問題意識は面倒くさいものだ。
「勉強しなさい」と言われて「何故」と考える間に勉強した方が効率がいい。
しかし、「殺しなさい」と言われて「何故か」と考えないで殺すと死刑になる場合がある。
面倒くさいことをある程度はした方がいいのである。
たとえば政党名である。
「自由民主党」と「民主党」のわかりにくさは尋常ではないわけである。
キーワードとしては「自由主義」と「民主主義」がある。
単純に考えると「民主党」は「自民党」から自由を抜いた政党ということになる。
つまり・・・民主党には自由がないのだ。
それでいいのか・・・と思うわけである。
民主党が与党として短命だったのは・・・もちろん・・・自然災害というショックもあるだろうが・・・自民党より自由がないからだと思う。マイナスなのである。
基本的に民主党は現在の自民党の立場になりたいだけで・・・何かを変革しようという意図は感じられない。
政策では戦わず、スキャンダル攻撃のみである。
やはり・・・政策の対立軸は明確にするべきだろう。
もちろん・・・民主党の中には対立を望まない人もいるだろうが・・・そこは妄想である。
「キーワード」として「自由主義」に対立するのは「平等主義」である。
だから「民主党」は「平等民主党」に改名するべきだ・・・あくまで妄想です。
略すと「平民党」になって発音は「ビョーミントー」である。
やや・・・ダサい感じもするが・・・「ジミントー」だってダサいと思えばダサいからな。
ニュース・キャスターが噛みそうな感じがしてそれだけでちょっと楽しい。
「病人党かっ」という陰口は必ず叩かれる。
しかし「自由」を重視するか・・・「平等」を重視するかで・・・旗色が鮮明になりやすいことは間違いない。
第三勢力として「自由平等党」という中途半端なないものねだり勢力も発生しやすくなる。
ただし・・・自由平等党はあまり民主的ではないのだな。
ついでに「共産党」は「共産独裁党」ぐらいの方がインパクトがあると思うぞ。
まあ・・・とにかく・・・名前からして不明瞭な政党は基本的にダメなんだと思う。
「公明党」も「創価公明党」の方が公明正大だよな・・・もう・・・いいんじゃないかな。
平等主義の根本は格差の是正ということになる。
富裕層を中間層に引きずり落とし、貧困層を中間層に引きずりあげる。
これを民主的に行う平民党を支持する人が中間層にどれだけいるかが勝負なのである。
本当に・・・もう・・・いいんじゃないか。
まあ・・・いつか富裕層になりたいという希望と貧困層になりたくないという恐怖のバランスの問題なんだな。
おい・・・どうしたんだよ。
いや・・・今朝・・・そういう夢を見ちゃったんで・・・。
夢の話は禁止。
男女平等の夢もまた見果てぬ夢なんだけどな。
で、『問題のあるレストラン・第8回』(フジテレビ20150305PM10~)脚本・坂元裕二、演出・並木道子を見た。母親には三種類ある。男の子の母親と女の子の母親と男女両方の母親である。性同一性障害児の母親はノイズとして無視する。男子に既得権が大きい社会では男子の母親は男尊女卑で女より男が有利であることに否定的にはなれない。我が子が可愛いからである。父親は男であるために子供の性別に関係なく・・・既得権益を守る。そうなると女の子の母親の選択は限られてくる。「女のくせに生意気な」と言われない子供を育てるか・・・男を操るしたたかな女に育てるかである。女性が人間として権利を主張しようとする時・・・それを援護する親は常に少数派なのである。
一部お茶の間の・・・ドラマ愛好家であればあるほど・・・このクズ男子であふれるドラマにおける高村新(風間俊介)の正体が疑われるキャスティングである。
そして・・・今までの処・・・まっこう期待を裏切る展開なのだった。
