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2015年3月21日 (土)

今日まで二人は恋という名の(亀梨和也)旅をしていたのだ(深田恭子)

男と女は分裂した細胞片でございます。

運命によって引き裂かれた二人は宿命のためにめぐり会うのです。

そのために男と女は自分に欠けているものを相手に求めます。

しかし、元は一つなので同一であった証拠も欲しいのです。

自分にはないものと自分と共通するものを同時に満たすことは難しい。

恋が苦しい由縁でございます。

楽をしたければ妥協するしかございません。

妥協しない二人が恋の高みに登るのは困難を伴います。

けれど、何としたことでしょう。

世界は奇跡であふれているのでございます。

で、『セカンド・ラブ・最終回(全7話)』(テレビ朝日201503202315~)脚本・大石静、演出・片山修を見た。異性に理想を求める人の恋の成就は難しい。相手にとっての理想の人にならなければならないのです。「結婚」は個人の妥協を社会が保障する制度と言うことになります。簡単に言えば「結婚」を使えばある程度のハードルや落差は補完されるわけです。シンデレラ・ストーリーがゴールを結婚と決めているのはそのためです。脚本家の拘りは「結婚」を使わないハッピーエンドと言うことになりますが・・・これはきっと「女」の意地なのでございましょうねえ。それはそれで哀愁ですな。

個人の自由を尊重しすぎて人間としての共通認識を見失う。これはコンテンポラリーな問題ですが・・・いつの時代にもそうだったとも言えます。

未来がもっと良くなるようにと・・・人間は願いすぎるのかもしれません。

ま、そこが悪魔の思う壺なんですけどね。

ダンスという芸術に目覚めた平慶(亀梨和也)は「恋と仕事の両立」を目指すが、パートナーは「結婚」を目指す。二人の目的地が同じであることを・・・二人は見出すことはできない。

西原結唯(深田恭子)はパートナーが「仕事」と結婚しているとは夢にも思わないが・・・恋が終わった時に思い出しか残らないのは困ると思うのだった。

平慶は「好きなのに従わない相手」に戸惑いつつ、世界ツアーに旅立ち、西原結唯は「好きだから自分」を鞭打つのである。

平慶は・・・「仕事」で成果を出し・・・高みに登るが・・・心は満たされない。

「恋」を奪われたからである。

帰国した慶は・・・早速、失われたものを探し始めるのだった。

あれから・・・一度も応えてくれない・・・恋人を求めて・・・。

本当に困った奴だな。

格差社会においては情報もまた格付けされる。

しかし、格付けに必要な権威というものが拡散し、情報の価値は非常に曖昧なものとなる。

たとえば・・・コンテンポラリー・ダンスというものを無知な人々が理解不能であるがゆえに嘲笑すれば、コンテンポラリーダンスは嘲笑されるものとなるのである。

もちろん、意味のないつぶやきだけが世界のすべてではないが・・・それが日常となればものすごい価値の下落がまかり通るかもしれない。

古典芸能のような伝承芸能の真髄は失われ、究極的な創作の意味も失われる。

戯言だけが蔓延するわけである。

たとえば・・・しっとりとまとめあげられたこのラブ・ロマンスにうっとりできる能力さえ失われる・・・恐ろしい世界がそこまできている気がする。

コミック「舞姫テレプシコーラ」においてはローザンヌでクラシックの素養よりもコンテンポラリーのセンスが問われる時、創作力を持たないダンサーは表現力を失うのである。

振付師といえばアイドルのパフォーマンスのスタッフという認識しかなければ「世界」がいかにその才能を待望しているかということを理解できない。

自分の無知を知らず、未知のものを嘲笑することほど愚かなことはない。

このドラマにはそういう怒りがこめられていると考える。

お茶の間とは別に虚構の世界では・・・アスリートが国際大会で優秀な成績をあげたのと同じインパクトで世界(主にヨーロッパ)で高い評価を受けたアーティストとなった慶の帰国を待ちかまえる日本の報道陣。

