« 天は大任を降さんとする時ことごとくその志に反せしめる(川島海荷) | トップページ | ゴリ押しのゴリさんだからねゴリラじゃないんだからね(堀北真希) »

2015年2月10日 (火)

ああ、これが・・・恋の魔法というものかしら(内田愛)

「恋の魔法キターッ!」と叫ぶのか。

節分とバレンタテンデーの間にクリスマスイブを置くと言う姑息なカレンダーネタである。

クリスマスイブで誕生日まで三ヶ月を切るということは・・・ホワイトデーのあとの春爛漫かっ。

ウキウキしちゃうのかああああ。

まあ・・・いいけどね。

まあ・・・何度も言っていることですが・・・。

サンタクロースは実在します。

キッドは良い子なので毎年プレゼントをもらっています。

あなたがもらえないのは・・・あなたが良い子ではないからです。

ただ・・・それだけのこと。

お前は・・・悪魔だろうがっ。

そこだっ。

で、『デート〜とはどんなものかしら〜・第4回』(フジテレビ20150209PM9~)脚本・古沢良太、演出・石川淳一を見た。酔ったり、熱を出して顔が赤くなるのはのだめの上野樹理やリーガルハイの新垣結衣の得意技だが・・・一瞬、チャオの男もやってたな。もっと真っ赤でもよかったと思うが・・・ちょっと萌えたぞ・・・お前、男だろう。頬が赤けりゃなんでもいいのか。真っ赤なお鼻のサンタクロースよりもなによりも問題なのは処女懐胎だろう。マリアが処女ってどうなんだよ。究極のマザコンだろう。息子が初めての男っていう。もう、それ以上言うのはやめてくれ。お前が悪魔だったとしてもだ。愛着障害を治すクスリはあります・・・みたいなことにならないといいよねえ。

冒涜って最高だ。

史上最悪の「よしなよ、いやがってるじゃないか」展開の後で・・・。

藪下依子(内田愛・・・「リーガルハイ」で安藤貴和(小雪)の実の娘・徳永さつき役、「劇場版 ATARU THE FIRST LOVE & THE LAST KILL」でアレッサンドロ・カロリナ・マドカ(堀北真希)の幼少期役→杏)は谷口巧(長谷川博己)に電話をかけるのだった。

「お電話したのは・・・怪我の程度が・・・気になったからです」

「・・・たいしたことないです」

「安心しましたついでにもう一件あなたに私とデートする機会をもう一度与えても構わないと考えています理由は二点です第一にその行動の是非はともかくとして私を助けようとしてくださった点を評価して第二にあなたが高等遊民と称する若年無業者となった事情を正確に把握しないまま怠け者と断じ批判したことはわれながら早計であったと考え直しているため以上です」

依子の・・・けして悪気はない暴言。

もちろん暴言には暴言で応じるナイープな巧だった。

「第三に・・・自分のような痛い女を相手にしてくれるのは僕みたいな痛い男ぐらいしかいないと思い知ったから・・・それが本音でしょ?・・・そっちがもう一度デートしてほしいと頼むなら考えてもいい」

何様なんだ高等遊民だが・・・お互い様である。

「こちらから頼むつもりはありませんあなたに好意を持っているわけではないので」

「僕だってそうですよ・・・話し合いは無駄のようですね」

交渉決裂だが・・・意地を張って譲れない時点で痴話喧嘩なのである。

だって・・・二人はもう恋に落ちていますから。

クリスマス直前の出来事である。

藪下俊雄(松重豊)は娘の帰宅を待ち伏せするのだった。

「ちょっと出張で近くに来たもんだから・・・」

「こんな所で立っていたら風邪ひくわよ」

「だって・・・中に入れないだろ・・・お前が合鍵くれないから」

「何度も言うけどここは官舎つまり国の施設で無関係な人に鍵を渡すわけにはいかないわ」

悪気はないが杓子定規な依子だった。

父は娘にクリスマスの予定を尋ねる。

「毎年しているようにお父さんとツリーを飾ってフライドチキンを食べましょう」

「無理に来なくていいんだぞ」

「うちは仏教徒だからクリスマスを祝う必然性はないと最初に主張したのは小学三年生の私よお母さんもその意見に賛成だったでもお父さんがだからといって何もしないのは寂し過ぎるせめてツリーを飾ってフライドチキンでも食べようと主張したから毎年そうしているんじゃない忘れたの?」

「いや・・・最近、婚活しているからデートにでも誘われているんじゃないかって・・・」

「そんな予定はないわクリスマスとは本来キリストの降誕を厳粛に祝う日であってデートをする日であるかのように認識しているのは日本人ぐらいのものよまったく恥ずかしい文化だわ」

