いい人・・・じゃなかった人(木村拓哉)いいのよ・・・それでもいいの(上戸彩)
最初は「何が悪いのか今もわからない(木村拓哉)誰のせいなにのか今も分からない(水野美紀)」というタイトルにしようかと思ったのだ。
原作では愛人だった杏子の部屋で久が「手紙/由紀さおり」を口ずさむのである。
ドラマでは杏子の場面は・・・久の夢となっている。
つまり・・・今のところ、未登場である。
この歌謡曲は「別離」のモチーフとして物凄く印象的で・・・「最高の離婚」などにも妄想上の残滓が観測できる。
しかし・・・主人公(木村拓哉)ヒロイン(上戸彩)というキャスティングを主軸として考えると・・・重要な登場人物でありながら・・・サブタイトルに前の妻を登場させることは見送ることにした。
さらに言うならば・・・ドラマでは「悪いのは私」と前妻(水野美紀)が告白しているのだ。
ついでに言えば・・・原作では前妻もすでに再婚しているのである。
もちろん・・・善悪では語れぬ夫婦の関係である。
しかし、離婚を悪とするならば決定したものが悪なのだ。
原作では悪というよりもどうしようもない人だった主人公が・・・ドラマでは少し誤解されやすい人だった的にアレンジされている。
主人公に限らず・・・原作の登場人物たちはみんな・・・ある程度どうしようもない感じを漂わせている。
それをややお茶の間向けにアレンジしているわけである。
物足りない感じがしないでもないが・・・どうしようもない人間たちの荒涼とした人間関係というものは・・・基本的にお茶の間向きではないのである。
今季のレギュラーを見てみると・・・。
(月)帝国の猛獣使いに・・・美女と美少女をからめた温めのサスペンス。
(火)変態恋愛ドラマ。
(水)辺境のニヤニヤ貴公子の発狂ドラマ。
(木)帝国の大スターによる問題作ドラマ。
(金)帝国のスターの名作ドラマ。
(土)帝国の道化師とコーヒーカップミステリ。
(日)オールスターによるテロリズムのススメ。
・・・というなかなかの破天荒祭りである。
しかも・・・帝国旋風吹きまくりである。
大スターと問題作の組み合わせを深夜でやらないとなると・・・どうしてもマイナーからメジャーへの転調は必要となる。
そのために脚本家の腕前がかなり問われている。
そういう意味で・・・なかなか凄いお手並みだと思うんだな。
どうしようもない人を魅力的に描いているわけだから・・・。
その一点だけでも・・・このドラマには視聴する価値があると考えます。
※レビューの途中ですが仮記事中、(木)(金)の番組が逆になってました。お詫びして訂正させていただきます。
mi-nuts様、ご指摘ありがとうございました。
で、『アイムホーム・第3回』(テレビ朝日20150430PM9~)原作・石坂啓、脚本・林宏司、演出・田村直己を見た。原作では家路久(木村拓哉)は妻の恵(上戸彩)の父親(堀内正美)の所有するマンションの一部屋に住んでいる。恵の両親の部屋に続く扉もあり、母親(山口美也子)も交えて五人で食事をしたりもする。そして・・・恵の両親も仮面をつけているのである。資産家である恵の両親もまた久にとっては表情の分からない人たちなのだ。仮面の一族と久の心理的なもつれを象徴する・・・この描写はドラマではかなり控えめになっている。原作のどうしようもなさとは・・・主人公の本心が最後まで明らかにされないという不条理さによるのだが・・・ドラマでは基本的に禁じ手なのである。お茶の間が「わからん」と言って怒りだすからだ。
目が覚めると・・・部屋には誰もいなかった。
久はカレンダーを見て・・・その日が大切な日だったことを思い出す。
慌てて礼服に着替えた久は家を出る。
妻の香(水野美紀)の父・野沢和也(寺田農)の命日だった。
七回忌の法事が行われているのだ。先に到着しているであろう・・・香と娘のすぱる(山口まゆ)の姿を捜して厨房に入りこんだ久は・・・手伝いに来ている近所の人に得意の料理を披露する。
その姿を・・・香の妹・祥子(蓮佛美沙子)が発見する。