一足早く出迎えたマネージャーの野口綾子(早見あかり)は大衆の望むスタイルを慶にレクチャーする。

このドラマにおける綾子はすでに天使の役割となっている。

神に選ばれた崇高な魂を・・・愚民から守る守護天使なのである。

同時に綾子は・・・慶と結唯という不器用な二人の人間を厳しく導く使命がある。

そういう役割を背負わされた人間の苦悩にももう少しスポットライトをあててもよいが・・・全七話では少し尺不足である。

あかりん、かわわいいよあかりんと言う他はないのだった。

「手荷物なんて持たないで・・・飾らないと・・・日本人は素晴らしさの分からない人種なのよ」

「飾らない人が受けるんじゃないのか」

「それは一般人の場合よ・・・選ばれた人のイメージがないとどこまでもぶらさがってくるわよ」

「・・・」

報道陣がつめかける。

「帰国された感想をお願いします」

「今の気持ちを一言で」

「今、何が食べたいですか」

「この喜びを誰に伝えたいですか」

「面白いコメントをお願いします」

馬鹿の質問に・・・笑顔で答える慶だった。

世界の果てまで踊りに行って成功をおさめた慶だったが・・・心の片隅では結唯の不在を常に嘆いていたのである。

「成功の秘訣は何ですか」

「人生を変えるためには・・・女神に出会うことが必要でした」

死にかけた自分を蘇生させてくれた・・・美しい女神が恋しくてたまらない舞踏の男神なのである。

女神の声が聞きたくて世界の果てから電話をした慶だったが・・・結唯は応答しなかった。

仕方なく慶は県立山王女子高校を訪ねるのだった。

「あ・・・平慶・・・どうしてこんなところに・・・」

ざわめく女生徒たち。

綾子とは別の意味で天使としての役割を果たす竹内そら(小芝風花)は最後の出番を果たすためにつぶやく。

「先生に逢いに来たのよ・・・ここでは逢えないけどね」

努力ではどうにもならない天に与えられた美しさの存在を認めるための天使なのである。

このドラマは三人の天使と・・・馬に蹴られて死ぬ二人の人間で構成されている。

ちなみに・・・人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ・・・ということです。

馬死に一号の教師・高柳太郎(生瀬勝久)が校門に立つ。

「何しに来た」

「結唯さんに逢いに」

「いませんよ・・・彼女はもうここにいない」

職員室に慶を招き入れる高柳だった。

同僚教師の一人は慶のファンで写真集にサインを求めてやってくる。

嫉妬で苦悶する高柳である。

高柳は結婚制度の象徴である。それが・・・単なる国家的な契約制度に過ぎず・・・愛とは無関係である・・・と言うのが国際人の慶のポジションなのである。

「なぜ・・・彼女と結婚しなかったのだ」

「愛は求めました」

「わからん・・・君のようなもののために・・・僕がなぜ・・・家庭を失い・・・結唯くんも失ったのか」

「二兎を追うもの・・・」

「それ以上言うな」

「教えてください・・・彼女は今どこに・・・」

「誰が教えるか・・・お前なんか悶え死ねばいい」

どこかで馬がいななくのだった。

慶は結唯の実家を訪ねる。

馬死に二号である母親・真理子(麻生祐未)はテレビに登場する有名人の来訪に昇天すると同時にずる賢く振る舞う。

狂躁的な人格は激しく分裂するのだった。

「何故だか分からないけど死ぬほど嬉しいわ・・・サインをください」

「教えてください・・・彼女は今どこに・・・」

「知らないわ・・・あなたが連れて行ってしまったから・・・今は一人で暮らしているのでしょう」

しかし・・・神は母親の携帯電話の着信音を響かせる。

表示された「結唯」の文字に素早く反応する慶だった。

「もしもし・・・お母さん」

「今・・・どこにいるの」

「慶・・・」

「百人一首なの・・・百人一首なのね」

どこかで馬の蹄の音がする。

ついに・・・慶は結唯の居場所を突き止めた。

農芸化学総合研究所・・・。

公立高校の化学教師だった結唯は民間の研究所の研究員になっていた。

結唯は職場の研究施設を慶に案内する。

「食糧危機に備えた効率的な野菜工場の研究をしているの・・・私の専門はレタスよ」

「レタスの花言葉は冷たい人だよ・・・」

「そうねえ・・・思い通りにならないところは慶に似ているかも・・・」

「結唯と一緒に暮らしたい」

「私にもようやく・・・夢が出来たの・・・慶に話を聞いてもらえてうれしいわ」

「結唯が好きなんだ」

「でも・・・まだまだなのよ・・・レタスは手がかかるの・・・あなたにふりまわされている時間はないのよ」

「・・・」

レタスに敗北したとは信じられない慶だった。

天使である綾子は慶を厳しく鞭打つ。

「ストーカーのように追い回して、重くなったら捨てて、一年間ほったらかしにして、欲しくなったらまた求める・・・彼女はあなたのおもちゃじゃないのよ・・・」

「そんなつもりじゃない」

「あなたにはそうじゃなくても・・・彼女にはそうだったってこと・・・私と彼女は違うのよ・・・私はあなたの才能に惚れてしまったけど・・・彼女はそうじゃないんだから」

「・・・」

「さあ・・・彼女のことはあきらめて・・・凄い仕事しなさい。ドイツのハンブルグ州立劇場のオファーが来たわ・・・あなたに芸術監督を・・・カンパニーを設置してもいいって・・・あなたは・・・ついに一流になったのよ」

