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2015年3月26日 (木)

私の父はチャンポンマンやけん家出するばい(荒川ちか)

1999年度生まれには吉田里琴、大橋のぞみ、優希美青など子役、元子役、アイドル女優などが顔を揃えているわけだが・・・今年はみんな16才になっていくのである。

つまり、中学を卒業して高校生に・・・芸能人としてひとつの節目なんだな。

このドラマはNHK BSプレミアムの水曜プレミアムスペシャルで2013年12月18日に放送されているので・・・荒川ちかの13才の頃のメモリアルである。

アイドルグループ乙女新党を2014年7月に葵わかなとともに卒業し・・・今年は一種の正念場なんだな。

女優としては早熟で存在感抜群である。

しかし・・・道程は長いのである。

末長く、頑張ってもらいたいと考える。

で、『私の父はチャンポンマン~長崎発地域ドラマ~』(NHK総合20150215PM3~)脚本・清水有生、演出・江崎浩司を見た。日本国は未曽有の危機に直面している。しかし、日常生活を営む人々にはそういう実感がないのが一般的である。その危機は東日本大震災が象徴するだろう。原発事故により放射能汚染された土壌からはどうしようもなく放射性物質が流出する。その危機を実感した市民は原子力エネルギーに用心深くなる。エネルギー危機が発生するのである。21世紀になったというのにロシアや中国というあまり民主的ではない大国が領土的野心を隠さない。実際に日本近海に侵略の手を伸ばしている。国防危機が発生しているのである。いかに穏健派は違うと言っても教義に「異教徒の奴隷化」を含むイスラム教の原理主義者が台頭している。本質的な宗教改革がなされない限り、テロリズムの嵐は止まないだろう。国際社会としての危機なのである。個人主義の時代・・・こういう危機に対処するのは困難を極める。教育者が裏金を作ってブランド品を購入している場合ではないのである。普天間基地の移転先を県外に求めれば、頭のおかしな指導者なら国外と言い出すかもしれないが・・・辺野古が妥協の着地点であることは明白なのである。沖縄県民である前に日本国民である・・・それが嫌だと言い出せば・・・みんなが困ったことになるのだ。今は耐えがたきを耐え忍びがたきを忍ぶ時代なのである。七十年間そうだったし・・・四年前からさらにそうなのである。それが歴史認識というものだ。知識人はそういうことをよく考えてもらいたい。

東日本大震災からさらに遡る二十年前の平成三年(1991年)、雲仙普賢岳から火砕流が発生し、報道、消防関係者を中心に死者43名の大惨事となった。噴火活動は四年間続く。

前田徳市(山口智充)は火砕流によって破壊された大野木場小学校の卒業生だった。

福岡市で就職した徳市だったが妻に先立たれ・・・娘の七海(荒川ちか)を連れ、故郷の長崎県雲仙市小浜町に戻って市の地域振興課に務めている。

かっては温泉街として観光客で賑った小浜町・・・しかし、災害以来・・・復興は達成されていなかった。

徳市は・・・街興しの決め手として・・・小浜チャンポンの売り出しを置き、自らイメージ・キャラクター「チャンポンマン」に扮するのだった。

地元の中学に通う七海にとって地獄の始りである。

たちまち「チャンポンマン」の娘だから「ちゃんぽん」と仇名がつけられ、給食で「チャンポン」が出れば「ちゃんぽんがちゃんぽんを食べている」と囃したてられるのである。

しかし、「やめろ」と言われても「やめないこと」に定評がある徳市なのである。

小浜町の全外食産業が「チャンポン」をメニューに加えるという行政指導を開始する徳市。

しかし、「寿司屋でチャンポンが出せるか」と寿司屋は激怒するのだった。

食堂「大将」の主人・北川(金子昇)も「小浜ちゃんぽん友の会」の会長に勝手に指名され困惑するのだった。

小浜一のチャンポンを作ると言われる食堂「峰岸」の主人の峰岸(石橋蓮司)もインチキ臭いチャンポンマンの活動を苦々しく思っていた。

しかし・・・実の娘や職場の上司に反対されても・・・我が道を行くチャンポンマンだった。

「小浜チャンポン祭り」で一日千食を完売するのが目標である。

「オバマ大統領に来てもらって小浜チャンポンを食べてもらおう」とホワイトハウスに手紙を出す始末である。

変わりものの父親になんとか・・・耐えていた七海だったが・・・ある日、父親が朝帰り。

父親が持っていた名刺からスナック「ルビー」を突きとめてた七海は・・・徳市が「ルビー」のママである赤石由美(田中美里)と親しくしているのを知り・・・ついに家出を決意する。

