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2015年5月 9日 (土)

恋人たちがドライブをしてキスをするのがデートです(山下智久)

「知」というこの世で最も謎めいた「何か」を描いて行く物語である。

原作がそうであるようにドラマもその「呪い」から逃れることはできない。

「知的障害者」を「知に不自由な人」と考えると「知的障害者でない人」は「知に自由な人」ということになる。

果たして・・・それは・・・疑うことのできない事実と言えるのか。

しかし・・・主人公が鑑賞する「接吻」を描いた画家・クリムトが生きた世紀末ウイーンを代表する哲学者・ウィトゲンシュタインは「語りえぬものについては沈黙しなければならない」と教示する。

その問題についてはスルーするのが賢明なのだろう。

十九世紀・・・すでに人類の知は複雑な領域に突入している。

専門分野の知のプロフェッショナルが生まれ・・・もはや、万能の天才は幻となっている。

そして・・・時代はもはや二十一世紀である。

人々は・・・主人公が「お利口さん」になっていく過程を・・・たとえば数式で示される。

主人公が解く問題が・・・すでに知の外にある何かだと感じる人は・・・天使テンメイ様が優しく解説してくださるので・・・参考にしていただきたい。

紹介した記事は予告編に示された数式によるものだが・・・本編も同様に解説してくれるだろうと予測する。

それはこのレビューを書き終える頃、このブログのアクセスカウンターの示す数字が悪魔がこよなく愛する3333333を通過しているのと同じくらい確実だと思われる。

で、『アルジャーノンに花束を・第5回』(TBSテレビ20150508PM10~)原作・ダニエル・キイス「Flowers for Algernon」、脚本・池田奈津子(脚本監修・野島伸司)、演出・吉田健を見た。1966年に長編小説「Flours for Algernon」が出版されて後・・・世界は知的障害者を含む何かに不自由な人々に対する姿勢を変容させてきた。「差別」という言葉もうかつに使えないほどに障害を持つ人々への悪意は指弾され追及されてきたのである。少なくとも先進諸国において半世紀の間に・・・障害を持つ人々が置かれた環境は驚異的に改善されたと言えるだろう。しかし・・・それはまだ改善の余地がある道の途中であることは間違いない。この物語が色褪せないことがその証拠である。

「ドリームフラワーサービス」の従業員である白鳥咲人(山下智久)が知的能力向上施術(フィクション)を受けた成果は現実のものとなっていた。

バーチャル・システムによる迷路テストで咲人はついにネズミのアルジャーノンが残した最高記録を更新する。

脳生理科学研究センターの蜂須賀大吾部長(石丸幹二)をリーダーとする研究チームはアルジャーノン効果の人体への応用が成功したことを確信するのだった。

被験者である咲人は世界でたった一人の貴重なサンプルとなったのだ。

もちろん、それは悪魔の人体実験に他ならない。

しかし、知的障害者の治療という大義名分が研究者たちに福音となって響いていたのである。

だから・・・研究員たちは咲人を祝福し、病状の回復の喜びを分かち合うのだった。

咲人は日常生活に復帰する。

しかし、貴重な成功例である以上、咲人が画期的なナノマシーンによる脳機能イメージング技術(フィクション)により脳内を常時観測され、その行動は・・・小久保研究員(菊池風磨)をリーダーとする興帝メディカル産業の警備員チームに監視され、警護されていることは言うまでもないだろう。

人権問題に関わるため・・・その存在はお茶の間にも秘されているのだ。

「ドリームフラワーサービス」の従業員として咲人は顧客からの電話注文にも応じられるようになっていた。

「はい・・・即日配達も承っております・・・スズランの在庫はございます。お届け先を伺います。お届け時間のご指定はございますでしょうか。はい・・・承りました。スズランの花言葉は「幸せの訪れ」です。当店はお客様に幸せをお届けいたします」

「凄いぞ・・・咲人」と経営者である竹部順一郎(萩原聖人)は喜ぶ。

「マジかよ・・・」と柳川隆一(窪田正孝)は半信半疑である。

「本当に・・・頭が良くなるなんて・・・」と檜山康介(工藤阿須加)は茫然とするのだった。

咲人は仲間たちに褒められたうれしさを隠さない。

「ボクはお利口さんになりました・・・あはは」

・・・僕はお利口さんになった。

お利口さんになると世界は輝いて見える。

なぜなら・・・世界は素晴らしいことで満ちているからです。

本を読むと知らなかったことを知ることができます。

読み切れないほどの本があることも分かります。

本がいろいろなことを教えてくれるので僕はますますお利口さんになっていきます。

新しいことを知る度に世界が変わって行くのは面白い。

こんなに楽しいことがあることを僕はずっと知らなかったのです。

だけど・・・お利口さんになっても変わらないことがあります。

それは遥香と一緒に過ごす時間の楽しさです。

遥香と一緒にいるだけで僕はとても嬉しくなるのです。

ああ・・・この気持ちはまだ上手く言えません。

望月遥香(栗山千明)は蜂須賀部長の指示により、咲人の生活をサポートする役割を担っていた。

アルジャーノン効果の研究の成果を発表するにあたり・・・咲人は成功例としてお披露目されることになる。

過去の記録映像と比較して・・・知的障害が克服されたことを示す証拠として・・・咲人は洗練される必要があったのである。

咲人の服装や・・・知的向上のための書籍などはすべて研究費で賄われていた。

遥香とともに生活必需品をショッピングすることは咲人に至福の喜びを感じさせる。

まさに春爛漫である。

「桜が咲いています・・・」

「そうね」

「お団子は美味しいです」

「花より団子ね」

「桜は綺麗です・・・団子は食べ物です」

「まあ・・・」

花吹雪が舞い、遥香は思わず見惚れる。

咲人は花にも遥香の横顔にも見惚れるのだった。

咲人は父・白鳥久人(いしだ壱成)の言葉を思い出す。

「ごらん・・・ここは花屋さんだ・・・花屋さんは・・・花をいろいろな人に届ける。人は愛する人に花を贈るんだよ・・・だから花屋さんは・・・愛を届ける仕事をしているんだ」