「お義兄さん・・・どうして・・・ここへ」
その声に親戚の男が気がつく。
「お前・・・家路じゃないか・・・よく顔を出せたな」
「え」
「兄貴がお前のせいで死んだことを忘れたのか」
「ええ」
「許さねえ」
「えええ」
義理の叔父に殴られて失神する久だった。
気がつくと小部屋で祥子に介抱されている久だった。
「あの・・・本当に・・・姉と離婚したことを忘れているんですか」
「あ」
「とにかく・・・お帰りください」
「・・・」
「もうすぐ・・・姉たちも到着すると思いますので・・・」
「はい」
久は思い出していた。自分がこの家とは無関係な人間になっていたことを・・・。
「僕のせいで・・・お父さんは死んだのですか」
「父は病死ですよ・・・しかし・・・父はあなたの上司でしたし・・・会社を解雇されてすぐ・・・あなたが姉と離婚して・・・他の方と再婚されたので・・・色々と噂する親戚も多いんです・・・そういうことです」
「香の父親が・・・僕の上司・・・」
「・・・そんなこともお忘れですか・・・」
久はいたたまれない思いを抱えて帰宅した。
無表情で久を迎える現在の妻・恵・・・。
「どちらへおでかけでしたの」
「・・・」
「まあ・・・すっかり汚しちゃって・・・」
「転んじゃった」
「クリーニング代が大変ですよ」
実は恵は冗談を言っているのだが・・・久には理解できない。
なにしろ・・・妻は仮面をつけているのである。
「すみません」
「いいのよ・・・今日は良雄と遊んでくださるとおっしゃってたのに・・・」
恵は親しげに話しかけているのだが・・・久には他人行儀にしか聞こえないのである。
「すまない・・・忘れていた」
「いいのよ・・・ただ・・・もうすぐ運動会があって・・・良雄は練習を見てもらいたかったの」
「運動会・・・何をするんだい」
「障害物競走・・・親子で参加するのよ」
「君が・・・」
「あなたはお忙しいでしょう」
「いや・・・土曜日なら・・・前と違って・・・休めるから」
「まあ・・・あなたが参加してくださるの」
恵は嬉しさで顔を輝かせる・・・しかし、久には妻が喜んでいるのかどうかわからない。
「障害物競走って・・・」
「登り棒があるの・・・良雄は少し苦手みたい」
「僕は得意だった」
「よかった」
微笑む恵。しかし・・・久にはその笑顔は見えないのだった。
恵はとまどう夫の様子を心配そうに窺うが・・・それもまた・・・久には分からないのである。
久は・・・香の父親のことが気になっていた。
私物を捜査した久は・・・香の父親の名刺を発見する。
野沢和也は葵インペリアル証券の専務取締役だった。
事故によって過去五年間の記憶を失ってしまった久だったが・・・それ以前のことも記憶は曖昧だった。
香とどんな結婚生活をしていたのか・・・どうして離婚することになったのかも思い出せない久。
しかし、小机部長(西田敏行)は故・野沢専務を知っていた。
「ああ・・・営業部のエリートが野沢専務の娘婿になったという噂は聞いていたが・・・君だったのか・・・なにしろ・・・左遷街道まっしぐらだったんで・・・知らなんだ。もしも・・・コレで失敗してなかったら・・・結婚式にも呼ばれたろうに・・・だけど僕には招待状はない・・・君に捧げる祝辞もない」
「野沢専務はどんな方だったのでしょうか・・・」
「優雅な方だったねえ・・・ワインがお好きでね」
「ワイン」
「葡萄の品種に・・・ピノノワールというのがあってね・・・特にお好みだったなあ・・・」
「ピノノワール・・・」
「知っているかい・・・」
「・・・あのコレが何かご存じですか」
久は透明なシートを示した。
「さあ・・・」
「昨日から・・・何故か・・・ずっと持っているんですよ」
「それは・・・ミステリだね」
小机部長は微笑んだ。
資料室で社史を調べ・・・野沢専務の足跡を探る久。
確かに・・・野沢専務が失脚した直後に・・・久は香と離婚していたのだった。
出世のために・・・香と結婚し・・・用が済んだら離婚。
そして・・・資産家の娘と再婚。