実は・・・鷲尾(中島裕翔)から「依子が好きだ」と告白され・・・交際許可を求められた俊雄は様子を探りにきたのだった。

早速・・・鷲尾に報告する俊雄だった。

喜び勇んで「クリスマスイブにデートをしようと思います」と俊雄に宣言する鷲尾。

じっくり考えると・・・鷲尾も俊雄も充分、変なやつだ。

巧の母親の留美(風吹ジュン)は絵画教室の生徒たちのためにクリスマス会の準備中である。巧にはサンタクロース役を命じるのだった。

「いやだよ」

「どうせうちにいるんでしょ?どうせ約束なんかないんでしょ?どうせ『素晴らしき哉、人生!』とか見るだけなんでしょ?」

「フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』1946年公開にどうせって言うなよ。アメリカじゃクリスマスの定番映画・・・ヘンリー・トラヴァース演じる二級天使は石ノ森章太郎先生にもインスピレーションをだな・・・」

「佳織ちゃんたち・・・絵画教室の卒業生を呼んでにぎやかにやる計画なんだ」

「卒業生って…オカリナばっかり作ってるバカとか自由の女神になって一日中立ってるバカとか」

「みんな立派な芸術家よ」

「自称芸術家のくずだろ・・・」

その頃・・・依子は母の亡霊・小夜子(和久井映見)に絡まれていた。

《いい年して父親と二人でクリスマスを祝うなんてどうなのよ》

「お父さんが望んだことよ」

《お父さんが望んでいたのはあなたが子供のころの話もうすぐ三十歳になる娘と二人向かい合ってフライドチキンかじって楽しいわけないあ~あこの子はこのままこうやって年を取っていくんだろうかそう思うと絶望的な気持ちになるに決まってる今年はデートの約束があるからクリスマスは一緒に過ごせないわごめんなさいといつそう言ってくれるだろうかお父さんだって腹の中じゃそう思ってるそう思いながら毎年二人でフライドチキンかじって》

「しっ・・・」

巧は思った・・・仕方ない・・・あの女とデートするか。

依子は思った・・・もう一度チャンスをあげてもいい。

二人は同時に「クリスマスイブにデートしませんか?」と送信した。

二人は同時に「こっちから送るんじゃなかった!」と叫んだ。

依子は父に伝える。

「ごめんなさいお父さんそういうわけで今年は一緒に過ごせなくなったわクリスマスにデートなんてバカげてると私は思うけど向こうが望むので仕方ないの」

父は鷲尾に悲報を伝えるのだった。

鷲尾は・・・俊雄から依子が肩凝りで「これだ」というマッサージ器を捜していると聞いて安くて手軽な優れ物を用意していたのだが残念なことに・・・。

一方の巧は母に伝える。

「クリスマスにデートなんてバカらしいと思うけどさ・・・本当に女ってのはしょうがないね・・・というわけでクリスマス会には参加できない・・・ところでクリスマスデートといえばプレゼントを用意する必要が」

「お金ないわよ・・・この間の十万円ですっからかん・・・なのであしからず」

仕方なく・・・巧は・・・愛蔵の「定本・小林多喜二全集」を売却し安いネックレスを購入するのだった。

泣く子も黙るクリスマスイブである。

街はイルミネーションに彩られ恋人たちは輝くのだった。

恋人がサンタクロース

背の高いサンタクロース

身長には自信のある依子は研究を重ねた結果、サンタクローススタイル(不正解)で出現する。

「なんで・・・鼻が赤いんですか」

「知らないんですか・・・真っ赤なお鼻のトナ・・・あ」

「そうです・・・鼻が赤いのはサンタでなくてトナカイです」

しかし・・・鼻は取り外し自由だった。

だが・・・冬の夜の外気に触れたニートはたちまち風邪を引くのだった。

「顔色が悪いですね」

「だっ・・・大丈夫です」

「大変な熱です」

「・・・」

「お宅へお連れします」

「それは駄目です」

「このような状態ではクリスマスデートを楽しむなど不可能ですさあつかまってください」

「あ・・・今・・・家は・・・」

しかし、強制連行される巧だった。

ジングルベルが鳴り響き、サンタクロースの島田宗太郎(松尾諭)とミニスカサンタ(正解)の島田佳織(国仲涼子)の兄妹が盛り上げる絵画教室のクリスマス会。

そこへ・・・虚脱した巧を担いだ依子サンタが到着する。

「藪下依子と申します谷口さんが風邪をひかれたようなのでお連れしました」

「噂のリケジョだ」

「リケジョコール」で沸く一同。

「ハアハア・・・僕は・・・これから2階で気を失うことにします・・・ハアハア・・・あなたも早く逃げた方がいい」

しかし、依子は逃げられない。

クリスマス会は依子を捕まえた!