・・・お父さん・・・僕にはあなたの言葉がわかります。

花を贈りたくなる相手。

それが愛する人なんですね。

お父さん・・・教えてくれてありがとう。

咲人は遥香に花を贈ろうと誓うのだった。

世界で一番好きな女の人は・・・愛しい人なのだから。

食後のギャンブルに熱中する花屋の従業員たち。

「フラッシュ」と鹿内大(勝矢)・・・。

「ストレートフラッシュ・・・」と隆一。

「なんだよ・・・またイカサマじゃないだろうな」

「イカサマなんかしませんよ」

「おれは負けがこんでんだよ」

「今月のツケは30・・・45・・・30・・・50・・・35・・・20・・・」

隆一は電卓をたたく。

キッチンの片付けをしていた咲人が割り込む。

「210」

「そうだよ・・・諭吉が二枚って・・・え」

「合ってる・・・」

「本当かよ」

「凄いな・・・咲人・・・人間ナビ機能に加えて・・・電卓機能も・・・」

「本当に頭よくなってんだな」

「あはは」

咲人の異能に関心する隆一たち。

しかし、咲人と同室の康介は複雑な表情でその様子を見守る。

最初に咲人に足し算を教えたのは康介だった。

咲人は遥香から小学一年生用の教科書を与えられていた。

「足し算て何ですか」

「足し算」

「どうして・・・1+1=2ですか」

「ほら・・・一円と一円で二円だろ・・・合わせて二円・・・」

「一円と十円であわせて二円」

「ちがうよ・・・そりゃ・・・十一円だろう」

「・・・」

「一円が十枚で十円だ・・・」

「・・・」

「百円が十枚で千円」

「千円が十枚で一万円・・・」

「そうそう・・・」

「一円が一万枚で一万円・・・」

「うんうん」

「あはは」

康介は輝いた咲人の顔に微笑んだ。

しかし・・・一週間で小学校の教科書を読み終えた咲人に康介は何か異常なものを感じたのだった。

次の週には中学の教科書と一緒に咲人は国語辞書と英和辞典を読んでいた。

「おい・・・咲人・・・お前・・・辞書も読むのか」

「辞書・・・読みました・・・言葉たくさんのってます」

康介は一度見た景色を忘れない咲人の特技を思い出す。

康介は国語辞書を手にとって適当なページを開く。

「234ページは・・・」

「234ページ・・・ひすい・・・翡翠・・・①カワセミの別名。雄が翡、雌が翠。②カワセミの羽の色。美しく光沢のある髪の色などにたとえる。翡翠色。③つやのある緑色の硬玉。また、硬玉と軟玉の総称。主に翡翠輝石からなり、美しさをカワセミの背にたとえた名。主産地はミャンマー・中国など。日本では新潟県糸魚川市の小滝川付近から産出・・・」

「もう・・・いいよ・・・なんだ・・・お前・・・舟を編むの人か・・・」

「舟は編むことできません・・・あはは」

康介は・・・顔をこわばらせた。

仲間たちの中で康介だけは咲人がただのお利口さんになったのではないことに気がついたのだ。

ある日、本を読んでいた咲人が突然、泣きだして康介は驚く。

「どうした・・・」

「人間はお墓に入ったら・・・出てきません」

「そうだよ・・・死んだんだから・・・」

「死んだ人にはもう・・・会えないの」

「そうだよ・・・それが死ぬってことだから」

「う・・・うえーん・・・うえーん」

「そうか・・・お前・・・死ぬってことが・・・わかったのか」

康介は泣き続ける咲人の肩を抱いた。

(咲人・・・お前は・・・一体・・・今、何歳なんだ・・・)

康介は思わずにはいられないのだった。

白鳥咲人監視員の一人、杉野(河相我聞)はモニター車から発信する。

「彼は脳生理科学研究センターに向った・・・少し早いけど引き継いでくれ」

「まだ・・・食事中なんですけど」と冷笑的な態度の小久保(菊池風磨)がセンターの食堂で応じる。

(十分ですませろよ・・・通信終わり)

