たこやきあ~んしてあげますよ(堀北真希)ステーキいただきます(志田未来)
地獄の(火)10で最悪のチャンネル枠である。同枠前番組の「女はそれを許さない」が平均視聴率*6.2%だ。
しかし、堀北真希、志田未来、柳楽優弥を揃えて
*7.9%↘*7.8%↘*5.7%↘*5.1%↗*5.4%
は流石に厳しいな。
初回が前ドラマ最終回より2ポイント以上あげているので・・・その後で3ポイントダウンしているのは番組内容がお茶の間の期待を裏切っているということになる。
今回、看護師長に副師長が反逆するシーンで明るい曲調のBGMがつくのだが・・・そういう流れでいいのかと疑問に思う。
子を持つ看護師がプライベートの事情と職務に板挟みになるという展開である。
普通のドラマなら・・・「子供が熱を出した時の母親の心情」に寄り添うのは何の問題もないが・・・ここはセレブ御用達の上流病院なのである。当然、従業員の福祉も上流が前提でないとな。
育児する母親である職業人をバックアップする体制抜きでは上流病院は成立しないのである。
厳格過ぎて管理能力を問われるリーダーという話なら普通の病院でよかったのだなあ。
そういう全体をまとめるリーダーシップがこのドラマが欠けていると脚本家はなんとなく言いたいのか。
プロデューサー、お前か。
で、『まっしろ・第6回』(TBSテレビ20150217PM10~)脚本・井上由美子、演出・東仲恵吾を見た。ついに演出が新人デビューの人である。もう・・・しょうがない感じだが・・・困惑の折り返し地点をなんとか乗り切ったな。「上流病院」「大奥的女の職場」「まっしろなヒロインの青春」「医療現場の群像劇」欲張りすぎたこのドラマの・・・ヒロインの人間性はなんとか描き切った。良い人過ぎず腹黒過ぎずちょうどいい感じのヒロインである。そういう感じで良かったんだよなあ・・・。まあ・・・クズ過ぎる患者・麗(松山メアリ)、クズ過ぎる患者の家族・誠吾(細田善彦)、そしてクズすぎる看護師・さくら(MEGUMI)もナイス・アシストだったけどな。
勤務のストレスから精神を病んでいるさくらはナースセンターから抗不安剤を盗みだし常用しているという異常者であり一種の薬物依存症患者なのだが・・・事が発覚しそうになるとすべては厳しすぎる看護師長(木村多江)に問題があると責任を転嫁しようとする。
看護師の技術向上に特化したオペナースの岩渕(水野美紀)は看護師長に締め付けを緩めるように進言するのだが・・・そもそも・・・犯罪者であるさくらの罪を看過しようとする姿勢が一種の身内贔屓であり・・・危ういのである。
まず・・・警察に通報しろよと誰もが思うのだった。
しかし・・・ここは・・・法治国家ではなく・・・薬事法に違反した看護師がそのまま何事もなく勤務に就くという緩いファンタジー空間なのだった。
さくらは盗人猛々しく「全部、悪いのは看護師長です」と主張するのであった。
さらに・・・岩渕を看護師長に推奨するさくら・・・何様なんだ。
だが・・・正体不明のセンター長(石黒賢)は明らかに妙である平坦なトーンを崩さない。
「なかなかに・・・興味深い時間だった・・・新任看護師はどう思うのかな。看護師は看護に徹するべきなのか・・・それとも限りなくドクターに近付くために技能を磨くべきなのか」
「わかりません」と答えるしかない朱里(堀北真希)だった。
「じゃ・・・宿題ね」
センター長は人事についても保留にする。まずはさくらを解雇して警察に通報だろう。それからマス・メディア対策だ。そうでない場合は黒服の男たちが登場してさくらを闇の世界に連行していくか・・・。
とにかく・・・おかしいよ。
しかし・・・おかしな展開はさらに続くのだった。
朱里の元の交際相手である誠吾が病院の正面ゲートで待ち伏せである。