過去の自分の姿を想像して暗澹たる思いを感じる久。
今の自分には想像もできない「悪漢」のイメージが久を戸惑わせる。
そこへ・・・派遣社員・小鳥遊(たかなし)優愛(吉本実憂)がやってくる。
「轟課長(光石研)がおよびです」
轟課長の用件は「家庭のイベントがあれば突然の業務命令あり」というお約束である。
「鬼山機械の介護ロボット事業がテレビの情報番組で紹介されることになった」
「なんとサタデー・フォーカスですよ」
「はあ」
「アシスタントが間口はるかの人気番組だ」
「宇賀なつみのそっくりさんです」
「はあ」
「鬼山社長のご指名で・・・お前がプロジェクトを代表してテレビに出演することになった」
「腐ってもエリートですね」
「それは・・・いつですか」
「来週の土曜日だ」
「生放送ですから」
「えええええええええええ」
子供の運動会を選択することは許されない展開である。
そんな久を・・・すばるが待ち伏せていた。
「どうして・・・お母さんと離婚したの」
「・・・」
「出世のために・・・お母さんと結婚して・・・おじいちゃんが亡くなったから・・・離婚したの」
「・・・」
「私たち・・・仲良しだったよね・・・あれも嘘だったの」
「・・・」
「サイテー」
すばるは駆け去った。
「おい・・・こんなに夜遅く・・・女の子一人じゃ・・・」
「サイテー・・・サイテー」
帰宅した久は仮面の妻に事情を話す。
「土曜日・・・仕事が・・・」
「いいのよ」
「テレビに出る・・・」
「凄いわね・・・自慢できるわ」
恵が怒っているのか・・・喜んでいるのか・・・久には分からない。
「でも・・・今週の日曜日・・・練習にはつきあうから」
「お願いします」
ここでは・・・家族と仕事のアンビバレンツに擬装されているが・・・実は自分の関心ごとに夢中になって・・・家族をないがしろにする展開・・・ホワイト久は充分にブラックなのである。
何がホワイトで何がブラックなのか、悪魔ならそんな区別は無意味だが、お茶の間には暗黙の了解がある。
離婚はブラックで、離婚の原因はかなりブラック、離婚を先に言い出した方がブラックで、子供がいるのに離婚はよりブラック、性格の不一致はグレー、仕事より家族サービスを要求する家族はブラック、家族サービスを認めない企業はブラック、専業主婦はグレー、妻の仕事を尊重しない夫はブラック、親友の保証人になる夫はブラック、ホスト狂いの妻は完全なるブラック・・・と言う感じ。
専業主婦はグレーなのかよっ。
男女雇用機会均等法的には・・・ブラックかもしれない・・・おいっ。世間に敵対しすぎだ。
理想の専業主婦はもはや妄想上の存在でございます。
家族サービスよりも仕事優先に協力する妻はホワイトである。
子供の気持ちはブルーであるが、対処の範囲内なのだろう。
原作を忠実に再現した入浴シーンで・・・原作にはないセリフを口にする久。
「僕たちはどんな風に結婚したのかな」
しかし・・・キッチンの恵は答えるのを避けるように水道水を全開にする。
「なにか、おっしゃった」
「いや・・・なんでもない」
もちろん・・・久と恵の結婚には・・・記憶を失った久に語りたくない恵の事情があるわけである。
それは・・・まだ明かされない。
原作では核心であり、おそらくこのドラマもそうなるのだろう。
ちなみに・・・原作では久を主人公としながら・・・現在の妻、前妻、前妻の娘の三人の女性の心理がかなり主観的に語られる。
三人はそれぞれに久を愛しながら・・・報われなかった女たちである。
つまり・・・久はそういうどうしようもない男なのだ。
そういう男を大スターが演じるのは冒険だが・・・当然、安全策も講じられる。
脚本は冒険と安全の鬩ぎ合いなのである。
運動会の練習のため、恵の母と良雄が公園に先発し、恵は別件の用事のために寄り道をする。
最後に残った久に前の妻だった香が呼び出しをかける。
それに応じる久・・・普通なら完全にブラックだが・・・心の病気であることが主人公を限りなくグレーに仕立てるのだった。