依子は着席した。

その頃・・・鷲尾は俊雄の家を訪問していた。

傷心の鷲尾を慰める俊雄。

「でも・・・あれの・・・どこがいいんだ」

「人を好きになるって理屈じゃないんですよ・・・お父さん!」

「うん・・・」

「せっかく・・・プレゼントするマッサージ器も買ったのに・・・」

「すまなかったね」

仕方なく酒に溺れる鷲尾と俊雄だった。

完全に変だぞ・・・二人とも。

その頃・・・依子は初めて交際中の男性の部屋に足を踏み入れていた。

しかし・・・パーティー参加者全員である。

「やめろ・・・ここは俺の聖域なんだ・・・出ていけ」

しかし、(妹)はお宝の「横尾忠則イラスト画集」を狙い、(兄)はお宝の吉田拓郎や泉谷しげるのCDを漁る。

子供たちはゴルゴ13とガンキャノンのフィギュアで異種格闘技戦争を開始するのだった。

「やめてくれ」

依子は乱雑に見える書庫の整理整頓を始めるのだった・・・。

【カテゴリー・ナンセンス】

「天才バカボン1」

「バガボンド1」

「天才バカボン2」

「バガボンド2」

「天才バカボン3」

「バガボンド3」・・・

「悪夢だ・・・クリスマスの悪夢だ」・・・熱にうなされる巧だった。

【カテゴリー・数学】

「NANA」

「らんま1/2」

「めぞん一刻」

「ヤマトナデシコ七変化」

「うああああああああああああああ」・・・巧は気が遠くなっていく。

【カテゴリー・植物】

「ベルサイユのばら」

「つるばらつるばら」

「紅い花」

「アマリリス」

「のたり松太郎」

「おそ松くん」

書庫の整理を終えた依子は料理の手伝いも申し出る。

留美は一瞬・・・人並みの幸福を味わう。

「じゃあ・・・塩こしょうお願い」

「塩と胡椒はそれぞれ何gずつでしょうか?」

「目分量で」

「目分量?・・・やってみます」

慎重に測りはじめた依子。

依子の姿に留美はさぞや肩が凝るだろうと推測するのだった。

キリスト生誕劇などの隠し芸披露があり、依子が指名される。

「私には皆さまにお見せできるような芸がありません」

「円周率をいっぱい言えるとか・・・」と地雷を踏む(妹)・・・。

「せいぜい二万三千桁くらいでしょうかそれでもよければ3.14159265358979323846264338327950288419716939937510582097494459230781640628620899 86280348253421170679821480865132823066470938446095505822317253594081284811174502 84102701938521105559644622948954930381964428810975665933446128475648233786783165 27120190914564856692346034861045432664821339360726024914127372458700660631558817 48815209209628292540917153643678925903600113305305488204665213841469519415116094
3305727036575959195309218611738193261179310511854807446237996274956735188575272489122793818301194912
9833673362406566430860213949463952247371907021798609437027705392171762931767523 84674818467669405132・・・」

一同は困惑した。

クリスマス会は終わり、依子と(兄妹)そして留美を残し・・・来客たちは解散する。

「メリークリスクス・・・遅くまでごめんなさいね」と依子を労う留美。

「いえ大変貴重な体験でした私はこのようなクリスマス会というものを経験したことがなかったので」

「・・・厳しいご家庭だったのかしら」

「いえむしろ両親はクリスマス会を開きたがっていました実際父の勧めで何度かクラスメートを誘ったことはあったんですですが不運にも毎回誰一人として 都合がつかず」

口を挟もうとした(兄)を沈黙させる(妹)・・・。

「じゃあ・・・さみしかったわね」

「いえ私自身まったく興味がなかったので」

「どうせ・・・サンタクロースも信じてなかった口だろ」と今度は発言を許された(兄)・・・。

「その問題については両親と論争したことがあります父がサンタクロースに変装してプレゼントを渡そうとしたので非現実的な存在を偽装して子供をだますのは何のためかと父に問うと父は私にも夢を見させてあげたかった答え私はお父さんにとって夢とはありもしないものを子供に信じこませることなのかと問いつめましたがそこで母がサンタが存在しないと言い切る根拠は何かと問い返しプレゼントをくれたのがお父さんだったからといって世界のどこかにサンタが存在しないという理由にはならないと反論するので私は世界中の子供たちにたった1人で一晩のうちにプレゼントを配るなんて仮に世界の子供の数を20億人として配達できる時間を24時間とした場合子供1人にかけられる時間は0.00004秒しかないので物理的に困難だと反論すると母はサンタが一人であるという前提はないし世界の子供全てに配らなければならないという条件もないすなわち複数いるサンタが毎年選ばれた数人ずつだけに配っているとすれば可能であるゆえにサンタが存在しないとは言い切れないと反論したために私は本物のサンタからのみプレゼントを もらうことにすると宣言しクリスマスの夜は部屋のドアに鍵を取り付け父が入れないようにし窓の鍵だけを開けて寝るようにしています」