「まったく・・・これじゃ・・・咲人様の召使みたいだな」

ぼやきながら小久保はランチを終えた。

監視センターのカメラに咲人が映り込む。

「ご到着か」

咲人は迷うことなく遥香の研究室に向かう。

遥香は研究員たちとデータについて意見を交わしていた。

咲人は「遥香の邪魔をしないように配慮」して・・・飼育室に向かうとアルジャーノンを移送用のケージに移す。ケージを持つと咲人に与えられたセンターの個室に向かった。

咲人はアルジャーノンのためにごちそうを用意していた。

「おいおい・・・時間外の給餌はダメだぞ・・・ま・・・いいか・・・ナッツのひとかけらくらい」

室内に蜂須賀教授が現れる。

小久保は盗聴器のボリュームをあげた。

その頃、「興帝メディカル産業」に鉢植えの交換にやってきた隆一と康介はロビーで河口梨央(谷村美月)に遭遇していた。

偶然の出会いに期待していた康介の口元はほころぶ。

「あれ・・・梨央ちゃん」と驚く隆一。

「こんにちは」

「こんなところで・・・何してるの」

「父の経営している会社です」

「ああ・・・そうなんだ・・・ええええええええ」

「檜山さん・・・この間・・・ありがとうございました」

「え」

「咲人さんがホームランを打った時・・・檜山さん・・・咲人さんに打席を譲ってくれたんですよね」

「・・・」

「優しい人なんだと思いました」

康介は心の中でニヤニヤした。

隆一はポーカーフェイスになった。

隆一の脳内では・・・大金持ちの娘の男と・・・大金持ちの娘の男の友人のどちらが得か・・・自身の将来の可能性を含めた計算が行われている。

咲人は室内に現れたのが遥香ではなく蜂須賀部長だったことに落胆しつつ・・・警戒心を強めていた。

蜂須賀部長は猫なで声で咲人に話しかける。

「咲人くん・・・君は誤解をしているようだ」

「ごかい・・・」

「私は・・・君から遥香くんを奪ったりはしない・・・私はただ・・・君が人間として成長してくれることを願っているんだよ」

「成長・・・」

「そうだ・・・愛について君にわかってもらうためのたとえ話をしたんだよ」

「たとえ話・・・嘘ですか」

「そうだな・・・もしも・・・という話だ・・・人をだます嘘とは違う」

「成長するために・・・たとえ話で・・・りかいをふかめる・・・」

「そうだ・・・ホーキング博士はこう言っている」

「ホーキング博士・・・天才科学者ですね」

「うん・・・彼は世界に不公平があることに気がつくことも人間としての成長の一つだと言ったんだ」

「不公平・・・」

「そうだ・・・人間は生まれた時から様々な不公平に遭遇する。不公平があることに気がつくということもお利口さんになった証だよ」

「・・・」

「たとえば・・・今の君は・・・昔の君が・・・随分と・・・他の人より不公平だったと思わないか」

「・・・」

「できないことが・・・たくさんあったから・・・」

「そうだ・・・しかし・・・今の君は不公平を正すために努力をしているだろう」

「お勉強すること・・・」

「そうだ・・・私は努力して成長する人間が大好きなんだよ・・・」

「・・・」

「君には・・・もっともっとやりたいことがあるだろう」

「運転」

「車の運転か・・・」

「はい」

「そのためには運転免許を取得しなければならない」

「勉強しています」

「そうか・・・それでは・・・運転免許をとれたら・・・君に私が車をプレゼントしよう」

そこへ・・・遥香が現れる。

「地下駐車場に・・・車が停めてある・・・それを中庭に出してくれ」

「はい」

「さあ・・・君のものになるかもしれない車を見に行こう」

「僕の・・・車」

真っ赤な新車を見て咲人の目は輝いた。

「息子のために買った車だったのだ」

「博士には・・・息子さんがいるのですか」

「咲人さん・・・先生の息子さんはお亡くなりになったのよ」

「・・・亡くなった・・・お墓に入ったの・・・ごめんなさい・・・博士・・・悲しい」

咲人の反応に遥香は幽かに驚く。

(論理的思考・・・共感・・・礼義・・・すべてが成長している)