高村は・・・雨木(杉本哲太)の強要した全裸土下座謝罪というパワーハラスメントによって凌辱された過去を持つ五月(菊池亜希子)の恋人だった。
心折れ、帰郷した十一月生まれの五月は親戚の経営するカフェ「きっさ10」でウエイトレスをしながら司書の資格獲得を目指していた。
そこへ・・・東京の旅行代理店から出張してきた高村がやってきて・・・二人は恋に落ちたのだった。
学生時代の友人であるたま子(真木よう子)と三千院(臼田あさ美)は五月のその後に複雑な心境を持ちつつ・・・幸福を願うのだった。
高村は「プロポーズしているんです・・・返事はまだなんですけどね」と屈託がない。
しかし・・・五月はたま子に「事件のことは話してないんだ・・・彼には知られたくない気持ちもある」と告げるのだった。
事件について・・・「恥ずかしい」と母親に告げられ・・・傷口に塩を塗られた経験が五月を臆病にしていた。
複数の男たちの前で全裸になったことが・・・高村の心にどう響くのか・・・恐ろしかったのである。
その母親は・・・五月とともに上京していた。
竹下通りで迷子になった五月の母・静子(藤田弓子)を迎えに出る高村。
五月とたま子は雨木社長と裁判で戦うという行動への迷いが生じているように見える。
デリケートな「訴訟」であるために・・・弁護士の烏森(YOU)は様子見である。
一方、「ビストロ・フー」にはパティシェ・ハイジ(安田顕)の弟・恭平(矢野聖人)がやってくる。
ドライヤーちゃんこと藍里(高畑充希)はたちまち髪を掻きあげ耳を出すが・・・恭平が「兄の結婚式への出席問題」を話出して髪を下ろすのだった。
「臨戦態勢が過ぎる」と喪服ちゃんこと結実(二階堂ふみ)は批判するが「一生待機中でも困るわよ」と返される。
「私はセザンヌのように大器晩成なんです」
「ゴッホのように死後に評価されたりして」
「死んでからもてる私ってどうなんですか」
ハイジもシェフちゃんこと千佳(松岡茉優)も黙殺するしかないのだった。
今回は若手トリオとハイジは恭平の結婚式に集中する。
たま子、三千院、烏森は重い主題である五月問題に取り組むのである。
「女の園」であるが・・・それぞれのセリフに対応するそれぞれの表情が巧であり、何度も見直したくなる要素になっている。
特にセリフの少ない三千院のリアクションは素晴らしいアクセントになっている。
「つまらない人間ばかりの中で兄貴は面白い」と兄の女装を応援する弟のために最高のケーキを贈りたいと決意するハイジ。
ジェンダーの狭間で苦境にありながら・・・女たちを優しく包み込むハイジのために若手トリオも張り切るのだった。
パティシェとして飴細工の腕を披露するハイジと若手トリオのコント。
第一弾。
喪服ちゃん「ムンクの叫び」
ドライヤーちゃん「プリクラで撮った脚(異常にすらりとしている)
シェフちゃん「映画泥棒のキャラクター」
第二弾。
喪服ちゃん「アンビリバボーなおデブちゃん」
ドライヤーちゃん「カラコンの大きな目のトルソー」
シェフちゃん「血まみれナース」
ハイジ「・・・」
福井県から上京した静子は「女の幸せは結婚して家庭に入ること」を信奉する旧世代の象徴である。たま子を始め、喪服ちゃんやシェフちゃんに「ウチの嫁に来ないか」とアプローチする。
「こんな店で働きたい」と娘が言えば、母親は「こんな店で働いてないでお嫁さんになりなさい」と善意からの毒を吐くのだった。
「いつまでもこんな店続くわけないんだから」
「いつまでも続けたいと思っている」と反駁するたま子。
しかし、社員寮を大掃除して、美味しいうどんを振る舞う静子はメンバーたちに愛される良き母なのである。
そこには「男女平等」という見果てぬ夢を見るよりも「現状」の中で幸福を模索した方が賢いという選択肢が提示されている。
静子は・・・娘が訴訟を起こすことには反対なのだった。
たま子たちの心尽くしではとバスツアーを楽しんだ静子は心の内を明かす。
