ふるさとをとりもどせ!限界集落株式会社(松岡茉優)
あれはまだK氏が生きていた頃。
「はじめて彼女をラブホに連れ込もうとした時、思わず実況してしまった」というネタで笑わせてくれたF氏を思い出す。
猫撫で声であくまで冷静に中立の立場を保つ必要があると語るF氏に・・・本当に吐気がした。
現地に行って「なんということでしょう・・・人が人を燃やしています・・・まさに驚天動地!燃えるアラブの闘魂テロリズム。掟破りのISISにイスラムを名乗る資格なし。こんなものに配慮を願うコメンテーター、それに同調するお茶の間なんてウジ虫毛虫こん畜生だ」と実況してほしいとは言わないけどさ。
まあ・・・高額所得者として・・・格差解消について毎日語るうちに欺瞞に耐性つきすぎですかね。
「今、日本人が危ない」なんてテロリストの思惑通りに叫ぶことに・・・忸怩たる思いはないのかな。
心の底から残念だ。
心あるものは毅然とした態度で無法者たちと戦うしかないのである。
で、『土曜ドラマ・限界集落株式会社・第1回』(NHK総合20150131PM9~)原作・黒野伸一、脚本・櫻井剛、演出・岡田健を見た。おい・・・ここかよっ。これもまた世界観戦争だからな。なにしろ・・・農産物をつぶしちゃう国なのである。百年前には食えなくて餓死してたというのにな。富を目指してガンガンやっていけばそういうことにもなるのさ。都会にいればそれはマーケットの陳列台に並んでいる食材にすぎないからな。日本人が作っていようが中国人が作っていようが無関係だ。車のガソリンがテロリストの密売品だって車は走るからな。法治国家で死刑囚を死刑に処したことを報復と断言するなんて一同大爆笑だぞ。脅迫されて喋らされていることを鵜呑みにするレベル。命は大切だと思う子供も人を殺してみたい子供も育つのが現実。何もかもを受けとめて行こうぜ。だから水曜日は谷間です。・・・何言ってるんだよ・・・。
地方の名もなき短大を卒業する大内美穂(松岡茉優)は就職活動中の東京で・・・同郷の経営コンサルタント・多岐川優(谷原章介)に遭遇する。
「夢はないの」と面接官として美穂に問う多岐川。
「田舎に住んでいるとできることを捜すのが精一杯でやりたいこととか夢とか考えられません」
そう答えるのが精一杯の美穂だった。
どこにでもいる特別じゃない・・・でも一生懸命な女子を演じさせたら・・・今、松岡茉優は抜群じゃないか・・・。
実は多岐川は・・・会社まで闇金的なものに追い込みをかけられている男だった。
そんなこととは知らず・・・東京での就職に見切りをつけて・・・片道五時間かかる帰路につく美穂。
美穂の生まれた集落はかっては止村と呼ばれたが・・・市町村合併による弊害でますます過疎化が進んでいる。役場もなければ病院もない・・・人口五十人の・・・限界集落。
限界集落とは二十世紀の終わりに過疎化・高齢化の進行で集落の自治、生活道路の管理、冠婚葬祭など共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうとされている集落の概念である。
つまり・・・名実ともに滅びつつある村だ。
「東京での就職決まりそうか」と声をかけるのは美穂の次に若いという萩野家の跡取り息子・鉄平(加藤虎ノ介)だった。
つまり・・・短大を卒業する美穂が歳年少なのである。
村には子供がいないので・・・小学校も中学校もないのだった。
想像するだけで淋しい気持ちになる。
まさに後がないのだ。
「無理っぽい」
「そうか・・・」
安堵に似た表情を浮かべる鉄平だった。
美穂は幼い頃に母を失くし・・・父親の正登(反町隆史)が十三年前に出奔してしまったので祖父母の一男(井川比佐志)と弥生(長山藍子)に育てられた。
一男は正登の始めた有機栽培を受け継ぎ・・・農家を営んでいた。
周囲の農家は「農薬使用」を薦めるが・・・息子を想う一男は頑なに実入りの少ない有機農法を続けているのだった。
そもそも・・・正登は経営に失敗し、借金を作り、農協と喧嘩騒ぎを起こして村を出奔したのである。
「今年は祭りは中止だ」
「じゃあ・・・獅子舞はないの」
「なにしろ・・・人が集まらないからな」
夕餉の話題も淋しいまである。
美穂にとって獅子舞の記憶は・・・数少ない親の思い出だった。
子供の頃・・・獅子舞に驚いて泣きだした美穂。
しかし・・・獅子を演じていたのは父親だったのである。
獅子を持つ父と一緒に撮った写真が・・・美穂にとっての郷愁と言える。
ますます暮らしにくくなる村。
役場の職員・二ノ宮真治(鈴木浩介)は「バスの本数がさらに減る件」でつるしあげられるのだった。
真治の妻の麻理子(柴本幸)はコンビニ代わりの移動販売車を運営している。
麻里子は妊娠中で無事出産となれば美穂は歳年少ではなくなるが・・・生まれてくる子供の通う小学校はないのである。
美穂は祖父の好きな「さんまの缶詰」を購入するのだった。
「じいちゃん・・・さんま買ったよ」
「おお」
・・・泣ける。
そして・・・夕飯でさんまを食べることもなく・・・キャベツを農協へ運ぶトラックを運転中に・・・心臓発作で・・・一男は帰らぬ人となるのだった。
一男の葬儀に現れる正登だった。
遅れてやってきた信長は父の遺影に抹香を投げつけ・・・違うよ。
鉄平の父・定晴(平泉成)・・・今季「美しき罠〜残花繚乱〜」「○○妻」に続いて三本目だ・・・や長老の菅原(寺田農)に責め立てられる正登・・・。
「畑はどうするつもりだ」
「今さら・・・戻れない」
老人たちの顔に落胆が浮かぶ。
正登は東京でタクシーの運転手をしていた。
成瀬川瑞希(井上和香)という情婦と暮らしている。
都会で・・・生きるしかないと思い定めていたのだ。
しかし・・・父親が正登の思いを受け継いで培ってきた土の味が・・・正登を責める。
そして・・・美穂は上京し・・・父に「祖父の畑を継ぐ決意」を伝える。
だが・・・前途は多難が予想された。
そんな時、美穂は廃屋に隠れ潜む多岐川と再会する。
どうやら・・・多岐川は借金取りから逃れてここに来たらしい。
「百万円で・・・会社組織を立ち上げてみないか」と言う多岐川を詐欺師を見る目でスルーする美穂。
慣れない農作業に悪戦苦闘する美穂。
そこへ・・・正登が帰って来た。
「もう一度・・・やってみる」
美穂は父の帰還に・・・複雑な思いを抱くのだった。
しかし・・・その年・・・キャベツは豊作。
せっかく作ったキャベツは生産調整で出荷できずにつぶされるのだった。
「食べられるのに・・・」
「仕方ない・・・出荷しても経費が嵩んで赤字だ・・・つぶして肥料にするしかない」
父は美穂に告げる。
「じいちゃんが丹精込めて作ったキャベツなのに・・・」
「もったいないよね」
現れたのは多岐川・・・。
軍師半兵衛は信長に策を進言・・・違うよ。
「このキャベツで・・・俺が儲けを出したら・・・俺のこと、信用してくれるかな」
「・・・」
こうして・・・美穂たちは妖しい男の口車に乗るのだった。
やる人たちはやる。
やらない人たちはやらない。
それが世界を不公平なものにしていくとしても・・・自由万歳なのである。
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