「今も・・・」

「長年の習慣なのでそうすると思いますが期待はできませんね」

「もうやめた方がいいんじゃないの」

「不用心だし・・・サンタ強盗とかよく聞くし」

依子の身を案じる(兄妹)だった。

「私はいいと思うけどな・・・サンタクロースが来るかもしれないじゃない」

高等遊民の母はメルヘンの人だった・・・。

「巧さんはどのようなお子さんだったのでしょうか」依子がそれを聞くのはもちろん・・・巧のことが気になるからである。「やはり私と同様クリスマスなんて興味がなかったんでしょうね」

「あの子は・・・大好きだったわよ・・・クリスマスが」と留美は昔を思い出す。「サンタさんだってずいぶん大きくなるまで信じてたわ。サンタがくれたよ~って毎年。フフフ・・まあきっとだまされてるふりしてくれてたのかも しれないけど」

「フリ・・・」

「親を喜ばせるためにね」

親を喜ばせるためにウソをつく・・・それは依子の思いもよらぬ発想だった。

「あの子・・・親にもクリスマスプレゼントをくれたのよ・・・子供がくれるものだからたわいのないものだけど。でも、今も大事に取ってあるの」

「優しいから女の子にもモテたのよね」と(妹)が昔を懐かしむ。

「もてたんですか」

「勉強も運動もできて文才もあって絵なんか私よりずっと上手だったし」

「いつからあのような屈折した人間に」

「中学の頃から凡人と一緒にするなオーラは出してたよな・・・自分は天才だから・・・みたいな」と(兄)・・・。

「作家か芸術家になるって決めてたのね。大学のころには授業にはほとんど出ないで部屋にこもって何か書いてたわ。ある日、部屋から出てきてげっそりした顔でこう言ったの。僕は 凡人だったよ・・・創作者になる才能はないって思い知った・・・漱石や鴎外のような文章も書けないしピカソのような絵も描けないモーツァルトのような音楽も作れないし黒沢のような映画も作れない・・・って」

「比較してはいけないものと比較しやがって・・・」

「私もそう言ったんだけど頂点を目指せないんだったらやる意味がないって」

「いきなり頂上にはいけないんだけどね」

「それで就職活動を始めたんだけど・・・ちっとも うまくいかなくて・・・面接で落とされるらしいのね」

「天才気質の凡人だからねえ」

「ある日・・・面接から真っ青な顔して帰ってきてね。もう就職しない・・・高等遊民になると言ってそれきり部屋にひきこもって・・・近所の人に何か言われるのが嫌で外にも出歩かなくなって」

「面接で何があったんでしょうか?」

「さあ・・・」

「なまじ挫折知らずでプライドが高い分・・・凡人にすらなれないという現実を受け入れられなかったんだろうな」と身も蓋もない(兄)だった。

「私の育て方が悪かったのね」と忸怩たる思いの母。「でも・・・まっ、何だっていいじゃない。私はね。もう何も聞かないことにしたの。考え方を改めることにした。これもあの子の個性なんだって。別に他人さまに迷惑掛けてるわけじゃないし。私にだけ迷惑掛けてんだも
ん。ああいう子に育てたのはこの私。製造元が責任取るのは当然でしょ。どうせ・・・私が死んじゃったらどうにかするでしょうし。世の中いろんな人がいていいしいろんな生き方があっていい」

障害を持つ子供の親は・・・結局最後は社会に託すしかないのが一般的なのである。

仕方なく「きよしこのよる」を歌い出す一同だった。

あらぬことを言い出して十字架にかけられる我が子を慈しむ聖母の産後まもなくの歌である。

そこへSilent nightだった巧が姿を見せるのだった。

「具合はいかがですか」

「だいぶ楽になりました・・・あのこれクリスマスプレゼント・・・安物だけど」

「お気遣い恐縮ですこちらつまらないものですがどうぞ」

プレゼント交換終了である。

依子から巧への贈り物は・・・「若年無業者社会復帰プログラム一覧」だった。

分厚い資料の表紙には「君は一人じゃない・・・社会とつながろう・・・働くことに、社会に踏み出せない若者を支える・・・とにかく働いてみよう・・・働くことに様々な不安を抱える若者たちのための支援プログラムを用意しています」などとある。

「私が調べた若年無業者社会復帰支援事業の参考資料です現在厚生労働省も力を入れており調べてみたところたくさんありました例えばこれは親子で参加するプログラムですお母さまも育て方を間違えたかもしれないとおっしゃいましたがまさにそのとおりで家族に問題があるケースが多いのですですからお母さまも一緒に更生されると」