「東京に出るのだって・・・反対だった・・・これ以上、あの子に傷ついてほしくない・・・」
一方・・・ビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」では赤字の責任をとってお尻を触らずにはいられない土田部長(吹越満)は左遷され、窓際ハゲの西脇(田山涼成)が代理を務めていた・・・窓際なので昇格はしないのだった。
敗北を認めた傲慢なシェフ・門司(東出昌大)は雪辱戦を果たすため、悪魔くんである星野大智(菅田将暉)を含めた厨房スタッフのチームワーク向上を図る。
「負けても戦い続けるものだけが勝者になれるのだ」
しかし・・・たま子も譲らない。
「勝っても勝っても戦いますから」
だが・・・たま子も・・・料理を愛することにかけては傲慢なシェフが一途であることは認めるのだった。
だが・・・二人には越えられない壁があるのだ。
「料理がすべてでその他は無関係」という傲慢なシェフ。
「料理はすべてと関係している」というたま子。
意地と意地が激突するのである。
敗者である傲慢なシェフはたま子に歩み寄りを見せるが・・・まだまだなのである。
ゼネラルプロデューサーの喪服ちゃんが予算度外視で進めるとある法律事務所の万年敗訴弁護士に似たハイジの弟の結婚式は恙無く展開する。
第三の性は一番の少数派なんだな。
それはともかく・・・もはや・・・「ビストロ・フー」は順風満帆状態なのである。
「彼とは別れてきた」と五月は報告する。
「喧嘩でもしたのかい」と静子。
「私は・・・司書の資格をとるって決めたし・・・せっかく、福井にもどったんだから・・・お母さんと暮らしたいし・・・」
「・・・」
しかし・・・そこへ自家製の肉まんを持ってやってくる高村だった。
「来ないでって言ったでしょう」
「肉まん作ったので・・・皆さんに食べてもらおうと思って」
ついに・・・告白を始める五月だった。
「私は・・・会社でひどいパワハラを受けたのです。楽しかった仲間たちの顔を思い浮かべながら・・・謝罪のために裸になるように命じられたのです。その件について訴訟を起こすのです」
「すぐに入籍しよう」
「何言ってるの」
高村は肉まんをふたつに割ってカラシを塗った。
「君が酷い目にあった時・・・僕はその場にいられなかった。でも、これからは君の苦しみを分かち合いたい。君と一緒に戦いたい。裁判になったら君と法廷に行って、帰りには二人で一緒に美味しいものを食べよう」
「この人・・・変でしょう」
たま子は涙を浮かべて微笑むのだった。
そこへ静子がやってくる。
「会社なんて男たちのものなんだよ」
「最近はそうでもないですよ・・・」
「だって女は出世できないだろう」
「まあ・・・幹部はまだ男性優位ですけど・・・」
「あれだけ・・・恥ずかしい思いをしたのに・・・どうしてまた恥をかこうとするんだい。狂犬にかまれただけじやないか。それなのにまた狂犬の中に入って行く必要なんてない。娘がそんな馬鹿なことをするなんて・・・私は死んだ方がマシだよ」
静子は捨て台詞を残し・・・去って行く。
「詐偽の被害者じゃなくて詐欺師の味方なのよ」と母を例える五月。
「・・・」
娘と決裂した静子は一人で帰り支度を整える。
たま子と駅へと向かう静子は雨木社長に運命の遭遇である。
「あの男か・・・」
静子は我を忘れて雨木を追うのだった。
「ダメよ・・・五月ちゃんのお母さん・・・」
ビストロ「SYMPHONIC OMOTESANDO」の店内で雨木社長の胸を叩く静子。
「あの子は・・・女の子なんだ・・・あの子は女の子なのに」
「なんだ・・・あんたは・・・」
雨木社長は静子を突き飛ばし店の奥へ姿を消す。
騒ぎを聞きつけて心が揺れ出した傲慢なシェフが姿を見せる。
「どうしたんだ」
傲慢なシェフは静子を背負って「ビストロー・フー」まで運ぶのだった。
