チーム・バチスタFINALケルベロスの肖像(桐谷美玲)逆恨み(栗山千明)なんですーっ(加藤あい)
二時間で済む話を・・・二時間だった。
映画だからな。
延々と続く・・・伊藤淳史・仲村トオル版の「チーム・バチスタ」シリーズの最終章である。
ドラマ・シリーズのヒロイン二人に新ヒロインを加えてヒロインのスリーカードだ。
加藤あい・栗山千明・桐谷美玲の三枚を揃えるなんてそれだけでうっとりである。
怪物犬と言えばオルトロスだが・・・兄にあたるケルベロスは地獄の番犬の異名を持つのだった。
そもそも、冥界への道は一方通行である。
なぜならば、ケルベロスが地獄の門に立ち、来るものは拒まず、去るものは食っちゃうからだ。
三つ首が8時間交替で眠るので24時間監視可能の優れ物である。
不眠症になったりすると大変だし、子守唄で三頭ぐっすりしちゃうと・・・地上はゾンビであふれるけどな。
で、『チーム・バチスタFINAL ケルベロスの肖像(2014年劇場公開作品)』(フジテレビ20150407PM9~)原作・海堂尊、脚本・後藤法子、演出・星野和成を見た。医療ミステリというジャンルでは医療ミスと死因の特定が大きなスペースをしめるわけである。一方で生存率の向上と尊厳死という医学における大きな主題が影を投げかける。「生きたいのに生きられない人のために生きろ」という説教は「死にたいのに死ねないから殺してくれ」という叫びとまっこう対立するのである。
寿命がのびて長生きするのはいいことだ・・・って思える人はきっと幸せなんだよな。
悪魔は・・・本当にそうなのかとふと思うわけである。
少なくとも・・・この物語のヒロインたちに抱かれて死ねるなら悔いはないよなあ。
三人のうち誰でもいいから~。
ま、それはそれとして・・・。
「医療ミス」による「患者死亡」の「隠蔽」を阻止することも含めて、死因不明社会の打破に効果があるとされる「Autopsy imaging(画像診断による検死)」、略して「Ai」を普及させるために厚生労働省大臣官房秘書課付技官兼医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長の白鳥圭輔(仲村トオル)はAiの権威である東堂文昭マサチューセッツ医科大学上席教授の招聘に成功する。
日本国と桜宮市そして東城大学医学部付属病院が連携して開設するAiセンターには超高性能MRI「リヴァイアサン」(フィクション)が納品されるのである。
その記念イベントで・・・東城大学医学部付属病院不定愁訴外来責任者兼医療過誤死関連中立的第三者機関設置推進準備室室長補佐の田口公平(伊藤淳史)は初の日本国産戦車・61式戦車に乗ってパレードをするのだった。
グッチーは軍事おタクだったのである。
その姿を見つめる桜宮すみれ(栗山千明)は患者の希望を叶え、安楽死を提供してきた桜宮病院一族の生き残りである。白鳥によって不正を暴かれ、父と姉を失ったすみれは激しい怨みに苛まれていた。
一方、取材記者の一人で医療ジャーナリストの別宮葉子(桐谷美玲)は何故か、グッチーに強い関心を示すのだった。
その頃、国際的なピアニストの船橋律子(有森也実)は海外から帰国し、別荘の地下室で夫を含む多数の遺体を発見していた。
律子の夫・船橋直樹(中丸新将)は白鳥の上司だった。
地下室で発見された十人のうちただ一人の生存者である内科医の榊陽一(二階堂智)は東城大学医学部付属病院のERに搬送される。
ジェネラル・ルージュこと速水晃一(西島秀俊)や佐藤(木下隆行)、和泉(加藤あい)、そして滝沢(松坂桃李)たちERの医師たちは救命に尽力する。
解剖によっても判明しない・・・死因をリヴァイアサンを駆使して明らかにする東堂教授。
重水による中毒死・・・死者たちは監禁され重水を摂取させられ死亡したのだった。
事件は大量殺人事件となったのである。
そんな折・・・「三月のAiシンポジウムに爆弾を投下する」という脅迫状がグッチーの元に届く。
殺人犯は誰なのか・・・脅迫状の送り主と同一人物なのか・・・。
白鳥とグッチーは捜査に乗り出すのだった。
やがて・・・殺されたメンバーが薬害訴訟に関係した役人と製薬会社そして治験に参加した医師であることが判明する。
薬害の被害者の実情に詳しい別宮葉子の紹介で新薬の副作用による後遺症に苦しむ患者・根本(品川徹)を訪問した白鳥とグッチー。
「しかし・・・新薬によって苦痛を免れた人も多いのです」と釈明する白鳥。
「それでは・・・誰を・・・恨めば・・・いいのですか」
全身麻痺の根本に問われ・・・言葉を失うグッチー。
別宮は白鳥を追及する。
「千人を救うために一人を苦しめるのが医療ですか」
「副作用は予見できなかった」
「いいえ・・・副作用の報告は握りつぶされたのです」
「証拠は・・・」
「内部告発者の証言があります・・・しかし・・・記事を書いても握りつぶされるのがオチでしょう・・・」
「・・・」
「内部告発者は・・・陰湿な圧力を受けて・・・自殺しましたよ」
「君は・・・」
不穏な気配を感じた白鳥は・・・玉ちゃんこと玉村誠刑事(中村靖日)に指示して別宮葉子の過去を調査する。
別宮は被害者遺族だった。
「そんな・・・彼女が犯人だなんて・・・」と動揺するグッチー。
「彼女は・・・重水を入手していた」と白鳥。
だが・・・別宮は行方をくらますのだった。
やがて・・・生存していた榊医師が意識を回復する。
しかし・・・脳障害で顔を見ても識別が出来ない相貌失認を発症していた榊医師は・・・犯人の顔の特徴を説明することができないのだった。
一方・・・別宮の死んだ母親こそが・・・榊医師の患者だったことが判明する。
そして・・・Aiシンポジウムの開催日がやってきた。
会場に現れたすみれは・・・白鳥の呪われた過去を暴くのだった。
白鳥は・・・「患者の体内に置き忘れた手術器具」という「医療ミス」を隠蔽した医師の一人だったのだ。
「言いわけしなさいよ・・・当時、研修医だった自分には何もできなかったとかなんとか」
「ごめんなさいでしたーっ」
謝罪する白鳥だった。
その時、東城大学医学部付属病院のコンピューター・システムは外部から操作され・・・投薬レシピが改竄されるという緊急事態が発生する。
容体が急変した榊の緊急手術が開始されるが・・・ついにシステムはダウンするのだった。
別宮はスーパー・ハッカーだったのだ。
病院の屋上で対峙する真犯人とバチスタ・チーム。
「どうして・・・こんなことを・・・」
「被害者遺族の言葉は握りつぶされても・・・十人殺した女の言葉は無視されないから」
「榊医師は・・・関係ないじゃないか」
「あの男は・・・患者を・・・苦しんだ母の顔を覚えていなかった」
「違うよ・・・榊先生は・・・顔を覚えられない病気なんだ」
「え」
かわいいよ、真犯人、かわいいよである。
こうして・・・医療ミスの隠蔽をめぐる長い物語の幕は閉じたのだった。
やはり・・・二時間でよかったのだな。
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