風が吹けば花屋が儲かるですね(大倉忠義)ばっかじゃないのっ!(多部未華子)
「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉をどのように認識するかという問題がある。
一つには無関係な出来事を関連させて因果関係を探るという考え方がある。
「リンゴが落ちれば万有引力がある」ということである。
もう一つはこじつけてあたかも非現実的なことが現実であるかのように心理を誘導するトリックであるという考え方がある。
「憲法九条がなくなれば日本は即日開戦する」ということである。
これに際して・・・そういう戯言を信じてしまう人間の愚かさを自嘲するという考え方がある。
「風が吹けば桶屋が儲かるという言葉を信じる馬鹿が増えれば日米安保条約は破綻する」ということである。
どのレベルで「風が吹けば桶屋が儲かる」を考えるのかは・・・人それぞれの自由でいいと考える。
で、『ドS刑事・第3回』(日本テレビ20150425PM9~)原作・七尾与史、脚本・川崎いづみ、演出・中島悟を見た。「認知症患者に認知力を高める薬を処方すると患者の家族からクレームがくる」という話を医師がしていた。これは怒る気力もないほどにボケた患者がいる→患者に医師が気力を活性化する投薬をする→患者が家族に対する不満について怒る気力を回復する→患者が家族に怒りだす→家族は患者が怒りっぽくなったのは薬の副作用ではないかとクレームをつける・・・という経験談である。家族にしてみればうるさい患者より静かな患者の方がいいので・・・つまり下手に回復してほしくないという気持ちがあるわけである。これに対して医師が副作用ではありませんと真実を告げれば平行線なんだな。
所詮、すべての論理は詭弁にすぎないのです。
つまり、物理学の理論で原爆が出来るのは単なる偶然なのである。
・・・そういう詭弁なんだな。実証主義を完全に否定かっ。
すべての世界の責任は生きている以上、自分自身が負っているという実存主義を推奨しています。
他人がそうである方がなにかと都合がいいからな。
「火炎壜を使用した放火殺人事件」が連続して発生する。
「連続が不連続か・・・それが問題だ」
「火炎壜で人を殺そうとする人はやたらにいないでしょう」
「模倣犯かもしれないじゃないか」
「ですね」
「模倣犯だとしたら・・・不連続とは言いきれないんじゃないか」
「ですね」
「じゃ・・・火炎壜連続放火殺人事件捜査本部・・・でいいですね」
「いや・・・不連続説も捨てきれないので(仮)はつけといてくれ」
「用心深いですね・・・保身ですか」
「そこまで・・・言わなくてもいいだろう」
課長の白金不二子警視(吉田羊)の指揮の元、定年間際の近藤刑事(伊武雅刀)、有栖川係長(勝村政信)、中根刑事(中村靖日)、浜田刑事(八乙女光)たち川崎青空警察署刑事一課強行犯捜査係のメンバーたちは・・・被害者の荒木(中村憲刀)と由衣(西田麻衣)・・・そして新たな被害者・佐々木佑哉(ナカムラユーキ)の関係性を地道に捜査する。
しかし・・・佐々木佑哉が荒木と結衣に脅迫されていたことを報告しなかった黒井マヤ巡査部長(多部未華子)は自分のうかつさを呪い、代官さまこと代官山脩介巡査(大倉忠義)とまたもや独自の調査を勧めるのだった。
主人公の特権で・・・「焼死した死体」に注目するべきだと直感したマヤは半年前の「前田凛子の焼身自殺」の件に着目する。
遺族の人形作家の時枝(中尾ミエ)はマヤの事情聴取に応じるのだった。
「私の可愛いベイビーは成長して可愛いベイビーを生んだのです。可愛いベイビーはジャングルジムで遊ぶ子供に成長しました。人形なら成長しないのにねえ。しかし、ベイビーはジャングルジムから落下してしまいました。私の可愛いベイビーは自分の可愛いベイビーのために救急車を呼びましたが到着が遅れて可愛いベイビーの可愛いベイビーは天国に召されました・・・私の可愛いベイビーは自分の不注意を恥じて焼身自殺したのです・・・だから私は娘と孫をどちらも失ってしまったのです。私は思わずにはいられない・・・救急車がもっと早く到着していれば・・・ああ、私の可愛いベイビー・・・」
「はいはーい」
「代官さま・・・」
「すみません、つい」
「どうして・・・救急車は遅れたのでしょう」
「酔っ払いが道路で暴れて・・・渋滞になったんだそうよ」
主人公の直感で時枝を犯人と断定したマヤは酔っ払いを訪ねる。
しかし、酔っ払いの男・・・西川は「そんなこと言われても・・・だったら・・・悪いのは俺に酒を無理強いした先輩ってことになりますよ」と困惑する。
西川の先輩である神宮司は「ストレスをもたらした歯医者が悪い」と言うのだった。
歯医者は患者が悪いと言い、患者は上司が悪いと言い、上司は第三の被害者にお金を貢いでいたことが判明する。
そして・・・上司は第四の被害者となるのだった。
代官山啓子(岸本加世子)とかおり(瀬戸さおり)母娘にヘッドスパしてもらってリフレッシュしたマヤは緊急捜査会議に代官さまを招集する。
遊具プレイである。
「まわして」
「はい」
「もっと早く」
「はい」
「もっと」
「だんだん気持ちよくなってきました」
「とめて」
「はい」
「逆に回して」
「はい」
「もっと」
「はい」
「もっと」
「はい」
「とめて」
「ああっ」
もう少しだったのにと思う代官さま・・・なにがだよっ。
とにかく・・・渋滞を起こした西川が責任を転嫁した先輩から責任転嫁の連鎖があり・・・最初の放火殺人が起こったと推理したマヤだった。
西川まで・・・十人が殺される計算となる。
「なんで十人なんでしょう」
「なんとなくでしょう」
「なんとなくですか」
「原作者や脚本家が犯人がそれ以上考えるのは面倒くさいと設定したのよ」
「意味がわかりません」
「ばっかじやないの」
患者と愛人がデート中の川崎埠頭で犯人と対決するマヤ。
自殺しようとした人形作家から火炎壜をムチで奪取し、代官さまにパスするのだった。
「あつい」
「あなたを逮捕します」
「・・・」
しかし・・・人形作家は意識を失う。
犯人は脳腫瘍を発症していた。
「頭のおかしな犯行だとは思いましたが・・・脳腫瘍で・・・本当に頭がおかしくなっていたんですね」
「しっ・・・それ以上、言わぬが花よ」
「はいは~い」
春になれば桜が咲く。そして咲いた花は散るのが運命なのである。
しかし・・・来年になれば・・・桜はまた咲くのだ。
桜の木の寿命が尽きるまでは。
地球が破滅しない限りにおいて。
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