本当はブラックである久をグレーにするためのプラック化した香の援護射撃が開始されるのである。
路上で密会する香と久。
「こんなところで・・・ごめんね」
「・・・」
「さっそくだけど・・・すばるにはなるべく会わないで」
「・・・」
「あの子も・・・つらい年頃なのよ」
「すまなかった」
しかし、体調不良を醸しだしていた香はここで・・・突然、昏倒してしまう。
久は・・・恵と違って仮面をつけていず・・・感情的には現在の妻である香を背負って近所の病院まで走りだすのだった。
その時、仮面をつけている現在の妻の恵や・・・公園で久を待っている良雄は完全に蔑ろにされるのだった。
状況的にはブラックだが行動はホワイト・・・お約束の展開である。
そして・・・偶然、それを見つける恵。
ショッピング帰りの恵の買ったものは・・・家族サービスよりも仕事を優先した夫の晴れ舞台のためのスーツなのである。
思わず・・・買い物袋を落しても仕方のないところなのだった。
病因に走る久は・・・香との結婚生活を思い出していた。
取材のために訪れたライターの香。
上司が・・・専務令嬢だと紹介する。
計算高く香に接近する久。
香は父親に逆らってライター稼業を続けていた。
それでも・・・香に魅かれて行く久。
香の連れ子である幼いすばるを我が子のように感じる久。
シングル・マザーで自由業の香は・・・どこか奔放さを感じさせる。
父親の野沢専務が訪れ・・・父娘は和解し・・・オンボロのアパートから父親の援助を受けた新居に移る久と香とすばる・・・幸せな家族・・・。
それなのに・・・なぜ・・・今は・・・他人になってしまったのか。
久の心は乱れる。
夫が海外出張中の祥子は久からの連絡で嫁ぎ先から病院に駆け付ける。
「過労による貧血だと思われますが・・・確かなことは検査の結果を待って・・・」
医師に告げられて一安心する久と祥子。
「僕と香が離婚した理由を・・・祥子ちゃんは・・・なにか知ってるかい」
「ええ・・・」
「僕には・・・香とすばるを愛していた記憶しかないんだ」
「ひどい夫だったわよ・・・浮気もしていたし・・・しかも・・・一人や二人じゃなくて」
「え」
「でも・・・そのことは・・・お姉さん諦めていたみたい」
「ええ」
「お姉さんもあまり、家庭的な人じゃないし・・・夫や子供より・・・仕事が大事みたいなところがあって・・・」
「そうね・・・私も妻としては駄目な方だと思う」
ベッドで香が意識を取り戻す。
「あなたのために・・・食事を作って・・・着替えを整えたり・・・そういう尽くす妻とはほど遠かった・・・でも・・・そういうのはあなたの方が得意だったし・・・すばるは私よりあなたの方になついているくらいだった。本当にそのことには感謝している。でも・・・あなたは働く女についての認識が・・・あまりにも後進的だったのよ。私が初めて出版した本をあなたに自慢した時・・・あなたは・・・それを・・・コースター代わりにしたの・・・私の処女作の表紙を縁取ったコーヒーの染み・・・私はあなたが・・・本当の私をけして認めないのだと悟ったの・・・だから・・・離婚を切り出したのよ・・・あなたは離婚を嫌がった。でも・・・私には分かっていた。あなたが欲しいのはあなたのための家庭であって・・・家族のための家庭じゃないことを・・・あなたは家庭を欲しがったけど・・・家族を作るには不向きだったのよ」
「・・・」
「そして・・・私たちは離婚した・・・」
久には香の悲しみが理解できた。
そして・・・香と結婚していた頃の久はそれができない男だったのだと想像する。
母親と父親の話を・・・すばるは立ち聞きして・・・大人の階段を登るのだった。
翌日、父親の帰路で待ち伏せするすばる。
すばるは携帯電話の「家路久」の登録名を「お父さん」に変えていた。
「父親と母親が離婚しても・・・お父さんはお父さんだよね」
「すばる・・・」
「クッキー焼いたから・・・あげる・・・今のお父さんだったら・・・お母さんだって・・・」
「すばる・・・」
「でも・・・そうじゃなかったから・・・こうなったのよね」