「やっぱり!・・・君は何も分かってないよ!母は関係ないだろ!君は!人の心の機微というものが分からないのか!」

「私が何か間違ったことを言いましたか」

「間違ってないよ!君はいつだって正しいよ!だけど心がないんだ!君には心がないんだよ!」

だけど君には心がない

だけど君には心がない

だけど君には心がない

依子は無表情で帰宅した。

「これ・・・母さんにあげるよ」

母親のくれたお小遣い→小林多喜二全集→ネックレスである。

しかし・・・母はふと思いつき・・・箱の中身を換装するのであった。

(妹)は依子のプレゼントをチェックし・・・依子の「心」を知るのだった。

「これ・・・見てごらんよ・・・どのページにも手書きで色々書き込んであるんだよ。気に入らないかもしれないけどさ・・・巧君のためにこんなに一生懸命調べてくれたんだよ。そんな人いる?・・・こんなに手間のかかったクリスマスプレゼント・・・私知らないよ」

ここにこんなに心があるよ

ここにこんなに心があるよ

ここにこんなに心があるよ

(兄)は巧を促した。

「サンタクロースになれ。恋人がサンタクロースだ。つむじ風を追い越すんだ」

母はプレゼントの箱を返した。

その頃、鷲尾は酔い潰れていた。

俊雄は決意した・・・娘に・・・クリスマスプレゼントのマッサージ器を届けることを・・・。

依子は若年無業者さえ親にブレゼントしているのに自分がしていないことを反省していた。

そのために父親に合鍵を贈ることにした。「いつでもどうぞ」のメッセージを添えて。

依子は東京の実家に向かった。

サンタクロースとなった俊雄は横浜の官舎の二階にある依子の部屋へ窓から侵入する。

しかし・・・依子は不在だった。

サンタが家にやってくる。

「登れそうだな」と(兄)・・・。

「ふっ・・・不法侵入だろ」

「夜ばいだ」

「よ・・・よばい」

「もし窓が開いてたときは神様がこう言ってると思え。今夜・・・決めろってな」

「き」

それは絵本だけの話。

でもね大人になればきっとわかるはず。

俊雄サンタは依子を待つうちにベッドで寝入ってしまった。

その部屋に巧サンタがやってくる。

「藪下さん・・・思ったより・・・筋肉質なんですね・・・僕が・・・あっ、あなたのサンタクロースです」

あれからいくつか冬がめぐり来た。

お互いを不審者だと思った巧サンタと俊雄サンタは忘れられない思い出の大乱闘。

通報を受けたパトカーがつむじ風を追い越して寒い街から来た。

依子サンタは遠い東京の街に到着した。

酔い潰れた鷲尾を父親だと思い・・・プレゼントを置く。

そこへ・・・警察から連絡が入る。

「背の高いサンタクロースが私の家に・・・」

あわてて引き返す依子サンタ。

ふと目覚めた鷲尾は大いに勘違いをして神に感謝するのだった。

サンタ姿の二名の変質者は女性宅に窓から侵入して室内で乱闘していたところをかけつけた警察官により身柄を確保されたのだった。

「すると・・・」

「一人は父です」

「もう一人は・・・」

「交際中の恋人です」

「・・・ああ」

パトカーに乗せられた巧サンタと俊雄サンタ。

依子サンタの説明で誤解は解かれたのだった。

「お父さんこちら谷口さんです」

「あ・・・谷口です」

「谷口さんこちら父です」

「あ・・・父です」

「はじめまして」と口をそろえる二人のサンタだった。

父は二人を残して東京に帰って行った。

乱闘の痕跡も露わな依子の部屋で巧サンタと依子サンタが二人きりに・・・。

「先ほど警察官にあなたとの関係性を説明する際便宜上交際中の恋人であると言ってしまいましたすみません」

「いいです・・・そう言わないと事態がさらに悪化したと思われます」

「14人目です」

「え」

「私に心がないと言った人の数幼稚園から現在まであなたで14人目です関連性のない不特定多数の方がそう評価するということはおそらくそうなのでしょう私には心が」

「そんなことはない!心のない人間なんていませんよ!・・・いいかげんなことを言ってすいませんでした」

依子はマッサージ器を発見する。

「たぶん・・・お父さんのクリスマスプレゼントです」

依子は試してみて好感触を得た。

「僕のは・・・本当につまらないもので・・・」

「また・・・お母様のお金で買ったんですか」