「いいんだ・・・私は・・・君を息子のように感じているんだよ・・・」

「僕にはお父さん・・・います」

「もちろん・・・しかし・・・君は生まれ変わった・・・私を生まれ変わった君のもう一人のお父さんにしてもらえないかな」

「博士・・・もう一人のお父さん・・・たとえ話ですか」

「そうだ・・・たとえ話だ」

「博士は・・・僕のもう一人のお父さんです」

「ありがとう」

咲人は車のキーを受け取った。

「咲人さん・・・まだ運転はできないわよ」

「乗ってみるだけです・・・遥香も助手席に乗っていいよ・・・」

二人は新車に乗り込んだ。

「もしも・・・僕が免許をとったら・・・一緒にドライブしてください」

「・・・いいわよ」

「約束」

咲人は指を差し出した。

遥香は微笑んで咲人と指をからめ・・・指きりをするのだった。

蜂須賀部長は満足そうに口元を緩めた。

それは神の慈愛のように見えたが・・・蜂須賀が神でないために・・・悪魔の微笑みなのかもしれない。

一般人の数年分の知的成長を二週間で成し遂げるアルジャーノン効果が咲人に示されていた。

若者たちは咲人の自動車教習所へ向かう。

ニ十五歳の隆一。二十四歳の康介。二十一歳の梨央と小出舞(大政絢)・・・。

二十八歳の咲人は実は最年長である。

しかし・・・彼らにとって咲人は永遠の少年だった・・・はずだった。

「え・・・本当に教習所に通ってるの・・・」

「なんと本当なんだな」

「だって・・・学科とか・・・」

成長していく咲人の変化に最も対応の鈍い舞は疑問を呈する。

「なんとかセンターの手術が・・・効果絶大だったみたい」

「そんな・・・」

梨央と康介は発言を控える。

梨央は急速に変化する咲人を感じていたし、康介は間近で目撃しているのである。

教習を終えた咲人は四人に合流する。

「ね・・・マジで・・・免許取る気なの・・・あのね・・・ハンコいっぱいもらわないとだよ」

「ハンコいっぱいもらいました」

すでに・・・半分の課程を終えている咲人だった。

「うそ・・・」

「嘘じゃありません・・・あはは」

四人はゲームセンターでレーシングゲームに熱中する。

「ランチを賭けるわよ」と舞。

「いただきました」と隆一。

咲人はゲームに集中した。コントローラーに対応したモニター画面の反応に・・・咲人の発達する反射神経がたちまち適応していく。

情報の入力。情報の処理。最適な行動を選択する出力。

咲人の全身に拡張した神経細胞は・・・マシンと一体化するのだった。

「え・・・咲人・・・なんだよ・・・速すぎる」

隆一はたちまち咲人に追い抜かれるのだった。

「あはは」

勝利を無邪気に喜ぶ咲人。

すでに咲人は・・・世界が勝者と敗者で構成されていることに気がついていた。

咲人は隆一に学力などにおいて勝っていた。

しかし・・・隆一はそのことにまだ気がつかない。

若者たちはハンバーガーでランチをする。

「ねえ・・・免許を取ってどうするの」と梨央は咲人に聞く。

「遥香とドライブに行きます」

「え」

「遥香は世界で一番好きな女の子です」

「咲人さんにそんな人がいたなんて・・・」

驚きを隠せない梨央。

顔を曇らせる康介。

「ガッカリしましたか・・・」

咲人は梨央が自分に好意を持っていることを理解していた。

咲人が梨央ではない女性を一番好きだと言えば梨央が落胆すると理解していた。

しかし、それを口にするのがマナー違反であることを理解していなかった。

澱んだ空気を解消しようと軽口をたたく隆一。

「おいおい・・・咲ちゃん・・・それは思いあがりだよ・・・梨央ちゃんが・・・咲ちゃんのこと本当に好きなわけないだろう」

しかし・・・隆一は自分だけがそう思っているとは気がつかない。

さらに深まる沈黙・・・。

舞は隆一と咲人を食事の席から連れ出した。

「少しは空気を読んでよ・・・まあ・・・咲人さんには無理だけど・・・あんたは」

「何・・・どういうこと・・・まさか・・・梨央ちゃんが・・・マジだとでも・・・」

「そうよ・・・まあ・・・一般的な恋愛感情とは違うかもしれないけど・・・」

「違うって・・・」

「絵本みたいな・・・」

「絵本?」と咲人は反応する。

絵本みたいな恋とはどういうものなのか?

咲人は答えに悩むのだった。

「とにかく・・・少し・・・気を使いなさいよ・・・」

「・・・」

席に残された梨央と康介。

康介はおそるおそるアプローチを開始するのだった。

「あのさ・・・どうしても咲人じゃなきゃ・・・ダメなのかな」

「え」

「たとえば・・・俺とか・・・俺とか・・・俺とか・・・俺とかさ・・・」

「分身の術ですか」

「忍者ではありません」

「・・・ありがとう」

「御礼を言うところではありません」

康介でもいいとは言わない梨央だった。

康介はお嬢様のガードの堅さを知った。

咲人は部屋で「空気」について考えた。

それは・・・機微というものに関連するらしい。

蜂須賀部長は新しい本を咲人にプレゼントしてくれた。

芸術は心を豊かにします。

咲人は西洋絵画の画集を開く。

ルネッサンスの画家、サンドロ・ボッティチェッリの作品「プリマヴェーラ」に注目する咲人。

愛と美の女神は恋の天使に矢を用意させる。

春の女神・・・プリマヴェーラは恋人たちの行く手に花吹雪を舞わせるのだ。

騒がしい・・・恋の予感・・・。

絵画における恋人たちの姿を追いかける咲人は・・・世紀を越え・・・世紀末ウィーンの画家、グスタフ・クリムトの作品「接吻」にたどり着く。

装飾的に華麗でありながら甘美で妖艶なエロスの機微を咲人は感じるのだった。

誰かに心を奪われたらどうしよう

困るから心を閉じていようか

死にたくないといつも怯えていたら

生きていることも忘れそう

一週間後、咲人の学力は大学生レベルになっていた。

遥香の出す数学の問題はすでに咲人にとって簡単すぎた。

咲人は数学よりも・・・遥香の全身から発する強烈な性的魅力を堪能することに集中している。

遥香は咲人から発する男の匂いにうろたえている。

数学教師としての数式の解説は早口になっていく。

沈黙の駆け引きに耐えられなくなったのは遥香だった。

「ここまで・・・わかったかしら・・・」

「もうすぐ・・・免許が取得できます」

「え」

「一緒にドライブに行きましょう」

「そうね・・・約束ですもの」

「遥香は僕のことが好きですか」

「もちろんよ」

「・・・僕は遥香とキスがしたい」

「え・・・そういうことは恋人同士がするものよ・・・私たちは友達でしょう」

「お互いを好きな男と女は恋人同士でしょう」

「好きにもいろいろあるのよ・・・」

「・・・」

「・・・あなたは私をアルジャーノンのママだと言ったでしょう・・・」

「・・・」

「あなたにとって・・・私はママのようなものだと思うの」

「あなたは僕の母親ではありません」

「・・・今は・・・お勉強の時間でしょう・・・集中しなさい」

「・・・この問題は・・・今の僕には簡単すぎます」

咲人は席を立ち、解答を書き込むと部屋を出た。

遥香は緊張から解放され・・・思わず座り込む。

その様子は当然、別室でモニターされている。

「凄いな・・・咲人くんのアタックは・・・」と杉野。

「学力は大学生レベルでも・・・情緒は中学生なみじゃないですか」と小久保。

「おいおい・・・童貞くんが知ったような口を聞くじゃないか」

「ぼ、ぼくは・・・童貞じゃ・・・あ・・・ありません」

「君は・・・ひょっとして・・・望月くんに気があるんじゃないですか」

「そそそそそそんなこと」

「二人とも私語は慎みたまえ」と蜂須賀部長。「彼はすでに抑圧というものを充分に知っているはずだ。無意識下にあった性的衝動を発散させる出口を求め始めている。一方で急速に成長する自我を制御しようと様々な経験を求めている。鮮明になりつつある自他境界線による喪失感もあるはずだ。何しろ・・・彼は世界と自分を一体化させていたのだからな。失われる世界に対して自己を確保するために・・・自尊心が急激に育っているのだろう・・・プライドを傷つけられ・・・彼は遥香に対して攻撃的になったのだ」