「・・・」
「それから・・・これ・・・忘れていったでしょう・・・」
すばるは透明シートを翳した。
「おじいちゃんと・・・前に・・・なんか作ってたよね」
久はそれが・・・チケット(ワインラベル)の保存シート・・・ワインのラベル剥がしシールであることを思い出した。
「ありがとう・・・すばる・・・すごいぞ」
久は幼いすばるにしたように女子中学生の頭を撫で抱きしめるのだった。
娘の髪の毛をクンクン嗅いでみたい全国のお父さんたち涙目である。
原作的には近親相姦の香り漂う危ないシーンですが・・・お茶の間はけして不埒な想像をしないでくださいシーンである。
しかも・・・実子ではないので条例違反になるおそれがあります。
久は祥子に許可を得て野沢家の物置を捜索した。
そこには父親のワインのコレクションが置かれていた。
謎のキーホルダーから鍵を取り出した久は収納庫の扉を開く。
そこには「香と久の結婚十周年を祝うためのワイン」とワイン日記が残されていた。
久の義父は・・・婿をワイン仲間として飼育していたのである。
「娘婿にワインを勧める・・・娘たちには言えないが・・・男の子が欲しかった私は・・・婿の久を本当の息子のように思うことがある。家路久は仕事のできる男だ。仕事人間だ。会社には敵も多い。そういう点も私にそっくりだ。私だって仕事人間だ。私の密かな楽しみであるワインを彼と共有することは私の愉悦でもある。私は知っている。婿が仕事が出来る男と言われるのは・・・彼が人並み外れた努力家であることがその理由だと。寝る間も惜しんで働くのだから・・・仕事人間なんだ。それがなぜ悪い。私は自分を愛するように婿を愛する。願わくば娘と婿の幸せが末長く続くように。祈りをこめて・・・このワインを寝かせよう」
「お義兄さん・・・お父様のお気に入りだったわね・・・」
「・・・」
「私・・・そういうお義兄さんに・・・憧れていたのかもしれない」
義理の娘に続いて義理の妹も魅了する久なのである。
悪い男が魅力的ではないとは限らない・・・のだ。
「祥子ちゃん・・・」
「どうか・・・今度こそ・・・幸せになってください・・・お義兄さんの・・・今の家族を幸せにしてあげて」
久は答えに詰まる。
今の家族は・・・仮面をかぶっている。
今の家族を愛している実感はない。
今の家族を幸せにできる自信はない。
それを義理の妹に言っても・・・仕方ないのだった。
ただ・・・もう・・・野沢専務とワインを味わうことはできないという現実が・・・久の心に重くのしかかるのだった。
夜風に吹かれ・・・ただ一人・・・久は献杯した。
ただ一つ言えることはいくら義父のお気に入りになっても嫁に嫌われたら結婚生活は破綻するということだ。
土曜日がやってきた・・・。
「ミニスカいいよね」
「いいですね」
付き添いでやってきた小机部長と轟課長は鼻の下を伸ばす。
しかし・・・久の心は・・・良雄の掌にできた小さな豆のことで一杯だった。
仮面をつけている良雄の心がそこに示されていた。
努力を惜しまない男の・・・努力を惜しまない息子。
それが・・・良雄と久の繋がりを示しているように思えた。
(介護ロボットの応援は・・・他の人間にもできるが・・・息子を応援してやれるのは僕だけじゃないか)
結果としては・・・久の考えは予想を大きく外れる大誤算だったが・・・お茶の間としてはそれはどうでもいいことだという計算である。
「ミニスカありがとうございます」
「いつもお世話になってます」
阿鼻叫喚のスタジオである。
運動会場にスーツ姿で現れる久。
「おとうさん・・・」
「あなた・・・」
「すまない・・・またクリーニング代がかかりそうだ」
「大丈夫です・・・おこづかいから引いておきますから」
妻が冗談を言っているのかどうか久にはわからない。
しかし、お茶の間的には一同爆笑のポイントだった。
「あきらめるな・・・ヨシオ・・・がんばれ・・・ヨシオ・・・いけ・・・いけ・・・ヨシオ・・・自分の行きたい場所を見るんだ・・・下を見るな・・・落ちるなよ・・・足でぐっとしろ・・・いいぞ・・・ヨシオ・・・ヨシオ」