「いえ・・・もらえなかったんで・・・本を売って・・・でもあまり高く売れなくて・・・安いネックレスしか・・・」

しかし箱の中身は幼い巧が母に贈った「いつでもどこでも期限なし回数むせいげんの肩たたき券」だった。

「今使えますか」

「もちろん・・・」

巧サンタは依子サンタを愛撫した。

「お・・・」

「あの・・・ずっとやってないので・・・加減が・・・」

「そういえば実家で寝ていたのは誰だったのかしら」

「え」

「いえこちらの話です」

「・・・」

「あ・・・」

「え」

「もう少し下」

「ここ」

「お・・・もう少し下」

「・・・」

「お・・・お・・・お・・・」

「・・・」

「これだ!」

「え」

「こちらの話です」

聖夜の果て・・・鮮やかな朝の光がサンタの衣装を着た恋人たちに差し込むのだった。

スタッフ一同、キャスト一同、お茶の間一同がナイスゴールと拳を突き上げる。

関連するキッドのブログ→第三話のレビュー

|

« 天は大任を降さんとする時ことごとくその志に反せしめる(川島海荷) | トップページ | ゴリ押しのゴリさんだからねゴリラじゃないんだからね(堀北真希) »

コメント

長い長いレビュー、お疲れ様です。やはり古沢作品、面白いですね。そして毎回、依子や巧の不器用さ、真面目さ、悲しさにちょっと泣けます。今回は見所沢山でしたね。

「ベルばらが植物」で、かなりやられました。ベルばらも知らないんですね、依子さん…。まあ、ちょっと…古いですかね?

島田兄妹の無遠慮な優しさが沁みます。巧母も一緒になって、パーティーに依子を引っ張り込むところ。初めてのクリスマスパーティー。依子が戸惑いながらも、あの場にいることが嬉しかったです。佳織の巧への気持ちは少々複雑なのでしょうか。出て来ない兄の妻と共に気になります。

とにかく可愛い変人ばかりで、ワクワクします。父と鷲尾くんは、十分変人ですよね。和久井母は、平ちゃんの森下母より意地悪ですが、依子自身の声なんですよね。母へのコンプレックスはかなり強そうで…。

杏さんの演技には、これまで今一つ感情移入できなかったのですが、サイボーグのような依子の気持ちは、ひしひし伝わってきます。今後もすごく楽しみです。レビューも長くなり大変だと思いますが、こちらも楽しみにしています。お疲れを出されないよう…。

投稿: ギボウシ | 2015年2月11日 (水) 11時05分

キッドさん こんにちは!
もう 第4話 最高でした

1話 2話やリーガルとは違う雰囲気でしたが
冒頭のお父さんが依子を官舎の前で待ち伏せしてたのに特別な理由があったり オチにつかわれていて
大笑いしながら 
でも引きこもりの息子に愛情を注ぐ母や
心がないと言われてしまうことを内心気にしてる依子の悲しみをちらっと感じたり。。。
ベルバラの植物くくりや小林多喜二(蟹工船が一時期 クローズアップされてましたね)
もうコネタも最高でした

来週からは第2章
大人のデートの始まりでしょうか?

今回でこのドラマが心から好きになりました
週の初めから たくさん笑わせてもらって
脚本のうまさに舌をまいて。。。
幸せな月曜日です

投稿: chiru | 2015年2月11日 (水) 16時34分

キッドさん、こんばんは

今回は、巧のお母さんに涙でしたわ。

巧が高等遊民になった理由も明かされたのですが、
誰にでも起こり得ることで、身につまされました。
お母さんの覚悟も。

このドラマは、誰も人のせいにしないのがいいですね。

冒頭の電話+メールのやりとりなんて、ラブラブだし、(お互いが気づいていないのが微笑ましい)
お母さんの粋な計らいで、
いつの間にかスキンシップ取っているし、
鷲尾くんには悪いけど、
はなから勝負が見えているのが、
可哀想で可愛いです。
中島くんがこんなにはまるとは思わなかったです。

来週も楽しみでたまりません。

話は変わりますが、
「セカンド・ラブ」のラストシーンが吹き替えだと小耳にはさんだので(録画していませんが)、
次回はその辺りに注目してみたいと思います。

寒暖差が激しい折ですので、お身体ご自愛くださいませ。

投稿: mi-nuts | 2015年2月11日 (水) 19時31分

オチツキレイセイシズカナヒト~ギボウシ様、いらっしゃいませ~ワクイエミダイスキ!