「攻撃的・・・」と童貞の小久保は疑問を感じる。

「自分をないがしろにした遥香に罠を仕掛けたのだよ」

「罠・・・」

「つまり・・・自分を追わせるために逃げたのですね」

「そういうことだ・・・見たまえ・・・耐えきれなくなって遥香くんが・・・彼を捜し始めたぞ」

「遥香くんも・・・恋愛経験が豊富とは言えませんからね」

微笑みあう蜂須賀と杉野を恐ろしげに見つめる小久保だった。

咲人を懸命に捜す遥香。

待ち伏せていた咲人は遥香の背後から忍びより・・・わっと驚かせるのだった。

「そこは・・・あすなろ抱きだろう」

「少し・・・恋愛ドラマを視聴させる必要があるな」

蜂須賀と杉野は意見を交換した。

「遥香はきっと・・・捜しに来てくれると思ってました」

「咲人さん・・・」

「一緒にドライブしてくれますよね」

「ええ・・・一緒にドライブしましょう」

「約束ですからね」

「約束ですもの・・・」

微笑み合う二人。

しかし・・・遥香はすでに・・・咲人に翻弄され始めているのだった。

蜂須賀は新たなるステージの到来を確信する。

「フロイトからアドラーへ・・・世紀を越えて・・・次は自分を受け入れることを学ぶ段階だな」

「なるほど・・・傷心後の世界ということですな」

二人は悪魔の師弟として微笑み合う。

小久保は少し疎外感を感じる。

彼はネズミのアルジャーノンが無性に恋しくなった。

飼育室は閑散としていた。

アルジャーノンのデータは機械的に記録されているだけだ。

「どうやら・・・お前は用済みらしいよ・・・なにしろ・・・貴重な人間のサンプルが登場したからな」

小久保はデータの検証を開始する。

「だけど・・・俺にはお前がお似合いみたいだ・・・人間はいろいろと・・・面倒くさいものな」

アルジャーノンは小久保の愚痴に耳を傾けた。

アルジャーノンにも変化の時が訪れていた。

それは微細なデータの変化となって示される。

小久保はそれに気がついたが・・・それの意味するところを理解することはできなかった。

遥香は「ドリームフラワーサービス」を訪問している。

「咲人は・・・父親の墓参りに行っています」

「・・・」

「時間を見て・・・毎年、私が迎えに行っているんです・・・だけど・・・今年は長話になるんじゃないかな」

「?」

「ほら・・・あいつ・・・お利口さんになっちゃったから・・・」

咲人は去年までとは違う気持ちで父親の墓に向かっていた。

父親が死んだこと・・・それから十三年の歳月が過ぎたことを・・・今年の咲人は理解している。

父親が死んだ時・・・咲人は中学生だった。

今はもう大人である。

咲人は父親の記憶を呼び起こす。

お父さん・・・僕は明日、運転免許を取得するよ。試験に合格する自信があるんだ。僕には好きな女の子がいて・・・ドライブに誘うつもりなんだ。僕はその子のことが好きで好きでたまらないんだけど・・・彼女はぼくのこと・・・子供だと思っているんだ。僕はどうしたらいいのかな。どうしたら遥香と愛し合えるのかな。お父さんが答えることができないのは分かっているけど・・・訊かずにはいられないよ。お父さん、僕をドリームフラワーサービスに連れて行った時・・・もう余命宣告を受けていたんだね。どうして、僕と一緒にいられなくなったのか・・・分からなくてごめんなさい。病院のベッドに寝たまま・・・どんどんやせて行くお父さんを見て・・・僕はなんだかこわくなって・・・泣いてしまった。馬鹿な僕を残して死ななければならなかったお父さんがどんなに心配したか・・・気がつかなくてごめんなさい。お父さんは最後に僕に言った・・・僕の笑顔は世界一だって・・・泣いていないで笑えって・・・笑ったら遥香は僕のことを好きになってくれるかな・・・僕の魅力は愛嬌なのかな・・・。僕は去年よりずっとずっと悲しいよ。お利口さんになったのにおかしいよね。

咲人は墓を相手に「あいきょでしょ」のパフォーマンスを繰り返すのだった。

遥香と竹部はその姿を遠くから見ていた。

「あいつの父親は世話になった先輩でね・・・どんなにか心残りだっただろうと思うよ・・・俺も精一杯頑張って面倒見て来たつもりだけど・・・まさか・・・あいつが賢くなるとはね・・・先輩が生きてたらどんなに喜んだかな・・・それとも・・・手術に反対したかも・・・」

「私・・・咲人さんに酷いことをしてしまったんです」

「え・・・」

「咲人さん・・・私を慕ってくださって・・・」

「ええっ」

「私・・・咲人さんの気持ちに気がついていたのに・・・気がつかないフリをして・・・かえって咲人さんを傷つけてしまいました・・・」

「えええ・・・・そうですか・・・あいつが恋を・・・そりゃいい・・・先生・・・先生にその気がないのなら・・・きっぱりとふってやってください・・・今のあいつなら失恋のひとつやふたつ乗り越えますよ」

