のインフォームド・コンセントの日本における歴史的流れが前提なのである。つまり、一昔前は患者本人には告知せずに家族に告知し、本人に対して告知するかどうかは家族に判断させるというのが一般的であり・・・現在は医療行為の正しい情報を患者に説明して治療に合意してもらうために本人に告知するのが主流という話なのである。
旧看護師長は大江様に自殺の恐れがあるとして、「治癒の見込みがあるガン」という希望的観測を伝えた。
新看護師長は適切な治療のために・・・「治癒の見込みが望めないガン」であることを患者に伝えるべきだと考える。
旧看護師長は・・・大江様担当の木綿子に意見を求める。
「あなたはどう思いますか」
「本当のことを言うべきです・・・私たちはあくまで看護師で・・・患者の家族ではないので」
「失望しました・・・あなたは公私混同しています」
「公私混同しているのはあなたの方です・・・まるで大江様の恋人気どりじゃないですか」
「私には公私はありません。私にとってお客様はすべて最愛の人です」
「それが公私混同というものじゃないですか」
「いいえ・・・私にはプライベートはありません。看護が私のすべてですから」
旧看護師長の信念が理解できない木綿子だった。
センター長は結局、告知を容認するのだった。
告知の責任者は主治医の孝太郎である。
セレブな急患である製薬会社の社長夫人 (高林由紀子) が搬送されてくる。
朱里と菜々が対応すると・・・夫人の息子で東都大学の医師の嫁としてひろみ (福田彩乃)が現れる。
旧看護師長から「暇」を申し渡されたひろみは東都大学の看護師となり、玉の輿にのったらしい。
ひろみはセレブ患者のセレブ家族として看護師たちを見下す。
しかし、朱里は「看護は一生を捧げる価値のある仕事だ」と胸を張るのだった。
病気で気弱になった夫人は「嫁が看護師でよかった」とひろみを頼る。
夫人の胆のう結石の胸腔鏡手術は無事に終了し、旧看護師長はオペナースとしても際立った実力を示すのだった。
ここで東都大医師の母親がなぜ東王病院に入院したのかが本来、重要なポイントになるはずであるが・・・スルーである。
「白い巨塔」の脚本家が現状の大学病院の権威主義を知らないわけがないのである。
保険診療制度の権威たる大学病院(東都病院)と自由診療の新勢力であるセレブ病院(東王病院)には明らかに確執が生じているはずなのだった。
やがて・・・かなり無理矢理な感じで・・・東都病院の医師と東王病院の看護師が不倫しているという噂がひろみの口からナースステーションに伝わるのだった。
夜勤体制は別チームがいるという説明もないまま・・・例によって高級レストランに全員集合するナースたち。・・・ここは病院内という設定なのかな。
「お客様はセレブでも・・・私たちは庶民」
番組のコンセプトを根底から覆す発言で始る無礼講。
結局、新旧を問わず看護師長は厳しいという意見に傾く一同である。
だから・・・セレブドクターでセレブナースでなければどうやってセレブ病院が運営できるんだ・・・。
階級闘争なのか。
そして・・・下世話の話題から・・・看護師の不倫問題が取り沙汰される。
耐えられずに飛び出す木綿子。
朱里と菜々は追従である。
「私なのよ」
「何が」と朱里。
「不倫してるの」
「この淫乱どもが」と菜々。
「別れなきゃダメよ」と正論の朱里。
「わかった」と裃に別れを告げる木綿子。
しかし・・・裃は「月五十万円でどうだ」と問題のある駅長化するのであった。
男女同権に目覚めた朱里は乱入である。
朱里が裃に突き飛ばされると・・・木綿子は裃の顔面にビンタを炸裂させるのだった。
恐ろしいことに・・・この問題は来週・・・さらに進展するらしい。
ある意味・・・支離滅裂の辻褄あわせと言う状態なんだな。
手術が終わった夫人は豹変し、嫁を「看護師あがり」と見下すのだった。
まあ・・・お客様である以上、接客従業員は下僕なんだな。
つまり・・・セレブたる品格は問われない世界らしい。
半島国家なのか。
まあ・・・日本における真のセレブ病院は天皇陛下の入院なさる病院だけなんだけどな。
医師も看護師も緊張で寿命が縮む世界だぞ。
旧看護師長の危惧した通り・・・告知された大江様は・・・治療を拒否するのだった。
蒼ざめる新看護師長、孝太郎、そして・・・木綿子である。
所詮、木綿子はプライベート(自分の恋愛)のことで頭がいっぱいだったのである。
孝太郎は・・・なんだかんだで看護師としての朱里を賞賛する。
しかし・・・朱里の心は仕事と恋愛の間で再び揺れ始めるのだった。
鼻もちならないセレブ夫人が退院すると・・・入れ替わりに孝太郎の父親で外科学会の会長を務める帝都大学の仲野幸助 (宅麻伸) がやってくるのだった。
あれ・・・この世界の東京大学は・・・帝都大学なのか・・・東都大学かと思っていたよ。
東王病院と差別化するために・・・帝都大学に名称変更したんじゃないだろうな。
まあ・・・いいか。
とにかく・・・来週は急展開するらしい。
まあ・・・何がメイン・ストーリーなのか・・・誰か教えてくださいと言いたくなるよね。
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