長いんですよね・・・時系列の整理をするのもアレなんですが・・・。
しかし・・・ダイジェストしてしまうと
伝わらない気がしてしょうがない。
来週こそは再現率下げるぞ
下げるぞ、下げるぞと念じて・・・こんなことに。

妄想も膨らみまくるし・・・。

完成度が高いのでうかつにいじれない。

主人公二人にはすごくシンパシーを感じるし・・・。

ひーっと言いそうでございます。

「ベルサイユのばら」に限らず
知識としては依子は何でも知っている。
しかし・・・知識を自他との関係性に関連づけることが
苦手なんですね。
クリスマスカテゴリーで
サンタクロースと赤鼻のトナカイは
同じボックスにあって
同一化するべきかどうかのチョイスで
可だったものが不可だったりするわけです。

依子にとって巧は
知識人として水先案内人になっている。
巧は依子ほど勉強はできなかったけれど
関連付けはできるという補完性があるのですな。

巧は依子の持っている「本物の孤独」に
気がつけば気がつくほど
愛しさを感じるシステムでございます。
「孤高の人」は巧の憧れの存在ですからねえ。
巧は凡人として依子の賛美者となる宿命なのですな。

謎の島田姉妹。
実は近親相姦夫婦だったりして・・・。
なわけないだろう。
本当に「俺の嫁」がいるのだろうか。
妹はどうして巧を選ばないのか。
謎に満ちていますな。

今回は一種のクリスマスキャロルで
両親への愛を上手く表現できない依子が
クリスマスの集いを通じて
反省するという・・・スクルージの道を・・・。

そして、天使として巧に依子の気持ちを
依子に巧の気持ちを伝えて来た島田(妹)の
不思議な立ち位置・・・。
妖しく見送っていましたよねえ・・・。
巧サンタを・・・。
二人に何があったのでしょうか。
正解サンタなだけに・・・。

ワシオとトシオで深夜に別ドラマしてほしいですよね。
剣道の稽古の後で軽く一杯飲み歩きをするという。

そしてどうでもいいことを語りあうという。

小夜子ママは依子のマザーコンプレックスを主体とした擬似人格ですので小夜子の良心とも言える存在と思われます。そういう意味では罪悪感の象徴だった観音ママとは似て非なるもの。同性の親として恋人よりも友人の要素も含んでいますしね。

まあ・・・心の中の親友に近いのでしょうな。

父親に対しては恋のライバルですしね。

依子の中では一般人の中では合理化されている
父親以外の男性と親しくすることへの
忌まわしさがまだ残存しているのでございます。

普通は思春期で逆転するものがしていないのでしょう。

そういう幼さを秘めた人格です。
大人の階段を昇るために
コスプレで形から変化しようとしているんですよね。
次回は本当にサイ-ボーグ003になっちゃうみたいだし。
まあ・・・(妹)の方が
フランソワーズ・アルヌールっぽいですけど・・・。


投稿: キッド | 2015年2月11日 (水) 21時21分

シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン

予想通りの結でございましたね。
今回が最終回でもおかしくないほどの
恋の始り・・・。
まだまだこれからよ~で第二章・・・。
素晴らしい展開でございます。
脱帽でございました。

まさにこれぞ王道のラブストーリー。
まあ・・・リーガルハイも
ラブストーリーと考えると
かなりの王道なんですけどね。
絶対相容れない二人が好きあっているという・・・。

ディテール(細部)があるというのは
分かりやすさのポイントでもあります。
ところが大雑把の方が分かりやすいという見方もないわけでもない。
そういう見方を安易に受け入れてしまうと
このドラマの芸の細かさは楽しめませんよね。
合鍵
マッサージ器
小林多喜二全集
安物のネックレス
肩たたき券
サンタクロースのコスチューム
メッセージカード
参考資料
このような小道具に
それぞれの登場人物の心がたくされている。
二階の窓
東京と横浜
厳しすぎる現実社会と優しすぎる周囲の人々・・・。
設定が見事に生かされています。
個別の事象が
有機的に結びつき・・・意味を形成する。
そういう変化が
依子の心の中の動きを示しているという
トレビアンな趣向になっておりますねえ。

これが恋の魔法でございますな。

コネタのつみかさねが大ネタに変ずるのですな。

コネタを羅列するだけでは
ナンセンスしか描けません。
ま・・・それはそれで面白い時もありますけどね。

巧ママが巧の良さを浮かび上がらせる。
(妹)が依子の心を示す。
そして(兄)が馬鹿でいいじゃないかと励ます。

登場人物をみんなが
好きになってしまう・・・。
素晴らしい月曜日でございますな。


投稿: キッド | 2015年2月11日 (水) 22時37分

✭クイーン・オブ・ザ・ランチ✭mi-nuts様、いらっしゃいませ✭親切百回接吻一回✭

たとえば農家なら農業を・・・。
町工場なら町工場を・・・。
絵画教室なら絵画教室を・・・。
継承すると言う生き方は普通にある。
自営なら当然のこと・・・。
しかし、親の職業を嫌うというのは
一種の定番です。
サラリーマンの親を持った子供が
サラリーマンになるのは似て非なるもの。
職業選択の自由は
選べる実力を要求いたします。
ニートというのはそういう狭間に生まれるものではないかと思ったりするのですな。