守衛は不審者として警察に通報するべきだろう。
あるいは黒服の男たちが・・・もういいか。
二股交際をした揚句、朱里を捨て、麗と結婚した男である。
しかし、妻が妊娠中に病気になり、一般病院では胎児が助からないと言われ、上流病院である東王病院に勤務している朱里を頼って来たのだった。
「無理よ・・・入院するためには上流社会の紹介状が必要なの。入院に対しての寄付金がいくらだか知ってるの」
ここで金額を明示しないのがドラマとしてダメなんだな。
おそらく・・・初診料一千万円~じゃないのか。
「従業員割引でなんとかしてくれ」
「できるか」
しかし・・・車の中で急変する麗の病状。
居合わせた菜々(志田未来)と木綿子(高梨臨)は朱里の心情は無視して患者を緊急入院させるのだった。
ダメなドラマだからな。
とりあえず初診してしまう孝太郎(柳楽優弥)である。
「母子ともに危険な状態です・・・とりあえず・・・朱里ちゃんの知り合いなのでセンター長に掛け合ってみます」
「私とは無関係です」
「知り合いなんだろう」
「保証書に印鑑は押しませんから」
「支払い能力に問題のある患者なのか」
「初診料も払えませんよ」
「うわあ・・・底辺の人たちなのか」
しかし・・・病状を聞いたセンター長は患者受け入れを承諾するのだった。
「よろしいのですか」
「この症状の患者は珍しい・・・久しぶりにオペしてみたくなった」
「ああ・・・トレーニングということですか」
「お客様のために腕を鈍らせるわけにはいかないからね」
こうして・・・本当は入院できない身分の麗は手術も受けられることになったのだった。
本来、この病院に勤務する医者は基本的に全員ブラックジャックなみの特殊技能者なのである。
ただ・・・サービスがいいだけでは上流とはいえないからな。
ここは高級ホテルではなく高級病院なのだから。
一方、長期滞在のお客様患者である大江様(眞島秀和)は検査結果を待つ間・・・珍しく院内を散策する。
朱里は声をかけられるのだった。
「死刑宣告を待つ気分だよ」
「大江様はきっと大丈夫ですよ」
「看護師の大丈夫は信用できない」
大江様に執着する木綿子は二人を発見して割り込むのだった。
「大江様・・・採血の時間ですよ」
「また・・・採るの・・・検査の結果待ちなのに・・・吸血鬼なの」
木綿子には不倫中の東都大学の医師・裃一郎(山口馬木也)がいるわけであり・・・恋多き女と言えば聞こえはいいが無節操であるし・・・それだけ出演時間を割けないだろう。
まるで時間無制限のような盛り込み方なんだな。
一方、センター長のスパイとして看護師の動向を探っていた菜々は謝礼のはした金(二十万円前後)を受け取り、テンダーロインステーキを御馳走になるのだった。
菜々は麗の病状が・・・とある人物の病状に似ていることに気が付き・・・センター長が同じ病状の手術をした過去があることに・・・なんらかの反応を示す。
センター長は母親の仇なのか・・・「小公女セイラ」の刺でも始めるのか。
だから・・・盛り込み過ぎなんだよ。
さらに・・・サブリーダー保坂(西尾まり)の回として・・・麗担当を命じられた保坂の娘が保育園で発熱展開である。
早退を求めた保坂に「発熱した娘さんのことは公私の私・・・お客様を優先すべきです」と許可を与えない看護師長。
ここで・・・リーダー川本(竹内都子)が命令系統を無視して保坂の早退を認めるという謀反が発生する。
「助けあうのが職場じゃないですか」
「そういうことは普通の病院でおやりください」なのだった。
これで・・・看護師長が降格されたら・・・企画が根底からアホだったことになるよな。
っていうか・・・さくらが解雇されないのは完全にタレント行政問題だろう・・・。