「彼女と一緒じゃなきゃ・・・嫌だ」

「子供かっ」

第三の天使である上田波留子(秋山菜津子)がパリから帰国する。

「別れちゃった・・・彼に若い恋人が出来て」

「ひどい・・・」

「でも・・・私は後悔してないの・・・何にもないより・・・思い出があるだけマシでしょう」

「私も別れました・・・私も後悔してません・・・このままじゃ・・・ダメだと気付けたのは彼のおかげですから」

「愛とはけして後悔しないものなのよ」

「くだらないんですけどね」

「くだらないのよねえ」

二人は高柳を呼びだしカラオケをするのだった。

「ようやく・・・子供たちに会えるようになりました」

「あんたも大変ね」

「結婚と言う制度は結局・・・家族を守るためのものなんですね」

「そうよ・・・そこに愛はあるけど・・・恋はないの」

「私には愛もなかったようです」

「残念だったわね」

「現地集合は・・・」

言いかけた高柳を蒼ざめた馬が睨みつけるのだった。

研究所に綾子がやってきた。

「いつか・・・言ったわよね・・・慶をダメにしたら殺すって・・・」

「・・・」

「あいつ・・・あんたと一緒じゃなきゃ・・・ドイツに行けないって言うの・・・」

「・・・」

「なんとかして・・・」

結唯は天使の願いを聞き届けた。

思い出の噴水公園に慶を呼び出す結唯・・・。

「ドイツで仕事があるんでしょう」

「そうだ・・・一緒に来てほしい」

「私は行けない・・・私にはレタスがあるから・・・」

「・・・」

「私はもう・・・あなたを必要としていない・・・あなたも一人で行きなさい」

「世界で踊って・・・自分で振付をして・・・気がついたことがある。俺の芸術に・・・ダンサー・平慶は必要ないって・・・それを認めることができたのは・・・君に出会えたからだ・・・」

「私も・・・あなたのダンスは素晴らしいと思う。でも・・・それだけ・・・私が欲しいのは・・・あなたのダンスじゃなかったの・・・最後に一つだけお願いしてもいいかな」

「最後って・・・」

「私のために・・・ラストダンスを踊って・・・」

二人で楽しむのは一緒に踊るためのダンス。

しかし・・・慶はソロ・ダンサーなのだった。

慶は踊った。

噴水池の水を組むパフォーマンス。

少年は渇いていた。

雫は霊感をもたらした。

踊る喜び。

目覚めた少年は螺旋を描く。

少年は流れの中で生年へと成長していく。

目指すのは神々の棲む高み。

アラベスク。そしてアクロバット。

優雅な古典と斬新な工夫がせめぎ合う。

虚空に手を伸ばした青年は限界を知る。

残されたのは永遠の孤独。

結唯は別離の悲しみに涙する。

しかし・・・終わりを繰り返さないために・・・今は去るしかない。

男と女が対等の存在であるために・・・結唯は試練を突破しなければならないのだった。

スターに寄り添う闇にはなれない。

小さくても星になる・・・結唯の決意は固い。

結唯の研究所ではグローバル・チャレンジという人材育成プログラムがスタートしていた。

研究成果の海外における事業展開である。

結唯は化学のエキスパートの道を選択していた。

そもそも・・・そういう能力がありながら・・・結唯は怠惰な世界に安寧していた人間だったのである。

やればできる子の原動力が恋の力であることは言うまでもない。

これをお伽噺と言うのは容易いことである。

しかし・・・本当に欲しいものを手に入れる人間は・・・こうした限界に挑戦し、捨て身になるのが普通なのである。

そして・・・運命は微笑んだ。

結唯の赴任先は・・・ドイツのハンブルグ州だった。

エルベ川の畔で暮らす慶の元へ結唯から連絡が入る。

「ドイツでもレタスの世話ができるのよ」

「きっと・・・来てくれると思っていた」

「待っていてくれて・・・ありがとう」

二人は見つめ合う。

二人には言葉はいらない。

重なり合う美しいシルエット・・・。

これが恋というものだ。

関連するキッドのブログ→第6話のレビュー

Sl007_2ごっこガーデン。冷たい心が熱い恋をするレタス畑セット。エリ天才的ダンサーと恋をするためには美しいだけではだめなのですね。美しいことは必要条件に過ぎないのでス~。努力して努力してレタスを栽培しまくることが必要だったとは・・・。ハンバーグにはやはりレタス・サラダですものね。トンカツにはキャベツですけど・・・。じいや~、ハンバーガーにマヨネーズと玉ねぎとシャキシャキレタスをはさんで~。後、トマトも・・・そしたら・・・アルジャーノンロイドのでき具合をチェックします。チューッて鳴きますか・・・アルジャーノンは世界で二番目に有名なネズミでしょうか~?