久とヨシオは三位を獲得した。
恵は夫の仕事鞄を抱える腕に力をこめた。
久は息子を見た。
その顔は仮面に隠されていた。
久は妻を見た。
その顔は仮面に隠されていた。
久の顔に浮かぶ・・・不安。
その久の顔を・・・恵は見ている。
ワイン・カラーの黄昏は誰もが子供に帰る時間
窓に灯る灯りは星のようにまたたく
お帰りなさいのささやき
現在の妻・恵は前の妻・香の通う料理教室に参加するのだった。
その心はまだ謎に包まれている・・・。
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ごっこガーデン。黄昏は逢魔の時橋(バナナの皮に注意)セット。アンナ「余韻が欲しい・・・だからといって・・・古舘さんが仮面をつけていたりするとそれはそれで違うかもぴょん・・・朝ドラの受けはうまいんだぴょん。慣れって恐ろしいものぴょん。お父さんのことが大好きだったすばる・・・そりゃもう・・・ダーリンがお父さんなら・・・そうなるに決まっているのぴょ~ん。お父さんがターリンなら父親選択決定ぴょ~ん。二択問題不成立ぴょんぴょんぴょん・・・二人の妻対決・・・恵は香に勝てるのか・・・やはり・・・ダーリンは存在が罪・・・」まこ「仮面・・・かめん・・・かめんかまぼこ・・・板を挟んで両面にすると・・・おっ・・・これはいけるかもでしゅ~・・・勉強になりましゅ」mana「檜風呂で半身浴しなが視聴してたら久の入浴シーンに遭遇!(ノ*´▽)ノアハハハハ・・・混浴じゃ・・・妄想混浴じゃってどうですのん・・・・・・・・・・・・・(ノ∇≦*)・・・」mari「自分捜しはつらいもの・・・本当の自分なんて本当はないのかもしれないんですからね」エリ「五年間どころか・・・あらゆる記憶が失われている・・・でも部分的には覚えている悲しい久の・・・心・・・想像の翼をかなり広げないとわかりにくいかもしれませんね。仮面妻と仮面息子の悲しい心ははたして・・・久の心に届くのでしょうか・・・久の生い立ちが気になりまス~」
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コメント
キッドさん、こんにちは
差し出がましいようですが、
木、金は逆ではないでしょうか。
(間違えていたら、ごめんなさい)
原作は少ししか読んだことがないのですが、
木村くんもチャレンジしたなあ、という印象です。
こちらも一人二役のようなものですね。
仮面だと、つい上戸さんの胸に目が行ってしまいます
投稿: mi-nuts | 2015年5月 1日 (金) 11時34分
✭クイーン・オブ・ザ・ランチ✭mi-nuts様、いらっしゃいませ✭親切百回接吻一回✭
ご指摘ありがとうございました。
(木)(金)修羅場で
じいやのうっかりミス発生です。
Pちゃんと山Pちゃんでは大違いですからねえ。
原作は・・・コミックとしては非常に文学的です。
キッドは少し深層心理学的に読んで
いろいろと分析したことがあるので
原作的にも思い入れが深い作品でございます。
基本的には「二つの祖国」が背景にあるような気がします。
しかし、それは「父親」と「母親」という
二極だったり。・・・
「戦後」と「もはや戦後ではない」だったり
「男女平等」と「男女の役割分担」だったり
様々な・・・どちらも間違いではないけれど
選択を迫られて困惑する問題に波及していく
普遍的な問題なのでございます。
それをかなり掘り下げている原作なので
ストレートだとかなり・・・難解な作品。
ドラマ化がすでに冒険でございますよね。
テレビの描写だと・・・
久が時々・・・妻の素顔を見ていると
感じるお茶の間もあったりして・・・。
素顔・・・時々仮面なら・・・
なんとかなりそうですからねえ・・・。
夜の生活も・・・。
もちろん・・・仮面の方が刺激的だという
変態の方はともかくとして・・・。
投稿: キッド | 2015年5月 1日 (金) 23時40分