腹腔内に腫瘍細胞が散在している麗は放射線治療や抗がん剤治療を併用することになり胎児は絶望的状況と思えるが・・・突然なんとなくブラックジャック化したセンター長は100%成功しない手術をなんとなく成功させるのだ。
その前にだだをこね始める麗。
「なんで私なの・・・幸せになりたいだけなのに」
「他人を不幸にした罰でしょ」と言いたいのを堪えて「赤ちゃんは生きようと必死になってるの・・・お母さんが必死にならないでどうするの・・・」
「私も赤ちゃんも死ねばいいってこと」
「馬鹿にしないで・・・まっしろな制服を着ている看護師は・・・患者が無事であることしか考えないの・・・そういう生き物なのよ」
「すげえ」
とにかく・・・ありえない感じでなんとなく手術は成功する。
「リベンジできたな」と平坦なトーンで意味深な発言をするセンター長。
ギラッと光る菜々の瞳。
すると・・・突然、朱里に絡み始めるクズ男だった。
「見せてやるよ・・・最高のクズがどんなものかを」なのか。
「俺ができちゃった結婚したと思ったら大間違いだぜ。お前より麗の方がいい女だから麗を選んだんだ。だってお前より麗の方がずっと俺のこと本気で愛してくれたもん」
「ひでぶ」
立ち聞きしていた孝太郎は颯爽とひとこけしてから割って入るのだった。
「朱里ちゃんと別れてくれてありがとうございました。おかげでこの病院は最高の看護師を一人手に入れることができたのですから」
「・・・」
思わずたこやきを孝太郎に買ってあげる朱里だった。
「あっちち・・・」
一本の楊枝で間接キスである。
「私のこと・・・褒めてくれたお礼」
「答えは出たのかい」
「私は看護師として精一杯看護をすることにしたの」
「じゃ・・・俺にもあなたは大丈夫って励ましてくれ」
「だめよ・・・あなたは患者じゃないもん」
激しく腕をクロスして×を作る朱里。
かわいいよ、朱里かわいいよなのである。
これだ。これでいいのだ。
「ちぇ・・・俺だっていろいろ悩んでいるのに・・・」
「しょうがないなあ・・・だ・い・じょ・う・ぶ」
朱里の尋常でない可愛さに思わずハグをする孝太郎だった。
「えええ」
ナイチンゲールのご褒美らしい。
ちなみに・・・クズ男とその妻は費用回収のために黒服の男に連れ去られるのは言うまでもない。
本当は告知したかったドクターを差し置き大江様の希望で告知権を与えられた看護師長。
「小説では死を受け止められた男をハードボイルドに書いたけどさ・・・俺は・・・死ぬのがこわいのです」
「大丈夫ですよ・・・大江様は完治しますから」
ステージⅢAでギリギリですけどね。
大体・・・ドクターは手術前に統計的なことは必ず言いますよね。
「ええ・・・脳腫瘍ですが・・・切除して千人に一人くらい後遺症が出る場合があります。それから切除に失敗するのは一万人に一人くらい。まあ・・・結局、成功するか失敗するかふたつにひとつです。クオリティー・オブ・ライフを考えるとしないのも選択肢の一つとしてあります・・・その場合の五年後生存率は統計的に三割程度ですが・・・どうなさいますか」みたいな・・・。
そこで・・・選択できるのが大人の患者というものなんだな。なんだなんだな。
さて・・・人事はどうなるんだ。まあ・・・主人公の運命とは関係ないからどうでもいいけどね。
関係あったら・・・本当にだめなドラマと言える。
看護師長を解任してもいいけど・・・それは管理責任を問われたからで・・・さくらの解雇だけは譲れない一線だもの。そうなれば犯罪を秘匿していた朱里も連座するのか・・・。
しかし・・・もはや上流病院のコンセプトは崩壊確実なんだな。
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