「・・・そうでしょうか」

「あいつは・・・強い奴だと・・・信じています」

「・・・」

「遥香」

「咲人さん・・・」

二人に気がついた咲人は爽やかに笑った。

遥香は微笑み返さずにはいられない。

モニター車に乗り込んだ蜂須賀部長はニヤリと笑った。

二十八歳の知的障害者が・・・健康な成人と同程度の知能を獲得した。

アルジャーノン効果の人間における臨床報告はまとめられ興帝メディカル産業の河口社長に伝えられた。

「素晴らしい・・・次の学会で発表したまえ」

「・・・公表は時期尚早かと・・・」と蜂須賀部長は言葉を濁した。

「何故だ・・・まだ何か・・・リスクがあるのか」

「世論の動向というものがあります」

「構わん・・・被験者自身が・・・実験の成果を賞賛するのだ・・・本人の幸福を他人が否定できるかね」

「・・・」

「世間が認めて初めて・・・娘が第二の被験者となることも容認できる」

「・・・」

「いいか・・・この研究には・・・娘の人生がかかっているのだ・・・」

「はい」

「撤退という道は最初からないのだよ・・・そして娘に残された時間は限られている」

「・・・」

「可及的速やかにだ・・・」

「かしこまりました」

梨央と舞は初夏の気配のする「ドリームフラワーサービス」へ続く道をたどっていた。

「しかし・・・本当に免許がとれちゃうとは・・・咲人さん・・・凄いね」

「そうね」

「どうしたの・・・浮かない顔して・・・彼があなたに相応しい男になってきているのに」

「なんだか・・・咲人さんがだんだん遠い所に行ってしまうような気がして・・・」

「何言ってるの・・・恋なんて・・・ライバルがいてナンボよ」

「・・・」

咲人は店に届けられた真っ赤な咲人号に乗り込んだ。

「すげえな」

「俺も手術してもらって車をもらいたいよ」

囃したてる職場の男たち。

「咲人号・・・発進」

隆一が友人を代表して号令をかけた。

咲人の真っ赤な車は遥香を目指して走りだす。

梨央は一歩出遅れたのだ。

「今の・・・咲人さん・・・」

「そうさ・・・彼女とドライブなんて・・・あ」

隆一は舞の剣幕に気がついて口を噤む。

康介は梨央を慰める。

「大丈夫だ・・・咲人は・・・相手にされないよ」

梨央は呟いた。

「それはそれで・・・可哀想・・・」

「あ・・・そう」

康介はお嬢様の心を読み切れないのだった。

咲人は赤い薔薇で花束を作っていた。

花屋だからである。

「赤い薔薇の花言葉は・・・あなたを愛しています・・・です」

咲人は父親の遺言に従い微笑んだ。

夕暮れの近付く研究センターの裏庭に蜂須賀は遥香を呼び出していた。

「学会で・・・成果を発表することにした」

「まだ・・・時期尚早ではないのですか」

「これは決定事項だ・・・咲人くんの存在も公表する」

「そんな・・・」

「被験者が実験を肯定することは絶対に必要なことだ・・・君にもその意味は分かるだろう」

「・・・」

「多くの人間と接することは・・・今の咲人くんにも大きなストレスとなるだろう」

「ですから」

「だが・・・君には咲人くんの要求に完璧に応えてもらいたい」

「しかし・・・彼は・・・もう・・・幼い子供ではありません」

「彼が恋人としての君を求めるなら・・・君にはそれに完璧に応じるのだ」

「そんな・・・」

「君は研究のためならすべてを捧げると・・・私に誓った・・・あれは嘘かね」

「話が違います」

「いや・・・私にはできる」

蜂須賀は遥香の口唇を奪った。

それは・・・遥香が求めてやまないものだった。

遥香の心は動顛する。

花束の落ちる音がして振り返るとそこに咲人が立っている。

遥香の心は痺れた。

咲人は去った。

蜂須賀も無表情に去った。

遥香は残された花束を力なく拾う。

夕陽が遥香の影を長く伸ばす。

響き渡る千住明の悲劇を招く悪い科学者的スコア・・・トレビアン。

研究室に戻った遥香を杉野と小久保が慰安する。

「しかし・・・公表されたら咲人は時の人ですね」

「そうだな・・・彼は栄光の道を歩くだろう」

「僕たちなんか・・・忘れ去られたりして・・・とにかく・・・このまま・・・知能が向上していけば・・・可愛い咲人は消えてしまうんでしょうね」

「変わらないわ・・・彼はどんなに知能が向上しても・・・純粋な・・・」と反発する遥香。

「少なくとも・・・無垢ではなくなるんじゃないかな」

「良くも悪くもですよね・・・」

舞が「ドリームフラワーサービス」にやってくる。

「梨央ちゃんがいなくなったって・・・」

「ここにはきてないよ」

応対する隆一と康介。

「咲人さんは・・・」

「帰ってない」

「捜してよ・・・」

「捜すっていっても・・・梨央ちゃんの行きそうな場所なんてわからないし」

「そんなに心配することないんじゃないか・・・お嬢様だって・・・子供じゃないんだし」

「だめなのよ・・・彼女を一人にはできないの・・・」

「なんで・・・」

「・・・病気なのよ」

「え」

顔色の変わる康介だった。

隆一はすばやく計算する。

それじゃ・・・お金持ちの娘の男の友達じゃダメじゃないか。せめてお金持ちの娘の夫の友達じゃないと・・・。