傲慢なシェフが去り・・・たま子と二人になった静子は呻く。
「わからないよ・・・あんたたちの気持ちが・・・」と静子はたま子に問う。
「五月を想うお母さんの気持ちは分かってます。ただ・・・今は五月の思う通りにやらせてあげてほしいのです」
「人様と争うことなんか・・・いいことないよ・・・人を憎んだって仕方ない」
「五月は憎しみを捨てたいんです。裁判は涙か溜息か・・・心の憂さの捨て所なんです」
「ひばりちゃん」
「五月は許せない自分が許せないんです。ひどいことをされたのにひどいことをした人がひどいことをしたとみとめなければ・・・一生許すことができません。忘れようとすればするほど忘れられない。誰かと笑っていても・・・急に苦しくなって・・・トイレで隠れて泣くんです・・・そんな人間が幸せになれると思いますか」
「・・・」
たま子は五月のレシピノートを静子に見せる。
静子は娘の楽しそうな文字を追う。
仲間と働く喜びに満ちた日々。
そして・・・その終焉。
その日・・・一度死んだ娘をもう一度殺したのは・・・静子だった。
「母に・・・恥だと言われた。今日は私の誕生日なのに・・・誕生日になる度に今日のことを思い出さずにはいられないのに・・・一生・・・口惜しい誕生日になったのに・・・」
静子は日記を抱きしめた。
静子は娘に告げた。
「お前の好きなようにしなさい。そして・・・嫌なことがあったら・・・振り返りなさい。私はずっとあなたを見守っているから・・・振り返れば私がいるから・・・あなたを生んだ時から愛用している静電気バチバチの化繊の虎のセーターとともに・・・」
「一緒に殴りに行こうね」
ついに扉を開く「烏森法律事務所(仮)」・・・。
「刑事訴訟は難しいので・・・民事訴訟を起こします・・・必ず勝てるとは言いません。でも・・・全力を尽くします。こちらの請求は二点。雨木社長とその会社からの文書による謝罪。そして、慰謝料金五百万円です。受け入れられない場合は提訴します。その場合は・・・すべてを裁判所で語ってもらうことになります」
烏森はたま子にだけ・・・波及効果について打ち明ける。
「あえて・・・五月さんには言わなかったけれど・・・勝敗とは別に・・・裁判を起こすだけで相手には深刻なダメージが生じるでしょう・・・役員たちが女性社員に全裸謝罪させて社長がくるっと回ってみようかなんて言う会社・・・バッシングされまくるに決まってる・・・場合によっては社会的に葬りさられるわ・・・」
たま子は烏森の言葉にショックを受けるのだった。
店と店の間で逸品のヒラメを仕入れてご満悦の料理バカ・・・傲慢なシェフに声をかけるたま子。
「あのおばさん・・・大丈夫だった」
「うん」
「何があったんだ・・・」
「私の友達が・・・雨木社長にひどいことされたの・・・それで裁判になると思う」
「・・・」
「これは・・・私の気持ちだけど・・・あなたにはもっとふさわしい店があると思う・・・できればあの店をやめてもらいたい」
「裁判と店は無関係じゃないか・・・」
「そう・・・」
「なんだよ」
「わかったってこと」
「なにがさ」
たま子は傲慢なシェフの頬に触れた。
「私は・・・滅多に人を好きにならない。でも好きになったら・・・なかなか嫌いにならないの。だけどまっすぐな線とまっすぐな線は一度交わったら・・・それきりなんだよ・・・」
「まったく・・・わからない」
「だよね」
平行線ではなくて・・・一度は結ばれた二人だったらしい。
次は三回目の序破急の「急」・・・その後の展開はさすがに読めないのだった。
長い「急」かもね。
内容証明の通知書を受け取った雨木社長は闘志を漲らせるのだった。
ついに戦いの火ぶたは切られたのである。
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