客観的に見れば
巧には絵画教室を継承するという生き方がある。
経営は苦しいかもしれないが
公務員の妻がいれば
生活はできそうです。
無職ではなく地域社会に貢献できる。
後は巧がそれを選ぶだけ・・・。
そういう気持ちになるだけ・・・。
悲惨に見えて実はそうではないのが
この物語のミソなのですな。

巧ママの達観はその辺りを背景としている気がします。
我が子には期待も絶望もしないのですな。
しかし・・・依子には期待している感じがします。
息子よりもお嫁さんの方が大切ですからな。

カップルが成立すれば
二人とも安上がりな人間なので
まったく問題ない。

そういう意味で鷲尾くんや
(妹)は
二人に割り込めない感じがありますね。
しかし・・・鷲尾くんや(妹)は
最初から普通に生きていたので
資格にかけるわけです。

そういう仕掛けが実に見事に出来ていると考えます。

「SL」の二人が
本人なのかどうかは別として
チュチュチュは・・・
アフレコのわざとらしさが最高レベルでございましたねえ。

投稿: キッド | 2015年2月11日 (水) 22時53分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ああ、これが・・・恋の魔法というものかしら(内田愛):

» デート~恋とはどんなものかしら~ #04 [ぐ~たらにっき]
『心が無いから結婚出来ない!?彼女を救う奇跡の贈り物!!』 [続きを読む]

受信: 2015年2月10日 (火) 23時41分

» 「デート 〜恋とはどんなものかしら〜」コミケ障害の付き合い方3、4巧が高等遊民になった経緯を知り依子は巧の社会復帰への興味を抱き始めた [オールマイティにコメンテート]
「デート 〜恋とはどんなものかしら〜」第4話は再びデートをする事になった依子と巧はクリスマスイブにデートを行うが、不慣れな2人は上手くデートができない。そんな中巧が風邪 ... [続きを読む]

受信: 2015年2月11日 (水) 00時24分

» 【 デート ~恋とはどんなものかしら~ 】第4話 感想 [ドラマ@見取り八段・実0段]
別に人さまに迷惑掛けてるわけじゃないし。 私にだけ迷惑掛けてんだもん。 そして、ああいう子に育てたのはこの私。 製造元が責任取るのは当然でしょ。 どうせ私が死んじゃったらどうにかするでしょうし。 世の中いろんな人がいていいし、いろんな生き方があっていい。 いろんな生き方があっていい…。 うん。 その方が面白いわよ。 デート~恋とはどんなものかしら...... [続きを読む]

受信: 2015年2月11日 (水) 06時03分

» デート~恋とはどんなものかしら~ 第4話 [ぷち丸くんの日常日記]
依子(杏)と巧(長谷川博己)は、それぞれの親からの過干渉に閉口して、クリスマスにデートをすることになります。 またしても依子・・・どこの情報だかわかりませんが、サンタのコスプレをしてやって来ましたw 2人はカップルで賑わう商業施設を訪れますが、そこで巧は高熱を出してへたり込みます。 その頃、巧の家では、留美(風吹ジュン)の美術教室の生徒や佳織(国仲涼子)、宗太郎(松尾諭)た...... [続きを読む]

受信: 2015年2月11日 (水) 14時53分

» 「デート 〜恋とはどんなものかしら〜」 第4話 心が無いから結婚できない !? 彼女を救う奇跡の贈り物 !! [トリ猫家族]
『  肩たたき券 ;"いつでもどこでも 期限なし 回数むきげん  』 「『いつでもどこでも期限なし 回数むせいげん』・・・」依子 「・・・・・・・・・!」巧  それは ... [続きを読む]

受信: 2015年2月11日 (水) 16時03分

» デート〜恋とはどんなものかしら〜 第4話 [レベル999のgoo部屋]
「心が無いから結婚出来ない!?彼女を救う奇跡の贈り物!!」 内容 クリスマスイブ。 依子(杏)と巧(長谷川博己)はデート。。。。 だが、サンタクロース姿でやって来た依子に、困惑する巧。 それは9日前のこと。依子から謝罪の電話があった巧。 当然のように、言い合...... [続きを読む]

受信: 2015年2月11日 (水) 17時28分

» デート~恋とはどんなものかしら~ 第4話 [ドラマハンティングP2G]
Story#4「彼女が恋愛を出来ない訳、彼が高等遊民になった理由。」 2015.2.9.MONDAY. On-Air 藪下依子(杏)と谷口巧(長谷川博己)は、クリスマスイブにデートをすることになった。本来なら、「クリスマスにデート」など受け入れないふたりだが、依子は藪下俊雄(松重豊…... [続きを読む]

受信: 2015年2月11日 (水) 17時44分

« 天は大任を降さんとする時ことごとくその志に反せしめる(川島海荷) | トップページ | ゴリ押しのゴリさんだからねゴリラじゃないんだからね(堀北真希) »