思い出の場所に咲人は立っていた。

遥香のくれた輝きを思いきるという選択は「男の恋愛術」の160ページに書いてあった。

しかし・・・思いきれない咲人だった。

これが未練というものなのか。

そこへ・・・咲人に呼び出された梨央が到着した。

真っ赤な車は二人を乗せて夜の高速道路を突っ走るのだった。

「どうして・・・私に電話を・・・くれたんですか」

「顔が・・・思い浮かびました・・・」

「遥香さんにふられて・・・私を思い出したのですか」

「そうです」

「そこは・・・私が好きだからって言ってください」

「そうやって・・・みんな嘘をつくのですね・・・」

「・・・咲人さん・・・変わりましたね」

真っ赤な車は夜の海に到着した。

「覚えていますか・・・最初に逢った日のことを・・・」

暗い海に向かって歩き出した咲人を梨央は追いかける。

「君は僕をクラブに誘って・・・シャンパンを口移しで飲ませました・・・」

「怒らないのですか・・・」

「なぜ・・・だってあれは・・・キスではないでしょう・・・」

「・・・」

「本当のキスは・・・」

咲人の一度見たら忘れない脳を騒がす遥香と蜂須賀の接吻・・・。

「なぜ・・・なぜだ」

咲人は立っていられずに波打ち際に跪く。

「遥香・・・なぜ・・・僕じゃダメなんだ・・・」

思わず・・・咲人に駆け寄る梨央は膝を折り咲人を抱きしめる。

「私が・・・遥香さんの代わりになります」

「・・・」

「私は・・・大丈夫・・・私には時間がないから」

「時間がない・・・」

梨央は激しく咲人の唇を奪う。

情熱のキス。

咲人はおずおずと・・・梨央の背中に手を回すのだった。

一人ぼっちの夜は終わらない気がする

ゴールは絶望するほど遠い気がする

愛なんて結局・・・

ついてる人間のためにあるんじゃないか

時に人はそう言って愛を詰るものだ。

そして、恵まれない自分を憐れむのである。

関連するキッドのブログ→第4話のレビュー

Hcal005ごっこガーデン。愛と誘惑の駐車場セット。エリ山P先輩の魂の演技に永久保存版のハンコを押しまくりでス~。アクターとしての実力に尊敬と胸いっぱいの愛を感じるのでス~。ある時はすでに思慮深い大人・・・ある時はまだまだ幼い子供・・・青年と少年の魂が入り混じる複雑な咲人を完璧に表現した圧巻のシーンの連続に脳天ぼぎゃ~んと打ち抜かれたエリなのですよ~。じいや・・・甘くて酸っぱいキンキンに冷やしたクランベリーのジュースをお願いね・・・ドロッとしてるくらい濃いヤツよ~・・・もうノドがカラカラになっちゃったんだから~・・・それからP先輩とハチロクで峠を攻めに行きま~す

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コメント

楽しい1時間!!
誰からも愛され、愛嬌いっぱいの咲ちゃんは、
やさしい石田パパの下で育ったから、備わったモノで
後半は、第2のパパ博士の下で育つ、
人を見下す'咲ちゃんになっていくのですね~!!
予告の6話ですでに、開花されているようなので
先がどうなるのか、すっごく楽しみで早く見たい(笑)

芸術書でエロスを学ぶ感じが、よりエロスで良いです(笑)

ただ、カワイイ、愛嬌たっぷりの咲ちゃん好きには、残念ですが!

研究室でのキッドさんの会話!面白いです!
さすがでございます(^o^)

投稿: ユキヒョウ | 2015年5月10日 (日) 11時22分

絶滅危惧種~ユキヒョウ様、いらっしゃいませ~山下君愛好

よくできた脚本なので
ちょっと気を許すと再現性が高くなってしまいます。
妄想部分をお楽しみいただけて幸いでございます。

慈しまれることの裏には蔑みが・・・。
尊敬の裏にはやっかみが・・・。
人間の光と影が交錯する物語。

登場人物の配置に一切無駄がありませんな。

「モ」では唖然としたり「サ」では茫然とすることも多かったので・・・。

澱みなく展開する「ア」はうっとりとできて
よろしいですねえ。

なにしろ・・・様々な主人公の演技が見られるので
お得感満載でございます。

幼子に芽生える性の意識。
眼差しに現れるエロスの叫び。
まだまだ子供だと思っていたのに
急激な雄の気配にうろたえるヒロイン。

なにしろ・・・研究室の人々は・・・
どちらかといえば遊んでなさそう・・・ですからな。

変化していく主人公に
周囲もお茶の間も驚く中盤戦・・・。
そしてオリジナル要素の顛末も
楽しみでございます。

善と悪を絶え間なく生み出す知性。
その醍醐味をじっくりと味わいたいと考えます。

投稿: キッド | 2015年5月10日 (日) 15時37分

キッドさん、こんばんは

今回も、素晴らしい演技でしたね。
徐々に賢くなりつつ、ちょっとした仕草とか、
歩き方とか、幼い咲ちゃんがひょこひょこ顔を出すのが、もはや懐かしい感じがします。

こんなこと言ったら怒られそうだけど、
好きな人に振られたからって、
SJを呼び出して朝チュンとか、
ちょっと待ってお兄さんな案件ですが、
咲ちゃんは悪くないよー、
花屋の仲間も悪くないよー、
悪いのは全部、博士だよー、となる
流れが上手いなあ、と個人的には、舌を巻きました。