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コメント

じいやちゃま、美味しい筍が手に入ったので
治部煮風にしてみました~~。
すこ~し甘みを加えてみましたがどうでしょう?

ダンスの確かさはアラベスクのポーズで
すべてを物語っていたようですね!
じいやちゃまが論じてくれるなんて
K先輩もきっと勇気凛凛です~~!!
そして女神も一緒に高みを目指すという
理想的なセカンドラブができたのは
ステキでしたね。
これまでを思うと奇跡のようなエンディングでしたが
じいやちゃまのおっしゃる通り
世界は奇跡でできているから当然の結末でしたわ(^^
そんなわけで、全7話本当にお疲れ様でした!

休む間もなく世界で二番目に有名なネズミが
やってくるんですね!
ありがたいといいますか、じいやのためには
秋ぐらいでもよかったのですけど(^^;

そんでランチはしゃきしゃきレタスをはさんだ
バーガーにしておきます~。
なんせ、一生懸命に作ったので~~♪
じいや、ギンギンのコーラと一緒にどうぞ!!

投稿: エリ | 2015年3月24日 (火) 00時35分

✿❀✿❀✿かりん☆スー☆エリ様、いらっしゃいませ✿❀✿❀✿

筍収穫の際の注意点は
輝きに用心することでございます。
かぐや姫殺人事件が発生いたしますので。

一般の方々が
コンテンポラリー・ダンスの
一端に触れるのは
フィギュア・スケートでございましょうか。
しかし、あれはダンスの要素を取り入れたスポーツでございます。
それでもバレエの素養がないと
美しさを演じることができないわけで
日本人には難しい時代が続きました。
それを突破したのが
イナバウアーにおけるのけぞりの振付でございます。
イナバウアーは実は足元の技術で
のけぞりのポーズは振付なのですな。
加点の少ないイナバウアーでありながら
ふりつけによって芸術点をひきあげたわけです。

そこで人々は「ふりつけ」というものの凄さに
接しているわけですが
お茶の間は
振付師といえばカバちゃんを想起してしまうという
残念さを持っているわけです。

ダンサーから振付師になるのがレベルダウンと
感じるわけですね。

ダンサーの中で振付師になれるのは
選ばれた天才のみ・・・ということがわからないと
この設定の凄みが伝わらないわけでございますよね。

そういう意味で深夜なので
冒険ができたとも言えますし
深夜なのでそういう奥深さを
表現しきれていないとも言えるのでございます。

大胆なラブシーンにばかり
言及されて大切なものを見失うのがお茶の間でございますけれど~。

ライフというNHKのコント番組で
コンテンポラリー・ダンスを茶化すココリコ田中のスケッチがあって
それしか・・・コンテンポラリー・ダンスを知らない人が
このドラマのダンスと比較するというセンスは
本当に残念な感じでございましたよ。

まあ・・・しかし、一般大衆というものは
そういうものでございますから~。

もちろん・・・K先輩は
ダンサーを演じているので限界はあるわけですが
表現の素養があるのは
もちろん修練の賜物でございます。
美しいポーズを決めることの難しさを
踊らない人は理解できないのでございます。

そういうものを肌で感じた深キョンが
同じ場所に立つために
震えながら死に物狂いになる。
美しい恋の物語でしたな。

まあ・・・結婚が妥協の産物であるというテーマを
受け入れ難いお茶の間はあまりにも
多数でございましょうけれども~。

じいやは堪能いたしましたぞ~。

高貴な恋の後は数奇な運命ですな。

知性とはなにか・・・。
幸福とはなにかを・・・。
世界で二番目に有名なネズミが教えてくれる物語。
ジェリーが二番目はボク・・・と言いたいかもしれませんが。
じいや的にはアルジャーノンでございます。

春ドラマは・・・アンナ様のダーロイドも登場し
ごっこガーデンは拡張工事中でございます。
冬と春は谷間が長めでホッといたします~。

投稿: キッド | 2015年3月24日 (火) 02時19分

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