「捜さないでください・・・これからは一人で生きて行きます・・・七海」

置き手紙を残し、家を出る七海だった。

七海、かわいいよ七海である。

とりあえず・・・遠足で行った雲仙普賢岳に向かう由美なのである。

そこで起こった出来事は・・・七海の生まれる前の話なのだ。

あてもなく彷徨う家出中学生・七海の前に由美が現れるのだった。

家出支度をして歩いていた由美を見つけ、尾行してきたのだ。

「七海ちゃんでしょ・・・お父さんがよくあなたの写真見せてくれるから・・・ちょっと顔貸しなさい・・・」

「なんですか・・・」

七海が連れて行かれたのは廃業した温泉旅館「赤石」である。

「ここはね・・・夫の生まれた旅館なの・・・私の夫はね・・・あなたのお父さんの同級生なのよ・・・夫はこの旅館を再建するのが夢だった・・・だけどガンで死んじゃったのよ・・・そしたら・・・あんたのお父さんが帰ってきて・・・もう一度・・・小浜の街を復興させたいって・・・だから・・・うちのスナックでもチャンポンだすことにしたの・・・あんたのお父さん、徹夜でスープの特訓してくれたわ」

「あ」

仕方なく・・・家出を中止する七海・・・父親は・・・置き手紙さえ読んでいないのだった。

イベントのことに夢中だったのである。

「ち」

「お帰り」

「チャンポンマンなんてあかん」

「なんで」

「空も飛べんし」

「空か・・・」

目を輝かせる父親だった。

「え」

新聞とテレビが街興しの取材にやってきた。

海岸に記者を呼び寄せたチャンポンマンはハングライダーに乗って・・・空から舞い降りるのだった。

荒らぶる鷹のポーズを決めるチャンポンマン・・・。

とりあえず・・・派手なパフォーマンスでお茶の間の心を掴んだのである。

チャンポンマン・・・いや小浜チャンポンブームがやってきたのだった。

食堂「峰岸」を襲うチャンポンマン。

「チャンポンお願いします」

「お前に食わせるチャンポンはない!」

「昔・・・小浜の街は・・・温泉客の下駄の音がカランコロンと・・・響いてました。俺はあの音を子守唄に育ちました・・・あの音をもう一度聞きたいんです」

「わしだって・・・同じじゃ・・・しかし、お前のやり方はまちがっとる。みんながチャンポンを作ったら・・・不味いチャンポンもまじる・・・小浜チャンポンの名が廃る・・・」

「俺は・・・小さい頃から・・・チャンポンを食ってきました・・・俺の味で確かめたチャンポンは絶対美味い・・・俺の舌を怖がってるんじゃありませんか」

「なんじゃと・・・」

チャンポンを十杯食べて救急車で運ばれるチャンポンマン・・・。

「アホじゃのう・・・」

イベントの準備中のチャンポンマンを見舞う峰岸。

「陣中見舞いじゃ・・・」

「ありがとうございます」

七海は・・・イベントが成功するのかどうか・・・気がかりだった。

セーラー服をなびかせて会場に走る七海。

盛況である。

思わず、父親を手伝う七海。

「千杯、完売ばい」

「万歳」

苦しいのは・・・どこも同じ。

やる奴はやる・・・ただそれだけである。

ああ・・・チャンポン食べたい。

「チャンポンマンねまだまだだよね」

「え」

「だって・・・必殺ワザがないし」

「必殺ワザか」

「チャンポンビームとか」

父と娘は・・・観光足湯につかりながら・・・対話するのだった。

地域活性化は結局、地域でするしかないのだった。

誰もが助けてほしい時代なのである。

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