分かっているのに、
ばっちり感情移入して、切なくなってしまいます。
思うツボです。

それにしても、服は買ってもらうわ、
「ありがとうございます」の一言で車をもらうわ、
ただほど怖いものはないのよ、とか、
パパとお呼び、なんてこと言う人には気をつけなさい、と
咲ちゃんに教えてあげたい衝動にかられています

投稿: mi-nuts | 2015年5月13日 (水) 21時43分

アクセス3333333突破!!
キッドさん
おめでとうございます\(^_^)/
3で割りきれる数が好きなので
3が7つ並んだところ この目で見たかったです
もうあっという間に通り過ぎてしまってますね

第5話は思春期の揺れ動く青年を山下君が繊細に演じてくれて見応え満点だったし
考えさせられる言葉
絵画 バックに流れる音楽
何もかもが素晴らしかったです

ヒロインではないのに
桜井幸子さんを彷彿とさせる谷村美月さんの存在もとてもよくって役柄にピッタリな気がします
サマーヌードで実は期待してた月明かりの下での浜辺のキスシーン
綺麗な絵でした

これから咲人に待ち受けているものは残酷なものもあるかもしれませんが
土の中に薔薇の種が
何かしら花を咲かせてくれるラストを見れたら嬉しいです

投稿: chiru | 2015年5月13日 (水) 22時26分

✭クイーン・オブ・ザ・ランチ✭mi-nuts様、いらっしゃいませ✭親切百回接吻一回✭

系譜としては
ヤーヴェとアダムにまで遡る父と作られた子の関係。

近代ではフランケンシュタイン博士とモンスター。

天馬博士と鉄腕アトム。

そして・・・蜂須賀博士と咲人へ・・・。

もう一人のパパは
理想の息子のためなら
何でもしてくれそうで楽しいのでございます。
このドラマでは
かなりいやらしい感じに仕上がっていて
トレビアンでございますねえ。

知力の向上と精神の成熟が
大人びた行動と幼児的な動作の混在で
見事に表現されていますね。

多くの人間は知力と情緒を切り離して
考えがちですが
「健全な魂が健全な肉体に宿ってほしい」という
願いと同じく・・・
それは切っても切り離せないものなのでございます。

一ヶ月で義務教育の九年間を圧縮してしまう知性。
それは一般人にとってもはや・・・怪物です。

SJの梨央は成人女性なので
条例違反にはならないと咲人は判断しているでしょう。
少なくとも六法全書は読破していると思われます。

据え膳食わぬは男の恥も入力済みです。

一方、梨央は四人の中で
最も知的・・・すべては計算済みで
ある意味、冷徹です。

康介は咲人の怪物性に気が付きはじめ・・・
それが愛する梨央を傷つける予感に怯えている。

隆一は自分が賢く世馴れていると思っているので
咲人の変貌に一番ショックを受けるかもしれません。

舞は隆一と同じタイプですが
世話女房気質なのである程度、鈍感さを武器にするでしょう。

咲人は彼らの似ているところと違うところを
分析しながら・・・個性というものを学習中。

しかし、今は遥香の心を蜂須賀から自分に向けさせるためにすべてを利用していると言えるでしょう。

梨央を抱くのは
純情よりも経験を積んだ方が
蜂須賀博士に近付くと計算しているわけです。

同時に性的欲望を満足させられて一石二鳥ですからな。

これは一種の知性化戦争で
善悪とは無関係なのだという側面がございます。

しかし・・・それとは別に
欲しいものが次々と浮上する知性向上の
せつなさがございますな。

運転免許も車も遥香も欲しかったのに・・・。

梨央でもいいか・・・にはならないわけですから。

まあ・・・梨央もいただくわけですけどね。

久人パパの息子と蜂須賀パパの息子・・・
二人の息子が咲人の中で妖しく花開いておりますねえ。

まあ・・・どちらのパパも
おそらく・・・凌駕しちゃうわけですが・・・。

咲人の完成形・・・楽しみです。
もちろん・・・頂点にたったら・・・下山が待っているわけでが・・・。

投稿: キッド | 2015年5月14日 (木) 00時10分

シンザンモノ↘シッソウニン↗・・・chiru様、いらっしゃいませ・・・大ファン

あっと言う間に過ぎちゃいました・・・。
次は4444444なので
3~4年後・・・憧れの6666666は十年後・・・。
見果てぬ夢でございます。

ほぼ中間点の第5話。
来週はいよいよ知性の高みが見えてきそうですな。

美しい主人公が美しい絵画を見て美しい音楽に包まれる。
・・・うっとりですな。

谷村美月もなかなかに薄倖オーラを持っていますからな。
巨乳控えめで
見事なお嬢様ぶり・・・。
しかし・・・ただの清純派ではないところがミソでございます。

波打ち際の抱擁・・・。
姿勢に無理がありすぎるので
痛々しさ倍増で胸キュンですな。

実にセクシーでございました。

サマーヌードでもこういうシーンが欲しかったですよね。

まさみ、戸田、香里奈、順番に一人ずつでも
よろしいぐらいでしたのに・・・。
残念でした。

おそらく・・・悲劇で終わるこの物語。

しかし・・・アルジャーノンと咲人の
生きた軌跡は・・・
美しい薔薇のように・・・心に残るでしょう。
どうか・・・名作となるように
祈るばかりでござすます。

投稿: キッド | 2015年5月14日 (木) 00時29分

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